説明

脊椎変形を整復するための器具と方法

【解決手段】複数の細長い整列要素(20)と、整列要素(20)に係合されている第1及び第2整復要素(22、24)とを含んでいる、脊椎変形を整復するための器具と方法が提供されている。整列要素(20)のそれぞれは、概ね長手方向軸(L)に沿って伸張しており、対応する椎骨(V)に連結されるようになっている近位部分(20a)と、遠位部分(20b)とを含んでいる。第1整復要素(22)は、第1横断軸(T)に沿って伸張しており、整列要素(20)の遠位部分(20b)と係合して、遠位部分(20b)を第1横断軸(T)に沿って概ね整列させて維持する。第2整復要素(24)は、第2横断軸(T)に沿って伸張しており、整列要素(20)と可動的に係合され、第2整復要素(24)を近位方向に動かすと、近位部分(20a)が第2横断軸(T)に沿って概ね整列状態に配置され、これにより脊椎変形が整復される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には脊柱の治療に関し、より具体的には、限定するものではないが脊柱側弯症を含む脊椎の変形を整復するための器具と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱の正常な解剖学的構造は、3つの空間平面に沿って異なる整列と回転特性を呈する。前頭(又は前額)面では、椎骨は正常に整列しており回転は見られない。横(又は軸方向)面では、椎骨は同じく正常に整列しているが中立的な回転が見られる。矢状面では、椎骨に、脊椎の生理学的な湾曲、即ち、頚部脊柱前弯、背側又は胸部脊柱後弯、及び腰部脊柱前弯、を形成する或る程度の回転と並進運動が見られる。
【0003】
様々な病因の脊椎変形がよく知られている。その様な変形には、例えば、脊柱側弯症、脊柱後弯症、及び/又は脊椎の正常な整列が変えられる他の異常湾曲の様な異常脊椎湾曲が挙げられる。脊柱側弯症の変形に特定すると、脊柱の異常湾曲は3次元的である。具体的には、脊柱側弯症は、前頭面、横断面、及び矢状面のそれぞれの面内での椎骨の異常並進運動及び/又は回転に分けることができる。従って、脊柱側弯症の治療は、それら3つの空間平面それぞれにおける異常な湾曲の整復に対処することを目指すのが望ましい。
【0004】
異常な脊椎湾曲を整復するのに、数多くの方法と技法が使用されている。それら技法の殆どは、脊椎の後部要素に対する錨着装置(例えばクリップやワイヤ)を基本としている。その様な技法は、変形部の並進運動の様相を整復しても、回転の様相に対する効果は殆ど或いは全くない。
【0005】
また、脊柱側弯症の治療には椎弓根スクリューが使用されており、これにより脊柱の回転補正の可能性を高める。しかしながら、椎弓根スクリューを使用して脊柱側弯症を治療するという技法は、基本的には、脊椎ロッドをスクリューに係合させた後でロッドを曲げ又は回転させるか、又は椎弓根スクリューをロッドに強制的に係合させか、の何れかによって脊柱を整列させる並進運動に基づいている。他の整復技法は、椎弓根スクリューを介して回転補正を提供しようというものであるが、その様な回転補正は、脊椎ロッドを椎弓根スクリューと個別的且つ連続的に係合させるように設置した後に実施されるのが普通である。また、椎弓根スクリューを脊柱側弯症の脊椎に錨着させるときには、スクリューは脊椎の湾曲に追従し、椎骨回転によっては横断面内で傾斜する傾向があるため、脊椎ロッドの設置が複雑化する。
【特許文献1】米国特許第6,783,527号明細書
【特許文献2】米国特許第5,643、263号明細書
【特許文献3】米国特許第5,947、967号明細書
【特許文献4】米国特許第5,797,911号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
整復技法を介して、変形部の、全3つの空間面に沿った整列の様相と回転の様相の両方に対処する、脊椎変形の治療法であれば望ましい。而して、脊椎変形を整復するための改良された器具と方法が今だに必要とされている。本発明は、この必要性を満たすと共に、新規且つ明白ではないやり方で他の有益性と有利性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、概括的には脊柱の治療に関し、更に具体的には、限定するものではないが脊柱側弯症を含む脊椎の変形を整復するための器具と方法に関する。ここで対象となっている発明の実際の性質は、ここに添付している特許請求の範囲を参照することによってしか判断できないが、ここで開示している好適な実施形態の特徴である本発明の或る特定の形態を以下に簡単に説明する。
【0008】
本発明の1つの形態では、複数の細長い要素と、第1整復要素と、第2整復要素とを含んでいる、脊椎変形を整復するための器具が提供されている。細長い要素のそれぞれは、概ね長手方向軸に沿って伸張しており、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでいる。第1整復要素は、第1横断軸に沿って伸張しており、細長い要素の遠位部分と係合し、遠位部分は第1横断軸に対して概ね整列した状態に維持される。第2整復要素は、第2横断軸に沿って伸張しており、細長い要素と可動的に係合され、第2整復要素を細長い要素に沿って近位方向に移動させると、近位部分が第2横断軸に対して概ね整列した状態に配置され、脊椎変形が整復される。
【0009】
本発明の別の形態では、複数の細長い要素と、第1整復要素と、第2整復要素とを含んでいる、脊椎変形を整復するための器具が提供されている。細長い要素のそれぞれは、概ね長手方向軸に沿って伸張しており、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでいる。第1整復要素は、細長い要素の遠位部分と係合し、遠位部分を第1整復要素に対して実質的に固定された関係に維持する。第2整復要素は、細長い要素と可動的に係合され、第2整復要素を近位方向に移動させると、細長い要素の近位部分が相対運動をして、脊椎変形を整復する。
【0010】
本発明の別の形態では、複数の細長い要素と、第1整復要素と、第2整復要素とを含んでいる、脊椎変形を整復するための器具が提供されている。細長い要素のそれぞれは、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでおり、細長い要素のそれぞれは、近位部分と遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定している。第1整復要素は、細長い要素と係合して、遠位部分を第1整復要素に沿って概ね整列した状態に維持する。第2整復要素は、細長い要素によって画定されているスロット内に配置され、スロットの長さに沿って近位方向に移動させると、細長い要素の近位部分が第2整復要素に沿って概ね整列して、脊椎変形を整復する。
【0011】
本発明の別の形態では、複数の細長い要素を含んでいる、脊椎変形を整復するための器具が提供されており、細長い要素のそれぞれは、概ね長手方向軸に沿って伸張しており、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでいる。この器具は、細長い要素のそれぞれを対応する椎骨に連結するための手段と、細長い要素の遠位部分を概ね第1横断軸に沿って整列した状態に維持するための手段と、近位部分を概ね第2横断軸に沿って整列させて、脊椎変形を整復するための手段を更に含んでいる。
【0012】
本発明の別の形態では、脊椎変形を整復するための方法が提供されており、この方法は、それぞれが長手方向軸に沿って伸張しており且つ近位部分と遠位部分を含んでいる複数の細長い要素を提供する段階と、第1及び第2整復要素を提供する段階と、細長い要素の近位部分を各椎骨に連結する段階と、第1整復要素を細長い要素と係合させて、細長い要素の遠位部分を第1整復要素に対して概ね整列した状態に維持する段階と、第2整復要素を細長い要素と係合させる段階と、第2整復要素を近位方向に移動させ、細長い要素の近位部分を第2整復要素に対して概ね整列させて、脊椎変形を整復する段階を含んでいる。
【0013】
本発明の別の形態では、脊椎変形を整復するための方法が提供されており、この方法は、それぞれが長手方向軸に沿って伸張しており且つ近位部分と遠位部分を含んでいる複数の細長い要素を提供する段階と、細長い要素の近位部分を各椎骨に連結する段階と、細長い要素の遠位部分を概ね第1横断軸に沿って整列させる段階と、遠位部分の整列を維持しながら細長い要素の近位部分を概ね第2横断軸方向に沿って整列させて、脊椎変形を整復する段階を含んでいる。
【0014】
本発明の1つの目的は、脊椎変形を整復するための器具と方法を提供することである。本発明のこの他の目的、特徴、有利性、有益性、及び態様は、ここに包含されている図面並びに説明から明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の原理の理解を促すために、これより図に示している各実施形態を参照してゆくが、説明に際して特定の言語を使用する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定することを意図してはおらず、図示している装置に対する変更や更なる修正、及び/又はここに示す本発明の原理のこの他の応用は、本発明が関連する分野の当業者であれば普通に想起されるものと考えている旨理解されたい。
