説明

肺機能検査システムの制御方法及び肺機能検査システム

本発明は、肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を検出するための肺機能検査システムを制御するための方法に関する。肺機能検査システムは、被験者の吸気空気及び呼気空気の流れ内に配置されている、被験者の呼吸ガスサンプルを採取するユーザユニットと、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積を測定し、被験者の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出する少なくとも一つの分析ユニットと、被験者の心拍数を測定する少なくとも一つの測定装置と、肺機能検査システムを制御する少なくとも一つの制御装置と、被験者に肉体的な負荷を掛けるカーディオ装置ユニットとを有している。被験者に掛かる負荷を段階的に高めた際に、負荷上昇前のある負荷レベルが終了する領域においてのみ、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定及び生理学的なパラメータの検出を負荷レベルが終了する領域における少なくとも1回の呼吸に関して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を検出するための肺機能検査システムの制御方法及び相応に構成されている肺機能検査システムに関する。
【0002】
古典的な肺機能検査では、肉体的な負荷が掛けられている間に被験者の呼吸ガスが測定される。肺機能検査において検出される最も重要な呼吸ガスパラメータは酸素摂取量、二酸化炭素排出量、分時換気量及び呼吸数である。それらのパラメータから別のパラメータ、例えば呼吸商、酸素及び/又はCO2についての換気当量及び1回換気量を算出することができる。
【0003】
高められた肉体的な負荷が掛けられている間の最大酸素摂取量、有酸素性作業閾値及び無酸素性作業閾値のようなパラメータを用いて、被験者の持久運動能力を表すことができる。
【0004】
ガス交換(酸素消費量、二酸化炭素生産量)と基質代謝との化学量論的な関係に基づき、炭水化物酸化及び脂質酸化のその都度の基質酸化速度が、呼吸時に接種した酸素の所定量と、それに続いて吐き出した二酸化炭素の量とに基づき求められる。この関係は当業者に間接熱量測定法として公知である。従って、肺機能検査は、被験者のカロリー消費量及び基質代謝(脂質代謝及び炭水化物代謝)を求めるために肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を測定するために使用される。更には、肺機能検査の結果を基準値と比較によって、被験者の心肺系の仕事率を推量することができる。
【0005】
最大酸素摂取量は、持久運動能力を判定するための古典的なパラメータとみなされる。付加的に、個別のトレーニング強度を定めるために、最大酸素摂取量のパラメータが利用される。この場合、「個別の」基礎トレーニング範囲を定めるために、最大酸素摂取量の個別の測定値に関する一種のフィルタとして標準百分率範囲がセットされる。この標準百分率範囲によっても一般化しか得られず、またトレーニングの提案は正確になる。統計的な値を考慮すると、例えば、人間の基礎トレーニング範囲は常に最大酸素摂取量の約65%に達し、このことは、実際の個別の基礎トレーニング範囲を表すものではなく、また、目的に適ったトレーニングの提案を実現するものでもない。最大酸素摂取量を検出する際に、被験者は最大限に負荷が掛けられる。最大酸素摂取量は、換気、心臓循環容量及び筋肉組織における局所的な酸素消費量に依存する。従って被験者は、完全に疲弊するまで負荷を掛けることができる状態になければならない。しかしながら、特定の病像では最大限に負荷を掛けることは最初から除外されている。
【0006】
従来技術から公知である、肺機能検査装置を用いて呼吸ガスを測定するための方法では、被験者が測定中に、換気される空気体積を測定するための体積流センサと、吸込み区間としての細いチューブとが接続されているマスクを着用することが必要になる。チューブを介してガスサンプルが呼気空気から採取され、ガス成分の濃度を求めるためにガスセンサに案内される。呼気空気の百分率ガス含有量は続いて周囲空気の百分率ガス含有量と比較される。絶対値の算出は換気される空気体積の知識のもとで実現される。測定された値に基づき、被験者のエネルギ代謝の生理学的なパラメータの検出が行われる。呼吸ガス分析のためのこの経過及び相応のセンサは、当業者には基本的に既に公知である。
【0007】
最大酸素摂取量を求めるために、呼吸ガス組成及び呼吸流体積が連続的に測定されるので、被験者は約8分から30分のテスト期間全体にわたりマスクを着用することが必要となり、これは通常の場合煩わしく感じられる。その他の点では、最大酸素摂取量を検出するために、最大負荷に到達するまでの長いテスト期間は欠点であり、被験者にとっては非常に骨が折れるものである。
