脊柱治療用コルセット
【課題】装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、自力による脊柱起立筋収縮と、吸気により胸郭を押し上げることの併用効果によって、脊柱を伸展させることができ、さらに、能動的脊柱起立筋収縮と、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動によって、胸郭の押し上げが繰り返されることで、無理なく背筋や呼吸筋などの筋肉を強化することができる脊柱治療用コルセットを提供する。
【解決手段】柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B・腹部Dおよび脊柱C周辺を覆うように巻き付けられる装着布2と、胸郭B’正中直下に位置して、装着布内側に胸郭に沿って取り付けられる軟膨縮体3,4とを備え、吸気による腹部の拡張が軟膨縮体を押し上げる力と、装着布による軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助する。
【解決手段】柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B・腹部Dおよび脊柱C周辺を覆うように巻き付けられる装着布2と、胸郭B’正中直下に位置して、装着布内側に胸郭に沿って取り付けられる軟膨縮体3,4とを備え、吸気による腹部の拡張が軟膨縮体を押し上げる力と、装着布による軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体束縛度が軽度で、装着しても自然な呼吸を維持することができるとともに、自力により脊柱を伸展させ、且つ伸展位を維持することができる脊椎治療用コルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側に空気袋が取り付けられるコルセットとして、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1のコルセットは、背部側および左右前側とから構成され、その内部に、特性ゴムの空気袋を貼り付け、空気袋内の空気圧を調整させて、当該コルセットの締め付け力を適正に維持できるようにしている。また、空気袋は、背部側、左右前側のそれぞれに上下に分割させて取り付けられている。これにより、吸気時(胸部が拡大する時)に上部側の空気袋内の空気を、下部側の空気袋に移動し、呼気時には、逆に下側空気袋内の空気を、上部空気袋に移動していることで、適切な呼吸換気量を確保することができる。
【特許文献1】特開2003−61994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加齢やその他の原因により、脊柱が後弯および/あるいは側弯する脊柱弯曲症の治療においてもコルセットは用いられる。例えば、人の加齢性変化は、脊柱では椎骨の楔状変形(椎骨の前方が低くなる変形)と脊柱起立筋の筋力低下をもたらす。このため脊柱には後弯変形(円背など)が発生し、背・腰部痛、内蔵圧迫性障害、身体動作障害などの原因となる。
【0005】
脊柱を伸展させる原動力は脊柱起立筋によるが、加齢性脊柱弯曲症では脊柱起立筋の力が著しく低下し、脊柱伸展力が不足している。脊柱伸展力を補助するために、従来は体幹前方より脊柱方向への他動的圧迫力で、必要な矯正・固定力を得るための硬性コルセットが用いられてきた。
【0006】
しかし、硬性コルセットは呼吸や身体活動を束縛すると同時に筋・骨の委縮を招くなどの欠点がある(本文ではこれらの欠点を副障害と呼称する)。硬性コルセットを用いない治療法としては手術療法があるが、高齢者には侵襲が大きい。また、硬性コルセットや手術療法は軽症には侵襲が大き過ぎ、適応とならない。身体への副障害が少なく、軽症から用いることができ、且つ重症に移行するのを防止するのに適した治療法が存在しないのが現状である。
【0007】
本発明はこれらの点に着目し、上記従来の課題を解決すべく創案されたものであって、素材が軟性であっても硬性コルセットに匹敵する脊柱変形矯正力を持ち、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気による胸郭を押し上げる力を産出する効果と、自力による脊柱伸展作用を補助する効果との合併効果で脊柱を伸展させることが可能であり、さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭の押し上げを繰り返すことによって、自力による能動的脊柱伸展運動が繰り返されることができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる脊椎治療用コルセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる脊柱治療用コルセットは、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、上腹部で胸郭正中直下に位置して、該装着布内側に胸郭下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体とを備え、吸気による腹部の拡張が該軟膨縮体を押し上げる力と、該装着布による該軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助することを特徴とする。
【0009】
前記装着布の内側には、前記軟膨縮体の左右両側に、伸展させた脊柱を支持するための一対の支持軟膨縮体が脊柱方向に沿って取り付けられることを特徴とする。
【0010】
前記装着布の内側には、脊柱後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部の拡張に伴う胸郭の押し上げによる脊柱伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる脊柱治療用コルセットは、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、左右それぞれの側腹部に位置して、体幹の長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱を支持する一対の支持軟膨縮体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる脊柱治療用コルセットにあっては、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気によって胸郭を押し上げる力を産生する機能を持ち、自力(能動的背筋収縮)による脊柱伸展作用を補助することで、脊柱伸展を容易にすることができる。さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭の押し上げを繰り返すことによって、自力による脊柱伸展運動を繰り返すことができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第1実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態にかかわる諸項目のうち、体幹A区分と体幹Aにおける軟膨縮体の位置を図1、2、および図13、14に示し、脊柱治療用コルセット1の全体構造を図3、4、5に、部分構造を図6、7、8および図11、12に、脊柱変形矯正機序を図9、10に示す。
【0015】
本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1は基本的には、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B、腹部Dおよび脊柱Cを覆うように巻き付けられる装着布2と、胸郭B’正中直下に位置して、装着布2内側に胸郭B’下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体を備える。軟膨縮体は空気袋3で形成される。吸気による腹部Dの拡張が空気袋3を押し上げる力と、装着布2による空気袋3を押さえる力の合成力が、胸郭B’を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱Cの伸展を補助する作用を持つ。なお、胸郭B’とは、胸椎、肋骨、胸骨に囲まれた骨性構造体である。
