説明

背骨用伸延インプラント

【課題】本発明は、脊柱と関連した不快感を軽減する最小侵襲性のインプラント及び方法の提供に関している。
【解決手段】この図に示す脊椎伸延インプラントは、脊柱管および/または神経孔の容積を拡大することによって、脊椎狭窄および小関節の関節症に関連した痛みを緩和する。このインプラントは、脊椎の屈曲を可能にしながら脊椎の延びの停止を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、親出願と一部継続出願(両方とも、発明の名称は「背骨用伸延インプラント及び方法(SPINE DISTRACTION IMPLANT AND METHOD)」である)、即ち、1997年1月2日に出願された米国特許出願第08/778,093号(親出願)と1997年10月27日に出願された米国特許出願第08/958,281号(一部継続出願)を組み合わせた出願である。
【背景技術】
【0002】
今日の社会の成熟につれ、背骨に関して老人に特有の不利な条件が増加することが予想される。一例を挙げると、老化につれ脊椎の狭窄(中心管狭窄や側方狭窄を含むが、これらに限定されない)の増加、脊柱を構成する骨の肥大化、及び小関節の関節症が起こる。脊椎の狭窄の症状は、血管及び神経を通すためのスペースが減少することを特徴としている。かかる狭窄と関連した痛みは、投薬と外科的手術の両方又は何れか一方により緩和できる。当然のことながら、誰でも、特にかなり年輩の人にとっては大がかりな手術を不要にすることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、かかる状態を緩和する最小侵襲性であって、かなり年輩の人により受け入れ可能であり、好ましくは基本的に外来患者に対して行うことができる処置及びインプラントの開発が要望されている。
【0004】
本発明は、脊柱と関連した不快感を軽減する最小侵襲性のインプラント及び方法の提供に関している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の血管及び神経に対する圧迫及び絞りを軽減することにより痛みを緩和する装置及び方法を提供する。かかる圧迫の軽減は、本発明では、脊椎の狭窄や小関節の関節症等により引き起こされる問題を解決するために隣り合う椎骨の棘突起を伸延するインプラント及び方法を用いることにより達成される。
【0006】
このインプラント及び方法は、特にかなり年輩の人の要望の実現に取り組んでいるが、本発明は、棘突起の伸延をすることが有益な全ての年齢層及び背格好の人に利用できる。本発明の一特徴によれば、第1の棘突起と第2の棘突起との間に配置される器具を有する痛みを緩和するためのインプラントが提供される。この器具は、脊柱延長停止手段及び脊柱屈曲非抑制手段を含む。
【0007】
本発明の別の特徴によれば、インプラントは、第1の棘突起と第2の棘突起との間に配置され、インプラントをこれら棘突起相互間に配置するとこれら第1の棘突起及び第2の棘突起を伸延できる伸延用楔又はウェッジを有する。
【0008】
本発明の更に別の特徴によれば、インプラントは、隣り合う棘突起相互間に配置されると神経孔の両方又は何れか一方の容積を増大させるようになった器具を有する。
【0009】
本発明の更に別の特徴によれば、脊椎の狭窄及び小関節の関節症(これらは例示に過ぎない)を伸ばすことにより痛みを緩和する方法が提供される。この方法は、痛みを緩和するために、脊柱の隣り合う第1と第2の棘突起に接近する段階と、棘突起を十分な量、伸延して脊柱管の容積を増大させる段階とを有する。本方法は、かかる痛みを緩和するのに必要な伸延量を維持するための器具を移植する段階を更に有する。
【0010】
本発明の更に別の特徴によれば、本方法は、所望量の伸延を達成してこの伸延量を維持するための器具を移植する段階を有する。
本発明の更に別の特徴によれば、インプラントは、第1の部分及び第2の部分を有する。これら部分は、所望の伸延量を達成するために互いに押圧される。
【0011】
本発明の更に別の特徴によれば、インプラントは、伸延ユニット及び保持ユニットを有する。伸延ユニットは、隣り合う棘突起相互間で押圧できる本体を有する。本体はスロットを有する。伸延ユニットの位置決め後、保持ユニットは本体のスロットに嵌入でき、そしてこれを伸延ユニットの本体に固定できる。
【0012】
本発明の精神及び範囲に属する他のインプラント及び方法を用いても脊柱管お容積を増大させることができ、それにより血管及び神経の絞り及びこれと関連した痛みを和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】所要伸延量を選択するために調節可能な本発明のインプラントの実施形態を示す図である。図1は、インプラントを図2の場合よりも一層伸長させた形体で示す図である。
【図2】所要伸延量を選択するために調節可能な本発明のインプラントの実施形態を示す図である。
【図3a】図1の実施形態の第1の二又端部の側面図である。
【図3b】図1の実施形態の第1の二又端部の端面図である。
【図4a】図1の椎体間片の横断面側面図である。
【図4b】図1の椎体間片の端面図である。
【図5a】図1の実施形態の第2の二又端部の側面図である。
【図5b】図1の実施形態の第2の二又端部の端面図である。
【図6】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図7】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図8】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図9】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図10】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図11】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の更に別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図12】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の更に別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図13】隣り合う棘突起相互間に伸延を生じさせる本発明の更に別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図14】伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図15】伸延を生じさせる本発明の別の実施形態の装置及び方法を示す図である。
【図16】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図16a】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図17】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図18】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図19】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図20】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図21】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図22】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図23】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図24】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図25】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図26】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図27】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図28】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図29】本発明の互いに形状の異なるインプラントの側面図である。
【図30】本発明の互いに形状の異なるインプラントの側面図である。
【図31】本発明の装置の種々のインプラントの位置を示す図である。
【図32】本発明の装置の種々のインプラントの位置を示す図である。
【図33】本発明の装置の種々のインプラントの位置を示す図である。
【図34】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図35】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図36】本発明の3つの互いに異なる実施形態を示す図である。
【図37】本発明の3つの互いに異なる実施形態を示す図である。
【図38】本発明の3つの互いに異なる実施形態を示す図である。
【図39】本発明の実施形態の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図40】本発明の実施形態の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図41】本発明の装置及び方法の更に別の実施形態を示す図である。
【図42】本発明の装置及び方法の更に別の実施形態を示す図である。
【図43】本発明の装置及び方法の更に別の実施形態を示す図である。
【図44】本発明のインプラントの別の実施形態を示す図である。
【図45】本発明の別の装置及び方法の図である。
【図46】本発明の実施形態の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図47】本発明の実施形態の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図48】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図49】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図50】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図51】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図52】本発明の別の装置及び方法を示す図である。
【図53】本発明の別の装置及び方法を示す図である。
【図54】本発明の別の装置及び方法を示す図である。
【図55a】本発明の別の装置及び方法を示す図である。
【図55b】本発明の別の装置及び方法を示す図である。
【図56】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図57】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図58】本発明の更に別の装置及び方法を示す図である。
