説明

背痛を和らげる内部および外部椎間板シャント

椎間板には血管が存在しない。栄養素および排泄物は、隣接する椎体を通じて椎間板内に拡散される。年を取るにつれて、椎間板と椎体の間に石灰化層が形成され、血中における栄養素、酸素およびpH緩衝剤の拡散を妨げる。嫌気性条件下では、乳酸が産生され、神経終末を刺激し、非特異的疼痛を生じる。加えて、椎間板は欠乏に陥り、平板化し始める。体重は椎間板から面関節へと異常にシフトし、緊張および背痛を生じる。 シャントコイルは、形を成し、かつ、ひねることができる針の遠位シャフト上に、らせん状に巻かれ、スライドするスリーブによって変性した椎間板の核内に投入される。コイルは内部シャントの役割をし、変性した椎間板の中間層において乳酸を中和するため、上下の拡散域から栄養素、酸素および緩衝溶質を引き込む。コイルはまた、圧縮を持続し、椎間負荷および椎間不安定性を低減するための、修正された椎間板内におけるバルク剤としての役割もする。シャントコイルの末端ストランドもまた、椎間板から伸びて、筋肉193または体循環から血漿を引き込み、乳酸の中和および鎮痛を促進し、椎間板の再生のための椎間板基質を再構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血管のない椎間板内への栄養素、酸素およびpH緩衝剤の拡散は、上下終板の近くの拡散域の深さに限定される。核の中間層において嫌気的に産生される乳酸は、椎間板から漏出して、持続性の背痛を生じうる。本発明は、乳酸を中和して背痛を軽減するために、終板の毛細血管から供給される拡散域から栄養素、酸素およびpH緩衝剤を引き込む装置に関する。本装置はまた、変性した椎間板内におけるバルク剤としても作用し、面関節の緊張および疼痛を軽減する。さらには、装置のストランドは、椎間板から筋肉193内へと伸長し、追加の栄養素、酸素およびpH緩衝剤を引き込み、酸を中和し、椎間板を再生することができる。
【背景技術】
【0002】
慢性の背痛が蔓延している。神経障害は、背痛患者の約85%において、CTまたはMRIによって視認されない(非特許文献1および2)。実際、椎間板の脱出、突出、または噴出は、腰部の全問題の5%未満に過ぎないが、神経根の疼痛および外科的介入の最も一般的な原因である(非特許文献3)。ほとんどの患者における慢性の背痛の原因は、医師および患者の両方にとって不明である。
【0003】
背痛は、椎間板における高い乳酸値と相関することが研究において示唆されている。酸の漏出は、酸火傷および持続性の背痛を生じる。加えて、椎間板は変性および平板化することから、圧縮荷重は、平板化した椎間板から面関節へとシフトし、緊張および疼痛を生じる。乳酸火傷および面関節の緊張は、共に、CTまたはMRIでは視認できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Deyo RA, Weinstein JN: Low back pain, N Eng J Med, 344(5) Feb, 363-370, 2001
【非特許文献2】Boswell MV, et. al.: Interventional Techniques: Evidence-based practice guidelines in the management of chronic spinal pain, Pain Physician, 10:7-111, ISSN 1533-3159, 2007
【非特許文献3】Manchikanti L, Derby R, Benyamin RM, Helm S, Hirsch JA: A systematic review of mechanical lumbar disc decompression with nucleoplasty, Pain Physician; 12:561-572 ISSN 1533-3159, 2009
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
椎間板シャント送達装置は、針、スナッグ点を有するスリーブ、および、針のルーメンから伸長してスリーブおよび傾斜先端を有する針の外側に垂れ下がるシャント・ストランドを備えている。針がひねり運動または回転する際に、傾斜先端が外部のシャント・ストランドを捕捉し、針の周りにらせん状に巻き付ける。スリーブは、らせん状のシャント・ストランドをスナッグし、針から取り外して椎間板内に投入するためのスナッグ点を利用して、針の上をスライドする。終板を通じて供給される栄養素、酸素および緩衝溶質を引き込み、乳酸を中和し、背痛を軽減することを目的として、コイル状のシャント・ストランドのらせん化および取り外しを繰り返して、終板の一方または両方の近くに内部椎間板シャントを構築することができる。内部椎間板シャントはまた、椎間板内において面関節における荷重、緊張および疼痛を低減するためのクッションまたはバルク剤の役割も果たす。
【0006】
内部椎間板シャントの1つ以上のストランドは、椎間板の外側へと伸長し、筋肉193または体循環内に投入され、追加の栄養素、酸素および/またはpH緩衝溶質を椎間板内に引き込み、内部および外部椎間板シャントを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】細胞を椎間板100内に供給するために、終板105において毛細血管107から供給される栄養素131を有する健康な脊髄分節の長手方向の図。
【図2】椎間板の終板からの距離の酸素濃度に対するグラフ。
【図3】毛細血管107からの栄養素/酸素131の拡散を遮断し、乳酸162を生成して神経118に漏出する、終板105に堆積した石灰化層108を示す図。
【図4】脊髄神経194に灼熱感または刺激をもたらす、乳酸162の漏出を示す図。
【図5】疼痛を確認するために、乳酸を造影剤163と共に椎間板100から感覚神経118へと流すことによる、診断的な椎間板造影法を示す図。
【図6】椎間板100における穴または空胞を示す図。
【図7】平板化し、変性した椎間板100から面関節129への荷重移動を示す図。
【図8】低膨潤圧の椎間板100の上の椎体159の揺動を示す図。
【図9】面関節129の緊張および摩耗による、低圧の椎間板100に由来する脊柱不安定性を示す図。
【図10】椎間板および椎間に起因する疼痛を治療するためのシャント373、針101およびスリーブ220に連結した、メインシャント126の一部を示す図。
【図11】椎弓根278をおよそ半分通過し、椎間板100の空間内に入る、針101の蛍光透視鏡の前後像。
【図12】椎間板100の空間内には入るが、硬膜上腔119には入らない、針101の蛍光透視鏡の側面図。
【図13】変性した椎間板100の皮膚505、筋肉193およびKambinの三角形504を通じて挿入される、針101およびシャント・ストランド126、373を示す図。
【図14】椎間板100の穿刺を容易にする、針ハンドル130、スリーブ・ハンドル132および2ハンドル・ホルダ493を示す図。
【図15】針101の遠位のシャフト上にシャント・ストランド126B、373B、373Cを巻き付けるた、またはらせん状にするための、傾斜した針101のひねり運動または回転を示す図。
【図16】スリーブ220を進行させるために、スリーブ・ハンドル132と針ハンドル130の間に差し込むスリーブ・プッシャー279を示す図。
【図17】らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを、スナッグ、捕捉、フック、接続、押出、または係合するための、進行するスリーブ220の遠位端におけるスナッグ点221を示す図。
【図18】針101から離れた、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを取り外し、押し出し、または剥ぎ取るための、スリーブ220の漸進的な進行を示す図。
【図19】椎間板内において、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを展開または取り外すために、針101に平行にスライドするスナッグ点221を示す図。
【図20】針101のルーメンから新しいストランド126Cを露出させるための、針101のわずかな後退を示す図。その後、針101は、針101の遠位先端とスリーブ220が、一般に、図19に示すように配置されるように、進行する。
【図21】スリーブ220の後退および、針101のルーメン269から伸びるストランド126C上でのシャント・ストランド126B、373B、373Cのコイル化を示す図。
【図22】針101の遠位シャフトに別の長さのシャント・ストランド126B、373B、373Cを巻き付けるための、針101のその後のひねり運動を示す図。
【図23】シャント・ストランド126B、126C、373Bおよび373Cを切断する前の、変性した椎間板100内における椎間板シャント126、373の実質的ならせん化の繰り返しを示す図。
【図24】らせん状のシャント・ストランド126、373を椎間板100内にさらに加えることによって、皮膚505下で巻き上げられる、シャント・ストランド126B、373B、373Cを示す図。ディップ・スティック109は、針101内のシャント・ストランド126Cの深さを確認するのに用いられる。
【図25】椎間板100内の内部シャント126、373、および筋肉193から椎間板100内に血漿を引き込む外部シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cを示す図。
【図26】拡散域の上部106Aおよび下部106Bから栄養素/酸素/緩衝剤131を引き込む内部シャント126、373、および、筋肉193から椎間板100内に栄養素/酸素/緩衝剤131を引き込む外部シャント126、373を示す図。
【図27】面関節129の荷重、緊張および疼痛を軽減するための、らせん状の内部椎間板シャント126、373による、修復された椎間板100の肥厚を示す図。
【図28】拡散域106A、106Bのうち1つ以上に達する、完全にらせん状、コイル状、結び目付き、または椎間板100内に配置された、内部椎間板シャント126、373を示す図。
【図29】栄養素131に到達し、吸収し、および/または椎間板100の上部106Aおよび/または下部106B拡散域から中間層内に栄養素131を引き込む、内部シャント126、373を示す図。
【図30】シャント126、373で吸収した栄養素131を、椎間板100の中間層および他の部分へと圧搾する、内部シャント126、373における圧縮を示す図。
【図31】上部106Aおよび下部106Bの拡散域から栄養素131を引き込む、または吸収する、内部シャント126、373の緩和または拡張を示す図。
【図32】椎間板100の拡散域の上部106Aおよび/または下部106Bから中間層へ栄養素131を引き込むことができる、ゲルまたは発泡体のシャント122の注入を示す図。
【図33】真っすぐな針101の侵入を阻む、腸骨140によるL5−S1椎間板100A、L4−5椎間板100Bの遮蔽を示す図。
【図34】針が椎間板100の核内に侵入することを妨げる、より低くなった椎間板100の腸骨による遮蔽を示す図。
【図35】真っすぐかつ剛性のカニューレ針230から椎間板100の核128内へと展開する針101およびスリーブ220の屈曲を示す図。
【図36】針101、スリーブ220およびカニューレ針230の外側に垂れ下がるシャント・ストランド126B、373Bおよび373Cを有する、曲針101およびスリーブ220を示す図。
【図37】針のハンドル130、スリーブのハンドル132、カニューレ針のハンドル270、スリーブ−カニューレ・スペーサ506および3ハンドル・ホルダ510を示す図。
【図38】椎間板100内に入るガイドワイヤ103を備えたカニューレ針230内に存在する、弾性的に真っすぐになった曲針101およびスリーブ220を示す図。
【図39】組織穿孔の間にメインシャント126のU字形部分126Aを切断する、針101の天然のブレード状の内壁368の中間的長手方向の(mid-longitudinal)図。
【図40】メインシャント126のU字形部分126Aを切断せずに支持する、針101の丸みを帯びた、鈍頭または鈍角の内壁370を示す図。
【図41】メインシャント126のU字形部分126Aの切断を防ぐための、カニューレ針230の丸みを帯びた、鈍頭または鈍角の内壁233。
【図42】らせん状のストランド126B、373B、373Cを、針101の遠位シャフトに係合し、そこから取り外すためのスリーブ220の2つのスナッグ点または先端221を示す図。
【図43】スリーブ220の複数のスナッグ点または先端221を示す図。
【図44】スリーブ220の単一のスナッグ点または先端221を示す図。
【図45】らせん状のストランド126B、373B、373C、針101および、スリーブ220の内壁に斜角を付けることによって設けられたスナッグ点221を有するスリーブ220を示す長手方向の図。
【図46】椎間板シャント・ストランド126、373を形成するために組み紐状にしたフィラメント104を示す図。
【図47】椎間板シャント・ストランド126、373を形成するために織物状にしたフィラメント104を示す図。
【図48】椎間板シャント・ストランド126、373を形成するために編物状にしたフィラメント104を示す図。
【図49】縦方向のシャント・ストランド126、373に対して斜め方向のフィラメント104を示す、椎間板シャント・ストランド126、373の斜めの切断を示す図。
【図50】シースまたはカバー127で包まれた、囲まれた、または覆われたシャント・ストランド126、373に対し、平行に配向したフィラメント104の断面図。
【図51】シースまたはカバー127によって被覆された、取り囲まれた、または覆われたシャント・ストランド126、373に対し、平行に配向した管状のフィラメント104の断面を示す図。
【図52】細孔124を有するスポンジまたは発泡体でできた椎間板シャント・ストランド126または373を示す図。
【図53】栄養素131を細胞277に輸送および供給し、生合成産物160を生成する、椎間板シャント・ストランド126、373の一部を示す図。
【図54】栄養素131の継続的な供給を利用して新生された生合成産物160によってもたらされるオスモル濃度の増大に起因する、椎間板100内への流体流れ161を示す図。
【図55】生合成産物160の産生を促進させるために、内部および外部シャントされた椎間板100内への栄養素131および/または細胞277の注入を示す図。
【図56】首の皮下にシャント・ストランド126B、373B、373Cを送達した、誤誘導された針101およびスリーブ220を示す図。
【図57】針100の方向を向け直すために後退させたが、皮膚505下におけるシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの展開が早すぎた、針101を示す図。
【図58】シャント・ストランド126B、373B、373Cの近位端を通る引き紐460、および針101内のシャント・ストランド126Cを示す図。
【図59】引き紐460に取り付けるために、シャント・ストランド126B、373B、373Cを保持する固定器具461を示す図。
【図60】シャント・ストランドを引っ張る緊張の間に、引き紐460に形成される折り目462を示す図。
【図61】シャント・ストランドからの引き紐460の後退を促進するために、折り目抵抗性の引き紐460によってもたらされる緊張の解放を示す図。
【図62】針101の後退および再配向を補助するために、シャント・ストランド126B、373B、373Cに取り付けられ、皮膚505の上に伸びる引き紐460を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
椎間板は無血性である(血管がない)。椎間板細胞にとって必須の栄養素、酸素およびpH緩衝剤131は、図1に示すように、椎体159の毛細血管107によって供給され、上下終板105から椎間板100内に拡散される。正常な血液pHは、主として、血漿中に溶解し、上下終板105を通じて椎間板100内に拡散される、pH緩衝する重炭酸によって7.35〜7.45に厳密に制御される。
【0009】
しかしながら、厚いヒト椎間板100内に拡散する深さは、浅い。終板105からの酸素の拡散の深さの計算値を図2にまとめた(Stairmand JW, Holm S, Urban JPG: Factor influencing oxygen concentration gradients in disc, Spine, Vol. 16, 4, 444-449, 1991)。
【0010】
同様に、グルコースの拡散の深さの計算値は、上下終板から3mm未満である(Maroudas A, Stockwell RA, Nachemson A, Urban J: Factors involved in the nutrition of the human lumbar intervertebral disc: Cellularity and diffusion of glucose in vitro, J. Anat., 120, 113-130, 1975)。ほとんどの動物は薄い椎間板を有し、栄養素および酸素の拡散の深さは、十分であるように見える。体重91kg(200ポンド)の大きなヒツジの椎間板は、4mm未満の厚さである。しかしながら、ヒト椎間板は、約7〜12mmの厚さである。我々の厚い椎間板の中間層は、栄養および酸素の深刻な欠乏に対して非常に脆弱である。
