説明

肌観察装置

【課題】面倒なボタン操作を行うことなく1アクションで皮膚表面照明系及び皮下照明系の光源を個別に点灯して各画像を連続的に撮像できるようにする。
【解決手段】各照明系(5P,5S)の点灯タイミングと撮像素子(7)による画像取込タイミングをコントロールする制御装置に、皮膚表面照明系(5P)で照明する皮膚表面照明モード(M)と、皮下照明系(5S)で照明する皮下照明モード(M)の少なくとも二つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段と、所定のトリガー信号が発せられたときに照明モード切換手段により照明モードを切り換えながら、各照明モード(M2、M3)の静止画像を連続的に取り込む静止画像連続取込手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物となる肌に当接させた観察孔を通して、肌を拡大して撮像する肌観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肌観察装置は、コスメティックサロン(化粧品店)などで顧客の肌に応じた最適なスキンケア製品を販売する販促ツールとして用いられている。
従来の肌観察装置は、一般に、先端に観察孔が形成されたドーム状の観察ヘッドを備えており、この観察ヘッドを頬、こめかみ、眼の下など肌を観察しようとする任意の部位に当てることにより、顧客の肌の様子を拡大観察するものである。
【0003】
この場合に、皮膚表面で反射された表面反射光には肌あれや肌理(キメ)などの皮膚の表面状態の情報が含まれ、皮膚の内部で散乱された内面反射光にはシミ・クスミなどの肌の内部状態の情報が含まれている。
【0004】
このため、従来の肌観察装置は、観察ヘッドに形成された観察孔に対して照明光を照射する光源を備えた照明系と、被観察物からの反射光画像を取り込む撮像素子を備えた撮像光学系を備えている(特許文献1参照)。
そして、照明系は、光源から照射された光を非偏光状態のまま照射する皮膚表面照明系と、光源から照射された光を偏光子により直線偏光状態にして照射する皮下観察照明系の二つの照明系を備え、撮像光学系には皮下観察照明系の偏光子に対して直交ニコルに配された検光子が配されている。
【0005】
これによれば、いずれの光源から照射された光も皮膚表面及び皮下で反射され、皮膚表面で反射される場合は偏光状態が維持され、皮下で反射される光は散乱して偏光状態が変化する。
そして、皮膚表面照明系の光源から照射された光は皮膚表面及び皮下で反射され、非偏光状態のまま検光子を透過して撮像そしに達するが、皮下反射光に比して皮膚表面反射光の強度が圧倒的に大きいので、撮像素子では、皮膚表面からの反射光による画像が撮像され、主として肌あれや肌理(キメ)などの皮膚表面状態が映し出される。
一方、皮下照明系の光源から照射された光は、直線偏光化されて皮膚に照射されるので、偏光状態が維持されている皮膚表面からの反射光は直交ニコルの関係にある検光子で遮断され、偏光状態が変化した皮下からの反射光のみが検光子を通過して撮像されるので、その画像には主としてシミ・クスミなどの肌の内部状態が映し出される。
【0006】
ところで、このようにして皮膚表面の静止画像と、皮下の静止画像を撮像する場合に、従来はまず、皮膚表面照明系の点灯スイッチをONした状態でモニタ画像を見ながら構図が決まったところでシャッターボタンを押すことにより皮膚表面静止画像を取り込み、次いで、皮膚表面照明系を消灯させ、皮下照明系の点灯スイッチをONした状態でモニタ画像を見ながら構図が決まったところで再度シャッターボタンを押すことにより皮下静止画像を取り込まなければならず、操作が煩雑になる。
【0007】
すなわち、従来は、一枚の画像を取り込むたびに、光源の点灯スイッチをONさせて撮像素子から出力される画像を見ながら構図を決めた後、シャッターボタンを押すという少なくとも2アクションの操作を要するのが一般的であった。
このため、ボタン操作を繰り返す間に肌に当てている肌観察装置が動いてしまうおそれがあり、例えば皮膚表面静止画像と皮下静止画像を対比して説明する必要を生じても、撮像位置が異なるため画像同士を対比できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3980722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、面倒なボタン操作を行うことなく1アクションで皮膚表面照明系及び皮下照明系を個別に点灯して各画像を連続的に撮像できるようにすることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、本発明は、観察対象となる肌に当接させる観察ヘッドに観察孔が形成され、前