【図59】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図60】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図61】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図62】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図63】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図64】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図65】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図66】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図67】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図68】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図69】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図70】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図71】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図71a】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図72】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図73】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図74】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図75】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図76】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図77】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図78】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図79】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図80】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図80a】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図81】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図82】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図83】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図83a】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図84】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図85】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図86】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図87】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図88】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図89】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図90】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【図91】本発明の更に別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図5a、図5bの実施形態
本発明の第1の実施形態が、図1〜図5a、図5bに示されている。インプラント20が、第1及び第2の二又端部22,24を有し、各二又端部は、それぞれサドル26,28を構成している。二又端部22,24は、椎体間片30を用いて結合される。図3a及び図3bで分かるように、第1の二又端部22は、サドル22から後方へ突出したねじ山付きシャフト32を有している。ねじ山付きシャフト32は、椎体間片30のねじ山付きボア34(図4a)に螺入している。
【0015】
第2の二又端部24(図5a及び図5b)は、椎体間片30の滑らかなボア38内に嵌まり込むことができる滑らかな円筒形シャフト36を有している。
【0016】
図1は、インプラント20を完全伸長位置で示し、これに対し、図2はインプラントを非伸長位置で示している。非伸長位置では、第1の二又端部22のねじ山付きシャフト32は、第2の二又端部24の中空円筒形シャフト36の内側に嵌入することが分かる。
【0017】
インプラント20は、脊柱の隣り合う第1及び第2の棘突起相互間への移植のために図2に示すように構成されている。第1及び第2の棘突起を、適当な外科的手法を用いてむき出しにし、しかる後インプラント20を、サドル26が第1の棘突起に係合すると共にサドル28が第2の棘突起に係合するよう位置決めする。この時点において、適当な器具又はピンを横穴40内に配置することにより椎体間片30を回転させるのがよく、回転の際、サドル20はサドル28に対して移動する。かかる回転により、棘突起は互いに拡がり又は伸延し、その結果、有利には脊柱管の容積が拡張して血管及び神経の狭窄が軽減される。
【0018】
このインプラント及び本明細書で説明する幾つかの他のインプラントは延長停止手段として働くことが注目される。これは、背中を後方に曲げて延長又は伸展状態にすると、隣り合う棘突起相互間の間隔を、サドル26の最も下の箇所とサドル28の最も下の箇所との間の距離よりも小さな距離まで狭めることができないことを意味している。しかしながら、このインプラントは、脊柱を前に曲げる場合の脊柱の屈曲を全く禁止したり制限することはない。
【0019】
好ましくは、かかる器具は、約5mm〜約15mmの範囲の伸延を行うことができる。しかしながら、22mm以上伸延させることができる器具は、個々の患者の事情に応じて使用してもよい。
【0020】
棘突起と関連したすべての靭帯(例えば、棘上靭帯)及び組織が無傷のままの状態で、上述の延長停止及び屈曲非抑制手段の利点が得られるようにするためにインプラント20を本質的に定位置に浮動状態で移植するのがよい。所望ならば、サドル20のうち一方をピン29によって棘突起のうちの一方に横方向にピン止めし、そして他方のサドルをつなぎ31を用いることによって他方の棘突起にゆるく関連させるのがよく、このつなぎ31は、サドルを棘突起に対して位置決めするために他方の棘突起を穴開けし又はこれを包囲し、次にこれをサドルに取り付ける。変形例として、サドルが棘突起に対して動くことができるようにするために、両方のサドルをつなぎで隣の棘突起にゆるく取り付けてもよい。
【0021】
凹状のサドルの形状により、サドルとそれぞれの棘突起との間に力を分布させるという利点が得られる。これにより、骨はインプラント20の配置状態によっては吸収(骨吸収又は骨溶解)されることはなく、骨の構造的健全性が維持される。
【0022】
この実施形態のインプラント20は多種類の材料で構成でき、かかる材料としては、ステンレス鋼、チタン、セラミックス、プラスチック、弾性材料、複合材料又はこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらには限定されない。加うるに、インプラントの弾性率を骨の弾性率に合わせてインプラント20が硬すぎないようにする。インプラントの可撓性をさらに高めるには、穴40に加えてインプラントに追加の孔を設けるのがよく、これらの穴40も又、椎体間片30を回転させようにしてサドル26,28相互間の距離を広げるという上述の目的を有している。
【0023】
本実施形態では、先ず最初に適当な器具を用いて棘突起に接近し、これを伸延させるのがよく、そして所望の伸延量を達成維持するために、インプラント20を挿入して調節するのがよいことが分かる。変形例として、棘突起に接近してインプラント20を正しく配置してもよい。いったん位置決めすると、棘突起を伸延させ、或いはすでに伸延された状態の棘突起の伸延レベルを拡張するためにインプラントの長さを調節するのがよい。かくして、伸延を生じさせ、或いはすでに得られている伸延状態を維持するためにインプラントを用いることができる。
【0024】
以下に、他の実施形態を用いて棘突起に対するインプラント、例えばインプラント20の配置方法を説明する。しかしながら、理想的には、インプラント20を脊柱の瞬間回転軸線に近く位置させてインプラント20に加わる力及びインプラント20が脊柱に加える力を最少限に抑えられるようにすることが注目されるべきである。
【0025】
さらに、プラント20の実際の取付け又は移植操作中、この方法はインプラント20の長さを第1の量伸長させ、次に背骨がこの伸延量に合わせてクリープし又は順応することができる手法を用いていることは注目される。しかる後、インプラント20を別な量長くし、次に期間を置いて背骨がこの新しい伸延レベルに合わせてクリープし又は順応することができるようにする。この手順を、所望の伸延量が達成されるまで繰り返し行う。この同一の方法をインプラントの取付け前に挿入具について用いることができる。挿入具を用いると、インプラントを取り付ける前に、一連の背骨伸延及び背骨クリープ期間を利用して所望の伸延量を得ることができる。
【0026】
図6、図7、図8、図9及び図10の実施形態
図6、図7、図8、図9及び図10に示す本発明の実施形態は、第1のアーム52及び第2のアーム54を有する伸延具又は拡張具50を有している。アーム52,54は、インプラント58の移植を行うために、ピボット点56の回りに回動自在であり、しかもピボット点56から取外し可能である。図6で分かるように、アーム52,54は横断面が幾分凹状である。その目的は、第1の棘突起60をアーム52に対し、そして第2の棘突起62をアーム54に対してそれぞれ抱えた状態でしっかりと保持することにある。第1の棘突起60と第2の棘突起62との間のスペースに立ち入るために、伸延具50を患者の背中に入れた小さな切開部を通して挿入するのがよい。伸延具50をいったん正しく位置決めすると、アーム52,54を互いに拡げて棘突起を伸延するのがよい。このようにした後、図8及び図9に示したインプラント58又は本発明の実施形態のうち他のものに示された設計のインプラント58をアーム52,54相互間に押し込んで棘突起相互間の定位置に押し込むのがよい。このようにした後、アーム52,54を棘突起から引き抜くとインプラント58は定位置に残ることができる。インプラントの背部に設けたねじ山付きボアを通してインプラント58に固定できる器具64を用いてインプラント58を定位置に押し込む。図10で分かるように、インプラント58は、上述の第1の実施形態とほとんど同一の方法でしかも伸延具50の個々のアームとほとんど同一の方法で上棘突起60及び下棘突起62を抱えるサドル89,70を有している。上述のサドルは、インプラントと棘突起との間に荷重を分布させる傾向があり、しかも棘突起をそれぞれのサドルの最も下の箇所に安定的に着座させるようにする。
【0027】
図11、図12及び図13の実施形態
本発明の装置及び方法の別の実施形態が図11、図12及び図13に示されている。この実施形態では、拡張具又は伸展具80は、ピボット点86のところで永続的に枢着されている第1のアーム82と第2のアーム84を有している。アームは、L字形端部88,90を有している。小さな切開部を通して、L字形端部88,90を第1の棘突起92と第2の棘突起94との間に挿入することができる。いったん位置決めすると、アーム82,84を棘突起を伸延するために互いに拡げるのがよい。次に、伸延レベルを維持するために、インプラント96を棘突起相互間に押し込むのがよい。インプラント96は、ウェッジ状の表面又は傾斜部98,100を有している。インプラント96を棘突起相互間に押し込むにつれ棘突起は傾斜部により一段と伸延される。インプラント96をいったん完全に移植すると、傾斜部の後方に位置した平らな表面99,101によって完全伸延状態が維持される。荷重分布及び安定性の利点を得るために、インプラント96の横断面は、インプラント58について示した横断面と類似しているのがよく、或いは他のインプラントに類似しているのがよいことは理解されるべきである。
【0028】
図14、図15、図16、図16a及び図17の実施形態
