説明

肌カウンセリングツール

【課題】紫外線、気温等の気象条件の変化や、ホルモンバランス等の影響を考慮して、的確な肌カウンセリングを行うのに便利な肌カウンセリングツールを提供する。
【解決手段】肌状態測定装置を用いて顧客の肌を測定し、その結果にもとづき被測定者の肌に対しカウンセリングを行う際に用いられるツールであって、1年を、少なくとも6つの時期に区分し、各時期ごとに、その時期の1つ手前の時期における紫外線量、気温等の気象条件にもとづき提案される肌の手入れ項目を表示する「ケア強化年間プラン」の項目欄18と、上記肌状態測定装置による測定結果を記入するための「肌コンディション」の項目欄19と、その時期における顧客の卵胞期と黄体期を記入するための「ホルモンサイクル」の項目欄21と、上記第1、第2の記入欄に記入された情報およびその時期に提案される手入れ項目にもとづき顧客の肌の状態に対するアドバイス情報を記入するための「お手入れポイント」の項目欄24とが、互いに対応する配置で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品販売店の店員等が顧客に対して肌カウンセリングを行う際に用いる肌カウンセリングツールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧品販売では、専門の販売員やカウンセラーが、店頭あるいは訪問販売先で、顧客の肌の状態や要望を聞いたり、実際に顧客の肌に試供品を塗布したりしながら、その顧客に合った化粧品を選んで推奨したり、適切な肌の手入れ方法を指導したりする肌カウンセリングが行われている。
【0003】
上記肌カウンセリングでは、顧客個人の肌の状態を充分に把握することが必要であるが、その時期に肌が環境から受ける影響を考慮することも重要である。例えば、春から夏にかけては、紫外線対策が重要なポイントとなり、秋から冬にかけては、空気の乾燥に伴い、保湿対策が重要なポイントとなる。そこで、化粧品業界では、通常、6月頃および9月頃を、夏用化粧品と冬用化粧品の切り替え時期として、それぞれの時期に応じた化粧品シリーズを品揃えし、季節ごとのカウンセリングマニュアルを用意している。
【0004】
また、最近、肌の状態に対し、よりきめ細かく対応するために、3月、5月、8月〜10月を切り替え時期とすることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−143421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の対応では、顧客の肌に関するトラブルを充分に防ぎきることができず、季節と肌の関係は、それほど単純なものではないことがわかっている。そこで、経時的な気象条件の変化や、他の肌への影響因子を充分に考慮した上で、的確な肌カウンセリングを行うことが、強く望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、紫外線、気温等の気象条件の変化や、ホルモンバランス等の影響を考慮して、的確な肌カウンセリングを行うのに便利な、肌カウンセリングツールの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、測定部と測定データ処理部と測定結果表示部とを備えた肌状態測定装置を用いて顧客の肌を測定し、その結果にもとづき被測定者の肌に対しカウンセリングを行う際に用いられるツールであって、1年を少なくとも6つの時期に区分し、各時期ごとに、その時期の1つ手前の時期における紫外線量、気温等の気象条件にもとづき提案される肌の手入れ項目を表示する表示欄と、上記肌状態測定装置による測定結果を記入するための第1の記入欄と、その時期における顧客の卵胞期と黄体期を記入するための第2の記入欄と、上記第1、第2の記入欄に記入された情報およびその時期に提案される手入れ項目にもとづき顧客の肌の状態に対するアドバイス情報を記入するための第3の記入欄とが、互いに対応する配置で設けられている肌カウンセリングツールを第1の要旨とする。
