肛門直腸を検査する方法および装置
肛門直腸プローブシステムは、患者の直腸内に挿入される挿入端部を含み、挿入端部にまたはこれに隣接して配置された超音波データを収集する超音波トランスデューサを有する肛門直腸プローブアセンブリと、挿入端部より遠位側の所定のポイントにて、プローブアセンブリを回転式に係合した実装部とを備え、実装部は、挿入端部と回転係合ポイントの中間ポイントにて、プローブアセンブリとピボット回転式に連結され、ピボット連結部の周りに所定のモーメントを与えたとき、実装部とプローブアセンブリは、プローブアセンブリがピボット連結部の周りで選択的にピボット回転できるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肛門直腸検査に関し、これを実施する方法および装置に関する。とりわけ本発明は、一連の2次元画像を収集して、直腸癌の原因となる腫瘍を容易に特定するために3次元画像を形成する超音波方法の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は早期に発見され、早期に治療されるとき、最も効果的な癌治療を行うことができる。特に直腸癌の場合、外科出術に加えて放射線療法または化学療法がときどき用いられるが、完治のためには、ほとんどすべての事例において外科手術が必要であるので、早期発見および早期治療は最も効果的である。腫瘍に関する貴重な情報を収集するための直腸癌の診断ツールとして、超音波内視鏡検査法(EUS:Endoscopic Ultrasonography)は極めて有益である。
【0003】
従来式の超音波内視鏡検査術は、直腸を画像スキャン(走査)するために、外科医が患者の肛門に超音波プローブを手動で挿入するステップを含む。この検査術において、外科医は2次元画像スライス画像の中心にトランスデューサを維持するようにプローブを調節し、フットペダルを用いて所望の超音波画像を記録する。プローブが直腸の中央に配置されない場合、得られた超音波画像は特定の画像領域でぼやけてしまう。したがって、鮮明な放射画像を得るためには、外科医はプローブを肛門の中心に巧みに操作できることが重要となる。
【0004】
超音波内視鏡検査術は、臨床的に診断する上で最も正確な情報を得るためには、外科医が適正な位置付近に超音波プローブを配置して操作する熟練した外科医を必要とする。正確な診断を下すためには多くの情報を必要とし、そのためには多くの時間が浪費され、患者に多くの苦痛を与える。
【0005】
肛門直腸3次元超音波画像スキャンの基本的概念は、一連の2次元スライス画像をそれぞれの位置情報とともに収集することにある。現在において、直線プルバック・ムーバ(linear pull back mover)(または内側ムーバ)および磁気追跡フリーハンド(MTF:Magnetically-Tracked Freedhand)が3次元超音波画像スキャンの2つの一般的なアプローチである。直線プルバック・ムーバは、一連の平行画像を得るために、これに取り付けられたプローブを前後に移動させるために配設されたコンピュータ制御のモータ駆動プローブである。同様に、内側ムーバは(プローブのシースの内側にあって)、一連の平行画像を得るために、トランスデューサをプローブの内側を直接的に駆動するものである。磁気追跡フリーハンド(MTF)の手法はやはり、上述のように良好な画像品位を得るためには、トランスデューサの位置を制御する上でオペレータの熟練と経験を必要とするものである。内側ムーバまたは外側ムーバの問題点は、トランスデューサの挿入時、トランスデューサを肛門の中心に維持することができず、満足できる画像品位が得られない点にある。オペレータが移動させる超音波フリーハンドプローブを用いることも可能である。これは、現在では外科医に託されている。この場合、残念ながら、正確な位置情報が得られず、3次元の再構成および表示の利点を受けることができない。
【0006】
多くの場合、超音波プローブを挿入する前にS状結腸鏡が挿入される。S状結腸鏡の主たる目的は、超音波プローブと直腸壁の間の相対的移動を抑制して不快感を和らげ、腫瘍を傷つけないようにすることである。すなわちS状結腸鏡は肛門直腸の超音波画像スキャンに際して有用である。
【0007】
S状結腸鏡の利用に際して、S状結腸鏡および超音波を相前後して移動させるためには、これらを一体に保持するための追加的な手作業が必要となるという問題が生じる。これは外科医ひとりでは画像スキャンを実施できないということを意味する。外科医は、超音波装置を操作し、所望する画像品位を得るために超音波プローブを調節し、これを回収するためには、S状結腸鏡および超音波を一体に保持する助手が必要となる。
【0008】
外科医が注水スタンドから水を注入して、患者の直腸の内側でバルーンを膨張させる際には別の問題が生じる。これは、注水スタンドとバルーンの間のある位置で水漏れに起因するものである。その原因は、封止部が水漏れを防止するのに十分に強くないことがしばしばあるためである。さらに、直腸内でバルーンを膨張させるために水を場メーン内に注入する際、バルーンが注水スタンドとS状結腸鏡の間の位置で膨張する傾向がある。その理由は、直腸内の圧力があまりに強すぎて、水の流れが逆流して、直腸内のバルーンが直腸壁との接触を失うためである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、肛門直腸プローブシステムが提供され、この肛門直腸プローブシステムは、患者の直腸内に挿入される挿入端部を含み、挿入端部にまたはこれに隣接して配置された超音波データを収集する超音波トランスデューサを有する肛門直腸プローブアセンブリと、挿入端部より遠位側の所定のポイントにて、プローブアセンブリを回転式に係合した実装部とを備え、実装部は、挿入端部と回転係合ポイントの中間ポイントにて、プローブアセンブリとピボット回転式に連結され、ピボット連結部の周りに所定のモーメントを与えたとき、実装部とプローブアセンブリは、プローブアセンブリがピボット連結部の周りで選択的にピボット回転できるように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、肛門直腸プローブアセンブリが提供され、この肛門直腸プローブアセンブリは、肛門直腸プローブと、プローブの上方に配置された膨張可能メンブレンと、メンブレンを水で膨張させる注水システムと、プローブおよび膨張可能メンブレンを受容する中央ボアを有するS字結腸鏡と、S字結腸鏡およびプローブを固定し、メンブレンを封止するように、S字結腸鏡およびプローブと選択的に係合可能なアダプタとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、肛門直腸プローブを患者の直腸内の中心に配置する方法が提供され、このプローブは、超音波データを収集するために、超音波トランスデューサを含む挿入端部を有し、超音波トランスデューサは挿入端部にまたはこれに隣接して配置され、この方法は、挿入端部を患者の直腸内に配置するステップと、トランスデューサからの超音波画像を収集して、この画像からトランスデューサの中心位置を特定するステップと、前記画像から直腸の空洞の中心位置を特定するステップと、これらの中心位置の差異を計算し、これらの中心位置が一致するようにプローブを移動させるようにコントローラに指令を与えるステップとを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、患者の直腸の3次元超音波画像を形成する方法が提供され、この方法は、肛門直腸プローブアセンブリを患者の直腸内に挿入するステップと、駆動システムと通信する制御システムを用いて、プローブアセンブリの移動を制御するステップと、プローブ内のトランスデューサの中心位置が直腸空洞の中心位置と一致するようにプローブを配置するステップと、患者の直腸内の第1の位置にて2次元の超音波画像を収集するステップと、トランスデューサを次の位置まで引き戻すようにプローブを制御するステップと、前記配置ステップおよび前記収集ステップを所定の反復回数だけ繰り返すステップと、3次元画像が形成されるように2次元画像を組み合わせるステップとを有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る1つの実施形態による肛門直腸の自動化超音波画像収集システムは、PCを利用した駆動システムを含む動作制御システムと、2次元超音波スライス画像を自動的に収集して、3次元の立体再構成および画像特徴の抽出を実現することを支援するためのソフトウェア制御システムとを有するものであってもよい。
【0014】