図14及び図15には、本発明の更に別の実施形態が示されている。この実施形態では、インプラント110は、第1の円錐形の部材112及び第2の円錐形の部材114を有している。部材112は、スナップ式雄型コネクタ116を有し、部材114はスナップ式雌型コネクタ118を有している。スナップ式雄型コネクタ116をスナップ式雌型コネクタ118内に押し込んだ状態で第1の部材112を第2の部材114に係止する。この実施形態では、伸延具又は拡張具80を用いるのがよい。棘突起をいったん拡張すると、移植用器具120を用いてインプラント110を位置決めし、これにスナップ嵌めすることができる。インプラント110の第1の部材112は、ツール120の一方のアームに取り付けられ、第2の部材114はツール120の他方のアームに取り付けられている。部材112,114は、隣り合う棘突起相互間の空間の両側に配置されている。部材112,114を互いに押して、インプラント110が図15に示すように棘突起相互間の定位置に係止されるようにする。また、インプラント110を棘突起に対して定位置に保持すると共に追加の伸延量を得るために、表面124が円錐形であるように円筒形表面122を一層円錐形の形にすることによりインプラント110を自己伸延状態にしてもよいことは注目されるべきである。
【0029】
インプラントの別の実施形態が、図16及び図17に示されている。このインプラント130は、第1の部材132及び第2の部材134を有している。この特定の実施形態では、インプラントは、皿穴136を通して挿入されて第2の部材134のねじ山付きボア138に係合するねじ(図示せず)を用いて結合されている。表面139は、棘突起によってこれに加えられた荷重を支持分散させるために平らにされている(図17)。
【0030】
インプラント130の実施形態は、図14及び図15の実施形態110の場合のように全体的外観が円形ではない。特に、図16及び図17のインプラント130の実施形態に関し、この実施形態は横方向側部140,142が平らになるように切頭されており、上方側部144及び下方側部146は、上及び下棘突起を捕捉して、上及び下棘突起のためのサドルを形成するために細長くなっている。上方側部140及び下方側部146は、棘突起に適合した一層解剖学的なインプラントを提供するよう丸くなっている。
【0031】
所望ならば、そして第1の部材132及び第2の部材134が互いに整列するようにするために、キー148及びキー溝150が、特定の方法で嵌合するよう設計されている。キー148は、少なくとも1つの平らにされた表面、例えば平坦面152を有し、この平坦面152は、キー溝150の適当に平らにされた表面154に嵌合している。このように、第1の部材は、インプラント130を上棘突起及び下棘突起に対して保持する適当な上サドル及び下サドルを形成するために第2の部材に適当に嵌合する。
【0032】
図16aは、丸くなったノーズ引込みプラグ135と組合わされる第2の部材134を示している。引込みプラグ135は、キー148とぴったりと嵌合できるボア137を有している。この形態では、引込みプラグ135を用いると、第2の部材134を棘突起相互間に配置しやすくすることができる。いったん第2の部材134を適当に位置決めすると、引込みプラグ135を取り外すことができる。引込みプラグ135は、第2の部材134を位置決めするために棘突起及び軟組織を押し離すのに役立つ他の形状、例えばピラミッド形及び円錐形のものであってもよいことは理解されるべきである。
【0033】
図18、図19及び図20の実施形態
図18に示すようなインプラント330は、互いにかみ合う第1及び第2のウェッジ332,334で構成されている。これらウェッジ332,334を移植するために、棘突起に両側から接近し、次に器具を用いてウェッジを互いに向かって押す。ウェッジを互いに向かって押すと、ウェッジは互いに近づくので上棘突起336と下棘突起338との間に位置したインプラント330の組合せ寸法が増加し(図20)、それにより棘突起を伸延させる。ウェッジ332,334は、棘突起336,338を受け入れるサドル340,342を有している。これらサドルは、上述した利点を有している。
【0034】
第1のウェッジ332又は第2のウェッジ334は、チャンネル344及びウェッジ332,334を互いに係止するためにこのチャンネル内に押し込むことができる突起346からなるかみ合い構造を有している。チャンネル334は、突起をこれから分離しないようにするためにアンダーカットされている。さらに、本明細書で説明する他の器具の場合と同様に、移動止めをチャンネルと突起のうち一方に設けるのがよく、これに相補する凹部をチャンネルと突起のうち他方に設けるのがよい。これら2つをいったん互いにスナップ嵌めすると、ウェッジはチャンネル344内において他方に対して摺動しないようになる。
【0035】
上述の実施形態をウェッジに関して説明したが、ウェッジはまた、同一の特徴及び利点を全て備えた実質的に円錐体として設計してもよい。
【0036】
図21及び図22の実施形態
インプラント370は、第1及び第2の伸延円錐体372,374で構成されている。これら円錐体は、可撓性の材料で作られている。円錐体は、図21に示すように棘突起376,378の各側に配置されている。上述したような適当な器具を用いて、伸延円錐体372,374を互いに押圧する。これら伸延円錐体を押し合うと、円錐体は、図22に示すように棘突起を伸延する。いったんこのようになると、適当なねじ又は他の形式の締結機構(図示せず)を用いて伸延円錐体372,374の位置を維持することができる。この構成の利点は、インプラント370が自動伸延性を発揮すると共に、可撓性であるインプラントが図22に示すように棘突起の周りに密着することにある。
【0037】
図23、図24及び図25の実施形態
図23及び図24にはインプラント170の別の実施形態が示されている。このインプラントは、L字形ガイド172を用いて定位置に案内され、このガイドは、凹状の横断面、例えば図6の伸延具50の横断面52を有するのがよい。その目的は、インプラント170を抱えた状態で定位置に案内することにある。好ましくは、小さな切開部を患者の背中に作り、L字形ガイド又は案内具172を隣合う棘突起相互間に挿入する。インプラント170を挿入具174の端部に取り付け、棘突起相互間の定位置に押し込む。インプラントを定位置に押し込む動作により、棘突起はそれが必要ならば一段と伸延する。L字形案内具172の挿入に先立って、例えば図13に示すような伸延具を用いると、棘突起を最初に伸延できる。
【0038】
インプラント170は、変形しうる材料で作るのがよく、したがってこれを定位置に押し込むことができると共にこれは上棘突起及び下棘突起に幾分形状が合致できるようになっている。この変形しうる材料は好ましくは弾性材料である。かかる材料の利点は、インプラントと棘突起との間の荷重が非常に広い表面積全体にわたって分散されることにある。さらに、インプラントを棘突起に対して位置決めするためにインプラントは異形の棘突起の周りに密着することになる。
【0039】
図25に関連して、このインプラント176をガイドワイヤ、案内具又は探り針178上に嵌めることができる。当初、ガイドワイヤ178を患者の背中の小さな切開部を通して隣合う棘突起相互間の位置に配置する。このようにした後、インプラントをガイドワイヤ178上に螺着し、棘突起相互間の定位置に押し込む。この押し込みにより、もし一層の伸延が必要ならば棘突起を一段と伸延することができる。インプランドがいったん定位置に位置すると、案内具178を取り出して切開部を閉じる。所望ならば図22及び図24の挿入具を用いてもよい。
【0040】
図26、図27及び図28の実施形態
図26、図27及び図28に示す実施形態は、図8及び図9に示すインプラントと類似しているが、異なる挿入具を備えたインプラントを用いている。図26で分かるように、L字形伸延具190はL字形伸延具80(図12)と類似しており、これを用いて第1及び第2の棘突起192,194を伸延する。このようにした後、挿入具196を棘突起192,194相互間に配置する。挿入具196は、正方形のリング200が取り付けられたハンドル198を有している。
【0041】
棘突起を互いに拡げるために伸延具190を背中の小さな切開部を通して挿入することができる。僅かに横方向に拡大した同一の切開部を通して最初にリング200の上端部202を挿入し、その後リング200の残部を挿入するのがよい。リングをいったん挿入すると、ハンドル198を下方に動かすことによってリングを僅かに回転させることができる。その目的は、棘突起に楔作用を及ぼしてこれを互いに一段と押し離すことにある。いったんこれを達成すると、インプラント、例えばインプラント204をリングを通して挿入し、インプラントハンドル206を用いて正しく位置決めすることができる。しかる後、インプラントハンドル206及び挿入具196を取り出すのがよい。
【0042】
図29、図30、図31、図32及び図33の実施形態
図29及び図30で分かるように、インプラント210,212は、側面から見ると互いに異なる形状を有している。これらインプラントは、上述のインプラント58(図8)及び204(図28)と類似している。これらインプラントは、隣り合う棘突起を受け入れてこれらを保持するためにサドルを有する図10に示すインプラントの横断面と類似した横断面を有している。
【0043】
図31、図32及び図33で分かるように、インプラントを棘突起214に対して互いに異なる位置に配置するのがよい。好ましくは、図33に示すように、インプラント210を薄層板216に最も近く配置する。そのように位置決めすると、インプラント210は、脊柱の瞬時回転軸線218の近くに位置し、インプラントが受けるようになった背骨の運動により生じる力は最小になる。かくして、理論的には、これはインプラントにとっての最適な配置場所である。
【0044】
図31及び図32で分かるように、インプラントを棘突起に沿って(図32)且つ棘突起(図31)の棘突起の後方に向かって真ん中に配置するのがよい。図31に示すように位置決めすると、脊柱の伸縮の相乗効果により最も大きな力がインプラント210に加わる。
【0045】
図34及び図35の実施形態
本発明の別の実施形態が図34及び図35に示されている。これらの図では、インプラント220は、実質的にV字形の複数の個々の薄片222で構成されている。薄片は、相互係止へこみ又は移動止め224を有している。即ち、各薄片は、へこみを有すると共にこれと対応した突起部を有しており、したがって一薄片の突起部は隣の薄片のへこみに嵌合するようになっている。また、この実施形態と関連して挿入具226が用いられ、この挿入具は、個々の薄片222の形状と一致した拡がった端228を有している。図29に示すような棘突起相互間の空間へのこのインプラントの挿入のため、挿入具226を用いて先ず最初に一枚の薄片220を挿入する。このようにした後、挿入具は次に第2の薄片を挿入するが、この場合、第2の薄片の突起224を、第1の薄片の突起224によって作られた対応のへこみの中にスナップ嵌めする。この操作は、棘突起相互間に適度な間隔が得られるまで第3及び引き続く薄片に関して繰り返し行う。図29で分かるように、個々の薄片222の横方向縁部229は、僅かに上方に湾曲している。その目的は、上棘突起及び下棘突起を受け入れるサドルを形成することにある。
【0046】
図36、図37及び図38の実施形態
それぞれインプラント230、232及び234から成る図36、図37及び図38の実施形態は、インプラントをいったん棘突起相互間に正しく位置決めするとインプラントが定位置に自動係止するように設計されている。インプラント230は、本質的に一連の切頭円錐体から成り、複数の段々と拡大したステップ236を有している。これらステップは、ノーズ本体238で始まり、その背後に円錐体240が続いて設けられた円錐体で形成されている。本質的に,インプラント234は、横に置かれたクリスマスツリーのように見える。
【0047】
インプラント230は、上棘突起と下棘突起との間の開口部を通して横方向に挿入される。第1のノーズ本体238により最初の伸延が行われる。連続して配置された円錐体は各々、棘突起を小刻みな量、伸延する。所望の伸延量になると棘突起をステップ236により定位置に係止する。この時点において、所望ならば、インプラントの最初のノーズ本体238及び他のノーズ本体240をもぎ取り、ぽきっと折り、或いは所望ならばのこ引きして切断する。その目的は、インプラント230の寸法を最小限に抑えることにある。インプラント230の一部をもぎ取り又はぽきっと折ったりするために、交線242であるノーズ本体相互間、例えばノーズ本体238,240相互間の交差部は、適切にその材料を除くことにより幾分弱められている。当初の円錐体の交線をそのように弱める必要があるに過ぎないことは注目される。かくして、棘突起相互間に残るノーズ本体相互間の交線244は、弱いものである必要はない。というのは、インプラントをこの箇所でもぎ取るようなことはないからである。
