説明

肥料散布装置

【課題】肥料散布装置に備わるホッパの形状を問わずに、このホッパ内の被散布物を確実に散布部へ流下させる。
【解決手段】ホッパ102に収容される肥料105は、シャッタ部104により開閉されるホッパ102の底部開口102Bから散布部103に落下しそこから散布される。ホッパ102内に配置される回転ボス支持体151は、底部開口102Bから上方に延びる第1軸部204と、これに対して直交するように水平方向に延びる第1支持部152と、これから第1軸部204と平行に突出する第2軸部153とを有する。第2軸部153には回転ボス154が周回方向に回転自在に設けられる。回転ボス154から斜め上方に延びるアーム158の端部は、ホッパ102の内壁の上方を横切るレール体109にスライド自在に連結する。ブリッジ防止体160は回転ボス154から延出し、第1軸部204の回転に伴って水平方向に揺動し内壁102aに近接離反する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料等の被散布物を貯留するホッパを備え、このホッパから落下した被散布物を散布する肥料散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肥料等の被散布物を貯留するホッパを備え、このホッパから落下した被散布物を散布する肥料散布装置が普及している。このような肥料散布装置では、被散布物が粉状の肥料の場合に多く発生することであるが、ホッパ内の被散布物が落下していくに従い空洞状となり、ブリッジ現象が発生して散布部へ被散布物が落下しない状態となる場合がある。
【0003】
特許文献1に記載の散布装置1は、被散布物を撹拌する撹拌体15をホッパ内に設け、被散布物のブリッジ現象の発生を防止し被散布物を安定して散布できるようにしたものである。より詳細には、撹拌体15は、中心軸線Xを中心として取付角度βの間隔で放射状に延びる複数本(例えば、八本)の撹拌アーム部31を有している。そして、散布装置1では、撹拌アーム部31は中心軸線Xを中心に揺動角度α(但、α>β)をもって揺動し、ホッパ4内の被散布物Aを撹拌する。このため、ホッパ4内の被散布物Aの全体がほぐされる。また、散布装置1では、撹拌体15の各撹拌アーム部31とホッパ4の下部内面との離間距離が、排出口部6側のある下方に向かうに従って徐々に大きくなっている。このため、ホッパ4内の被散布物Aは排出口部6側の近くにあるほど良好に流れる。特許文献1によれば、これらの結果、散布装置1では、ホッパ4の排出口部6の近傍で、被散布物Aのブリッジ現象(ホッパ内の粉体が動かなくなり排出されなくなる現象)の発生を防止できる、とされる。
【0004】
特許文献2に記載の粉剤散布機では、長短のかくはん杆25が、かくはん盤12の周縁上に、タンク1の傾斜度になじんで突設している。特許文献2によれば、この粉剤散布機では、主軸7がかくはん盤を回転させ、タンク1内の粉剤が半回転するかくはん盤の長短のかくはん杆25によってタンク内壁になじんで攪拌され、粉剤中に空洞がなくなり、かくはん爪盤19内へ落とされる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−095311号公報(段落0030、0031、図1及び図2)
【特許文献2】実公昭49―5538号公報(第1頁右欄第5行〜第9行及び第35行〜第2頁左欄第1行、並びに、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の散布装置及び特許文献2に記載の粉剤散布機のいずれも、被散布物を撹拌するために、撹拌体(かくはん杆)は、ホッパ(タンク)の内壁面との距離を一定に保ったままで動く。この場合、被散布物がホッパ(タンク)の内壁面に押し固められて落下しなくなってしまう。特に、被散布物が粉状の肥料の場合、被散布物はホッパ(タンク)の内壁面に固着しやすい。
【0007】
また、特許文献1に記載の散布装置及び特許文献2に記載の粉剤散布機のいずれも、被散布物を収容するホッパ(タンク)は、底面が正円である直錐形状をなしている。しかしながら、肥料散布装置は、トラクタ等の車両に装着されて使用されることが多く、この場合、ホッパ(タンク)の形状を底面が正円である直錐形状にできない場合も生ずる。