別の実施形態によれば、プローブ(トランスデューサ)の位置を設定する駆動システムの動作を、直腸の自然な立体構造に応じて、複数の超音波スキャンスライド画像を正確に収集するように案内することができる。
【0015】
別の実施形態によるシステムは、超音波トランスデューサをプログラム可能に位置制御することにより、直腸管の一連の2次元超音波スキャン画像を収集することができる。
【0016】
外科医により、プローブが患者の直腸内に挿入された後、収集された超音波画像を用いて、プローブにプローブ制御プラットフォームが取り付けられ、直腸管の中心位置およびプローブの位置を特定し、トランスデューサを直腸の中心位置に合わせるようにプローブ制御プラットフォームを案内することができる。このシステムは、所望の品位画像を記録し、検査が完了するまで、次の検査間隔までプローブを引き戻すことができる。収集された2次元画像から3次元モデルが再構築される。
【0017】
さまざまな実施形態によるシステムは、一体的にまたは個別に次のことを行うことができる。
i)直腸壁の2次元境界形状および膜構造について自動的に情報収集することができる。
ii)相対的な位置関係や方向を正確に特定できる2次元スライス画像に基づいて、3次元画像を再構築することができるので、直腸全体または直腸壁の直感的に理解可能な詳細な解剖学的画像を再現することができる。
iii)3次元画像を「皮を剥がす」ように表示して、粘膜に対する腫瘍浸潤を示すことができる。
iv)腫瘍の境界について情報収集し、腫瘍の拡散度合いを示すことができる。
v)外肛門括約筋および内肛門括約筋ならびに瘻管について情報収集することができる。
vi)直腸壁、腫瘍および肛門括約筋の境界の3次元構造を「皮を剥がす」ように表示することができる。
vii)一定の接触を可能とするために、引き戻す作業中において直腸管の中心位置を自動的に知ることができる。さらに別の実施形態では、本発明は画像収集モジュールを含むソフトウェアを有していてもよい。
【0018】
画像収集モジュールは、プローブ制御プラットフォームを案内し、画像収集プロセスを実行する。また画像収集モジュールは、収集された画像のそれぞれにおいて肛門直腸バルーン領域の中心位置にプローブを維持することを支援することができる。2つの中心位置の差異を用いて設計された動作制御システムを用いて、プローブ制御プラットフォームのX軸、Y軸、およびZ軸のモータの動作を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る、移動可能なプラットフォームに取り付けられた肛門直腸検査デバイスの斜視図である。
【図2】図1の肛門直腸検査デバイスの斜視図である。
【図3A】本発明に係る実施形態による肛門直腸プローブアセンブリを示す。
【図3B】本発明に係る実施形態による肛門直腸プローブアセンブリを示す。
【図4A】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図4B】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図4C】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図5A】患者の直腸の超音波画像であって、直腸空洞とプローブ中心を示す。
【図5B】患者の直腸の超音波画像であって、直腸空洞とプローブ中心を示す。
【図6】肛門直腸検査のフローチャートと画面ダンプである。
【図7】本発明に係る実施形態による方法に関するモジュールの概略図である。
【図8】本発明に係るデバイスにより収集された超音波画像の画面ダンプである。
【図9】従来技術による肛門直腸検査アセンブリの平面図である。
【図10】本発明に係る肛門直腸検査アセンブリの分解図である。
【図11A】本発明に係る別の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【図11B】本発明に係る別の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【図12A】図11Aのアダプタに注水スタンドを取り付けたときの斜視図である。
【図12B】図11Bのアダプタに注水スタンドを取り付けたときの斜視図である。
【図13A】図11Aおよび図11Bのアダプタに取り付けたS字結腸鏡を示す。
【図13B】図11Aおよび図11Bのアダプタに取り付けたS字結腸鏡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の可能性のある態様を図示する添付図面を参照しながら、本発明を説明することは有用である。本発明の他の態様も可能であるので、上述した本発明の一般的説明より優先するものとして、添付図面に記載の発明を理解すべきではない。
【0021】
図1および図2は、本発明に係る1つの実施形態の一般的な構成を示すものである。図示の肛門直腸検査装置5は、台車15に取り付けられた肛門直腸検査システム10を有する。この検査システム10は、機械的な構造体(この場合、プローブアセンブリ23に力を制御して加えて移動させるように設計された実装部)に実装された肛門直腸プローブアセンブリ23を有する。
【0022】
実装部は、基準位置または固定位置を形成するプラットフォーム35を有し、プローブアセンブリ23の移動値がその基準位置から測定される。このプラットフォーム上には、3つのモータを有する駆動システム30が配置され、1つのモータ140がX方向に、1つのモータ135がY方向に、1つのモータ130がZ方向に移動させるものである。
数多くのさまざまなアクチュエータを用いることができるが、この場合、ボールねじを用いて3方向に直線移動させる。X軸、Y軸、Z軸に沿って3方向の直線移動を案内するために、3組の直線ガイドシステムが直交するように配設されている。
【0023】
受動関節部としての回転関節部115,120が配設され、これらは協働して実装部に対してプローブアセンブリ23が回転できるようにするものである。これらの関節部により、プローブアセンブリ23がXY平面およびYZ平面で回転することができる。さらにプローブアセンブリは連結部を介して実装部に固定され、連結部はプローブアセンブリ23の最先端部に近い位置100において連結されている。連結部は、実装部のプラットフォームの対向する端部に取り付けられている。したがってプローブアセンブリ23は、2つのポイント25,100において実装部に固定され、一方の固定ポイントでは駆動システム30から力が加えられて、移動させられ、他方の固定ポイント100ではプラットフォームに固定され、プラットフォームに対して並進移動しないように固定されている。このような構成において、プローブアセンブリ23は、ポイント25において5次元(X、Y、Z、XY、YZ方向)の自由度で移動することができ、ポイント100において3次元(XY、YZ、XZ方向)の自由度(すべて回転方向)で移動することができる。プローブアセンブリ23が確実にただ1つの位置に固定されるように、プローブ基準110がプローブの近位端に配置されている。
【0024】
分かりやすくするために、第1のポイントを回転係合部25といい、第2のポイントをピボット連結部100という。
【0025】
Y軸モータ135およびZ軸モータ130が駆動するとき、ピボット連結部100を用いて、2つの受動関節部115,120が回転する。そして図4A,4B,4Cに示すように、トランスデューサを直腸の中心であって、6cm内側に配置されるように、ピボット連結部が支点として患者の肛門付近に配置される。
【0026】
その後、この構成によれば、モータ140,135,130を独立して、または協働して駆動させることにより、プローブアセンブリ23は広い範囲で移動することができる。
【0027】
図2および図3A,3Bに示すように、プローブアセンブリ23は肛門直腸プローブ20を有し、この肛門直腸プローブは、実装部が回転係合部25でプローブを把持する把持端部と、プローブアセンブリ23を挿入する際の先端部である挿入端部96とを有する。挿入端部またはこれに隣接して超音波トランスデューサが配置され、トランスデューサから既知の距離にある組織からの超音波画像を収集する。プローブ20の種類や動作自体は、本発明の一部を構成するものではなく、プローブはこうした検査のために当業者により知られ、一般的に用いられているものである。
【0028】
プローブアセンブリ23は、挿入端部を覆い被し、プローブ20の全体長まで延びたコンドームのような膨張可能なメンブレンを有する。プローブが挿入された後、膨張可能メンブレン250(図9でより明確に図示される)を水またはその他の液体により膨張させる。これは、直腸空隙を拡張して、患者の直腸をより精密に検査するように機能するものである。
【0029】