【0008】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記肌状態測定装置による測定結果にもとづいて特定される顧客の肌タイプを記入する欄が設けられている肌カウンセリングツールを第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
すなわち、本発明の肌カウンセリングツールには、1年を少なくとも6つの時期に分割し、各時期ごとに、その時期の1つ手前の時期における気象条件にもとづいて提案される肌の手入れ項目と、肌状態測定装置による測定結果の記入欄と、顧客の卵胞期と黄体期の記入欄と、所定のアドバイス情報の記入欄とが、互いに対応する配置で設けられている。したがって、この肌カウンセリングツールによれば、その肌カウンセリングを行った時期に適した肌の手入れ方法と、実際の肌状態の測定結果と、測定時のホルモンバランス、という3つの情報を互いに対応させた上で、その顧客に最適な、肌の手入れについてのアドバイス情報を提供することができるようになっており、カウンセラーが使用しやすいものである。また、顧客にとっても、上記3つの情報と、最終的に受けたアドバイス情報が、一まとまりで見やすくなっているため、自宅等において肌の手入れを実行しやすい。そして、各時期ごとの肌に関する情報を互いに対応させた状態で把握できるため、その履歴情報を、次回の肌カウンセリングに役立てることができるという利点を有する。
【0010】
また、上記肌カウンセリングツールにおいて、特に、上記肌状態測定装置による測定結果にもとづいて特定される顧客の肌タイプを記入するための記入欄が設けられているものは、顧客の肌タイプに応じた手入れ方法を具体的にアドバイスしたり、肌タイプに応じたスキンケア化粧品を推奨したりするとができるため、よりきめ細かな肌カウンセリングを行うことができるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
まず、図1は、本発明の一実施の形態を示す肌診断カードである。このカードは、化粧品販売店等の店頭において、店員(美容カウンセラー等を含む)が顧客に対し、肌カウンセリングを行う際に用いられるもので、横長の長方形状の厚紙を左右方向に2つ折りした形状になっている。これを平たく展開した状態を図2に示す。1は折り目である。
【0013】
なお、上記肌カウンセリングには、店頭に設置される肌状態測定装置が用いられるようになっている。上記肌状態測定装置は、測定部と測定データ処理部と測定結果表示部とを備えており、肌コンディションを評価するために、皮脂量と水分量と皮膚温度とが測定できるようになっている。また、これらの測定結果から、顧客の肌のタイプが、乾燥肌(象徴記号「D」)、脂性肌(象徴記号「O」)、脂性乾燥肌(象徴記号「OD」)、普通肌(象徴記号「N」)のいずれであるかを特定することができるようになっている。さらに、顧客の肌および皮膚表面から採取した角質を撮像・表示して、肌のキメ、肌の色、透明感、表皮の力、真皮の力を評価することができるようになっている(例えば商品名:ビューティアナライザー21、カネボウ化粧品社製)。
【0014】
上記カードの表紙となる面2の上部には、「お肌の健康診断カード」という見出し3が表示されており、その下に設けられた楕円枠4の中に、「自分の美肌サイクルを知ってもっとキレイになっちゃおう!」というキャッチフレーズ5が表示されている。そして、その下に、横長の四角枠6が設けられており、枠内に、このカードを用いて肌のカウンセリングを受ける顧客の氏名を記入するようになっている。
【0015】
また、このカードの裏表紙となる面7の上部左側には、「あなたのホルモンサイクルは?」という小見出し8が表示されており、その下に、卵胞ホルモンの分泌量と黄体ホルモンの分泌量の1ヶ月の変化を模式的に示すグラフ図9が表示されている。この図9によれば、1ヶ月のホルモンサイクルには、生理期の他に、卵胞ホルモンの分泌が増加する「卵胞期」と、黄体ホルモンの分泌が増加する「黄体期」の2つがあることが一目でわかるようになっている。
