説明

背面照明とソーラーパネルを一体とした大型表示装置

【課題】屋外用大型広告板あるいは装飾板を背面側から照射する構造の屋外表示装置において、大型画面を構成するようにした省エネルギー型の屋外表示装置を提供する。
【解決手段】大画面を分断するごとくに表示画面を複数の短冊状板1で構成し、当該短冊状板をそれぞれ前傾させ、各板ごとに小型のソーラーパネル2を組み合わせ、これにより大型で尚かつ省エネルギー型、しかも表示装置とソーラーパネルが一体化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネ型の広告用または装飾用の大型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年電力消費の少ないLED即ち発光ダイオードを、屋外広告の照明、あるいは屋内で写真、絵、あるいは宣伝用パネルの背面照射光源として用いることが増加している。 また社会的背景として、さらなる低消費電力化を求める動きが全ての電気製品に求められている。 このような背景をもとに、石油燃料以外のエネルギー源として、太陽光が注目され、太陽光を電気エネルギーに転換する太陽光発電パネル所謂ソーラーパネルが普及してきた。 上記LEDは通常の白熱球や蛍光灯に比べ消費電力が圧倒的に少ないために、ソーラーパネルとの相性がきわめて良く、これを組み合わせた例えば交通標識、案内板等が実用化されている。
【0003】
例えばその一例として図4のような小型の交通標識、あるいは図5のような大型のソーラーパネルと大型看板照明装置とを組み合わせたものが普及している。
【0004】
ところで図4のように表示装置が小型でしかも省電力である場合には小型のソーラーパネルで発電した電力をバッテリーに蓄電して夜間の照明に供することが出来る。 例えば40cmx30cmの表示板を夜間照明する場合、現在のソーラーパネルの光電変換効率約10%から20%と仮定すれば、約20Wの電気料の発電は容易であるから、日照時間を8時間、照射効率、蓄電効率等を考慮しても、夜間約2000Luxで当該表示板を照明するに十分なシステムを構築でき、表示装置とソーラーパネルをほぼ一体化して作ることが可能である。 このような一体化は給電用配線等が不要であるから、設置場所を選ばず用途に応じて設置出来るために広範囲な応用が可能である。
【0005】
しかしながら図5のごとく、屋外看板等比較的大型な表示板を夜間照明するためには、必要な電力も大きくなるため大型のソーラーパネルが必要となる。 例えば、2mx1mの大きさの看板を照明する場合には、用途や場所等で異なるが、LED照明装置を用いた場合でも約150wから200w必要である。 即ち昼間の日照時間とほぼ同じ長さの時間の照明を可能にするには、十分な容量のバッテリーと組み合わせた上で、表示する看板と同じ面積以上のソーラーパネルが必要となる。 従って、例えば屋外の大型看板を夜間照明するに十分な電力を得るためにソーラーパネルを利用する場合には、デザイン上もしくは設置工法上からも、ソーラーパネルを広告板のそばに設置すること即ち一体化することは難しく、例えば広告板を建物の外壁面に設置した場合、ソーラーパネルは建物の屋上等に設置してケーブルで接続する等の方法しかなく、デザイン的にもあるいは設置出きる場所においても非常に限定されたものであった。
【0006】
【特許文献1】特開2009−146582
【特許文献2】特開2010−40303
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のごとく、太陽光発電を利用して例えば1mx2m以上のサイズの屋外用大型表示装置即ち大型広告板あるいは大型屋外装飾パネルを夜間に照明する場合、どうしてもソーラーパネル自体を大型にする必要があり、設置の面で不都合である。 例えば縦1m、横2mの表示板を背面から十分な輝度をもって照射する場合のLEDの消費電力は約100wから150wである。 一方で、例えば現在の平均的なソーラーパネルの光電変換効率は10%から20%であるが、これを用いて上記電力を得るためのソーラーパネル概略の面積は、受光効率、蓄電効率を考慮しても、ほぼ表示面積と同じ1mx2mの面積が必要である。
