説明

胎児異数性の非侵襲性出生前診断の方法および組成物

本発明は、胎児異数性の非侵襲性出生前診断の方法および組成物を提供する。特異的メチル化領域(DMR)の大きなパネルが同定された。一定のこれらDMRは、成人女性の血液DNAにおいては低メチル化され、胎児DNAにおいては高メチル化されているが、その他は、成人女性の血液DNAにおいては高メチル化され、胎児DNAにおいては低メチル化されている。さらに、成人女性DNAにおいて低メチル化され、胎児DNAにおいて高メチル化されているDMRは、妊娠中の母体血液試料に存在する胎児DNAの胎児異数性を正確に予測した。本発明の方法において、高メチル化DNAは、好ましくはメチル化DNA免疫沈降(MeDiP)により、低メチル化DNAから物理的に分離される。



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【特許請求の範囲】
【請求項1】
母体血液の試料を使用した胎児異数性の出生前診断の方法であって、
a)高メチル化DNA試料を得るために、母体の血液試料において、高メチル化DNAまたは低メチル化DNAを化学的に変性させることなく、または酵素的に消化させることなく、高メチル化DNAを低メチル化DNAと物理的に分離する工程;
b)高メチル化DNA試料の高メチル化値を得るために、高メチル化DNA試料において、複数の特異的メチル化領域(DMR)のレベルを決定する工程;
c)高メチル化DNA試料の高メチル化値を前記複数のDMRの標準参照高メチル化値と比較する工程;および
d)前記比較に基づき、胎児異数性を診断する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
母体血液試料が母体の末梢血試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高メチル化DNAが、メチル化DNA免疫沈降(MeDiP)により低メチル化DNAから物理的に分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
高メチル化DNAが低メチル化DNAから物理的に分離された後、該高メチル化DNAが増幅される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高メチル化DNAがライゲーション仲介ポリメラーゼ連鎖反応(LM−PCR)により増幅される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数のDMRが、添付A〜Eに示されたリストから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のDMRレベルが、少なくとも3個のDMRに関して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のDMRレベルが、少なくとも5個のDMRに関して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数のDMRレベルが、少なくとも8個のDMRに関して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数のDMRレベルが、少なくとも10個のDMRに関して決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数のDMRが、添付A〜Eに示されるリストから選択される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
高メチル化DNA試料における複数のDMRレベルが、リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムQPCR)により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
LM−PCR効率のコントロールとして、複数のDMRのレベルが未処理の母体血液DNA試料全体においても決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
高メチル化DNA試料の高メチル化値を正常な母体血液DNA試料の標準正常参照高メチル化値と比較し、高メチル化DNA試料の高メチル化値が正常な母体血液DNA試料の標準正常参照高メチル化値よりも高ければ、胎児異数性の診断が下される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
21トリソミー診断のための複数のDMRが21番染色体上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対39279856−39280004(SEQ ID NO:33)、塩基対44161178−44161323(SEQ ID NO:34)、塩基対44161239−44161371(SEQ ID NO:35)、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対29136735−29136844(SEQ ID NO:41)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される3個またはそれ以上の領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対39279856−39280004(SEQ ID NO:33)、塩基対44161178−44161323(SEQ ID NO:34)、塩基対44161239−44161371(SEQ ID NO:35)、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対29136735−29136844(SEQ ID NO:41)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される8個またはそれ以上の領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)および塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)のヌクレオチド配列を有する8個の領域から成る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のDMRが、13番染色体、18番染色体、X染色体およびY染色体から成る群から選択された染色体上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
母体の末梢血試料を使用した21トリソミーの出生前診断の方法であって、
a)高メチル化DNA試料を得るために、母体末梢血の試料において、高メチル化DNAまたは低メチル化DNAを化学的に変性させることなく、または酵素的に消化させることなく、高メチル化DNAを低メチル化DNAと物理的に分離する工程;
b)高メチル化DNA試料の高メチル化値を得るために、高メチル化DNA試料において、21番染色体上の複数の特異的メチル化領域(DMR)レベルを決定する工程であって、
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対39279856−39280004(SEQ ID NO:33)、塩基対44161178−44161323(SEQ ID NO:34)、塩基対44161239−44161371(SEQ ID NO:35)、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対29136735−29136844(SEQ ID NO:41)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される8個またはそれ以上の領域を含み、および
複数のDMRレベルがリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムQPCR)により決定される、工程;
c)高メチル化DNA試料の高メチル化値を21番染色体上の前記複数のDMRの標準正常参照高メチル化値と比較する工程;ならびに
d)前記比較に基づき21トリソミーを診断する工程
を含む、前記方法。
【請求項21】