【0011】
年を取るにつれて、図3に示すように、石灰化層108が終板105に形成および蓄積され、毛細血管107を遮断し、椎間板100への栄養素/酸素/pH緩衝剤131の拡散の深さがさらに制限される。血管のない椎間板100の中間層では、欠乏および嫌気性条件に起因する、細胞死、基質の分解および乳酸162の蓄積は一般的である。グリコサミノグリカンの分解は、乳酸162の産生に燃料を供給する糖類を提供しうる。[Urban JP, Smith S, Fairbank JCT: Nutrition of the Intervertebral Disc, Spine, 29 (23), 2700-2709, 2004. Benneker LM, Heini PF, Alini M, Anderson SE, Ito K: Vertebral endplate marrow contact channel occlusions & intervertebral disc degeneration, Spine V30, 167-173, 2005. Holm S, Maroudas A, Urban JP, Selstam G, Nachemson A: Nutrition of the intervertebral disc: solute transport and metabolism, Connect Tissue Res., 8(2): 101-119, 1981]。
【0012】
グリコサミノグリカンが減少すると、髄核128の水分含量および膨潤圧は減少する。膨潤圧が減少した核128は、もはや、環帯を外側に継続的に膨らませるために、内側の環帯378の外周に均等に力を分配することができなくなる。結果として、内側の環帯378は内側に弛むが、外側の環帯378は外側に膨らみ、環状剥離114および脆弱になった環状層378を生じ、図3および4に示す断裂121を形成し始める可能性がある。
【0013】
椎間板における高い乳酸含量は、背痛と関連がある。実際、灼熱感をもたらす乳酸162に恐らくは由来する、密度の高い線維性瘢痕および癒着は、脊髄手術の間に、神経根194の周りで観察されうる[Diamant B, Karlsson J, Nachemson A: Correlation between lactate levels and pH of patients with lumbar rizopathies, Experientia, 24, 1195-6, 1968. Nachemson A: Intradiscal measurements of pH in patients with lumbar rhizopathies. Acta Orthop Scand, 40, 23-43, 1969. Keshari KR, Lotz JC, Link TM, Hu S, Majumdar S, Kurhanewicz J: Lactic acid and proteoglycans as metabolic markers for discogenic back pain, Spine, Vol. 33(3):312-317, 2008]。
【0014】
中間層内の嫌気性条件下では、図3に示すように、乳酸162は、産生され、断裂121を通じて核128から漏出し、神経118の周りに灼熱感をもたらし、持続性の背痛を生じる。「拡散域の拡大による背痛の緩和(Alleviate back pain by expanding the diffusion zones)」という発明の名称でJeffrey YeungおよびTeresa Yeungによって2010年7月6日に出願された米国仮特許出願第61/399,088号明細書の着色図は、変性した椎間板の中間層における石灰化した終板の近くの上下の拡散域および乳酸領域を示している。同様の単色図を図3に示す。
【0015】
一部の患者は、MRIまたはCTでは、視認性の脊髄神経のインピンジメントのない、下肢痛を被る。乳酸162は、図4に示すように、核128から断裂121を通じて脊髄神経194に至るまで漏出し、下肢痛を生じる。視認性のインピンジメントのない下肢痛は、通常、化学的因子による神経根炎と呼ばれる。
【0016】
椎間板造影法は、外科的介入の前に、有痛性の椎間板100を特定または確認するための一般的な診断法である。椎間板内へのX線造影剤163の注入は、図5に示すように、核128から断裂121を通じて隣接した神経118に至るまで乳酸162を流し、即時および非常に激しい痛みを生じる。正常な、または無痛性の椎間板では、穏やかな注入圧を用いる椎間板造影には、ほとんど痛みが伴わない。
【表1】

【0017】
椎間板細胞は酸素なしでも生存可能だが、グルコースなしでは死んでしまう。椎間板100の中間層の中央領域は、グルコースの欠乏および細胞死に対して最も脆弱である。図6に示すように、穴または空胞184は、死んだ椎間板100の解剖の間に見られうる。変性した椎間板100の髄核128は、通常、膨潤圧の減少および圧縮荷重の持続能力の低減に伴って、乾燥する。よって、図7に示すように、圧縮荷重は、面関節129へと移動し、面関節129の上関節突起142に下関節突起143を押圧し、緊張、摩耗および/または疼痛を生じる(Dunlop RB, Adams MA, Hutton WC: Disc space narrowing and the lumbar facet joints, Journal of Bone and Joint Surgery - British Volume, Vol 66-B, Issue 5, 706-710, 1984)。
【0018】
膨潤圧が低減した椎間板100は、柔軟な、または弛んだ側壁を有するパンクしたタイヤに似ている。柔らかい、または弛んだ椎間板100の上の椎体159は、図8に示すように、容易に移動する、または揺れ動く。これは、通常、椎間または脊柱不安定性と呼ばれる。図9に示すように、椎体159の頻繁なまたは過剰な動きは、面関節129を緊張させ、これが椎間の可動範囲の制限に関係する。脊柱不安定性の患者は、椎間の疼痛を緩和するために、脊柱を保護または支持するために、しばしば、筋肉193を使用する。結果として、筋肉の緊張および痛みが生じるが、筋肉193弛緩薬を用いて首尾よく治療される。圧縮、ひねり、伸長、屈曲および側屈を含めた背骨の動きを、死体の椎間板内への生理食塩水の注入前および後で測定した。椎間板内の生理食塩水の注入は、死体の研究におけるすべての背骨の動きを低減した(Andersson GBJ, Schultz AB: Effects of fluid on mechanical properties of intervertebral discs, J. Biomechanics, Vol. 12, 453-458, 1979)。
【0019】
図10におけるシャント126、373を送達する針101は、神経損傷を防ぐために、組織を切断しない組織穿孔用に作られている。ブレード状の遠位の切断エッジを有する一般的な針とは異なり、シャント126、373の送達針101は、クインケの鋭い先端310および鈍角の外部の傾斜したエッジ102を有する。千枚通しと同様に、シャント126、373の送達針101は、皮膚505、筋肉193および椎間板100を貫通し、貫通の間に、埋まった血管または脊髄神経194を避けて、穏やかに押圧または屈折する。クインケの先端310は、針101の傾斜先端と呼ばれる。
【0020】
図10におけるメインシャント・ストランド126は、2つの末端ストランドまたは部分126C、126B、および、主要なU字形部分、U字形のストランド、屈曲部または遠位部126Aを有する。第1の末端ストランド126Cは、針101のルーメン269内に挿入される、またはルーメン269を貫通する。U字形部分126Aは、ルーメン269から伸びて、針101の外壁に第2の末端ストランド126Bを垂らす。連結されたシャント・ストランド373はまた、2つの連結した末端ストランドまたは部分373B、373C、および連結したU字形部分、連結したU字形のストランド、または連結した遠位部373Aも有する。連結したシャント373は、第2の末端ストランド126Bに取り付けられるか、または第2の末端ストランド126Bに通されて、連結したU字形のストランド373A、第1の連結した末端ストランド373Bおよび第2の連結した末端ストランド373Cを形成する。メインシャント・ストランド126は、第1のシャント・ストランド126と呼ばれる。連結したシャント・ストランド373は、第2のシャント・ストランド373と呼ばれる。末端ストランドは、シャント・ストランド、末端部、126C、126B、373Bまたは373Cと呼ばれる。主要なU字形部分126Aは、U字形遠位部と呼ばれる。連結されたU字形のストランド373Aは、連結したU字形遠位部と呼ばれる。
【0021】
シャント・ストランド126、373を送達する装置は、針101を保有または格納するように寸法化および構成されたスリーブ220を備える。スリーブ220の長さは、針101の長さより短い。シャント・ストランド126B、373B、373Cは、スリーブ220および針101の外側に垂れ下がる。スリーブ220は、遠位端の2つのスナッグ点221と固体の側壁を有し、針101のシャフト上を縦方向にスライドすることができる。スナッグ点221は、針101の外壁からの固定距離を維持する。固定距離は、シャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373Bまたは373Cの外径または厚さより短い。加えて、針101とスリーブ220の間のギャップは、シャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373Bまたは373Cの外径または厚さ未満より短い。ギャップは、スリーブ220の内径から針101の外径を引いた差分であり、これは、シャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373Bまたは373Cの厚さ未満であるべきである。したがって、シャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373Bまたは373Cが、スナッグ点221と針101のシャフトの間に捕捉されることはない。さらには、スリーブ220の壁厚は、シャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373Bまたは373Cの厚さの少なくとも7分の1であることが好ましい。よって、スナッグ点221の高さは、らせん状のシャント126、373を捕捉し、針101の遠位シャフトから取り外すのに十分である。
【0022】
図7に示すKambinの三角形504は、針がそこを通じて椎間板100に安全にアクセスできる、後部の側域である。椎間板造影法における針の侵入と同様に、シャント126、373の送達針101は、フルオロスコープ(X線)によって誘導され、腹臥位の患者に侵入する。図11は、上下終板105の間の椎間板100の空間に侵入する針101の前後方向の蛍光透視図を示している。しかしながら、前後像は、腹側−背側の位置を示しているわけではない。椎弓根278の中程を通過する前に、図12に表す側部の蛍光透視図は、針101が背側になりすぎずに、硬膜上腔119に侵入するように十分に注意しなければならない。図12は、針101の先端が硬膜上腔119の腹側に位置し、椎間板100の中間層に安全に侵入することを示す、側部の蛍光透視図を表している。
【0023】
文献によれば、椎間板の相当大きい穿孔または裂傷は、椎間板の変性を生じる。シャント126、373の送達装置は、図13に示すように、自己シーリングする。針101およびスリーブ220の外側のシャント・ストランド126B、373B、373Cは、針101およびスリーブ220に押され、穿刺した非常に小さい穴を通って、環帯378内へと圧迫される。針101およびスリーブ220の後退の後、シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cは、椎間板100の静水圧の損失を防ぐため、または最小限に抑えるため、圧入インプラントとして、環帯378内の針穿刺経路をシーリングする。
【0024】
ヒツジおよびヒトの臨床研究では、針101およびスリーブ220の外径は、それぞれ、わずか1.00および1.27mmしかない。各シャント・ストランド126B、126C、373Bまたは373Cの外径は、約0.55mmである。椎間板100における針穿刺経路をシーリングするための、ストランド126B、126C、373B、373Cを合わせた直径は約2.10mmである。
【0025】
図13は、変性した椎間板100の皮膚505、筋肉193およびKambinの三角形504を通る、針101およびシャント・ストランド126、373の最初の侵入を示している。穿刺部位152の皮膚505は、針101の穿刺を容易にするために、外科用メスで表面的に切開することができる。椎間板100の穿刺の間、針101のクインケの鋭い先端310は、脊髄神経194を傷つけるか、あるいは、上または下の終板105を削ってしまう可能性を最小限に抑えるため、体の正中線の方に向けるか、またはそれに近いことが好ましい。針ハンドル130上のマーカー153Aは、終板105から約45度のクインケの先端310の配向を示している。針ハンドル130はまた、針101のひねり運動または回転を容易にするため、グリップまたは隆起紋様502を備えている。針ハンドル130は、針101の後退および進行を容易にするため、近位突起501および遠位突起500を有する、スプールの形状をしている。
【0026】
上または下の終板105のスクラップ化を回避するためには、スナッグ点221は、上下終板105から離れていること、または約45度であることが好ましい。スリーブ・ハンドル132上のマーカー153Bは、図13に示すように、スナッグ点221の向きを示している。スリーブ・ハンドル132はまた、図13に示すように、スリーブ220の後退を容易にする近位突起499、およびスリーブ220の進行を容易にする遠位突起498を備える。U字形または遠位部126A、373Aは、椎間板100に存在する。シャント・ストランド126C、126B、373B、および373Cは、通常、椎間板100から筋肉193内まで伸長する。椎間板100の修復のためには、シャント・ストランド126C、126B、373B、および373Cは、長く、皮膚505の外に伸びていることが好ましい。
【0027】
ハンドル130、132は、両方とも、針101が、変性した椎間板100内に適切に配置されるまで、固定または連結されるべきである。図14は、ハンドル・ホルダ493が、針ハンドル130およびスリーブ・ハンドル132を格納するための2ハンドルの空洞494を備えた、取り外し可能な2ハンドル・ホルダ493を示している。2ハンドル・ホルダ493の近位壁497は、針ハンドル130を保持し、近位壁497の近位開口部492は、シャント・ストランド126Cをアーチ状に曲げる。2ハンドル・ホルダ493の遠位壁495は、スリーブ・ハンドル132を保持し、遠位壁495の遠位開口部496は、スリーブ220の上にアーチ状になる。ハンドル130、132と2ハンドル・ホルダ403との結合は、取り外し可能な紐またはベルトによってさらに固定することができる。針ハンドル130およびスリーブ・ハンドル132は、スリーブ・プッシャー279の挿入のための針−スリーブ間のスペーサ503によって隔てられる。
【0028】
針101が図13に示すように配置された後、2ハンドル・ホルダ493は取り外される。図15は、外部シャント・ストランド126B、373B、373Cを針101の遠位シャフトに巻き付け、らせん化し、巻き取り、またはコイル化して、コイル状またはらせん状のシャントのストランド、部分または構造にするための、傾斜した針101のひねり運動または回転を示している。らせん状のストランド126B、373B、373Cの張力は、針101の約3〜7回回転させた後、針ハンドル130によって感じることができる。図15における針101のルーメン269で内壁と接触するU字形部分126Aは脆弱であり、損傷または切断される。針101のルーメン269の内壁は、U字形部分126Aへの損傷を回避するために、機械加工によって丸められているか、または鈍角でありうる。
【0029】
メインシャント126は、単独で、内部および/または外部の椎間板シャント126を構築するのに十分である。連結されたシャント・ストランド373は、内部および/または外部の椎間板シャント126、373にバルク、寸法、クッション、詰め物または密集体を付与する。
【0030】