【0016】
図1及び図2は、多数の椎骨Vを含んでいる脊柱側弯症の脊椎を示している。脊柱側弯症の脊椎では、椎骨Vの正常な位置と整列が、異常な椎骨回転(矢印Rにより図示)と異常な椎骨並進運動(矢印Tにより図示)のために変えられている。その結果、正常なら共通面P(即ち矢状面)内に位置しているはずの椎骨Vの前後軸A−Pは、同一面上にない(即ち、複数の面に沿って伸張している)。加えて、脊柱側弯症の脊椎では、胸椎は通常は前弯性であり、その結果、胸椎の前後軸A−Pは、正常な脊椎の解剖学的構造の生理学的な発散よりも小さい異常な発散を呈している。
【0017】
図3は、脊柱の治療に、より具体的には脊椎変形の整復に使用するための、本発明の1つの形態による器具10を示している。以下に論じるように、1つの実施形態では、器具10は、例えば脊柱側弯症の様な脊柱の異常な湾曲を治療するのに使用される。しかしながら、本発明は、後弯性変形及び他の異常な脊椎湾曲を含めて、他の脊椎変形を治療するのにも使用できるものと理解頂きたい。
【0018】
本発明の1つの形態では、器具10は、椎骨Vを、1つ又は複数の空間面に沿ってその正常な生理学的位置と方向に向けて再配置し及び/又は再整列するように作られている。好適にも、脊柱変形は、脊椎の全3つの空間面で系統的に整復されるので、外科処置時間が短縮され、改良された結果が得られる。本発明は、脊柱の治療、より具体的には脊柱側弯症又は脊柱後弯症の様な異常な脊椎湾曲を整復すること、に関連付けて図示し説明しているが、本発明は、他の解剖学的構造の治療に使用することも、他の脊椎変形又は異常を治療するのに使用することもできるものと理解頂きたい。1つの実施形態では、器具10は、後方外科的進入法により脊椎変形の3次元的整復を提供するのに使用されている。しかしながら、器具10は、側方進入法、前方進入法、後側方進入法、前側方進入法、又はその他あらゆる外科的進入法を含めて、他の外科的進入法を介して使用することができるものと理解頂きたい。また、図3には、脊椎湾曲の凸部分を整復する場合の器具10の使用を示しているが、器具10は、脊椎湾曲の凹部分の整復にも、又は脊椎側弯症の治療に関して典型的な症例である脊椎湾曲の凸部分と凹部分の両方の整復にも使用できるものと理解頂きたい。
【0019】
本発明の図示の実施形態では、器具10は、概括的には、複数の椎骨に連結させることができるようになっている複数の細長い整列要素又はエキステンダー20と、整列要素20の間を伸張しておりそれらに係合されている第1の細長い整復要素又はロッド22と、整列要素20の間を伸張しておりそれらに係合されている第2の細長い整復要素又はロッド24と、隣接する対を成す整列要素20の間に連結されている、選択された長さの複数のスペーサ要素26と、複数の整列要素20に連結され、椎骨Vに隣接して配置されている複数のブロック要素28とを含んでいる。下で論じるが、細長い整列要素20は、例えば骨スクリュー(図17から図19)の様な複数の骨アンカー要素30を介して、対応する椎骨Vに連結される。器具10の要素は、それぞれ、例えばステンレス鋼又はチタンの様な生体適合性材料で形成されている。しかしながら、例えば、チタン合金、クロム−コバルトの様な金属の合金、PEEKの様なポリマーを基材とした材料、複合材料、又は当業者の想起するその他の適した材料を含め、他の材料も考えられる。器具10に関係付けられた要素それぞれの構造と機能について更なる詳細を下で述べる。
【0020】
細長い整列要素20は、それぞれ概ね長手方向軸Lに沿って伸張しており、対応する椎骨Vに連結させることができるようになっている近位部分20aと、反対側の遠位部分20bを含んでいる。ここで用いる「近位部分」という用語は、整列要素20の脊柱に向けて伸張している部分を意味し、整列要素の全体長さの半分又はそれ以上を包含している。同様に、「遠位部分」という用語は、整列要素20の脊柱から遠ざかる方向に伸張している部分を意味し、これは同じく整列要素の全体長さの半分又はそれ以上を包含している。従って、「近位部分」という用語は整列要素の近位端部分に限定されず、「遠位部分」という用語は同じく整列要素の遠位端部分に限定されないものと理解頂きたい。また、整列要素20がそれに沿って伸張している長手方向軸Lは、直線形状を有するとして示しているが、1つ又は複数の長手方向軸Lは、湾曲形状、曲線形状、角度付形状、多角形状、又は他の適した形状を有していてもよいものと理解頂きたい。更に、器具10の図示の実施形態は、6つの整列要素20を含んでいるが、器具10はどの様な数の整列要素20を含んでいてもよいものと理解頂きたい。
【0021】
第1の細長い整復ロッド22は、概ね第1横断軸Tに沿って伸張し、整列要素20と係合しており、第2の細長い整復ロッド24は、概ね第2横断軸Tに沿って伸張し、同じく整列要素20と係合している。下で論じるが、第1整復ロッド22は、整列要素20の遠位部分20bと係合して、遠位部分20bを第1横断軸Tに沿って概ね整列した状態に維持する。第2整復ロッド24は、整列要素20に沿って近位方向に、遠位部分20bに隣接する位置から近位部分20aに向けて軸方向に動かされ、その結果、近位部分20aは第2横断軸Tに沿って概ね整列して配置されることになる。整列要素20は、骨アンカー30を介して椎骨Vに作用して、椎骨Vの並進運動と回転運動の両方により脊椎変形を整復するが、その際、椎骨Vの前後軸A−Pは、異常又は同一面上にない状態(図2及び図20)から、椎骨Vの前後軸A−Pが実質的に矢状面の様な共通平面P内に位置する矯正された又は同一面上にある状態(図25)に移行する。
【0022】
図4から図6は、本発明の1つの実施形態による細長い整列要素20を示している。上で示したように、整列要素20のそれぞれは、概ね長手方向軸Lに沿って伸張しており、近位部分20aと遠位部分20bを含んでいる。下で説明するが、整列要素20は、椎骨にしっかりと錨着されている骨アンカーに解除可能に連結できるように作られている。骨アンカーに連結されたとき、整列要素20の相当部分は患者の身体の外部に伸張しているので、骨アンカーの伸張部として働くことができるが、その目的については下で述べる。
【0023】
図示の実施形態では、整列要素20は、中空の内部又は軸方向通路52を取り囲み、概ね円形断面を画定している、外壁50を含んでいる概ね円筒形又は管状の構造を有している。しかしながら、中実のロッド様構造、楕円又は長円形状、矩形状、ダイヤモンド形状、多角形状、又は何らかの他の適した形状又は構造を含め、整列要素20の他の形状及び構成も本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。図示の実施形態では、整列要素20は、横断方向に貫通して伸張しており、近位部分20aと遠位部分20bの間を概ね長手方向軸Lに沿って伸張しているスロット長さlを有している、スロット54を更に含んでいる。スロット54は、望ましくは整復ロッド22と24の外側断面寸法に等しいかそれより僅か小さい幅Wを有している。スロット54は、特定の寸法及び構造を有するものとして示し説明しているが、スロット54の他の寸法及び構造も本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。
【0024】
更に、整列要素20の近位部分20aは、雌ねじ58を画定する軸方向通路56を画定している。雌ねじ58は、骨アンカーの対応する部分に、又は1つ又は複数の骨アンカーに連結されている要素に螺合させて、整列要素20を1つ又は複数の骨アンカーに、そして椎骨に解除可能に連結することができるようになっている。或る特定の実施形態では、雌ねじ58は、例えば椎弓根スクリューと共に使用される外側にねじが切られたナットの様な、骨スクリューに関係付けられたねじの切られた突出部と係合する。1つのこのような実施形態として、カリフォルニア州アーヴィンのInterpore Cross Internationalにより製造されているSynergyTM Spinal Systemがある。しかしながら、整列要素20を骨アンカーに解除可能に連結するための他の構造と技法も考えられるものと理解頂きたい。また、整列要素20は、他の型式の骨アンカー及び他の構成の骨スクリューと連結できるように改造してもよいものと理解頂きたい。更に、整列要素20を椎骨Vに直接係合させることも、本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。
【0025】
下で更に詳しく論じるが、整列要素20の軸方向スロット54は、第1整復ロッド22を遠位部分20bに隣接して受け入れ、整列要素20の遠位部分20bを概ね第1横断軸Tに沿って整列させ、遠位部分20bを概ね第1横断軸Tに沿って整列した状態に維持することができる大きさに作られそのように構成されている。図示の実施形態では、第1整復ロッド22は、整復ロッド22を軸方向スロット54の中に配置することにより、各整列要素と係合される。しかしながら、他の実施形態では、第1整復ロッド22は、整列要素20の遠位部分20bを貫通して伸張している別の開口部又は通路内に配置される。又別の実施形態では、第1整復ロッド22は、例えば、整列要素20の遠位部分20bを受け入れるための開口部を整復ロッド22の長さに沿って形成することにより、又は整列要素20と整復ロッドの間に複数のコネクタ又はカプラ機構を設けることにより、又は整復要素22を整列要素20に係合させて、遠位部分20bを概ね横断軸Tに沿って整列させ整列状態に維持するための適した他の構造及び技法により、など他の接続技法によって各整列要素20と係合させている。