【0048】
図37は、上棘突起と下棘突起との間に位置したインプラント232を示している。このインプラントは、横断面が楔形又は三角形の形をしており、複数のボア245,246を有している。係止ピン248,250をこれらのボアに差し込むことができる。三角形又は楔形のインプラントを上棘突起と下棘突起との間で側方に押圧し、かくしてそれによりこれらを伸延することができる。適当な伸延量にいったん達すると、棘突起をピン248,250及び傾斜面233,235で形成されるV字形の谷部内に係止するためにピン248,250を複数のボア245,246の適当なボアの中へ挿入するのがよい。
【0049】
図38を参照すると、インプラント234は、図32に示すものと類似した三角形又は楔形の本体を有している。この実施形態では、タブ252,254が三角形の本体234に回動自在に取り付けられている。棘突起を所望量伸延するためにインプラント234をいったん適切に位置決めすると、インプラント234を適切な位置に保持するためにタブ252,254が回転して定位置をとる。
【0050】
図39及び図40の実施形態
図39及び図40の実施形態では、カニューレ258が、小さな切開部を経て上棘突起及び下棘突起相互間の位置に挿入される。カニューレがいったん正しく挿入されると、挿入具262を用いてインプラント260をカニューレ258内へ押し込む。インプラント260は、該インプラントを上棘突起及び下棘突起に対して位置決めするのを助ける複数のリブ又はへこみ264を有している。インプラント260がいったん定位置に位置すると、カニューレ258を引っ込めてインプラント260が棘突起に接触してこれらの間に楔作用を発揮するようにする。カニューレ258の形状は幾分円錐形であり、ノーズ端部266は遠位端268よりも幾分小さい。その目的は、棘突起相互間のスペース内へのカニューレの挿入を行うことにある。
【0051】
さらに、一つではなく複数のカニューレを用いてもよく、この場合、各カニューレは上述のものよりも僅かに大きい。本発明の方法では、第1の小さなカニューレを挿入し、次にこれに引き続きこれよりも大きなカニューレを先の小さなカニューレ上に配置する。次に、小さなカニューレを大きなカニューレの中央から引き抜く。最も大きなカニューレがいったん定位置に位置し、そして皮膚の開口部がそれに応じて広がると、大きなカニューレにだけ適合したインプラントをこの大きなカニューレ内へ挿入して定位置に配置する。
【0052】
図41、図42及び図43の実施形態
図41及び図42の予め湾曲したインプラント270及び図43の予め湾曲したインプラント272に対しては、ガイドワイヤ、案内具又は探り針を含む共通の挿入法が用いられる。両実施形態に関し、ガイドワイヤ274を患者の皮膚を通して適切に位置決めし、そして棘突起相互間の空間内へ配置する。これを達成した後、インプラントをガイドワイヤ上に差し向け、棘突起相互間の定位置に差し向ける。インプラントが予め湾曲しているので、(1)インプラントを患者の皮膚に入れた第1の小さな切開部を通して2つの棘突起相互間のスペースの一方の側に位置決めしやすくなり、(2)2つの棘突起相互間のスペースの他方の側においてインプラントを患者の皮膚に入れた第2の小さな切開部を通して案内しやすくなる。インプラント270に関し、このインプラントは円錐形挿入ノーズ276及び遠位部分278を有している。ノーズ276を棘突起相互間に挿入すると、これにより棘突起が伸延される。破断線280,282が、インプラント270の両側に入れられている。いったんインプラントを棘突起相互間でガイドワイヤ上に正しく配置すると、インプラント270を定位置に残すためにノーズ部分276及び遠位部分278を上述の2つの切開部を通して破断線に沿って折り取る。
【0053】
破断線280,282が2本だけだけ示されているが、多数の破断線をインプラント270に設けるのがよく、それにより、インプラントをガイドワイヤ274上に送りつづけ、ついにはインプラント270の適度の幅により所望の伸延量が得られるようにすることができる。上述のように、破断線を形成するには、インプラント270に穴を開け又は他の方法で弱めて適当な部分をぽきっと折ったり、のこ引きして切断できるようにする。
【0054】
予め湾曲させたインプラント272に関して言えば、このインプラントは図36に示すインプラント230と設計が類似している。しかしながら、図47のこのインプラント272は予め湾曲させてあり、棘突起相互間の定位置までガイドワイヤ274上に挿入される。図43のインプラント230の場合と同様に、適当なこの伸延レベルにいったん達すると、所望ならばインプラント272の部分を上述したようにもぎ取り、ぽきっと折り、或いはのこ引きにより切断してインプラントの一部をこれが上棘突起と下棘突起との間に楔作用を発揮した状態で残す。
【0055】
図44の実施形態
本発明の別の実施形態が図44に示されている。この実施形態は、挿入具兼用インプラント290から成る。挿入具兼用インプラント290は、符号292のところでヒンジ止めされたリングの形をしている。このリングは、第1の細長い円錐形の部材294及び第2の細長い円錐形の部材296で形成されている。部材294,296は、尖端で終り、ヒンジ292を用いることにより心合せされて互いに当たる。棘突起の両側に設けた互いに類似している切開部を通して、第1の部材及び第2の部材を患者の皮膚中に差し込み、棘突起相互間で互いに結合する。このようにした後、インプラント290を例えば時計回りに回転させて第1の部材294の漸次広がり部分293を用いて第1及び第2の棘突起を伸延するようにする。適当な伸延レベルになると、棘突起相互間に位置した部分前後のリングの残部を上述したように折り取るのがよい。その目的は、所望の伸延レベルを維持することにある。変形例として、十分に小さなリングでは、リング全体を棘突起を伸延した状態のまま定位置に残してもよい。
【0056】
図45の実施形態
図45では、インプラント300は、上棘突起と下棘突起との間に挿入される複数のロッド又は探り針302で構成されている。ロッドは、上述のように設計されていて、これらをもぎ取ったり、ポキッと折ったり、切断したりすることができるようになっている。これらを挿入して適当な伸延レベルになると、棘突起の伸延レベルを維持するために探り針を折り取って各探り針のセグメントがそのままの状態になるようにする。
【0057】
図46及び図47の実施形態
図46及び図47のインプラント310は、放出されるとコイル状になる形状記憶材料で構成されている。この材料は、送出具312内では真っ直ぐになっている。送出具を上棘突起314と下棘突起316との間の定位置に配置する。次に、形状記憶材料を送出具中へ押し込む。この材料を送出具の送出端318から放出すると、この材料はコイル状になり棘突起を所望量伸延する。この伸延状態がいったん達成されると、この材料を切断し、送出具を取り外す。
【0058】
図48、図48、図50及び図51の実施形態
図48で分かるように、インプラント320を送出具326で上棘突起322と下棘突起324との間に送り出す。インプラント320がいったん棘突起相互間の定位置に位置すると、送出具を90°ひねって棘突起が図49に示すように、最も長い寸法が実質的に棘突起に対して垂直になる向きから、最も長い寸法が棘突起に平行に且つこれと一線をなす図50に示す向きになるようにする。この回転により、棘突起相互間に所望の伸延量が得られる。インプラント320は、その端に互いに反対側に位置した凹部325,323を有している。インプラント320を回転させることにより、棘突起はこれら凹部内に嵌まるようになる。
【0059】
変形例として、挿入具326を用いて多数のインプラント320,321を棘突起322,324相互間のスペースに挿入してもよい(図51)。多数のインプラント320,321を、適当な伸延量が得られるまで挿入するのがよい。この場合、例えば、インプラントの一方からの突起が他方のインプラントのチャンネル内に受け入れられてこれに係止されるようなチャンネル構成を用いることにより一インプラントが別のインプラントに係止嵌合することは理解されるべきである。かかるチャンネル構成は、他の実施形態に関して示してある。
【0060】
図52、図53、図54、図55a及び図55bの実施形態
図52〜図55bの実施形態は、流体充填式動的伸延インプラント350で構成されている。このインプラントは、あらかじめ曲げられた挿入ロッド354上に装着され、次に棘突起356の片側の切開部を通して挿入される膜352を有している。インプラント350が装着された曲げ状態の挿入ロッドを、適当な棘突起相互間に案内する。このようにした後、挿入ロッド354を取り出し、可撓性のインプラントを定位置に残す。次に、インプラント350を流体源(ガス、液体、ゲル等)に連結し、流体をインプラント内へ送り込み、インプラントを図54に示すように拡張させ、棘突起を所望量伸延する。所望の伸延量がいったん得られると、インプラント350を図55aに示すように閉じる。可撓性のインプラント350は、不規則な形状の場合がある棘突起に形状を合わせることができ、かくして位置決めが確実になる。さらに、インプラント350は緩衝装置として作用し、インプラントと棘突起との間に働く力及び応力を弱める。
【0061】
種々の材料をインプラント及びインプラント内へ押し込まれる流体の構成材料とすることができる。例示的に説明すると、粘弾性物質、例えばメチルセルロース又はヒアルロン酸を用いてインプラントを充填することができる。さらに、必要な度合いの伸延を生じさせるために当初は流体である物質であるが、後で凝固する物質を挿入してもよい。この物質が擬固すると、これら物質は棘突起の周りに特注したようなあつらえ形状になり、したがって少なくとも2つの隣り合う棘突起のうちの一方に関して定位置に保持される。かくして、この実施形態及び適当な挿入具を用いると、インプラントをこれがその棘突起に対して位置決めされた状態のままになるような仕方で棘突起の周りに形成できることが分かる(図55b)。かかる実施形態では、単一のインプラントを脊柱の屈曲を制限しないでいずれか一方の側に位置した棘突起の延長停止手段として用いることができる。
【0062】
本願で開示した他のインプラントのうち多くを設計変更すれば、これらは、ほぼインプラント350が流体を受け入れたような仕方で所望の伸延量を達成してこれを維持するように流体を受け入れるようになることは理解されるべきである。
【0063】
図56、図57及び図58の実施形態
図56に示すようなインプラント360は、形状記憶材料、例えばプラスチック又は金属で構成されている。湾曲した挿入具362が、上述したように適当な棘突起相互間に位置決めされている。いったんこのようにすると、インプラントのボア364を挿入具に嵌合させる。このようにすることにより、インプラントを真っ直ぐにする。次に、インプラントを定位置に押し、それにより棘突起を伸延する。このようになると、挿入具362を取り出し、インプラントがその真っ直ぐな形体をとることができるようにし、それにより挿入具を棘突起のうちの1つの周りに固定する。かかる構成により、延長停止手段であり、脊柱の屈曲を阻止しないインプラントが得られる。変形例として、インプラントは感温性のものであってもよい。即ち、インプラントは最初は真っ直ぐであるが、これが患者の体温によって温まると湾曲するようになる。
【0064】
図59及び図60の実施形態
この実施形態では、インプラント380は、複数の互いに絡み合う薄片382で構成されている。当初、第1の薄片を対向した棘突起384,386の間に配置する。しかる後、所望の伸延量が得られるまで薄片382を棘突起相互間に差し込む。薄片は、衝撃を吸収するために幾分バネ状であり、また形状が棘突起に幾分適合するのがよい。
【0065】
図61の実施形態
図61のインプラント390では、シールド392,394が隣り合う棘突起396,398上に配置される。シールドは、棘突起の損傷を防止するために用いられる。これらシールドは、セルフタッピンねじ400,402を受け入れる孔を有している。実際問題として、シールドは棘突起に取り付けられ、棘突起は適当な量伸延される。いったんこのようになると、図61に示すようにねじを用いてシールドの孔を通して棘突起の各々にねじ込むことにより伸延された位置を保持するためにロッド404が用いられる。
【0066】
図62及び図63の実施形態
