説明

肺癌特異的メチル化マーカー遺伝子を利用した肺癌検出方法

本発明は肺癌特異的なバイオマーカーを利用した肺癌の検出方法に関し、より具体的には、肺癌形質転換細胞で5’UTRまたはエクソン1領域が特異的にメチル化されたPCDHGA12遺伝子のメチル化を確認することができる肺癌診断用バイオマーカー及び前記バイオマーカーを利用した肺癌の検出方法に関する。本発明の診断用キットを利用すると、通常の方法より正確でかつ早く肺癌の早期診断が可能であり、肺癌及びその進行段階の予後予測及びモニタリングに応用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は肺癌特異的なバイオマーカーを利用した肺癌の検出方法に関し、より具体的には、肺癌形質転換細胞において5’UTRまたはエクソン1領域が特異的にメチル化されるPCDHGA12遺伝子のメチル化を確認することができる肺癌診断用バイオマーカー及び前記バイオマーカーを利用した肺癌及びその進行段階の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肺癌は非常に稀な腫瘍であったが、20世紀に入って喫煙が一般的になってから、急激に増加し始めて、欧州においては男女共に多く発生している。韓国では男性に多発する悪性腫瘍であり、女性でも驚く程その頻度が増加している傾向にある。このような肺癌の発生頻度の増加は喫煙、大気汚染及び産業公害増加などに起因する。
【0003】
医学が発達した今日に至っても癌、特に大多数を占める固形癌(solid tumor:血液癌を除いた癌)の5年間生存する割合は50%未満で、全体癌患者の約3分の2は進行段階で発見され、その多くは診断後2年以内に死亡する。このように低い癌治療効果は治療法の問題だけでなく、実際癌を早期に診断できる方法と進行中の癌を正確に診断し、治療後の追跡調査が容易でないためである。
【0004】
最近、癌の診断に遺伝子検査が積極的に試みられており、代表的な方法は血液から白血病の遺伝子指標であるABL:BCR(Abelson Murine Leukemia Viral Oncogene Homolog:Breakpoint cluster region)融合遺伝子の有無をPCRで探す方法である。また、癌細胞が発現する遺伝子の存在をRT−PCR及びブロッティングで把握することによって、血球細胞中に共に存在する癌細胞を診断する方法が試みられている。しかし、前記方法は前立腺癌と黒色種などの一部の癌にだけ適用可能で、偽陽性率(false positive rate)が高く、検査及び判読方法の標準化が難しく、その有用性にも限界があった(Kopreski、M.S. et al., Clin.Cancer Res., 5:1961, 1999, Miyashiro, I. et al., Clin chem., 47:505, 2001)。また、最近血清(serum)や血漿(plasma)内DNAを使用する遺伝子検査が活発に試みられている。前記癌から遊離されたDNAを持って癌遺伝子(oncogene)と腫瘍抑制遺伝子の突然変異、消失、機能喪失などの癌特異的な遺伝子異常を分析すると癌を診断することができる。
【0005】
一方、肺癌患者で喀痰や気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid)内に存在する癌細胞及び癌遺伝子の存在を遺伝子検査や抗体検査で探す方法が試みられている(Palmisano, W.A. et al., Cancer Res., 60:5954, 2000, Sueoka, E. et al., Cancer Res., 59:1404, 1999)。しかし、多くの遺伝子の異常を伴って、多様な変移を示す癌を正確に診断するためには多数遺伝子を同時に、そして正確に自動分析できる方法が求められるが、このような方法はまだ確立されていない。
そこで、最近ではDNAメチル化測定を介して、癌を診断する方法が提示されているが、DNAメチル化は主に特定遺伝子のプロモーター部位のCpGアイランド(CpG island)のシトシン(Cytosine)で起きて、これによって転写因子の結合が妨害を受けて特定遺伝子の発現が遮断されるようなもので、腫瘍抑制遺伝子のプロモーターCpGアイランドのメチル化を検索するのが癌研究に多いに役立ち、これをメチル化特異的PCR(methylation specific PCR、以下、「MSP」という)や自動塩基分析などの方法で調べて、癌診断とスクリーニングなどに利用しようとする試みが活発に行われている。
【0006】
プロモーターCpGアイランドのメチル化が発癌を直接誘発するのか、または発癌に2次的な変化を起こすのかに対する論議はあるが、多種の癌において腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor gene)、DNA修復遺伝子(DNA repair gene)、細胞周期調節遺伝子などが過剰メチル化(hypermethylation)されていて、これらの遺伝子の発現が遮断されていることが確認され、特に癌発生の初期段階において特定遺伝子のプロモーター部位に過剰メチル化が起きることが知られている。
【0007】
従って、腫瘍関連遺伝子のプロモーターメチル化が癌の重要な指標であり、これは癌の診断及び早期診断、発癌危険の予測、癌の予後予測、治療後追跡調査、抗癌療法に対する反応予測など多方面に亘って利用することができる。実際、血液や喀痰、唾、大便、尿などから腫瘍関連遺伝子のプロモーターメチル化を調べて、各種癌診療に使おうとする試みが最近活発になっている(Esteller, M. et al., Cancer Res., 59:67, 1999, Sanchez-Cespedez, M. et al., Cancer Res., 60:892, 2000, Ahlquist, D.A. et al., Gastroenterol., 119:1219, 2000)。
【0008】
現在、肺癌の診断は多様な検査を通してのみ可能で、肺癌と疑われる症状が現れる場合、胸部撮影検査、顕微鏡検査、ビデオ鏡検査、生検、転移の有無確認検査等を介して、肺癌であるか否かを調べて、その進行程度などを判断する。しかし、前記検出方法は高価な装備、高費用、検体採取に困難があるだけでなく、肺癌の初期診断には不向きである。従って、肺癌の場合、腫瘍の大きさが3cm未満の第1病期の5年生存の可能性は約70%に達することから、患者の生存期間を延ばすためには病変範囲が小さい時、早期診断するのが最も良い方法である。そこで、既存の各種肺癌検出方法より効率的な検出方法、即ち、早期に診断が可能で、大容量で検体を処理できて、感度及び特異度が高い新しい診断に使う肺癌特異的バイオマーカーの開発が切に求められているのが現状である。
【0009】
従って、本発明者等は大腸癌特異的発現減少遺伝子LAMA2(laminin Merosin alpha 2)、FABP4(fatty acid binding protein 4)、GSTA2(glutathione S-transferase A2)、STMN2(stathmin-like 2)、NR4A2(nuclear receptor subfamily 4, group A, member 2)、DSCR1L1(down syndrome critical region gene 1-like 1)、A2M(alpha-2-macroglobulin)及びSEPP1(selenoprotein P, plasma, 1)のメチル化されたプロモーターを利用した癌診断用マイクロアレイ及び癌診断キットに対し出願して、登録を受けた(韓国登録特許第10−0617649号)。
【0010】
そこで、本発明者等は肺癌を効果的に診断できる診断用キットを開発しようと鋭意努力した結果、肺癌細胞において特異的にメチル化されたPCDHGA12(GenBank NM_032094)遺伝子のメチル化された5’UTRまたはメチル化されたエクソン1領域を肺癌特異的バイオマーカーとして利用してメチル化程度を測定することによって、肺癌及びその進行段階を診断できることを確認して本発明の完成に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、肺癌において特異的にメチル化された遺伝子のメチル化部位を含有する肺癌診断用バイオマーカーを提供することである。
