説明

肉ポーション製造法

本発明は、冷凍された肉を型の中で丸みのある最終形状にプレス成形することによって形および嵩が同等の肉ポーションを製造する方法、詳記するならば、その自然な形を見せ、互いに付着しない1個1個の肉を、冷凍された状態または冷凍されていない状態で2つ、3つ、または4つ以上の同一重量および/または目標重量のポーションに分割する、特に鋸で切り分けること、および、各ポーションが望みの重量を持ち、好ましくは望みの生形状(原形)を持つところまで、それをカットし、次に、冷凍状態で型に入れ、その型の中で最終形状にプレス成形することを特徴とする方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍された肉を型の中で丸みのある最終形状にプレス成形することによって形および嵩が同等の肉ポーションを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで用語“肉”とは、鳥、牛、豚、子羊などの任意の獣肉だけでなく、魚の肉でもあると解する。食品業界は、嵩が同一であることのほかに形が同一であることを特長とする丸ごと均一の個体である肉を望んでいる。それにより、その1個1個は、同一の焼き時間で自動的に焼くことを可能にする同様の厚さと横断面を持つことになる。これは同時に、食卓に出されたときに肉の1個1個が大きく見える、すなわち、できる限り大きい横断面を見せるように形作られる点で有利である。
【0003】
1個1個の多数の肉を含む冷凍ブロックから直方形の個体を鋸で切り出し、これを冷凍された状態のまま型に入れ、そこでプレス成形することは、周知のことである。直方形であるから、一見自然な肉片に類似した丸みのある最終形状を得るためには、プレス成形時に極めて強大な変形を加えることが必要である。そうすると、繊維組織が十分に確保されなくなるほど大きく筋肉繊維が変位させられることになる。更に、一次製品が切り分けられたときに大量の屑を出してしまうほど大きいサイズである場合、変形を加えることは問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、最初の形および最初のサイズが様々な、同等の嵩の肉ポーションを嵩が同等、形が同一かつ形が安定した個体に変形させ、その際、繊維組織を十分に確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明に従い、その自然な形を見せ、互いに付着しない1個1個の肉を、冷凍された状態または冷凍されていない状態で2つ、3つ、または4つ以上の同一重量および/または目標重量のポーションに分割する、特に鋸で切り分けること、および、各ポーションが望みの重量を持ち、好ましくは望みの生形状(原形)を持つところまで、それをカットし、次に、冷凍状態で型に入れ、その型の中で最終形状にプレス成形することによって解決される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従う方法では、一次肉の個体の大きさに関係なく、従ってまた、かなり大きいサイズ、かなり大きい嵩、特に2倍または3倍のサイズまたは嵩の個体の場合でも、常に同じ形、同じ嵩、そして同じ重量を持つ最終形状の肉ポーションを得ることが可能である。筋肉繊維組織は十分に確保されているので、このような肉片の噛み味は自然な肉片のそれに匹敵する。常に同じ厚さ、同じ横断面であるから、焼き時間は一定不変であり、更に、食卓に出されたときに肉ポーションの1個1個が大きく見える、すなわち、比較的大きい横断面を見せるように型を選択することができる。型は、基本的に予め任意に選択することができる。
【0007】
型に入れるときの肉個体が−5℃から−20℃までの温度を示すのが好ましいことを提案する。特に有利であるのは、肉個体をプレス成形および/またはタンブラでのカットの前に、ソース、マリネードまたは香辛料への漬け込みにより、あるいはインジェクションにより前処理することである。
【0008】
以下、本発明に従う方法の実施例を図面に則して詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
製造後の肉ポーションの少なくとも2倍または複数倍の大きさまたは重量の獣肉、特に鳥肉、牛肉、豚肉、子羊肉、または魚肉の大きい筋肉個体をその自然な形で冷凍する。“自然な形”とは、筋肉によって予め与えられた形がもはや見分けられなくなるほど肉個体がプレス成形、カッタ切りまたは鋸切りによって変えられなかったときの形であると解する。そのようなもはや見分けられない形が作られるのは、例えば、冷凍された肉ブロックから直方形の個体が鋸で切り出されたときである。
【0010】