スリーブ・プッシャー279は、図16において、ヒンジ363、調整可能な停止装置362、スロット360およびスリーブ・プッシャー279のハンドルを備えている。調整可能な停止装置362は、針101のクインケの鋭い先端310を越えた、スリーブ220の過度の進行を妨げる。スリーブの進行のため、針ハンドル130は固定された状態で保持される。スリーブ・プッシャー279のスロット360は、スリーブ・ハンドル132と針ハンドル130の間の針−スリーブ間のスペーサ503を越えて挿入される。スリーブ・プッシャー279の力を使用して、スリーブ220を進行させ、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを、針101の遠位シャフトから椎間板100内へと取り外す間、針ハンドル130は固定された状態で保持される。取り外す間、皮膚505の外部のストランド126B、373B、373Cの患者の体内への進行を見ることができる。
【0031】
スナッグ点221は、突出し、固定距離を維持し、針101のシャフトの外壁上を平行にスライドする、鋭い先端、エッジまたは縁であることが好ましい。進行するスリーブ220の遠位部のスナッグ点221は、図17〜18に示すように、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cをスナッグ、捕捉、フック、押出、または係合する。
【0032】
針101上のスリーブ220のスナッグ点221の長手方向の進行は、椎間板100の静水圧を維持するために、環帯378に、最小限の損傷、崩壊または開口部しか生じない。らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cは、針101の遠位シャフト上にコイル状になった幾つかの層を有していて差し支えない。スリーブ220およびスナッグ点221は針101のシャフト上をスライドし、主に、シャント・ストランド126B、373B、373Cの底層を捕捉し、押し出す。針101は、シャント・ストランド126B、373B、373Cの取り外しまたは展開を容易にするために、滑剤でコーティングすることができる。さらには、針101のシャフト上のらせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cの張力は、スリーブ220を進行させて、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを取り外す前に、針ハンドル130をわずかに反転させることによって緩めることができる。図17〜20におけるスリーブ220は、針101の遠位シャフトから変性した椎間板100内へと、らせん状のシャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cを逐次的に取り外し、剥ぎ取り、または展開する、2つのスナッグ点221を有する。
【0033】
スリーブ220の進行およびストランド126B、373B、373Cの取り外しの間に、ストランド126Cも、図18〜19に示すように、針ルーメン269を通じて椎間板100内へと引っ張られる。さらには、らせん状のストランド126B、373B、373Cは、ストランド126Cに巻き付けられ、らせん状になり、コイル状になり、または巻き取られる。したがって、らせん状のストランド126B、126C、373B、373Cは、絡みついて、相互接続したコイルを形成する。各シャント・ストランド126B、126C、373Bまたは373Cは、修復された椎間板100から容易に放出、押出されない、または移動しない。シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cのコイル化またはらせん化は、圧入された針穿刺経路を通過するには大きすぎる、椎間板100内の錨または大きい結び目としての役割もする。
【0034】
椎間板100では、図19における、シャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cの最初のらせん化は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bのうちの一方または両方に到達するには十分ではない場合がある。核128内に内部椎間板シャント126、373および密集体のバルク化を構築し、乳酸の灼熱感をもたらす痛みおよび面関節129の負荷を取り除くには、シャント・ストランドの追加のらせん化および展開が必要とされる。らせん状のストランド126B、373B、373Cの各展開の後、蛍光透視図を通じて針101およびスリーブ220の位置を確認することが良識的である。
【0035】
ルーメン269の開口部におけるシャント・ストランド126Cの部分は、図15におけるらせん化の張力に起因して、過度に脆弱になる、弱まる、または部分的に破れうる。シャント・ストランド126Cの新しい部分は、図20に示すように、スリーブ220を固定された状態で保持しつつ、針101をわずかに後退させることによって露出し、その後、図19と同様に、クインケの先端310がスナッグ点221と同等になるように、針101を再度進行させる。図21に示すように、針101を固定された状態で保持しつつ、スリーブ220を後退させる。図22に示すように、針101の遠位シャフト上に追加のシャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cを再びらせん化するために、針101をひねるか、または回転させる。針101のひねり運動の間に、シャント・ストランド126B、373B、373Cを巻き付ける張力が感じられない場合には、図14に示すように、針ハンドル130の近位端から伸びるシャント・ストランド126Cを引っ張り、U字形部分126Aと、針101の傾斜先端上にU字形部分126Aを捕捉およびらせん化するための針101の傾斜先端との接触を回復させる。クインケの先端310が依然として核128に位置する場合には、針101のわずかな進行も、シャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cのさらなるらせん化のための、U字形部分126Aを針101の傾斜先端に再係合する助けとなる。針101のシャント・ストランド126C、ルーメンの開口部269のU字形部分126A、および外部のストランド126Bの位置は、ストランド126B、126C、373B、373Cのらせん化および椎間板100内への展開の再調整および反復を可能にする。連結したシャント・ストランド373は任意でありうるが、これは、特に外部の椎間板シャント126、373として、バルク、寸法、密集体および流体輸送を与える。
【0036】
追加のらせん状またはコイル状のシャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cは、個別に送達または取り外され、スリーブ220の進行によって椎間板100内に充填され、変性した椎間板100内に、弱い、展性のある、弛んだまたはスポンジ状の領域または空胞184を満たす。椎間板100がほぼ満杯になると、コイル状またはらせん状のシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの充填は困難になり、スリーブ220の押出にさらに大きい力を必要とする。外部シャント・ストランド126B、373B、373Cは、皮膚505の上で切断され、針ハンドル130の近位開口部から伸びるシャント・ストランド126Cも、図23に示すように、切断される。針101によってらせん化され、スリーブ220によって取り外された追加のシャントは、図24に示すように、皮膚505の下および筋肉193内に、シャント・ストランド126B、373B、373Cを引き込み、巻き取り、または引っ張る。
【0037】
次のステップは、皮膚505の下、針101のルーメン269内でシャント・ストランド126Cを進行させる。図21に表すシャント送達装置の位置から開始し:(1)針101を約2回、回転させて、針101のシャフト上にシャント・ストランド126Cのみを巻き付ける。(2)スリーブ220を進行させて、図24に示すように、らせん状のシャント・ストランド126Cを後退させて、らせん状のシャント・ストランド126、373のコイル内に投入する。(3)針101を約1cm後退させた後、針101を再び約1cm挿入して、追加のシャント・ストランド126Cを椎間板100に位置付ける。(4)スリーブ220を針ハンドル130へと後退させる。(5)図24に示す針ハンドル130の近位開口部を通じてディップ・スティック109を針101のルーメン269内に挿入することによって、針101内のストランド126Cの深さを検出する。ストランド126Cの末端が皮膚505の真下にならない場合、ストランド126C、126B、373B、373Cが皮膚505の真下および筋肉193内になるまで、ステップ(1)〜(5)を繰り返す。(6)図25に示すように、内部および外部椎間板シャント126、373を形成した後、皮膚505から針101およびスリーブ220を後退させる。
【0038】
本質的に、針101は2つの位置を有する。針101の第1の位置は、針101の外側に垂れ下がる、または残留するシャント・ストランド126B、373B、373Cを伴っている。針101の第2の位置は、傾斜した針101のシャフトにらせん化され、コイル化され、覆われ、または巻き付けられるシャント・ストランド126B、373B、373Cを有しており、針101の遠位部に、らせん化、コイル化、または巻き付けられることが好ましい。針101の第1および第2の位置の間の転換は、針101をひねるか、または回転させて、針101の遠位端の傾斜先端310にシャント・ストランド126B、373B、373Cをらせん化され、コイル化され、覆われ、または巻き付けることによって達成される。
【0039】
スリーブ220およびスナッグ点221もまた、傾斜した針101上を長手方向にスライドする際に、2つの位置を有する。位置1では、遠位のスナッグ点221は、針101のクインケの先端310に隣接して配置される。位置2では、スナッグ点220は、針101のクインケの先端310に位置する、その近くに位置する、それに実質的に水平に位置する、または実質的に同じ高さに位置する。位置1から位置2にスライドする間、スリーブ220のスナッグ点221は、針101のシャフトまたは針101の外壁に対し、固定距離を維持する。位置2では、スナッグ点221は、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cを捕捉し、針101から取り外す。
【0040】
針101の第2の位置およびスリーブ220の位置1では、らせん状のシャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cは、スナッグ点221に対し、大抵は遠位にある。スリーブ220の位置1から位置2に移動またはスライドする間、スナッグ点221は、針101の第2の位置から第1の位置に転換するために、らせん状のシャント・ストランドまたは部分126B、373B、373Cを、針101の遠位部から取り外して椎間板100内に入れる。
【0041】
図26は、終板105上に蓄積した石灰化層108を有するシャントされた椎間板100の長手方向の図を示している。らせん状、コイル状、または結び目付きの椎間板シャント126、373は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bのうちの少なくとも一方に到達し、位置し、定着し、または接触して、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を引き込み、かつ輸送し、乳酸162を中和し、椎間板100の中間層における細胞に栄養分を与える。らせん状、コイル状、または結び目付きのシャント・ストランドは、灼熱感をもたらす乳酸162による椎間板に起因する痛みを和らげる、内部椎間板シャント126、373である。拡散域の上部106Aおよび下部106Bにおいて、重炭酸および他のpH緩衝溶質131は、らせん状のシャント126、373に吸収され、引き込まれ、貯蔵される。患者の日常活動による、椎間板100の圧縮および緩和に起因して、重炭酸および他のpH緩衝溶質131は、乳酸領域または椎間板100の中間層において、らせん状の内部椎間板シャント126、373から放出または圧搾され、乳酸162を中和する。本質的に、内部椎間板シャント126、373は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bを拡大して、椎間板100の中央の中間層の乳酸領域を被覆し、消去し、浸水させ、または消滅させる。よって、断裂121から漏出する流体は、図26に示すように、中性のpHまたは中性のpHに近く、疼痛を緩和または低減する。
【0042】
シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cはまた、椎間板100内のらせん状またはコイル状の内部椎間板シャント126、373から筋肉193または体循環へと伸びて、図25〜27に示す外部の椎間板シャント126、373として、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を椎間板100内に引き込むことができる。
【0043】
流体は、低いオスモル濃度から高いオスモル濃度へと流れる。外部の椎間板シャント126、373を、さまざまな変性段階、トンプソングレード0〜4の、ヒツジ(430mOsm/リットル)およびヒト死体椎間板(300〜400mOsm/リットル)に埋め込んだ。シャントしたサンプルを、青色色素を加えた生理食塩水(350mOsm/リットル)に浸漬した。サンプルの解剖では、外部シャントされた椎間板のすべてにおいて、核内への青色の生理食塩水の浸透を示した。
【0044】
別の外部椎間板シャント126、373は、筋肉193を通じてヒツジ椎間板内に埋め込んだ。ヒツジの筋肉193をイオパミドール(青色色素を加えた造影剤、545mOsm/l)で飽和した。青色のイオパミドールは、外部シャント126、373を通じてヒツジ椎間板内に浸透しなかった(430mOsm/リットル)。実際、解剖した椎間板は乾燥して見えた;ヒツジ椎間板内の流体は、恐らく、外部の椎間板シャント126、373を通じて545mOsm/リットルの青色のイオパミドールを注入された筋肉193内に引き込まれた。希釈した青色のイオパミドール溶液(150mOsm/リットル)を用いて実験を繰り返した。希釈したイオパミドール溶液で筋肉193を飽和し、外部の椎間板シャント126、373を通じて、CT下で筋肉193から核への視認できる、追跡可能なヒツジ椎間板内に浸透させた。解剖によって、ヒツジ椎間板の核内への希釈した青色のイオパミドールの浸透を確認した。
【0045】
さらなる外部の椎間板シャント126、373を、ヒツジの椎間板に埋め込み、その後、ブタ血液に浸した(約300mOsm/リットル)。サンプルの解剖は、ヒツジの椎間板のゼラチン状の髄核への、外部の椎間板シャントを通じたブタ血液の浸透を示した(430mOsm/リットル)。
【0046】
ヒツジのインビボ研究では、埋め込まれた内部および外部椎間板シャント126、373は、組織構造の染色を用いた1、3、6および12ヶ月の研究の後、椎間板100または椎間板100に隣接する組織内において、組織反応を示さなかったことを示した。組織構造のカラー写真は、「拡散域の拡大による背痛の軽減(Alleviate back pain by expanding the diffusion zones)」という発明の名称で2010年7月6日に出願された米国仮特許出願第61/399,088に示されている。加えて、予備実験の間、ヒトの外部椎間板シャント126、373には、拒絶反応は生じなかった。
【0047】
ヒトの血液のオスモル濃度は、約300mOsm/リットルである。証拠は、終板105における筋肉193および/または毛細血管107の血漿における栄養素/酸素/pH緩衝剤131は、親水性または流体吸収性の内部および/または外部椎間板シャント126、373を通って、高いオスモル濃度を有する乾燥した椎間板100内に入ることを示唆している。
【0048】
さらには、拡散域の上部106A、および下部106Bおよび筋肉193に由来する酸素131は、椎間板100の中間層の中央部において、嫌気状態を好気状態へと変換する。したがって、酸素131の存在下、乳酸162の産生は大幅に低下し、乳酸火傷もさらに低減しうる。
【0049】
患者の日常活動に起因する椎間板100の圧縮および緩和は、隔膜ポンプと同様の挙動を示し、拡散域106A、106Bおよび/または筋肉193からシャント126、373を通って椎間板100の中間層まで流体を引き込み、その後、断裂121を通じて流体を放出する。内部および/または外部シャントされた椎間板100における流体流れは動的になり、拡散域の上部106Aおよび/または下部106Bおよび/または筋肉193を通じて、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を再供給または再補給する。
【0050】