【0008】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、肥料散布装置に備わるホッパの形状を問わずに、このホッパ内の被散布物を確実に散布部へ流下させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の肥料散布装置は、底部開口が設けられ被散布物を収容するホッパと、前記底部開口を開閉するシャッタ部と、前記底部開口を通過して落下した前記被散布物を散布する散布部と、前記底部開口から上方に延出し軸回り方向に回転自在の第1軸部と、前記ホッパ内に設けられ、前記第1軸部の回転に伴って水平方向に揺動し前記ホッパの内壁に近接離反するブリッジ防止体と、を備える。
【0010】
別の面から見た本発明の肥料散布装置は、底部開口が設けられ被散布物を収容するホッパと、前記底部開口を開閉するシャッタ部と、前記底部開口を通過して落下した前記被散布物を散布する散布部と、前記底部開口から上方に延出し軸回り方向に回転自在の第1軸部と、前記第1軸部から水平方向に延び更に上方に延びて前記第1軸部と平行に設けた第2軸部と、前記第2軸部を中心に周回方向に回転自在の回転ボスと、前記ホッパの内壁の上方に固着して設けた回転ボスガイド部と、前記回転ボスから延出され、前記筒体ガイド部と摺動自在に連結するアームと、前記回転ボスに固着して保持され前記ホッパの内壁近傍に設けられ、前記第1軸部の回転に伴って前記回転ボスとともに水平方向に揺動し前記ホッパの内壁に近接離反するブリッジ防止体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1軸部が回転すると、第2軸部は第1軸部の軸線を中心に周回する。回転ボスは、回転ボスガイド部によって動きが規制されているアームに引っ張られながら、第2軸部とともに第1軸部の軸線を中心に周回する。その結果、ブリッジ防止体は、ホッパの内壁に近接離反するよう揺動して、ホッパ内の被散布物をホッパの内壁に向けて突いて崩したり、ホッパの内壁に沿って掻き崩したりする。したがって、肥料散布装置に備わるホッパの形状を問わずに、このホッパ内の被散布物を確実に散布部へ流下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】肥料散布装置の側面図である。
【図2】肥料散布装置を側面側から見た断面図である。
【図3】肥料散布装置を後方側から見た断面図である。
【図4】肥料散布装置の平面図である。
【図5】ホッパ内に設けられる各部の分解斜視図である。
【図6】(a)〜(c)は、ブリッジ防止体の動きを示す平面図である。
【図7】(a)及び(b)は、ブリッジ防止体の動きを示す側面図である。
【図8】ホッパを上方に回動した状態の肥料散布装置を側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態を、図1ないし図8に基づいて説明する。図1は、肥料散布装置101の側面図である。なお、図1では、散布羽根ケース207(図2も参照)の一部を破断させて示している。肥料散布装置101は、ホッパ102と散布部103とシャッタ部104とを備える。
【0014】
ホッパ102は、漏斗形状をなし、その上面は開口していて、被散布物としての肥料105を収容する。このホッパ102の上面側の開口を、上部開口102T(図2参照)と呼ぶ。また、ホッパ102の底部も開口している。このホッパ102の底部の開口を、底部開口102B(図2参照)と呼ぶ。
【0015】
散布部103は、散布羽根106を備え、この散布羽根106を回転させることで、ホッパ102の内部から底部開口102Bを通過して落下した肥料105を、後方(図1における右方向)に散布する。
【0016】
シャッタ部104は、シャッタ板107(図2参照)を備え、このシャッタ板107をホッパ102と散布部103との間に位置付けてホッパ102の底部開口102Bの開口面積を変化させ、落下量を調節し、肥料105の散布量を調節する。
【0017】