【0026】
整列要素20の軸方向スロット54は、更に、第2整復ロッド24を、スロット54を通って近位方向に、遠位部分20bに隣接する位置から近位部分20aに向けて軸方向に移動させることのできる大きさに作られそのように構成されている。下で詳しく論じるが、第2整復ロッド24を、整列要素20のスロット54に通して係合状態で滑らせると、整列要素20の近位部分20aは、第2横断軸Tに沿って互いに概ね整列した状態になる。
【0027】
図示の実施形態では、第2整復ロッド24は、整列要素20のそれぞれと滑動可能に係合しており、スロット54を通して整復ロッド24を軸方向に移動できるようになっている。しかしながら、他の実施形態では、第2整復ロッド24は、例えば、整列要素20を受け入れるための開口部を整復ロッド24の長さに沿って形成することにより、及び整列要素20の外表面に沿って整復ロッド24を滑動可能に係合させることにより、などの様な他の接続技法により、整列要素20と係合されている。別の実施形態では、第2整復ロッド24は、複数のリング又はカラーを介して、又は整列要素20の外表面に沿って滑らせる他の型式のコネクタ又はカプラ機構により、整列要素20に連結されている。整復ロッド24を整列要素20に沿って滑動可能に係合させ、近位部分20aを概ね横断軸Tに沿って整列させるのに適した他の装置及び技法も、本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。
【0028】
図7から図9は、本発明の別の実施形態による細長い整列要素20’を示している。整列要素20’は、上で示し説明した整列要素20と同様に構成されており、即ち、概ね長手方向軸Lに沿って伸張しており、近位部分20a’と遠位部分20b’を含んでおり、中空の内部又は軸方向通路52’を取り囲む外壁50’を含んでいる概ね筒状の構造を有している。整列要素20’は、同じく、貫通して横方向に伸長しておりスロット長さlとスロット幅wを有するスロット54’を含んでいる。軸方向スロット54’は、整列要素20に関して上で説明したのと同様のやり方で、第1及び第2整復ロッド22、24を受け入れることができる大きさに作られそのように構成されている。
【0029】
しかしながら、軸方向通路56に沿って伸張する雌ねじ58を画定している整列要素20とは違い、整列要素20’の遠位部分20b’は、雄ねじ58’を画定している軸方向ステム又は突出部56’を画定しており、軸方向ステム56’は閉じた遠位端壁59’から伸張している。雄ねじ58’は、骨アンカーの対応する部分と、又は1つ又は複数の骨アンカーに連結されている要素と螺合し、整列要素20’を1つ又は複数の骨アンカーに、そして椎骨に、解除可能に連結することができるようになっている。或る特定の実施形態では、外側にねじが切られたステム56’は、例えば椎弓根スクリューの頭部内の様な、骨スクリューに設けられたねじの切られた通路内に係合される。1つのこのような椎弓根スクリューの実施形態は、テネシー州メンフィスのMedtronic Sofamor Danekにより製造されているCD-Horizon(R)LegacyTM Spinal Systemと共に用いられている。しかしながら、器具10に関係付けて他の型式及び構造の骨アンカー及び骨スクリューを使用することも、本発明の範囲に包含されると考えられる。整列要素20、20’に設けられた雌ねじ又は雄ねじ58、58’は、器具10に関係付けて使用される様々な型式の骨アンカー又は骨スクリューと螺合するように改造できるものと理解頂きたい。
【0030】
本発明の他の実施形態では、整列要素は、整列要素の一方の端に第1の型式の接続機構が設けられ、整列要素の反対側の端に第2の型式の接続機構が設けられて、器具10の汎用性が高められている。例えば、1つの実施形態では、整列要素の一方の端には、整列要素20に関して上で示し説明したのと同様の内部にねじが切られた通路が設けられ、反対側の端には、整列要素20’に関して上で示し説明したのと同様の外側にねじが切られたステムが設けられている。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、整列要素20、20’は、外径が約15mm、内径が約12mm、全長が約180mmから210mmの間にある。また、整列要素20、20’を貫通して伸張する軸方向スロット54、54’は、スロット幅wが約6.5mm、スロット長さlが約160mmから180mmの間にあるので、閉じたスロット54、54’の各端の壁の長さとして約10mmが残されている。しかしながら、整列要素20、20’に関わる構造及び造形のこの他の寸法も、本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。また、本発明の1つの実施形態では、器具10に関係付けて使用される整列要素20、20’のそれぞれは、全長が実質的に同一である。しかしながら、他の実施形態では、各整列要素20、20’は、全長が異なっている。
【0032】
図10に示すように、本発明の1つの実施形態では、第1及び第2整復ロッド22と24は、それぞれ、一対の実質的に平坦な側面60a、60bと、実質的に平坦な下面60cと、丸くなった又は半円形の上面60dを有する概ね矩形の外側輪郭を画定している、実質的に中実ロッドとして構成されている。しかしながら、整復ロッド22と24は、他の形状及び構成を採ってもよいと理解頂きたい。例えば、整復ロッド22と24は、必ずしも概ね矩形の外側輪郭を有している必要はなく、代わりに、円形状、楕円又は長円形状、ダイヤモンド形状、多角形状、不規則な又はその他の適した形状又は構造を有していてもよい。
【0033】
また、整復ロッド22と24は、必ずしも中実である必要はなく、中空の内部を画定する管状構造を有していてもよい。1つの実施形態では、整復ロッド22と24は、整列要素20、20’のスロット54、54’の幅wとの余裕が比較的小さい寸法に設定され、なお且つ整復ロッド22、24をスロット54、54’の中に及びそれらを通して動かすことができるように設定されたロッド幅wを画定している。或る特定の実施形態では、第1及び第2整復ロッド22、24は、それぞれ幅wが約6.5mmである。しかしながら、この他の寸法も、本発明の範囲に包含されるものと考えられる。更に、整復ロッド22、24が沿って伸張している横断軸T、Tは、直線形状を有するものとして図示しているが、横断軸T、Tの一方又は両方は、湾曲形状、曲線形状、角度付形状、多角形状、又は何らかの他の適した形状を有していてもよいものと理解頂きたい。例えば、本発明の代わりの実施形態では、整復ロッド22と24の一方又は両方は、異常な脊椎湾曲の異なる角度矯正を実現するために事前に決められた曲率が設けられている。また、整復ロッド22と24の一方又は両方に事前に決められた曲率を設けるのは、比較的剛い異常脊椎湾曲の限定的又は部分的整復を実現する場合に有益である。更に、第1及び第2整復要素22と24は、ロッドとして図示し説明しているが、例えば、プレート、チューブ、ケーブル、又は整列要素20、20’と係合させるのに適した何らかの他の細長い構造の様な他の構成の第1及び第2整復要素22と24も考えられる。
【0034】
図11及び図12は、本発明の1つの実施形態によるスペーサ要素26を示している。図示の実施形態では、スペーサ要素26は、長手方向軸Lに沿って伸張しており、概ね円形の外側断面を画定し、中空の内部又は軸方向通路64を取り囲む外壁62を含んでいる概ね円筒形又は管状の構造を有している。スペーサ要素26は、スペーサ要素26の全長lに沿って伸張し且つ外壁62の外表面と軸方向通路64との間を連通しているスロット66も画定している。スロット66は、整復ロッド22を軸方向通路64の中に横方向に受け入れるための開口端を画定しており、スロット66及び/又は軸方向通路64は、整復ロッド22の平坦な側面60a、60bと係合して整復ロッド22に対するスペーサ要素26の回転を防止する1つ又は複数の実質的に平坦又は平らな面68a、68bを画定している。また、軸方向通路64及び/又はスロット66の内側輪郭は、整復ロッド22の外側輪郭との余裕が比較的小さく、恐らくはそれより僅かに小さい寸法に作られており、摩擦又は干渉嵌めによってスペーサ要素26を整復ロッド22上に保持するようになっている。更に、整復ロッド22の外表面、及び/又は軸方向通路64及び/又はスロット66を画定している1つ又は複数の内表面は、スペーサ要素26を整復ロッド22上に保持し易くするため粗されている。代わりの実施形態では、スペーサ要素26は、閉鎖された軸方向通路64(例えば、スロット66無し)を画定しており、整復ロッド22は、スペーサ要素26の軸方向通路64を通して軸方向に挿入されている。
【0035】