図62及び図63のインプラント410は、適当なねじ及びねじ山付きボアからなる装置を用いて互いに結合できる第1及び第2の部材412,414で構成され、それによりインプラント410が形成される。主部材412及びこれよ結合される部材414によりインプラント410が形成される。したがって、インプラント410は、標準化された第1の部材412に用いられる複数の部材414を有している。図62及び図63は、互いに異なるタイプの結合用部材414を示している。図62では、結合用部材414は、シムのように作用する突起416,418を有している。これら突起は、第1の部材412のサドル420,422の空間内へ突出するのに用いられる。これら突起416,418は、棘突起の種々のサイズに適合するために様々な長さのものであるのがよい。溝424を突起416,418相互間に配置して、第1の部材412の延長部426と嵌合する。
【0067】
図63に示すように、図62に示す実施形態の突起を除き、これに代えて凹部428,430が用いられている。これら凹部は、より大きな棘突起に適合するためにサドル420,422の領域を拡張する。
【0068】
図64、図65及び図66の実施形態
図64、図65及び図66の実施形態は、設計及び技術的思想が図62及び図63の実施形態と類似している。図64では、インプラント500は第1及び第2の部材502,504を有している。これら部材は、他の実施形態で教示されたような適当なねじ又は他の締結手段を用いて互いに固定できる。インプラント500は、第1の部材502と第2の部材504の端部相互間に形成された第1のサドル506及び第2のサドル508を有している。これらサドル506,508は、隣り合う棘突起を受け入れて抱えるのに用いられる。図64で分かるように、各サドル506,508は、適当な第1の部材502及び第2の部材504から延びる単一の突起又はレグ510,512によって構成されている。図62及び図63で見受けられる実施形態とは異なり、サドルの各々は、棘突起と関連した靭帯及び他の組織を利用してインプラントを適当な位置に保持するようにすることができるので、単一のレグだけで構成されている。図64の構成では、各サドルが単一のレグだけで構成され、かくして第1及び第2の部材を種々の組織相互間の定位置に容易に押し込むことができるのでインプラントを棘突起に対して位置決めすることが一層容易である。
【0069】
図65の実施形態では、インプラント520は、サドル522,524を有する単一片で構成されている。サドルはそれぞれ単一のレグ526,528で構成されている。このインプラント520を棘突起相互間に位置決めするために、隣り合う棘突起の横方向側部相互間に切開部が設けられている。単一のレグ526を切開部を通じてサドル522で抱えられた状態の棘突起の反対側の横方向側部に隣接した位置に差し向ける。次に、サドル524を定位置に回動させてこれが他方の棘突起に係合ようになるまで棘突起を押し離し、それにより2つの隣り合う棘突起相互間の伸延量を維持する。
【0070】
図66の実施形態は、図65の実施形態と類似しているが、第1のサドル532及び第2のサドル534付きのインプラント530から成る。つなぎ536,538がそれぞれ各サドルと連携している。つなぎは、当業界で知られた可撓性の材料で作られており、インプラント530に設けられたボアを通して位置決めされる。いったん適切な位置決めが行われると、つなぎを解くことができる。つなぎは、一方の棘突起を他方の棘突起に対して動かないようにするために用いられるものではなく、棘突起の動作を互いに対して案内してインプラント530を延長停止手段及び屈曲非抑制手段として用いることができるようにするものであることは理解されるべきである。換言すると、サドル532,534は脊柱の後方への曲げ及び伸張を停止するのに用いられる。しかしながら、つなぎは前方への曲げ及び脊柱の屈曲を禁止しない。
【0071】
図67及び図68の実施形態
インプラント550は、Z形であり、中心本体552、中心本体から互いに反対方向に延びる第1のアーム554及び第2のアーム556を有している。インプラント550の中心本体552は、第1のサドル558及び第2のサドル560を有している。第1のサドル558及び第2のサドル560は、上棘突起556及び下棘突起568を受け入れることになる。したがって、アーム554,556は、中心本体552の遠位端566(図68)に隣接して位置する。第1のアーム554及び第2のアーム556は、脊柱管に向かうインプラント550の前方運動、移動又は滑りを阻止し、インプラントを第1及び第2の棘突起に対して定位置に保持するよう働く。これにより、インプラントは黄色靱帯及び硬膜に対して下向きの力を及ぼすことはない。好ましい実施形態では、中心本体の高さは約10mmであり、アーム554,556の各々の高さも又、約10mmである。
【0072】
患者に応じて、本体部分の高さは、約10mm以下から約24mm以上まで様々であるのがよい。図67及び図68で分かるように、第1のアーム554及び第2のアーム556は、上棘突起562及び下棘突起568を受け入れるために付加的な輪郭づけが施されている。特に、アーム554に関して理解できるようにアーム554,556は、僅かに外方に弓なりになった部分(「弓なり部」)568(図68)及び僅かに内方に弓なりになった遠位端570を有している。この構成により、アームは棘突起の周りに嵌着でき、遠位端570は棘突起の動作をインプラントに対して案内するために棘突起に幾分押し付けられる。これらのアーム554,556は所望ならば、アーム554,556を薄く作ると共に、或いはこれらに穴を設け、さらにそれと共に、或いは中心本体552の材質とは異なる別の材質にすることにより、中心本体よりも一層可撓性のものにしてもよい。
【0073】
最後に述べた上述の実施形態の場合と同様、アームを横方向切開部中へ差し向けて中心本体552を棘突起相互間に最終的に位置決めできるようにすることにより、この実施形態のインプラントを隣り合う棘突起相互間の定位置に押し込むことができる。
【0074】
図69、図70、図71及び図71aの実施形態
図69、図70及び図71は、本発明のインプラント580の正面斜視図、端面図及び側面図である。このインプラントは、隣り合う棘突起を受け入れる第1のサドル584及び第2のサドル586を備えた中心本体582を有している。
【0075】
さらに、インプラント580は、第1のアーム588及び第2のアーム590を有している。アームは、先にのべた実施形態の場合と同様、脊柱管に向かうインプラントの前方移動又は滑りを防止する。第1のアーム588は、第1のサドル584から外方に突出し、第2のアーム590は第2のサドル586から外方に突出している。好ましい実施形態では、第1のアーム588は、中心本体582の遠位端600に隣接して位置し、中心本体582の長さに沿って少なくとも部分的に延びている。第1のアーム588は、図70に示すように中心本体に対して実質的に垂直である。さらに、第1のアーム588及び第2のアーム590は、解剖学的に丸い。
【0076】
第2のサドル586から突出した第2のアーム590は、遠位端600の幾分後方に位置し、中心本体582の長さに沿って部分的に延びている。第2のアーム590は、中心本体582から合成角をなして突出している。図70及び図71で分かるように、第2のアーム590は、サドル586から約45°の角度をなす状態で図示されている(図70)。さらに、第2のアーム590は、図71に示すように中心本体582の長さに対して約45°の角度をなしている。他の合成角が特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に属していることは理解されるべきである。
【0077】
好ましい実施形態では、第1のアーム588及び第2のアーム590は、中心本体582の幅とほぼ同一の長さを有している。好ましくは、各アームの長さは約10mm、中心本体の幅は約10mmである。しかしながら、幅24mm以上の本体は、約24mmよりも約10mm以上の範囲にある第1及び第2のアームと共に、本発明の精神及び範囲に属している。さらに、この実施形態は、約24mm以上の幅を有する中心本体を有し、アームが約10mmであることが意図されている。
【0078】
図69、図70及び図71の実施形態並びに図67及び図68の実施形態は、L4−L5の椎骨対とL5−S1の椎骨対の間に好ましくは位置決めされるよう設計されていることは理解されるべきである。図69、図70及び図71の実施形態は、特にL5−S1の位置に合わせて設計されており、アームはこれらの間に見受けられる傾斜表面に形状が一致するよう設計されている。かくして、第1及び第2のアームは、これらが僅かな角度を持っている椎骨の薄層板に押し付けられて平らな状態になるよう形作られている。
【0079】
図69、図70及び図71の実施形態は、図67及び図68の実施形態の場合と同様、形状がZ形であり、したがってこれを一方の横方向側部から、隣り合う棘突起相互間の位置に挿入できるようになっている。中心本体の前に位置した第1のアームは、棘突起相互間のスペースを通して案内される。かかる構成では、器具を2つの棘突起相互間に首尾よく移植するためには棘突起の片側に切開部を設けることが必要なだけである。
【0080】
図71aのインプラント610は、直ぐ前に説明したインプラントと類似しており、第1のアーム612は第2のアーム614と同一のインプラントの側部に設けられている。第1のサドル616及び第2のサドル618は、インプラントを一方の側から棘突起相互間に位置決めできるようにするために遠位部分620,622が幾分通常のサドル形状から平らにされた点において僅かに設計変更されている。いったん定位置に位置すると、棘突起と関連した靭帯及び組織は、インプラントを定位置に保持することになろう。所望ならば、つなぎも又、用いてもよい。
【0081】
図72及び図73の実施形態
インプラント630は又、該インプラントを隣り合う棘突起の一方の側から挿入できるよう設計されている。このインプラント630は、中心本体632を有し、第1のアーム634及び第2のアーム636がこの中心本体の両側に延びている。図72で分かるように、プランジャー638が、中心本体632の端部から延びるよう位置決めされている。図72に示すように、プランジャー638は完全に伸長されており、図73に示すようにプランジャー638はインプラント630の中心本体632内に嵌入されている。プランジャー638をインプラント630に嵌入した状態では第3及び第4のアーム又はフック640,642が中心本体632から外方に延びることができる。第3及び第4のアーム又はフック640,642を、種々の材料、例えば形状記憶合金材料又はバネのような性質を持つ材料で構成するのがよい。
【0082】
インプラント630を隣り合う棘突起相互間に位置決めする目的で、プランジャー630を図72に示すように外方に引っ張る。次に、中心本体632を隣り合う棘突起相互間に位置決めし、そしてプランジャー638が図73の位置に移動して第3及び第4のアーム640,642が中心本体632から外方に突出してインプラント630を棘突起相互間に定位置に保持することができるようにする。
【0083】
プランジャー638を図73に示すような位置にばね押しするのがよく、或いはプランジャー638はこれをその位置に係止する移動止め又は他の機構を有するのがよい。さらに、第3及び第4のアームはそれ自体拡開されると、プランジャーを図73に示すような位置に保つことができる。
【0084】
図74、図75、図76、図77及び図78の実施形態
本発明の他の実施形態が図74〜図78に示されている。図74、図75及び図76はインプラント700を開示している。インプラント700は、L4−L5の椎骨とL5−S1の椎骨の間の移植に特に適している。図74で分かるように、インプラント700は、ボア704が設けられた中心本体702を有している。ボア704を用いる目的は、インプラントの弾性率を加減してこれが好ましくは引っ張り状態で椎骨上に加えられた解剖学的荷重の約2倍であるようにすることにある。換言すると、インプラント700は、これに加わった通常の荷重よりも約2倍の剛性を持っている。このように構成した目的は、インプラントがこれに隣接した骨の潜在的な吸収(骨吸収)を減少させるために幾分可撓性があるようにすることにある。他の弾性率値を用いることができ、これらは本発明の精神に属している。
【0085】