【0016】
また、この面7の上部右側には、「気になる肌悩みは?」という小見出し10が表示されており、その下に、5つの四角枠11〜15が設けられ、それぞれの枠内に、肌悩みの種類と、その項目の肌の状態を調べるための測定項目とが表示されている。すなわち、第1の四角枠11には「乾燥・肌あれ キメ測定」と表示されており、第2の四角枠12には「くすみ 肌の色測定」と表示されており、第3の四角枠13には「シミ 透明感測定」と表示されている。そして、第4の四角枠14には「ハリ・弾力 真皮の力測定」と表示されており、第5の四角枠15には「化粧ののり 表皮の力測定」と表示されている。
【0017】
そして、この面7の左下の余白には、横長の四角枠16が設けられており、枠内に、このカードを用いて肌カウンセリングを行う店の店名を記入するようになっている。
【0018】
一方、図1に示す状態から表紙(面2)を開いて表われる見開き面(図2で示された状態の裏面)には、図3に示すように、1年を、「10・11月度」、「12・1月度」、「2・3月度」、「4・5月度」、「6・7月度」、「8・9月度」の6つの時期に分割した区分が左右方向に並ぶ、一覧表17が表示されている。
【0019】
上記一覧表17の左端の項目欄には、上から順に、「ケア強化年間プラン」と、「肌コンディション」と、「ホルモンサイクル」と、「お手入れポイント」の各項目が並んでいる。そして、上記「ケア強化年間プラン」の項目欄18の各月度に対応する欄には、その月度に重点的に行うべき肌の手入れが2種類ずつ表示されている。すなわち、10・11月度は、「保湿」と「角質改善」が重要であり、12・1月度は、「保湿」と「血行促進」が重要であり、2・3月度は、「UV予防」と「保湿」が重要であり、4・5月度は、「UV予防」と「洗顔」が重要であり、6・7月度は、「美白」と「洗顔」が重要であり、8・9月度は、「美白」と「角質改善」が重要であることがわかる。
【0020】
上記一覧表17の各月度ごとに表示された、重点的に行うべき肌への手入れの種類は、従来常識とされているスキンケアの考え方とは異なるもので、その時期の気象条件に対応するのではなく、その時期より一つ前の時期の気象条件に対応する手入れが提案されている。これは、各時期の、紫外線量や気温、湿度等の気象条件による肌への影響が、その気象条件にさらされた時期よりも1〜3ヶ月遅れて現れるという知見にもとづくもので、このことは、例えば図4、図5に示すデータで裏付けられている。
【0021】
まず、図4のグラフは、紫外線量(UV−A、UV−B:中波長紫外線)と、肌の明度の季節的な変化を示している。ただし、UV−Bの値は、実測値を10倍した値で表示することにより、グラフを見やすくしている。このグラフによれば、冬から春への変化(1〜3月)の間に、矢印Pで示すように、紫外線量は急増し、一方、肌の明度は、矢印Qで示すように、明るくなっている。常識的に考えれば、紫外線が増えると日焼けによって肌の明度は暗くなるはずである。また、夏から秋への変化(8〜9月)の間に、矢印Rで示すように、紫外線は最高値から激減し、一方、肌の明度は、矢印Sで示すように、殆ど横ばいに近く、急激に明るくなっているわけではない。このように、全体を対比してみると、紫外線の変化に対して、肌の明度が、その変化を後から追いかけるように、2〜3ヶ月遅れて変化していることがわかる。
【0022】
また、図5のグラフは、気温・相対湿度と肌の水分量の季節変化を示したもので、例えば、冬から春への変化(1〜3月)の間において、気温・相対湿度の最低値が、矢印T、Uで示すように、1月になっているのに対し、肌の水分量は、矢印Vで示すように、約1ヶ月遅れの2月が最低値を示している。
【0023】
そこで、この肌診断カードでは、肌に最も影響を与える「紫外線の強さ・量」と、「気温×湿度(湿潤指数)」の特徴をベースにして、前記6つの月度ごとに、重点的に行うべき肌の手入れの種類を前記のように特定し、提案するようにしたのである。
