説明

肉厚調整装置及び方法

【課題】本発明は、コアを直動するためのコアシリンダの100%及び0%のストローク位置を、コアシリンダのシリンダエンドに衝突させることなく直線位置センサの位置検出信号によって任意かつ安全に設定することを目的とする。
【解決手段】本発明による肉厚調整装置及び方法は、クロスヘッド(1)の直線移動位置を検出するための直線位置センサ(9)を設け、コアシリンダ(2)の直線移動位置を直線位置センサ(9)で検出し、この直線位置センサ(9)からの位置検出信号(9a)に基づいてコアシリンダ(2)の100%及び0%の位置を設定する構成と方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚調整装置及び方法に関し、特に、コアを直動するためのコアシリンダの100%及び0%のストローク位置を、コアシリンダのシリンダエンドに衝突させることなく直線位置センサの位置検出信号によって任意かつ安全に設定するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の肉厚調整装置及び方法は、例えば、特許文献1に開示された構成においても同様であり、図示していないが、コアシリンダの位置を制御するために、まず、調整段階で、制御部を用いてコアシリンダのMAXストロークとMINストロークの位置の位置検出信号(すなわち、直線位置センサから出力される電圧信号)を記憶させ、MAXストローク位置を100%、MINストローク位置を0%とし、この範囲内の位置検出信号は0〜100%に線形に対応させたストローク位置として表現させていた。
また、前述のMAXストローク位置及びMINストローク位置を取り込むには、コアシリンダを駆動させるサーボバルブ等からなる駆動装置へ無条件に電流を印加し、コアシリンダをシリンダエンドへ衝突させることによって前述の各位置を決定していた。
【0003】
【特許文献1】特開2006−305881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、用いられていた肉厚調整装置及び方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成においては、MAXストローク(100%)位置及びMINストローク位置(0%)をシリンダエンドとしなければならず、コアシリンダをシリンダエンドに衝突させることにより、破損となる恐れもあった。
そのため、MAXストローク(100%)位置をシリンダエンドの手前として衝突させないようにするには、シリンダエンドの手前位置に別に用意した機械的なストッパを設置しなければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による肉厚調整装置は、クロスヘッドのコアをコアシリンダの駆動により上下動させ、前記コアとダイとの間のギャップを調整してパリソンの肉厚を制御する肉厚調整装置において、前記コアシリンダの直線移動位置を直線位置センサで検出し、前記直線位置センサからの位置検出信号に基づいて前記コアシリンダの100%及び0%の位置を設定する構成であり、また、本発明による肉厚調整方法は、クロスヘッドのコアをコアシリンダの駆動により上下動させ、前記コアとダイとの間のギャップを調整してパリソンの肉厚を制御する肉厚調整装置を用い、前記コアシリンダの直線移動位置を直線位置センサで検出し、前記直線位置センサからの位置検出信号に基づいて前記コアシリンダの100%及び0%の位置を設定する方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による肉厚調整装置及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、クロスヘッドのコアをコアシリンダの駆動により上下動させ、前記コアとダイとの間のギャップを調整してパリソンの肉厚を制御する肉厚調整装置において、前記コアシリンダの直線移動位置を直線位置センサで検出し、前記直線位置センサからの位置検出信号に基づいて前記コアシリンダの100%及び0%の位置を設定するため、コアシリンダの任意のストローク位置を前記100%及び0%の位置とすることができ、従来のように、コアシリンダをシリンダエンドに衝突させる必要もなく、コアシリンダの破損等を防止し、安全な肉厚設定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、コアを直動するためのコアシリンダの100%及び0%のストローク位置を、コアシリンダをシリンダエンドに衝突させることなく直線位置センサの位置検出信号によって任意にかつ安全に設定するようにした肉厚調整装置及び方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0008】