インプラント700は、上棘突起及び下棘突起からの荷重を受け取って分散させるために用いられる第1のサドル706及び第2のサドル708を有している。サドル706は、第1のアーム710及び第2のアーム712によって構成されている。第2のサドル708は、第3のアーム714及び第4のアーム716によって構成されている。図74で分かるように、第1のアーム710の長さは好ましい実施形態では、本体702の長さの約2倍であり、第2のアーム712の長さは、本体の長さの約1/4未満である。第3のアーム714は、本体702の長さにほぼ等しく、第4のアーム716はこの好ましい実施形態では、本体702の長さの約1.5倍である。アームは、インプラントが、(1)隣り合う棘突起相互間に容易且つ楽に挿入可能であり、(2)脊柱管に向かって前方に移動することはなく、(3)脊柱の屈曲及び延長並びに横方向の曲げによってもその位置を保持するように設計されている。
【0086】
第1のアーム710は更に、椎骨の形状に合うように設計されている。図74で分かるように、第1のアーム710は、これが本体702から遠ざかるにつれて狭くなっている。第1のアーム710は、傾斜部分718を有し、その次に設けられた小さな凹部720が端724に隣接した丸み部722で終わっている。
【0087】
この設計は、例えばL4椎骨の解剖学的形態に一致するように行われている。これら椎骨は、ほぼ30°の角度の多数の表面を有し、そしてこの実施形態及び図77及び図78に示した実施形態の傾斜面がこれらの表面に適合するよう設計されていることは理解されるべきである。これらの実施形態は、他の角度及び形状に合致するよう別の設計変更を行うことができる。
【0088】
第2のアーム712は、棘突起相互間に挿入しやすく、しかもサドル706を構成するように小さい。第4のアーム716は、第3のアーム714よりも大きく、これらのアームは両方とも第1のアーム710よりも小さい。第3及び第4のアームは、これらがサドル706を構成し、脊柱の運動中、棘突起をインプラント700に対して案内し、しかもインプラントを棘突起相互間に位置決めしやすくする大きさのものであるように設計されている。
【0089】
例示として説明するに過ぎないが、インプラント700を移植する手順では、切開部を2つの棘突起相互間に横方向に入れ、次に最初に第1のアーム710を棘突起相互間に挿入するのがよい。インプラントと適当な器具の両方又はいずれか一方を用いて棘突起を伸延し、第3のレグ714及び中心本体702が棘突起相互間のスペースに嵌まることができるようにする。すると、第3のレグ714は反対側で下棘突起に隣接して位置するようになり、棘突起は第1のサドル706及び第2のサドル708内に位置する。長い第4のレグ716はこの場合、インプラント700の位置決めを助ける。
【0090】
図77は、インプラント700と類似していて、かくして同一の符号が用いられているインプラント740を有している。インプラント740のサドル706,708は、例えばL4−L5の椎骨とL5−S1の椎骨の間の骨組織に適合するために傾斜又は勾配がつけられている。上述のように、この領域における椎骨は、約30°の範囲の多くの傾斜表面を有している。したがって、サドル706は30°以下の傾斜、好ましくは約20°の傾斜を有し、サドル708は約30°、好ましくは30°以上の傾斜を有している。
【0091】
図78に示すようなインプラント760は図74のインプラント700と類似していて、同一の符号が用いられている。インプラント760は、第3のレグ714及び第4のレグ716を有し、これらレグは、それぞれ第3のアーム714及び第4のアーム716の端部766,768に向かって傾斜した傾斜部分762,764を有している。傾斜部分は、これらが当接する下側の椎骨の形態に適合している。好ましい実施形態では、傾斜部分は約30°のものである。しかしながら、実質的に30°よりも大きく、或いはこれよりも小さな角度の傾斜部分も使用でき、これらは本発明の精神及び範囲に属していることは理解されるべきである。
【0092】
図79、図80、図80a、図81、図82、図83、図83a、図84、図85、図86及び図87の実施形態
本発明の別の実施形態が、インプラント800a(図86)として図79〜図87に示されている。インプラント800aは、図79の左側面図、図80の平面図及び図81の右側面図に示された伸延ユニット802aを有している。伸延ユニットの斜視図が図84に示されている。図80で分かるような伸延ユニット802aは、長手方向軸線805を備えた伸延本体804を有し、この本体804は、溝806及び丸い又は球状端部808を有し、これらは隣り合う棘突起突起相互間に伸延本体804を配置しやすくし、従って適当な伸延量が達成できるようになっている。第1のウィング810が伸延本体804から延び、この第1のウィング810は図80では、伸延本体804に対し実質的に垂直である。かかるウィングは伸延本体804に対し垂直であっても本発明の精神及び範囲に属する。第1のウィング810は、上方部分812及び下方部分814を有している。上方部分812(図80)は、丸み端部816及び小さな凹部818を有している。好ましい実施形態の丸み端部816及び小さな凹部818は、椎骨のL4(L4−L5の配置の場合)又はL5(L5−S1の配置の場合)の上薄層板の解剖学的形態又は輪郭に適合するよう設計されている。この形状と同一の形状又はこの変形形状を用いると、任意の椎骨の他の薄層板に合うことは理解されるべきである。下方部分814も又、好ましい実施形態では椎骨に適合するために丸くなっている。伸延ユニット802aは、ねじ山付きボア820を更に有し、このねじ山付きボアは好ましい実施形態では、以下に説明するように第2のウィング824(図82及び図83)を定位置に保持するために止めねじ822(図86)を受け入れている。
【0093】
この実施形態のねじ山付きボア820は、約45°の角度で傾斜し、スロット806と交差する。第2のウィング824が定位置にある状態で、止めねじ822は、ねじ山付きボア820内に挿入されると、第2のウィング824に係合してこれをスロット806内の定位置に保持することができる。
【0094】
図82、図83及び図85を参照すると、第2のウィング824の左側面図、平面図及び斜視図がそれぞれ示されている。第2のウィング824は、第1のウィングと設計が類似している。第2のウィングは、上方部分826及び下方部分828を有している。上方部分は丸み端部830及び小さな凹部832を有している。さらに、第2のウィング824は、伸延ユニット802のスロット806と嵌合するスロット834を有している。第2のウィング824は、好ましい実施形態の保持ユニットである。
【0095】
図83及び図86で分かるように、第2のウィング又は保持ユニット824は、第1の幅“a”を有する上方部分826及び第2の幅“b”を有する下方部分828を含む。好ましい実施形態では、第2の幅“b”は、L4−L5、又はL5−S1薄層板の解剖学的形態又は輪郭を考慮して第1の幅“a”よりも大きい。図83aで分かるように、第2のウィング又は保持ユニット824では、幅“a”及び“b”は後述するように、種々の寸法形状の棘突起及び他の解剖学的形態又は輪郭に合うよう大きくされる。さらに、適宜、幅“a”は、幅“b”よりも大きい。かくして、以下により詳細に説明するように、インプラントは、複数の保持ユニット824を備えた汎用的形状の伸延ユニット802を有するのがよく、保持ユニットは各々、互いに異なる幅“a”及び“b”を有する。外科手術中、適当な寸法“a”及び“b”の幅を用いて適当に寸法決めされた保持ユニット824を選択して患者の解剖学的形態に合うようにすることができる。
【0096】
図86は、上椎骨及び下椎骨の上薄層板836及び下薄層板838(点線で示されている)に隣接して位置決めされた組立て状態のインプラント800を示している。椎骨836,838は、図86に示すように本質的にインプラント800の下に位置している。上棘突起840及び下棘突起842bが、第1のウィング810と第2のウィング824との間で椎骨836,838から上方に延びている。好ましい実施形態では、棘突起相互間のインプラントの嵌まり具合は、ウィングが図86に示すように棘突起に触れないようなものであるのがよいことは理解されるべきであり、このことは、本発明の精神及び範囲に属している。
【0097】
インプラント800は、組立て状態では、上サドル844及び下サドル846を有している。上サドル844は、寸法“UW”によって示された上方の幅を有している。下サドル846は、寸法“LW”によって示された下方の幅を有している。好ましい実施形態では、上方の幅は下方の幅よりも大きい。他の実施形態では、“UW”は解剖学的必要条件に応じて“LW”よりも小さい場合がある。
【0098】
上サドル844と下サドル846との間の高さは、文字“H”で示されている。
これらの寸法は図87に移して記載されており、この図87は、上サドルと下サドルの間に形成された実質的に台形の略図である。下記の表は、図87に示すように上方幅、下方幅及び高さの寸法の組を記載している。この表は、この実施形態の幾つかのバリエーションの寸法を記載している。
【数1】

上述の表に関し、全ての寸法の単位はmmである。
患者内へのインプラント800の外科的移植の目的のため、患者は好ましくは、横になる(矢印841が手術台から見て上方の方向を示している)と共に屈曲した(縮んだ)体位又は姿勢になっている。その目的は、上椎骨及び下椎骨を伸延することにある。
【0099】
好ましい手法では、小さな切開部を棘突起の中線上に入れる。棘突起は拡張具によって互いに拡げられ又は伸延される。切開部を手術台に向かって下方に拡げ、棘突起の伸延状態を維持するように伸延ユニット802を好ましくは棘突起840,842間で上方に挿入する。伸延端部又は球状端部808及びスロット806が棘突起の他方の側で見えるようになるまで伸延ユニット802を上方に押す。いったんこれが見えると、切開部を手術台から遠ざかる方向へ上方に拡げ、保持ユニット又は第2のウィング824をスロット806内へ挿入し、ねじ822を用いて第2のウィングを定位置に固定する。このようにした後、切開部を閉じるのがよい。
【0100】
別の外科的手法では、小さな切開部を棘突起相互間に位置したスペースの各側に入れる必要がある。上に位置した切開部を通して配置された拡張具を用いて棘突起を互いに拡げ又は伸延する。下に位置した切開部から、棘突起を押し離すようにして伸延ユニット802を好ましくは棘突起840,842相互間で上方に挿入する。伸延ユニット802を、伸延端部又は球状端部808及びスロット806が患者の背中の第2の小さな切開部を通して見ることができるまで押し上げる。これがいったん見えると、保持ユニット又は第2のウィング824をスロット806内に挿入し、ねじ822を用いて第2のウィングを定位置に固定する。
このようにした後、切開部を閉じるのがよい。
【0101】
上述の外科的手法の何れでも得られる利点は、外科医が棘突起の右側の位置や左側の位置から外科的処置を見なければならないのとは対照的に、棘突起を直接見下ろすことができるので手術全体を観察できるということにある。一般に、切開部は可能な限り小さいものであり、しかも外科医は血が付着して滑りやすい環境で仕事をしている。かくして、外科医の直ぐ前に位置決めできるインプラントは、外科医が左右に動くことを必要とするインプラントよりも挿入及び組立てが容易である。したがって、ポジション・ツー・アンテリアー・ライン(position to anterior line)に沿うアプローチとしてのトップダウン方式が好ましく、移植処置の全ての作業が外科医にとって常時完全に見えるようになる。これにより、(1)棘突起相互間の伸延ユニット、(2)伸延ユニット内の保持ユニット、最後に(3)伸延ユニット内の止めねじのそれぞれの効率的な配置がしやすくなる。図80aは、伸延ユニット802aの変形実施形態を示している。この伸延ユニット802aは、図80の伸延ユニット802と類似しており、異なる点は、球状端部808aをねじ山付きボア809内にねじ込むと、この球状端部808aを伸延本体804aの残部から取り外すことができるという点である。伸延ユニット802aを図86に関する説明に従って患者内にいったん配置すると球状端部808aが取り出される。球状端部808aは、好ましい実施形態では約1cmだけ、ねじ山付きボア820を越えて延びるのがよい。
【0102】
図88、図89、図90及び図91の実施形態