本発明の他の目的は、肺癌診断用バイオマーカーを利用した肺癌及びその進行段階の検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12、protocadherin gamma subfamily A, 12)のメチル化された5’UTRまたはメチル化されたエクソン1領域を含む肺癌診断用バイオマーカーを提供する。
【0013】
本発明はさらに、一つ以上のメチル化されたCpGアイランドを含有して、配列番号2〜4のうちいずれか一つの塩基配列として表される肺癌診断用バイオマーカーを提供する。
【0014】
本発明はさらに、(a)臨床サンプルからDNAを分離する段階、及び(b)前記分離したDNAからPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子の5’UTRまたはエクソン1領域のメチル化を検出する段階を含む肺癌またはその進行段階の検出方法を提供する。
本発明の他の特徴及び具現例は、下記の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲からより一層明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】肺癌診断用メチル化バイオマーカーPCDHGA12を探し出す過程を示した模式図である。
【図2】正常細胞及び肺癌細胞株においてPCDHGA12のメチル化程度を確認した遺伝子部位(A)とUTR及びエクソン部位のメチル化程度(B)をバイサルファイトシーケンシング法で測定した図である。
【図3】正常細胞及び4種の肺癌細胞においてPCDHGA12遺伝子のメチル化程度をパイロシーケンシング法で測定した図である。
【図4】5個の正常組織、4個の対を成す肺癌手術組織におけるPCDHGA12のメチル化程度をパイロシーケンシング法で測定した図である。
【図5】正常な人(51人)と肺癌患者(81人)の喀痰細胞ゲノムDNAを利用してメチル化を測定した図である。
【図6】正常及び肺癌細胞株と正常な人と肺癌患者の喀痰DNAを利用してPCDHGA12遺伝子プロモーターのメチル化程度を測定した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は一観点において、肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)のメチル化された5’UTRまたはメチル化されたエクソン1領域を含む肺癌診断用バイオマーカーに関する。
【0017】
本発明において、前記メチル化された5’UTR(untranslated region)またはメチル化されたエクソン1領域は、少なくとも一つのメチル化されたCpGジヌクレオチドを含有することを特徴とし、前記5’UTR及びエクソン1領域は配列番号1で表されるのを特徴とする。
【0018】
本発明によるメチル化マーカー遺伝子をスクリーニングする方法は、一様態において(1)形質転換された細胞株及び非形質転換された細胞株を対象に形質転換された細胞株にだけDNA過剰メチル化された遺伝子を選択する段階、(2)形質転換された肺癌組織細胞及び隣接部位の非形質転換組織細胞の遺伝子発現プロファイルを比較して、非形質転換組織細胞にさらに多く発現する遺伝子のプロファイルを分類する段階、(3)形質転換された肺癌細胞株をメチル化阻害剤で処理し、処理しない形質転換された肺癌細胞株と比較して、メチル化阻害剤を処理した形質転換された肺癌細胞株にさらに多く発現する遺伝子のプロファイルを分類する段階、及び(4)、(1)、(2)及び(3)段階において得た遺伝子プロファイルを比較して、前記3プロファイル全てに存在する遺伝子を非形質転換状態から形質転換された肺癌細胞形態に転換中である細胞のゲノムにおいてメチル化によって調節されるマーカー遺伝子と見なす段階を含む方法が挙げられる。
【0019】
本発明において、肺癌細胞株のゲノムDNAから前記スクリーニング法でスクリーニングされた肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12遺伝子は5’UTR及びエクソン1領域のCpGアイランドがメチル化されていた。
【0020】
他の観点において、本発明は一つ以上のメチル化されたCpGアイランドを含有して、配列番号2〜3のうちいずれか一つの塩基配列で表される肺癌診断用バイオマーカーに関する。
【0021】
本発明において、前記DNA断片は肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)由来であることを特徴とする。
【0022】
本発明において、肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域は肺癌細胞株において具体的にR1(配列番号2)、R2(配列番号3)及びR3(配列番号4)領域がメチル化されていた。
【0023】
本発明の一様態において、肺癌患者の肺癌組織のR1、R2及びR3領域において非常に高い程度のメチル化レベルを示し、互いに対になる肺癌組織と隣接部位の正常組織におけるメチル化程度はR1の場合40個の臨床検体中34個と高く85%を占め、R3の場合は36個と90%であった。PCDHGA12遺伝子のR1、R2及びR3領域の過剰メチル化を測定することによって肺癌を効率的に診断できるとことを示す。
【0024】
さらに他の観点において、本発明は(a)臨床サンプルからDNAを分離する段階、及び(b)前記分離したDNAからPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子の5’UTRまたはエクソン1領域のメチル化を検出する段階を含む肺癌、またはその進行段階の検出方法に関する。
本発明において、メチル化の検出は配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4からなる群から選択される配列を有するDNA領域において行われるのを特徴とする。
【0025】
本発明において、前記メチル化測定方法は、PCR、メチル化特異的PCR、リアルタイムメチル化特異的PCR(real time methylation specific PCR)、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ基盤検出方法、パイロシーケンシング及びバイサルファイトシーケンシングからなる群から選択されるのを特徴とし、前記臨床サンプルは癌の疑いのある患者または診断対象由来の組織、細胞、血液または尿であることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施の形態で使われた、メチル化バイオマーカー遺伝子の選別方法により肺癌だけでなく、肺癌に進行中の多種異形症段階において多様にメチル化される遺伝子を探し出せ、選別された遺伝子は肺癌スクリーニング、危険性評価、予測、病名確定(disease identification)、疾病のステージ診断及び治療ターゲットの選定にも使用可能である。
【0027】
肺癌及び多くの段階の異常においてメチル化された遺伝子を確認するのは、正確でかつ効果的に肺癌を早期診断することが可能であり、多重遺伝子を使用したメチル化プロファイル確立及び治療のための新しいターゲットを確認できる。さらに、本発明によるメチル化データは他の非メチル化関連バイオマーカー検出方法と連係するとより一層正確な肺癌診断システムが確立できる。
【0028】
本発明の方法により、検体から得られた一つ以上の核酸バイオマーカーのメチル化段階を決めることを含むあらゆる段階(stage)またはフェーズ(phase)の肺癌進行を診断することができる。肺癌の各段階の検体から分離した核酸のメチル化段階を肺組織の細胞増殖性異常を持たない検体から得られた一つ以上の核酸のメチル化段階と比較して、検体の肺癌の特定段階を確認できる。前記メチル化段階は過剰メチル化であってもよい。
【0029】
本発明の一例として、核酸は遺伝子の調節部位においてメチル化できる。他の例において、メチル化は遺伝子の調節部位の外側から始まって、内部に進行されるため、調節部位の郊外周辺においてメチル化を検出することで細胞形質転換に関わる遺伝子を早期診断することができる。
【0030】
