説明

脂肪吸収抑制剤

【課題】脂肪吸収抑制作用を有する医薬及び機能性食品を提供する。
【解決手段】4−ヒドロキシイソロイシンを有効成分とする脂肪吸収抑制剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
脂肪吸収抑制を目的とした医薬品、又は食品に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪の過剰摂取は、これが原因で様々な生活習慣病を引き起こす。主な生活習慣病としては、肥満・糖尿病・動脈硬化・高脂血症などが挙げられ、健康を著しく損なうことになり得る。脂肪の吸収を抑制し、これらの生活習慣病を予防して改善しようとするものでは、キトサンなど幾つかの素材が知られているが、より効果の高い素材が求められている。
【0003】
4−ヒドロキシイソロイシンはコロハの種などに含まれ、インスリンの分泌を促進するという報告がされている(Christophe Broca et aI.,4−hydroxyisoleucine:effects of synthetic and natural analogues on insulin secretion.,.European Journal of Pharmacology,2000,390,339−345)。しかし、脂肪吸収抑制効果があるという報告は全くない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脂肪吸収を抑制する医薬品、又は食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、4−ヒドロキシイソロイシンに、顕著な脂肪吸収阻害活性があることを見いだした。すなわち、本発明は、下記の構造式(I)で示される4−ヒドロキシイソロイシンを有効成分とする脂肪吸収抑制作用を有する医薬品、又は食品を提供する。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に関わる4−ヒドロキシイソロイシンとは下記の構造式(I)で示され、例えばコロハの種などから抽出してもよいし、化学的方法で合成してもよい。

【0007】
本発明に関わる脂肪吸収阻害剤を製造するには、4−ヒドロキシイソロイシンを用いることができ、常法に従って公知の医薬用無毒性担体と組み合わせて製剤化すればよい。本発明に関わる脂肪吸収抑制剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥製剤等が挙げられ、非経口投与剤としては、注射剤のほか、坐剤、噴霧剤、経皮吸収剤等が挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。本発明に関わる脂肪吸収阻害剤において、4−ヒドロキシイソロイシンの投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態等により、適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.01〜50g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【0008】
また、本発明に関わる4−ヒドロキシイソロイシンは、食経験も豊富なことから安全性が高いと考えられ、脂肪吸収抑制を目的として、機能性食品として摂取することもできる。本発明に関わるコロハ抽出物を含有することを特徴とする機能性食品は、特定保健用食品、栄養機能食品、又は健康食品として位置付けることができる。機能性食品としては、例えば4−ヒドロキシイソロイシン、に適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。この機能性食品は、そのまま食用に供してもよく、また種々の食品(例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、菓子など)に添加して使用したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。かかる食品の形態における本発明の4−ヒドロキシイソロイシンの摂取量は年齢、体重、症状、疾患の程度、食品の形態等により適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.01〜50g/kg体重程度とされる。
【実施例】
【0009】
以下に本発明をより詳細に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0010】
実施例4−ヒドロキシイソロイシンの脂肪吸収抑制活性
マウスにコーン油を経口投与すると血中中性脂肪が上昇する。コーン油と同時に被験サンプルを投与し、血中中性脂肪値の変化調べることにより被験サンプルの脂肪吸収抑制効果を調べることができる。4−ヒドロキシイソロイシンの脂肪吸収抑制効果を調べるために以下の実験を行った。すなわち8週齢、雌のddYマウスに4−ヒドロキシイソロイシン水溶液(0.3g/kg)0.5mlとコーン油0.2mlを順次経口投与して、3時間後に採血を行った。コントロール群には水0.5mlとコーン油0.2mlを順次経口投与し、それぞれの血中中性脂肪濃度を測定した。その結果を表に示す。数値は平均値±標準誤差(mg/dl)。カッコ内は4−ヒドロキシイソロイシン投与群がコントロールに対する有意差を示す。(studentのT−TEST)
【0011】

投与前 投与後
コントロール 262±27 965±128
0.3g/kg投与群 245±25 504±85(p<0.05)
【0012】
この結果から4−ヒドロキシイソロイシンが脂肪吸収を抑制することが示された。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、4−ヒドロキシイソロイシンを有効成分とする脂肪吸収抑制作用を目的とした医薬品、又は食品を人問および動物に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式(I)で示される4−ヒドロキシイソロイシンを有効成分とする脂肪吸収抑制剤。


【公開番号】特開2006−89449(P2006−89449A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306186(P2004−306186)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(504391916)テイエスアイ(チャイナ)カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TSI(China)Company Limited
【住所又は居所原語表記】5F,Bldg 54,No 1089.Qinzhou Rd.(N),Shanghai.China
【Fターム(参考)】