またS字結腸鏡95が設けられ、プローブ20がS字結腸鏡内にスライドさせ、膨張可能メンブレンが被せられる。このように構成されたアセンブリは、一般的なものであり、従来技術の一部を構成するものである。ただし本発明の別の実施形態は、図3A,3Bに示すようにアダプタ105をさらに有する。アダプタは、S字結腸鏡95とプローブ20を係合して、単一の物として作動させるように機能するものである。この構成により得られる利点については後に詳細に説明する。
【0030】
本発明の目的は、熟練者による肛門直腸の超音波画像スキャン手法を再現(模倣)することである。この目的を達成するために、本発明は、図1に示すように、十分に安定して頑健な設備であって、外科医が操作する上で人間工学的に扱いやすいものを提供する。
【0031】
このシステム10は台車15により搬送可能であり、台車はカート70を有し、ハンドル80で押すことができ、また図4A,4B,4Cに示すように所望の位置および方向に設置することができる。さらに確実に固定するために、4輪カート70は伸縮自在のゴムパッド付き脚部65を有し、こうしてシステムを所望の位置および方向に移動配置した後、パドルロック90を少し押し下げることにより車輪を持ち上げて、システムをゴムパッドで床に設置することができる。
【0032】
プローブアセンブリ23を操作しやすくするために、4次元自由度を有する受動プラットフォーム35を用いて、図1に示すような所望の位置および方向に駆動システム30を微調整し、固定することができる。電源遮断ブレーカ付きの双方向電気モータ55により駆動されるリードねじ50を用いて、駆動システム30の垂直方向の位置を調節することができる。モータの回転方向は、2つのフットスイッチにより制御される。プラットフォーム35の直下には、直交して配置された2組の直線ガイドポールと直線ベアリングが設けてあり、これによりプラットフォームはXY平面内を自由に移動することができる。2つのレバー固定デバイス45を用いて、移動動作の停止および停止解除をすることができる。プラットフォームと駆動システム30の間にはターンテーブルが設けてあり、これにより駆動システム30をZ軸の周りに自在に回転させることができる。ノブ固定デバイスを用いて、この回転を停止および停止解除を行うことができる。
【0033】
X方向およびY方向の直線移動モータ140,135を用いて、人間の自然な直腸構造165に応じたS字状を模るようにプローブを少しずつ後方に引き戻す(回収する)ことができる。この動きは内蔵CPU85により制御され、緊急停止スイッチ75が外科医の判断により作動させる。
【0034】
プローブを引き戻す間、ピボットリングがプローブに沿って移動する。肛門に作用する力を最小限に抑え、患者にとってより快適となるように支援する。
【0035】
ピボットリング100と駆動ドライブ30の間の距離を制御の目的で測定するために、バーニア(副尺)145が2つのデバイスの間に設けられ、ノブ固定デバイス150を用いてバーニアを所望位置に固定する
【0036】
好適な実施形態によれば、本発明の手順は以下の通りである。
【0037】
A.肛門直腸検査システムを患者に対して配置する(図4A)。
i)肛門直腸検査システムをホームポジション(初期状態)にリセットする。
ii)肛門領域が施術テーブルの端部に近接するように、患者を左横臥位で寝かせる。
iii)プローブが患者の肛門が同一レベルとなるところまで肛門直腸検査システムを移動させる。
iv)フットペダルを押し下げてカートの車輪を固定する。
v)ピボットリングを患者の肛門に隣接するように移動させる。
vi)バーニアを固定し、測定値を記録する。
【0038】
B.プローブを肛門直腸検査システムに取り付ける。
i)ピボットリングおよび患者の肛門を介してS字結腸鏡を直腸内に挿入する。
ii)S字結腸鏡を通して、コンドームを被せたプローブを直腸内に挿入する。
iii)図3A,3Bに示すように、アダプタを用いて、S字結腸鏡とプローブを一体に連結する。
iv)プラットフォームの高さを調節して、プローブをプローブホルダにより近接するように位置合わせする。さらにメカニズム40,45を用いて、X軸およびY軸方向の位置、ならびにZ軸回り回転を微調整し、プローブをプローブホルダに適合させる。
v)プローブをプローブホルダに固定する。
【0039】
C.超音波画像を収集する(図5A,5B、図6、図7、図8)。
i)肛門直腸検査システムを起動して、直腸の超音波画像180,185の収集を開始する。
ii)肛門直腸検査システムのコンピュータが直腸195,205の中心位置を求め、プローブをこの位置190,195に調節する。
iii)肛門直腸検査システムのコンピュータが所望の画像210,225を取り込み記録する。超音波トランスデューサを次の間隔位置まで引き戻す。
iv)6cmの領域について完了するまで、上記ステップ2〜4を繰り返す。
v)駆動システム30は、図4Bに示すS字状軌道160に従い、プローブを次の6cmだけ引き戻す。
vi)直腸全体が画像スキャンされるまで、上記ステップ2〜6を繰り返す。
vii)プローブをプローブホルダから取り外す。
【0040】
図9を参照すると、従来式の超音波プローブアセンブリは、超音波プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95を有する。注水スタンド235は、メンブレン250を膨張させる際の水圧に対抗して封止するOリングを用いて、超音波プローブ20に機械的に連結されている。画像スキャン中、プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95を一体に保持することが必要である。
【0041】
図10は、本発明の1つの実施形態による択一的な構成を示すものである。従来式のプローブアセンブリの構成部品に加え、アダプタ275を配設され、検査を行う外科医を補助するアシスタントの人手の必要性をなくすことができる。上述のように、アセンブリを一体に保持するためにアシスタントが必要であったところ、アダプタ275を用いることにより、アセンブリを一体に保持することが支援される。したがって、超音波プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95の3つの構成部品は、機械式に一体に連結される。すなわち外科医が肛門直腸超音波画像スキャン中にプローブ20を引き戻すとき、これら3つの部品はともに移動する。
【0042】
図11Aはアダプタ275の非固定状態を示す。固定ラッチ290が非固定状態にある。上側半分280および下側半分285はヒンジ300を介して回転することができる。択一的な構成として、押圧して一体に嵌合する2つの半分部分を有していてもよい。
【0043】
図11Bはアダプタ275の固定状態を示す。固定メカニズム290が対応するラッチ295に係合して、上側半分280および下側半分285が完全に係合している。閉じた状態の構成において、内側形態305が構成され、この内側形態は注水スタンド235の対応する一部の外側形態310と係合するような形状を有し、図12Aおよび図12Bに示すように、注水スタンド235にアダプタ275を固定するものである。この外側形態310を用いて、膨張可能メンブレン250を注水スタンド235に固定する。固定デバイス290を用いて、上側半分15および下側半分16を締め付ける。
【0044】
図13Aを参照すると、アダプタ275は、これに対するS字結腸鏡95の固定および取り外しを支援する2つのスロット320を有する。組み立てに際し、図13Bで示すように、S字結腸鏡95を矢印Aに沿って挿入し、矢印Bに沿って廻す。この構成は、一般に、差し込み口金(bayonet fitting)と呼ばれることがある。択一的な構成として、ねじ山係合(screw threaded engagement)、押圧嵌合(press fit)、あるいは摩擦係合に依拠した締まり嵌め(interference fit)がある。
【0045】
アダプタ275は、これらに限定するものではないが、表面硬化アルミニウム金属またはデルリンを含む、十分な剛性および耐腐食性を有する耐久性軽量材料で形成される。
【0046】
本発明に係る実施形態によるアダプタ275を用いたプローブアセンブリ275を操作するための超音波内視鏡検査術は、以下のように行われる。
i)「Oリング」装置を用いて、注水スタンド235をプローブ20に固定する。
ii)2つのゴムリング245を用いて注水スタンド235に固定された膨張可能メンブレン250により、プローブ20をカバーする。
iii)約100ccの水を用いてメンブレン250を充填し、すべての気泡を注水入口230から吸引する。