即ち同程度の面積が確保出来れば、昼間の日照時間内に発電した電力で夜間同じ程度の照明時間が確保出来る。 しかしながら、例えば1mx2mの屋外看板のそばに同じ面積のソーラーパネルを配することはデザイン上も施工上も無理がある。 従って、大型の表示板面積に比して小面積のソーラーパネルを使い、尚かつ表示板とソーラーパネルが一体化出来れば、場所を選ばずに設置できるので、その効果はきわめて大である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明では、上記の大型表示板を横方向短冊状に切断し、その各短冊状板を垂直面に対して適度な角度を持って前傾させ、各短冊上板の上面と適度な角度を持って小型のソーラーパネルを配する。 斯くして分断された広告板と分散配置したソーラーパネルを一体化し、背面照明を有する大型の表示装置即ち大型広告板または大型装飾板を構成する。
【発明の効果】
【0009】
大型表示板の照明装置とソーラーパネルを一体化出来るとともに、設置工事が大幅に簡略化できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
図1を用いて本発明の第1の実施形態を説明する。 図1では「A」という文字を3分割した背面照明可能で半透明な複数の短冊状板1が、壁面に平行に配され、3枚で1枚の文字を構成している。 短冊状板1はガラス、アクリル等の透明又は半透明で背面側から照明が可能なものである。 図1では3枚で1枚の文字を構成しているが、2枚以上の短冊状板で構成されていれば本発明の趣旨に添う。 なお1枚の板でも表示板としての機能には十分であるが、大型例えば1mx2m サイズ以上の表示板の場合にはソーラーパネルのための十分な面積の確保は難しい。 さて、上記のごとく配された各短冊状板1は下端を支点として垂直面に対して適度な角度4で前面側に傾斜させる。 このとき短冊状板1と垂直面との角度4は約15度から45度が最適であるが、これは本表示装置を設置する場所から視認する位置までの距離、角度、あるいはソーラーパネルの発電能力とLED照明の消費電力量との関係から、ソーラーパネルと表示面との面積比が異なるために、実際の設計はこれらの条件を全て勘案して決められる。
【0011】
ソーラーパネル2は上記短冊状表示板1に対して適当な角度6で、短冊状板1の上面と垂直面との間の間隙に一定の傾斜角をもって配される。 ソーラーパネル2と短冊状板1との角度6は、約90度から135度程度が適当であるが、実際の表示装置においては上記に記述した短冊状板1の傾斜角度4と同様な条件を勘案して決められる。 なお本発明に適用可能なソーラーパネルは、結晶型、非結晶型、薄膜型、色素有感型、またフレキシブル基板型等々全ての形態のソーラーパネルが適用可能である。
【0012】
本発明の実施例1を更に詳細に説明するためには、図2に示す模式的断面図が適当である。 表示装置は短冊状板1とソーラーパネル2と、さらに背面照明用のLED3およびそのLEDを保持するとともに照明光を均一に前面に照射するための反射板5、これらが一体となって一つのユニットを構成し、各ユニットを図2のごとく階段状に配する。各ユニットはそれぞれ独立していてもあるいは複数ユニットを合成して一体化した構造でもよい。 短冊状板1は透明又は半透明のガラスまたはアクリル板であって、広告または装飾用の写真、絵または文字等が描かれ又は添付される。 これを背面から照射するために、LED3と反射板5をを背面側に配する。 このとき複数のLEDを上記板の背面に直接配する所謂直下型照明でも良いが、導光板や反射板を配した構造でも可能である。
【0013】
前述したとおり、表示板の寸法を仮に縦1m横2mとした場合のソーラーパネルの必要面積は概算でほぼ同一面積が必要である。 そこで例えば上記1枚の短冊状板に対して幅20cm横2mのソーラーパネルを配した場合の発電量は、どのような種類のソーラーパネルを適用しても、約50Wは容易に発電出来るから、短冊状の板の寸法は縦30cmから50cm、横幅を2mにすることが出来る。 従ってこの短冊状板1および背面照明3、そしてソーラーパネル2を一つのユニットと考えれば、これを複数縦に配列することで、幅2mで縦は無制限、また横方向にも複数配列すれば、サイズ無制限の巨大画面が構成出来る。