記観察ヘッドの内側に、観察孔に対して照明光を照射する光源を備えた照明系と、被観察物からの反射光画像を取り込む撮像素子を備えた撮像光学系が配され、前記照明系の光源の点灯タイミングと撮像素子による画像取込タイミングをコントロールする制御装置を備えた肌観察装置において、前記照明系には、光源から照射された光を非偏光状態のまま照射する皮膚表面照明系と、光源から照射された光を偏光子により直線偏光状態にして照射する皮下観察照明系とを備え、前記撮像光学系には皮下観察照明系の偏光子に対して直交ニコルに配された検光子が配され、前記制御装置は、少なくとも、皮膚表面照明系の光源のみを点灯させる皮膚表面照明モード及び皮下照明系の光源のみを点灯させる皮下照明モードの二つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段と、所定のトリガー信号が発せられたときに前記照明モード切換手段により照明モードを切り換えながら、各照明モードの静止画像を連続的に取り込む静止画像連続取込手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、観察ヘッドを皮膚に当接させた状態で、所定のスイッチを押すことによりトリガー信号を出力させると、照明順序設定手段に設定された点灯順序で、例えば、皮膚表面照明系及び皮下照明系の光源を同時に点灯させるプレビュー照明モードと、皮膚表面照明系の光源のみを点灯させる皮膚表面照明モードと、皮下照明系の光源のみを点灯させる皮下照明モードで順に照明される。
このとき、静止画像連続取込手段により、各照明モードで静止画像の取り込みが終了すると、次の照明モードに切り替えられて再び静止画像が取り込まれる。
すなわち、トリガー信号を出力させるスイッチを押す1アクションで夫々の照明モードにおける静止画像が連続して取り込まれるので、撮像中にボタン操作を行うことにより照明ヘッドが動くおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る肌観察装置の一例を示す説明図。
【図2】光源の配列状態を示す説明図。
【図3】各照明モードを示す説明図。
【図4】画像処理手順を示すフローチャート。
【図5】他の実施形態を示すフローチャート。
【図6】さらに他の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本例の肌観察装置は、面倒なボタン操作を行うことなく1アクションで皮膚表面照明系及び皮下照明系を個別に順次点灯して各画像を連続的に撮像できるようにするという目的を達成するために、観察対象となる肌に当接させる観察ヘッドに観察孔が形成され、前記観察ヘッドの内側に、観察孔に対して照明光を照射する光源を備えた照明系と、被観察物からの反射光画像を取り込む撮像素子を備えた撮像光学系が配され、前記照明系の光源の点灯タイミングと撮像素子による画像取込タイミングをコントロールする制御装置を備えた肌観察装置において、前記照明系には、光源から照射された光を非偏光状態のまま照射する皮膚表面照明系と、光源から照射された光を偏光子により直線偏光状態にして照射する皮下観察照明系とを備え、前記撮像光学系には皮下観察照明系の偏光子に対して直交ニコルに配された検光子が配され、前記制御装置は、少なくとも、皮膚表面照明系の光源のみを点灯させる皮膚表面照明モード及び皮下照明系の光源のみを点灯させる皮下照明モードの二つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段と、所定のトリガー信号が発せられたときに前記照明モード切換手段により照明モードを切り換えながら、各照明モードの静止画像を連続的に取り込む静止画像連続取込手段を備えた。
【実施例1】
【0014】
図1に示す肌観察装置1は、観察対象となる肌に当接させる観察ヘッド2に観察孔3が形成され、前記観察ヘッド2の内側に、観察孔3に対して照明光を照射する光源4P、4Sを備えた照明系5と、被観察物からの反射光画像を取り込む撮像素子7を備えた撮像光学系8が配されている。
照明系5は、光源4Pから照射された光を非偏光状態のまま照射する皮膚表面照明系5Pと、光源4Sから照射された光を偏光子6Sにより直線偏光状態にして照射する皮下観察照明系5Sの2系統を備え、偏光子6Sは光源4Sから観察孔3に至る照明光路L上に配されている。
【0015】
撮像光学系8は、観察孔3から撮像素子7に至る撮像光軸X上に、皮下観察照明系5Sの偏光子6Sに対して直交ニコルに配された検光子6A及び結像レンズ9が配されると共に、前記撮像素子7としてCCD又はC−MOSなどの固体撮像素子が配されている。
そして、図2に示すように、撮像光軸Xを中心に、前記各光源4P、4SとなるLEDなどの発光素子が環状に配された構成となっている
【0016】
