説明

脈波測定装置

【課題】手首動脈に対する精緻な取付位置を意識することなく手首動脈のおおよその位置に脈波測定装置を装着するだけで、手首動脈の脈波を正確に測定する脈波測定装置を提供する。
【解決手段】容器11は、LEDのみを収納し、容器21、31はLED及びPDを収納し、容器41は、PDのみを収納する。脈波測定装置1は、複数のLEDを順次駆動し、その照射光の反射光を受光した複数のPDが出力する出力電圧値の変化と、メモリに記憶された脈波形情報に基づき、複数のLEDの1つ及び複数のPDの1つから成るペアを選択し、選択したLED及びPDにより被験者の手首動脈の脈波を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の手首に装着される腕時計型の脈波測定装置に係り、特に、発光素子及び受光素子を用いて手首脈波を測定する腕時計型の脈波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(以下、LEDと記す)及び受光素子(以下、PDと記す)を用いて手首脈波を測定する腕時計型の脈波測定装置が様々提案されている。この脈波測定装置は、手首動脈に対して光を照射するLED、及び、当該手首動脈に対するLED照射光の反射光を受光するPDを装置内に備え、前記PDの出力電圧値の変化に基づき、前記被験者の手首動脈の拍動による動脈容積変位を検知し脈波を測定する。
【0003】
図9は、前記PDの出力電圧値の変化に基づき測定された理想的な脈波形(約2.5拍)を示す図で、横軸は時間、縦軸は出力電圧値を示している。山のピークは心臓の収縮期を示し、谷の底は同拡張期に同期して動脈血管が収縮・拡張している様子を示している。なお、脈波形の振幅、形状等は個人差、体調、体動等や測定装置の装着力や血管とLED・PDの相対位置などによって刻々と変化する。
【0004】
ところで、被験者の手首動脈の位置は被験者毎に異なり、さらに、手首の形状は複雑であるので、脈波を正確に測定できる手首の位置に、LED及びPDを配置することは難しい。
そこで、例えば、特許文献1には、1つのLEDと複数のPDを備えた脈波検出装置を被験者の手首に巻回し、最大受光出力(最大出力電圧)が得られるPDを選択し、当該PDの出力電圧値に基づき脈波を検出する手法が開示されている。
また、特許文献2には、複数のLEDと複数のPDを備えた脈波計測装置を被験者の手首に装着し、複数のLED及び複数のPDの中から最適な一対のLEDとPDとの組み合わせを、PDからの脈波信号強度(出力電圧)の違いに基づきリアルタイムに選択し、選択したPDの出力電圧値に基づき脈波を計測する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−318840号公報
【特許文献2】特開2006−271896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LED照射光の反射光をPDで確実に受光するためには、LED及びPDを人体体表(手首)に密着させなければならないが、上記特許文献には、複雑な形状でかつ弾力性をもつ手首に対してLED及びPDを密着させる具体的手段は開示されておらず、被験者の手首動脈の脈波を正確に測定することは困難である。特に、被験者が運動していると、当該被験者の手首に装着していた脈波測定装置がずれて、当該被験者の手首動脈の脈波を正確に測定することがより困難になる。
【0007】
また、上記特許文献に開示されているように、単に、LED、PDを増やすだけでは、装置の小型化を阻害し、手首に装置を装着しにくくなる。他にも、製造コスト及び製造工程が増え、また、素子数が増えることによりハンダ信頼性が低下しやすくなる。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、LED及びPDを用いて手首脈波を測定する腕時計型の脈波測定装置において、手首動脈に対する精緻な取付位置を意識することなく手首動脈のおおよその位置に脈波測定装置を装着するだけで、手首動脈の脈波を正確に測定する脈波測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の技術手段は、被験者の手首動脈に対して光を照射する発光素子及び当該手首動脈に対する照射光の反射光を受光する受光素子と、前記発光素子の駆動制御を行い前記受光素子の出力電圧値の変化に基づき前記被験者の手首動脈の脈波を測定する制御部とを前記被験者の手首に装着する弾性ベルトを有する脈波測定装置において、前記発光素子及び前記受光素子は、各々前記弾性ベルトに少なくとも2つ並設された被験者の手首軸方向を長辺とする縦長の容器に区画して形成された収納室に収納され、前記制御部は予め基準となる脈波形情報をメモリに記憶保有し、複数の前記発光素子を順次駆動し、その照射光の反射光を受光した複数の各受光素子が出力する電圧値の変化と、前記メモリに記憶された脈波形情報に基づき、複数の前記発光素子の1つ及び複数の前記受光素子の1つから成るペアを選択し、選択した発光素子及び受光素子により被験者の手首動脈の脈波を測定することを特徴とする脈波測定装置である。