複数のコイル状またはらせん状の椎間板シャント126、373は、椎間板100内に、バルク、シム化(shimming)、詰め物、クッション、密集体、楔化または要塞化を提供し、図26の矢印に示すように、椎間板100の高さを持ち上げ、上昇、隆起、増大または持続する。らせん状の椎間板シャント126、373はまた、弛んだ椎間板100を支持および修復するための充填剤または安定剤としての役割をする。図27における修復された椎間板100は、安定し、堅く、および/または肥厚性になり、脊柱不安定性を軽減する。椎間板の高さは増大または上昇し、差異は、立位でのX線を用いて、らせん状の椎間板シャント126、373の埋め込みの前後に比較または測定することができる。脊柱の圧縮荷重の間に、荷重は、図27に示すように、下関節突起143からシャントされた椎間板100へと移動する。よって、面関節129の圧縮荷重、緊張および疼痛は軽減される。
【0051】
栄養素131は、図26に示すように、終板105にある毛細血管107から栄養素が不足している無血の椎間板100内に拡散される。拡散は、濃度と関係しており、溶質は、高濃度から低濃度へ、毛細血管107から拡散域106A、106Bへと移動する。内部椎間板シャント126、373内への栄養素131の引き込みに起因して、拡散域の上部106Aおよび/または下部106Bの栄養素131の濃度は低下する。栄養素131は、さらなる拡散のため、毛細血管107の血管芽を通じて再供給される。椎間板100内への栄養素/酸素/pH緩衝溶質131の純供給は、図28および29に示すように、内部シャント126、373の埋め込みにつれて増大する。栄養素/酸素/pH緩衝溶質131の濃度勾配は、椎間板100の十分な厚さを被覆、拡散、または浸透する内部シャント126、373によって拡張または拡大されて、乳酸162を中和し、飢えた椎間板細胞277に栄養を与え、椎間板基質を再構築し、脊柱の圧縮荷重を持続する。
【0052】
図28は、特に椎間板100の中間層への栄養素/酸素/pH緩衝剤131の供給を増大するために、椎間板100内において完全にらせん化した、コイル化した、結び目状の、または展開された内部椎間板シャント126、373を示している。図29は、内部シャント126、373が、拡散域の上部106Aおよび下部106Bのうち少なくとも一方から椎間板100の中間層内に到達し、配置され、栄養素131を吸収および/または引き込んで、拡散域を拡大し、栄養素131の濃度勾配をヒト椎間板100の中央の中間層内に拡張することを示している。
【0053】
終板105における毛細血管107および血管芽を覆う石灰化層108の重症度に応じて、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を含む拡散域の上部106Aおよび下部106Bは、軟骨性の終板105から1〜5mmの範囲である。変性した、および/または有痛性の椎間板100では、拡散域の上部106Aおよび下部106Bは、上下終板105から0〜3mmの範囲である。よって、内部椎間板シャント126、373は、両方の終板から0〜3mmの範囲の上部106Aおよび下部106Bの拡散域のうちの少なくとも一方、好ましくは両方に到達すべきである。コイル状またはらせん状のシャント・ストランド126A、126B、126C、373A、373B、373Cの反復形成および展開は、終板105のうち少なくとも一方から0〜3mmの範囲の拡散域106A、106Bのうちの少なくとも一方に位置し、存在し、定着し、到達し、または接触するのに利用され、内部椎間板シャント126、373を形成する。終板105からの内部椎間板シャント126、373の距離は、灼熱感をもたらす乳酸162に起因する椎間板の痛みを軽減するために椎間板100の中間層に供給する栄養素/酸素/pH緩衝剤131の利用可能性または量を決定する。
【0054】
要約すれば、内部椎間板シャント126、373の挿入により、乳酸162を中和し、椎間板100の中間層の椎間板細胞に栄養を与える、栄養素/酸素/pH緩衝剤131の拡散の深さが増大する。さらには、内部椎間板シャント126、373は、図29における矢印に表されるように、バルク、クッション、詰め物、厚さまたは要塞化を付与し、27における面関節129および脊柱不安定性から生じる痛みを低減または和らげる。
【0055】
椎間板シャント・ストランド126、373は親水性であり、流体を輸送および保持して痛みを和らげ、および/または変性した椎間板100を再生するための、周囲温度および大気圧下で測定可能な特徴を有する。水で飽和した後、椎間板シャント・ストランド126、373のマトリクス内に水を吸収することによって、椎間板シャント126、373の重量は10%〜500%増加する。健康なヒト椎間板100は80%の水を含む。水飽和後の好ましい水分吸収性は、30%〜120%である。シャント・ストランド126、373は、保水ポケットまたは水の輸送チャネルとしての役割をする、1ナノメートル〜200マイクロメートルの細孔径を有しうる。椎間板シャント・ストランド126、373の細孔124は、細胞277の付着および細胞の増殖のための足場または格納としても機能する。椎間板シャント・ストランド126、373における水接触角は、0〜60度である。シャント・ストランド126、373の好ましい水接触角は0〜30度である。生理食塩水を椎間板シャント・ストランド126、373に引き上げる毛管現象の高さは、0.5〜120cmである。生理食塩水を椎間板シャント・ストランド126、373に引き上げる毛管現象の好ましい高さは、1〜60cmである。ブタ血液を椎間板シャント・ストランド126、373に引き上げる毛管現象の高さは、0.5〜50cmである。ブタ血液を椎間板シャント・ストランド126、373に引き上げる毛管現象の好ましい高さは、1cm〜25cmである。椎間板シャント・ストランド126、373を通じて、生理食塩水を吸い上げる輸送速度は、湿度チャンバにおいて、8時間あたり0.1〜10ccである。ヒト椎間板100は、圧縮に起因して、1日あたり約0.5〜1.5ccの流体を失う。椎間板シャント・ストランド126、373を通じて、生理食塩水を吸い上げる輸送速度は、湿度チャンバにおいて、8時間あたり0.5〜5ccであることが好ましい。椎間板シャント・ストランド126、373を通じて、ブタ血液を吸い上げる輸送速度は、湿度チャンバにおいて、8時間あたり0.1〜10ccである。椎間板シャント・ストランド126、373を通じて、ブタ血液を吸い上げる輸送速度は、湿度チャンバにおいて、8時間あたり0.5〜3ccであることが好ましい。
【0056】
ヒツジおよびヒトの臨床研究に用いられるシャント・ストランド126、373は、周囲温度および大気圧下で、次の物理的特性を有する:(1)水飽和後の80%の体重増加、(2)0度の水接触角、(3)ブタ血液で11cm、青色色素を加えた生理食塩水で40cmの高さの毛管現象、および(4)湿度チャンバにおいて、8時間あたり1.656±0.013ccのブタ血液の吸い上げ速度。
【0057】
有痛性の椎間板100における乳酸濃度の平均値は、15cc以下の体積で、約14.5mMである(Diamant B, Karlsson J, Nachemson A: Correlation between lactate levels and pH of patients with lumbar rizopathies. Experientia, 24, 1195-1196, 1968)。血漿による即時の乳酸の中和を示すためにインビトロ研究を行った。ウシの新鮮な部位内にらせん状のシャント・ストランド126、373を形成し、そこから抽出した。らせん状のシャント・ストランド126、373に吸収された血漿は、pHメーターで測定可能な、14.5mMの乳酸溶液15ccの42%をすぐに中和した。
【0058】
背痛患者の約85%は、MRIまたはCT下で神経障害が示されない。ある患者は、神経障害はないが、視覚的アナログスコアが10(最も重症)のうち9の慢性の背痛、および視覚的アナログスコアが8の下肢痛を患っていた。椎間板シャント126、373を埋め込んで5日後、背痛の視覚的アナログスコアは2.5に下がったが、下肢痛の視覚的アナログスコアは8を持続していた。5.5ヶ月の追跡調査の間、背痛の視覚的アナログスコアは2.0に下がり、下肢痛の視覚的アナログスコアは8からゼロに下がった。背痛の迅速な軽減は、患者の血漿による即時の乳酸162の中和により、隣接する感覚神経118の酸火傷を和らげたことが原因であろう。下肢痛は、疼痛を除去するのに時間がかかる、脊髄神経194の酸損傷および化学的因子による神経根炎によって生じうる。
【0059】
内部椎間板シャント126、373は、変性した椎間板100の核128内に挿入される、流体の輸送または送達装置である。複数のコイル状またはらせん状の内部椎間板シャント126、373は、図30に示すように、終板105の間において、形状になじむ、展性である、弾性である、または圧搾できる。椎間板100の圧縮荷重の間に、シャント126、373に吸収された栄養素/酸素/pH緩衝剤131は、搾出され、椎間板100全体に分散される。椎間板100の緩和の際には、らせん状の内部椎間板シャント126、373は、図31に示すように、拡大して、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を吸収し、拡散域の上部106Aおよび/または下部106Bからシャント126、373のマトリクス内に引き込む。圧縮および緩和の反復サイクルは、栄養素/酸素/pH緩衝剤131の椎間板100内への分散および循環を補助する。栄養素131の分散は、親水性および展性の特性を有する、スポンジ状の内部椎間板シャント126、373によって可能になり、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を吸収し、無血の椎間板100内に送達する。
【0060】
図32は、親水性のゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122の椎間板100への注入を示している。注入されたゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bのうちの少なくとも一方に位置する。拡散域の上部106Aおよび下部106Bは、それぞれ、上下終板105から0〜3mmの椎間板100内への深さとして定義される。注入したゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bから椎間板100の中間層内に栄養素131を引き込むことができる。親水性のゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122は、スポンジと同様に、流体を放出および吸収するための収縮および拡張など、形状変化または体積変化する能力または特性を有することが好ましい。図30および31は、変性した椎間板100全体にわたる栄養素/酸素/pH緩衝剤の分散を助ける患者の日常活動に起因して、脊髄分節の圧縮および緩和の間に、内部椎間板シャント126、373の形状または体積変化する能力を表している。親水性のゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122は、周囲温度および大気圧において、0〜60度の水接触角を有する。内部の発泡体シャント122の好ましい水接触角は0〜30度である。水飽和の後、親水性のゲル、発泡体、粘稠液122は、周囲温度および大気圧下で、10%〜700%の水分含量を有する。注入可能なゲル、発泡体、粘稠液または流動性の液体122は、拡散域の上部106Aおよび下部106Bのうちの少なくとも一方から椎間板100の中間層内に栄養素/酸素/pH緩衝剤を輸送し、乳酸162を中和して、椎間板細胞に栄養を与える、内部の発泡体シャント122となる。
【0061】
下部腰椎L5―S1椎間板100AおよびL4−5椎間板100Bは、図33に示すように、一対の腸骨140によって遮蔽されている。真っすぐなシャント送達針101は、図34に示すように、椎間板100の核128内に椎間板シャント・ストランド126、373を送達するのが難しい、または、不可能でさえある、腸骨140の上方に、ある角度で入る。
【0062】
図35は、蛍光透視法によって、変性した椎間板100のKambinの三角形504へと誘導される、真っすぐかつ剛性のカニューレ針230を示している。カニューレ針230のクインケの鋭い先端231は、脊髄神経194を傷つけるのを避けるために、面関節129の方向に向ける、および/または面関節129に近いことが好ましい。弾性的に湾曲した針101およびスリーブ220は、図38に示すように、剛性のカニューレ針230内において、弾性的に真っ直ぐになっている。真っすぐかつ剛性のカニューレ針230から蛍光透視鏡に誘導された、弾性的に湾曲した針101が展開される間、曲針101の凹面に位置する鋭い先端310は、針101を椎間板100の核128へと導くのを補助する。推進力を誘導する際、凹面における鋭い先端310は、シャント送達針101およびスリーブ220の屈曲を低減し、結果的に、剛性のカニューレ針230内の弾性的に真っ直ぐになった位置における緊張を低下させうる。
【0063】
シャント送達針101と同様に、カニューレ針230は、図36に示すように、鈍角の遠位の外部エッジ232を備えた鋭いクインケの先端231を有し、組織を穿孔し、カニューレ針230で体に穿孔する際に、神経または血管を脇に押し出す。シャント・ストランド126B、373Bおよび373Cは、カニューレ針230の外壁に沿って垂れ下がり、カニューレ針230の寸法、脊髄神経194を損傷する危険性、および患者の不快症状を最小限にする。シャント・ストランド126B、373Bおよび373Cは、カニューレ針230の外壁の外で、患者の体内に圧入される。
【0064】
図37におけるカニューレ針230のハンドル270は、クインケの鋭い先端231の方向を示すマーカー153C、カニューレ230の進行を容易にする遠位突起272、およびカニューレ230の後退を容易にする近位突起271を有する。
【0065】
針101、スリーブ220およびカニューレ230の積層構造は、これらを分離して保持するためのスペーサおよび、特に組織穿孔の間に、積層構造をまとめて保持するためのホルダ510を必要とする。スリーブ−カニューレ・スペーサ506は、針101およびスリーブ220がカニューレ針230の遠位ルーメン111を通り越して展開するのを防止するために必要とされる。取り外し可能なスリーブ−カニューレ・スペーサ506は、スリーブ220を格納するための遠位開口部507Bおよび近位開口部508Bを備えたトラフ状の空洞509を含む。スリーブ−カニューレ・スペーサ506は、スリーブ・ハンドル132の近位突起271に隣接した遠位壁507Aおよび遠位突起498に隣接した近位壁508Aも含む。取り外し可能な3ハンドル・ホルダ510は、カニューレ・ハンドル270、スリーブ−カニューレ間のスペーサ506、スリーブ・ハンドル132、スリーブ−針間のスペーサ503および針ハンドル130を格納するためのトラフ状の空洞513を含む。3ハンドル・ホルダ510は、カニューレ・ハンドル270の遠位突起272を支持するための遠位壁511A、および、針ハンドル130の近位突起501を支持するための近位壁512Aも備える。遠位壁511Aは、カニューレ230の上にアーチを形成するように寸法化および構成された開口部511Bを備える。近位壁512Aは、図37に示すように、シャント・ストランド126Cの上にアーチを形成するように寸法化および構成されたもう1つの開口部512Bを含む。3ハンドル・ホルダ510は、カニューレ・ハンドル270、スリーブ−カニューレ・スペーサ506、スリーブ・ハンドル132、スリーブ−針間のスペーサ503および針ハンドル130を一体化し、しっかりと留める。取り外し可能なひもまたはベルトは、ハンドル270、132、130およびスリーブ−カニューレ間のスペーサ506を有する3ハンドル・ホルダ510を留める、固定するまたは束ねるのに使用することができる。
【0066】
正確さを改善し、処置時間を短縮するため、カニューレ針230を、ガイドワイヤ103によって椎間板100内に誘導することができる。椎間板造影法は、図5に示すように、しばしば、造影剤163の注入を利用して、椎間板に起因する痛みを確認するために用いられる。椎間板造影のための針276Bを標的に向けて、位置合わせするには、時間および熟練を必要とする。椎間板に起因する痛みを確認した後、椎間板造影のためのシリンジ276Aは取り外されるが、椎間板造影用の針276Bは残される。鈍頭の遠位および近位端を有するガイドワイヤ103は、椎間板造影用の針276Bを通じて椎間板100内に挿入される。ガイドワイヤ103の近位端は、患者から椎間板造影用の針276Bを抜き取る間、固定された状態で保持される。カニューレ針230のガイドワイヤ・ルーメン116は、図38に示すように、長いガイドワイヤ103の近位端に挿入される。ガイドワイヤ103の近位端は、Kambinの三角形504の方向へのカニューレ針230の進行の間、固定された状態で保持される。カニューレ230のメインルーメン111は、弾性的に真っ直ぐになった針101、スリーブ220、およびシャント・ストランド126Cを格納する。U字形部分126Aは、カニューレ230の遠位ルーメン111の開口部に位置する。主要な連結シャント・ストランド126B、373A、373B、373Cは、図38に示すように、カニューレ針230の外壁に沿って垂れ下がる、ぶら下がる、存在する、位置合わせする、または据えられる。