iv)アダプタ275を注水スタンド235に装着する。
v)S字結腸鏡95を患者の直腸255に挿入し、S字結腸鏡95を通して、プローブ20を案内する。
vi)S字結腸鏡95をアダプタ275のスロットに嵌め込む。
vii)直腸壁とメンブレンの間で最適な接触を確保し、直腸の空隙260を形成して拡張させるために、より多量の水をメンブレン250内に導入する。
viii)外科医は、超音波プローブ20を徐々に引き抜く際に、撮像された画像の所望の品位が実現されるようにプローブ20を手作業にて調節する。
【符号の説明】
【0047】
5:肛門直腸検査装置、15:台車、10:肛門直腸検査システム、20:肛門直腸プローブ、23:プローブアセンブリ、25:回転係合部、30:駆動システム、35:プラットフォーム、45:レバー固定デバイス、50:リードねじ、55:双方向電気モータ、65:ゴムパッド付き脚部、70:カート、75:緊急停止スイッチ、80:ハンドル、85:内蔵CPU、90:パドルロック、95:S字結腸鏡、96:挿入端部、100:ピボット連結部(ピボットリング)、105:アダプタ、110:プローブ基準、115,120:受動関節部(回転関節部)、130,135,140:モータ、145:バーニア(副尺)、150:ノブ固定デバイス、235:注水スタンド、250:膨張可能メンブレン、275:アダプタ、280:上側半分、285:下側半分、290:固定ラッチ、300:ヒンジ、305:内側形態、310:外側形態、320:スロット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、肛門直腸検査に関し、これを実施する方法および装置に関する。とりわけ本発明は、一連の2次元画像を収集して、直腸癌の原因となる腫瘍を容易に特定するために3次元画像を形成する超音波方法の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は早期に発見され、早期に治療されるとき、最も効果的な癌治療を行うことができる。特に直腸癌の場合、外科出術に加えて放射線療法または化学療法がときどき用いられるが、完治のためには、ほとんどすべての事例において外科手術が必要であるので、早期発見および早期治療は最も効果的である。腫瘍に関する貴重な情報を収集するための直腸癌の診断ツールとして、超音波内視鏡検査法(EUS:Endoscopic Ultrasonography)は極めて有益である。
【0003】
従来式の超音波内視鏡検査術は、直腸を画像スキャン(走査)するために、外科医が患者の肛門に超音波プローブを手動で挿入するステップを含む。この検査術において、外科医は2次元画像スライス画像の中心にトランスデューサを維持するようにプローブを調節し、フットペダルを用いて所望の超音波画像を記録する。プローブが直腸の中央に配置されない場合、得られた超音波画像は特定の画像領域でぼやけてしまう。したがって、鮮明な放射画像を得るためには、外科医はプローブを肛門の中心に巧みに操作できることが重要となる。
【0004】
超音波内視鏡検査術は、臨床的に診断する上で最も正確な情報を得るためには、外科医が適正な位置付近に超音波プローブを配置して操作する熟練した外科医を必要とする。正確な診断を下すためには多くの情報を必要とし、そのためには多くの時間が浪費され、患者に多くの苦痛を与える。
【0005】
肛門直腸3次元超音波画像スキャンの基本的概念は、一連の2次元スライス画像をそれぞれの位置情報とともに収集することにある。現在において、直線プルバック・ムーバ(linear pull back mover)(または内側ムーバ)および磁気追跡フリーハンド(MTF:Magnetically-Tracked Freedhand)が3次元超音波画像スキャンの2つの一般的なアプローチである。直線プルバック・ムーバは、一連の平行画像を得るために、これに取り付けられたプローブを前後に移動させるために配設されたコンピュータ制御のモータ駆動プローブである。同様に、内側ムーバは(プローブのシースの内側にあって)、一連の平行画像を得るために、トランスデューサをプローブの内側を直接的に駆動するものである。磁気追跡フリーハンド(MTF)の手法はやはり、上述のように良好な画像品位を得るためには、トランスデューサの位置を制御する上でオペレータの熟練と経験を必要とするものである。内側ムーバまたは外側ムーバの問題点は、トランスデューサの挿入時、トランスデューサを肛門の中心に維持することができず、満足できる画像品位が得られない点にある。オペレータが移動させる超音波フリーハンドプローブを用いることも可能である。これは、現在では外科医に託されている。この場合、残念ながら、正確な位置情報が得られず、3次元の再構成および表示の利点を受けることができない。
【0006】
多くの場合、超音波プローブを挿入する前にS状結腸鏡が挿入される。S状結腸鏡の主たる目的は、超音波プローブと直腸壁の間の相対的移動を抑制して不快感を和らげ、腫瘍を傷つけないようにすることである。すなわちS状結腸鏡は肛門直腸の超音波画像スキャンに際して有用である。
【0007】
S状結腸鏡の利用に際して、S状結腸鏡および超音波を相前後して移動させるためには、これらを一体に保持するための追加的な手作業が必要となるという問題が生じる。これは外科医ひとりでは画像スキャンを実施できないということを意味する。外科医は、超音波装置を操作し、所望する画像品位を得るために超音波プローブを調節し、これを回収するためには、S状結腸鏡および超音波を一体に保持する助手が必要となる。
【0008】
外科医が注水スタンドから水を注入して、患者の直腸の内側でバルーンを膨張させる際には別の問題が生じる。これは、注水スタンドとバルーンの間のある位置で水漏れに起因するものである。その原因は、封止部が水漏れを防止するのに十分に強くないことがしばしばあるためである。さらに、直腸内でバルーンを膨張させるために水を場メーン内に注入する際、バルーンが注水スタンドとS状結腸鏡の間の位置で膨張する傾向がある。その理由は、直腸内の圧力があまりに強すぎて、水の流れが逆流して、直腸内のバルーンが直腸壁との接触を失うためである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、肛門直腸プローブシステムが提供され、この肛門直腸プローブシステムは、患者の直腸内に挿入される挿入端部を含み、挿入端部にまたはこれに隣接して配置された超音波データを収集する超音波トランスデューサを有する肛門直腸プローブアセンブリと、挿入端部より遠位側の所定のポイントにて、プローブアセンブリを回転式に係合した実装部とを備え、実装部は、挿入端部と回転係合ポイントの中間ポイントにて、プローブアセンブリとピボット回転式に連結され、ピボット連結部の周りに所定のモーメントを与えたとき、実装部とプローブアセンブリは、プローブアセンブリがピボット連結部の周りで選択的にピボット回転できるように構成されたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、肛門直腸プローブアセンブリが提供され、この肛門直腸プローブアセンブリは、肛門直腸プローブと、プローブの上方に配置された膨張可能メンブレンと、メンブレンを水で膨張させる注水システムと、プローブおよび膨張可能メンブレンを受容する中央ボアを有するS字結腸鏡と、S字結腸鏡およびプローブを固定し、メンブレンを封止するように、S字結腸鏡およびプローブと選択的に係合可能なアダプタとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、肛門直腸プローブを患者の直腸内の中心に配置する方法が提供され、このプローブは、超音波データを収集するために、超音波トランスデューサを含む挿入端部を有し、超音波トランスデューサは挿入端部にまたはこれに隣接して配置され、この方法は、挿入端部を患者の直腸内に配置するステップと、トランスデューサからの超音波画像を収集して、この画像からトランスデューサの中心位置を特定するステップと、前記画像から直腸の空洞の中心位置を特定するステップと、これらの中心位置の差異を計算し、これらの中心位置が一致するようにプローブを移動させるようにコントローラに指令を与えるステップとを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、患者の直腸の3次元超音波画像を形成する方法が提供され、この方法は、肛門直腸プローブアセンブリを患者の直腸内に挿入するステップと、駆動システムと通信する制御システムを用いて、プローブアセンブリの移動を制御するステップと、プローブ内のトランスデューサの中心位置が直腸空洞の中心位置と一致するようにプローブを配置するステップと、患者の直腸内の第1の位置にて2次元の超音波画像を収集するステップと、トランスデューサを次の位置まで引き戻すようにプローブを制御するステップと、前記配置ステップおよび前記収集ステップを所定の反復回数だけ繰り返すステップと、3次元画像が形成されるように2次元画像を組み合わせるステップとを有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る1つの実施形態による肛門直腸の自動化超音波画像収集システムは、PCを利用した駆動システムを含む動作制御システムと、2次元超音波スライス画像を自動的に収集して、3次元の立体再構成および画像特徴の抽出を実現することを支援するためのソフトウェア制御システムとを有するものであってもよい。