また、肌観察装置1のケーシング1C内に配された制御装置10に、照明系5の各光源4P、4Sと、撮像光学系8の撮像素子7が接続され、当該制御装置10により各光源4P、4Sの点灯タイミングと撮像素子7による画像取込タイミングがコントロールされると共に、制御装置の出力がディスプレイ11に接続されて、撮像素子7により撮像されている画像がリアルタイムでディスイプレイ11に映し出されるようになっている。
【0017】
制御装置10は、プレビュー照明モードM、皮膚表面照明モードM及び皮下照明モードMの三つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段12と、所定のトリガー信号が発せられたときに前記照明モード切換手段12により照明モードを切り換えながら、各照明モードの静止画像を連続的に取り込む静止画像連続取込手段13を備えている。
【0018】
プレビュー照明モードMでは、図3(a)に示すように、各照明系5P及び5Sの光源4P及び4Sが同時に点灯されるので、主として皮膚表面の起伏や細かな皺が強調される皮膚表面画像と、主として皮膚色のベースとなる皮下静止画像を重畳した画像が観察される。
この場合、双方の光源4P及び4Sから光が照射されるので、最も明るい画像が得られ、太陽光(自然光)で観察した状態に近い画像が得られる。また、最終的に検光子6Aを透過して撮像素子8に達するので、皮膚表面で生ずるギラつきやハレーションが観察されることもない。
【0019】
皮膚表面照明モードMでは、図3(b)に示すように皮膚表面照明系5Pの光源4Pのみが点灯され、その光は、偏光子を透過せず非偏光状態のまま肌に照射されるので、皮膚表面からの反射光は非偏光状態のまま検光子6Aを透過して撮像素子に達する。
その結果、主として皮膚表面の起伏や細かな皺が強調され、皮下の色素情報が消失された皮膚表面画像が観察されることとなる。
【0020】
さらに、皮下照明モードMでは、図3(c)に示すように皮下照明系5Sの光源4Sのみが点灯され、検光子6Aに対して直交ニコルの偏光子6Sを透過して肌に照射されるので、偏光状態が維持されている皮膚表面からの反射光は検光子6Aで遮断され、偏光状態が変化した皮下からの反射光のみが検光子6Aを透過する。
その結果、主として皮下の色素情報のみが強調され、皮膚表面の起伏や細かな皺などの表面情報が消失された皮下画像が観察され、皮膚表面に現れるシミやクスミはもちろんのこと、皮膚表面に現れない色素沈着まで映し出される。
【0021】
図4は制御装置10による制御手順を示すフローチャートである。
メインスイッチ(図示せず)がオンされると処理が実行開始され、まずステップSTP1でプレビュー照明モードMに設定されると、各照明系5P及び5Sの光源4P及び4Sが同時に点灯され、ステップSTP2で撮像光学系8がオンされて撮像素子7から出力された動画像がディスプレイ11に映し出される。
この状態で、肌観察装置1の観察ヘッド2を顧客の肌に当てれば、双方の光源4P及び4Sから光が照射されるので、最も明るい画像が映し出され、太陽光(自然光)で観察した場合に近い画像が得られる。
【0022】
そして、ステップSTP3で静止画の取込を開始するスタートスイッチ(図示せず)が押されるまでの間、観察ヘッド2を動かしながら構図を決定する。
スタートスイッチが押されるとステップSTP4ヘ移行し、まず、プレビュー照明モードMによるプレビュー静止画像が撮像され、メモリ14のプレビュー画像記録領域Rに記録される。
【0023】
次いで、ステップSTP5で皮膚表面照明モードMに切り換えられ、皮膚表面照明系5Pの光源4Pが点灯されたまま皮下照明系5Sの光源4Sが消灯され、ステップSTP6で皮膚表面静止画像が撮像され、メモリ14の皮膚表面静止画像記録領域Rに記録される。
【0024】
さらに、ステップSTP7で皮下照明モードMに切り換えられて、皮膚表面照明系5Pの光源4Pが消灯されて皮下照明系5Sの光源4Sが再点灯され、ステップSTP8で皮下静止画像が撮像され、メモリ14の皮下静止画像記録領域Rに記録される。
そして、ステップSTP9でメインスイッチがオフされれば処理を終了し、オフされなければステップSTP1に戻る。
【0025】
ここで、ステップSTP1、ステップSTP5、ステップSTP7の処理が照明モード切換手段12であり、ステップSTP4、テップSTP6、ステップSTP8の処理が静止連続撮像手段13、ステップSTP2の処理が動画出力手段である。
【0026】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