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記2つ並設された容器の両脇又は片脇に前記容器を並設し、当該容器の収納室に前記発光素子及び前記受光素子、又は、前記発光素子若しくは前記受光素子が収納されている脈波測定装置である。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記発光素子及び前記受光素子は、並設される前記容器の収納室に市松状に各々収納される脈波測定装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被験者は手首動脈のおおよその位置に脈波測定装置を装着するだけで、手首動脈の脈波を正確に測定することができる。装着後、脈波測定装置の位置がずれても、正確に手首脈波を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る脈波測定装置を被験者の手首に装着した状態を示す図である。
【図2】本発明に係る脈波測定装置の外観図である。
【図3】本発明に係る脈波測定装置の容器の外観図である。
【図4】本発明に係る脈波測定装置を被験者の手首に装着した状態において、LED及びPDが配置されている状態を説明する図である。
【図5】脈波形を示す図である。
【図6】本発明に係る脈波測定装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明に係る脈波測定装置の容器の詳細について説明する図である。
【図8】本発明に係る脈波測定装置の容器を弾性ベルトに取り付ける様子を示す図である。
【図9】PDの出力電圧値の変化に基づき測定された理想的な脈波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る脈波測定装置1を被験者の手首Wに装着した状態を示す図である。
11,21,31,41は、手首動脈に対して光を照射するLED及び/又は当該手首動脈に対するLED照射光の反射光を受光するPDを収納する容器である。この容器は、被験者の手首軸方向を長辺とする縦長の容器である。容器11は、LEDのみを収納し、容器21、31はLED及びPDを収納し、容器41は、PDのみを収納する。なお、詳細については後述する。
【0015】
51は、各容器を手首に装着するために用いられる弾性ベルトで、当該弾性ベルトに当該各容器が固定される。弾性ベルト51は、装着ベルト(図示せず)を用いて、被験者の手脈に巻回される。なお、弾性ベルト51は、ゴムあるいはエラストマー素材により構成される。
【0016】
図2は、脈波測定装置1の外観図で、弾性ベルト51には4つの容器(11,21,31,41)が並設して固定されている。
11a、21aは、各容器に収納されているLEDの出射面、PDの受光面を覆う透明カバーである。この透明カバーにより、LEDの出射面、PDの受光面が被験者の体表(皮膚)に触れることはなく、出射面、受光面が汚れない。なお、容器31、41の透明カバーについては図示していないが、前記の透明カバーと同じ透明カバーが設けられている。
【0017】
52は、連続した一枚のフレキシブル基板で、各容器に収納されているLEDやPDの動作を制御する電子部品が搭載される。51a、51bは、弾性ベルト51に形成された装着用穴で、前記装着ベルト(図示せず)が当該穴に装着される。前記装着ベルトにより、弾性ベルト51に固定された各容器が被験者の手首に巻回(装着)される。
【0018】
図3は、容器11、21、31、41の外観図である。なお、説明のため、透明カバー11a等については図示を省略している。
図1に示したように、脈波測定装置1を被験者の手首に装着すると当該被験者の小指側に位置する容器11にはLED11eが収納されている。LED11eは、前記の装着時、被験者の肘側(図4参照)に位置する。LED11eを小指側に配置しているのは、LED11e−PD21p(LED21e)間に手首尺骨動脈が位置するとき、小指側にPDを配置した場合はPDの出力電圧値が前者に比較し小さいという結果が発明者らの実験で得られたためである。