【0014】
別の実施形態によれば、プローブ(トランスデューサ)の位置を設定する駆動システムの動作を、直腸の自然な立体構造に応じて、複数の超音波スキャンスライド画像を正確に収集するように案内することができる。
【0015】
別の実施形態によるシステムは、超音波トランスデューサをプログラム可能に位置制御することにより、直腸管の一連の2次元超音波スキャン画像を収集することができる。
【0016】
外科医により、プローブが患者の直腸内に挿入された後、収集された超音波画像を用いて、プローブにプローブ制御プラットフォームが取り付けられ、直腸管の中心位置およびプローブの位置を特定し、トランスデューサを直腸の中心位置に合わせるようにプローブ制御プラットフォームを案内することができる。このシステムは、所望の品位画像を記録し、検査が完了するまで、次の検査間隔までプローブを引き戻すことができる。収集された2次元画像から3次元モデルが再構築される。
【0017】
さまざまな実施形態によるシステムは、一体的にまたは個別に次のことを行うことができる。
i)直腸壁の2次元境界形状および膜構造について自動的に情報収集することができる。
ii)相対的な位置関係や方向を正確に特定できる2次元スライス画像に基づいて、3次元画像を再構築することができるので、直腸全体または直腸壁の直感的に理解可能な詳細な解剖学的画像を再現することができる。
iii)3次元画像を「皮を剥がす」ように表示して、粘膜に対する腫瘍浸潤を示すことができる。
iv)腫瘍の境界について情報収集し、腫瘍の拡散度合いを示すことができる。
v)外肛門括約筋および内肛門括約筋ならびに瘻管について情報収集することができる。
vi)直腸壁、腫瘍および肛門括約筋の境界の3次元構造を「皮を剥がす」ように表示することができる。
vii)一定の接触を可能とするために、引き戻す作業中において直腸管の中心位置を自動的に知ることができる。さらに別の実施形態では、本発明は画像収集モジュールを含むソフトウェアを有していてもよい。
【0018】
画像収集モジュールは、プローブ制御プラットフォームを案内し、画像収集プロセスを実行する。また画像収集モジュールは、収集された画像のそれぞれにおいて肛門直腸バルーン領域の中心位置にプローブを維持することを支援することができる。2つの中心位置の差異を用いて設計された動作制御システムを用いて、プローブ制御プラットフォームのX軸、Y軸、およびZ軸のモータの動作を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る、移動可能なプラットフォームに取り付けられた肛門直腸検査デバイスの斜視図である。
【図2】図1の肛門直腸検査デバイスの斜視図である。
【図3A】本発明に係る実施形態による肛門直腸プローブアセンブリを示す。
【図3B】本発明に係る実施形態による肛門直腸プローブアセンブリを示す。
【図4A】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図4B】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図4C】本発明に係る別の実施形態によるデバイスを用いた肛門直腸検査を示す。
【図5A】患者の直腸の超音波画像であって、直腸空洞とプローブ中心を示す。
【図5B】患者の直腸の超音波画像であって、直腸空洞とプローブ中心を示す。
【図6】肛門直腸検査のフローチャートと画面ダンプである。
【図7】本発明に係る実施形態による方法に関するモジュールの概略図である。
【図8】本発明に係るデバイスにより収集された超音波画像の画面ダンプである。
【図9】従来技術による肛門直腸検査アセンブリの平面図である。
【図10】本発明に係る肛門直腸検査アセンブリの分解図である。
【図11A】本発明に係る別の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【図11B】本発明に係る別の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【図12A】図11Aのアダプタに注水スタンドを取り付けたときの斜視図である。
【図12B】図11Bのアダプタに注水スタンドを取り付けたときの斜視図である。
【図13A】図11Aおよび図11Bのアダプタに取り付けたS字結腸鏡を示す。
【図13B】図11Aおよび図11Bのアダプタに取り付けたS字結腸鏡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の可能性のある態様を図示する添付図面を参照しながら、本発明を説明することは有用である。本発明の他の態様も可能であるので、上述した本発明の一般的説明より優先するものとして、添付図面に記載の発明を理解すべきではない。
【0021】
図1および図2は、本発明に係る1つの実施形態の一般的な構成を示すものである。図示の肛門直腸検査装置5は、台車15に取り付けられた肛門直腸検査システム10を有する。この検査システム10は、機械的な構造体(この場合、プローブアセンブリ23に力を制御して加えて移動させるように設計された実装部)に実装された肛門直腸プローブアセンブリ23を有する。
【0022】
実装部は、基準位置または固定位置を形成するプラットフォーム35を有し、プローブアセンブリ23の移動値がその基準位置から測定される。このプラットフォーム上には、3つのモータを有する駆動システム30が配置され、1つのモータ140がX方向に、1つのモータ135がY方向に、1つのモータ130がZ方向に移動させるものである。
数多くのさまざまなアクチュエータを用いることができるが、この場合、ボールねじを用いて3方向に直線移動させる。X軸、Y軸、Z軸に沿って3方向の直線移動を案内するために、3組の直線ガイドシステムが直交するように配設されている。
【0023】
受動関節部としての回転関節部115,120が配設され、これらは協働して実装部に対してプローブアセンブリ23が回転できるようにするものである。これらの関節部により、プローブアセンブリ23がXY平面およびYZ平面で回転することができる。さらにプローブアセンブリは連結部を介して実装部に固定され、連結部はプローブアセンブリ23の最先端部に近い位置100において連結されている。連結部は、実装部のプラットフォームの対向する端部に取り付けられている。したがってプローブアセンブリ23は、2つのポイント25,100において実装部に固定され、一方の固定ポイントでは駆動システム30から力が加えられて、移動させられ、他方の固定ポイント100ではプラットフォームに固定され、プラットフォームに対して並進移動しないように固定されている。このような構成において、プローブアセンブリ23は、ポイント25において5次元(X、Y、Z、XY、YZ方向)の自由度で移動することができ、ポイント100において3次元(XY、YZ、XZ方向)の自由度(すべて回転方向)で移動することができる。プローブアセンブリ23が確実にただ1つの位置に固定されるように、プローブ基準110がプローブの近位端に配置されている。
【0024】
分かりやすくするために、第1のポイントを回転係合部25といい、第2のポイントをピボット連結部100という。
【0025】
Y軸モータ135およびZ軸モータ130が駆動するとき、ピボット連結部100を用いて、2つの受動関節部115,120が回転する。そして図4A,4B,4Cに示すように、トランスデューサを直腸の中心であって、6cm内側に配置されるように、ピボット連結部が支点として患者の肛門付近に配置される。
【0026】
その後、この構成によれば、モータ140,135,130を独立して、または協働して駆動させることにより、プローブアセンブリ23は広い範囲で移動することができる。
【0027】