【0008】
WO 2009/056457 A1からは、トレーニングユニット又はリハビリテーションユニットを開ループ制御及び/又は閉ループ制御するための方法が公知であり、この方法では、センサユニットを用いて呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積が測定され、その測定を基礎として、被験者の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出することができる。公知の方法では、仕事率特性量が、最大下負荷時に検出された生理学的なパラメータを基礎として、回帰関数を用いて、及び/又は、最大仕事率まで負荷を掛け続けることによって連続的に求められている。トレーニングユニット及び/又はリハビリテーションユニットを開ループ制御及び/又は閉ループ制御するための別の方法はWO 2009/024427 A1から公知である。
【0009】
本発明の課題は、個別の仕事率診断及び代謝診断、特に、目的に適った個別の食事指示、運動指示及びトレーニング指示の調整を高い精度で簡単に実現する、肺機能検査システムの制御方法及び肺機能検査システムを提供することである。更には、より短いテスト期間及び被験者にとってのより高い快適性での個別の仕事率診断及び代謝診断が実現されるべきであるが、この際に、被験者の肉体的な負荷は可能な限り小さくあるべきである。
【0010】
前述の課題を解決するために、本発明によれば、肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を検出するための肺機能検査システムを制御するための方法が提案され、この方法では、肺機能検査システムが、被験者の吸気空気及び呼気空気の流れ内に配置されている、被験者の呼吸ガスサンプルを採取するためのユーザユニットと、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積を測定し、被験者の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出するため、特に、少なくとも1回の呼吸時に被験者によって摂取された酸素体積及び呼吸後に吐き出された二酸化炭素体積、有利には呼吸商を検出するための少なくとも一つの分析ユニットと、被験者の心拍数を測定するための少なくとも一つの測定装置と、肺機能検査システムを制御するための少なくとも一つの制御装置と、被験者に肉体的な負荷を掛けるためのカーディオ装置ユニットとを有しており、カーディオ装置ユニットを操作して被験者に掛かる負荷を段階的に高めた際に、即ち、カーディオ装置ユニットにおいて被験者によってもたらされた仕事率を段階的に高めた際に、負荷上昇前のある負荷レベル又は仕事率レベルが(時間的に)終了する領域においてのみ、有利には自動的に、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定、また測定値を基礎とした生理学的なパラメータの検出、特に、摂取した酸素体積及び吐き出された二酸化炭素体積の検出が、前記負荷レベルが終了する領域における少なくとも1回の呼吸に関して行われる。相応に、本発明による肺機能検査システムは、前述の方法を実施するよう構成されている制御装置を有している。
【0011】
本発明による方法では、従来技術とは異なり、換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータの連続的な検出が行われるのではなく、そのようなパラメータの不連続的な検出、特に、摂取された酸素体積及び吐き出された二酸化炭素体積の不連続的な検出が行われる。検出された生理学的なパラメータを基礎として、実際の個別の能力診断及び代謝診断が実現され、有利には、静止状態から出発して、無酸素性作業閾値に達しているか、又は、既に無酸素性作業閾値を上回っている高負荷状態まで、複数の負荷レベルにわたって、被験者には負荷が高められながら掛けられる。有利にはそれぞれが同じ長さの持続時間を有しているそれぞれの負荷レベルの終了時にのみ生理学的なパラメータが検出されることによって、必要とされる測定の回数が低減されるが、それにもかかわらず、高められた負荷時のエネルギ代謝の経過を正確に検出することができる。このことはユーザにとっての高い快適性に寄与し、また、エネルギ代謝診断の短い総診断時間に寄与する。
【0012】