散布部103とシャッタ部104とは、いずれも、フレーム108に取り付けられている。そして、フレーム108には、ホッパ保持枠102Hが取り付けられている。このホッパ保持枠102Hは、リング状をなして開口しており、ホッパ102を支持する。このようなフレーム108は、肥料散布装置101に対して前方(図1における左方向)に位置するトラクタに取り付けられ、このトラクタに装着される。
【0018】
図2は、肥料散布装置101を側面側から見た断面図である。図3は、肥料散布装置101を後方側から見た断面図である。図4は、肥料散布装置101の平面図である。まず、図2ないし図4に基づいて、散布部103及びシャッタ部104について説明する。
【0019】
[散布部] 散布部103は、散布羽根106と、入力軸201と、ベベルギア群202と、歯車203と、第1軸部204と、ギアケース205と、伝達部材206と、散布羽根ケース207とを備える。入力軸201は、トラクタに備わるPTO軸(図示せず)に連結される。入力軸201に入力されたトラクタの駆動力は、ベベルギア群202及び歯車203によって分離される。
【0020】
ベベルギア群202に含まれるベベルギア回転軸202aの外周には、歯車部202bが設けられている。このベベルギア回転軸202aは、鉛直方向に延び軸回り方向に回転自在にギアケース205に収納されている。ギアケース205には、第1軸部204の下部も収納されている。第1軸部204は、鉛直方向に延び軸回り方向に回転自在となっている。この第1軸部204は、ギアケース205から上方に突出していて、散布羽根ケース207を貫通し、ホッパ102の底部開口102Bを通過してホッパ102の内部に入り込んでいる。そして、ホッパ102の内部に入り込んだ第1軸部204におけるシャッタ板107の近傍箇所には、アジテータ204aが取り付けられている。アジテータ204aは、ホッパ102の底部開口102Bの縁に向けて水平に延びている。第1軸部204の下端には、歯車203が取り付けられている。この歯車203は、ベベルギア回転軸202aに備わる歯車部202bと噛み合っている。このため、トラクタから入力された駆動力の一部は、ベベルギア群202及び歯車203を介して、第1軸部204を回転させる駆動力になる。
【0021】
伝達部材206は、筒状の部材で、第1軸部204の外周を取り囲むように配置されている。伝達部材206の上端部分はギアケース205から上方に突出し、散布羽根ケース207(後述)に入り込んでいる。伝達部材206の残りの部分は、ギアケース205に収納されている。この伝達部材206は、第1軸部204の軸回り方向に周回自在となっている。伝達部材206の下端の外周には、歯車部206aが設けられている。この歯車部206aは、ベベルギア群202に噛み合っている。一方、伝達部材206の上端には、散布羽根106が取り付けられている。このため、トラクタから入力された駆動力の一部は、ベベルギア群202及び伝達部材206を介して、散布羽根106を回転させる駆動力になる。
【0022】
ところで、入力軸201の一部はギアケース205からトラクタ側に突出し、入力軸201の残りの部分は、ギアケース205に収納されている。また、ベベルギア群202及び歯車203も、ギアケースに収納されている。そして、ベベルギア群202及び歯車203は、散布羽根106の回転速度が第1軸部204の回転速度よりも早くなるようなギア比で構成されている。
【0023】
散布羽根ケース207は、ギアケース205とホッパ102との間に配置される扁平な箱体で、散布羽根106を収納している。散布羽根106は、伝達部材206の上端部の外周に取り付けられ、この伝達部材206の軸回り方向の回転に伴って回転する。また、散布羽根ケース207には、第1軸部204が上下方向に貫通している。この第1軸部204は、伝達部材206の内側に位置する。
【0024】
散布羽根ケース207の上面には、導入口207aが設けられている。導入口207aの上方には、ホッパ102の底部開口102Bが位置する。このため、ホッパ102内の肥料105は、落下し、導入口207aを通過して散布羽根ケース207内に入り込む。また、散布羽根ケース207の後方には、散布口207bが設けられている。このため、散布羽根ケース207内に入り込んだ肥料105は、散布羽根106の回転によって散布口207bから飛び出す。
【0025】