以下、図面と共に本発明による肉厚調整装置及び方法の好適な実施の形態について説明する。
図1において、符号1で示されるものは、クロスヘッドであり、このクロスヘッド1には、コアシリンダ2により矢印Aに沿って上下動自在なコア3が設けられ、このコア3の外周位置には輪状をなすダイ4が配設されている。
【0009】
前記コア3とダイ4との間には、ギャップ5が形成され、このギャップ5からはギャップ幅に応じた肉厚のパリソン6が吐出されると共に、前記クロスヘッド1の上部には、コアシリンダ2を駆動させるためのサーボバル等の駆動装置7が設けられている。
【0010】
前記コアシリンダ2の上端にはストッパ8が設けられ、このコアシリンダ2のストローク位置は、前記クロスヘッド1に設けられた周知のLVDTからなる直線位置センサ9によって検出され、この直線位置センサ9からの位置検出信号9aによって前記コアシリンダ2のストローク位置を検出することができるように構成されている。
【0011】
前記直線位置センサ9からの位置検出信号9aは、図2に示されるように、駆動信号からなる指令信号Vcomが入力される演算部10に帰還入力され、この演算部10からの駆動信号10aが駆動装置7に入力されてコアシリンダ2が直線移動することによって、前記ギャップ5が可変となる。
【0012】
次に、動作について説明する。まず、前記パリソン6の肉厚を自在に制御するためには、直線移動させるコアシリンダ2のストローク位置を予め把握しておかなければならず、このために、初期調整として、コアシリンダ2の100%及び0%の位置を取り込み、これに基づいて0〜100%のストローク位置を計測して設定する必要がある。
【0013】
そのために、前記直線位置センサ9からの位置検出信号9aを調整段階から監視することとし、初期位置として前記直線位置センサ9の位置検出信号9aが0Vの位置を基準とし、この位置から徐々に駆動装置7に駆動信号10aを与えて駆動させ、位置検出信号9aの電圧と指令信号Vcomと比較しつつコアシリンダ2の停止を可能とするものである。
【0014】
従って、実際の設定においては、前記駆動装置7へ一気に大電流の駆動信号10aを印加するのではなく、微小の電流を与えてコアシリンダ2を駆動し、この時に位置検出信号9aからの変化量を検出しつつ所定(極めて微小な変位置)の位置に到達したところで駆動信号10aを停止する。
【0015】
前述の工程を連続的に繰り返し、徐々にコアシリンダ2の位置を変化させ、オペレータが位置検出信号9aを監視しつつ希望のコアシリンダ2の位置に到達したところで100%及び0%のストローク位置として位置検出信号9aを取り込み、指令信号Vcomを設定すれば、この指令信号Vcomを用いて、コアシリンダ2がシリンダエンドに衝突することなくシリンダエンドに対して隙間を形成した状態で、100%及び0%のストローク位置を任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による肉厚調整装置及び方法を示す構成図である。
【図2】図1の肉厚調整装置の制御方法を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0017】
1 クロスヘッド
2 コアシリンダ
3 コア
4 ダイ
5 ギャップ
6 パリソン
7 駆動装置
8 ストッパ
9 直線位置センサ
9a 位置検出信号
10 演算部
10a 駆動信号
Vcom 指令信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスヘッド(1)のコア(3)をコアシリンダ(2)の駆動により上下動させ、前記コア(3)とダイ(4)との間のギャップ(5)を調整してパリソン(6)の肉厚を制御する肉厚調整装置において、
前記コアシリンダ(2)の直線移動位置を直線位置センサ(9)で検出し、前記直線位置センサ(9)からの位置検出信号(9a)に基づいて前記コアシリンダ(2)の100%及び0%の位置を設定することを特徴とする肉厚調整装置。
【請求項2】
クロスヘッド(1)のコア(3)をコアシリンダ(2)の駆動により上下動させ、前記コア(3)とダイ(4)との間のギャップ(5)を調整してパリソン(6)の肉厚を制御する肉厚調整装置を用い、
前記コアシリンダ(2)の直線移動位置を直線位置センサ(9)で検出し、前記直線位置センサ(9)からの位置検出信号(9a)に基づいて前記コアシリンダ(2)の100%及び0%の位置を設定することを特徴とする肉厚調整方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−269252(P2009−269252A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120299(P2008−120299)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】