図2および図3A,3Bに示すように、プローブアセンブリ23は肛門直腸プローブ20を有し、この肛門直腸プローブは、実装部が回転係合部25でプローブを把持する把持端部と、プローブアセンブリ23を挿入する際の先端部である挿入端部96とを有する。挿入端部またはこれに隣接して超音波トランスデューサが配置され、トランスデューサから既知の距離にある組織からの超音波画像を収集する。プローブ20の種類や動作自体は、本発明の一部を構成するものではなく、プローブはこうした検査のために当業者により知られ、一般的に用いられているものである。
【0028】
プローブアセンブリ23は、挿入端部を覆い被し、プローブ20の全体長まで延びたコンドームのような膨張可能なメンブレンを有する。プローブが挿入された後、膨張可能メンブレン250(図9でより明確に図示される)を水またはその他の液体により膨張させる。これは、直腸空隙を拡張して、患者の直腸をより精密に検査するように機能するものである。
【0029】
またS字結腸鏡95が設けられ、プローブ20がS字結腸鏡内にスライドさせ、膨張可能メンブレンが被せられる。このように構成されたアセンブリは、一般的なものであり、従来技術の一部を構成するものである。ただし本発明の別の実施形態は、図3A,3Bに示すようにアダプタ105をさらに有する。アダプタは、S字結腸鏡95とプローブ20を係合して、単一の物として作動させるように機能するものである。この構成により得られる利点については後に詳細に説明する。
【0030】
本発明の目的は、熟練者による肛門直腸の超音波画像スキャン手法を再現(模倣)することである。この目的を達成するために、本発明は、図1に示すように、十分に安定して頑健な設備であって、外科医が操作する上で人間工学的に扱いやすいものを提供する。
【0031】
このシステム10は台車15により搬送可能であり、台車はカート70を有し、ハンドル80で押すことができ、また図4A,4B,4Cに示すように所望の位置および方向に設置することができる。さらに確実に固定するために、4輪カート70は伸縮自在のゴムパッド付き脚部65を有し、こうしてシステムを所望の位置および方向に移動配置した後、パドルロック90を少し押し下げることにより車輪を持ち上げて、システムをゴムパッドで床に設置することができる。
【0032】
プローブアセンブリ23を操作しやすくするために、4次元自由度を有する受動プラットフォーム35を用いて、図1に示すような所望の位置および方向に駆動システム30を微調整し、固定することができる。電源遮断ブレーカ付きの双方向電気モータ55により駆動されるリードねじ50を用いて、駆動システム30の垂直方向の位置を調節することができる。モータの回転方向は、2つのフットスイッチにより制御される。プラットフォーム35の直下には、直交して配置された2組の直線ガイドポールと直線ベアリングが設けてあり、これによりプラットフォームはXY平面内を自由に移動することができる。2つのレバー固定デバイス45を用いて、移動動作の停止および停止解除をすることができる。プラットフォームと駆動システム30の間にはターンテーブルが設けてあり、これにより駆動システム30をZ軸の周りに自在に回転させることができる。ノブ固定デバイスを用いて、この回転を停止および停止解除を行うことができる。
【0033】
X方向およびY方向の直線移動モータ140,135を用いて、人間の自然な直腸構造165に応じたS字状を模るようにプローブを少しずつ後方に引き戻す(回収する)ことができる。この動きは内蔵CPU85により制御され、緊急停止スイッチ75が外科医の判断により作動させる。
【0034】
プローブを引き戻す間、ピボットリングがプローブに沿って移動する。肛門に作用する力を最小限に抑え、患者にとってより快適となるように支援する。
【0035】
ピボットリング100と駆動ドライブ30の間の距離を制御の目的で測定するために、バーニア(副尺)145が2つのデバイスの間に設けられ、ノブ固定デバイス150を用いてバーニアを所望位置に固定する
【0036】
好適な実施形態によれば、本発明の手順は以下の通りである。
【0037】
A.肛門直腸検査システムを患者に対して配置する(図4A)。
i)肛門直腸検査システムをホームポジション(初期状態)にリセットする。
ii)肛門領域が施術テーブルの端部に近接するように、患者を左横臥位で寝かせる。
iii)プローブが患者の肛門が同一レベルとなるところまで肛門直腸検査システムを移動させる。
iv)フットペダルを押し下げてカートの車輪を固定する。
v)ピボットリングを患者の肛門に隣接するように移動させる。
vi)バーニアを固定し、測定値を記録する。
【0038】
B.プローブを肛門直腸検査システムに取り付ける。
i)ピボットリングおよび患者の肛門を介してS字結腸鏡を直腸内に挿入する。
ii)S字結腸鏡を通して、コンドームを被せたプローブを直腸内に挿入する。
iii)図3A,3Bに示すように、アダプタを用いて、S字結腸鏡とプローブを一体に連結する。
iv)プラットフォームの高さを調節して、プローブをプローブホルダにより近接するように位置合わせする。さらにメカニズム40,45を用いて、X軸およびY軸方向の位置、ならびにZ軸回り回転を微調整し、プローブをプローブホルダに適合させる。
v)プローブをプローブホルダに固定する。
【0039】
C.超音波画像を収集する(図5A,5B、図6、図7、図8)。
i)肛門直腸検査システムを起動して、直腸の超音波画像180,185の収集を開始する。
ii)肛門直腸検査システムのコンピュータが直腸195,205の中心位置を求め、プローブをこの位置190,195に調節する。
iii)肛門直腸検査システムのコンピュータが所望の画像210,225を取り込み記録する。超音波トランスデューサを次の間隔位置まで引き戻す。
iv)6cmの領域について完了するまで、上記ステップ2〜4を繰り返す。
v)駆動システム30は、図4Bに示すS字状軌道160に従い、プローブを次の6cmだけ引き戻す。
vi)直腸全体が画像スキャンされるまで、上記ステップ2〜6を繰り返す。
vii)プローブをプローブホルダから取り外す。
【0040】
図9を参照すると、従来式の超音波プローブアセンブリは、超音波プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95を有する。注水スタンド235は、メンブレン250を膨張させる際の水圧に対抗して封止するOリングを用いて、超音波プローブ20に機械的に連結されている。画像スキャン中、プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95を一体に保持することが必要である。
【0041】
図10は、本発明の1つの実施形態による択一的な構成を示すものである。従来式のプローブアセンブリの構成部品に加え、アダプタ275を配設され、検査を行う外科医を補助するアシスタントの人手の必要性をなくすことができる。上述のように、アセンブリを一体に保持するためにアシスタントが必要であったところ、アダプタ275を用いることにより、アセンブリを一体に保持することが支援される。したがって、超音波プローブ20、注水スタンド235、およびS字結腸鏡95の3つの構成部品は、機械式に一体に連結される。すなわち外科医が肛門直腸超音波画像スキャン中にプローブ20を引き戻すとき、これら3つの部品はともに移動する。
【0042】
図11Aはアダプタ275の非固定状態を示す。固定ラッチ290が非固定状態にある。上側半分280および下側半分285はヒンジ300を介して回転することができる。択一的な構成として、押圧して一体に嵌合する2つの半分部分を有していてもよい。
【0043】
図11Bはアダプタ275の固定状態を示す。固定メカニズム290が対応するラッチ295に係合して、上側半分280および下側半分285が完全に係合している。閉じた状態の構成において、内側形態305が構成され、この内側形態は注水スタンド235の対応する一部の外側形態310と係合するような形状を有し、図12Aおよび図12Bに示すように、注水スタンド235にアダプタ275を固定するものである。この外側形態310を用いて、膨張可能メンブレン250を注水スタンド235に固定する。固定デバイス290を用いて、上側半分15および下側半分16を締め付ける。
【0044】
図13Aを参照すると、アダプタ275は、これに対するS字結腸鏡95の固定および取り外しを支援する2つのスロット320を有する。組み立てに際し、図13Bで示すように、S字結腸鏡95を矢印Aに沿って挿入し、矢印Bに沿って廻す。この構成は、一般に、差し込み口金(bayonet fitting)と呼ばれることがある。択一的な構成として、ねじ山係合(screw threaded engagement)、押圧嵌合(press fit)、あるいは摩擦係合に依拠した締まり嵌め(interference fit)がある。
【0045】