[シャッタ部] シャッタ部104は、シャッタ板107と、シャッタ操作レバー301と、シャッタガイド302とを備える。シャッタ操作レバー301は、ホッパ102の上端近傍でこのホッパ102とトラクタとの間に位置付けられており、上方に延びている。シャッタ操作レバー301の上端には、操作者が把持するための把持部301aが設けられている。
【0026】
シャッタガイド302には、シャッタ板107の開口量を示す目盛りが設けられていて、シャッタ操作レバー301を動かすことによりシャッタ板107が開閉されるようになっている。このシャッタ板107は、第1軸部204を中心として水平面内をスライドするように回転自在に取り付けられる。シャッタ操作レバー301の動きに応じて、シャッタ板107は、ホッパ102と散布部103との間に位置付けてホッパ102の底部開口102Bを塞ぐ位置と、この位置からシャッタ板107を退避させてホッパ102と散布部103とを連通させる位置との間をスライド移動させ開口量を変化させて散布量をコントロールする。
【0027】
次いで、図2ないし図4に基づいて、ホッパ102について説明する。
【0028】
[ホッパ] ホッパ102は、平面視において、トラクタの車幅方向に長い長円形状をなしていて、前方(トラクタ側)部分は車幅方向に概ね直線状に延び、後方部分が丸みを帯びている。換言すると、ホッパ102の平面視形状は、大福餅を横から見た形状をなしている。そして、ホッパ102は、このような長円形状を底面とする錐体形状をなしている。
【0029】
ホッパ102の内壁102aの上方には、回転ボスガイド部としてのレール体109が設けられている。レール体109は、ホッパ102の内壁102aの前方側かつ上部開口102Tの縁の近傍で車幅方向の中央位置から前後方向に水平に延び、内壁102aの後方側に交差していて、ホッパ102の内壁102aの上方を横切っている。レール体109において第1軸部204の延長線と交差する箇所には、第2支持部155(後述)を取り付けるためのベアリングボス109a(後述)が取り付けられている。また、レール体109においてホッパ102の底部開口102Bの上方でベアリングボス109aよりも後方には、前後方向に長いガイド孔110が設けられている。
【0030】
図5は、ホッパ102内に設けられる各部の分解斜視図である。図2ないし図5に基づいて説明する。ホッパ102内には、回転ボス支持体151が配置されている。回転ボス支持体151は、第1軸部204に直交する第1支持部152と、第2軸部153とを有する。ホッパ102内に位置する第1軸部204の上端には、板状の部材であって、第1軸部204から直交するように水平方向に延びている第1支持部152が取り付けられている。第2軸部153は、第1支持部152の上面から上方に、第1軸部204と平行に突出している。回転ボス支持体151は、第1軸部204と第1支持部152と第2軸部153とによって、側面視においてクランク形状をなしているように見える。
【0031】
第1軸部204と第1支持部152との連結箇所には、クラッチ部157が設けられている。このクラッチ部157は、回転ボス支持体151の第1支持部152と第1軸部204とを上下に分離するものである。本実施の形態では、クラッチ部157として、ドッグクラッチ機構を用いている。
【0032】
回転ボス154は、円筒形状をなしていて、ベアリングbr1を介して回転ボス支持体151を構成する第2軸部153に上から取り付けられる。これにより、回転ボス154は、第1支持部152の上面に載置され、第2軸部153を中心に周回方向に回転自在となっている。
【0033】
回転ボス154の上端には、ベアリングbr2を介して板状の第2支持部155が取り付けられている。ここで、第2軸部153は、第2支持部155に固定されない。また、第2支持部155には、ボルト孔155aが設けられている。このボルト孔155aには、長ボルト153aの軸部が入り込む。この長ボルト153aは、ボルト孔155a、ベアリングbr2、回転ボス154、ベアリングbr1を串刺しにして、第2軸部153に設けられたネジ受部153bに螺合する。このようにすることで、ホッパ102とともに第2支持部155が上方に持ち上げられても回転ボス支持体151と回転ボス154と第2支持部155とが分離しなくなる(図8参照)。