スペーサ要素26は、選択長lを有しており、図3に示すように、隣接する対を成す整列要素20pの遠位部分の間に係合され、隣接する遠位端部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空ける。スペーサ要素26の端部は、整列要素20,20’の外側輪郭に整合して、両者の間により固定的で安定した係合が得られる形状又は輪郭に作られている。或いは、スペーサ要素26の端部に、隣接する整合要素20pの対応する造形と係合する造形を設けてもよい。或る実施形態では、ばね付勢式ボールと窪みが設けられている。他の実施形態では、さねはぎ装置が設けられている。下で論じるように、隣接する対を成す整列要素20pの近位部分を隣接する椎骨Vpに固定的に連結すると、遠位部分が選択距離dだけ離れた位置に配置され、それに対応して、隣接する対を成す椎骨Vpを、望ましくは矢状面に沿って隣接する椎骨Vpの正しい生理学的角度方向(例えば、脊柱後弯症角度)に対応する角度αに位置決めすることができるようになっている。
【0036】
スペーサ要素26は、第1整復ロッド22に連結させるように作られているものとして示し説明しているが、本発明の他の実施形態では、スペーサ要素26は、代わりのやり方として整列要素20、20’に直接係合され、隣接する遠位部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空けており、必ずしも整復要素22に連結する必要はないものと理解頂きたい。また、スペーサ要素26は、整列要素20、20’のスロット54、54’内での係合を含め、整列要素20、20’の他の部分と係合させてもよい。更に、スペーサ要素26は、概ね円形の断面を画定する中空で管状の構造を有するものとして示し説明しているが、中実のロッド様構造、楕円又は長円形状、矩形状、ダイヤモンド形状、多角形状、又は、隣接する対を成す整列要素20pの遠位端部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空け、それに対応して、隣接する対を成す椎骨Vpを、望ましくは隣接する椎骨Vpの間の天然の生理学的角度に実質的に対応する選択角度αに位置決めするのに適した何らかの他の形状又は構成、を含め他の形状及び構成も本発明の範囲に包含されるものと考えられる。
【0037】
また、本発明の他の実施形態では、スペーサ要素は、隣接する対を成す整列要素の遠位端を受け入れて、隣接する遠位部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空けることができる寸法に作られた開口部を画定しているプレート様又は棒様部材として構成されている。別の実施形態では、スペーサ要素は、リング又はカラー、又はブリッジ部材で相互接続され、隣接する対を成す整列要素の遠位端を覆うように配置されて、隣接する遠位部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空けるリングを含んでいる。又別の実施形態では、スペーサ要素は、3つ又はそれ以上の整列要素と係合して、整列要素の隣接する遠位部分が選択距離dだけ離れるように間隔を空けるフレームとして構成されている。
【0038】
図示の実施形態では、スペーサ要素26には、それぞれ、正常に整列し位置決めされた場合の、隣接する対を成す椎骨Vpに関わる特定の幾何学的特徴及び特性と、整列要素20の寸法特性を含む器具10に関わる特定の特徴及び特性とを分析することにより計算される所定の長さlが与えられている。しかしながら、本発明の他の実施形態では、スペーサ要素26は、整列要素20の隣接する遠位端部分20bが選択距離dだけ離れるように間隔を空け、それに応じて、隣接する椎骨Vpを、矢状面に沿って隣接する椎骨Vpの正しい生理学的角度方向に対応する角度αに位置決めするため、選択長さlを提供できるように、スペーサの全長さが可変/調整可能となるように作られている。スペーサ要素26を適切な長さlに調整するのは、外科処置前に行ってもよいし、術中に行ってもよい。
【0039】
1つの実施形態では、スペーサ要素26のそれぞれは、積み重ねた関係に配置されて、選択全長lを有するスペーサ要素を提供する、2つ又はそれ以上の軸方向部分又は区分を含む多部品構成のアッセンブリとして形成されている。別の実施形態では、スペーサ要素26のそれぞれは、互いに対して軸方向に移動可能で、定位置に係止されて選択全長lを有するスペーサ要素を提供する、2つ又はそれ以上の軸方向部分又は区分を含んでいる。或る特定の実施形態では、スペーサ要素26には、スペーサ全長lが2つ又はそれ以上の軸方向部分の間の螺合を介して調整されるターンバックル式構造が設けられている。別の特定の実施形態では、スペーサ要素26には、スペーサ全長さlが第1方向(例えば、分離方向)には調整されるが、第2方向(例えば、押し潰す方向)への調整は防止される、ラチェット式構造が設けられている。
【0040】
図13から図15は、本発明の1つの実施形態によるブロック要素28を示している。図示の実施形態では、ブロック要素28は、概ね長手方向軸Lに沿って伸張し、ブロック高さh、ブロック幅w、及びブロック厚さtを画定しているモノリシック構造を有している。また、ブロック要素28は、上部分70と下部分72を含んでいる。ブロック要素28の上部分70は、長手方向軸Lに垂直に配置された基準軸に対して傾斜角度θで傾斜している上係合面74を画定している。ブロック要素28の下部分72は、概ね長手方向軸Lに沿って伸張し、間に空間又はキャビティ78を画定している、一対の脚部76a、76bを含んでいる。
【0041】
図16に示すように、ブロック要素28は、傾斜した係合面74を、整列要素20を通って横方向に伸張しているスロット54と概ね整列した状態に配置できるようなやり方で、整列要素20と係合させることができる。ブロック要素28は、スロット幅wに等しいかそれより僅かに小さいブロック厚さtを有しており、ブロック要素28をスロット54内に横方向に入れると、脚部76a、76bの間の空間78が整列要素20の近位部分を受け入れるように配置され、脚部76a、76bが外壁50の外表面に沿って伸張してブロック要素28と整列要素20の係合を維持するようになっている。
【0042】
図3に示すように、選択ブロック高さhと選択傾斜角度θを有するブロック要素28は、傾斜角度が凸状脊椎湾曲の中央部分に向けて内向きに傾斜している状態で、外側の整列要素20oのそれぞれと係合している。或いは、器具10が、凹状脊椎湾曲の治療に使用される場合には、ブロック要素28は、傾斜角度θが凹状脊椎湾曲から離れて外向きに傾斜するように配置される。外側の整列要素20oは、そこで、治療対象の脊椎湾曲の凸状(凹状)部分の外側端又は限界を画定している外側の椎骨Voに錨着される。
【0043】
図示の実施形態では、治療対象の脊椎湾曲は、後方向に面して凸状形状を有する後弯性湾曲である。しかしながら、他の実施形態では、治療対象の脊椎湾曲は、後方向に面して凹状形状を有する前弯性湾曲である。下で論じるが、整復ロッド24の下面は、整復ロッド24を近位方向に整列要素20のスロット54を通して軸方向移動させた際に、ブロック要素28の傾斜面74と係合し、その結果、外側の整列要素20oと、対応する外側の椎骨Voとは、望ましくは矢状面に沿った椎骨Voの正常な生理学的高さと角度方向(例えば、天然の後弯角度)に対応している、選択高さ及び互いに対する選択角度方向に位置決めされる。この様に、ブロック要素28は、外側の椎骨Voが矢状面に沿って相対的に並進運動(例えば、沈み込み)できるようにして、外側の椎骨Voを実質的に正常な生理学的高さに位置決めする。また、ブロック要素28は、外側の椎骨Voが矢状面に沿って相対的に回転できるようにして、外側の椎骨Voを互いに対して、望ましくは外側の椎骨Voの正常な生理学的角度に実質的に対応している角度βに位置決めする。
【0044】
ブロック要素28は、特定の形状及び構成を有するものとして示し、説明してきたが、ブロック28のこの他の形状及び構成も本発明の範囲に包含されると考えられるものと理解頂きたい。1つの実施形態では、各外側の整列要素20oに関係付けて使用されるブロック要素28は、互いに実質的に同一に作られている。しかしながら、他の実施形態では、ブロック要素28は、異なる構成を有している。各ブロック要素28の構成は、外側の椎骨Vo同士の間に特定の生理学的角度βを提供するように選択される。因みに、全体的ブロック高さhと、上係合面74に関わる傾斜角度θは、治療対象の脊椎湾曲(例えば、背側後弯)の少なくとも一部の境界線を形成する、外側の椎骨Vo同士の間の生理学的な高さと角度βを確立するのにとりわけ関係がある。図3に示す器具10は、(それ自体、外側の椎骨Voに錨着されている)外側の整列要素20oに係合されている一対のブロック要素28を使用しているが、ブロック要素28は、外側の整列要素20o同士の間に配置された1つ又はそれ以上の中間整列要素20を含め、他の整列要素と関係付けて使用することもできるものと理解頂きたい。
【0045】