他の例として、本発明においてはPCDHGA12(NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子5’UTR及びエクソン1領域のメチル化状態をキットを利用して検出することによって、検体に存在する肺組織の細胞成長性異常(異形症)を診断することができる。
【0031】
本発明の診断用キットを利用すると、検体の肺組織の細胞成長性異常(異形症進行度)を決められる。前記方法は検体から分離した一つ以上の核酸のメチル化状態を決めることを含み、前記一つ以上の核酸のメチル化段階は肺組織の細胞成長性異常傾向(異形症)がない検体から分離した核酸のメチル化段階と比較することを特徴とする。
【0032】
本発明の他の実施の形態においては、前記メチル化遺伝子マーカーを利用して肺癌を形成する可能性がある細胞の早期診断を可能にする。癌細胞においてメチル化されると確認された遺伝子が臨床的にまたは形態学的に正常と見られる細胞においてメチル化されると、前記正常と見られる細胞は癌化が進行しているものである。従って、正常と見られる細胞における肺癌特異的遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域がメチル化されるのを確認することによって肺癌を早期診断することができる。
【0033】
本発明のメチル化マーカー遺伝子を利用すると、検体から肺組織の細胞成長性異常(異形症進行)を検出することができる。前記方法は検体から分離した一つ以上の核酸を含む試料を一つ以上のメチル化状態を決定できる製剤と接触させることを含む。前記方法は一つ以上の核酸において一つ以上の領域のメチル化状態を確認することを含み、前記核酸のメチル化状態は肺組織の細胞成長性異常(異形症進行)を持たない検体の核酸における同じ領域のメチル化状態と差があることを特徴とする。
【0034】
本発明のまた他の実施の形態においては正常表現型を現わすサンプルを利用して、前記キットを利用して、マーカー遺伝子5’UTR及びエクソン1領域のメチル化を調べることによって、肺癌に進行される可能性を診断することができる。前記サンプルは固体または液体組織、細胞、尿、血清または血漿を使用できる。
【0035】
本発明において、前記遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域のメチル化の有無を検出する方法は次の段階を含む:(a)臨床サンプルからサンプルDNAを分離する段階、(b)前記分離したDNAを亜硫酸水素(bisulfite)で処理する段階、(c)PCDHGA12遺伝子5’UTR及びエクソン1領域のCpGを含む断片を増幅できるプライマーを使用して増幅する段階、及び(d)前記(c)段階において増幅された結果を利用してパイロシーケンシングを行ってメチル化するか否かを決める段階。
【0036】
本発明の一様態において、前記検出方法はキットを用いて行うことができる。本発明の検出方法に使用されるキットはサンプルを入れる区切られたキャリア手段、非メチル化シトシンを敏感に切断する製剤を含有する1番目の容器、CpG含有核酸を増幅するためのプライマーを含有する2番目の容器、及び切断されたまたは切断されない核酸の存在を検出する手段が含まれている3番目の容器を含む一つ以上の容器を含む。本発明において使用されるプライマーは配列番号5〜21に記載された配列、機能的組合せ及びその断片を含む。機能的組合せまたは断片はゲノム上においてメチル化が起きたか否かを検出するプライマーとして使用される。前記キャリア手段は瓶、チューブのような一つ以上の容器を含有するのに適しており、各容器は本発明の方法に使用される独立的構成要素等を含有する。本発明の明細書において、当該分野において通常の知識を有する者は容器中の必要な製剤を分配できる。例えば、メチル化感受性制限酵素を含有する容器を一つの容器で構成することができる。一つ以上の容器は重要核酸ローカスと相同性を有するプライマーを含むことができる。また、一つ以上の容器はメチル化感受性制限酵素のアイソシゾマーを含むことができる。
【0037】
本発明の他の様態において、前記キットを利用して、肺癌を検出する方法は、(1)臨床サンプルからゲノムDNAを分離する段階、(2)前記分離したゲノムDNAをメチル化感受性制限酵素で処理する段階、(3)前記メチル化感受性制限酵素で処理されたゲノムDNAを本発明の肺癌診断用バイオマーカーを増幅させられるプライマーを使用して増幅させる段階、及び(4)前記増幅された産物から肺癌診断用バイオマーカーの存在の有無を判別する段階を経て、バイオマーカー断片が存在する試料を肺癌または肺癌進行段階の試料として診断できて、前記キットは含まれたプライマーを利用したPCR増幅産物の有無を確認するために肺癌診断用バイオマーカーと厳しい条件でハイブリダイゼーションできる断片をさらに含有してもよい。
【0038】
また、前記肺癌診断用バイオマーカーの存在の有無を判別する方法としては、バイサルフェート・シークエンス(bisulfate sequencing)、パイロシーケンシング(pyrosequencing)、メチル化特異的PCR、メチルライト法(Methylight)、メチル化DNA結合(methylated DNA binding)蛋白質を利用したPCR及びDNAチップなどを使用できる。
【0039】
本発明において使用された「細胞形質転換」は正常から非正常に、非腫瘍性から腫瘍性に、未分化から分化に、幹細胞から非幹細胞のように細胞の特徴がある形態から他の形態に変わることを意味する。さらに、前記形質転換は細胞の形態、表現型、生化学的性質などによって認識される。
【0040】
本発明において癌の「早期確認」は、転移する前に癌の可能性を発見することであり、望ましくは検体組織または細胞において形態学的変化が観察される前に発見することである。さらに、細胞形質転換の「早期確認」は細胞が形質転換される形態になる前に初期段階において形質転換が起きる可能性高いことをいう。
【0041】
本発明において「ハイポメチル化」はCpGアイランドのメチル化を意味する。本発明において、「サンプル」または「検体サンプル」、「臨床検体」、「臨床サンプル」は行われる分析の種類によって、個々人、体液、細胞株、組織培養などから得られる全ての生物学的サンプルを含む幅広い範囲のサンプルを意味する。ほ乳動物から体液及び生検を獲得する方法は通常広く知られている。望ましいソースは肺の生検(biopsy)である。
【0042】
メチル化バイオマーカーのスクリーニング
本発明においては細胞または組織が形質転換されたり細胞の形態が異なる形態に変化する時にメチル化されたバイオマーカー遺伝子をスクリーニングした。ここで、「形質転換」細胞は正常形態が非正常形態に、非腫瘍性が腫瘍性に、未分化形態が分化形態に変わるなどの細胞または組織の形態が異なる形態に変化することを意味する。
【0043】
従って、本発明においては肺癌細胞への形質転換においてメチル化調節マーカー遺伝子を体系的な方法で確認した。前記方法の一様態で、(1)形質転換された細胞株及び非形質転換された細胞株を対象にメチル化特異的結合蛋白質のMBD2btを利用してメチル化されたDNAだけを選択分離する段階、(2)各々のDNAを増幅して蛍光染料で標識する段階、(3)蛍光染料で標識されたDNAをメチル化を測定できるマイクロアレイにハイブリダイゼーションさせる段階、(4)ハイブリダイゼーション結果から形質転換細胞から過剰メチル化された遺伝子を選別する段階、(5)形質転換された肺癌組織細胞及び隣接部位の非形質転換組織細胞の遺伝子発現プロファイルを比較して、非形質転換組織細胞にさらに多く発現する遺伝子のプロファイルを分類する段階、(6)形質転換された肺癌細胞株をメチル化阻害剤で処理し、処理しない形質転換された肺癌細胞株と比較して、メチル化阻害剤処理した形質転換された肺癌細胞株においてさらに多く発現する遺伝子のプロファイルを分類する段階、及び(7)、(5)段階及び(6)段階で得た遺伝子プロファイルを比較して、前記3プロファイルに共通的に存在する遺伝子を非形質転換状態で形質転換された肺癌細胞形態に転換中の細胞のゲノムでメチル化によって、調節されるマーカー遺伝子と見なす段階を含む方法が挙げられる。
【0044】