本発明による方法及び本発明による肺機能検査システムによって、個人的なエネルギ代謝を求めることができる。即ち、筋肉組織におけるエネルギ代謝のための脂肪及び炭水化物の個別の供給量を求めることができる。これによって、目的に適った個別の食事指示、運動指示及びトレーニング指示を提供することができる。本発明によれば、所定の時点において、且つ、短い時間にわたり、特に、吸気及び呼気された酸素量及び二酸化炭素の量が検出される。例えば有酸素の脂肪代謝、即ち酸素を基礎とする脂肪代謝の最適値に達している負荷強度を達成することを目的とすることができる。この時点においては、肉体固有の脂肪を燃焼させることによって、エネルギ代謝が最大の割合で行われる。この負荷範囲でのトレーニングによって、脂肪からエネルギを供給する有機体の効率が改善される。トレーニング強度をコントロールするために、ユーザは、脂肪燃焼の求められた最適値において同時に測定されている心拍数を目標とする。有利には、有酸素性作業閾値に達している負荷強度を自動的に求めることができる。
【0013】
本発明による方法及び相応の肺機能検査システムは、個別のエネルギ代謝経過を検出する際に被験者に負荷を掛けることは必ずしも必要ないという利点を有している。エネルギ代謝経過は本発明による方法の使用時に、最大酸素摂取量を基礎として逆算されるのではなく、有利には最大下負荷を被験者に掛けた際に実際に(不連続的に)測定される。これによって、統計的な評価を実施する必要なく、個人的なエネルギ代謝を求める際の高い精度が保証される。
【0014】
一つの負荷レベルが終了する範囲においてのみ不連続的な測定が行われることによって、被験者はもはや、負荷レベルの持続時間全体にわたり呼吸マスクなどを装着する必要はない。特に、負荷レベルの終了時のスポット測定に基づき、呼吸ガスを採取するための吸込み部を備えた(交換可能な)呼吸管と装置ケーシングとから構成されているユーザユニットを使用することができる。ユーザユニットからガスサンプルを採取する際に、被験者の鼻呼吸を排除するために鼻を閉鎖することができる。前述のようなユーザユニットを使用する場合には、マスクを着用することはそもそも必要なくなり、これによって被験者にとっての高い快適性が得られる。
【0015】
結果として、本発明による方法及び本発明による肺機能検査システムは、被験者のエネルギ代謝の個別の実際の状態を、比較的少ない回数の測定で、非常に高速で簡単且つ正確に検出することができる。
【0016】
ガス交換のパラメータとして、本発明による方法が意図するところでは、有利には酸素摂取量、呼息時の二酸化炭素排出量及び/又はそこから導出されるパラメータ、例えば有酸素性作業閾値、呼吸商及び/又は酸素パルスが検出される。換気のパラメータとして、有利には1回換気量、呼吸数、及び、呼吸時間体積、及び/又は、そこから導出される酸素に関する換気当量を検出することができる。
【0017】
本発明が意図するところのカーディオ装置ユニットとしては、エルゴメータ、フィットネス機器、クロストレーナ、インドアローイング、ローイングマシン、トレッドミル、歩行マシン、スピンバイク又は自転車等が考えられる。
【0018】
負荷が高まった際の個人的なエネルギ代謝経過を検出するために、呼吸ガス組成及び/又は呼吸ガス体積の測定及び生理学的なパラメータの検出を自動的に、負荷レベルが終了する前の40秒以下の期間、有利には30秒以下、特に10秒から20秒以下の期間にわたり行うことで既に十分である。生理学的なパラメータを、負荷レベルが終了する前の最後の8回、有利には最後の5回又は5回未満の呼吸に対して検出することができる。しかしながら、所望の生理学的なパラメータを検出するための呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定は、エネルギ代謝が安定した状態又は不変の状態に達したときに初めて行われることが望ましい。エネルギ代謝が安定した状態では、被験者に掛けられる負荷が不変であれば、それぞれの負荷範囲について高い精度で所望の生理学的なパラメータを検出するためには、基本的には1回の呼吸で既に十分である。結果として、本発明による方法は、実施される測定が僅かな回数でも、被験者のエネルギ代謝を非常に正確に表すことができる。
【0019】
被験者の負荷に依存するエネルギ代謝経過を求める際の短い総時間を保証するために、負荷レベルの持続時間は3分以下、有利には約2分又はそれ以下で良い。隣接する二つの負荷レベル間の負荷上昇は10ワットから100ワット、有利には約25ワットで良く、その結果、カーディオ装置ユニットの操作時に被験者によってもたらされる仕事率に依存して、エネルギ代謝経過の正確な検出が保証されている。この関係において、例えば60秒以上の持続時間の経過後、有利には75秒以上の持続時間の経過後、特に、約90秒以上の持続時間の経過後に安定した代謝状態を生じさせることができ、それに続いて、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定及び生理学的なパラメータの検出を行えることが分かった。
【0020】