本発明の或る代わりの実施形態では、ブロック要素28は、必ずしも器具10と関係付けて使用する必要があるわけではない。代わりに、整列要素20、20’により画定されているスロット54、54’が、長手方向軸Lに概ね垂直に配置された基準軸に対して角度θで傾斜している、遠位方向に面した係合面54a、54a’を含んでいれば、別体のブロック要素28の必要性は無くなる。理解頂けるように、この様な代わりの実施形態では、整復ロッド24は、係合面54a、54a’に直接押し付けて係合され、それによって外側の椎骨Voが所望の生理学的高さと角度βに位置決めされる。
【0046】
1つの特定の実施形態では、ブロック要素28は、ブロック高さhが約30mm、ブロック幅wが約20mm、ブロック厚さtが約6.5mm、脚部76a、76bの間の間隔78の幅が約15mm、上係合面74に設けられた傾斜角度θが約15度である。別の特定の実施形態では、ブロック要素28は、ブロック高さhが約20mm、ブロック幅wが約20mm、ブロック厚さtが約6.5mm、脚部76a、76bの間の間隔78の幅が約15mm、上係合面74に設けられた傾斜角度θが約7.5度である。しかしながら、ブロック要素28に関わるこの他の寸法の構造及び造形も、本発明の範囲に包含されるの考えられるものと理解頂きたい。
【0047】
器具10に関係付けられた要素と特徴を示し説明してきたが、これより、本発明の1つの形態による、脊椎変形を整復するための方法を説明する。図17は、脊柱の各側に沿って左右相称に椎骨Vに係合された骨アンカー30を示している。図示の実施形態では、一対の骨アンカー30a、30bが、単一の椎骨Vに錨着されている。しかしながら、一対の骨アンカー30a、30bは、治療対象の脊柱の当該部分に沿って、複数の椎骨Vのそれぞれに係合されると理解頂きたい。また、他の実施形態では、単一の骨アンカー30、又は3つ又はそれ以上の骨アンカー30が、治療対象の脊柱の当該部分に沿って、複数の椎骨Vのそれぞれに係合されるものと理解頂きたい。
【0048】
本発明の図示の実施形態では、骨アンカー30は、ねじが切られた胴部分80と、頭部分82とを有する骨スクリューとして作られている。本発明の1つの実施形態では、骨スクリューは椎弓根スクリューとして作られており、ねじが切られた胴部分80は、椎骨Vの椎弓根領域Pv内に係合させるのに適した或る長さとねじ構成を有している。骨アンカー30の図示の実施形態では、頭部分82は、脊椎ロッドと係合させる(図26)ように作られている。1つの特定の実施形態では、頭部分82は、脊椎ロッドを受け入れることができる大きさに作られている通路84を画定しており、ファスナ又はセットスクリュー(図27)を頭部分82に通して脊椎ロッドと係合させ、脊椎ロッドを通路84内に捕捉する。また、頭部分82は、開口端部を画定している一対の間隔を空けて設けられたアーム86aと86bを含んでおり、この両アームは、頭部分82に上方装入用のU字型形状部を提供し、ファスナ又はセットスクリューが、間隔を空けて設けられたアーム86aと86bに沿って形成された雌ねじと係合される。図17に示す骨スクリューのものと同様の構成を有する骨スクリューに関する更なる詳細は、例えば、Drewry他に与えられた米国特許第6,783,527号に示し説明されており、その内容をここに参考文献として援用する。
【0049】
しかしながら、例えば、閉じた頭部分又は側方装入用C字型構成を画定している頭部分を有する骨スクリューを含め、他の型式及び構成の骨スクリューも、器具10に関係付けて使用することが考えられると理解頂きたい。また、ねじの切られていないステム又はシャフトとして作られている頭部分を含んでいる骨スクリューの他の実施形態も考えられ、その場合には、脊椎ロッドは、コネクタ又は連結機構を介してねじが切られていないステムに連結されるが、この一例は、Simonsonに与えられた米国特許第5,643、263号、又はBarkerに与えられた米国特許第5,947、967号に示し説明されており、前記各特許の内容を参考文献としてここに援用する。
【0050】
本発明の更に他の実施形態では、頭部分を、ねじが切られた胴部分に対して、複数の平面に沿って又は複数の軸周りに選択的に旋回又は回転させることのできる骨スクリューが、器具10と関係付けて使用されている。1つのこの様な実施形態では、頭部分は、ねじが切られた胴部の球状部分を受け入れるための受口を含んでおり、頭部分をねじが切られた胴部分に対して旋回又は回転できるようにしている。係止部材又はクラウンが、セットスクリュー又は他の型式のファスナを介して、球状部分に押し付けるように圧縮されて、頭部分をねじが切られた胴部分に対して選択された角度方向に係止する。本発明と関係付けて使用するのに適した1つの型式の多軸スクリューに関する更なる詳細は、例えば、Sherman他に与えられた米国特許第5,797,911号に示し説明されており、その内容を参考文献としてここで援用する。多軸骨アンカーの使用は、脊柱の下腰部領域、特に脊柱の他の領域に比べ前弯角度が比較的高くなりがちなL4椎骨より下に使用するのが有益である。代わりに、比較的高い椎間角度を呈している脊椎の領域では、整列要素20、20’及び/又は骨アンカーは、整列要素が、例えば角度が付けられたコネクタブロック又はシムの使用を介するなどして固定角度で骨アンカーに連結されるように作られている。
【0051】
ここに示し説明している骨スクリューの実施形態は一例であり、他の型式及び構成の骨スクリューも本発明と関係付けて使用できるものと理解頂きたく、またその同等物は、当業者には自明であろう。例えば、椎骨の一部の周りに係合させるように作られた脊椎フック、ボルト、ピン、釘、クランプ、ステープル、及び/又は椎骨の中に又は椎骨に対して錨着することのできる他の型式の骨アンカー装置を含め、他の型式及び構成の骨アンカーも本発明と関係付けて使用できるものと理解頂きたい。
【0052】
図18は、骨アンカー30a、30bが、骨アンカー30a、30bの頭部分82の間を伸張するブリッジ又はリンク部材90を介して互いに相互接続されており、整列要素20、20’が、ブリッジ部材90の中央部分に係合して、整列要素20、20’を、例えば矢状面の様な脊柱の真中部分に沿って椎骨Vに連結している、本発明の1つの実施形態を示している。代わりに、ブリッジ部材90は、骨スクリュー30a、30bの他の部分に係合されていてもよいし、又は骨スクリュー30a、30bの頭部分から伸張している他の要素又は構造に係合されていてもよい。また、ブリッジ部材90は、椎骨Vの解剖学的造形及び/又は他の解剖学的構造との干渉が最小になるように外向きに湾曲していてもよい。整列部材20、20’を骨アンカー30a、30bに対して中間又は中央位置に配置することにより、結果的に、整列要素20、20’により加えられる補正力が椎体上の多くの位置に亘って分散されることになる。その結果、補正力が加えられた際に、どの単一の骨/植込み物の境界面においても応力集中が緩和される。
【0053】
更に、ブリッジ部材90は、骨スクリュー30a、30bの間の、変化する距離、変化する角度方向及び/又は整列不良に対応するために調整することができる。ブリッジ部材90の調整は、ラック・アンド・ピニオン調整機構、入れ子式調整機構、ターンバックル調整機構、ボール・アンド・ソケット機構、ピボット機構、ヒンジ機構、又は骨スクリュー30a、30bの間の変化する距離、変化する角度方向及び/又整列不良に対応することができる他の適した調整機構を介して提供される。先に述べたように、整列要素20は、ブリッジ部材90に関係付けられたねじの切られたステム又は突出部に外挿式にねじ込まれる雌ねじの切られた通路56を含んでおり、整列要素20’は、ブリッジ部材90に関係付けられたねじの切られた開口部にねじ込まれる、雄ねじの切られたステム又は突出部56’を含んでいる。しかしながら、やはり上で論じたように、整列要素20、20’は、他の適した接続技法を使用して、ブリッジ部材90と解除可能に係合できるように作られていてもよい。また、本発明の他の実施形態では、1つ又は複数のハンドルが、椎骨Vに対し操作又は補正力を手動で加えるために、ブリッジ部材90に連結されている。
【0054】
図19は、整列要素20、20’が、脊柱の一方の側に沿って錨着された一組の骨スクリュー30a、30bに、より具体的には骨スクリューの頭部分82に直接接続され、整列要素20、20’を椎骨Vに連結している本発明の別の実施形態を示している。一例として、スクリューの頭部分82のアーム86a、86bは、整列要素20の雌ねじの切られた通路56と螺合させて、骨スクリュー30a、30bの内の一方に整列要素20を解除可能に係合させることができるように作られた雄ねじを画定している。代わりに、スクリューの頭部分82のアーム86a、86bは、整列要素20’の雄ねじの切られたステム56’に螺合させて、骨スクリュー30a、30bの内の一方に整列要素20’を解除可能に係合させることができるように作られた雌ねじを画定していてもよい。
【0055】
次に図20から図25は、器具10を使用して異常な脊椎湾曲を矯正する各段階の概略図を示している。整列要素20は、それぞれが、(図18に関連して上に示し説明したように)椎骨Vの中央又は中間部分に沿って配置されているものとして示しているが、整列要素20は、代わりに、(図19に関して上に示し説明したように)椎骨Vの何れかの側に沿って配置されていてもよいものと理解頂きたい。なお、整列要素20を椎骨Vの他の部分に沿って配置することも、本発明の範囲に包含されるものと考えられる。また、図20から図25は特定的に整列要素20を参照しているが、整列要素20’又は整列要素の他の実施形態の使用も、本発明の範囲内に包含されるものと考えられる。