アダプタ275は、これらに限定するものではないが、表面硬化アルミニウム金属またはデルリンを含む、十分な剛性および耐腐食性を有する耐久性軽量材料で形成される。
【0046】
本発明に係る実施形態によるアダプタ275を用いたプローブアセンブリ275を操作するための超音波内視鏡検査術は、以下のように行われる。
i)「Oリング」装置を用いて、注水スタンド235をプローブ20に固定する。
ii)2つのゴムリング245を用いて注水スタンド235に固定された膨張可能メンブレン250により、プローブ20をカバーする。
iii)約100ccの水を用いてメンブレン250を充填し、すべての気泡を注水入口230から吸引する。
iv)アダプタ275を注水スタンド235に装着する。
v)S字結腸鏡95を患者の直腸255に挿入し、S字結腸鏡95を通して、プローブ20を案内する。
vi)S字結腸鏡95をアダプタ275のスロットに嵌め込む。
vii)直腸壁とメンブレンの間で最適な接触を確保し、直腸の空隙260を形成して拡張させるために、より多量の水をメンブレン250内に導入する。
viii)外科医は、超音波プローブ20を徐々に引き抜く際に、撮像された画像の所望の品位が実現されるようにプローブ20を手作業にて調節する。
【符号の説明】
【0047】
5:肛門直腸検査装置、15:台車、10:肛門直腸検査システム、20:肛門直腸プローブ、23:プローブアセンブリ、25:回転係合部、30:駆動システム、35:プラットフォーム、45:レバー固定デバイス、50:リードねじ、55:双方向電気モータ、65:ゴムパッド付き脚部、70:カート、75:緊急停止スイッチ、80:ハンドル、85:内蔵CPU、90:パドルロック、95:S字結腸鏡、96:挿入端部、100:ピボット連結部(ピボットリング)、105:アダプタ、110:プローブ基準、115,120:受動関節部(回転関節部)、130,135,140:モータ、145:バーニア(副尺)、150:ノブ固定デバイス、235:注水スタンド、250:膨張可能メンブレン、275:アダプタ、280:上側半分、285:下側半分、290:固定ラッチ、300:ヒンジ、305:内側形態、310:外側形態、320:スロット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肛門直腸プローブシステムであって、
患者の直腸内に挿入される挿入端部を含み、挿入端部にまたはこれに隣接して配置された超音波データを収集する超音波トランスデューサを有する肛門直腸プローブアセンブリと、
挿入端部より遠位側の所定のポイントにて、プローブアセンブリを回転式に係合した実装部とを備え、
実装部は、挿入端部と回転係合ポイントの中間ポイントにて、プローブアセンブリとピボット回転式に連結され、
ピボット連結部の周りに所定のモーメントを与えたとき、実装部とプローブアセンブリは、プローブアセンブリがピボット連結部の周りで選択的にピボット回転できるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
係合ポイントにて、プローブアセンブリに3つの主たる軸のそれぞれに沿った力を与えるための駆動システムを有することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、
駆動システムは、3つの主たる軸のうちの任意の2つの軸に沿った力を与えた後、前記モーメントを与えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、
請求項2または3に記載のシステムであって、
実装部は、主たる軸に沿って移動可能な部材を有し、
駆動システムは、前記部材と協働するモータを有し、モータが作動したとき、前記部材は、軸に沿って移動し、呼応する力をプローブアセンブリに加えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のシステムであって、
実装部は、前記部材に固定されたプラットフォームを有し、
実装部は、プラットフォームをプローブに連結するアセンブリを介して、プローブアセンブリにピボット回転式に連結されたことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載のシステムであって、
システムは、これを所望の位置に搬送するための台車に取り付け可能であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1に記載のシステムであって、
駆動システムは、プローブアセンブリを患者の直腸から徐々に引き戻すことができるように、回収する力をプローブに与えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1に記載のシステムであって、
駆動システムを制御するための制御システムをさらに有し、
プローブアセンブリの移動および回転は、制御システムにより制御された駆動システムにより行われることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
制御システムは、挿入端部が予め設定された経路に沿って進むように、プローブアセンブリを引き戻すように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項10】
肛門直腸プローブアセンブリであって、
肛門直腸プローブと、
プローブの上方に配置された膨張可能メンブレンと、
メンブレンを水で膨張させる注水システムと、
プローブおよび膨張可能メンブレンを受容する中央ボアを有するS字結腸鏡と、
S字結腸鏡およびプローブを固定し、メンブレンを封止するように、S字結腸鏡およびプローブと選択的に係合可能なアダプタとを備えたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアセンブリであって、
アダプタは、プローブと一体となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項10に記載のアセンブリであって、
アダプタは、S字結腸鏡と一体となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1に記載のアセンブリであって、
プローブおよび/またはS字結腸鏡は、ねじ山係合、押圧嵌合、締まり嵌め、および差し込み口金の任意のものまたは任意の組み合わせにより、アダプタと選択可能に係合可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1に記載のアセンブリであって、
アダプタは、ヒンジにより係合された2つの部分とコネクタとを有し、
アダプタとプローブおよび/またはS字結腸鏡との係合は、プローブおよび/またはS字結腸鏡をヒンジにより把持し、そしてアダプタを所定位置でコネクタに固定することによりなされることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
肛門直腸プローブを患者の直腸内の中心に配置する方法であって、
このプローブは、超音波データを収集するために、超音波トランスデューサを含む挿入端部を有し、超音波トランスデューサは挿入端部にまたはこれに隣接して配置され、
この方法は、
挿入端部を患者の直腸内に配置するステップと、
トランスデューサからの超音波画像を収集して、この画像からトランスデューサの中心位置を特定するステップと、
前記画像から直腸の空洞の中心位置を特定するステップと、
これらの中心位置の差異を計算し、これらの中心位置が一致するようにプローブを移動させるようにコントローラに指令を与えるステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
トランスデューサが配置される直腸の空洞の大きさを増大させるために、膨張可能メンブレンを直腸内で膨張させるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
患者の直腸の3次元超音波画像を形成する方法であって、
肛門直腸プローブアセンブリを患者の直腸内に挿入するステップと、
駆動システムと通信する制御システムを用いて、プローブアセンブリの移動を制御するステップと、
プローブ内のトランスデューサの中心位置が直腸空洞の中心位置と一致するようにプローブを配置するステップと、
患者の直腸内の第1の位置にて2次元の超音波画像を収集するステップと、
トランスデューサを次の位置まで引き戻すようにプローブを制御するステップと、
前記配置ステップおよび前記収集ステップを所定の反復回数だけ繰り返すステップと、