本発明において、「核酸」または「核酸配列」とは、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、ポルリヌクレオチドを意味したり、これらの断片、一本鎖または二重鎖のゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNA、センスまたはアンチセンス鎖のゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNA、PNA(peptide nucleic acid)または自然起源または合成起源のDNA様またはRNA様物質をいう。核酸がRNAであると、デオキシヌクレオチドA、G、C及びTの代わりに、各々リボヌクレオチドA、G、C及びUに代替されるということは当該分野において通常の知識を有する者には自明である。
【0045】
互いに異なってメチル化されたCpGアイランドの存在を検出できる核酸ならいずれのものも使用できる。前記CpGアイランドは核酸配列においてCpGが豊富な部位である。
【0046】
メチル化(methylation)
本発明において精製されたり、精製されない形態のいかなる核酸も使用でき、ターゲット部位(例えば、CpG−含有核酸)を含有する核酸配列を含有していたり、含有すると推定されるいかなる核酸も使用できる。区別されてメチル化できる核酸部位がCpGアイランドであり、これは他のジヌクレオチドCpG核酸部位と比較して高いCpG密度を持つ核酸配列である。二重(doublet)CpGはG*C塩基対の割合で予測した時、脊椎動物DNAにおいて20%程度の確率である。特定部位において、二重CpGの密度はゲノムの他の部位と比較して、さらに10倍も高い。CpGアイランドは平均G*C割合が約60%で、普通のDNAのG*C割合は平均40%を示す。CpGアイランドは典型的に約1〜2kbの長さを持って、ヒトゲノムには約45,000個のCpGアイランドが存在する。
【0047】
多くの遺伝子において、CpGアイランドはプロモーターのアップストリーム(upstream)から始まって、ダウンストリームの転写部位まで拡張される。プロモーターにおいてCpGアイランドのメチル化は、通常、遺伝子の発現を抑制させる。CpGアイランドはまた、遺伝子コーディング領域の3'領域だけでなく、遺伝子コーディング領域の5'領域を囲んでいてもよい。従って、CpGアイランドはプロモーター領域を含む調節部位のコーディング配列アップストリーム、コーディング領域(例えば、エクソン領域)、コーディング領域のダウンストリーム、例えば、インヘンス領域及びイントロンを含む多くの領域において発見される。
【0048】
通常、CpG−含有核酸はDNAである。しかし、本発明の方法は、例えば、DNAまたはDNAとmRNAを含むRNAを含有する試料を適用でき、ここでDNAまたはRNAは一本鎖または二重鎖であってもよく、またはDNA−RNAハイブリッドを含有した試料であってもよい。
【0049】
さらに核酸混合物も使用できる。検出される特異的な核酸配列は大きい分子の分画であってもよく、初めから特異配列が全体核酸配列を構成する分離した分子形態で存在することができる。前記核酸配列は純粋な形態で存在する核酸である必要はなく、核酸は全体ヒトDNAが含まれているように複雑な混合物内の少ない分画であってもよい。試料に含まれた核酸のメチル化程度を測定するのに使用されたり、メチル化されたCpGアイランドを検出するのに使用される試料に含まれた核酸はSambrookなど(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY., 1989)に記載された多様な方法で抽出される。
【0050】
核酸は情報をコードしたり核酸の転写を調節するDNA領域の調節部位を含んでもよい。調節部位は少なくとも一つのプロモーターを含む。「プロモーター」は転写を指示するのに必要最低限の配列であり、プロモーター依存性遺伝子で細胞タイプ特異的、組織特異的または外部シグナルや製剤による誘導性を調節することができる。プロモーターは遺伝子の5'または3'領域に位置する。プロモーター部位の全体または一部分の核酸数はCpGアイランド部位のメチル化を測定するのに適用される。ターゲット遺伝子プロモーターのメチル化は外部から内部に進行する。従って、細胞転換の初期段階はプロモーター部位の外部におけるメチル化を分析することによって検出することができる。
【0051】
検体から分離した核酸は検体の生物学的試料から得られる。肺癌や肺癌の進行段階を診断したいのであれば、スクレイピングや生検で肺組織から核酸を分離しなければならない。このような試料は当該分野において知らされた様々な医学的処置を介して得られる。
【0052】
本発明において、「過剰メチル化」または「ハイパーメチル化」とは腫瘍細胞の特定CpG位置またはCpGで構成された特定塩基配列の部位におけるメチル化程度が正常細胞に比べて高い状態を示す。
【0053】
サンプル(sample)
本発明は肺癌の早期確認に対し記述しており、肺癌特異的遺伝子メチル化を利用している。肺癌特異的遺伝子のメチル化は腫瘍部位の付近の組織においても起きた。従って、肺癌の早期確認方法は液体または固体組織を含む全てのサンプルで肺癌特異的遺伝子プロモーターのメチル化の有無を確認できる。前記サンプルは喀痰、血清または血漿を含むが、これに限定されない。
【0054】
メチル化検出方法
差別的メチル化の検出−メチル化特異的PCR
ゲノムDNAにバイサルファイト処理すると、5'−CpG'−3部位のシトシンがメチル化された場合にはそのままシトシンとして残り、非メチル化された場合にはウラシルに変わるようになる。従って、バイサルファイト処理後変換された塩基配列を対象に5'−CpG−3'塩基配列が存在する部位に該当するPCRプライマーを製作した。この時、メチル化された塩基配列に相当するPCRプライマーと非メチル化された塩基配列に相当する二つの種類のプライマーを製作した。ゲノムDNAをバイサルファイトで変換させた後、前記二つの種類のプライマーを利用してPCRを行うと、メチル化された場合にはメチル化された塩基配列に該当するプライマーを使用したものからPCR産物が作られるようになり、逆に非メチル化である場合には非メチル化に該当するプライマーを使用したものからPCR産物が作られる。メチル化の有無はアガロースゲル電気泳動法で定性的に確認できる。
【0055】
差別的メチル化の検出−リアルタイムメチル化特異的PCR
リアルタイムメチル化特異的PCRはメチル化特異的PCR法をリアルタイム測定方法で転換したものであり、ゲノムDNAにバイサルファイト処理した後、メチル化された塩基配列に相当するPCRプライマーをデザインして、これらプライマーを利用して、リアルタイムPCRを行うものである。この時、増幅された塩基配列と相補的なTanManプローブを利用して、検出する方法とサイバーグリーン(Sybergreen)を利用して、検出する2種類の方法がある。従って、リアルタイムメチル化特異的PCRはメチル化されたDNAだけを選択的に定量分析できる。この時、in vitroメチル化されたDNAサンプルを利用して標準曲線を作成し、標準化のため塩基配列内に5'−CpG−3'配列がない遺伝子を陰性対照群として共に増幅してメチル化程度を定量分析した。
【0056】
差別的メチル化の検出−パイロシーケンシング
パイロシーケンシング法はバイサルファイトシーケンシング法を定量的であるリアルタイムシーケンシングに変換した方法である。バイサルファイトシーケンシング同様、ゲノムDNAをバイサルファイト処理して、転換させた後、5'−CpG−3'塩基配列がない部位に相当するPCRプライマーを製作した。ゲノムDNAをバイサルファイトで処理した後、前記PCRプライマーで増幅した後、シーケンシングプライマーを利用して、リアルタイム塩基配列分析を行った。5'−CpG−3'部位においてシトシンとチミンの量を定量的に分析してメチル化程度をメチル化指数で示した。
【0057】
差別的メチル化の検出−メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCRまたは定量PCR及びDNAチップ
メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCRまたはDNAチップ法はメチル化DNAにだけ特異的に結合する蛋白質をDNAと混ぜると、メチル化DNAにだけ特異的に蛋白質が結合するためメチル化DNAだけを選択的に分離することができる。ゲノムDNAをメチル化DNA特異的結合蛋白質と混ぜた後、メチル化されたDNAだけを選択的に分離した。この分離したDNAをプロモーター部位に該当するPCRプライマーを利用して増幅した後、アガロース電気泳動でメチル化の有無を測定した。