【0034】
第2支持部155の上面には、第1軸部204の延長線に一致させて、ベアリングボス109aが取り付けられている。このベアリングボス109aは、ボルト109aa、バネ座金109ab、平座金109ac、ベアリング109ad、止め輪109ae及びボス基部109afで構成されている。第2支持部155は、このベアリングボス109aにより、レール体109に対して第1軸部204を中心にその軸回り方向に360度回転自在となる。
【0035】
回転ボス154の外周面で後方を向いている箇所には、アーム158が取り付けられている。このアーム158は、回転ボス154から斜め上方に延びていて、レール体109と摺動自在に連結している。詳細には、アーム158の先端部からは、ガイドピン159が上方に延びている。ガイドピン159は、レール体109に設けられたガイド孔110に下方から入り込んでいる。ガイド孔110は前後方向に長い長孔となっていて、このため、ガイドピン159は、車幅方向に動かない。このようにして、アーム158は、レール体109の延びる方向にスライド自在に連結し、回転ボス154の動きを規制する。なお、レール体109にガイド孔を設け、アーム158にガイドピンを設けるようにして、ガイドピンをガイド孔に入れることでアーム158とレール体109とを摺動自在に連結させ、回転ボス154の動きを規制するようにしてもよい。
【0036】
また、回転ボス154の外周面には、ブリッジ防止体160が取り付けられている。ブリッジ防止体160は、外周がホッパ102の内周と相似形状かつやや小さい外周枠163と、これを回転ボス154上方と連結する水平杆161と、回転ボス154と連結する下方杆162とで構成され、水平杆161と下方杆162とは回転ボス154から平面視十字形状に配設されている。ここで、水平杆161のうち、トラクタの車幅方向に延びるものを第1水平杆161aと呼ぶ。この第1水平杆161aは、平面視において、アーム158に直交している。また、この第1水平杆161aに直交する別の水平杆161を、第2水平杆161bと呼ぶ。この第2水平杆161bは、平面視において、アーム158に一致している。また、下方杆162は、水平杆161の端部からホッパ102の内壁102aと平行に下方に延び、最下点で上方に折れ曲がって回転ボス154の外周面に取り付けられる。外周枠163は、平面視においてホッパ102を縮小させた相似形をなす枠体であり、各水平杆161の端部同士を連結してブリッジ防止体160の形状を維持する。
【0037】
図6(a)〜図6(c)は、ブリッジ防止体160の動きを示す平面図である。上記のように構成される肥料散布装置101では、入力軸201(図2参照)にトラクタのPTO軸からの駆動力が入力されると、ベベルギア群202及び歯車203(いずれも図2参照)を介して、第1軸部204がその軸回り方向RAに回転する。この第1軸部204の回転によって、第2軸部153は、鉛直方向に延びる姿勢を保ったまま、平面視において第1軸部204の周りを衛星運動するように動く。
【0038】
ここで、回転ボス154は、回転ボス支持体151、第2支持部155及びレール体109のいずれに対しても固定されていない。さらに、ガイド孔110にガイドピン159が入り込んでいてアーム158のガイドピン159側の端部はレール体109から離れることができない。このため、回転ボス154は、アーム158によって後方側に引っ張られながら、軸回り方向RAに動く。その結果、図6(a)、図6(b)、図6(c)の順に示すように、ブリッジ防止体160は、第1軸部204を中心として外周枠163を水平面内で前後左右に揺らすとともに回動させながら動く。
【0039】