大きい肉個体をそのサイズと重量に応じて、目標重量に見合う2つ、3つ、または4つ以上の同一重量のポーションに分割する。この分割は、冷凍されていない状態でカッタ切りによって行われる。しかしながら、肉個体を冷凍しておき(−5℃から−20℃まで)、ポーションに鋸で切り分けることが好ましい。
【0011】
十分に冷凍された肉ポーションは、次にプレス型のトラフに入れる。これは、長さが幅より大きく、高さが幅より小さいもので、コーナが丸みを持ち、細長い形の一端が向かい側の端と違う形の丸みを持つ。これで、トラフは大体、上側と下側が軽く膨らんだ筋肉個体の自然な形を呈する。
【0012】
肉ポーションを型に入れた後、上から突き棒を型に押し込み、それで肉に圧力をかけ、肉材料がその冷凍された状態で型全体を満たし、そこで筋肉繊維が互いに変位させられるところまでプレス成形する。これで、最終製品は形が安定したままとなる。
【0013】
肉ポーションの入荷温度は、この場合、−5℃から−20℃までであることが好ましい。加圧変形プロセスの基礎となる方法は、独国特許第1980631A1号明細書および独国特許第19732206C1号明細書から周知である。トラフへの装入は手動または自動で行われる。この方法は、例えば、冷凍ブロックから鋸で切り出された肉素材の場合のような入荷材料の特殊形状に左右されない。特に、望みの最終形状に類似した形に予備成形する特殊工程は必要でない。わずかに必要であるのは、肉ポーションを変形に役立つトラフに、このプロセスに適した仕方ではめ込むことだけ、すなわち、特にその横断面がトラフのそれより大きくないことだけである。これは、肉ポーションを形状寸法的に制限した上で(例えば適当な容器に入れて)適当に冷凍することによって達成できることが好ましく、そこでは加圧の必要はない。つまり、入荷品は大気圧のもとで冷凍することができる。
【0014】
変形させるべき肉ポーションは、個体丸ごと、または、小分けされた1個1個をまとめたものであることが好ましい。これは、未処理であっても、下ごしらえ(例えば香辛料で味付けする、マリネードに漬ける、食品添加物を加えるなど)がしてあっても、前処理(例えばインジェクション、タンブラでの処理)が施してあってもよい。
【0015】
肉ポーションは、型に入れる前に、当該の型のために必要な望みの重量ないしは望みの体積を得るためにカットしてよい。しかしながら、これは通例、肉ポーションの縁を少々切り落とすだけのことである。他には、肉ポーションの自然な筋肉の形はそのまま残る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一次製品としての大きい肉個体である。
【図2】ポーションに分割された肉個体である。
【図3】最終形状にプレス成形された後のポーションである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍された肉を型の中で丸みのある最終形状にプレス成形することによって形および嵩が同等の肉ポーションを製造する方法であって、
その自然な形を見せ、互いに付着しない1個1個の前記肉を、冷凍された状態または冷凍されていない状態で2つ、3つ、または4つ以上の同一重量および/または目標重量のポーションに分割する、特に鋸で切り分けること、および、前記ポーションの各々が望みの重量を持ち、好ましくは望みの生形状(原形)を持つところまで、前記肉をカットし、次に、冷凍状態で前記型に入れ、前記型の中で最終形状にプレス成形することを特徴とする、
製造方法。
【請求項2】
前記型に入れるときの前記肉ポーションが−5℃から−20℃までの温度を示すことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記肉個体またはポーションを、プレス成形および/またはタンブラでのカットの前に、ソース、マリネードまたは香辛料への漬け込みにより、あるいはインジェクションにより前処理することを特徴とする、請求項1―2のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−520196(P2008−520196A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540509(P2007−540509)
【出願日】平成17年9月17日(2005.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010059
【国際公開番号】WO2006/053601
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507096157)ニーンステット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【Fターム(参考)】