【0024】
また、前記一覧表17(図3に戻る)において、「肌コンディション」の項目欄19は、「皮脂量」、「水分量」、「皮フ温」、「肌タイプ」の4つの項目についての記入欄20に分かれており、各欄に、前記肌状態測定装置により測定して得られる測定結果を記入するようになっている。この記入内容によって、顧客の肌の状態を客観的に把握することができる。
【0025】
さらに、その下の「ホルモンサイクル」の項目欄21は、「卵胞期」と「黄体期」の2つの時期の記入欄22、23に分かれており、その月度ごとの卵胞期と黄体期が何日から何日になるかを記入するようになっている。この記入内容によって、この肌カウンセリングを行った日の肌が、ホルモンバランスの影響をどのように受けているかがわかる。
【0026】
そして、さらにその下の「お手入れポイント」の項目欄24には、その上の各項目欄20、22、23に記入された内容と、最上段の「ケア強化年間プラン」の項目欄18に表示された、その月度に重点的に行うべき肌の手入れの種類とを踏まえて、美容カウンセラーが、その月度における最適なお手入れのポイントを記入するようになっている。なお、各月度における最適なお手入れのポイントを記入するに際しては、上記「ケア強化年間プラン」に関し、別途まとめられた、各月度の肌の状態を説明する資料を参照することが好ましい。上記資料の説明文は以下のとおりである。
【0027】
〔10・11月度〕
紫外線、気温・湿度は共に、前の時期から減少しているが、この時期はさらに減少する方向にある。肌の色は徐々に明るくなるが、前の時期からの角質肥厚はなお残るため、温度・湿度の低下に伴う肌の乾燥に拍車をかける。したがって、この時期のケアの強化ポイントは、化粧水や乳液等で保湿成分を補強するというベーシックな保湿ケアを徹底することである。また、これに併せて角質ケアを行うことが好ましい。
【0028】
〔12・1月度〕
紫外線が最も少なく、気温が最も下がる時期であり、太平洋側を中心に、湿度の低下も起こる時期である。肌の色はさらに明るくなる傾向があるが、この時期のケア強化ポイントは、血行不足、代謝の低下による乾燥・肌荒れを予防するため、マッサージを行うことである。また、マッサージだけでなく、全身を暖める入浴やパックを併せて行うことにより、体全体の血行・代謝を促進し、内部からの保湿ケアを加えることも重要である。
【0029】
〔2・3月度〕
冬の代謝低下の後遺症で、乾燥・肌荒れが進む時期であることから、パックやマスク等、肌をいたわりながらの保湿が、この時期のケアの強化ポイントである。また、最も紫外線の少ない真冬を経て、この時期、紫外線が増加し、気温や湿度も徐々に増加するが、肌の方は、冬の影響で、肌がまだ明るい色である。つまり、紫外線が増える時期に、肌は逆にメラニンの少ない無防備な状態である。にもかかわらず、人は、日差しを求めて、花見等に出かける機会が多くなるため、紫外線予防のケアも重要である。
【0030】
〔4・5月度〕
一年中で最も紫外線が急増する時期であり、気温も急上昇する。肌の色は漸く暗くなる方向に転じるが、紫外線の急増にはついていけない。また、野山に出かけたりアウトドアで楽しむ機会がますます多くなるため、前の月度と同様、紫外線予防のケアがポイントである。また、ほこりや花粉が多い時期で、気温の上昇に伴い皮脂分泌が活発化し、肌が汚れやすくなるため、念入りに洗顔を行うことも重要である。
【0031】
〔6・7月度〕
一年中で最も紫外線が強い時期である。春からの紫外線で肌の色はさらに暗くなり、紫外線に対する抵抗力が高まっているが、そのことは、メラニンが多いということでもあり、しみ・そばかすの原因にもなる。また、サンバーンを起こすUV−B(中波長紫外線)も多くなるので、紫外線防御に力を入れつつ、メラニンの生成を抑制する美白ケアがポイントである。また、気温や湿度も最高になり、肌が脂っぽく、常時汗ばんで汚れやすくなり、かぶれを起こしたり、化粧崩れも本格化する。したがって、洗顔回数を増やす等して、肌を清潔に保つことも重要である。