【0058】
また、定量PCR法でもメチル化の有無を測定でき、メチル化DNA特異的結合蛋白質で分離したメチル化DNAは蛍光染料で標識して、相補的なプローブが集積されたDNAチップにハイブリダイゼーションさせることでメチル化の有無を測定することができる。ここで、メチル化DNA特異的結合蛋白質はMcrBtに制限されない。
【0059】
差別的メチル化の検出−メチル化感受性制限酵素
差別的メチル化の検出はメチル化されないCpG部位だけを切断するメチル化感受性制限酵素と核酸サンプルを接触させて非メチル化された核酸を切断することで行える。
【0060】
別の反応で、前記サンプルをメチル化及び非メチル化CpG部位を皆切断するメチル化感受性制限酵素のアイソシゾマー(isoschizomer)と接触させて、メチル化された核酸を切断した。
【0061】
特異的プライマーを核酸サンプルに添加して、通常の方法で核酸を増幅させた。メチル化感受性制限酵素を処理したサンプルにおいて増幅産物が存在して、メチル化及び非メチル化CpG部位を全て切断するメチル化感受性制限酵素のアイソシゾマーを処理したサンプルで増幅産物が存在しなければ、分析された核酸部位にメチル化が起きたこととなる。しかし、メチル化感受性制限酵素を処理したサンプルで増幅産物が存在せず、メチル化及び非メチル化CpG部位を全て切断するメチル化感受性制限酵素のアイソシゾマーを処理したサンプルにおいても増幅産物が存在しないということは分析された核酸部位にメチル化が起きなかったこととなる。
【0062】
ここで、「メチル化感受性制限酵素」は認識部位にCGを含んで、Cがメチル化ならなかった時と比較してCがメチル化された時活性を持つ制限酵素である(例えば、SmaI)。メチレーション感受性制限酵素の非制約的例として、MspI、HpaII、BssHII、BstUI及びNotIが含まれる。前記酵素は単独でまたは組み合わせて使用できる。他のメチレーション感受性制限酵素は、例えば、SacII及びEagIが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0063】
メチル化感受性制限酵素のアイソシゾマーはメチレーション感受性制限酵素と同じ認識部位を有する制限酵素であるが、メチル化されたCGsと非メチル化されたCGsを全て切断し、例えば、MspIが挙げられる。
【0064】
本発明のプライマーは増幅されるローカスの各鎖と「実質的に」相補性を持つように製作されて、前記において説明した通り、適当なGまたはCヌクレオチドを含む。これは重合反応を行う条件でプライマーが対応する核酸鎖とハイブリダイゼーションされるには十分な相補性を持つことを意味する。本発明のプライマーは増幅過程に使用され、前記増幅過程は、例えば、PCRと同じターゲットローカスが多くの反応段階を経ながら、幾何級数的な数に増加する酵素連続反応である。典型的には、あるプライマー(アンチセンスプライマー)はローカスのネガティブ(−)鎖に対し相同性を有し、残り一つのプライマー(センスプライマー)はポジティブ(+)鎖に対し相同性を有する。変成された核酸にプライマーがアニーリングされると、DNAポリメラーゼI(Klenow)及びヌクレオチドのような酵素及び反応物によって鎖が伸張し、その結果、ターゲットローカス配列を含有する+と−鎖が新しく合成される。前記新しく合成されたターゲットローカスが鋳型としても使用されて、変成、プライマーアニーリング及び鎖身長のサイクルが繰り返されるとターゲットローカス配列の幾何級数的な合成が進行される。前記連続反応の産物は反応に使用された特異プライマーの末端と対応する末端を持つ独立的な二重鎖核酸である。
【0065】
前記増幅反応は当該分野において普遍的に使用されているPCRであることが望ましい。しかし、リアルタイムPCRまたは等温酵素を使用した線形増幅のような代替的な方法も使用でき、マルチプレックス増幅反応も使用できる。
【0066】
差別的メチル化の検出−バイサルファイトシーケンシング法
メチル化CpGを含有した核酸を検出する他の方法は、核酸を含有した試料を非メチル化シトシンを変形させる製剤と接触させる段階、及びCpG−特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して試料のCpG−含有核酸を増幅させる段階を含む。ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーは変形されたメチル化及び非メチル化核酸を区別してメチル化核酸を検出することを特徴とする。前記増幅段階は選択的であり、望ましいが必須ではない。前記方法は変形された(例えば、化学的に変形された)メチル化及び非メチル化DNAを区別するPCR反応に依存するものである。前記のような方法は米国特許5,786,146に開示されており、前記特許にはメチル化核酸の検出のためのバイサルファイトシーケンシングと関連付けられて記載されている。
【0067】
基質
ターゲット核酸部位が増幅されると核酸配列の存在を検出するために、前記核酸増幅産物は固体支持体(基質)に固定された、周知の遺伝子プローブとハイブリダイゼーションできる。
【0068】
ここで、「基質」は物質、構造、表面または材料、非生物学的であり、合成されて、無生物、平面、球形または特異的結合、平らな表面の物質を含む混合物手段で、ハイブリダイゼーションまたは酵素認識部位または大多数の他の認識部位または表面、構造または材料で構成された数多くの他の分子種を越える数多くの他の認識部位を含むことができる。前記基質は、例えば、半導体、有機合成メタル、合成半導体、インシュレーター及びドーパント;金属、合金、元素、化合物及びミネラル;合成・分解・エッチングされ、リソグラフされ、プリント・マイクロファブリケーションされたスライド、装置、構造及び表面;産業的、ポリマー、プラスチック、メンブレン、シリコン、シリケート、ガラス、金属及びセラミック;木、紙、カードボード、綿、ウール、布、製織及び非製織繊維、材料及びファブリックであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0069】
いくつかの形態のメンブレンは当該分野において核酸配列に対し付着力を持つと知られている。このようなメンブレンの特異的でかつ非制約的な例としては、ニトロセルロースまたはポリビニルクロライド、ジアゾ化(diazotized)ペーパー及びGENESCREENTM、ZETAPROBETM(Biorad)及びNYTRANTMなどの商業的に使用されるメンブレンのような遺伝子発現検出用メンブレンが挙げられる。ビーズ、ガラス、ウェハー及び金属基質も含まれる。このような目的物に核酸を付着させる方法は当該分野においてよく知られている。これと異なって、液体相においてもスクリーニングを行うことができる。
【0070】
ハイブリダイゼーション条件
核酸ハイブリダイゼーション反応において、特定のストリンジェントなレベルを達成するために使用される条件はハイブリダイズされる核酸の性質によって多様である。例えば、ハイブリダイゼーションされる核酸部位の長さ、相同性程度、ヌクレオチド配列造成(例えば、GC/AT造成比)及び核酸タイプ(例えば、RNA、DNA)などがハイブリダイゼーション条件の選択において考慮される。さらなる考慮条件は核酸が、例えば、フィルターなどに固定化されているか否かである。
【0071】
非常に厳しく設定される条件の例は次のようになる:室温の2X SSC/0.1% SDS(ハイブリダイゼーション条件)、室温の0.2X SSC/0.1% SDS(ストリンジェントが低い条件)、42℃での0.2X SSC/0.1% SDS(普通のストリンジェントを持つ条件)、68℃での0.1X SSC(ストリンジェントが高い条件)。
【0072】
洗浄過程はこれらの中一つの条件を使用して行うことができて、例えば、ストリンジェントが高い条件、または前記条件を各々使用できて、前記記載された順に各々10〜15分ずつ、前記記載された条件を全部または一部繰り返して行うことができる。しかし、前記に記述した通り、最適条件は含まれた特別なハイブリダイゼーション反応により多様で、実験を介して決められる。一般に、重要なプローブのハイブリダイゼーションにはストリンジェントが高い条件が使用される。
【0073】
標識(Label)