【0016】
装着布2の内側には、空気袋3の左右両側に、伸展させた脊柱Cを支持する一対の支持軟膨縮体が脊柱C方向に沿って取り付けられる。支持軟膨縮体は、支持用空気袋4で形成される。
【0017】
装着布2の内側には、脊柱C後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部Dの拡張に伴う胸郭B’の押し上げによる脊柱C伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられる。補助軟膨縮体は、補助用空気袋5a、5bで形成される。
【0018】
以下に、軟膨縮体として空気袋3を用いた場合を解説する。
【0019】
図3に示す脊柱治療用コルセット1には、装着布2の内側に、空気袋3と、一対の支持用空気袋4と、2つの補助用空気袋5a、5bが配設されている。図4は、広げた状態の装着布2の外面図が示され、図5は、広げた状態の装着布2の内面図が示されている。
【0020】
装着布2は、折り曲げ自在な柔軟かつ低伸縮性の生地で形成される。ここで、低伸縮性の生地とは、伸縮性が全くない生地から、例えば、合成繊維やコットンなどで伸縮の少ない織りに仕上げたものなど、伸縮性が少ない生地までを総称したものである。
【0021】
装着布2の巾は、胸部B及び腹部Dの全体(乳房上部から骨盤まで)を覆う程度に形成される。装着布2の長さは、体幹Aに胸部Bおよび脊柱Cを覆うように巻き付けられて、その両端部2a、2bが互いに重ね合わされる程度に形成される。重ね合わされた装着布2の両端部2a、2bには、装着布2を体幹Aに巻き付けた状態で固定する固定部6が取り付けられる。図示例にあっては、固定部6は、装着布2の一端部2aの内面に形成された第1固定部6aと、装着布2の他端部2bの外面に形成される第2固定部6bとから構成されている。具体的には、第1固定部6aは、面ファスナーの雄面または雌面のどちらか一方で形成され、これにかみ合う面ファスナー雌面または雄面によって第2固定部6bが構成される。
【0022】
体幹Aに巻き付けられた装着布2の第1固定部6aと第2固定部6bとを互いに密着させることによって、装着布2は、体幹A周りに着脱自在に固定される。装着布2には、脊柱Cに沿って装着布2の上方を延出させた背当て部8が形成される。
【0023】
装着布2の内側には、両端部2a、2bを残してほぼ全面に、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを取り付けるための取付面7が形成される。図示例にあっては、取付面7は、一枚布の面ファスナーの雄面または雌面が、縫製や接着剤などによって装着布2の内側に接着されて形成される。
【0024】
図6は、空気袋3の斜視図、図7は支持用空気袋4の斜視図、図8は補助用空気袋5a、5bの斜視図である。空気袋3は、中に空気が充填される中空の袋体であって、その外側には、空気を充填するチューブ状の注入口9が配設される。注入口9の先端部には、注入した空気を封止する封止栓10が設けられる。空気袋3は、充填された空気を密閉するべく気密性素材で袋状に形成される。空気袋3は、例えばナイロン生地の内側にウレタン樹脂を塗布して気密加工処理を施し、さらにその外側に、プラスチック材のような硬質な生地素材を重ね合わせるなどして形成される。しかしながら、空気袋3の材質はこれに限られず、どのような材質であってもよい。
【0025】
支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bも空気袋3と同様の材質で、中に空気が充填される中空の袋状に形成される。これら支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bの外側にも、空気袋3と同様のチューブ状の注入口9が配設され、注入口9の先端部には、封止栓10が設けられる。
【0026】
空気袋3の外面には、その長軸方向に沿って、空気袋3を取付面7に取り付けるための取付部11が形成される。取付部11は、取付面7の面ファスナーの雄面または雌面にかみ合う、雌面または雄面が接着されて形成される。取付部11と取付面7を密着させることで、空気袋3が装着布2に着脱自在に取り付けられる。
【0027】
また、支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bの外面にも、その長軸方向に、取付部11が形成される。支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bの取付部11の構成も、空気袋3の取付部11と同様である。
【0028】
図1は、脊柱治療用コルセット1を体幹Aに巻き付けた状態を表す正面図である。図2は、脊柱治療用コルセット1を体幹Aに巻き付けた状態を表す側面図である。
【0029】
装着布2の内側には、胸郭B’正中直下に位置して、棒状の空気袋3が体幹Aの横軸方向に胸郭B’下縁に沿うように取り付けられる。空気袋3は、脊柱を伸展させるために、吸気による腹部Dの拡張に伴って、装着布2に保持されながら、空気袋3が吸気で膨らんだ胸郭B’を押し上げる。具体的には、図示例のように、空気袋3は、装着布2によって体幹Aの腹部Dと胸郭B’との間に当接するように配設される。このため、吸気によって腹部Dが膨張することにより、空気袋3は装着布2の反力を取って腹部Dとともに、胸郭B’を押し上げ、脊柱Cを伸展させる。
【0030】
装着布2の内側には、体幹Aの前面で空気袋3の左右両側に位置して、脊柱Cを支持する一対の支持用空気袋4が体幹Aの長軸方向に沿って取り付けられる。これら支持用空気袋4は、胸上部(乳房高位)から骨盤に亘る長さで形成される。支持用空気袋4は、体幹Aに巻き付けられた装着布2内側に、左右側腹部に当接するように取り付けられる。左右側腹部に支持用空気袋4を取り付けることで、支持用空気袋4は、腹部Dから胸郭B’を支えて、空気袋3による胸郭B’の押し上げを補助するとともに、脊柱Cを矯正位に支える。
【0031】
装着布2の内側には、補助用空気袋5a、5bが取り付けられる。図示例にあっては、補助用空気袋5a、5bは、脊柱C後弯の頂点部eに当接するように、装着布2の背当て部8中央に取り付けられる第1補助用空気袋5a、と脊柱C後弯の終点部f(一般に下位胸椎から上位腰椎部)に当接するように、これに面して装着布2に取り付けられる第2補助用空気袋5bで構成されている。
【0032】
例えば、補助用空気袋5a、5bは、図9のように、脊柱Cが後弯した患者には、後方に突出した頂点部eと、前方に窪んだ後弯終点部fに当接するように取り付けられる。これにより、補助用空気袋5a、5bは、腹部Dの拡張に伴う胸郭B’の押し上げによる後弯矯正を補助し、自力による能動的脊柱起立筋収縮、および呼吸運動に伴う空気袋3を介した脊柱伸展運動に際し、矯正支点として作用する。
【0033】
空気袋3によって胸郭B’が押し上げられることに伴って、補助用空気袋5a、5bも装着布2に反力をとって脊柱Cの頂点部eおよび後弯終点部fを押圧する。これにより胸郭B’の押し上げによる後弯矯正の支点となり、脊柱Cの伸展を補助する。
【0034】
次に、本発明にかかる脊柱治療用コルセット1の作用機序について説明する。脊柱治療用コルセット1は、脊柱変形の治療用コルセットとして、特に加齢による脊柱変形の治療用コルセットとして使用される。装着するに際しては、空気袋3に空気を充填する。そして、装着布2の取付面7に、上腹部で胸郭B’の正中直下に位置するように、空気を充填した空気袋3を取り付ける。支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bについても、装着布2の取付面7に、それぞれ左右側腹部、脊柱後弯頂点部eおよび終点部fに当接するように位置させて取り付ける。そして、体幹Aに装着布2を巻き付け、固定部6で固定する。