本発明の別な実施形態が、図88、図89、図90及び図91に示されている。この実施形態では、インプラントは符号900で示されている。インプラント800と類似したインプラント900の他の要素には、同様の番号が付けられているが、これらは900番台の符号である。例えば、伸延ユニットは符号902で示され、これはインプラント800の伸延ユニット802に対応している。伸延本体は、インプラント800の伸延本体804に対応して符号904で示されている。図90に注目すると、伸延ユニット902が斜視図で示されている。伸延ユニットは、底部よりも頂部の方が幅の広いスロット906を有している。このようにした理由は、第2のウィング924(図89)よりも幅の広いスロット906の上方幅広部分を用いて外科医が第2のウィング924をスロット906内へ容易に配置し、そしてウェッジ状スロット906が第2のウィング924をその最終設置位置に案内することができるようにする。図91で分かるように、最終設置位置では、スロット906の最も大きな部分は、第2のウィング924によって完全には満たされていない。
【0103】
インプラント900の端部908の異なる点は、一層尖っていて、約45°の角度(他の角度、例示に過ぎないが、一例としての約30°〜約60°の角度は、本発明の精神に属している)に設けられた側部909,911を有すると共に小さな平らな先端部913を備えていて、本体904を棘突起相互間に一層容易に押し込むことができるようになっている点である。
【0104】
この伸延ユニット902は、スロット906から延びる舌状凹部919を更に有している。ねじ山付きボア920が舌状凹部に設けられている。
【0105】
図89で分かるように、第2のウィング924が、上方部分926及び下方部分928に実質的に垂直に且つこれらの間に延びる舌部948を有している。タブ948は、ボア950を有している。第2のウィング924を伸延ユニット902のスロット906内に配置すると共にタブ948を凹部919内に配置した状態で、ねじ山付き止めねじ922を、ボア950に通してねじ山付きボア920に螺合させることができる。その目的は、第2のウィング又は保持ユニット924を伸延ユニット902に固定することにある。実施形態としてのインプラント900を上述した実施形態としてのインプラント800と同一の方法で移植する。加うるに、ボア922は伸延本体904に対して実質的に垂直なので(しかも、これに対して鋭角では設けられていない)、外科医は棘突起の真後ろの位置から一層容易に止めねじを定位置に固定することができる。
【0106】
本発明の第1の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される装置(800)を具備し;
該装置は、脊柱の伸長を制限するための手段(804)を有し、
該装置は、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間のスペースを伸延させるための手段(808)を有し、
前記伸延手段は、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間の前記スペース内に前記手段(804)を配置するのを補助するために伸延を可能にすべく、伸長を制限するための前記手段から延び、
前記インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とが互いに可動であるように脊柱の屈曲を可能にするようにしており、
前記第一の棘突起(840)を前記第二の棘突起(842)から伸延するための手段(808)は、引込みプラグを含む。
本発明の第2の態様は、
脊柱インプラントであって:
第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置することが可能な装置を具備し;
該装置は、伸長停止部(139)を含み、
前記装置は、第一の棘突起(840)を第二の棘突起(842)から伸延させることが可能な引込みプラグ(135)を有し、
前記引込みプラグは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間のスペース内に前記伸長停止部(139)を配置するのを補助するために延伸を可能にすべく、前記伸長停止部から延び、
前記インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とが互いに可動であるように脊柱の屈曲を可能にするようにしている、
ことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、
脊柱インプラントであって:
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される装置を具備し;
該装置は、脊柱の伸長停止部を含み;
該装置は、第一の棘突起(840)を第二の棘突起(842)から伸延させることが可能な引込みプラグを有し、
前記引込みプラグは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間のスペース内に前記伸長停止部を配置するのを補助するために延伸を可能にすべく、前記伸長停止部から延び、
前記インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とが互いに可動であるように脊柱の屈曲を可能にするようにしている、
ことを特徴とする。
本発明の第4の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とを変えることなしに、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される装置(800)を具備し;
該装置は、伸延によって痛みを緩和するために、埋め込んだときに前記第一及び第二の棘突起(840/842)を伸延させるための手段を含む。
本発明の第5の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって;
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とを変えることなしに、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される本体(904)を備えた装置(900)を具備し;
該装置は、前記第一及び第二の棘突起(840/842)を伸延することができる伸延ウェッジ部(908)をさらに含む。
本発明の第6の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とを変えることなしに、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される装置(800)を具備し;
該装置は、前記棘突起(840/842)の間に該装置を位置決めすることに関連して、前記脊柱における脊柱管及び/または神経孔の最小容積を画定させるように適合される。
本発明の第7の態様は、
本発明の第3の態様のインプラントであって:
前記装置(380)がショックアブソーバ(382)を含む。
本発明の第8の態様は、
本発明の第3の態様の装置であって:
前記インプラント(350)は、液体を充填した容器を含むことにより、前記第一及び第二の棘突起(356)の間に動的な伸延を与える。
本発明の第9の態様は、
脊柱の隣接する棘突起の問に配置することが可能な、棘突起に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
本体(804)、ガイド(808)及び第一の翼部(810)を含む第一のユニット(802)を具備し;
第二の翼部(824)を具備し;
前記本体(804)は前記第二の翼部(824)を収容でき、前記本体(804)は前記隣接する棘突起(840/842)の間に位置するように適合され、前記第一の翼部(810)は前記隣接する棘突起の傍に配置することができ、前記第二の翼部(824)は前記棘突起の傍で且つ前記第一の翼部(810)とは反対側に配置することができ;
前記第二の翼部(824)を前記ガイド(808)に固定する装置(822)を具備する。
本発明の第10の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記第一の翼部(810)は、上方部分(816)及び下方部分(814)を有し;
前記第二の翼部(824)は、上方部分(826)および下方部分(828)を有し;
前記本体(804)並びに前記第一および第二の翼部の上方部分(816/826)の間には、上部サドル(844)が画定され;
前記本体(804)並びに前記第一及び第二の翼部(824)の下方部分(814/828)の間には、下部サドル(846)が画定され;
前記第一及び第二の翼部(824)の上方部分(816/826)の間には、前記上部サドル(844)の上部幅(UW)が画定され;
前記第一および第二の翼部(824)の下方部分(814/828)の間には、前記下部サドル(846)の下部幅(LW)が画定され;
前記インプラントは多数の第二の翼部(824)を備えており、夫々の第二の翼部(824)は異なった厚さ(b)の前記下方部分(828)を有し;
前記下部幅(LW)は、望ましい厚さ(b)の前記下方部分(828)をもった前記第二の翼部(824)を選ぶことにより選択することができる。
本発明の第11の態様は、
本発明の第10の態様のインプラントであって:
夫々の第二の翼部(824)が、異なった厚さ(a)の前記上方部分(826)を有し;
前記上部幅(UW)は、望ましい厚さ(a)の前記上方部分(826)をもった前記第二の翼部(824)を選ぶことにより選択することができる。
本発明の第12の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記第一の翼部(810)は、上方部分(816)及び下方部分(814)を有し;
前記第二の翼部(824)は、上方部分(826)および下方部分(828)を有し;
前記本体(804)ならびに前記第一及び第二の翼部の上方部分(816/826)の間には、上部サドル(844)が画定され;
前記本体(804)ならびに前記第一および第二の翼部(824)の下方部分(814/828)の間には、下部サドル(846)が画定され;
前記第一および第二の翼部(824)の上方部分(816/826)の間には、前記上部サドル(844)の上部幅(UW)が画定され;
前記第一及び第二の翼部(824)の下方部分(814/828)の間には、前記下部サドルの下部幅(LW)が画定され;
前記インプラントは多数の第二の翼部(824)を備えており、夫々の第二の翼部(824)は異なった厚さ(a)の前記上方部分(826)を有し;
前記上部幅(UW)は、望ましい厚さ(a)の前記部分をもった前記第二の翼部(824)を選ぶことにより選択することができる。
本発明の第13の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記本体(804)は、前記第一の翼部(810)から遠位に位置する端部(808)を有し;
該端部は球根状である。
本発明の第14の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記本体(804)は、前記第一の翼部(810)から遠位に位置する端部(808)を有し;
該端部は、隣接した棘突起(840/842)の間への前記本体(804)の配置を補助するような形としている。
本発明の第15の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記本体(804)は、前記第一の翼部(810)から遠位に位置する端部(808)を有し;
該端部は尖っている。
本発明の第16の態様は、
本発明の第9の態様のインプラントであって:
前記本体(904)は、前記第一の翼部(910)から遠位に位置する端部(908)を有し;
該端部は、前記本体(904)の長手軸から約30°〜約60°で設けられた第一(911)および第二の側部(909)を有する。
本発明の第17の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するために、脊柱の隣接した棘突起の間に配置されるインプラントであって:
本体(804)、ガイド(808)、及び第一の翼部(810)を含む第一のユニット(802)と:
第二の翼部(824)とを具備し;
前記本体(804)は、後方位置から前方位置へと向かう線に沿った方向に沿って前記第二の翼部(824)に係合するための手段(822)を含み、前記本体(804)は、前記隣接した棘突起の傍に配置可能な前記第一の翼部(810)および該第一の翼部(810)とは反対側で前記棘突起の傍に配置可能な第二の翼部(824)を用いて、前記隣接する棘突起(840/842)の間に配置するために適合され、