重要なプローブは検出することができるように標識され、例えば放射線同位元素、蛍光化合物、バイオ発光化合物、化学発光化合物、金属キレートまたは酵素で標識される。前記のようなプローブを適当に標識するのは当該分野において広く知られた技術であり、通常の方法で行える。
【0074】
キット(Kit)
本発明によると、検体の細胞成長性異常を検出するのに有用なキットを提供している。本発明のキットはサンプルを入れる区切られたキャリア手段、非メチル化シトシンを敏感に切断する製剤を含有する1番目の容器、CpG含有核酸を増幅するためのプライマーを含有する2番目の容器、及び切断されたまたは切断されない核酸の存在を検出する手段が含まれている3番目の容器を含む一つ以上の容器を含む。本発明によって使用されるプライマーは配列番号5〜21に記載された配列、機能的組合せ及びその断片を含む。機能的組合せまたは断片はゲノム上でメチル化が起きたか否かを検出するプライマーとして使用される。
【0075】
キャリア手段は瓶、チューブのような一つ以上の容器を含有するのに適しており、各容器は本発明の方法に使用される独立的構成要素を含有する。本発明の明細書において、当分野の通常の知識を有する者は容器中の必要な製剤を分配することができる。例えば、メチル化感受性制限酵素を含有する容器を一つの容器で構成することができる。一つ以上の容器は重要核酸ローカスと相同性を持つプライマーを含むことができる。また、一つ以上の容器はメチル化感受性制限酵素のアイソシゾマーを含むことができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例によって、より一層詳細に説明する。この実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこの実施例に限定されないことは当業界において通常の知識を有する者には自明である。
【0077】
[実施例1]肺癌細胞株において過剰メチル化されている遺伝子の選別
肺癌において過剰メチル化された遺伝子を選別するために肺癌細胞株A549(韓国細胞株銀行(KCLB)10185)と正常肺細胞株NHBE(Cambrex cc−2541)を利用して過剰メチル化された遺伝子を下記の方法で選別した。
【0078】
先ず、各細胞株のgDNA 500μgを超音波(sonication)方法(Vibra Cell、SONICS)で300〜400bpの大きさの切片にし、Methylcapture(商標)(Genomictree、韓国)を利用して、プロトコルに準じて、各細胞株からメチル化DNAを選択的に分離した。分離したメチル化DNAをGenomePlex(商標) Complete Whole Genome Amplification Kit(Sigma)を使用して増幅した後、A549及びNHBE由来増幅されたメチル化DNAを各々Cy5−dUTPとCy3−dUTPで標識して混合した後、ヒト遺伝体に存在する27,800個余りのCpGアイランドに存在するCpGに対するプローブが集積されているCpGマイクロアレイ(Agilent、製造国)にAgilentプロトコルにより混成化反応及びスキャニングを行って、統計的技法を介してA549において過剰メチル化された候補遺伝子を50個選別した(図1及び表1)。
【0079】
【表1】


【0080】
[実施例2]肺癌組織からメチル化によって発現が抑制される遺伝子選別
肺癌組織からメチル化によって発現が抑制される遺伝子を選別するために、マイクロアレイハイブリダイゼーションを行った。マイクロアレイハイブリダイゼーションは標準プロトコルを利用して行った(Schena et al., Science, 270:467, 1995)。
【0081】
肺癌患者から対を成すように腫瘍付近組織及び腫瘍組織を分離して、これからトータルRNAを分離した。前記対となった腫瘍付近組織及び腫瘍組織の遺伝子発現レベルの相対的な差を間接的に比較するために、標準比較RNA(間接比較)を製作した。標準比較RNAを製作するために、肺癌細胞株A549(韓国細胞株銀行(KCLB)10185)、胃癌細胞株AGS(KCLB 21739)、腎臓癌細胞株Caki−2(KCLB 30047)、結腸癌細胞株HCT116(KCLB 10247)、子宮頸部癌細胞株Hela(KCLB 10002)、血液癌細胞株HK−60(KCLB 10240)及びHT1080(KCLB 10121)、乳癌細胞株MDA−MB231(KCLB 30026)、肝臓癌細胞株SK−hep1(KCLB 30052)、T細胞由来細胞株Molt−4(KCLB 21582)及び脳癌細胞株U−87MG(KCLB 30014)等11個のヒト癌細胞株からトータルRNAを分離した。細胞株及び肺組織の全体RNAはTri Reagent(Sigma、USA)を使用して分離した。
【0082】
標準比較RNAを製作するために、前記11個の細胞株から分離したトータルRNAを同量に混合して、内部対照群として使用した。
【0083】
前記対を成した腫瘍付近組織及び腫瘍組織の相対的遺伝子発現程度を比較するために、非腫瘍及び腫瘍組織から分離したRNAと標準比較RNAを間接的に比較した。トータルRNA 100μgをCy3−dUTPまたはCy5−dUTPで標識した。前記標準比較RNAをCy3で標識し、肺組織から分離したRNAをCy5で標識した。前記Cy3−及びCy5−で標識されたcDNAをPCR精製キット(Qiagen、ドイツ)を使用して精製した後、前記精製されたcDNAを混合して、Microcon YM−30(Millipore Corp.、USA)を利用して、最終体積が27μLになるよう濃縮した。
【0084】
ハイブリダイゼーション反応液80μL(前記標識されたcDNAターゲット27μL、20X SSC 20μL、1% SDS 8%、ホルムアミド(Sigma、USA)24μL及びヒトCot1 DNA(Invitrogen Corp.、USA)20μgを100℃で2分間加熱して、直ちにヒト22Kオリゴヌクレオチド(GenomicTree,Inc.、韓国)マイクロアレイにハイブリダイズさせた。前記ハイブリダイゼーションは湿度調節されたHybChamber X(GenomicTree,Inc.、韓国)で42℃で12〜16時間行った。前記ハイブリダイゼーション終了後、マイクロアレイスライドをAxon 4000B(Axon Instrument Inc.、USA)を利用して判読した。シグナル及びバックグラウンドの蛍光強度はGenePix Pro 4.0ソフトウェア(Axon Instrument Inc.、USA)を使用して、ターゲット部位内部の全てのピクセルの強度を平均して各プローブに対して測定した。明らかに非正常性を示すスポットは分析から除外した。全てのデータはGeneSpring 7.2(Agilent、USA)を利用して、正規化、統計学的分析及びクラスタ分析を行った。
【0085】
また、非腫瘍及び腫瘍組織の遺伝子発現レベルの相対的な差を決めるために、間接比較のための統計学的分析(ANOVA、p<0.01)を行った。前記統計学的分析結果から対にされた腫瘍付近組織と比較して、腫瘍組織において252個の遺伝子が下降調節(down regulated)された。
【0086】
[実施例3]脱メチル化によって再活性化される遺伝子選別
実施例1において確認された遺伝子の発現が遺伝子のプロモーターメチル化によって調節されるのか確認するために、肺癌細胞株A549(KCLB(韓国細胞株銀行)10185)及びNCI−H358(KCLB 90358)にジメチル化剤である5−アザ−2−デオキシシチジン(DAC、Sigma、USA)で200nM濃度で3日間処理した。処理しない細胞株と処理した細胞株をTri reagentで処理してトータルRNAを分離した。
【0087】
DAC処理による遺伝子発現変化を測定するために、非処理細胞株と処理細胞株との間の転写レベルを直接的に比較した。その結果、DAC処理しない対照群と比べて、DAC処理した場合367個の遺伝子が発現上昇することを確認した。前記実施例1で獲得した252個の腫瘍抑制遺伝子プロファイルと367個のジメチル化によって、2倍以上再発現された遺伝子を比較した結果、18個の共通した遺伝子を確認した(図1)。
【0088】
[実施例4]肺癌から過剰メチル化された遺伝子PCDHGA12選別