【0019】
容器11の図面左隣りに位置する容器21にはLED21e及びPD21pが収納されている。LED21eは、前記の装着時、被験者の掌側に位置し、PD21pは当該被験者の肘側に位置する。容器31にはLED31e及びPD31pが収納されている。LED31eは、前記の装着時、被験者の肘側に位置し、PD31pは、当該被験者の掌側に位置する。
【0020】
脈波測定装置1を被験者の手首に装着すると当該被験者の親指側に位置する容器41にはPD41pが収納されている。PD41pは、前記の装着時、被験者の肘側に位置する。
【0021】
本発明の脈波測定装置1は、図1に示したように、当該装置1を被験者の手首に装着した状態において、LED11e、LED21e、LED31eを順次駆動(点灯)させたときに、LED照射光の反射光を受光したPD21p、PD31p、PD41pが出力する電圧値及び当該電圧値の変化と、基準となる脈波形に係る情報(後述)に基づき、複数のLEDの1つ及び複数のPDの1つから成るLED及びPDのペアを選択し、選択したLED及びPDにより被験者の手首動脈の脈波を測定する。
【0022】
本発明の脈波測定装置1で実行される脈波測定処理について、図4及び図5を用いて詳細に説明する。
図4は、脈波測定装置1を被験者の手首に装着した状態において、前記のLEDとPDの当該手首における配置状態を説明するための図である。
前記のLEDとPDは市松状(千鳥状)に配置される。つまり、前記のLEDとPDは、並設される容器の収納室(後述)に市松状に各々収納されている。
このとき、LED31eとPD41pとの間に手首動脈Aが位置しているとする。
【0023】
一般的にLED、PD間の略中央に手首動脈が位置するときが、PDの出力電圧値が大きく、SNR(Signal-Noise Ratio)も良好である。本発明においては図4に示す略寸法数値でLED、PDを配置している。発明者らの実験において手首尺骨動脈又は手首橈骨動脈を指で触診し体表上の測定点に目星を付けたのち当該寸法値に配した脈波測定装置1を手首に装着すれば、ほぼ両動脈位置の個体差はカバーできることが確認できた。
【0024】
図5(A)は、LED21eを点灯させたときに、PD21p、PD31p、PD41pが出力した電圧値及び当該電圧値の変化(脈波形)を示す図、図5(B)は、LED11eを点灯させたときに前記PDが出力した電圧値及び当該電圧値の変化を示す図、図5(C)は、LED31eを点灯させたときに前記PDが出力した電圧値及び当該電圧値の変化を示す図である。
【0025】
図5(A)に示す、LED21eを点灯させたときに、PD21p、PD31p、PD41pから得られる脈波形の形状は、図9に示した脈波形の形状とは明らかに異なり、不正確な脈波形の形状であることがわかる。
図5(B)に示す、LED11eを点灯させたときに、PD21p、PD31pから得られる脈波形の形状は、図9に示した脈波形の形状と略一致しているが、PD41pから得られる脈波形の形状は、図9に示した脈波形の形状とは明らかに異なり、不正確な脈波形の形状であることがわかる。
【0026】
これに対して、図5(C)に示す、LED31eを点灯させたときに、PD21p、PD31p、PD41pから得られる脈波形の形状は、全て、図9に示した脈波形の形状と略一致している。また、PD21p、PD31p、PD41pから得られる脈波形の値(出力電圧値)の中で、PD41pから得られる脈波形の値が最も高い。以上より、最適なLEDとPDのペアは、LED31eとPD41pのペアであると決定することができる。
【0027】
PD21p、PD31p、PD41pから得られる脈波形の形状と、図9に示した脈波形の形状とが一致しているか判定する手法としては、従来から提案されている様々な手法を用いることができる。例えば、PD出力値や波形SNRや脈波グラフの2回微分波形で得られる変曲点、当該変曲点に係る閾値などの理想的な脈波形(図9の脈波形図を参照)に係る情報をメモリに予め記憶保有し、当該情報を利用して、前記の判定を行ってもよい。また、両脈波形の形状に対してパターンマッチングを実行し、類似度を算出してもよい。
【0028】
なお、手首動脈が例えばLED21e、PD21pの真上に位置しても、前述した判定処理を実行すれば、最適なLD、PDのペアを決定できる。
【0029】
図6は、本発明に係る脈波測定装置1の機能ブロック図である。61は、LED・PDユニットで、LED11e、LED21e、LED31e、PD21p、PD31p、PD41pやこのLED及びPDに接続するフレキシブル基板52等から構成される。LED・PDユニット61は、出力データ処理部62に前記各PDの出力電圧値を出力する。