3次元画像が形成されるように2次元画像を組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項1】
肛門直腸プローブシステムであって、
患者の直腸内に挿入される挿入端部を含み、挿入端部にまたはこれに隣接して配置された超音波データを収集する超音波トランスデューサを有する肛門直腸プローブアセンブリと、
挿入端部より遠位側の所定のポイントにて、プローブアセンブリを回転式に係合した実装部とを備え、
実装部は、挿入端部と回転係合ポイントの中間ポイントにて、プローブアセンブリとピボット回転式に連結され、
ピボット連結部の周りに所定のモーメントを与えたとき、実装部とプローブアセンブリは、プローブアセンブリがピボット連結部の周りで選択的にピボット回転できるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
係合ポイントにて、プローブアセンブリに3つの主たる軸のそれぞれに沿った力を与えるための駆動システムを有することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、
駆動システムは、3つの主たる軸のうちの任意の2つの軸に沿った力を与えた後、前記モーメントを与えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、
請求項2または3に記載のシステムであって、
実装部は、主たる軸に沿って移動可能な部材を有し、
駆動システムは、前記部材と協働するモータを有し、モータが作動したとき、前記部材は、軸に沿って移動し、呼応する力をプローブアセンブリに加えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のシステムであって、
実装部は、前記部材に固定されたプラットフォームを有し、
実装部は、プラットフォームをプローブに連結するアセンブリを介して、プローブアセンブリにピボット回転式に連結されたことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載のシステムであって、
システムは、これを所望の位置に搬送するための台車に取り付け可能であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1に記載のシステムであって、
駆動システムは、プローブアセンブリを患者の直腸から徐々に引き戻すことができるように、回収する力をプローブに与えるように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1に記載のシステムであって、
駆動システムを制御するための制御システムをさらに有し、
プローブアセンブリの移動および回転は、制御システムにより制御された駆動システムにより行われることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
制御システムは、挿入端部が予め設定された経路に沿って進むように、プローブアセンブリを引き戻すように構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項10】
肛門直腸プローブアセンブリであって、
肛門直腸プローブと、
プローブの上方に配置された膨張可能メンブレンと、
メンブレンを水で膨張させる注水システムと、
プローブおよび膨張可能メンブレンを受容する中央ボアを有するS字結腸鏡と、
S字結腸鏡およびプローブを固定し、メンブレンを封止するように、S字結腸鏡およびプローブと選択的に係合可能なアダプタとを備えたことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアセンブリであって、
アダプタは、プローブと一体となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
請求項10に記載のアセンブリであって、
アダプタは、S字結腸鏡と一体となることを特徴とするアセンブリ。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1に記載のアセンブリであって、
プローブおよび/またはS字結腸鏡は、ねじ山係合、押圧嵌合、締まり嵌め、および差し込み口金の任意のものまたは任意の組み合わせにより、アダプタと選択可能に係合可能であることを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1に記載のアセンブリであって、
アダプタは、ヒンジにより係合された2つの部分とコネクタとを有し、
アダプタとプローブおよび/またはS字結腸鏡との係合は、プローブおよび/またはS字結腸鏡をヒンジにより把持し、そしてアダプタを所定位置でコネクタに固定することによりなされることを特徴とするアセンブリ。
【請求項15】
肛門直腸プローブを患者の直腸内の中心に配置する方法であって、
このプローブは、超音波データを収集するために、超音波トランスデューサを含む挿入端部を有し、超音波トランスデューサは挿入端部にまたはこれに隣接して配置され、
この方法は、
挿入端部を患者の直腸内に配置するステップと、
トランスデューサからの超音波画像を収集して、この画像からトランスデューサの中心位置を特定するステップと、
前記画像から直腸の空洞の中心位置を特定するステップと、
これらの中心位置の差異を計算し、これらの中心位置が一致するようにプローブを移動させるようにコントローラに指令を与えるステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
トランスデューサが配置される直腸の空洞の大きさを増大させるために、膨張可能メンブレンを直腸内で膨張させるステップを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
患者の直腸の3次元超音波画像を形成する方法であって、
肛門直腸プローブアセンブリを患者の直腸内に挿入するステップと、
駆動システムと通信する制御システムを用いて、プローブアセンブリの移動を制御するステップと、
プローブ内のトランスデューサの中心位置が直腸空洞の中心位置と一致するようにプローブを配置するステップと、
患者の直腸内の第1の位置にて2次元の超音波画像を収集するステップと、
トランスデューサを次の位置まで引き戻すようにプローブを制御するステップと、
前記配置ステップおよび前記収集ステップを所定の反復回数だけ繰り返すステップと、
3次元画像が形成されるように2次元画像を組み合わせるステップとを有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A−13B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A−13B】
【公表番号】特表2010−521271(P2010−521271A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554493(P2009−554493)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/SG2008/000082
【国際公開番号】WO2008/115151
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504161939)ナンヤン・テクノロジカル・ユニバーシティー (7)
【出願人】(509260525)ナショナル・ユニバーシティ・ホスピタル・(シンガポール)・プライベイト・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】National University Hospital (Singapore) Pte Ltd
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/SG2008/000082
【国際公開番号】WO2008/115151
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504161939)ナンヤン・テクノロジカル・ユニバーシティー (7)
【出願人】(509260525)ナショナル・ユニバーシティ・ホスピタル・(シンガポール)・プライベイト・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】National University Hospital (Singapore) Pte Ltd
【Fターム(参考)】
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