【0032】
〔8・9月度〕
春以降多かった紫外線が漸く減少に転じ、気温や湿度も徐々に低下し始める。環境的には穏やかな方向に向かうが、肌には春から夏の紫外線ダメージが強く現れてくる時期であり、肌の色は1年中で最も暗くなり、肌へのメラニンの沈着が多いため、角質肥厚が最も進んだ状態になる。この時期のケアのポイントは、つぎの変化への予防というより、それまでの紫外線ダメージを効果的に回復することである。したがって、ケアの強化ポイントは、肌に沈着したメラニンの排泄を促進するために角質肥厚を解消することである。
【0033】
上記肌診断カードを用い、例えばつぎのようにして顧客の肌カウンセリングを行うことができる。すなわち、まず、顧客の肌の状態を客観的に把握するために、前記肌状態測定装置を用いて、顧客の肌の皮脂量と水分量と皮膚温度を測定する。また、肌タイプを特定する。そして、上記肌診断カードの一覧表17を開き、それらの結果を、肌コンディションの記入欄20に記入して、顧客の肌の状態を客観的に評価する。
【0034】
つぎに、上記一覧表17の最上段の、「ケア強化年間プラン」の項目欄18を示しながら、肌が季節を後追いし、実際の時期より一つ前の気象条件の影響を受けるため、それに対応した肌の手入れを重点的に行う必要性を説明する。また、顧客の生理時期を聞き、生理が終わってから排卵日までの約10日間を「卵胞期」として記入欄22に記入し、生理前の約2週間を「黄体期」として記入欄23に記入する。
【0035】
そして、上記肌コンディションの記入欄20に記入された情報と、上記その時期に重点的に行うべき肌の手入れ情報と、この肌カウンセリングを行った時期が「卵胞期」であるか「黄体期」であるかの情報を組み合わせ、顧客の肌に最も適した肌の手入れ方法をアドバイスする。これを簡潔にまとめて、一覧表17の「お手入れポイント」の項目欄24に記入し、顧客に、それを実行するよう推奨する。また、その際、その手入れに好適なサンプルを手渡すようにしてもよい。
【0036】
そして最後に、肌をよい状態に保つには、1年6季(2ヶ月に1回)の肌カウンセリングが大切であることを再度説明し、できれば約2ヶ月後に再び肌カウンセリングを行う約束を取り付けて、この一連の肌カウンセリングを終了する。なお、肌診断カードは、顧客に手渡して、肌カウンセリングを受けるための来店の都度、持参してもらうようにすることが好適である。
【0037】
このように、上記肌診断カードを用いた肌カウンセリングによれば、その肌カウンセリングを行った時期に適した肌の手入れ方法と、実際の肌状態の測定結果と、測定時のホルモンバランス、という3つの情報を互いに対応させた上で、その顧客に最適な、肌の手入れについてのアドバイス情報を提供することができるようになっているため、店員等のカウンセラーが使用しやすい。また、顧客にとっても、上記3つの情報と、最終的に受けたアドバイス情報が、一まとまりで見やすくなっているため、自宅等において肌の手入れを実行しやすい。そして、各時期ごとの肌に関する情報を互いに対応させた状態で把握できるため、その履歴情報を、次回の肌カウンセリングに役立てることができるという利点を有する。
【0038】
しかも、上記肌状態測定装置による測定結果にもとづいて顧客の肌タイプを特定し、記入するようになっているため、顧客の肌タイプに応じた手入れ方法を具体的にアドバイスしたり、肌タイプに応じたスキンケア化粧品を推奨したりするとができるため、よりきめ細かな肌カウンセリングを行うことができるという利点を有する。
【0039】
なお、上記肌カウンセリングにおいて、顧客から、気になる肌悩みがあるという相談を受けた場合、あるいは顧客がさらに詳しいカウンセリングを望むような場合等には、上記肌診断カードの裏表紙となる面7(図2に戻る)において、「気になる肌悩みは?」の小見出し10の下の部分を顧客に提示し、顧客の肌悩みを特定した上で、該当する項目について、前記肌状態測定装置を用いることにより、その肌悩みの原因となる肌の状態を測定し、その状態にあった肌の手入れ方法をアドバイスすることができる。例えば、肌がくすんでいるという悩みをもっている顧客に対しては、「肌の色」を測定し、その肌の色を補うような下地料、補正料、ファンデーションの使用を提案して推奨することができる。