【0056】
最初に図20は、複数の整列要素が対応する数の椎骨Vに連結されている状態を示している。上で示したように、整列要素20は、脊柱の一方の側に沿って錨着された一連の骨アンカー30に直接係合されていてもよいし(図19)、対応する椎骨の各側に沿って錨着された一対の左右相称的に配置された骨アンカー30の間に伸張するブリッジ又はリンク部材に係合されていてもよい(図18)。上で示したように、整列要素20は、代わりに、椎骨Vに直接係合されていてもよい。
【0057】
図1及び図2に関連して上で論じたように、脊柱側弯症の脊椎では、椎骨Vの自然な生理学的位置と整列は、異常な椎骨回転と並進運動が原因で変えられている。その結果、正常なら共通面P(即ち矢状面)内に位置しているはずの椎骨Vの前後軸A−Pは、同一面上にない状態で複数の面に沿って伸張している。また、脊柱側弯症の脊椎では、脊椎の胸部領域は通常前弯性であり、その結果、前後軸A−Pは、正常な生理学的な発散よりも小さい異常な発散を呈している。再度図20を参照すると、整列要素20は、最初は、整列要素20の長手方向軸Lが、椎骨Vの矯正されていない前後軸A−Pと実質的に同軸に整列するように位置決めされ配置されている。その結果、整列要素20の長手方向軸Lは、最初は、共通面Pに沿って互いに整列してはおらず、代わりに、同一面を構成しない複数の面に沿って伸張している。
【0058】
図21では、整列要素20の遠位部分20bは、互いに概ね一体に整列しており、第1整復ロッド22が、整列要素20のスロット54のそれぞれの遠位端部分に通して挿入されている。遠位部分20bが互いに整列するのを促すために、整列要素20は、外科医により手動で把持及び操作され、及び/又は器具又は工具を使用して横力又は捩れ力が1つ又は複数の整列要素20に加えられる。しかしながら、別の実施形態では、遠位部分20bを互いに概ね整列させるのは、整復ロッド22をスロット54の中央部分に挿入することにより達成されるが、それらスロットの中央部分は、遠位部分に比べ、最初は互いにより近くに整列している。第1整復ロッド22は、一旦スロット54の中央部分に挿入されると、スロット54を通って遠位方向に軸方向に動かされ、その結果、スロット54を画定している整列要素20の内側面に横方向に力が働くことによって、整列要素20の遠位部分20bが互いに概ね整列した状態になる。第1整復ロッド22を、スロット54を通して軸方向に動かし易くするために、各種器具が使用されるが、その同等物を第2整復ロッド24に関して下で詳しく説明する。第1整復ロッド22をスロット54に初めに導入するのは、外科用槌、スラップハンマー、又は他の適した工具又は器具を使用すればやり易くなる。
【0059】
第1整復ロッド22は、整列要素20と協働して遠位部分20bを概ね第1横断軸T(図3)に沿って維持するが、第1横断軸Tは矢状面Pに沿って伸張しているのが望ましい。整列要素20の遠位部分20bを概ね第1横断軸Tに沿って整列させると、対応して、1つ又は複数の整列要素20に回転運動が生じる。整列要素20が回転する結果、対応する椎骨Vに回転力が与えられ、椎骨Vを概ね横断面に沿って矢印Rの方向に回転補正する。なお、回転補正の方向は、治療対象の脊椎変形の具体的な特性により異なり、時計回り及び/又は反時計回り方向に起ると理解頂きたい。また、遠位部分20bを互いに概ね整列させても、1つ又は複数の整列要素20が回転する結果とはならず、その場合、対応する椎骨Vは回転方向の影響を受けない。整列要素20の遠位部分20bを整列させると、脊椎変形は部分的には軽減するが、更なる矯正が必要である。
【0060】
図22では、第2整復ロッド24が、整列要素20の各スロット54の遠位端部分を通して、第1整復ロッド22に隣接して挿入される。スロット54の遠位端部分は、第1整復ロッド22を介して概ね互いに整列した状態に維持されているので、第2整復ロッド24をスロット54へ挿入する場合には、整列要素24を大きく操作する必要は無い。とはいえ、第2整復ロッド24をスロット54に導入することは、外科用槌、スラップハンマーの使用、又は他の適した工具又は器具によりやり易くなる。
【0061】
次に図23では、第1整復ロッド22が実質的に静止位置に留まり、遠位部分20bを概ね互いに整列した状態に維持した状態で、第2整復ロッド24が整列要素20のスロット54を通して矢印Aの方向に、第1整復ロッド22から離れる方向に且つ概ね面Pに沿って近位方向に動かされる。スロット54を通して第2整復ロッド24を移動させるのは、外科用槌、ロッドプッシャ又はパースエイダー、第2整復ロッド24と(第1整復ロッド22などの)別の要素の間に係合させて第2整復ロッド24を第1整復ロッド22から離れる近位方向に伸延させる伸延装置、を使用することにより、又は他の適した工具又は器具によりやり易くなる。第2整復ロッド24をスロット54を通して移動させるのに使用される工具又は器具は、手動で駆動されるものでも電動式でもよい。更に、工具又は器具は、第2整復ロッド24を整列要素20のスロット54を通して逐次増分的に移動させるために制御されたやり方で逐次増分的に進められる。この様な逐次増分的な前進は、ラック・アンド・ピニオン型駆動、ラチェット式駆動、ターンバックル機構、又は何らかの他の適した駆動又は前進機構により提供される。
【0062】
第2整復ロッド24を、スロット54を通して係合状態で滑動させると、整列要素20は、整列要素20の内側面に横方向の力が掛かることにより互いに向かって引き寄せられる。具体的には、第2整復ロッド24が、スロット54を通して近位方向に動かされると、1つ又は複数の整列要素20は、対応して、第1整復ロッド22の回りに矢状面Pに向けて回転される。整列要素20が回転すると、回転力が対応する椎骨Vに加えられ、椎骨Vを概ね横断面に沿って矢印Rの方向に更に回転補正するが、これは、上で論じたように、時計回り及び/又は半時計周り方向に起る。
【0063】
加えて、第2整復ロッド24を、スロット54を通して係合状態で滑動させる(そして整列要素20を第1整復ロッド22回りに回転させる)と、更に、対応する椎骨Vに横方向の力が加えられ、その結果、椎骨Vを概ね前頭面に沿って矢印B及び/又は矢印Cの方向に、相対並進運動させることになる。椎骨Vの並進運動の方向は、治療対象の具体的な脊椎変形によって異なり、矢印BとCの何れか又は両方の方向に起ると理解頂きたい。また、第2整復ロッド24を、スロット54を通して近位方向に動かしても、1つ又は複数の整列要素20が回転する結果にならないこともあり、その場合には、対応する椎骨Vは、回転方向にも並進運動方向にも影響を受けないものと理解頂きたい。更に、椎骨Vの矢印Rの方向への回転補正及び椎骨Vの矢印B及びCの方向への並進運動の結果、椎骨Vの横断面及び前頭面の両方に沿った整列不良が整復されるものと理解頂きたい。
【0064】
図24では、第2整復ロッド24を、整列要素20のスロット54を通して更に近位方向に動かした結果、椎骨Vが概ね横断面に沿って概ね矢印Rの方向に更に回転補正され、椎骨Vが概ね前頭面に沿って矢印B及びCの方向に更に並進運動している。図25では、第2整復ロッド24は、スロット54を通して整列要素20の近位部分20aに隣接する位置まで更に動かされている。この位置で、近位部分20aは、第2横断軸Tに沿って互いに概ね整列した状態になるが、ここで第2横断軸Tは、概ね矢状面Pに沿って配置され伸張しているのが望ましい。整列要素20の遠位部分20bが第1整復ロッド22を介して横断軸Tに沿って概ね整列した状態に維持され、近位部分20aが第2整復ロッド24を動かすことにより第2横断軸Tに沿って互いに概ね整列した状態に維持されると、その結果、各整列要素20の長手方向軸Lは、矢状面Pに沿って同一面上にある関係に互いに概ね整列して配置されることになる。矢状面Pに沿って整列要素20が概ね整列すると、その結果、椎骨Vの前後軸A−Pは矢状面Pに沿って概ね整列し、これにより、椎骨Vの前頭面と横断面の両方に沿った整列不良が矯正されることにより、脊椎変形が整復される。
【0065】
図3に戻るが、椎骨Vの矢状面に沿う整列は、スペーサ要素26とブロック要素28を介して達成される。1つの実施形態では、ブロック要素28は、第2整復ロッド24を、スロット54を通して一杯に移動させる前に、外側の整列要素20oに組み付けられる。外側の整列要素20oは、その結果、治療対象の脊椎湾曲の少なくとも一部の外側端部又は境界線を画定する外側の椎骨Voに錨着される。図16に関して上で論じたように、ブロック要素28は、傾斜した係合面74を整列要素20のスロット54と概ね整列させて配置するようなやり方で、外側の整列要素20と係合される。また、上で論じたように、ブロック要素28のそれぞれは、治療対象の脊柱の部分の具体的な特性に基づいて選択されたブロック高さhと傾斜角度θを有している。更に、上で更に論じたように、本発明の図示の実施形態は、外側の整列要素20oに関係付けられた2つのブロック要素28を使用しているが、追加的なブロック要素28を1つ又は複数の他の整列要素20に関係付けて使用してもよいものと理解頂きたい。