前記18個の遺伝子のプロモーター部位においてCpGアイランドの存在を確認するために、MethPrimer(http://itsa.ucsf.edu/~urolab/methprimer/index1.html)を利用した。前記18個の遺伝子中13個の遺伝子はCpGアイランドを持っていなかったため、前記13個の遺伝子を共通遺伝子プロファイルから除外した。従って、前記5個の遺伝子中実施例1のCpGマイクロアレイ分析で選別された50個の遺伝子に含まれているPCDHGA12遺伝子を最終肺癌関連メチル化バイオマーカーで選別した。選択されたPCDHGA12遺伝子は肺癌細胞株において過剰メチル化されており、肺癌組織において下降調節されて(down-regulated)、ジメチル化条件で再活性化され(up-regulated)、プロモーターと5’UTR、及びエクソン1にCpGアイランドを含有している多様な条件を満たすことが分かった(表2)。
【0089】
【表2】

【0090】
[実施例5]肺癌におけるPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化領域探索
(1)バイサルファイト(bisulfite)クローナルシーケンシングを利用した探索
A549及びNHBE細胞株を利用して、バイサルファイトクローナルシーケンシング方法でPCDHGA12遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域でのメチル化程度を調べた(図2A)。バイサルファイト(bisulfite)を利用してメチル化されないシトシンをウラシルに変形するために、正常細胞株NHBE及び肺癌細胞株A549(KCLB 10185)から全体ゲノムDNAを分離して、その中ゲノムDNA 200ngにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research、USA)を利用して、バイサルファイト処理した。DNAをバイサルファイトで処理すると、非メチル化されたシトシンはウラシルに変形されて、メチル化されたシトシンは変化せずに残るようになる。
前記バイサルファイト処理されたDNAを滅菌蒸溜水20μLで湧出させた後、ゲノムDNA 20ngを利用して、表3に示した塩基配列を持つプライマーを使用して、PCR方法で図2Aに示したPCDHGA12遺伝子のR1、R2及びR3領域を増幅した。PCRは94℃で1分、66℃で1分、72℃で1分間処理するのを1サイクルにし、合わせて40回繰り返し、最終的に72℃で10分間伸張させた。
【0091】
【表3】

【0092】
前記PCR反応を介して増幅されたDNAを精製し、これをT/Aクローニングベクター(Invitrogen、USA)にクローニングした。R1、R2及びR3増幅産物から作られたクローンの中各々10個ずつを選択して、これに対する塩基配列を分析してメチル化の有無を判別した。その結果、NHBEに比べてA549のR1、R2及びR3領域が相対的に高いレベルでメチル化されていることを確認した(図2B)。特に、R3領域のメチル化程度が最も顕著な差を見せるのを確認した。
【0093】
(2)パイロシーケンシングを利用した探索
A549及びNHBE細胞株を利用して、パイロシーケンシング(pyrosequencing)方法でPCDHGA12遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域におけるメチル化程度を調べた(図3)。バイサルファイト(bisulfite)を利用してメチル化されないシトシンをウラシルに変形するために、正常細胞株NHBE及び肺癌細胞株A549(KCLB 10185)から全ゲノムDNAを分離して、その中ゲノムDNA 200ngにEZ DNA methylation−Gold kit(Zymo Research、USA)を利用して、バイサルファイト処理した。DNAをバイサルファイトで処理すると、非メチル化されたシトシンはウラシルに変形されて、メチル化されたシトシンは変化せず残るようになる。
【0094】
前記バイサルファイト処理されたDNAを滅菌蒸溜水20μLで溶出させてパイロシーケンシングを行った。バイサルファイト処理されたゲノムDNA 20ngをPCRを利用して増幅した。PCRは94℃で1分、66℃で1分、72℃で1分間処理するのを1サイクルにして、合わせて40回繰り返し、最終的に72℃で10分間伸張した。以後、ビオチンで標識された鋳型DNAを精製して、PyroMark ID(Biotage、スウェーデン)を利用して、塩基配列を分析した。PCDHGA12遺伝子に対するパイロシーケンシングを行うための各部位に対するPCR及びシーケンシングプライマーはPSQ assay designプログラム(Biotage、USA)を利用して設計した。PCDHGA12遺伝子プロモーターのメチル化測定のためのPCR及びシーケンシングプライマーは表4の通りになる。
【0095】
【表4】

【0096】
PCDHGA12遺伝子の3個の領域に対する肺癌細胞株における過剰メチル化程度を調べてみるために正常細胞株NHBE(Cambrex CC−2541)、肺癌細胞株A549(KCLB 10185)の他にNCI−H146(KCLB 30173)、NCI−H358(KCLB 90358)及びHCC1195(KCLB 71195)等の肺癌細胞株を対象に実施例5同様にパイロシーケンシングを行った。その結果、全ての癌細胞株においてPCDHGA12遺伝子のR1、R2、R3領域で高い頻度で過剰メチル化され、特にR3領域における過剰メチル化は全ての肺癌細胞株で高く起きたことが分かった(図3)。
【0097】
[実施例6]肺癌組織におけるPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化測定
前記実施例から確認された通り、肺癌細胞株において過剰メチル化されており、肺癌組織において発現が下降調節されて、ジメチル化条件で再活性化され、5’UTR及びエクソン1にCpGアイランドを含有しており、各種肺癌細胞株でR1、R2、R3領域に過剰メチル化されているPCDHGA12遺伝子を利用して、肺癌診断用バイオマーカーで使用できるのか検証するために、健康な5人の肺組織と肺癌患者40人の肺癌組織及びその隣接部位の正常組織臨床検体を利用してPCDHGA12遺伝子のR1とR3領域に対してメチル化アッセイを行った。メチル化アッセイはパイロシーケンシング方法を使用して、実施例5に記載された方法で行った。
【0098】
その結果、図4に示したように、PCDHGA12遺伝子のR1とR3領域全てにおいて肺癌組織連隣接部位の正常組織におけるメチル化程度は患者でない正常組織におけるメチル化程度に類似するが、肺癌組織においては非常に高い程度のメチル化レベル(p=0.0001)を示した。また、互いに対である肺癌組織と隣接部位の正常組織でのメチル化程度はR1の場合40個の臨床検体中34個と高く、85%を占めし、R3の場合は36個と90%であった。従って、PCDHGA12遺伝子の過剰メチル化は肺癌において非常に高い頻度で起きることが分かり、このような結果はPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化を測定することによって肺癌を効率的に診断できるとことを示す。
【0099】
[実施例7]非侵襲的臨床検体である喀痰におけるPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化測定
肺癌患者の喀痰においても多様な遺伝子のDNA過剰メチル化が検出できるとの多くの報告があり、肺癌の早期及び再発有無を喀痰を利用する場合、患者便宜的診断が可能になるため、喀痰サンプルに含まれていた細胞におけるPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化程度を確認した。
【0100】
51人の正常なヒトの喀痰と81人の肺癌患者の喀痰を対象にPCDHGA12遺伝子のR1、R2及びR3領域に対するパイロシーケンシングを実施例5と同様な方法で行った。その結果、正常なヒトの喀痰に比べて、肺癌患者の喀痰においてPCDHGA12遺伝子のR1、R2及びR3領域の過剰メチル化程度が高く測定されることを確認した(図5)。
【0101】