【0030】
出力データ処理部62は、アンプ、アナログスイッチ、ADコンバータ等から構成され、PD21p、PD31p、PD41pの出力電圧値に対して各種データ処理を実行し、ユニット制御部63に出力する。
【0031】
ユニット制御部63は、調光回路、ドライバ、アナログスイッチ等から構成され、LED・PDユニット61の各LEDの駆動制御、及び、各PDの制御を実行する。
【0032】
ユニット制御部63のメモリ63aは、前述した、PD出力値や波形SNRや脈波の2回微分波形で得られる変曲点、当該変曲点に係る閾値などの理想的な脈波形(図9の脈波形図を参照)に係る情報を記憶保有する。
【0033】
ユニット制御部63の選択部63bは、LED11e、LED21e、LED31eを順次駆動(点灯)させたときに、LED照射光の反射光を受光したPD21p、PD31p、PD41pが出力する電圧値及び当該電圧値の変化と、PD選択処理に基準となる脈波形情報(メモリ63aに予め記憶されている)に基づき、複数のLEDの1つ及び複数のPDの1つから成るLED及びPDのペアを選択し、選択したLED及びPDにより被験者の手首動脈の脈波を測定する。以後、定期的に前記のLED駆動・PD選択処理を実行する。なお、PDの出力電圧値が所定の閾値以下になると、前記の選択処理を実行してもよい。
【0034】
前記選択されたPDの出力電圧値等は、図示しない、表示装置や、フラッシュメモリ等の記憶媒体に出力される。
【0035】
次に、図7を用いて容器、例えば、容器31の詳細について説明する。図7(A)は、容器31の斜視図、図7(B)は、容器31の断面図である。
図7(A)の32は、LED31e及びPD31p(図7(B)参照)を収納する収納部材である。収納部材32には、LED31eを収納する収納室32a、及び、PD31pを収納する収納室32bが、隔壁32cによって区画して形成されている。
隔壁32cにより各収納室が隔てられているので、PD31pは、LED31e照射光の反射光のみを受光し、LED31eの照射光を直接受光することはない。
【0036】
33は、収納部材32に収納されたLED31e及びPD31pに接続しているフレキシブル基板52を補強する補強部材である。なお、LED31eの出射面及びPD31pの受光面は、透明カバー31a(図7(B)参照)により覆われている。
【0037】
34は、収納部材32を弾性ベルト51(図2参照)に取り付ける際に使用するベルト留め部材である。35は、収納部材32に固定部材37(図7(B)参照)を固定する際に使用する第1ネジ、36は、弾性ベルト51に収納部材32を固定する際に使用する第2ネジである。
【0038】
図7(B)の容器31の断面図に示すように、LED31e及びPD31pはフレキシブル基板52の配線に接続している。このフレキシブル基板52は、補強部材33を介して固定部材37によって上方から収納部材32の底側に押しつけられて固定され、当該固定部材37は第1ネジ35によって、収納部材32に固定される。
【0039】
図8は、容器31を弾性ベルト51に取り付ける様子を示す図である。この図では、容器31の収納部材32にフレキシブル基板52が固定部材37を介して固定された状態を示している。なお、各容器(11、21、31、41)に収納されている光電素子(LED31e、PD31p等)は、フレキシブル基板52の接続端子52aに接続しているユニット制御部63(図6参照)等の電子部品と電気的に接続している。前記各容器は、このフレキシブル基板52を介して連続して一体的に固定(連結)されている。
【0040】
容器31の弾性ベルト51への取り付けについて説明する。まず、ベルト留め部材34の取付部34aを弾性ベルト51の留め穴51cに通してベルト留め部材34を固定部材37に取り付ける。そして、ベルト留め部材34のネジ穴34b及び固定部材37のネジ穴37aに第2ネジ36を差し込み、当該第2ネジ36によって、弾性ベルト51を収納部材32とベルト留め部材34とで挟み込むように固定する。
【0041】
他の容器(11、21、41)についても同様に弾性ベルト51に取り付ける。その後、フレキシブル基板52の接続端子52aを弾性ベルト51の端子穴51dに通して外部に露出させる。上記の取付により、図2に示した、脈波測定装置1が完成する。
【0042】