【0066】
ブロック要素28が外側の整列要素20oに組みつけられた状態で、第2整復ロッド24が近位方向に動かされ、ブロック要素28の傾斜面74に当接係合される。第2整復ロッド24が傾斜面74に押し付けられる結果、外側の整列要素20oと、対応する外側の椎骨Voは、互いに対して、望ましくは矢状面に沿った最も外側の椎骨Voの正常な生理学的高さと角度方向(例えば、自然な後弯角度)である選択高さと選択角度方向に配置される。ブロック要素28は、外側の椎骨Voが矢状面に沿って相対的に並進運動(例えば、沈み込み)をして、外側の椎骨Voを実質的に正常な生理学的高さに位置決めできるようにすると共に、外側の椎骨Voが矢状面に沿って相対的に回転をして、外側の椎骨Voを実質的に正常な生理学的角度βに位置決めできるようにする。
【0067】
外側の椎骨Voが正しい生理学的高さと解剖学的角度に配置された状態で、残りの椎骨Vを矢状面に沿って正しく整列させるのは、隣接する対を成す整列要素20pの間にスペーサ要素26を係合させることにより達成される。上で示したように、スペーサ要素26には、選択スペーサ長さlを画定する決められた造形が施されているか、又は術前又は術中の何れかにスペーサの全長を選択スペーサ長さlに調整できる可変構造が設けられている。何れの場合も、スペーサ要素26は、隣接する対を成す細長い整列要素20pの遠位部分20bの間に係合され、隣接する遠位部分20bを選択距離dだけ離れさせる。隣接する対を成す整列要素20pの近位部分20aが隣接する椎骨Vpに固定的に連結された状態で、遠位部分20bを選択距離dだけ離れさせると、対応して、隣接する対を成す椎骨Vpは、矢状面に沿って隣接する椎骨Vpの正常な生理学的角度方向に実質的に対応している角度αに配置される。
【0068】
図26では、椎骨Vの脊椎変形の整復及び最終的な調整に続き、1つ又は複数の細長い植込み物100が、骨アンカー30に係合され、椎骨Vを矯正された状態に維持する。図示の実施形態では、細長い植込み物100は、脊椎ロッドとして構成されている。しかしながら、脊椎プレート、棒、ケーブル、係留綱、又は椎骨Vを矯正された状態に維持することができる何らかの他の適した細長い植込み物の様な、他の型式及び構成の細長い植込み物も考えられる。図示の実施形態では、細長い植込み物100は、骨アンカー30に固定されている。しかしながら他の実施形態では、細長い要素100は、椎骨Vに直接係合され、これは、細長い要素がプレート又は係留綱として構成されている場合には特に適切である。1つの実施形態では、細長い植込み物100は、例えばステンレス鋼又はチタンの様な生体適合性材料で形成されている。しかしながら、例えば、チタン合金、クロム−コバルトの様な金属系の合金、PEEKの様なポリマーを主材料とした材料、複合材料、又は当業者には想起される他の適した材料を含め、他の材料も考えられる。
【0069】
本発明の図示の実施形態では、一対の脊椎ロッド100a、100bは、脊柱に沿って配置され、脊椎ロッドの一方100aは、脊柱の一方の側に沿って骨アンカー30aの頭部分82内に配置され、他方の脊椎ロッド100bは、脊柱の反対側に沿って骨アンカー30bの頭部分82内に配置されている。脊椎ロッド100a、100bは、骨アンカー30a、30bの位置、方向、及び整列に更に密に整合させるために、患者身体の外側又は現場の何れかで、曲げられるか輪郭付けされる。
【0070】
図27に示すように、脊椎ロッド100a、100bは、例えばセットスクリューの様な複数の係止部材102にを介して骨アンカー30a、30bに係合され、脊椎ロッド100a、100bを頭部分82内に捕捉する。1つの実施形態では、セットスクリュー102は、ねじ回し工具110で、骨アンカー30a、30bの頭部分82と螺合され、脊椎ロッド100a、100bを骨アンカー30a、30bと係合状態に維持する。1つの実施形態では、ねじ回し工具110は、セットスクリューの工具受け入れ溝の中に配置される遠位端部分114を含んでいる駆動シャフト112と、回転力を駆動シャフト112に与えるためのハンドル116を含んでいる。
【0071】
セットスクリュー102を最終的に締め付ける前に、整復ロッド22と24は整列要素20から取り外され、1つ又は複数の整列要素20を手動で操作することにより個々の椎骨Vに最終的な調整を施して、椎骨Vの間に整列不良が残っていばそれを矯正する。次いで、セットスクリュー102を締め付けて、脊椎ロッド100a、100bと堅く係合させ、これにより脊椎ロッド100a、100bを骨アンカー30a、30bの中にしっかりと捕捉して、椎骨Vを矯正された状態に維持する。一旦、脊椎ロッド100a、100bが骨アンカー30a、30bに固定されると、器具10の残りの要素が患者の身体から取り外される。また、様々な型式の横コネクタ(図示せず)が、脊椎ロッド100a、100bの間に連結され、ロッドシステムに追加的な安定と支持を提供する。関節固定術の部位に血液供給が回復され、隣接する椎骨の間の関節固定を促して脊柱を更に安定化するために移植術を使用してもよい。
【0072】
図19に関連して上で示し説明したように、本発明の別の実施形態では、整列要素20は、脊柱の一方の側に沿って骨アンカー30a、30bに直接接続されている。その様な実施形態では、脊椎変形は、上記と同様の技法により整復される。しかしながら、器具10を脊柱の中央又は中間部分に沿って(例えば、概ね矢状面に沿って)配置する代わりに、器具は、第1組の骨アンカー30a、30bと係合させて、脊柱の一方の側に沿って配置される。脊椎変形を整復する際には、脊椎ロッドの様な細長い植込み物が、脊柱の反対側に沿って錨着されている第2組の骨アンカー30a、30bに係合され、椎骨を矯正された状態に固定する。器具10は、その後、第1組のアンカー30a、30bから取り外され、続いて、第2の細長い植込み物が第1組の骨アンカー30a、30bに係合され、椎骨を矯正された状態に更に固定する。
【0073】
これで明らかになったように、上で示し説明した器具10は、前頭面、横断面、及び矢状面を含む3つの空間面に沿って、脊椎変形の回転及び並進運動の様相に対処する整復技法を介して脊椎変形を治療するために使用される。本発明を図面及び上記説明において詳しく示し説明してきたが、それらは説明を目的としており性質を限定するものではないと捉えられるべきであり、好適な実施形態を示し説明したに過ぎず、本発明の精神内に包含される全ての変更及び修正は保護の対象とされることを求める旨、理解頂きたい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】脊柱側弯症の脊椎の概略図であり、椎骨の正常な位置と整列は、異常な椎骨並進運動と回転が原因で変えられている。
【図2】脊柱側弯症の脊椎の概略図であり、椎骨の前後軸が同一面上に配列されていないことが示されている。
【図3】本発明の1つの形態による脊椎変形を整復するための器具の概略図である。
【図4】本発明の1つの実施形態による細長い整列要素の側面図である。
【図5】図4に示す細長い整列要素の端面図である。
【図6】図4に示す細長い整列要素を図4の6−6線に沿って見た側部断面図である。
【図7】本発明の1つの実施形態による細長い整列要素の側面図である。
【図8】図7に示す細長い整列要素の端面図である。
【図9】図7に示す細長い整列要素を図7の9−9線に沿って見た側部断面図である。
【図10】本発明の1つの実施形態による整復要素の断面図である。
【図11】本発明の1つの実施形態によるスペーサ要素の側面図である。
【図12】図11に示すスペーサ要素の端面図である。
【図13】本発明の1つの実施形態によるブロック要素の側面図である。
【図14】図13に示すブロック要素の端面図である。
【図15】図13に示すブロック要素の底面図である。
【図16】図4に示す整列要素と係合した図13に示すブロック要素を含んでいるアッセンブリの側面斜視図である。
【図17】一対の骨アンカーが椎骨に左右相称に錨着された椎骨の概略図である。
【図18】骨アンカーがブリッジ部材により相互接続され且つ図7に示す整列要素がブリッジ部材に係合している、図17に示す骨アンカーの概略図である。
【図19】図4に示す整列要素が骨アンカーの内の1つに直接係合している、図17に示す骨アンカーの概略図である。
【図20】椎骨の前後軸が異常な、同一面上にない状態に配置され、且つ整列要素が椎骨に係合され概ね前後軸に沿って配置されている、図2に示す脊柱側弯症の脊椎の概略図である。
【図21】第1整復要素が整列要素の遠位部分に係合して、遠位部分を概ね第1整復要素の横断軸に沿って整列させ、その結果、1つ又は複数の椎骨が矯正された状態に向けて回転補正されている、図20に示す整列要素の概略図である。
【図22】第2整復要素が整列要素の遠位部分に係合している、図21に示す整列要素の概略図である。
【図23】図22に示す整列要素の概略図であり、第2整復要素を整列要素に沿って近位方向に係合状態で滑動させ、1つ又は複数の椎骨を矯正された状態に向けて並進運動させ回転補正しているところを示している。
【図24】図23に示す整列要素の概略図であり、第2整復要素を整列要素に沿って近位方向に更に係合状態で滑動させ、1つ又は複数の椎骨を矯正された状態に向けて更に並進運動させ回転補正しているところを示している。