【0067】
ガイドワイヤ103は、針101が椎間板100内に容易に入るようにガイドワイヤ103を格納するため、シャント・ストランド126Cを備えた針101のルーメン269、または、ルーメン269と平行の分離した長手方向のチャンバまたは開口部内に挿入される。
【0068】
3ハンドル・ホルダ510およびスリーブ−カニューレ間のスペーサ506は、ガイドワイヤ103の近位端がカニューレ・ハンドル270の近位突起271を越えて伸長する際に取り外される。カニューレ230の進行の間にガイドワイヤ103がねじれるのを防ぐため、ガイドワイヤ103の近位部は、カニューレ針230が蛍光透視ガイダンス下で患者の体内をKambinの三角形504の方に進行する間、しっかりと保持される。針の位置調整は、複数のX線、熟練および時間を必要とする。ガイドワイヤ103の配置は、図5および38に示すように、医師が針を1回だけ、目標に向ける、または位置合わせすることによって診断し、疼痛を治療することができるようにする。
【0069】
上記のように、椎間板造影法は、乳酸162が感覚神経118に流れることによる、椎間板に起因する痛みを検出または確認するための診断法である。生理食塩水または他の非緩衝溶液も、乳酸162を含むであろう椎間板100に注入し、そこから吸引することができる。吸引した溶液の酸性度は、pH電極を用いて検査する。吸引した溶液が強酸性の場合には、鎮痛・消炎のために、緩衝またはアルカリ性のコーティングを有するシャント・ストランド126、373が必要とされうる。
【0070】
針101の尖鋭化により、図39における中間的長手方向の図に示すように、ルーメンの開口部269に、半円形のブレード状の内壁368が不可避的に生じる。シャント126のU字形部分126Aをヒツジ椎間板100内に圧入するために、インビトロおよびインビボで椎間板100に穿刺する間に、ブレード状の内壁368は、しばしば、U字形部分126Aをせん断および損傷した。U字形部分126Aの損傷部位369は、細径線維または、他の不活性材料に組織反応を誘発しうる削片369を形成する。実際、せん断は非常に深刻であり、多くのU字形部分126Aが椎間板100の穿刺の圧入の間に切断された。
【0071】
図40は、針101のルーメン269の開口部における、丸みを帯びたまたは鈍頭の内壁または内唇370を示している。丸みを帯びたまたは鈍頭の内壁370は、椎間板100内への圧入穿孔の間、またはシャント・ストランド126B、373B、373Cをらせん化するために針101を回転させる間に、U字形部分126Aへの損傷を防ぐために機械加工またはやすりをかけることによって形成することができる。U字形部分126Aに当て物をし、U字形部分126Aを被覆し、コーティングし、または強化して、針101の鋭い内壁368による損傷を最小限に抑えることも可能である。同様に、丸みを帯びたまたは鈍角の半円形の内壁233または内唇は、組織穿孔の間に、U字形部分126Aの切断または損傷を防ぐために、図41に示すように、カニューレ針230のルーメン111にも形成される。
【0072】
図42は、針101を格納し、その上をスライドする、ルーメン268を備えたスリーブ220の遠位端を示している。スリーブ220の2つのスナッグ点または先端221は、スリーブ220の遠位端の2つの斜角110でできている。スナッグ点または先端221は、らせん状のシャント・ストランド126B、373B、373Cをスナッグし、捕捉し、フックし、係合し、ピンニングし、くぎ打ちし、押し出し、または針101の遠位シャフトから取り外すために、鋭いことが好ましい。図43は、4つのスナッグ点221を示しており、図44は、スリーブ220の遠位端に斜角またはギザギザ110を付けることによる、単一のスナッグ点221を示している。
【0073】
スナッグ点221はまた、スリーブ220の遠位壁、縁または末端でもありうる。図45は、針101の遠位シャフト上のらせん状のシャント・ストランド126B、373A、373B、373Cの中間的長手方向の図を示している。スナッグ点221は、らせん状のシャント・ストランド126B、373A、373B、373Cをスナッグし、捕捉し、係合し、または針101の遠位シャフトから取り外すために、スリーブ220の遠位ルーメンの開口部268における内壁に斜角を付けるか、または内壁を薄く削ることによって作られる。
【0074】
スナッグ点221は、スリーブ220の外壁の縁またはエッジであってもよい。エッジまたは縁は、スリーブ220における単純な90度の切断によって形成される。
【0075】
柔軟な椎間板シャント・ストランド126、373は、図46に示すように、フィラメント104を編む、またはひねるなどの織物製造技術によって作る、または形成することができる。ひねるためには、フィラメント104の最小数は2である。編むためには、図46に示すように、フィラメント104の最小数は3である。優れた柔軟性、強度および多孔率のためには、3つ以上のフィラメント104をより合わせて編む。スナッグ点221は、らせん状の紐を編んだシャント・ストランド126B、373B、373Cを上手く捕捉、スナッグまたは係合することができる。柔軟な椎間板シャント・ストランド126、373は、図47に示すように、織ることもできる。織りは、フィラメント104を、一般に90度の角度に方向付けて、互いに上下に織り合わせる。織られたフィラメント104の半数は、線形のシャント・ストランド126、373に沿って縦方向に配向して、筋肉193または拡散域106A、106Bから、変性した椎間板100内への流体流れを促進することができる。柔軟な椎間板シャント・ストランド126、373は、図48に示すように、編むことができる。編物構造は、1本以上のフィラメント104のループを格子編みすることによって作られる。編まれたシャント・ストランド126、373は、椎間板100内への圧入送達の間に、伸縮および引き伸ばすことができる、最大の弾力性を有しうる。椎間板シャント126、373が、椎間板100内で、コイル状になった、らせん状になった、または巻き取られた後、椎間板100から拡大して伸長するシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの直径は、さらに、針穿刺経路をシーリングして、椎間板100内の静水圧の損失を防ぐ。加えて、コイル、らせんまたは巻き取りにおける編まれたシャント126、373は、図30および31に示すように、流体の吸収性を増進するための最大の多孔率を有し、無血の椎間板100のさまざまな部位に分散するための栄養素/酸素/pH緩衝剤131の液溜めを生成しうる。さらには、編まれたフィラメント104を有する、コイル状またはらせん状のシャント・ストランド126、373は、椎間板100内に、負荷および面関節129の痛みを減らすための弾性力のあるクッションを提供する。編まれたシャント126、373は、細胞277の付着および増殖のための優れたマトリクスまたは足場でありうる。椎間板シャント・ストランド126、373は、織られていないフィラメント104でできていてもよい。織られていないという用語は、織物業界では、カード/ニードルパンチ、スパンボンド、メルトブローンまたは他のものなど、他のすべての技術を含めて用いられる。織られていない椎間板シャント126、373は、細胞277の成長および増殖のための足場として大きい表面積を提供することができる。織物製造技術の組合せを、内部および/または外部の椎間板シャント126、373の形成に用いることもできる。メインシャント126および連結されたシャント373は、異なる材料または異なる織物製造技術で製造することができる。例えば、メインシャント126は、主として流体の輸送のために作られうるが、連結されたシャント373は、主に、細胞277の付着および増殖のために作られうる。メインシャント126および連結されたシャント373は、背痛の軽減および/または椎間板100の再生の促進のために異なる物質でコーティングすることができる。
【0076】
椎間板シャント126、373のフィラメント104の材料および/または配向は、(1)流速、(2)引張強度、(3)環状のシーリング、(4)多孔率、(5)流体吸収性、(6)スナッグ能力、(7)弾力性、(8)溶質輸送の選択性、(9)細胞の足場付着、(10)柔軟性、(11)耐久性、(12)滅菌技術、(13)線維形成、および/または(14)生体適合性に影響を与えうる。椎間板シャント126、373は、斜めの角度で切断され、シャント・ストランド126または373の断面を示し、フィラメント104は、図49に示すように、縦方向のシャント・ストランド126、373の方に、斜めまたは対角線に配向される。図50は、被覆、シースまたはカバー127で覆われた、椎間板シャント・ストランド126、373に平行なフィラメント104の断面を示している。平行に配向したフィラメント104および被覆127は、押出成形によって製造することができる。フィラメント104は、椎間板シャント・ストランド126、373に平行な、図51に示すような微小管であってもよい。被覆127は、微小管状のフィラメント104を被覆、保有、包含または格納して、椎間板シャント126、373のストランドを形成するのに用いられる。個別の微小管状のフィラメント104は、毛管現象を有することができ、シャント・ストランド126、373を通じて、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を椎間板100内に引き込む。
【0077】
フィラメント104は、流体を栄養素/酸素/pH緩衝溶質131と共に、低いオスモル濃度を有する組織から高いオスモル濃度を有する乾燥した椎間板100の中間層に吸収し、保有し、または引き込む、生体適合性および親水性材料でできていることが好ましい。内部および/または外部の椎間板シャント・ストランド126、373は、ヒトインプラント用に認可された縫合糸でありうる。組織を留める代わりに、縫合糸を椎間板シャント126、373として用いて、低いオスモル濃度から高いオスモル濃度へと流体をを輸送し、背痛を軽減する。
【0078】
内部および/または外部シャント・ストランド126、373は、椎間板100に流体を輸送し、保有する、図52に示すような、細孔124を有する親水性のスポンジまたは発泡体で作られてもよい。細孔124は開放されていて差し支えなく、他の細孔124に接続することができる。細孔124はまた、流体および細胞277を保有するために他の細孔124に接続せずに、閉塞していてもよい。
【0079】
変性が進行したヒト椎間板100から単離した椎間板細胞277は、適切なpHにおける栄養素の潤沢な供給と共に、依然として、組織培養においてコラーゲンおよびグリコサミノグリカンを産生する能力を有している。(Gruber H.E., Leslie K., Ingram J., Hoelscher G., Norton H.J., Hanley E.N. Jr.: Colony formation and matrix production by human anulus cells: modulation in three-dimensional culture, Spine, July 1, 29(13), E267-274, 2004. Johnstone B, Bayliss MT: The large proteoglycans of the human intervertebral disc, Changes in their biosynthesis and structure with age, topography, and pathology, Spine, Mar 15;20(6):674-84, 1995)。さらには、最近になって、変性した椎間板において幹細胞が発見されている。(Risbud MV, Gattapalli A, Tsai TT, Lee JY, Danielson KG, Vaccaro AG, Albert TJ, Garzit Z, Garzit D, Shapiro IM: Evidence for skeletal progenitor cells in the degenerate human intervertebral disc, Spine, Nov 1;32(23), 2537-2544, 2007)。栄養素131の欠乏および酸性のpHは、椎間板100のインビボにおける修復を妨げうる。
【0080】
内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、図53に示すように、栄養素/酸素/pH緩衝溶質131を、付着する細胞277に供給するための足場および蛇口でありうる。栄養素/酸素/pH緩衝溶質131の継続的または再生可能な供給と共に、椎間板細胞277は、図53〜54に表されるように、核128および環帯378の主成分である、保水性のグリコサミノグリカンおよびコラーゲンなどの生合成産物160の産生を回復する。ヒツジの研究では、サフラニンの組織染色を用いて、3ヶ月後に、椎間板シャント126、373のフィラメント104に新しく形成されたグリコサミノグリカンを確認することができる。
【0081】
グリコサミノグリカンの合成のための硫酸の取り込み速度はpH感受性である。硫酸の取り込みの最大速度は、pH7.2〜6.9の場合である。硫酸の取り込み速度は、椎間板内において、酸性pHでは約32〜40%降下する[Ohshima H, Urban JP: The effect of lactate and pH on proteoglycan and protein synthesis rates in the intervertebral disc. Spine, Sep:17(9), 1079-82, 1992]。よって、pH緩衝溶質131を用いた、椎間板シャント126、373を通じたpHの正規化は、保水性のグリコサミノグリカンの産生およびシャントされた椎間板100の膨潤圧を増加させるであろう。
【0082】
栄養素131の継続的供給に伴い、新しく形成された生合成産物160は、椎間板100内のオスモル濃度を増大させ、図54に示すように、流体流れ161を内向きに増進する。増大した流体流れ161は、(1)内部および/または外部の椎間板シャント126、373、(2)終板105を通る毛細血管107、および/または(3)環帯378を通過する。流体はまた、新しく形成された保水性のグリコサミノグリカン160にも保持される。結果として、シャントされた椎間板100の膨潤圧は増加する。椎間または脊柱不安定性は低減する。脊柱不安定性の保護に起因する筋肉の緊張および痛みは減少する。面関節129の荷重および疼痛は減少する。乳酸は、栄養素/酸素/pH緩衝溶質131の流入161によってさらに中和されて、酸火傷を低減または軽減する。椎間板100の高さは、図54の矢印が表すように、上昇、隆起または増加する。本質的に、内部および/または外部の椎間板シャント126、373の埋め込みは、変性した椎間板100の修復を可能にする。
【0083】
さらには、アデノシン三リン酸、すなわちATPは、椎間板100における圧縮荷重を持続するための保水性のグリコサミノグリカンの生合成を含めた生化学反応を推進または活発にするために必須の高エネルギー化合物である。嫌気性条件下では、各グルコース分子の代謝は、わずかに2つのATPおよび、2つの乳酸162を生成し、これが隣接する神経118を刺激する。酸素131が内部および/または外部の椎間板シャント126、373に浸透する際、好気条件下で解糖系、クエン酸回路および電子伝達系を通じて、各グルコース分子から36個のATPを生成することができ、椎間板の再生および背痛の軽減にエネルギーを与える。
【0084】
高濃度の栄養素131を内部および/または外部シャントされた椎間板100に注入して、図55に示すように、すぐに高いオスモル濃度を生じさせることもできる。高いオスモル濃度は、シャントされた椎間板100内への流体の流入161を促進する。しかしながら、グルコースまたは糖類の注入は、追加の乳酸162を産生し、さらなる疼痛を引き起こしうる。硫酸およびアミノ酸を高濃度で注入して、オスモル濃度および、図55における生合成産物160としてのグリコサミノグリカンおよびコラーゲンの産生を促進することができる。硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、または硫酸ナトリウムは、高い水溶性を有する。プロリンおよびグリシンも合理的に高い水溶性を有し、環帯378におけるコラーゲンの生合成のための必須の栄養素131である。
【0085】
鎮痛剤、抗鬱剤、ステロイド、NSAID、抗生物質、抗炎症薬、アルカリ性剤または他の薬物も、内部および/または外部シャントされた椎間板100に注入して疼痛をさらに低減することもできる。
【0086】
患者の健康な椎間板100から自家移植した椎間板細胞277を、変性し、シャントされた椎間板100に移植して、図55に示すように、椎間板の再生および生合成産物160の産生を促進することができる。
【0087】