弾性ベルト51の留め穴51cの直径は、ベルト留め部材34の取付部34aの外径よりも大きく、また、ベルト留め部材34の取付部34aの高さは、弾性ベルト51の厚みよりも大きい。そのため、手首装着時の弾性ベルト51の形状変化(例えばネジレ等)に対しても、それぞれの隙間分、余裕を持って固定されるので、容器(11、21、31、41)のそれぞれ体表に接する側は体表に密着しやすくなる。
【0043】
以上に説明したように、本発明の脈波測定装置1の各容器は、弾性ベルト51に各々独立して並設(固定)されているので、体格差、年齢差、性差などにより千差万別で複雑な形状を有する被験者の手首体表面にLED及びPDを密着して装着することができる。
【0044】
また、各容器を手首動脈のおおよその位置に装着すれば、理想的な脈波形出力を示すLED及びPDのペアを自動的に選択し、被験者の手首動脈の脈波を測定するので、被験者は手首動脈に対する精緻な取付位置を意識することなく正確な脈波を測定することができる。
【0045】
前記の選択処理を、例えば定期的に実行するので、被験者が運動などをしていて、脈波測定装置の装着位置がずれても、正確に手首脈波を測定することができる。
【0046】
本発明の脈波測定装置1は、必要最小限のLED、PDで、被験者の手首動脈の脈波を正確に測定できるので、装置を小型化できる。また、被験者の手首に装着しやすく、便利である。他にも、製造コスト及び製造工程を減らすことができ、素子数が増えることによるハンダ信頼性の低下を防止することができる。
【0047】
前述の実施例では、4つの容器を並設したが、本発明の脈波測定装置では、他にも様々な変形例を採用することができる。例えば、LED及びPDを収納する容器を少なくとも2つ、つまり、容器21、31を弾性ベルト51に並設するだけでもよい。また、容器21、31の両脇又は片脇に容器を並設し、当該容器の収納室にLED及びPD、又は、LED若しくはPDを収納してもよい。なお、この場合でも、図4に示したように、LED及びPDは、並設される容器の収納室に市松状に各々収納されることが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1…脈波測定装置、11,21,31,41…容器、11e,21e,31e,41e…LED、11p,21p,31p,41p…PD、11a,21a,31a…透明カバー、32…収納部材、32a,32b…収納室、32c…隔壁、33…補強部材、34…ベルト留め部材、34a…取付部、34b…ネジ穴、35…第1ネジ、36…第2ネジ、37…固定部材、37a…ネジ穴、51…弾性ベルト、51a,51b…装着用穴、51c…留め穴、51d…端子穴、52…フレキシブル基板、52a…接続端子、61…LED・PDユニット、62…出力データ処理部、63…ユニット制御部、63a…メモリ、63b…選択部、W…被験者の手首。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の手首動脈に対して光を照射する発光素子及び当該手首動脈に対する照射光の反射光を受光する受光素子と、前記発光素子の駆動制御を行い前記受光素子の出力電圧値の変化に基づき前記被験者の手首動脈の脈波を測定する制御部とを前記被験者の手首に装着する弾性ベルトを有する脈波測定装置において、
前記発光素子及び前記受光素子は、各々前記弾性ベルトに少なくとも2つ並設された被験者の手首軸方向を長辺とする縦長の容器に区画して形成された収納室に収納され、
前記制御部は予め基準となる脈波形情報をメモリに記憶保有し、複数の前記発光素子を順次駆動し、その照射光の反射光を受光した複数の各受光素子が出力する電圧値の変化と、前記メモリに記憶された脈波形情報に基づき、複数の前記発光素子の1つ及び複数の前記受光素子の1つから成るペアを選択し、選択した発光素子及び受光素子により被験者の手首動脈の脈波を測定することを特徴とする脈波測定装置。
【請求項2】
前記2つ並設された容器の両脇又は片脇に前記容器を並設し、当該容器の収納室に前記発光素子及び前記受光素子、又は、前記発光素子若しくは前記受光素子が収納されていることを特徴とする請求項1に記載の脈波測定装置。
【請求項3】
前記発光素子及び前記受光素子は、並設される前記容器の収納室に市松状に各々収納されることを特徴とする請求項2に記載の脈波測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−55895(P2011−55895A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206011(P2009−206011)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】