肌観察装置1のメインスイッチを押して、観察ヘッド2の観察孔3を顧客の肌などに当て、肌の拡大画像をディスプレイに映し出し、これを見ながら撮像する部分を探し出して構図を決め、スタートスイッチを押せば、プレビュー照明モードMによるプレビュー静止画像と、皮膚表面照明モードMによる皮膚表面静止画像と、皮下照明モードMによる皮下静止画像が連続的に撮像される。
【0027】
この間、何らの操作を必要とせず、また、自動的に照明を切り換えることにより短時間で連続画像取込が可能となるので、同一撮像箇所に肌観察装置を当てた状態で照明モードの異なる複数の静止画像を取り込むことができ、各画像を対比する場合などに極めて好都合である。
【実施例2】
【0028】
上述の説明では、プレビュー照明モードM、皮膚表面照明モードM及び皮下照明モードMの三種類の照明モードをこの順で点灯させる一つの照明コースで静止画像を撮像する場合について説明したが、この照明コースの他に、任意の2種類の照明モードの点灯順序を設定した照明コースを登録し、照明コースを随時選択できるようにしても良い。
【0029】
この場合、照明モード切換手段12に、例えば、プレビュー照明モードM、皮膚表面照明モードM及び皮下照明モードMの三種類の照明モードをこの順で点灯させる照明コースCと、プレビュー照明モードM及び皮膚表面照明モードMをこの順で点灯させる照明コースCと、プレビュー照明モードM及び皮下照明モードMをこの順で点灯させる照明コースCが登録されている。
そして、予め、どの照明コースC〜Cで画像を取り込むかを所定のスイッチ(図示せず)により選定して置く。
【0030】
図5はその処理手順を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートと重複するステップは同一符号を付して詳細説明を省略する。
ステップSTP3でスタートボタンが押されると、ステップSTP3Aで照明コースが読み出される。
このとき、照明コースCが選定されていれば、実施例1と同様、ステップSTP4〜ステップSTP9の処理が行われ、プレビュー照明モードM、皮膚表面照明モードM及び皮下照明モードMの三種類の照明モードにおける静止画が取り込まれる。
【0031】
照明コースCが選定されていれば、ステップSTP10〜ステップSTP12で、プレビュー照明モードM及び皮膚表面照明モードMの二種類の照明モードにおける静止画が取り込まれる。
【0032】
具体的には、ステップSTP10ヘ移行し、まず、プレビュー照明モードMによるプレビュー静止画像が撮像され、メモリ14のプレビュー画像記録領域Rに記録される。
次いで、ステップSTP11で皮膚表面照明モードMに切り換えられ、皮膚表面照明系5Pの光源4Pが点灯されたまま、皮下照明系5Sの光源4Sが消灯され、ステップSTP12で皮膚表面静止画像が撮像され、メモリ14の皮膚表面静止画像記録領域Rに記録される。
【0033】
照明コースCが選定されていれば、ステップSTP13〜ステップSTP15で、プレビュー照明モードM及び皮下照明モードMの二種類の照明モードにおける静止画が取り込まれる。
具体的には、ステップSTP13ヘ移行し、まず、プレビュー照明モードMによるプレビュー静止画像が撮像され、メモリ14のプレビュー画像記録領域Rに記録される。
次いで、ステップSTP14で皮下照明系5Sの光源4Sが点灯されたまま、皮膚表面照明系5Pの光源4Pが消灯され、皮下照明モードMに切り換えられて、ステップSTP15で皮下静止画像が撮像され、メモリ14の皮下静止画像記録領域Rに記録される。
【0034】
本例においては、ステップSTP1、5、7、11、14の処理が照明モード切換手段12であり、ステップSTP4、6、8、10、12、13、15の処理が静止連続撮像手段13、ステップSTP2の処理が動画出力手段である。
また、本例においては、いずれの照明コースC〜Cが選択されても、スタートスイッチを押すだけで、夫々の照明モード下における静止画像を連続的に撮像できる。
【実施例3】
【0035】
実施例1及び2はいずれも、プレビュー照明モードM、皮膚表面照明モードM及び皮下照明モードMの三種類の照明モードを用いる場合であるが、本例では、皮膚表面照明系5P及び皮下照明系5Sを同時点灯することなく、皮膚表面照明系5Pを点灯させることにより皮膚表面照明モードMとプレビュー照明モードMを兼用させている。
【0036】
図6はその処理手順を示すフローチャートである。
本例では、メインスイッチ(図示せず)がオンされると処理が実行開始され、まずステップSTP21で皮膚表面照明モードMに設定されると、皮膚表面照明系5Pの光源4Pのみが点灯され、ステップSTP22で撮像光学系8がオンされて撮像素子7から出力された動画像がディスプレイ11に映し出される。
【0037】
そして、ステップSTP23で静止画の取込を開始するスタートスイッチ(図示せず)が押されるまでの間、観察ヘッド2を動かしながら構図を決定する。