【0035】
請求項1に記載の発明にあっては、装着布2に空気袋3を取り付けた状態で、体幹Aに装着される。このため、吸気による腹部Dの拡張により、これと空気袋3とが協働して胸郭B’を押し上げ脊柱Cが伸展・矯正される。そして、呼吸を繰り返すことでで、この脊柱伸展運動が繰り返されることによって、患者は、呼吸筋および背筋などの筋肉を鍛えながら、無理なく変形した脊柱Cの矯正治療を行うことができる。
【0036】
これにより、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気によって胸郭B’を押し上げる力を産生する機能を持ち、自力(能動的背筋収縮)による脊柱C伸展作用を補助することで、脊柱C伸展を容易にすることができる。さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭B’の押し上げを繰り返すことによって、自力による脊柱C伸展運動を繰り返すことができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる。
【0037】
呼吸による胸腔(胸部B)、腹腔(腹部D)の膨張力だけでは、それぞれの腔が独立的存在にあり、脊柱C伸展・後弯矯正の補助効果は少ない。しかし、空気袋3により両者を連結し、腹腔(腹部D)膨張力が空気袋3を介して胸郭B’を押し上げるようにすることで、前方からの脊柱C伸展・矯正力を増強させることが可能となる。また、これらの目的を達成させるための素材は、全て軟性素材で可能である。
【0038】
胸腔(胸部B)、腹腔(腹部D)の二者はその内圧を介して、脊柱Cの前方支持効果と腰椎にかかる体重の部分的バイパス効果を有し、荷重が原因となる脊椎変性による機能障害ならびに疼痛に対する治療・予防効果を持つことが知られている。本発明にあっては、上記二者に加え、空気袋3を用いて胸腔(胸部B)、空気袋3、腹腔(腹部D)の三者の連続体を作れば、これらの効果はさらに高まることが期待される。
【0039】
請求項2に記載の発明にあっては、例えば筋力の弱い患者などに用いられる。この場合、上記の空気袋3に加えて、装着布2に支持用空気袋4を一対取り付けて体幹Aに装着する。伸展した脊柱Cの矯正位を、支持用空気袋4によって維持することができる。これにより、支持用空気袋4は、前傾した患者の側腹部を支え、患者は、脊柱Cが伸展した状態を維持しながら、より軽い力でスムーズに呼吸による胸郭B’の押し上げ運動を行うことができ、ひいては軽い力で脊柱Cの曲げ伸ばし運動ができることとなる。
【0040】
また、呼気により胸郭B’および腹部Dの容積の縮小が生じても、前正中支持の空気袋3、および、前側方支持の支持用空気袋4によって、矯正された脊柱C弯曲が元に戻らないようにすることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明にあっては、自力による矯正効果をさらに高めたい場合などに用いられる。この場合、空気袋3、若しくは空気袋3および支持用空気袋4に加えて、空気袋3による胸郭B’押し上げ運動の補助として、補助用空気袋5a、5bが装着布2に取り付けられる。これにより、吸気にともない空気袋3が胸郭B’を押し上げることに加え、補助用空気袋5a、5bが脊柱C後弯の頂点部eや終点部fを押圧し、脊柱Cを伸展させる際の支点としての機能を果たし、より効果的な脊柱Cの伸展が可能となる。なお、ここでいう、頂点部eや終点部fの位置は固定的なものではなく、患者の症状によって適宜変位するものである。
【0042】
本実施形態では、第1補助用空気袋5aは脊柱C後弯の頂点部eに、第2補助用空気袋5bは脊柱C後弯の終点部fにそれぞれ当接するように取り付けられている。しかしながら、これらの取付位置および数は、患者の症状にあわせて適宜変更されるものである。
【0043】
例えば、図10に示すように、脊柱Cが側方に弯曲した患者などには、装着布2の内側に、側腹部の側方に突出した頂点部gに当接する位置に、第1補助用空気袋5a’、および、側弯終点部hに当接する位置に、第2補助用空気袋5b’が取り付けるようにする。
【0044】
さらに、例えば脊柱C後弯変形に加えて脊柱C側弯変形が存在する場合には、後弯頂点部e、および後弯終点部f位置に、補助用空気袋5aおよび5bを取り付けたうえで、側腹部の側弯頂点部gおよび側弯終点部hの位置に、側弯変形治療用の第1補助用空気袋5a’および5b’を装着布2の内面に取り付けるようにする。側弯頂点部gおよび側弯終点部hに当てたこれらの補助用空気袋5a’、5b’は側弯矯正支点として作用する。側弯終点部hに当てた補助用空気袋5b’は、この他に、胸郭B’押し上げ効果および側弯凸側にかかる体重を骨盤にバイパスする効果を有する。この体重バイパスは腰痛軽減に役立つ。
【0045】
本実施形態にあっては、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bの膨縮度および剛性度は、これらに注入する空気の量を適宜に変更することで患者自身が調整することができる。これにより空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5b自体を変えずに、進行度や症状にあわせた脊柱C矯正が可能となる。
【0046】
本実施形態では、固定部6a、6bは面ファスナーで構成されていた。しかしながら、固定部6a、6bは、面ファスナーで構成されなくても良く、例えば、装着布2の両端部2a、2bに取り付けられたバンドおよびバックルで構成され、これらバンドおよびバックルを締め付けることにより固定してもよい。
【0047】
本実施形態では、取付面7は、一枚布の面ファスナーで構成されていたが、例えばテープ状の面ファスナーを、取付面7に適宜間隔をおいて、縦或いは横方向に接着するなどしても良い。また、装着布2にポケットを配設し、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5b(5a’、5b’)を、ポケットの中に挿入して取り付けるような形態としてもよい。
【0048】
本実施形態では、装着布2に背当て部8を形成したが、背当て部8を形成しない腹巻形状にしてもよい。また、装着布2は、一枚の布で形成されていたが、これに限らず複数枚の布を繋ぎあわせて形成しても良い。
【0049】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第1変形例を説明する。当該変形例では、図11に示すように、装着布2は、折り曲げ自在な柔軟かつ低伸縮性のメッシュ生地で形成される。これにより、通気性に優れ長時間の使用においてもムレずに肌への負担を少なくできる。
【0050】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第2変形例を説明する。当該変形例では、図12に示されるサスペンダー12が、装着布2に着脱自在に取り付けられる。サスペンダー12の4つの端部には、第1係合部13が形成される。図示例にあっては、第1係合部13は、面ファスナーの雄型または雌型で構成される。他方、装着布2の外面には、背当て部8の下部から下方に向かって第2係合部14が形成される。第2係合部14は、第1係合部13の面ファスナーにかみ合う面ファスナーで構成される。また、装着布2には、装着布2を巻き付けた状態で側腹部に位置して、一対の第3係合部15が形成される。第3係合部15は、装着布2の上端から延設させてそれぞれ形成される。第3係合部15は、その外面に第1係合部13の面ファスナーにかみ合う面ファスナーで形成される。第2係合部14、第3係合部15に第1係合部13を密着させることによって、サスペンダー12が装着布2に取り付けられる。
【0051】
また、装着布2をサスペンダー12で吊す形態の他に、図示はしないが、装着布2自体をTシャツ型、シャツ型、もしくはベスト型に形成し、この内側に空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを取り付けるようにしても良い。