無血の椎間板100は、十分にシーリングされる。硫酸などの小イオンおよびプロリンなどの小分子でさえも、髄核128内への拡散は大いに制限される。十分にシーリングされた椎間板100には、別の患者、死体または動物の椎間板100から得たドナー細胞277を、免疫反応を誘起することなく、封入することができる。椎間板100の再生のためには、ドナー細胞277は、幹細胞277、脊索277または軟骨細胞277であってもよい。内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、栄養素/酸素/pH緩衝溶質131を浸透させるが、免疫反応の誘起に関与する細胞および/またはサイトカインは浸透させない。免疫系の細胞としては、巨細胞、マクロファージ、単核貪食細胞、T−細胞、B−細胞、リンパ球、ヌル細胞、K細胞、NK細胞および/またはマスク細胞が挙げられる。サイトカインとしては、免疫グロブリン、IgM、IgD、IgG、IgE、他の抗体、インターロイキン、リンホカイン、モノカインまたはインターフェロンなどが挙げられる。
【0088】
栄養素131および乳酸162の分子量は、免疫反応性の細胞およびサイトカインよりはるかに小さい。輸送選択性は、半透過性の内部および/または外部シャント126、373内にある細孔またはチャネルの寸法によって制御または限定することができる。椎間板シャント126、373の分子量カットオフの上限値は、栄養素および排泄物は通過させるが、免疫反応性の細胞およびサイトカインは除外するため、3000以下でありうる。半透過性の椎間板シャント126、373は、乳酸162を含んだ栄養素131および排泄物を引き付けるために、イオン性または親和性の表面を備えていてもよい。半透過性の椎間板シャント126、373の表面は、免疫反応性の成分をはね返す、排除する、または拒絶するために、コーティングまたは改質して作ることができる。
【0089】
ここ数年、死体または生体ドナーからの細胞移植は、治療的有用性をもたらすことに成功している。例えば、ドナーの膵臓から得られた島細胞は、I型糖尿病患者の門脈に注入され、肝臓に入る。小島は、インスリンを産生して血糖を制御することにより、通常の膵臓において行うように機能し始める。しかしながら、ドナー細胞を生かしておくためには、糖尿病患者は、シクロスポリンAなどの拒絶反応抑制性の薬剤を一生、必要とする。拒絶反応抑制性の薬剤の費用に加えて、これらの免疫抑制剤の副作用には、癌が含まれうる。細胞移植の利益は、副作用の可能性に勝るものではないかもしれない。
【0090】
半透過性の内部および外部椎間板シャント126、373を備えた椎間板100は、免疫反応を回避するため、図55に示すように、注入した治療のためのドナー細胞277または薬剤を封入する半透過性のカプセルとして使用することができ、よって、一生涯にわたる免疫抑制剤は必要ではないであろう。さまざまなドナー細胞277または薬物は、脳下垂体(前葉、中葉または後葉)、視床下部、副腎、副腎髄質、脂肪細胞、甲状腺、副甲状腺、膵臓、睾丸、卵巣、松果腺、副腎皮質、肝臓、腎皮質、腎臓、視床、副甲状腺、卵巣、黄体、胎盤、小腸、皮膚細胞、幹細胞、遺伝子治療、再生医療、細胞培養、他の腺または組織から採取および/または培養することができる。ドナー細胞277は、体内の最も大きい無血管の器官であるシャントされた椎間板100内に免疫隔離され、半透過性のシャント126、373を通じた栄養素131および排泄物の輸送によって維持される。ドナー細胞277は、ヒト、動物、または細胞培養由来でありうる。睡眠または臥位の間の椎間板の圧力が低い場合には、栄養素/酸素/pH緩衝溶質131は、内部および外部シャント126、373を通じてドナー細胞277に供給される。覚醒している間は、椎間板100内の圧力は高いが、これらのドナー細胞277による生合成産物160が、図55に示すように、シャント126、373を通じて筋肉193内に、または断裂121を通じて体循環および標的部位に放出される。
【0091】
内部および外部シャントされた椎間板100によって栄養分を与えられたドナー細胞277によって産生された生合成産物160としては、アドレナリン、副腎皮質刺激ホルモン、アルドステロン、アンドロゲン、アンギオテンシノゲン(アンギオテンシンIおよびII)、抗利尿ホルモン、心房性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、カルシフェロール、コレカルシフェロール、カルシトリオール、コレシストキニン、コルチコトロピン放出ホルモン、コルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン、ドーパミン、エンドルフィン、エンケファリン、エルゴカルシフェロール、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、γ−アミノ酪酸、ガストリン、グレリン、グルカゴン、グルココルチコイド、ゴナドトロピン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト成長ホルモン、インスリン、インスリン様成長因子、レプチン、リポトロピン、黄体形成ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、電解質コルチコイド、ニューロペプチドY、神経伝達物質、ノルアドレナリン、エストロゲン、オキシトシン、副甲状腺ホルモン、ペプチド、プレグネノロン、プロゲステロン、プロラクチン、プロオピオメラノコルチン、pyy−336、レニン、セクレチン、ソマトスタチン、テストステロン、トロンボポエチン、甲状腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、チロキシン、トリヨードチロニン、刺激ホルモン、セロトニン、バソプレシン、または他の治療薬が挙げられる。これらの生合成産物160は低分子量であり、椎間板シャント126、373および/または断裂121を通じて輸送可能であるが、ドナー細胞277は椎間板100内に捕捉される。
【0092】
内部および/または外部シャントされた椎間板100内部で生成される生合成産物160(ホルモン、ペプチド、神経伝達物質、酵素、触媒または基質)は、血圧、エネルギー、神経活性、代謝、および腺活動の活性化および抑制を含めた身体機能を制御することができる可能性がある。一部のホルモンおよび酵素は、脂肪または炭水化物の食習慣および利用を管理し、影響を与え、または制御する。これらのホルモンまたは酵素は、体重の減少または増加の利益を提供しうる。シャントされた椎間板100内のドナー細胞277からのドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニンまたはγ−アミノ酪酸などの神経伝達物質の産生は、鬱病、パーキンソン病、学習障害、記憶障害、注意欠陥、行動障害、精神または神経関連疾患を治療可能にする。
【0093】
内部および/または外部シャントされた椎間板100内のドナー細胞277による生合成産物160の放出は、身体活動と同調する。日常の生活動作の間、シャントされた椎間板100内の圧力は、大抵は高く、身体の要求に応じるため、血液循環内にドナー細胞277によって生合成産物160が放出される。臥位では、シャントされた椎間板100内の圧力は低く、栄養素/酸素/pH緩衝剤131を椎間板100内に運び、細胞277に栄養を与える内部および/または外部シャント126、373を通じた流体の流入161が好ましい。一例として、ドナーの膵臓から得たランゲルハンス小島を、シャントされた椎間板100に移植または注入する。睡眠中の臥位において、グルコースはシャントされた椎間板100内に入り、埋め込まれたランゲルハンス小島からのインスリンの産生を誘発する。椎間板の圧力が高い覚醒している間は、シャント126、373または断裂121を通じて、血液循環内にインスリンが放出され、体内のグルコース濃度を調節する。夜間、シャントされた椎間板100から放出されたインスリンは、低血糖症を回避するために最小限に抑えられる。本質的に、ドナー細胞277による生合成産物160は、身体の要求を満たすために、身体的活動と同時に放出される。
【0094】
ドナー細胞277は、シャントされた椎間板100における細胞277の生存および増殖のための、pH、電解質平衡および栄養素および酸素131を含めた好ましい生物学的状態を確保するため、内部および/または外部の椎間板シャント126、373を埋め込んだ後、数日、数週、数ヶ月または数年間、シャント・ストランド126、373上に撒くか、または注入することもできる。
【0095】
内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、頸椎椎間板100も同様に治療することができる。針101のクインケの先端310は、図56に示すように、食道514および喉頭/気管515から遠ざけた向きにすることが好ましい。頸椎椎間板100は薄く、拡散域の上部106Aおよび/または下部106Bには、短いシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの単一または少数のらせんによって到達することができる。しかしながら、針101を椎間板100に向けて挿入する間、短いシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの近位端は、図56に示すように、皮膚505の下に存在しうる。針101が、図56に示すように誤誘導される場合、医師は、針101をわずかに後退させ、その後、皮膚505の上に、針101の近位部を曲げて、皮膚505の真下の針101の侵入方向を変更しなければならない。しかしながら、針101のわずかな後退は、針101のルーメン269からシャント・ストランド126Cを引っ張る、または露出させることによって、図57に示すように、時期尚早に、シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cを皮膚505の下に展開してしまうであろう。
【0096】
引き紐460は、図58に示すように、シャント・ストランド126B、373B、373Cの近位端または部分に通される。もう1つの引き紐460もまた、針101内のシャント・ストランド126Cの近位部に通すことができる。固定器具461は、図59に示すように、引き紐460に取り付ける目的で、シャント・ストランド126B、373B、373Cをまとめて保持するために用いることができる。固定器具461は、生体適合性および/または生分解性の材料でできている。引き紐460は、ナイロン・モノフィラメント縫合糸、ポリプロピレンモノフィラメント縫合糸または他のものなど、よじれ、折り畳み、または折り目に対して抵抗性の材料でできている。張力がシャント・ストランド126B、373B、373Cを引っ張る間に、折り畳みまたは折り目462は、図60に示すように、引き紐460に不可避的に形成される。張力が解放されると、折り畳みまたは折り目462は、図61に示すように、折り畳みに対して耐性の引き紐460から消失し、皮膚505の下における、シャント・ストランド126B、373B、373Cからの引き紐460の抜去を促進する。
【0097】
図62は、シャント・ストランド126B、373B、373Cに取り付けられ、皮膚505の外部に伸長する引き紐460を示している。引き紐460は、結び目463によって皮膚505の外に接続したループであって差し支えない。針101が、図56に表すように、蛍光透視図下で誤誘導される場合、針101の部分的な後退の間に、引き紐460に張力が印加される。引き紐460の張力は、針101の後退の遠位ルーメン269の開口部に位置するU字形部分126Aを保持する。死体の研究およびヒトの臨床治療から、シャント・ストランド126B、373B、373Cに取り付けられた引き紐460は、方向を向け直す前に、針101を部分的に後退させるには十分であり、針101内においてシャント・ストランド126Cに取り付けられた別の引き紐460は任意である。図15〜22に示すように、針101およびスリーブ220によって、内部および/または外部の椎間板シャント126、373を形成するための、頸椎椎間板100内におけるシャント・ストランド126B、126C、373B、373Cの十分ならせん化および送達の後、折り畳みに対して耐性の引き紐460のストランドは、結び目463に隣接して切断される。結び目463を保持することによって、引き紐460は、シャント・ストランド126B、373B、373Cから患者の皮膚505の真下において引っ張られ、引き戻される。次いで、針101およびスリーブ220が、患者から抜去される。
【0098】
米国では、背部手術を受ける患者の平均年齢は、約40〜45歳である。内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、長時間持続する鎮痛を提供するため、恒久的な材料で作られることが好ましい。シャント・ストランド126、373の製造には、広範な非分解性の材料を使用することができる。ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリエーテルエーテルケトン、アセタール樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、生糸、綿、またはリネンなどのポリマーは、有力な候補である。繊維ガラスもまた、シャント・ストランド126、373の一部であってよく、栄養素131および排泄物を輸送するための毛管現象を提供する。
【0099】
特に、研究目的では、生分解性のシャント126、373は、数週または数ヶ月以内に徴候を提供しうる。内部および外部椎間板シャント126、373は数ヶ月以内に分解されることから、任意の予見できない有害転帰は消散されるであろう。調査される分解性の椎間板シャント126、373が有望である場合、恒久的な内部および外部シャント126、373が埋め込まれ、継続的な利益を提供することができる。生分解性のシャント・ストランド126、373は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、トリメチレンカーボネート、生糸、腸線、コラーゲン、ポリ−p−ジオキサノンまたはこれらの材料の組合せで作ることができる。ポリジオキサノン、ポリ無水物、トリメチレンカーボネート、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリ−γ−エチルグルタミン酸、ポリ−DTH−イミノカーボネート、ポリ−ビスフェノールA−イミノカーボネート、ポリ−オルト−エステル、ポリシアノアクリレートまたはポリホスファゼンなどの他の分解性ポリマーも使用することができる。
【0100】
針101、スリーブ220、ディップ・スティック109およびカニューレ針230は、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金または他の金属または合金で作ることができる。針101、スリーブ220および/またはカニューレ針230は、滑剤、組織シーラント、鎮痛剤、抗生物質、X線不透過性の、磁気性のおよび/または音波発生性の薬剤でコーティングすることができる。
【0101】
内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、感染、炎症、疼痛、腫瘍または他の疾患を治療するために、経口、静脈内、または注入可能な薬剤を、無血管またはほぼ不可入性の椎間板100内に送達する、薬物送達装置として使用することもできる。薬物は、筋肉193内に注入されて、外部シャントされた椎間板100内へと引き込まれうる。椎間板炎は、成人および子どもの椎間板100における痛みを伴う感染症または炎症性病変である(Wenger DR, Bobechko WP, Gilday DL: The spectrum of intervertebral disc-space infection in children, J. Bone Joint Surg. Am., 60:100-108, 1978. Shibayama M, Nagahara M, Kawase G, Fujiwara K, Kawaguchi Y, Mizutani J: New Needle Biopsy Technique for Lumbar Pyogenic Spondylodiscitis, Spine, 1 November, Vol. 35 - Issue 23, E1347-E1349, 2010)。椎間板100の無血管の特質に起因して、経口または静脈内の薬物は、椎間板100内にあるバクテリアまたは炎症に容易に到達することができない。したがって、椎間板炎は、一般に、治療するのが困難である。しかしながら、内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、薬物送達装置として使用することができる。内部椎間板シャント126、373は、終板105を通じて全身薬を引き込み、外部の椎間板シャント126、373は、筋肉193からシーリングされた無血の椎間板100内に全身薬を引き込む。加えて、抗生物質、抗炎症薬、麻酔剤または他の薬物を外部の椎間板シャント126、373のストランドに近い筋肉193内に注入し、椎間板100内の薬物濃度を上昇させて、椎間板炎または疼痛を治療することができる。外部シャント・ストランド126、373近くへの注入は、シャント周辺への(peri-shunt)注入と呼ばれる。