スタートスイッチが押されるとステップSTP24ヘ移行し、まず、皮膚表面照明モードMによる皮膚表面静止画像が撮像され、メモリ14の画像記録領域Rに記録される。
【0038】
次いで、ステップSTP25で皮下照明モードMに切り換えられて、皮膚表面照明系5Pの光源4Pが消灯されて皮下照明系5Sの光源4Sが点灯され、ステップSTP26で皮下静止画像が撮像され、メモリ14の皮下静止画像記録領域Rに記録される。
そして、ステップSTP27でメインスイッチがオフされれば処理を終了し、オフされなければステップSTP21に戻る。
【0039】
これによれば、肌観察装置1のメインスイッチを押して、観察ヘッド2の観察孔3を顧客の肌などに当て、肌の拡大画像をディスプレイに映し出し、これを見ながら撮像する部分を探し出して構図を決め、スタートスイッチを押せば、皮膚表面照明モードMによる皮膚表面静止画像と、皮下照明モードMによる皮下静止画像が連続的に撮像される。
【0040】
この間、何らの操作を必要とせず、また、自動的に照明を切り換えることにより短時間で連続画像取込が可能となるので、同一撮像箇所に肌観察装置を当てた状態で照明モードの異なる複数の静止画像を取り込むことができ、各画像を対比する場合などに極めて好都合である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上述べたように、本発明は、肌を拡大して観察する際に、複数の照明モードの夫々の静止画像を連続的に撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 肌観察装置
2 観察ヘッド
3 観察孔
4P 光源
4S 光源
5P 皮膚表面照明系
5S 皮下照明系
5 照明系
6A 検光子
6P 偏光子
6S 偏光子
7 撮像素子
8 撮像光学系
L 照明光路
X 撮像光軸
10 制御装置
プレビュー照明モード
皮膚表面照明モード
皮下照明モード
12 照明モード切換手段
13 静止画像連続取込手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象となる肌に当接させる観察ヘッドに観察孔が形成され、前記観察ヘッドの内側に、観察孔に対して照明光を照射する光源を備えた照明系と、被観察物からの反射光画像を取り込む撮像素子を備えた撮像光学系が配され、前記照明系の光源の点灯タイミングと撮像素子による画像取込タイミングをコントロールする制御装置を備えた肌観察装置において、
前記照明系には、光源から照射された光を非偏光状態のまま照射する皮膚表面照明系と、光源から照射された光を偏光子により直線偏光状態にして照射する皮下観察照明系とを備え、前記撮像光学系には皮下観察照明系の偏光子に対して直交ニコルに配された検光子が配され、
前記制御装置は、少なくとも、皮膚表面照明系の光源のみを点灯させる皮膚表面照明モード及び皮下照明系の光源のみを点灯させる皮下照明モードの二つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段と、所定のトリガー信号が発せられたときに前記照明モード切換手段により照明モードを切り換えながら、各照明モードの静止画像を連続的に取り込む静止画像連続取込手段を備えたことを特徴とする肌観察装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記各照明モードと、皮膚表面照明系及び皮下照明系の光源を同時に点灯させるプレビュー照明モードの三つの照明モードを予め設定した順序で切り換える照明モード切換手段を備えた請求項1記載の肌観察装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記静止画像連続取込手段を起動させるトリガー信号が発せられる前に、プレビュー照明モードの照明下で前記撮像素子により撮像された動画像を出力させる動画出力手段を備えた請求項2記載の肌観察装置。
【請求項4】
前記照明モード切換手段に、プレビュー照明モード、皮膚表面照明モード及び皮下照明モードの三種類の照明モードの点灯順序を設定した照明コースの他に、任意の2種類の照明モードの点灯順序を設定した照明コースが登録され、
前記制御装置は、当該照明順序設定手段に登録された複数種類の照明コースから所望の照明コースを選択する照明コース選択手段を備えた請求項2又は3記載の肌観察装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−215511(P2011−215511A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85743(P2010−85743)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【Fターム(参考)】