それぞれの負荷レベルの終了前の測定期間においては、生理学的なパラメータを測定期間における呼吸の度に個別に検出することができ、続いて、検出された生理学的なパラメータの平均値を、負荷レベルの終了前に測定期間において行われた呼吸の総数について自動的に求めることができる。これはエネルギ代謝パラメータを検出する際の高い精度に寄与する。その他の点では、誤りのある呼吸を自動的に識別し、平均値形成から除外することができる。「誤りのある」呼吸は、例えば、測定された酸素濃度値及び/又は二酸化炭素値及び/又は測定された呼吸体積流の曲線経過の期待される曲線経過からの偏差から求めることができる。
【0021】
被験者の負荷を検出する、カーディオ装置ユニットの能力ユニット、例えばカーディオ装置ユニットの抵抗装置又は制動装置を手動で、又は有利には自動的に開ループ制御及び/又は閉ループ制御することができ、更に有利には、事前に検出された生理学的なパラメータに依存して開ループ制御及び/又は閉ループ制御することができる。
【0022】
脂肪代謝の最適値に達する負荷強度を検出するために、被験者に最大限の負荷を掛けることは必ずしも必要とされない。生理学的なパラメータの検出は、この関係において本発明によれば、最大で約1.1、有利には約1.0の呼吸商を生じさせる負荷レベルにおいてのみ行うことができる。被験者に負荷を掛けた際の最大酸素摂取量の検出はこの場合行われない。これによって、エネルギ代謝を分析する際の総テスト期間は著しく短縮され、また被験者に対する肉体的な要求は著しく低減される。
【0023】
しかしながら基本的に、1.09以下、有利には約1.0の呼吸商に達するまで、段階的に負荷を高めて、それぞれの負荷レベルが終了する領域における生理学的なパラメータを求めることができ、また、比較的大きい呼吸商に達した際に負荷を続けて連続的に高め、また生理学的なパラメータを連続的に検出することができる。本発明による方法のこの実施の形態においては、負荷が段階的に高められる傾斜路テスト及び不連続的な測定を基礎とした、最大下負荷時のエネルギ代謝パラメータの検出を介する個別の仕事率診断及び代謝診断は、被験者に負荷を掛けた際の最大酸素摂取量の後続の算出、有利には連続的な測定を内容とする。これによって、被験者のエネルギ代謝の非常に広範囲な仕事率診断が実現される。
【0024】
これに対して、代替的な実施の形態においては、被験者の負荷が段階的に高められ、また生理学的なパラメータがそれぞれの負荷レベルの終了の範囲において求められ、しかも、約1.1、有利には1.0の呼吸商に達するまで求められる。結果として、被験者に負荷を掛けた際の最大仕事率に達するまで、被験者の負荷を段階的に高めることができる。持久運動能力の判定との関係において、最大酸素摂取量を求める際の高い精度に関して、約1.0、有利には約1.09の呼吸商に達した後のレベル高さ、即ち、ある負荷レベルから次の負荷レベルへの負荷の上昇幅を高めることができる、又は、上昇の期間を相応に延長することができる、及び/又は、ある上昇から次の上昇までの期間を短縮することができる。
【0025】
以下の表には、被験者に種々の負荷を掛けた際の被験者のエネルギ代謝に関して求められた値の実例が挙げられている。呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定、及び、生理学的なパラメータ、例えば「酸素摂取量」及び「二酸化炭素排出量」又は「呼吸商RER」の検出、また、それらから導出される、カロリー消費量についての記述は、それぞれの負荷レベルが終了する前の最大30秒の測定期間に関係付けられている。
【0026】
【表1】

表1:被験者の負荷を高めた際のエネルギ代謝経過
【0027】
被験者は表1によれば非常に良好な基礎持久力を示している。脂肪代謝範囲にわたり、特に、140ワットでの約102の脈拍数までの再生トレーニング範囲、及び、275ワットでの約134の脈拍数までの広範な基礎範囲を表すことができる。集中的なトレーニングは134から152の心拍数(275ワットから350ワット)で行われる。無酸素エネルギ供給への移行領域における非常に集中的なトレーニングは、350ワット以上の152の心拍数にわたり行われるべきである。最大心拍数は約167であり、これは低いトレーニング心拍数も表している。
【0028】
表1における求められた生理学的なパラメータ値からは、以下の表2に示されているような、個別的なトレーニング範囲を表すことができる。
【0029】
【表2】

表2:個別的なトレーニング範囲
【0030】
第1のトレーニング範囲TB1「再生」は、個別の高い能動的な脂肪代謝を有する範囲(エネルギ供給における相対的な割合)を表す。範囲TB2「基礎トレーニング」は有酸素代謝を改善するための低い強度を有する広範囲な基礎トレーニングを含む。個別に、高い脂肪燃焼が存在する。第3の範囲TB3「合成」は、有酸素の仕事率及び心臓循環系の仕事率を改善するための比較的高い強度を有する集中的な基礎トレーニングを含む。ここでは、集中的な炭水化物燃焼への移行が行われる。第4の範囲TB4「競争及びピーク範囲」は、インターバルトレーニング又はテンポトレーニング時のような、無酸素エネルギ供給への移行時の非常に集中的なトレーニング範囲に該当する。
【0031】