【0102】
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、椎間板炎に見られる最も一般的なバクテリアである。シャント・ストランド126、373を、ナフシリン、セファゾリン、ジクロキサシリン、クリンダマイシン、バクトリム、ペニシリン、ムピロシン(バクトロバン)、バンコマイシン、リネゾリド、リファンピン、スルファメトキサゾール−トリメトプリムまたは他のものなど、非抗生物質で負荷またはコーティングして、黄色ブドウ球菌感染を治療することができる。コリネバクテリウム属もまた、椎間板炎に見られる。シャント・ストランド126、373に、エリスロマイシン、バンコマイシン、エイファムピン(eifampin)、ペニシリンまたはテトラサイクリン(登録商標)などの非抗生物質を負荷またはコーティングして、コリネバクテリウム属の感染を治療することができる。セフジニル、メトロニダゾール、チニダゾール、セファマンドール、ラタモキセフ、セフォペラゾン、セフメノキシム、フラゾリドンまたは他のものなど、他の抗生物質も、シャント・ストランド126、373のコーティングに使用することができる。
【0103】
椎間板100の炎症は、非常に激しい痛みを生じうる。MRIは、終板105の炎症を示し、炎症をModic I、IIまたはIIIに分類して識別することができる。椎間板シャント・ストランド126、373に、アスピリン、ジフルニサル、サルサレート、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ニメスリド、リコフェロンまたは他のNSAIDなどの非ステロイド系の抗炎症薬/鎮痛剤(NSAID)をコーティングまたは負荷して、椎間板100の炎症を鎮痛のために治療することができる。
【0104】
椎間板シャント・ストランド126、373はまた、ベータメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンまたは他のステロイドなどのステロイド系の抗炎症薬/鎮痛剤をコーティングまたは負荷して、椎間板100の炎症を鎮痛のために治療することができる。
【0105】
シャント・ストランド126、373に、プロカイン、アメトカイン、コカイン、リドカイン、プリロカイン、ブピバカイン、レボブピバカイン、ロピバカイン、メピバカイン、ジブカイン、メトヘキシタール、チオペンタール、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、エトミデート、ケタミン、プロポフォール、アルフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、スフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ジアモルフィン、ヒドロモルフィン、レボファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシンまたは他の麻酔剤などの麻酔剤を負荷またはコーティングして、鎮痛・消炎剤を提供することができる。
【0106】
シャント・ストランド126、373に、サクシニルコリン、デカメトニウム、ミバクリウム、ラパクロニウム、アトラクリウム、シサトラクリウム、ロクロニウム、ベクロニウム、アルクロニウム、ドキサクリウム、ガラミン、メトクリン、パンクロニウム、ピペクロニウム、ツボクラリンまたは他の弛緩薬などの筋肉193弛緩薬を負荷またはコーティングして、筋肉の緊張および痛みを軽減することができる。
【0107】
シャント・ストランド126、373に、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムまたは他の緩衝剤などの緩衝剤を負荷またはコーティングして、乳酸162を中和し、酸刺激または酸火傷によって自然に生じる痛みを和らげることができる。
【0108】
シャント・ストランド126、373に、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、中性アミンまたは他のアルカリ性剤などのアルカリ性剤を負荷またはコーティングして、乳酸162を中和し、酸刺激によって自然に生じる痛みを和らげることができる。
【0109】
シャント・ストランド126、373に、硫酸塩、グルコース、グルクロン酸、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸塩、三ケイ酸マグネシウム、メソトリケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグノシル、オルトケイ酸、三ケイ酸マグネシウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム、シラノラートs、シラノール基、シアル酸、ケイ酸、ホウ素、ホウ酸、他のミネラル、他のアミノ酸または栄養素131などの栄養素131の最初の供給を負荷またはコーティングして、変性椎間板100内における硫酸化グリコサミノグリカンおよびコラーゲンの産生を増進または開始することができる。
【0110】
抗鬱剤の経口摂取は、背痛の患者における一時的な痛みの減少または疼痛耐性を示す。抗鬱剤を、シャント・ストランド126、373にコーティングして、慢性の背痛を治療することができる。抗鬱剤のコーティングとしては、三環系抗鬱剤、セロトニン再取り込み阻害剤、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン作動性/セロトニン作動性の抗鬱剤、ノルエピネフリン−ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン再取り込み促進剤、ノルエピネフリン−ドーパミン脱阻害剤(disinhibitor)またはモノアミン酸化酵素阻害剤が挙げられる。抗鬱剤としては、アミトリプチリン、アミトリプチリンオキシド、ブトリプチリン、クロミプラミン、デメキシプチリン、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドスレピン/ドチエピン、ドキセピン、デュロキセチン、イミプラミン、イミプラミンオキシド、ロフェプラミン、メリトラセン、メタプラミン、ニトロキサゼピン、ノルトリプチリン、ノキシプチリン、ピポフェジン、プロピゼピン、プロトリプチリン、キヌプラミン、アミネプチン、イプリンドール、オピプラモール、チアネプチン、トリミプラミン、または他の抗鬱剤が挙げられる。
【0111】
内部および/または外部シャント126、373にわたる線維形成は、椎間板100と体循環または筋肉193との間の栄養素131および排泄物の交換に影響を及ぼしうる。免疫抑制剤は、シャント・ストランド126、373内にコーティングまたは取り込まれて、線維形成または組織応答を最小限に抑えることができる。免疫抑制剤の例としては、限定はしないが、アクチノマイシン−D、アミノプテリン、アザチオプリン、クロラムブシル、コルチコステロイド系、架橋ポリエチレングリコール、シクロホスファミド、シクロスポリンA、6−メルカプトプリン、メチルプレドニゾロン、メトトレキサート、ニリダゾール、オキシスラン、パクリタキセル、ポリエチレングリコール、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、プロスタグランジン、プロスタグランジンE、シロリムス、ステロイドまたは他の免疫抑制剤が挙げられる。
【0112】
シャント・ストランド126、373は、神経受容体の活性化を阻害するためのカルシウムチャンネル遮断薬で負荷またはコーティングされて、痛みを和らげることができる。カルシウムチャンネル遮断薬は、ジヒドロピリジン系、フェニルアルキルアミン系、ベンゾジアゼピン系、マグネシウムイオン、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ベラパミル、ジルチアゼムまたは他のカルシウムチャンネル遮断薬でありうる。
【0113】
健康な椎間の椎間板100には、血管がない。無血管の状態を確実にするため、シャント・ストランド126、373に、抗血管形成化合物を取り込む、抗血管形成化合物でコーティングまたは部分的にコーティングすることができる。抗血管形成化合物の例としては、限定はしないが、British Biotech社から市販されるマリマスタット[マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の合成阻害剤]、バイエル社から市販されるBay12−9566(腫瘍増殖の合成阻害剤)、Agouron社から市販されるAG3340(合成MMP阻害剤)、Novartis社から市販されるCGS 27023A(合成MMP阻害剤)、Collagenex社から市販されるCOL−3(合成MMP阻害剤、「テトラサイクリン」誘導体)、Aeterna社から市販されるネオバスタット(Neovastat)、サント・フォワ(Sainte-Foy)(天然MMP阻害剤)、Bristol−Myers Squib社から市販されるBMS−275291(合成MMP阻害剤)、TAP Pharmaceuticals社から市販されるTNP−470(フマギリンの合成類似体;内皮細胞の増殖を阻害)、Celgene社から市販されるサリドマイド(VEGF、bFGFを標的とする)、Magainin Pharmaceuticals社から市販されるスクアラミン(ツノザメの肝臓から抽出;ナトリウム水素交換輸送体、NHE3を阻害)、Oxigene社から市販されるコンブレタスタチンA−4(CA4P)(内皮細胞の増殖におけるアポトーシスの誘発)、EntreMed社から市販されるエンドスタチンコラーゲンXVIIIフラグメント(内皮細胞の阻害)、Genentech社から市販される抗VEGF抗体[血管内皮増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体]、Sugen社から市販されるSU5416(VEGF受容体シグナリングの遮断)、Sugen社から市販されるSU6668(VEGF、FGF、およびEGF受容体シグナリングの遮断)、Novartis社から市販されるPTK787/ZK 22584(VEGF受容体シグナリングの遮断)、インターフェロン−α(bFGFおよびVEGF産生の阻害)、インターフェロン−α(bFGFおよびVEGF産生の阻害)、Merck社から市販されるEMD121974、KcgaA(内皮細胞表面に存在するインテグリンの小分子ブロッカー)、NCI社から市販されるCAI(カルシウム流入阻害剤)、Genetics Institute社から市販されるインターロイキン−12(インターフェロンγおよびIP−10の上方調節)、Cytran社から市販されるIM862、アバスチン、セレブレックス、エルビタックス(登録商標)、ハーセプチン、イレッサ、タキソール、ベルケイド、TNP−470、CM101、カルボキシアミド−トリアゾール、抗腫瘍性尿蛋白質、イソトレチオニン、インターフェロン−α、タモキシフェン、テコガランコンブレスタチン、スクアラミン、シクロホスファミド、アンギオスタチン、血小板因子−4、アンギネックス、エポネマイシン、エポキソミシン、エポキシ−β−アミノケトン、抗血管形成アンチトロンビンIII、カンスタチン、軟骨由来阻害剤、CD59補体断片、フィブロネクチン断片、GRO−β、ヘパリナーゼ、ヘパリンヘキササッカリド断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、インターフェロン(α、βまたはγ)、インターフェロン誘導タンパク質(IP−10)、インターロイキン−12(IL−12)、クリングル5(プラスミノーゲン断片)、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤、2−メトキシエストラジオール(パンゼム(Panzem))、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、プロラクチン16kD断片、レチノイド、テトラヒドロコルチゾール−S、トロンボスポンジン−1、トランスフォーミング成長因子β、バスキュロスタチン、およびバソスタチン(カルレティキュリン断片)が挙げられる。
【0114】
要約すれば、内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、(1)栄養素/酸素/pH緩衝剤131を椎間板100に引き込むこと、(2)乳酸162を中和して酸火傷を軽減すること、(3)嫌気状態を好気状態に変換して乳酸162の産生を減少させること、(4)グリコサミノグリカンの生合成のため、中性pHにおける硫酸の取り込みを増大させること、(5)糖類の好気的代謝に由来するATP産生を増大させて、椎間板100の生合成反応を促進すること、(6)椎間板100を膨張させて、有痛性の面関節129の負担を取り除くこと、(7)椎間板100を強化して、脊柱不安定性および筋肉の緊張を軽減すること、(8)椎間板基質を再構築して、オスモル濃度、流体の摂取および吸収を増大させること、(9)膨潤圧を回復して、椎間板100の圧縮を維持すること、(10)長期間にわたる鎮痛のため、椎間板100を再生すること、および/または(11)椎間板100に全身薬を送達して椎間板炎を治療することによって、背痛を軽減する。
【0115】
脊柱に関する多くの外科的介入とは異なり、内部および/または外部の椎間板シャント126、373の利益として、(1)背骨の可動性の維持、(2)組織の非除去、(3)抽出による可逆性、(4)微小浸潤、(5)外来患者への手術、(6)認可されたインプラント材料、(7)1椎間板あたり15分間、(8)長期間継続し、害がない、(9)切開しない、(10)必要に応じて、薬物、保存療法または外科的介入と適合する、(11)鎮痛を促進するために、必要に応じて、シャントを薬物でコーティングできること、が挙げられる。
【0116】
内部椎間板シャント装置は、コイル状またはらせん状のストランド126、373を、尿道の粘膜壁内にらせん化および充填して、緊張性尿失禁を治療するのに用いることができる。ストランド126、373は、尿道の後部の粘膜壁内に尿道を提供するためのナイロンまたはポリプロピレンのモノフィラメントスーチャーでありうる。粘膜壁におけるらせん状のストランド126、373のコイルは、尿道括約筋の調節を増進または回復するために、尿道腔の開口部を狭めるバルク剤としての役割も果たす。
【0117】
らせん化装置はまた、皮下、特に座瘡瘢痕または美的欠陥によるくぼみに、ストランド126、373をらせん化および充填するのに用いることができる。
【0118】
本発明は、シャント・ストランド126、373が、針によって送達され、椎間板100内に充填され、終板105から0〜3mmの拡散域106A、106Bの一方または両方に到達して、終板105における毛細血管107から拡散される栄養素/酸素/pH緩衝剤131を椎間板100の中間層に引き込むことについて、幅広く主張する。針はまた、スリーブを備えていてもよい。
【0119】
針101の遠位部から椎間板100内へのらせん状のシャント・ストランド126、373の展開は、スリーブ220なしで行うことができる。椎間板100の環帯378が、らせん状または結び目付きのシャント・ストランド126、373を保持または捕捉する一方、針100は、内部および/または外部の椎間板シャント126、373を十分に展開するために後退させる。特に、薄い頸椎椎間板100では、針101の第2の位置から得られるらせん状のシャント・ストランド126、373は、終板105において毛細血管107から椎間板100の中間層内へと拡散される栄養素/酸素/pH緩衝剤131を引き込むためには十分であり、終板105から0〜3mmの拡散域106A、106Bの一方または両方に到達しうる。内部および/または外部の椎間板シャント126、373を埋め込むためのこの方法を、ヒツジのインビボ研究に用いたが、100近いヒツジの椎間板において、1つも展開を失敗することがなかった。
【0120】
本発明は、本明細書に開示される、および/または図面に示される特定の構築物に限定されることは決してないのみならず、本特許請求の範囲内にある任意の他の変更、変形、または透過物も含むことが理解されるべきである。多くの特性は、特定の配置、屈曲、選択肢、および実施の形態とともに記載されている。記載する特性の任意の1つ以上は、他の実施の形態または他の標準的な装置のいずれかに加えられ、またはそれらのいずれかと組合せて、代替となる組合せおよび実施の形態を作り出してもよい。シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cは、流れの速度および/または方向を制御するためのゲートを有しうる。ポンプを、シャント・ストランド126B、126C、373B、373Cに接続して、椎間板100と体液の交換を補助することも可能である。pH電極は、椎間板100内の酸性度を検出するため、針101の先端近くに露出されて差し支えない。
【0121】