【0052】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第3変形例を説明する。当該変形例では、図13に示されるように、装着布2は、胸郭B’正中直下を覆い、且つ上下方向の長さの短い、細長のベルト状に形成される。脊柱C矯正治療に対し、患者が空気袋3のみが必要な場合などに用いられる。
【0053】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第4変形例を説明する。当該変形例は、装着布2を2枚構造にしたものである。図14に示すように、装着布2はベスト型に形成される。具体的には、装着布2は内部装着布21と、内部装着布21の上に重ね合わせて着用する外部装着布22とで構成される。内部装着布21および外部装着布22には、それぞれ固定部6a、6bが形成される。
【0054】
空気袋3は、内部装着布21と外部装着布22との間に配設される。具体的には、内部装着布21の外面には、着脱自在に取り付ける取付面7が形成されており、空気袋3は、これに形成された取付部11を介して取付面7に取り付けられる。取付面7は、固定部6を残した全面に形成されるか、若しくは、縦方向および横方向に適宜間隔をおいて形成されるなど様々な形状に形成される。取付面7は、面ファスナーの雄面または雌面が、縫製や接着剤などによって、装着布2の内側に接着されて形成される。空気3、取付面7に取り付けるほかに、ポケットを内部装着布21の外側に配設して、この内部に挿入するによって取り付けてもよい。
【0055】
また、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bについても、上記空気袋3と同様に、内部装着布21と外部装着布22との間に配設される。
【0056】
外部装着布22は、内部装着布21の取付面7に取り付けられた空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを、内部装着布21の取付位置に保持するために形成される。
【0057】
本変形例は、装着布2が2枚構造であるため、脊柱治療用コルセット1の装着時には、内部装着布21の外側に空気袋3、若しくは支持用空気袋4、補助用空気袋5を取り付け、その上に、外部装着布22を着用すればよい。このため、これらの取付作業および取り外し作業が簡易になり、装着時の患者の負担を軽減することができる。
【0058】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第5変形例を説明する。本変形例では、装着布2の内側には、空気袋3とともに、発熱袋若しくは冷却袋が取り付けられる(図示しない)。具体的には、発熱袋若しくは冷却袋には、取付部11が形成される。発熱袋若しくは冷却袋は、その取付部11を介して取付面7に取り付けられて装着布2に配設される。このほかに、装着布2の内側にポケットを形成し、その内部に発熱袋若しくは冷却袋を挿入させて取り付けても良い。発熱袋は、携帯用カイロや保熱剤を充填した袋で形成される。また、冷却袋は、冷却剤を充填した袋で形成される。発熱袋および冷却袋は、患者の快適のために装着布2の適宜位置に取り付けられる。
【0059】
次に本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第2実施形態を説明する。本実施形態では、図14に示されるように、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B・腹部Dおよび脊柱C周辺を覆うように巻き付けられる装着布2と、左右それぞれの側腹部に位置して、体幹Aの長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱Cを支持する支持用空気袋4とを備える。 以下、第1実施形態との差異のみを説明する。
【0060】
第2実施形態にあっては、装着布2の内側には、支持用空気袋4のみが配設されている。配設位置は、上記第1実施形態と同様である。これにより、弯曲した脊柱Cを矯正位で維持することが可能となる。
【0061】
本発明にあっては、空気袋3を利用した、胸郭B’押し上げによる背筋などの筋力増加を必要とせず、伸展した脊柱Cの支持のみが必要な患者に用いられる。これにより、患者の症状にあわせて様々な使い分けが可能となる。なお、本実施形態にあっても、患者の快適のために、発熱袋若しくは冷却袋は、装着布2の適宜位置に着脱自在に取付可能である。
【0062】
第1および第2実施形態にあっては、軟膨縮体は空気袋3形成されていた。しかしながら、軟膨縮体は、空気袋3に限られず、患者自身がその膨縮を調整でき、適宜な剛性を保持できる素材であればこれに限られない。また、これと同様に、支持膨縮体および補助膨縮体についても、支持用空気袋4および補助用空気袋5には限られない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明にかかる脊柱治療用コルセットが装着される、身体区分および空気袋、支持用空気袋の位置を示す正面図である。
【図2】本発明にかかる脊柱治療用コルセットが装着される、身体区分および空気袋、支持用空気袋、補助用空気袋の位置を示す側面図である。
【図3】本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第1実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の脊柱治療用コルセットの装着布を広げた状態を示す外面図である。
【図5】図3の脊柱治療用コルセットの装着布を広げた状態を示す内面図である。
【図6】図3の脊柱治療用コルセットの空気袋を示す斜視図である。
【図7】図3の脊柱治療用コルセットの支持用空気袋を示す斜視図である。
【図8】図3の脊柱治療用コルセットの補助用空気袋を示す斜視図である。
【図9】図3の脊柱治療用コルセットを装着した状態を示す側面図である。
【図10】図3の脊柱治療用コルセットで、補助用空気袋を体側方に配置したときの作用を示す正面図である。
【図11】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第1変形例の装着布を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第2変形例に用いるサスペンダーを示す斜視図である。
【図13】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第3変形例を体幹に装着した状態を示す正面図である。
【図14】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第4変形例を体幹に装着した状態を示す正面図である。
【図15】本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第2実施形態を示す体幹に装着した正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 脊柱治療用コルセット
2 装着布
3 空気袋
4 支持用空気袋
5a 第1補助用空気袋
5b 第2補助用空気袋
A 体幹
B 胸部
B’ 胸郭
C 脊柱
D 腹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体束縛度が軽度で、装着しても自然な呼吸を維持することができるとともに、自力により脊柱を伸展させ、且つ伸展位を維持することができる脊椎治療用コルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内側に空気袋が取り付けられるコルセットとして、例えば特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1のコルセットは、背部側および左右前側とから構成され、その内部に、特性ゴムの空気袋を貼り付け、空気袋内の空気圧を調整させて、当該コルセットの締め付け力を適正に維持できるようにしている。また、空気袋は、背部側、左右前側のそれぞれに上下に分割させて取り付けられている。これにより、吸気時(胸部が拡大する時)に上部側の空気袋内の空気を、下部側の空気袋に移動し、呼気時には、逆に下側空気袋内の空気を、上部空気袋に移動していることで、適切な呼吸換気量を確保することができる。