求められたエネルギ代謝経過を、負荷強度に依存してグラフで表すことができる。測定されたエネルギ代謝から、特に脂肪代謝から、手動で、又は自動的に、個別的なトレーニング範囲を決定することができる。
【0032】
詳細には、本発明による方法を構成して発展させるための種々の可能性が存在し、一方では従属請求項に記載されており、他方では図面を参照する本発明の有利な実施の形態の以下の説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】肉体的な負荷が掛けられている間に、エネルギ代謝を検出するための肺機能検査システム1を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するための方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面には、肉体的な負荷が掛けられている間に、エネルギ代謝を検出するための肺機能検査システム1を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するための方法が概略的に示されている。肺機能検査システム1は、被験者4の呼吸ガス3を採取するための、被験者4の吸気及び呼気の流れ内に配置されているユーザユニット2と、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積を測定し、被験者4の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出するため、特に、呼吸時に被験者によって摂取された酸素体積及び呼吸後に吐き出された二酸化炭素体積、有利には呼吸商を検出するための、概略的に示されている少なくとも一つの分析ユニット5とを有している。更には、被験者4の心拍数を測定するための測定装置6が設けられており、これも同様に図面においては概略的に示されている。最後に、肺機能検査システム1は、この肺機能検査システム1を制御するための制御装置7と、被験者4に肉体的な負荷を掛けるためのカーディオ装置ユニット8とを有している。
【0035】
図示されている方法においては、カーディオ装置ユニット8の操作時に被験者4に掛けられる負荷が段階的に上昇されると、負荷上昇前の負荷レベルが時間的に終了する領域においてのみ、有利には自動的に、呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積の測定及び生理学的なパラメータの検出が行われる。特に、摂取された酸素体積及び吐き出された二酸化炭素体積の検出が、負荷レベルが終了する領域における少なくとも1回の呼吸に関して行われる。
【0036】
更には、従属請求項の内の一つによる方法を実施することができるように、制御装置7を構成することができ、また肺機能検査システム1と協働させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を検出するための肺機能検査システム(1)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するための方法において、
前記肺機能検査システム(1)は、
被験者(4)の吸気空気及び呼気空気の流れ内に配置されている、前記被験者(4)の呼吸ガスサンプル(3)を採取するためのユーザユニット(2)と、
呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積を測定し、前記被験者(4)の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出するため、特に、呼吸時に前記被験者(4)によって摂取された酸素体積及び呼吸後に吐き出された二酸化炭素体積、有利には呼吸商を検出するための少なくとも一つの分析ユニット(5)と、
前記被験者(4)の心拍数を測定するための少なくとも一つの測定装置(6)と、
前記肺機能検査システム(1)を制御するための少なくとも一つの制御装置(7)と、
前記被験者(4)に肉体的な負荷を掛けるためのカーディオ装置ユニット(8)とを有しており、
前記カーディオ装置ユニット(8)を操作して前記被験者(4)に掛かる負荷を段階的に高めた際に、負荷上昇前のある負荷レベルが終了する領域においてのみ、有利には自動的に、前記呼吸ガス組成及び/又は前記呼吸流体積の測定及び前記生理学的なパラメータの検出、特に、摂取した酸素体積及び吐き出された二酸化炭素体積の検出を、前記負荷レベルが終了する領域における少なくとも1回の呼吸に関して行うことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記呼吸ガス組成及び/又は前記呼吸流体積の測定及び前記生理学的なパラメータの検出を自動的に、特に不連続的に、前記負荷レベルが終了する前の40秒以下の期間、有利には30秒以下の期間、特に10秒から20秒以下の期間にわたり行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生理学的なパラメータを、前記負荷レベルが終了する前の8回以下の呼吸、有利には5回の呼吸又はそれよりも少ない回数の呼吸について自動的に検出する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一つの負荷レベルの持続時間は3分以下、有利には約2分である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