前記係合手段は、後方位置から前方位置に向かう線に沿って動作する。
本発明の第18の態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するために、脊柱の隣接した棘突起の間に配置されるインプラントであって:
本体(904)および第一の翼部(910)を含む伸延ユニット(902)と:
第二の翼部(924)および該第二の翼部(924)から延びるタブ(948)を含む保持ユニットとを具備し、
前記本体(904)は第一の空洞(948)及び溝(906)を含み;
前記タブは第二の空洞(950)を含み;
前記第一及び第二の空洞は、前記溝の中に収容された第二の翼部(924)に整列することが可能であり;
前記保持ユニットを前記伸延ユニット(902)に固定するために、前記第一および第二の空洞を通して配置することが可能な装置(922)を具備する。
本発明の第19の態様は、
脊柱の隣接した棘突起の間に配置することが可能な、脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
本体(904)を含む伸延ユニットと;
前記本体(904)に固定し得る保持ユニット(924)と;
前記伸延ユニット(902)及び前記保持ユニット(924)は一緒になって第一のサドル(944)および第二のサドル(946)を画定し、各サドルは棘突起を収容するように適合されており;
前記第一のサドル(944)は、第一の幅(UW)を有し、前記第二のサドル(946)は第二の幅(LW)を有しており、前記第一の幅は前記第二の幅とは異なっている。
本発明の第20の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようになった少なくとも2つのピースを有するものにおいて、
前記2つのピースの少なくとも1つ(924)は、前記領域の中へ腹側一背側の方向に挿入されるようにしてある、ことを特徴とする。
本発明の第21の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記改良装置を収容するのに前記棘突起の一方或いは両方を変えることなしに、前記棘突起同士を引き離すようにしている、ことを特徴とする。
本発明の第22の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記改良装置を収容するのに前記棘突起の一方或いは両方を変えることなしに、前記棘突起の間に植え込まれるようにしている、ことを特徴とする。
本発明の第23の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記棘突起及び前記別の棘突起の少なくとも1つの形に適合する、ことを特徴とする。
本発明の第24の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記棘突起及び前記別の棘突起の少なくとも1つの形にその場で適合可能である、ことを特徴とする。
本発明の第25の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記棘突起及び前記別の棘突起の少なくとも1つの形に事前に成形されることを特徴とする。
本発明の第26の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(350)は、材料を充填可能であることを特徴とする。
本発明の第27の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(350)は、キャビティを構成する可撓性を具備する壁を有する、ことを特徴とする。
本発明の第28の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(382)は、ショックアブソーバである、ことを特徴とする。
本発明の第29の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようになったものにおいて、
前記改良装置(382)は、該棘突起及び該別の棘突起の少なくとも1つの動きを緩衝するようにしたダンパーである、ことを特徴とする。
本発明の第30の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようになったものにおいて、
前記改良装置(800)は、前記改良装置と、前記改良装置と接触する、該棘突起と該別の棘突起のいずれか一方との間の力を分散するようにしている、ことを特徴とする。
本発明の第31の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようになったものにおいて、
前記改良装置は、形状記憶材料からなる、ことを特徴とする。
本発明の第32の態様は、
本発明の第31の態様の改良装置が、温度に応じて形を変える。
本発明の第33の態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようになったものにおいて、
前記改良装置は、少なくとも部分的に可撓性及び圧縮性を具備する材料からなる、ことを特徴とする。
【0107】
また、本発明の第1Aの態様は、
脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラントであって:
該インプラントは、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)とを変えることなしに、第一の棘突起(840)と第二の棘突起(842)との間に配置され得るように適合される装置(800)を具備し;
前記装置(800)は、第一の棘突起と第二の棘突起とが互いに可動であるように脊柱の屈曲を可能にするようにしている、ことを特徴とする。
本発明の第2Aの態様は、
本発明の第1Aの態様のインプラントであって:
前記装置(380)がショックアブソーバ(382)を含む。
本発明の第3Aの態様は、
本発明の第1Aの態様のインプラントであって:
前記インプラント(350)は、液体を充填した容器を含むことにより、前記第一及び第二の棘突起(356)の間に動的な伸延を与える。
本発明の第4Aの態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記改良装置を収容するのに前記棘突起の一方或いは両方を変えることなしに、前記棘突起同士を引き離すようにしている、ことを特徴とする。
本発明の第5Aの態様は、
棘突起を別の棘突起に対して安定化する改良装置であって、該棘突起と該別の棘突起との間の領域内に植え込まれるようにしたものにおいて、
前記改良装置(902)は、前記改良装置を収容するのに前記棘突起の一方或いは両方を変えることなしに、前記棘突起の間に植え込まれるようにしている、ことを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0108】
上記のことから、本発明を用いると中心管狭窄又は孔(側方)狭窄の形態(これらは例示に過ぎない)の脊椎の狭窄を原因とする痛みを緩和することができる。これらインプラントは、背骨の生来の弯曲を平らにすると共に神経孔及び隣り合う椎骨相互間の間隔を拡げて上述の側方及び中心管の狭窄と関連した問題を解決する。その上、本発明を用いると、小関節の関節症による痛みを和らげることができる。本発明は、最小侵襲性であり、基本的に外来患者向きである。
【0109】
本発明の別の特徴、目的及び利点は、請求の範囲及び図面を参照することより明らかになろう。
本発明の精神及び範囲内に属する他の実施形態を想到できるが、これらは本発明の精神及び範囲内に含まれることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱の近接した棘突起(840,842)の間に配置することが可能な、脊柱に関連した痛みを緩和するためのインプラント(800,900)であって、
本体(804,904)及び第1の翼部(810,910)を含む第1のユニット(802,902)と、
第2の翼部(814,924)と、
前記第2の翼部を前記本体に固定するための装置(822,922)であって、当該本体が当該第2の翼部の一部に係合するための手段を含み、当該本体が前記近接した棘突起間に配置するように適合され、前記第1の翼部が当該近接した棘突起の傍に配置することができ、当該第2の翼部が当該棘突起の傍で且つ当該第1の翼部とは反対側に配置することができる、装置(822,922)と、を備え、
前記係合手段は、後方位置から前方位置へと向かう線に沿った方向に沿って動作して、後方位置から前方位置へと向かう線に沿った方向に沿って前記第2の翼部を係合する、インプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のインプラントにおいて、
前記係合手段は、前記本体の中の溝(806,906)であり、
その溝の中へ、前記第2の翼部の一部は、後方位置から前方位置へと向かう線に沿った方向に沿って挿入可能である、インプラント。
【請求項3】
請求項1に記載のインプラントにおいて、
前記装置は、セットねじ(822,922)である、インプラント。
【請求項4】
請求項1に記載のインプラントにおいて、
前記第2の翼部は、第1の空洞(950)を画定し、
前記本体は、第2の空洞(920)を含み、
前記第1の空洞及び前記第2の空洞は、前記本体を収容するように適合されて、前記第2の翼部を前記本体に固定する、インプラント。
【請求項5】
請求項1に記載のインプラントにおいて、
脊柱の伸びを制限する一方、脊柱の屈曲を制限しない、インプラント。
【請求項6】
請求項4に記載のインプラントにおいて、
前記係合手段は、舌状凹部(919)であり、
前記第2の翼部は、前記凹部の中に収容されるように適合された舌部(948)を含み、
前記舌部は、前記第2の空洞を画定する、インプラント。
【請求項7】
請求項1に記載のインプラントにおいて、
前記本体の遠位部分に近接して配置されて前記近接した棘突起間に前記本体を配置し易くする端部(808,908)を更に備える、インプラント。
【請求項8】
請求項4に記載のインプラントにおいて、
前記装置は、ねじ山付きのセットねじであり、
前記第2の空洞は、螺合され、
前記第2の翼部の前記一部が後方位置から前方位置へと向かう線に沿った方向に沿って前記係合手段の中へ挿入されることに続いて、当該第2の翼部を前記本体に固定するために、前記ねじ山付きのセットねじが前記第1の空洞を通って配置され前記ねじ山付きの第2の空洞に係合可能であるように、当該第1及び第2の空洞は整列される、インプラント。
【請求項9】
請求項8に記載のインプラントにおいて、
前記本体は、長手方向軸線を有し、
前記ねじ山付きの第2の空洞は、外科医が棘突起の真後ろの位置から前記セットねじを定位置に固定することが可能になるように、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直である、インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図16a】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55a】
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【図55b】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図71a】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図80a】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図83a】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【公開番号】特開2011−189173(P2011−189173A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121864(P2011−121864)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【分割の表示】特願2007−201197(P2007−201197)の分割
【原出願日】平成9年12月23日(1997.12.23)
【出願人】(508361243)カイフォン・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (30)
【Fターム(参考)】