【特許文献1】特開2003−61994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加齢やその他の原因により、脊柱が後弯および/あるいは側弯する脊柱弯曲症の治療においてもコルセットは用いられる。例えば、人の加齢性変化は、脊柱では椎骨の楔状変形(椎骨の前方が低くなる変形)と脊柱起立筋の筋力低下をもたらす。このため脊柱には後弯変形(円背など)が発生し、背・腰部痛、内蔵圧迫性障害、身体動作障害などの原因となる。
【0005】
脊柱を伸展させる原動力は脊柱起立筋によるが、加齢性脊柱弯曲症では脊柱起立筋の力が著しく低下し、脊柱伸展力が不足している。脊柱伸展力を補助するために、従来は体幹前方より脊柱方向への他動的圧迫力で、必要な矯正・固定力を得るための硬性コルセットが用いられてきた。
【0006】
しかし、硬性コルセットは呼吸や身体活動を束縛すると同時に筋・骨の委縮を招くなどの欠点がある(本文ではこれらの欠点を副障害と呼称する)。硬性コルセットを用いない治療法としては手術療法があるが、高齢者には侵襲が大きい。また、硬性コルセットや手術療法は軽症には侵襲が大き過ぎ、適応とならない。身体への副障害が少なく、軽症から用いることができ、且つ重症に移行するのを防止するのに適した治療法が存在しないのが現状である。
【0007】
本発明はこれらの点に着目し、上記従来の課題を解決すべく創案されたものであって、素材が軟性であっても硬性コルセットに匹敵する脊柱変形矯正力を持ち、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気による胸郭を押し上げる力を産出する効果と、自力による脊柱伸展作用を補助する効果との合併効果で脊柱を伸展させることが可能であり、さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭の押し上げを繰り返すことによって、自力による能動的脊柱伸展運動が繰り返されることができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる脊椎治療用コルセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる脊柱治療用コルセットは、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、上腹部で胸郭正中直下に位置して、該装着布内側に胸郭下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体とを備え、吸気による腹部の拡張が該軟膨縮体を押し上げる力と、該装着布による該軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助することを特徴とする。
【0009】
前記装着布の内側には、前記軟膨縮体の左右両側に、伸展させた脊柱を支持するための一対の支持軟膨縮体が脊柱方向に沿って取り付けられることを特徴とする。
【0010】
前記装着布の内側には、脊柱後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部の拡張に伴う胸郭の押し上げによる脊柱伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる脊柱治療用コルセットは、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、左右それぞれの側腹部に位置して、体幹の長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱を支持する一対の支持軟膨縮体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる脊柱治療用コルセットにあっては、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気によって胸郭を押し上げる力を産生する機能を持ち、自力(能動的背筋収縮)による脊柱伸展作用を補助することで、脊柱伸展を容易にすることができる。さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭の押し上げを繰り返すことによって、自力による脊柱伸展運動を繰り返すことができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第1実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態にかかわる諸項目のうち、体幹A区分と体幹Aにおける軟膨縮体の位置を図1、2、および図13、14に示し、脊柱治療用コルセット1の全体構造を図3、4、5に、部分構造を図6、7、8および図11、12に、脊柱変形矯正機序を図9、10に示す。
【0015】
本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1は基本的には、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B、腹部Dおよび脊柱Cを覆うように巻き付けられる装着布2と、胸郭B’正中直下に位置して、装着布2内側に胸郭B’下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体を備える。軟膨縮体は空気袋3で形成される。吸気による腹部Dの拡張が空気袋3を押し上げる力と、装着布2による空気袋3を押さえる力の合成力が、胸郭B’を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱Cの伸展を補助する作用を持つ。なお、胸郭B’とは、胸椎、肋骨、胸骨に囲まれた骨性構造体である。
【0016】
装着布2の内側には、空気袋3の左右両側に、伸展させた脊柱Cを支持する一対の支持軟膨縮体が脊柱C方向に沿って取り付けられる。支持軟膨縮体は、支持用空気袋4で形成される。
【0017】
装着布2の内側には、脊柱C後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部Dの拡張に伴う胸郭B’の押し上げによる脊柱C伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられる。補助軟膨縮体は、補助用空気袋5a、5bで形成される。
【0018】
以下に、軟膨縮体として空気袋3を用いた場合を解説する。
【0019】
図3に示す脊柱治療用コルセット1には、装着布2の内側に、空気袋3と、一対の支持用空気袋4と、2つの補助用空気袋5a、5bが配設されている。図4は、広げた状態の装着布2の外面図が示され、図5は、広げた状態の装着布2の内面図が示されている。
【0020】
装着布2は、折り曲げ自在な柔軟かつ低伸縮性の生地で形成される。ここで、低伸縮性の生地とは、伸縮性が全くない生地から、例えば、合成繊維やコットンなどで伸縮の少ない織りに仕上げたものなど、伸縮性が少ない生地までを総称したものである。
【0021】
装着布2の巾は、胸部B及び腹部Dの全体(乳房上部から骨盤まで)を覆う程度に形成される。装着布2の長さは、体幹Aに胸部Bおよび脊柱Cを覆うように巻き付けられて、その両端部2a、2bが互いに重ね合わされる程度に形成される。重ね合わされた装着布2の両端部2a、2bには、装着布2を体幹Aに巻き付けた状態で固定する固定部6が取り付けられる。図示例にあっては、固定部6は、装着布2の一端部2aの内面に形成された第1固定部6aと、装着布2の他端部2bの外面に形成される第2固定部6bとから構成されている。具体的には、第1固定部6aは、面ファスナーの雄面または雌面のどちらか一方で形成され、これにかみ合う面ファスナー雌面または雄面によって第2固定部6bが構成される。
【0022】