【0014】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を図3を持って説明する。 図3は実施形態1で説明したように、短冊状板1、背面照明3、そしてソーラーパネル2を一つのユニットとして考え、これを側面からみると階段状に配して大画面を構成するものであるが、画面を分断して階段状に配するのではなく、1枚の画面として平面上に配する場合には、独立した各ユニットの下端を支点として回転させ、ソーラーパネルの部分を壁方向に収納すれば、表示面はほぼ平面となり、夜間にはより自然な画面を構成することが出来る。 ユニット8は上面にソーラーパネル2を、側面に表示面である短冊状板2を、そして短冊状板2の背面にはLED照明装置を配し、これらを箱状筐体の中に納めた物であるが、屋外使用を考慮して防水性および耐候性に留意した構造にすることは言うまでもない。 表示面の前傾角度4は主としてソーラーパネル2の短辺の長さ即ち奥行きと、短冊状板の高さの比率で決まるが、各ユニット間の距離を広くとれば角度を自由に設定出来る。 なお図3において、左側断面図は日照時間中ソーラーパネルが動作している状態を示し、右側断面図はユニットを収納した状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の背面照明とソーラーパネルを一体とした大型表示装置の外観図
【図2】本発明の大型表示装置の第一の実施例の模式的断面図(図1のAA面)
【図3】本発明の大型表示装置の第二の実施例の模式的断面図
【図4】従来の小型ソーラーパネルとLED表示装置を組み合わせた小型標識板例
【図5】従来の大型ソーラーパネルとLED照明装置を組み合わせた大型看板例
【符号の説明】
【0016】
1 短冊状表示板
2 ソーラーパネル
3 LED
4 短冊状表示板1と垂直設置面との角度
5 反射板、放熱板を兼ねたLED保持機構
6 短冊状表示板1とソーラーパネル2との角度
7 表示装置を保持する構造体
8 短冊状表示板とソーラーパネルを一体化したユニット
9 従来の小型表示板用のLED小型表示装置
10 小型表示板に用いられる小型ソーラーパネル
11 LED背面照明を有する大型表示板
12 大型表示板11に電力を供給する大型ソーラーパネル
13 ソーラーパネル用チャージコントローラー
14 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側からLED所謂発光ダイオードにより照明する方法の写真、絵、文字等を描いた、又は添付した広告もしくは装飾用の透明又は半透明の大型表示板であって、当該大型表示板を横方向短冊状に切断し、さらに各短冊状板を垂直面に対して約15度から45度の角度で前傾させるが、前側から視認すると切断前の一枚の図柄とほぼ同様になるように各板を垂直面に配し、さらに上記傾斜させた各短冊状板の各上面に板と約90度から135度の角度で対するごとくに太陽光発電パネル、所謂ソーラーパネルを配し、さらに上記短冊状板の背面側には上記短冊状板を背面から照明するためのLED照明装置を各板ごとに配し、それらの短冊状透明板、LED照明装置、およびソーラーパネルを図1に概略示すごとくに配した構造の、広告もしくは装飾用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載する短冊状板を、各板の下部を支点として回転する構造とし、外光のない夜間または雨天には、ソーラーパネルが背面側に収納され、尚かつ各短冊状板が平面状に整列することで、一枚の大画面とほぼ同一の表示面となるようにした構造の、広告もしくは装飾用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−83684(P2012−83684A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240146(P2010−240146)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(391009143)株式会社ティーティーティー (7)
【Fターム(参考)】