また、ROC(receiver operating calculation)カーブ分析を行った結果、R1、R2及びR3領域のメチル化指数を各々13.49、15.62、25.77をメチル化指数基準(cut-off)に設定した時、喀痰を対象にした肺癌診断に対する感度(sensitivity)は各々74.1%、70.4%、86.4%であり、これに対する特異度(specificity)は各々66.7%、78.4%、82.4%と非常に優秀なことが明らかになった(表5)。従って、非侵襲的臨床検体の喀痰を利用してPCDHGA12遺伝子のDNA過剰メチル化を測定することによって肺癌の早期診断、再発の有無、薬品処理後のモニタリング及び術後の再発有無のモニタリングなど肺癌の多様な診断に適用できると判断される。
【0102】
【表5】

【0103】
[実施例8]メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCDHGA12遺伝子の過剰メチル化検出
肺癌診断の感度と特異度が最も優秀なPCDHGA12 R3領域を対象にMethylCapture(商標) methylated DNA isolation Kit(Genomictree、韓国)を利用して過剰メチル化検出を行った。MethylCapture(商標) methylated DNA isolation Kitはメチル化されたDNAに特異的に結合するMBD2bt蛋白質を利用してメチル化されたDNAだけを選択的に分離した後、PCR方法でメチル化を測定できるキットである。細胞株及び喀痰試料からゲノムDNAを抽出し、抽出されたゲノムDNAをMseI−digestion方法やsonicationを利用して、200〜600bpの大きさに切片化した。これを2X Binding Buffer、競合DNA及びHis−MBD2bt蛋白質と混ぜて、4℃の条件で4時間反応させた。反応が終了した溶液にマグネチックビーズを添加して、4℃で45分間反応させて、洗浄液で5回洗浄し、非特異的に結合をしているDNA切片を取り除いた。最終的にQiaquick PCR purification Kit(Qiagen、USA)を利用してメチル化されたDNAだけを分離精製した。精製されたDNAの1/5体積を取って、遺伝子特異的プライマーでPCR増幅を行い、電気泳動してメチル化の有無を判別した。PCDHGA12 R3を増幅するためのプライマーの塩基配列は次のようになる。
【0104】
配列番号20:5‘−gaagaaaaggctgctcacca−3’
配列番号21:5‘−tcgcatccagaaccatcac−3’
【0105】
その結果、正常細胞株であるNHBEにおいては増幅産物が全く観察されなく、肺癌細胞株であるA549でだけPCDHGA12 R3に対する増幅産物が観察されることによって肺癌特異的なメチル化を確認することができた(図6A)。また、喀痰細胞ゲノムDNAを利用して、正常及び肺癌患者からメチル化を測定した結果、3人の正常喀痰試料においては全く増幅産物が観察されなかったが、3人の肺癌患者試料においては全部メチル化が検出された(図6B)。従って、メチル化特異的結合蛋白質を利用してPCDHGA12 R3のメチル化を測定できるということを確認した。
【産業上利用の可能性】
【0106】
以上、詳細に説明したように、本発明は肺癌特異的マーカー遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域のCpGのメチル化を診断できる肺癌診断用キットを提供する効果がある。本発明の診断用キットを利用すると、通常の方法より正確でかつ早く肺癌の早期診断が可能であり、肺癌の予後予測及びモニタリングに応用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌特異的に下方制御される遺伝子のPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)のメチル化された5’UTRまたはメチル化されたエクソン1領域を含む肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項2】
少なくとも一つのメチル化されたCpGジヌクレオチドを含有する配列番号1で表されることを特徴とする請求項1に記載の肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項3】
一つ以上のメチル化されたCpGアイランドを含有して、配列番号2で表される肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項4】
一つ以上のメチル化されたCpGアイランドを含有して、配列番号3で表される肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項5】
一つ以上のメチル化されたCpGアイランドを含有して、配列番号4で表される肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項6】
肺癌特異的発現減少遺伝子のPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)由来であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の肺癌診断用バイオマーカー。
【請求項7】
次の段階を含む肺癌、またはその進行段階の検出方法:
(a)臨床サンプルからDNAを分離する段階、及び
(b)前記分離したDNAからPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域のメチル化を検出する段階。
【請求項8】
PCDHGA12遺伝子の5’UTR及びエクソン1領域のメチル化の検出は配列番号1の塩基配列を有するDNA領域で行うことを特徴とする請求項7に記載の肺癌、またはその進行段階の検出方法。
【請求項9】
次の段階を含む肺癌、またはその進行段階の検出方法:
(a)臨床サンプルからDNAを分離する段階、及び
(b)前記分離したDNAからPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子の5’UTR部位のメチル化を検出する段階。
【請求項10】
PCDHGA12遺伝子の5’UTR部位のメチル化の検出は配列番号2の塩基配列を有するDNA領域で行うことを特徴とする肺癌、またはその進行段階の検出方法。
【請求項11】
次の段階を含む肺癌、またはその進行段階の検出方法:
(a)臨床サンプルからDNAを分離する段階、及び
(b)前記分離したDNAからPCDHGA12(GenBank NM_032094、プロトカドヘリンγサブファミリーA12)遺伝子のエクソン1領域のメチル化を検出する段階。
【請求項12】
PCDHGA12遺伝子のエクソン1領域のメチル化の検出は配列番号3または配列番号4の塩基配列を有するDNA領域で行うことを特徴とする肺癌、またはその進行段階の検出方法。
【請求項13】
前記メチル化検出は、PCR、メチル化特異的PCR、リアルタイムメチル化特異的PCR、メチル化DNA特異的結合蛋白質を利用したPCR、定量PCR、DNAチップ、パイロシーケンシング及びバイサルファイトシーケンシングからなる群から選択される方法によって行うことを特徴とする請求項7、9及び11のいずれか一項に記載の肺癌、またはその進行段階の検出方法。
【請求項14】
前記臨床サンプルは癌疑いのある患者または診断対象由来の組織、喀痰、細胞、血液または尿からなる群から選択されることを特徴とする請求項7、9及び11のいずれか一項に記載の肺癌、またはその進行段階の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515081(P2011−515081A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550588(P2010−550588)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000777
【国際公開番号】WO2009/113771
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(510149367)ゲノミクトリー インコーポレーテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】GENOMICTREE,INC.
【Fターム(参考)】