【0040】
また、図6に、他の実施の形態である肌診断カードを示す。この肌診断カードも、常態では図1の肌診断カードと同様、2つ折りされているが、この図は平たく展開した状態を示している。この肌診断カードは、前記の例とは異なり、水分量のみ測定できる、簡易型の肌状態測定装置(例えば商品名:うるおいチェッカー、カネボウ化粧品社製)による肌カウンセリングを行う際に用いられるものであるが、カードの表紙となる面30と、裏表紙となる面31の左半分の構成は、前記の例と同様であり、同一部分に同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
そして、このカードの裏表紙となる面31の右側には、「肌悩みで困ったら…まずは水分チェック!」というキャッチフレーズ32と、「あなたの肌タイプは?」という小見出し33が表示されている。そして、その下に、長方形を4つに区分して4つの肌タイプが一目でわかるよう構成されたグラフ図34が表示されている。すなわち、上記4つの区分には、それぞれ、乾燥肌(象徴記号「D」)、脂性肌(象徴記号「O」)、脂性乾燥肌(象徴記号「OD」)、普通肌(象徴記号「N」)の4つの肌タイプが示されている。
【0042】
一方、上記表紙および裏表紙の裏面(表紙を開いて表われる見開き面)には、図7に示すように、前記の例と同様、1年を、「10・11月度」、「12・1月度」、「2・3月度」、「4・5月度」、「6・7月度」、「8・9月度」の6つの時期に分割した区分が、左右方向に並ぶ一覧表37が表示されている。
【0043】
上記一覧表37の左端の項目欄も、各月度ごとに表示された、重点的に行うべき肌への手入れの種類も、図3に示す前記の例と同様である。ただし、上記一覧表37において、「肌コンディション」の項目欄39は、「水分量」についての記入欄40のみであり、この欄に、前記肌状態測定装置によって測定される水分量の測定結果を記入するようになっている。この記入内容によって、顧客の肌の状態をある程度客観的に把握することができる。
【0044】
さらに、その下の「ホルモンサイクル」の項目欄41は、前記の例と同様、「卵胞期」と「黄体期」の2つの時期の記入欄42、43に分かれており、その月度ごとの卵胞期と黄体期が何日から何日になるかを記入するようになっている。この記入内容によって、この肌カウンセリングを行った日の肌が、ホルモンバランスの影響をどのように受けているかがわかる。
【0045】
そして、さらにその下の「お手入れポイント」の項目欄44には、その上の各項目欄40、42、43に記入された内容と、最上段の「ケア強化年間プラン」の項目欄38に表示された、その月度に重点的に行うべき肌の手入れの種類とを踏まえて、美容カウンセラーが、その月度における最適なお手入れのポイントを記入するようになっている。なお、各月度における最適なお手入れのポイントを記入するに際しては、前記の例と同様、別途まとめられた、各月度の肌の状態を説明する資料(前述)を参照することが好ましい。
【0046】
上記肌診断カードを用い、前記の例と同様にして、顧客の肌カウンセリングを行うことができる。ただし、この例では、水分量のみを測定するようになっており、肌状態測定装置によって肌タイプの特定はできない。したがって、この場合は、裏表紙の面31(図6参照)を顧客に提示し、水分量の測定結果と、皮脂分泌に関する問診・見診の結果を組み合わせて、店員が肌タイプを特定し、グラフ図34の該当する肌タイプに印を付けるようにする。これにより、この例においても、前記の例と同様の効果を奏することができる。
【0047】