高メチル化DNAが、メチル化DNA免疫沈降(MeDiP)により低メチル化DNAから物理的に分離される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
高メチル化DNAが低メチル化DNAから物理的に分離された後、高メチル化DNAが増幅される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
高メチル化DNAがライゲーション仲介ポリメラーゼ連鎖反応(LM−PCR)により増幅される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
LM−PCR効率のコントロールとして、複数のDMRレベルが未処理の母体血液DNA試料全体においても決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
高メチル化DNA試料の高メチル化値を正常な母体血液DNA試料の標準正常参照高メチル化値と比較し、高メチル化DNA試料の高メチル化値が、正常な母体血液DNA試料の標準正常参照高メチル化値よりも高ければ21トリソミーの診断が下される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、および塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)のヌクレオチド配列を有する8個の領域から成る、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
胎児異数性の診断に利用するのに適し、関心対象の染色体上にある特異的メチル化領域(DMR)を同定する方法であって、
a)以下:
(i)正常の成人女性の末梢血DNA試料(PB試料);および
(ii)正常な胎盤DNA試料(PL試料)
を提供する工程;
b)以下:
(i)分離されたPB試料;および
(iii)分離されたPL試料
を得るために、a)の各試料において、高メチル化DNAまたは低メチル化DNAを化学的に変性させることなく、または酵素的に消化させることなく、高メチル化DNAを低メチル化DNAから物理的に分離する工程;
c)b)の分離された各試料において、関心対象の染色体上の複数の領域のレベルを決定する工程;および
d)分離されたPB試料では低メチル化され、かつ分離されたPL試料では高メチル化されている領域を選択する工程であって、それによって関心対象の染色体上の特異的メチル化領域(DMR)を同定する、工程
を含む、前記方法。
【請求項28】
PL試料が二つの異なる試料、すなわち、第1トリメスターPL試料および第3トリメスターPL試料を含み、前記工程d)が、第1トリメスターの分離PL試料および第3トリメスターの分離PL試料の中で同じメチル化度を有する領域を選択する工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
関心対象の染色体が21番染色体である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
関心対象の染色体が、13番染色体、18番染色体、X染色体およびY染色体から成る群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
異数性がトリソミーまたはモノソミーである、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
以下を含む21トリソミーの出生前診断キット:
a)21番染色体上の複数の特異的メチル化領域(DMR)のレベルを決定するための、1種または複数種の核酸組成物;および
b)21トリソミーの出生前診断のための核酸組成物の利用ガイド。
【請求項33】
21番染色体上の複数のDMRが、添付A〜Eに示されたリストから選択される、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対39279856−39280004(SEQ ID NO:33)、塩基対44161178−44161323(SEQ ID NO:34)、塩基対44161239−44161371(SEQ ID NO:35)、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対29136735−29136844(SEQ ID NO:41)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される3個またはそれ以上の領域を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項35】
染色体21上の複数のDMRが、塩基対39279856−39280004(SEQ ID NO:33)、塩基対44161178−44161323(SEQ ID NO:34)、塩基対44161239−44161371(SEQ ID NO:35)、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対29136735−29136844(SEQ ID NO:41)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO:43)、塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される8個またはそれ以上の領域を含む、請求項32に記載のキット。
【請求項36】
21番染色体上の複数のDMRが、塩基対33320735−33320829(SEQ ID NO:36)、塩基対42189557−42189683(SEQ ID NO:37)、塩基対42355712−42355815(SEQ ID NO:38)、塩基対42357215−42357341(SEQ ID NO:39)、塩基対22403649−22403792(SEQ ID NO:40)、塩基対32268843−32268943(SEQ ID NO:42)、塩基対44079235−44079322(SEQ ID NO: 43)、および塩基対37841284−37841411(SEQ ID NO:44)のヌクレオチド配列を有する8個の領域から成る、請求項32に記載のキット。
【請求項37】
核酸組成物が、

、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される1種または複数種のオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項38】
血液試料において、高メチル化DNAまたは低メチル化DNAを化学的に変性させることなく、または酵素的に消化させることなく、高メチル化DNAを低メチル化DNAから物理的に分離する手段をさらに含む、請求項32に記載のキット。
【請求項39】
高メチル化DNAを低メチル化DNAから物理的に分離する手段が、メチル化DNAを免疫沈降させる抗体を含む、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
高メチル化DNAを増幅する手段をさらに含む、請求項38に記載のキット。
【請求項41】
高メチル化DNAを増幅する手段が、ライゲーション仲介ポリメラーゼ連鎖反応(LM−PCR)を行うためのオリゴヌクレオチドリンカーまたはオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項40に記載のキット。
【請求項42】

、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される1種または複数種の単離オリゴヌクレオチドプライマーを含む、核酸組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−517789(P2013−517789A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550529(P2012−550529)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000217
【国際公開番号】WO2011/092592
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512194363)ニプド ジェネティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】