体幹Aに巻き付けられた装着布2の第1固定部6aと第2固定部6bとを互いに密着させることによって、装着布2は、体幹A周りに着脱自在に固定される。装着布2には、脊柱Cに沿って装着布2の上方を延出させた背当て部8が形成される。
【0023】
装着布2の内側には、両端部2a、2bを残してほぼ全面に、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを取り付けるための取付面7が形成される。図示例にあっては、取付面7は、一枚布の面ファスナーの雄面または雌面が、縫製や接着剤などによって装着布2の内側に接着されて形成される。
【0024】
図6は、空気袋3の斜視図、図7は支持用空気袋4の斜視図、図8は補助用空気袋5a、5bの斜視図である。空気袋3は、中に空気が充填される中空の袋体であって、その外側には、空気を充填するチューブ状の注入口9が配設される。注入口9の先端部には、注入した空気を封止する封止栓10が設けられる。空気袋3は、充填された空気を密閉するべく気密性素材で袋状に形成される。空気袋3は、例えばナイロン生地の内側にウレタン樹脂を塗布して気密加工処理を施し、さらにその外側に、プラスチック材のような硬質な生地素材を重ね合わせるなどして形成される。しかしながら、空気袋3の材質はこれに限られず、どのような材質であってもよい。
【0025】
支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bも空気袋3と同様の材質で、中に空気が充填される中空の袋状に形成される。これら支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bの外側にも、空気袋3と同様のチューブ状の注入口9が配設され、注入口9の先端部には、封止栓10が設けられる。
【0026】
空気袋3の外面には、その長軸方向に沿って、空気袋3を取付面7に取り付けるための取付部11が形成される。取付部11は、取付面7の面ファスナーの雄面または雌面にかみ合う、雌面または雄面が接着されて形成される。取付部11と取付面7を密着させることで、空気袋3が装着布2に着脱自在に取り付けられる。
【0027】
また、支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bの外面にも、その長軸方向に、取付部11が形成される。支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bの取付部11の構成も、空気袋3の取付部11と同様である。
【0028】
図1は、脊柱治療用コルセット1を体幹Aに巻き付けた状態を表す正面図である。図2は、脊柱治療用コルセット1を体幹Aに巻き付けた状態を表す側面図である。
【0029】
装着布2の内側には、胸郭B’正中直下に位置して、棒状の空気袋3が体幹Aの横軸方向に胸郭B’下縁に沿うように取り付けられる。空気袋3は、脊柱を伸展させるために、吸気による腹部Dの拡張に伴って、装着布2に保持されながら、空気袋3が吸気で膨らんだ胸郭B’を押し上げる。具体的には、図示例のように、空気袋3は、装着布2によって体幹Aの腹部Dと胸郭B’との間に当接するように配設される。このため、吸気によって腹部Dが膨張することにより、空気袋3は装着布2の反力を取って腹部Dとともに、胸郭B’を押し上げ、脊柱Cを伸展させる。
【0030】
装着布2の内側には、体幹Aの前面で空気袋3の左右両側に位置して、脊柱Cを支持する一対の支持用空気袋4が体幹Aの長軸方向に沿って取り付けられる。これら支持用空気袋4は、胸上部(乳房高位)から骨盤に亘る長さで形成される。支持用空気袋4は、体幹Aに巻き付けられた装着布2内側に、左右側腹部に当接するように取り付けられる。左右側腹部に支持用空気袋4を取り付けることで、支持用空気袋4は、腹部Dから胸郭B’を支えて、空気袋3による胸郭B’の押し上げを補助するとともに、脊柱Cを矯正位に支える。
【0031】
装着布2の内側には、補助用空気袋5a、5bが取り付けられる。図示例にあっては、補助用空気袋5a、5bは、脊柱C後弯の頂点部eに当接するように、装着布2の背当て部8中央に取り付けられる第1補助用空気袋5a、と脊柱C後弯の終点部f(一般に下位胸椎から上位腰椎部)に当接するように、これに面して装着布2に取り付けられる第2補助用空気袋5bで構成されている。
【0032】
例えば、補助用空気袋5a、5bは、図9のように、脊柱Cが後弯した患者には、後方に突出した頂点部eと、前方に窪んだ後弯終点部fに当接するように取り付けられる。これにより、補助用空気袋5a、5bは、腹部Dの拡張に伴う胸郭B’の押し上げによる後弯矯正を補助し、自力による能動的脊柱起立筋収縮、および呼吸運動に伴う空気袋3を介した脊柱伸展運動に際し、矯正支点として作用する。
【0033】
空気袋3によって胸郭B’が押し上げられることに伴って、補助用空気袋5a、5bも装着布2に反力をとって脊柱Cの頂点部eおよび後弯終点部fを押圧する。これにより胸郭B’の押し上げによる後弯矯正の支点となり、脊柱Cの伸展を補助する。
【0034】
次に、本発明にかかる脊柱治療用コルセット1の作用機序について説明する。脊柱治療用コルセット1は、脊柱変形の治療用コルセットとして、特に加齢による脊柱変形の治療用コルセットとして使用される。装着するに際しては、空気袋3に空気を充填する。そして、装着布2の取付面7に、上腹部で胸郭B’の正中直下に位置するように、空気を充填した空気袋3を取り付ける。支持用空気袋4および補助用空気袋5a、5bについても、装着布2の取付面7に、それぞれ左右側腹部、脊柱後弯頂点部eおよび終点部fに当接するように位置させて取り付ける。そして、体幹Aに装着布2を巻き付け、固定部6で固定する。
【0035】
請求項1に記載の発明にあっては、装着布2に空気袋3を取り付けた状態で、体幹Aに装着される。このため、吸気による腹部Dの拡張により、これと空気袋3とが協働して胸郭B’を押し上げ脊柱Cが伸展・矯正される。そして、呼吸を繰り返すことでで、この脊柱伸展運動が繰り返されることによって、患者は、呼吸筋および背筋などの筋肉を鍛えながら、無理なく変形した脊柱Cの矯正治療を行うことができる。
【0036】
これにより、装着してもほぼ自然な呼吸を維持することができるとともに、吸気によって胸郭B’を押し上げる力を産生する機能を持ち、自力(能動的背筋収縮)による脊柱C伸展作用を補助することで、脊柱C伸展を容易にすることができる。さらに、吸気、呼気を繰り返す呼吸運動で、胸郭B’の押し上げを繰り返すことによって、自力による脊柱C伸展運動を繰り返すことができ、無理なく呼吸筋や背筋などの筋肉を強化することができる。
【0037】
呼吸による胸腔(胸部B)、腹腔(腹部D)の膨張力だけでは、それぞれの腔が独立的存在にあり、脊柱C伸展・後弯矯正の補助効果は少ない。しかし、空気袋3により両者を連結し、腹腔(腹部D)膨張力が空気袋3を介して胸郭B’を押し上げるようにすることで、前方からの脊柱C伸展・矯正力を増強させることが可能となる。また、これらの目的を達成させるための素材は、全て軟性素材で可能である。
【0038】
胸腔(胸部B)、腹腔(腹部D)の二者はその内圧を介して、脊柱Cの前方支持効果と腰椎にかかる体重の部分的バイパス効果を有し、荷重が原因となる脊椎変性による機能障害ならびに疼痛に対する治療・予防効果を持つことが知られている。本発明にあっては、上記二者に加え、空気袋3を用いて胸腔(胸部B)、空気袋3、腹腔(腹部D)の三者の連続体を作れば、これらの効果はさらに高まることが期待される。
【0039】
請求項2に記載の発明にあっては、例えば筋力の弱い患者などに用いられる。この場合、上記の空気袋3に加えて、装着布2に支持用空気袋4を一対取り付けて体幹Aに装着する。伸展した脊柱Cの矯正位を、支持用空気袋4によって維持することができる。これにより、支持用空気袋4は、前傾した患者の側腹部を支え、患者は、脊柱Cが伸展した状態を維持しながら、より軽い力でスムーズに呼吸による胸郭B’の押し上げ運動を行うことができ、ひいては軽い力で脊柱Cの曲げ伸ばし運動ができることとなる。
【0040】