なお、本発明の肌カウンセリングツールは、上記の例のように、カードの形態にする以外に、リーフレット、冊子、あるいはパーソナルコンピュータ等の情報処理手段によって管理され必要に応じて画面上に情報を提示できるように設定されたツール等、適宜の形態をとることができる。また、肌状態測定装置に内蔵された情報処理手段によって管理され、この装置の表示部に情報が提示されるようになっているものであっても差し支えない。
【0048】
また、本発明に用いられる肌状態測定装置は、測定部と測定データ処理部と測定結果表示部を備えたものであれば、特に限定するものではなく、簡易なものから高度なものまで、どのようなものを用いてもよい。その測定機能に応じて、肌カウンセリングツールの測定結果記入欄は、適宜の構成に設定される。
【0049】
さらに、上記の例では、肌の手入れポイントを特定するために、1年を6つの季節に区分して一覧表17、37としてまとめたが、1年を、必ずしも6つに分割する必要はなく、例えば、2月〜3月前半、3月後半〜4月、というように区分して、1年を8つの時期に分割してもよいし、さらにきめ細かくするのであれば、各月ごとに分割してもよい。また、上記の例と同様、一年を6分割するものであっても、1・2月度、3・4月度、というように、区分する月が異なるように設定してもよい。しかし、いずれの場合も、その分割された時期ごとに、その時期よりも1〜3ヶ月前の気象条件に対応した肌の手入れを提示することが重要である。
【0050】
また、分割された各時期ごとに提示される、1〜3ヶ月前の気象条件を想定した肌の手入れポイントは、好適な例としてあげているにすぎず、地域特性や顧客層の年代等によって、ポイントとなる手入れの種類を、適宜に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例である肌診断カードを示す斜視図である。
【図2】上記実施例の表紙および裏表紙を示す展開図である。
【図3】上記実施例の見開き面を示す展開図である。
【図4】紫外線量と肌の明度の季節的変化を示すグラフ図である。
【図5】気温・湿度と肌の水分量の季節的変化を示すグラフ図である。
【図6】本発明の他の実施例の表紙および裏表紙を示す展開図である。
【図7】上記他の実施例の見開き面を示す展開図である。
【符号の説明】
【0052】
18 「ケア強化年間プラン」の項目欄
19 「肌コンディション」の項目欄
21 「ホルモンサイクル」の項目欄
24 「お手入れポイント」の項目欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部と測定データ処理部と測定結果表示部とを備えた肌状態測定装置を用いて顧客の肌を測定し、その結果にもとづき被測定者の肌に対しカウンセリングを行う際に用いられるツールであって、1年を少なくとも6つの時期に区分し、各時期ごとに、その時期の1つ手前の時期における紫外線量、気温等の気象条件にもとづき提案される肌の手入れ項目を表示する表示欄と、上記肌状態測定装置による測定結果を記入するための第1の記入欄と、その時期における顧客の卵胞期と黄体期を記入するための第2の記入欄と、上記第1、第2の記入欄に記入された情報およびその時期に提案される手入れ項目にもとづき顧客の肌の状態に対するアドバイス情報を記入するための第3の記入欄とが、互いに対応する配置で設けられていることを特徴とする肌カウンセリングツール。
【請求項2】
上記肌状態測定装置による測定結果にもとづいて特定される顧客の肌タイプを記入する欄が設けられている請求項1記載の肌カウンセリングツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−103051(P2006−103051A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290345(P2004−290345)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(504180206)株式会社カネボウ化粧品 (125)
【Fターム(参考)】