隣接する二つの負荷レベル間の負荷上昇は10ワットから100ワット、有利には約25ワットである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記生理学的なパラメータを前記負荷レベルが終了する前の各呼吸について個別に検出し、続いて、前記負荷レベルが終了する前の測定期間に行われた呼吸の総数についての、前記生理学的なパラメータの平均値を自動的に形成する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
誤りのある呼吸を自動的に識別し、平均値形成から除外する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記被験者(4)の負荷を検出する、前記カーディオ装置ユニット(8)の能力ユニット、例えば前記カーディオ装置ユニット(8)の抵抗装置又は制動装置を自動的に開ループ制御及び/又は閉ループ制御し、有利には、検出された生理学的なパラメータに依存して開ループ制御及び/又は閉ループ制御する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生理学的なパラメータの検出を、最大で約1.1の呼吸商に達するまで、特に約1.0の呼吸商に達するまでの負荷レベルにおいてのみ行なう、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1.09よりも小さい呼吸商、有利には1.03以下の呼吸商、更に有利には約1.0の呼吸商に達するまで、段階的な負荷上昇を行い、前記生理学的なパラメータをそれぞれの負荷レベルが終了する領域において求め、比較的大きい呼吸商に達した際に負荷を続けて連続的に高め、前記生理学的なパラメータを連続的に検出する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷を段階的に高め、前記生理学的なパラメータを、最大で約1.1の呼吸商、有利には約1.0の呼吸商に達するまで、それぞれの負荷レベルが終了する領域において求める、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
肉体的な負荷が掛けられている間にエネルギ代謝を検出するための肺機能検査システム(1)において、
前記肺機能検査システムは、
被験者(4)の吸気空気及び呼気空気の流れ内に配置されている、前記被験者(4)の呼吸ガスサンプルを採取するためのユーザユニット(2)と、
呼吸ガス組成及び/又は呼吸流体積を測定し、前記被験者(4)の換気及び/又はガス交換の生理学的なパラメータを検出するため、特に、呼吸時に前記被験者(4)によって摂取された酸素体積及び呼吸後に吐き出された二酸化炭素体積、有利には呼吸商を検出するための少なくとも一つの分析ユニット(5)と、
前記被験者(4)の心拍数を測定するための少なくとも一つの測定装置(6)と、
前記肺機能検査システムを制御するための少なくとも一つの制御装置(7)と、
前記被験者(4)に肉体的な負荷を掛けるためのカーディオ装置ユニット(8)とを有しており、
前記制御装置(7)は、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するために構成されていることを特徴とする、肺機能検査システム(1)。

【図1】
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【公表番号】特表2013−501551(P2013−501551A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524135(P2012−524135)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004805
【国際公開番号】WO2011/018187
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512036199)アセオス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】ACEOS GmbH
【住所又は居所原語表記】Karolinenstr. 108, D−90763 Fuerth, Germany
【Fターム(参考)】