また、呼気により胸郭B’および腹部Dの容積の縮小が生じても、前正中支持の空気袋3、および、前側方支持の支持用空気袋4によって、矯正された脊柱C弯曲が元に戻らないようにすることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明にあっては、自力による矯正効果をさらに高めたい場合などに用いられる。この場合、空気袋3、若しくは空気袋3および支持用空気袋4に加えて、空気袋3による胸郭B’押し上げ運動の補助として、補助用空気袋5a、5bが装着布2に取り付けられる。これにより、吸気にともない空気袋3が胸郭B’を押し上げることに加え、補助用空気袋5a、5bが脊柱C後弯の頂点部eや終点部fを押圧し、脊柱Cを伸展させる際の支点としての機能を果たし、より効果的な脊柱Cの伸展が可能となる。なお、ここでいう、頂点部eや終点部fの位置は固定的なものではなく、患者の症状によって適宜変位するものである。
【0042】
本実施形態では、第1補助用空気袋5aは脊柱C後弯の頂点部eに、第2補助用空気袋5bは脊柱C後弯の終点部fにそれぞれ当接するように取り付けられている。しかしながら、これらの取付位置および数は、患者の症状にあわせて適宜変更されるものである。
【0043】
例えば、図10に示すように、脊柱Cが側方に弯曲した患者などには、装着布2の内側に、側腹部の側方に突出した頂点部gに当接する位置に、第1補助用空気袋5a’、および、側弯終点部hに当接する位置に、第2補助用空気袋5b’が取り付けるようにする。
【0044】
さらに、例えば脊柱C後弯変形に加えて脊柱C側弯変形が存在する場合には、後弯頂点部e、および後弯終点部f位置に、補助用空気袋5aおよび5bを取り付けたうえで、側腹部の側弯頂点部gおよび側弯終点部hの位置に、側弯変形治療用の第1補助用空気袋5a’および5b’を装着布2の内面に取り付けるようにする。側弯頂点部gおよび側弯終点部hに当てたこれらの補助用空気袋5a’、5b’は側弯矯正支点として作用する。側弯終点部hに当てた補助用空気袋5b’は、この他に、胸郭B’押し上げ効果および側弯凸側にかかる体重を骨盤にバイパスする効果を有する。この体重バイパスは腰痛軽減に役立つ。
【0045】
本実施形態にあっては、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bの膨縮度および剛性度は、これらに注入する空気の量を適宜に変更することで患者自身が調整することができる。これにより空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5b自体を変えずに、進行度や症状にあわせた脊柱C矯正が可能となる。
【0046】
本実施形態では、固定部6a、6bは面ファスナーで構成されていた。しかしながら、固定部6a、6bは、面ファスナーで構成されなくても良く、例えば、装着布2の両端部2a、2bに取り付けられたバンドおよびバックルで構成され、これらバンドおよびバックルを締め付けることにより固定してもよい。
【0047】
本実施形態では、取付面7は、一枚布の面ファスナーで構成されていたが、例えばテープ状の面ファスナーを、取付面7に適宜間隔をおいて、縦或いは横方向に接着するなどしても良い。また、装着布2にポケットを配設し、空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5b(5a’、5b’)を、ポケットの中に挿入して取り付けるような形態としてもよい。
【0048】
本実施形態では、装着布2に背当て部8を形成したが、背当て部8を形成しない腹巻形状にしてもよい。また、装着布2は、一枚の布で形成されていたが、これに限らず複数枚の布を繋ぎあわせて形成しても良い。
【0049】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第1変形例を説明する。当該変形例では、図11に示すように、装着布2は、折り曲げ自在な柔軟かつ低伸縮性のメッシュ生地で形成される。これにより、通気性に優れ長時間の使用においてもムレずに肌への負担を少なくできる。
【0050】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第2変形例を説明する。当該変形例では、図12に示されるサスペンダー12が、装着布2に着脱自在に取り付けられる。サスペンダー12の4つの端部には、第1係合部13が形成される。図示例にあっては、第1係合部13は、面ファスナーの雄型または雌型で構成される。他方、装着布2の外面には、背当て部8の下部から下方に向かって第2係合部14が形成される。第2係合部14は、第1係合部13の面ファスナーにかみ合う面ファスナーで構成される。また、装着布2には、装着布2を巻き付けた状態で側腹部に位置して、一対の第3係合部15が形成される。第3係合部15は、装着布2の上端から延設させてそれぞれ形成される。第3係合部15は、その外面に第1係合部13の面ファスナーにかみ合う面ファスナーで形成される。第2係合部14、第3係合部15に第1係合部13を密着させることによって、サスペンダー12が装着布2に取り付けられる。
【0051】
また、装着布2をサスペンダー12で吊す形態の他に、図示はしないが、装着布2自体をTシャツ型、シャツ型、もしくはベスト型に形成し、この内側に空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを取り付けるようにしても良い。
【0052】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第3変形例を説明する。当該変形例では、図13に示されるように、装着布2は、胸郭B’正中直下を覆い、且つ上下方向の長さの短い、細長のベルト状に形成される。脊柱C矯正治療に対し、患者が空気袋3のみが必要な場合などに用いられる。
【0053】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第4変形例を説明する。当該変形例は、装着布2を2枚構造にしたものである。図14に示すように、装着布2はベスト型に形成される。具体的には、装着布2は内部装着布21と、内部装着布21の上に重ね合わせて着用する外部装着布22とで構成される。内部装着布21および外部装着布22には、それぞれ固定部6a、6bが形成される。
【0054】
空気袋3は、内部装着布21と外部装着布22との間に配設される。具体的には、内部装着布21の外面には、着脱自在に取り付ける取付面7が形成されており、空気袋3は、これに形成された取付部11を介して取付面7に取り付けられる。取付面7は、固定部6を残した全面に形成されるか、若しくは、縦方向および横方向に適宜間隔をおいて形成されるなど様々な形状に形成される。取付面7は、面ファスナーの雄面または雌面が、縫製や接着剤などによって、装着布2の内側に接着されて形成される。空気3、取付面7に取り付けるほかに、ポケットを内部装着布21の外側に配設して、この内部に挿入するによって取り付けてもよい。
【0055】
また、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bについても、上記空気袋3と同様に、内部装着布21と外部装着布22との間に配設される。
【0056】
外部装着布22は、内部装着布21の取付面7に取り付けられた空気袋3、支持用空気袋4、補助用空気袋5a、5bを、内部装着布21の取付位置に保持するために形成される。
【0057】
本変形例は、装着布2が2枚構造であるため、脊柱治療用コルセット1の装着時には、内部装着布21の外側に空気袋3、若しくは支持用空気袋4、補助用空気袋5を取り付け、その上に、外部装着布22を着用すればよい。このため、これらの取付作業および取り外し作業が簡易になり、装着時の患者の負担を軽減することができる。
【0058】