現在の実施の形態、材料、構築物、方法、組織または切開部位が、本発明が用いられうる唯一の使用でないことは、当業者にとって明らかであろう。さまざまな部位126A、373Aおよび末端ストランド126B、126C、373B、373Cのために、異なる材料、構築物、方法または設計を代用および使用することができる。内部および/または外部の椎間板シャント126、373は、導管、芯、スポンジまたは吸収剤と呼ぶことができる。前述の説明のいずれも、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本発明の全範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定されるべきである。特許請求の範囲の明確化のため、シースは管状の部材である。らせん状のシャント・ストランドは、ストランドのスプールまたはスプール・シャントと称することができる。
【符号の説明】
【0122】
100 椎間板
100A L5/S1椎間板
100B L4−5椎間板
100C L3−4椎間板
101 針
102 針の遠位端の鈍角の外部エッジ
103 ガイドワイヤまたは管
104 椎間板シャントのフィラメント
105 終板
106A 上部拡散域
106B 下部拡散域
107 毛細血管
108 石灰化層
109 ディップ・スティック
110 スリーブの傾斜した、またはギザギザの遠位端
111 カニューレ針のルーメン
114 環状剥離
115 骨端
116 ガイドワイヤのルーメン
118 神経
119 硬膜上腔
121 断裂
122 ゲルまたは発泡体の内部椎間板シャント
123 脊椎
124 スポンジ状シャントの細孔
126 メインシャント
126A メインシャントのU字形部分、屈曲部、遠位部、または遠位区分
126B メインシャントの第2の末端ストランドまたは部分
126C メインシャントの第1の末端ストランドまたは部分
127 シャントのシース、被覆またはカバー層
128 髄核
129 面関節
130 針のハンドル
131 栄養素、酸素およびpH緩衝溶質
132 スリーブのハンドル
133 横突起
134 棘突起
135 椎弓板
140 腸骨
142 上関節突起
143 下関節突起
152 穿刺部位
153A 鋭い針のクインケの先端の方向を示すマーカー
153B スリーブのスナッグ点の方向を示すマーカー
153C カニューレ・クインケの先端の方向を示すマーカー
159 椎体
160 生合成産物または分子
161 流体流れ
162 乳酸
163 造影剤
184 核孔
193 筋肉
194 脊髄神経根
195 後縦靱帯
220 スリーブ
221 スリーブのスナッグ点、先端またはエッジ
230 カニューレ針
231 カニューレ針のクインケの先端
232 カニューレ針の鈍角の外部エッジ
233 カニューレ針の鈍角または丸みを帯びた内壁
268 スリーブのルーメン
269 針のルーメン
270 カニューレ針のハンドル
271 カニューレ・ハンドルの近位突起
272 カニューレ・ハンドルの遠位突起
276A シリンジ
276B 造影剤注入針
277 細胞
278 椎弓根
279 スリーブ・プッシャー
310 針のクインケの鋭い先端
360 スリーブ・プッシャーのスロットまたは開口部
362 スリーブ・プッシャーの止め具
363 スリーブ・プッシャーのヒンジ
368 針のブレード状の内壁
369 シャントの損傷部位
370 針の鈍角の、または丸みを帯びた内壁
373 連結された、または取り付けられたシャント
373A 連結されたシャントの、連結されたU字形部分、連結された屈曲部または連結された遠位部
373B 第1の連結端のストランドまたは部分
373C 第2の連結端のストランドまたは部分
378 環帯または環状層
460 引き紐
461 シャント・ストランドの固定器具またはホルダ
462 引き紐の折り畳みまたは折り目
463 引き紐の結び目
492 2ハンドル・ホルダの近位開口部
493 2ハンドル・ホルダ
494 2ハンドル・ホルダの空洞
495 2ハンドル・ホルダの遠位壁
496 2ハンドル・ホルダの遠位開口部
497 2ハンドル・ホルダの近位壁
498 スリーブ・ハンドルの遠位突起
499 スリーブ・ハンドルの近位突起
500 針ハンドルの遠位突起
501 針ハンドルの近位突起
502 針ハンドルのグリップまたは隆起紋様
503 針−スリーブ間のスペーサ
504 Kambinの三角形
505 皮膚
506 スリーブ−カニューレ間のスペーサ
507A スリーブ−カニューレ間のスペーサの遠位壁
507B スリーブ−カニューレ間のスペーサの遠位開口部
508A スリーブ−カニューレ間のスペーサの近位壁
508B スリーブ−カニューレ間のスペーサの近位開口部
509 スリーブ−カニューレ間のスペーサの空洞
510 3ハンドル・ホルダ
511A 3ハンドル・ホルダの遠位壁
511B 3ハンドル・ホルダの遠位開口部
512A 3ハンドル・ホルダの近位壁
512B 3ハンドル・ホルダの近位開口部
513 3ハンドル・ホルダの空洞
514 食道
515 喉頭または気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板を治療するための装置であって、
外壁、遠位部、および近位部を備え、前記遠位部が、ルーメンの開口部から前記針を通じて長手方向に伸長する傾斜先端をさらに備えている針と、
前記針を保持するように寸法調整および構成されたスリーブであって、前記スリーブが遠位端を備え、前記遠位端が少なくとも1つのスナッグ点をさらに備え、かつ、前記スリーブが前記針に沿って長手方向に移動可能であり、前記少なくとも1つのスナッグ点が、前記スリーブの長手方向の移動の間に、前記外壁からの実質的な固定距離を維持している、スリーブと、
第1の末端ストランド、第2の末端ストランド、およびU字形部分を有する第1のシャントであって、前記第1の末端ストランドの少なくとも一部が前記ルーメンの開口部に位置し、前記第2の末端ストランドの少なくとも一部が前記針およびスリーブの外側に垂れ下がり、ここで、前記第1のシャントが外径または厚さを有し、前記外径が前記外壁からの固定距離よりも実質的に大きく、かつ、前記遠位部、前記少なくとも1つのスナッグ点および前記U字形部分が、前記椎間板に入るように寸法調整および構成される、第1のシャントと、
を備えた装置。
【請求項2】
前記針が、第1の位置と第2の位置の間を移動可能であり、
前記第1の位置において、前記第2の末端ストランドが、前記針の遠位部の外側に垂れ下がり、
前記第2の位置において、前記第2の末端ストランドが、らせん状のシャント・ストランドになるように、前記遠位部上にコイル状に巻かれる
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の位置が、前記針を回転させる、またはひねることによって、前記第2の位置へと移行することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスナッグ点が、位置1と位置2の間を移動可能であり、
前記位置1において、前記少なくとも1つのスナッグ点が、前記傾斜先端に近接して位置し、
前記位置2において、前記針の遠位部から前記らせん状のシャント・ストランドを取り外して前記椎間板内に入れるために、前記少なくとも1つのスナッグ点が、前記傾斜先端と実質的に水平であるか均一になる
ことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記椎間板が、隣接する椎体において、毛細血管から栄養素、酸素およびpH緩衝剤を拡散する上下終板を含み、
前記らせん状のシャント・ストランドが、前記上下終板のうちの少なくとも一方から0〜3mmの距離に位置し、それによって、前記栄養素、酸素およびpH緩衝剤に到達し、これらを前記椎間板の中間層内に引き込む
ことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
椎間板を治療するための装置であって、
外壁、遠位部、および近位部を備え、前記遠位部がさらに傾斜先端を備えている針と、
第1の末端ストランド、第2の末端ストランドおよびU字形部分を備え、前記U字形部分が前記傾斜先端に近接して位置している第1のシャントと、

を備え、
前記椎間板が、隣接する椎体において、毛細血管から栄養素、酸素およびpH緩衝剤を拡散する上下終板を含み、
前記針が、第1の位置と第2の位置の間を移動可能であり、
前記第1の位置において、前記第2の末端ストランドが、前記針の遠位部の外側に垂れ下がり、
前記第2の位置において、前記第2の末端ストランドが、前記遠位部上でらせん状のシャント・ストランドになるようにコイル状に巻かれ、
前記らせん状のシャント・ストランドが、前記上下終板のうちの少なくとも一方から0〜3mmの距離に位置し、それによって、前記栄養素、酸素およびpH緩衝剤に到達し、これらを前記椎間板の中間層内に引き込む、
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
前記第2の末端ストランドに取り付けられた第2のシャントをさらに備えることを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項8】
前記pH緩衝剤が乳酸を中和し、それによって、酸火傷および疼痛を軽減することを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項9】
前記らせん状のシャント・ストランドが、前記椎間板内にバルク剤を形成し、それによって、前記面関節における緊張および疼痛を軽減するために、前記椎間板の高さを持ち上げ、面関節から前記椎間板へと圧縮荷重をシフトさせることを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項10】
前記らせん状のシャント・ストランドが、前記椎間板において詰め物を形成し、それによって、前記椎間板を安定化させて脊柱不安定性を軽減することを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項11】
前記第1および第2の末端ストランドのうち少なくとも一方が、前記らせん状のシャント・ストランドから前記椎間板の外側の筋肉193または体循環内へと伸長し、それによって、前記筋肉193または体循環から前記椎間板内に栄養素、酸素およびpH緩衝剤を引き込むことを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項12】
前記針が、弾性的に湾曲していることを特徴とする請求項5または6記載の装置。
【請求項13】
前記弾性的に湾曲した針が、剛性のカニューレ針のメインルーメン内で、弾性的に真っすぐになり、
前記第2の末端ストランドが、前記剛性のカニューレ針の外側に垂れ下がり、
前記U字形部分が、前記メインルーメンの遠位開口部に位置する
ことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記剛性のカニューレ針が、ガイドワイヤ・ルーメンをさらに備えることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記針が、ガイドワイヤ・ルーメンをさらに備えることを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項16】
前記針が、前記ルーメンの開口部において内壁をさらに備え、
前記内壁の少なくとも一部が鈍角であり、それによって、前記U字形部分への損傷を最小限に抑えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記メインルーメンの遠位開口部がさらに内壁を備え、
前記内壁の少なくとも一部が鈍角であり、それによって、前記U字形部分への損傷を最小限に抑えることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項18】
前記第1の末端ストランドの深さを検出するための、前記針のルーメンの開口部に挿入可能なディップ・スティックをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項19】
前記第1の末端ストランドおよび第2の末端ストランドのうち少なくとも一方に取り付けられた引き紐をさらに含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項20】
前記第1のシャントが、周囲温度および大気圧において、重量が約10%〜約500%増加することによる、吸水能力を有することを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項21】
前記第1のシャントが、約1ナノメートル〜約200マイクロメートルの細孔径を有することを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項22】
前記第1のシャントが、周囲温度および大気圧において、約0〜約60度の水接触角を有することを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項23】
前記第1のシャントが、周囲温度および大気圧において、生理食塩水を約0.5〜約120cm引き込む、毛管現象を有することを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項24】
前記第1のシャントが、細胞を含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項25】
前記第1のシャントが、抗生物質を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項26】
前記第1のシャントが、抗炎症薬を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項27】
前記第1のシャントが、麻酔剤を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項28】
前記第1のシャントが、筋肉193弛緩薬を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項29】
前記第1のシャントが、緩衝剤を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項30】
前記第1のシャントが、アルカリ性剤を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項31】
前記第1のシャントが、栄養素を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項32】
前記第1のシャントが、抗鬱剤を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項33】
前記第1のシャントが、免疫抑制剤を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項34】
前記第1のシャントが、カルシウムチャンネル遮断薬を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項35】
前記第1のシャントが、抗血管形成化合物を含有するコーティングを含むことを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項36】
前記第1のシャントがファブリック・フィラメントを含有することを特徴とする請求項1または6記載の装置。
【請求項37】
椎間板を治療するための装置であって、
前記装置が、前記椎間板に注入する発泡体を含んだ、シリンジおよび針を備えており、
ここで、
前記発泡体が、周囲温度および大気圧下で、0〜60度の水接触角を有し、
前記椎間板が、隣接する椎体において、毛細血管から栄養素、酸素およびpH緩衝剤を拡散する上下終板を含み、
前記椎間板における前記発泡体が、前記上下終板のうちの少なくとも一方から0〜3mmの距離に位置し、それによって、前記発泡体が、前記栄養素、酸素およびpH緩衝剤に到達し、前記栄養素、酸素およびpH緩衝剤を前記椎間板の中間層内に引き込んで乳酸を中和し、細胞に栄養分を与える
ことを特徴とする装置。
【請求項38】
前記発泡体が体積変化特性を有することを特徴とする請求項37記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【公表番号】特表2013−516246(P2013−516246A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547324(P2012−547324)
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/000007
【国際公開番号】WO2011/082390
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511155394)
【氏名又は名称原語表記】YEUNG, Jeffrey E.
【出願人】(511155408)
【氏名又は名称原語表記】YEUNG,Teresa T.
【Fターム(参考)】