図7(a)及び図7(b)は、ブリッジ防止体160の動きを示す側面図である。上記のようにして第1軸部204の回転に伴って回転ボス154が第1軸部204を中心に軸回り方向RAに動いてブリッジ防止体160が揺れながら動くと、ブリッジ防止体160の下方杆162は、ホッパ102の内壁102aに近接離反しながらこの内壁102aに沿って動く。このとき、ホッパ102に収容された肥料105を下方杆162は、ホッパ102内の肥料105を、ホッパ102の内壁102aに向けて突いて崩したり、ホッパ102の内壁102aに沿って動いて掻き崩したりする。したがって、本実施の形態の肥料散布装置101では、ホッパ102の形状が底面を正円とする直錐形状をなしていなくても、このように揺動するブリッジ防止体160の動きによってホッパ102内の肥料105を確実に攪拌して散布部103に落とし、散布部103の散布口207bから散布することができる。そして、作業者は、把持部301aを把持してシャッタ操作レバー301を動かし、シャッタ板107を水平方向にスライド移動させてホッパ102と散布部103とを連通させたり閉塞したりして、トラクタが走行する圃場に対する肥料105の散布量を調整することができる。
【0040】
図8は、ホッパ102を上方に回動した状態の肥料散布装置101を側面から見た断面図である。本実施の形態の肥料散布装置101では、ホッパ102は、ホッパ保持枠102Hに載置されていて、ホッパ保持枠102Hはフレーム108に対し後方へ回動可能であり、回動することでホッパ102も回動され、清掃やメンテナンスが容易となる。また、第1軸部204に設けられたクラッチ部157は、ホッパ102の回動時、自動的に、第1軸部204と第2軸部153とを上下に分離するものである。
【0041】
このような構造を備えることで、本実施の形態の肥料散布装置101では、ホッパ102を上方に回動して持ち上げることができる。ここで、ホッパ102にはレール体109が連結され、このレール体109にはベアリングボス109aを介して第2支持部155が取り付けられている。そして、第1支持部152と第2支持部155とは、長ボルト153aによって連結され、この長ボルト153aのまわりに回転ボス154が配置されている。これにより、ホッパ102が上方に持ち上げられたときに、回転ボス支持体151におけるクラッチ部157よりも上方の部分も一緒に持ち上がる。このため、本実施の形態の肥料散布装置101では、ホッパ102を含めこれよりも上方の各部を丸ごと取り外して導入口207aを露出させ、この導入口207aから散布羽根ケース207の内部を清掃することが可能になる。
【符号の説明】
【0042】
101 肥料散布装置
102 ホッパ
102a ホッパの内壁
102B 底部開口
103 散布部
104 シャッタ部
105 肥料(被散布物)
109 レール体(回転ボスガイド部)
151 回転ボス支持体
153 第2軸部
154 回転ボス
157 クラッチ部
158 アーム
160 ブリッジ防止体
204 第1軸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部開口が設けられ被散布物を収容するホッパと、
前記底部開口を開閉するシャッタ部と、
前記底部開口を通過して落下した前記被散布物を散布する散布部と、
前記底部開口から上方に延出し軸回り方向に回転自在の第1軸部と、
前記ホッパ内に設けられ、前記第1軸部の回転に伴って水平方向に揺動し前記ホッパの内壁に近接離反するブリッジ防止体と、
を備える肥料散布装置。
【請求項2】
底部開口が設けられ被散布物を収容するホッパと、
前記底部開口を開閉するシャッタ部と、
前記底部開口を通過して落下した前記被散布物を散布する散布部と、
前記底部開口から上方に延出し軸回り方向に回転自在の第1軸部と、
前記第1軸部から水平方向に延び更に上方に延びて前記第1軸部と平行に設けた第2軸部と、
前記第2軸部を中心に周回方向に回転自在の回転ボスと、
前記ホッパの内壁の上方に固着して設けた回転ボスガイド部と、
前記回転ボスから延出され、前記筒体ガイド部と摺動自在に連結するアームと、
前記回転ボスに固着して保持され前記ホッパの内壁近傍に設けられ、前記第1軸部の回転に伴って前記回転ボスとともに水平方向に揺動し前記ホッパの内壁に近接離反するブリッジ防止体と、
を備える肥料散布装置。
【請求項3】
前記第1軸部と前記第2軸部とを分離するクラッチ部を更に備える、
請求項1又は2記載の肥料散布装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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