次に、本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第5変形例を説明する。本変形例では、装着布2の内側には、空気袋3とともに、発熱袋若しくは冷却袋が取り付けられる(図示しない)。具体的には、発熱袋若しくは冷却袋には、取付部11が形成される。発熱袋若しくは冷却袋は、その取付部11を介して取付面7に取り付けられて装着布2に配設される。このほかに、装着布2の内側にポケットを形成し、その内部に発熱袋若しくは冷却袋を挿入させて取り付けても良い。発熱袋は、携帯用カイロや保熱剤を充填した袋で形成される。また、冷却袋は、冷却剤を充填した袋で形成される。発熱袋および冷却袋は、患者の快適のために装着布2の適宜位置に取り付けられる。
【0059】
次に本実施形態にかかる脊柱治療用コルセット1の第2実施形態を説明する。本実施形態では、図14に示されるように、柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹Aに、胸部B・腹部Dおよび脊柱C周辺を覆うように巻き付けられる装着布2と、左右それぞれの側腹部に位置して、体幹Aの長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱Cを支持する支持用空気袋4とを備える。 以下、第1実施形態との差異のみを説明する。
【0060】
第2実施形態にあっては、装着布2の内側には、支持用空気袋4のみが配設されている。配設位置は、上記第1実施形態と同様である。これにより、弯曲した脊柱Cを矯正位で維持することが可能となる。
【0061】
本発明にあっては、空気袋3を利用した、胸郭B’押し上げによる背筋などの筋力増加を必要とせず、伸展した脊柱Cの支持のみが必要な患者に用いられる。これにより、患者の症状にあわせて様々な使い分けが可能となる。なお、本実施形態にあっても、患者の快適のために、発熱袋若しくは冷却袋は、装着布2の適宜位置に着脱自在に取付可能である。
【0062】
第1および第2実施形態にあっては、軟膨縮体は空気袋3形成されていた。しかしながら、軟膨縮体は、空気袋3に限られず、患者自身がその膨縮を調整でき、適宜な剛性を保持できる素材であればこれに限られない。また、これと同様に、支持膨縮体および補助膨縮体についても、支持用空気袋4および補助用空気袋5には限られない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明にかかる脊柱治療用コルセットが装着される、身体区分および空気袋、支持用空気袋の位置を示す正面図である。
【図2】本発明にかかる脊柱治療用コルセットが装着される、身体区分および空気袋、支持用空気袋、補助用空気袋の位置を示す側面図である。
【図3】本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第1実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の脊柱治療用コルセットの装着布を広げた状態を示す外面図である。
【図5】図3の脊柱治療用コルセットの装着布を広げた状態を示す内面図である。
【図6】図3の脊柱治療用コルセットの空気袋を示す斜視図である。
【図7】図3の脊柱治療用コルセットの支持用空気袋を示す斜視図である。
【図8】図3の脊柱治療用コルセットの補助用空気袋を示す斜視図である。
【図9】図3の脊柱治療用コルセットを装着した状態を示す側面図である。
【図10】図3の脊柱治療用コルセットで、補助用空気袋を体側方に配置したときの作用を示す正面図である。
【図11】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第1変形例の装着布を示す斜視図である。
【図12】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第2変形例に用いるサスペンダーを示す斜視図である。
【図13】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第3変形例を体幹に装着した状態を示す正面図である。
【図14】第1実施形態にかかる脊柱治療用コルセットの第4変形例を体幹に装着した状態を示す正面図である。
【図15】本発明にかかる脊柱治療用コルセットの第2実施形態を示す体幹に装着した正面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 脊柱治療用コルセット
2 装着布
3 空気袋
4 支持用空気袋
5a 第1補助用空気袋
5b 第2補助用空気袋
A 体幹
B 胸部
B’ 胸郭
C 脊柱
D 腹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、
上腹部で胸郭正中直下に位置して、該装着布内側に胸郭下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体とを備え、
吸気による腹部の拡張が該軟膨縮体を押し上げる力と、該装着布による軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助することを特徴とする脊柱治療用コルセット。
【請求項2】
前記装着布の内側には、前記軟膨縮体の左右両側に、伸展させた脊柱を支持するための一対の支持軟膨縮体が脊柱方向に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の脊柱治療用コルセット。
【請求項3】
前記装着布の内側には、脊柱後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部の拡張に伴う胸郭の押し上げによる脊柱伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の脊柱治療用コルセット。
【請求項4】
柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、
左右それぞれの側腹部に位置して、体幹の長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱を支持する一対の支持軟膨縮体とを備えることを特徴とする脊柱治療用コルセット。
【請求項1】
柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、
上腹部で胸郭正中直下に位置して、該装着布内側に胸郭下縁に沿って取り付けられる軟膨縮体とを備え、
吸気による腹部の拡張が該軟膨縮体を押し上げる力と、該装着布による軟膨縮体を押さえる力の合成力が、胸郭を押し上げる方向の力を生むことにより、脊柱の伸展を補助することを特徴とする脊柱治療用コルセット。
【請求項2】
前記装着布の内側には、前記軟膨縮体の左右両側に、伸展させた脊柱を支持するための一対の支持軟膨縮体が脊柱方向に沿って取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の脊柱治療用コルセット。
【請求項3】
前記装着布の内側には、脊柱後面の正中周辺に位置して、吸気による腹部の拡張に伴う胸郭の押し上げによる脊柱伸展を補助する補助軟膨縮体が取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の脊柱治療用コルセット。
【請求項4】
柔軟かつ低伸縮な素材で形成され、身体の体幹に、胸・腹部および脊柱周辺を覆うように巻き付けられる装着布と、
左右それぞれの側腹部に位置して、体幹の長軸方向に沿って取り付けられることで脊柱を支持する一対の支持軟膨縮体とを備えることを特徴とする脊柱治療用コルセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−196(P2010−196A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160682(P2008−160682)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508185845)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(508185845)
【Fターム(参考)】
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