【図25】図24に示す整列要素の概略図であり、第2整復要素を整列要素の近位部分に隣接する位置に配置して、近位部分を概ね第2整復要素の横断軸に沿って整列させ、その結果、椎骨が矯正された状態へ並進運動させられ回転補正されているところを示している。
【図26】図25に示す整列要素の概略図であり、安定化ロッドが脊柱の各側に沿って配置され、骨アンカーに係合して、椎骨を矯正された状態に維持しているところを示している。
【図27】整列要素と、第1及び第2整復要素と、ブリッジ部材は患者の身体から取り外されており、安定化ロッドが、複数の係止部材により骨アンカーに係合され椎骨を矯正された状態に固定しているところを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎変形を整復するための器具において、
複数の細長い要素であって、それぞれが概ね長手方向軸に沿って伸張しており、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでいる、細長い要素と、
第1横断軸に沿って伸張している第1整復要素であって、前記細長い要素の前記遠位部分と係合して、前記遠位部分を前記第1横断軸に対して概ね整列した状態に維持する、第1整復要素と、
第2横断軸に沿って伸張している第2整復要素であって、前記細長い要素と可動的に係合し、前記第2整復要素が前記細長い要素に沿って近位方向に動かされると、前記近位部分が前記第2横断軸に対して概ね整列した状態に配置されて、脊椎変形が整復される、第2整復要素と、を備えている器具。
【請求項2】
前記第2整復要素を前記細長い要素に沿って移動させると、前記細長い要素の少なくとも幾つかに前記第1横断軸周りの回転運動が付与され、前記脊椎変形が整復される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記細長い要素の前記少なくとも幾つかが前記回転運動をすることで、対応する椎骨に回転運動と並進運動の内の少なくとも1つが付与される、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記第2整復要素を前記細長い要素に沿って滑動移動させると、対応して、前記細長い要素が互いに概ね整列状態に引き寄せられる、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記遠位部分が前記第1横断軸に対して概ね整列され、前記近位部分が前記第2横断軸に対して概ね整列されると、対応して、前記細長い要素は実質的に共通面に沿って配置され、脊椎変形が整復される、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記細長い要素のそれぞれは、前記近位部分と前記遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定しており、前記第2整復要素は、前記細長い要素により画定される前記スロット内に配置されており、前記スロットの前記長さに沿って近位方向に動かされて、前記近位部分を前記第2整復要素に沿って概ね整列させ、脊椎変形を整復する、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記細長い要素に係合されて、隣接する対を成す前記細長い要素の前記遠位部分の間に選択距離を確立する、スペーサ機構を更に備えている、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記スペーサ機構は、選択長さを有する複数のスペーサ要素を備えており、前記スペーサ要素の内の1つは、前記隣接する対を成す前記細長い要素の前記遠位部分の間に配置されて、前記選択距離を確立する、請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記スペーサ要素は、前記第1整復要素に係合される、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記遠位部分の間に前記選択距離が確立されると、対応して、前記隣接する対を成す細長い要素は互いに対して選択角度に配置され、対応して、前記隣接する対を成す細長い要素が連結されている椎骨が実質的に前記選択角度に配置される、請求項7に記載の器具。
【請求項11】
前記細長い要素の内の少なくとも2つは、選択傾斜角度を画定している傾斜面を含んでおり、
前記第2整復要素は、前記傾斜面に押し付けて係合され、前記細長い要素の内の少なくとも2つを互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記細長い要素の内の少なくとも2つが連結されている椎骨が、実質的に前記選択角度に配置される、請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記細長い要素の内の前記少なくとも2つは、異常な脊椎湾曲の外側境界線を画定する椎骨に連結される、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記傾斜面は、ブロック要素により画定され、前記ブロック要素の内の1つは、前記少なくとも2つの細長い要素のそれぞれと係合される、請求項11に記載の器具。
【請求項14】
脊椎変形を画定している複数の椎骨のそれぞれに錨着できるようになっている少なくとも1つの骨アンカーを更に備えており、
前記細長い要素は、前記少なくとも1つの骨アンカーの内の対応するアンカーに解除可能に係合される、請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記細長い要素のそれぞれは第1ねじ部分を含んでおり、前記第1ねじ部分は、前記少なくとも1つの骨アンカーと関係付けられている第2ねじ部分と螺合して、両者の間に解除可能な係合を提供する、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
脊椎変形を画定している複数の椎骨のそれぞれに錨着させることができるようになっている一対の骨アンカーと、
前記一対の骨アンカーそれぞれの間に連結されたブリッジ部材と、を更に備えており、
前記細長い要素は、前記ブリッジ部材の各々に係合される、請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記一対の骨アンカーは、脊柱の互いに反対側に配置され、
前記細長い要素は、脊柱の中間部分に沿って配置される、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記骨アンカーは、骨スクリューを備えている、請求項16に記載の器具。
【請求項19】
前記一対の骨アンカーは、脊柱の互いに反対側に配置され、
脊柱の一方の側に沿って前記骨アンカーと係合され、脊椎変形の矯正を維持する一対の細長い植込み物を更に備えている、請求項16に記載の器具。
【請求項20】
脊椎変形を整復するための器具において、
複数の細長い要素であって、それぞれが概ね長手方向軸に沿って伸張しており、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでいる、細長い要素と、
前記細長い要素の前記遠位部分に係合され、前記遠位部分を前記第1整復要素に対して実質的に固定された関係に維持する第1整復要素と、
前記細長い要素に可動的に係合され、前記第2整復要素を近位方向に動かすと、その結果、前記細長い要素の前記近位部分が相対的に移動して、脊椎変形が整復される、第2整復要素と、を備えている器具。
【請求項21】
前記第2整復要素を前記細長い要素に沿って動かすと、前記細長い要素の少なくとも幾つかに前記第1整復要素周りの回転運動が付与され、脊椎変形が整復される、請求項20に記載の器具。
【請求項22】
前記第2整復要素を前記細長い要素に沿って動かすと、対応して、前記細長い要素が互いに共通面に沿って概ね整列状態に引き寄せられ、脊椎変形が整復される、請求項20に記載の器具。
【請求項23】
前記細長い要素のそれぞれは、前記近位部分と前記遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定しており、前記第2整復要素は前記細長い要素により画定される前記スロット内に配置され、前記スロットの前記長さに沿って滑動可能に係合され、対応して、前記細長い要素を前記第2整復要素に沿って互いに概ね整列状態に引き寄せる、請求項20に記載の器具。
【請求項24】
前記細長い要素と係合されて、前記隣接する対を成す前記細長い要素の前記遠位部分の間に選択距離を確立する、スペーサ機構を更に備えている、請求項1に記載の器具。
【請求項25】
脊椎変形を整復するための器具において、
複数の細長い要素であって、それぞれが、対応する椎骨に連結できるようになっている近位部分と、遠位部分とを含んでおり、それぞれが、前記近位部分と前記遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定している、細長い要素と、
前記細長い要素と係合して、前記遠位部分を前記第1整復要素に対して概ね整列した状態に維持する第1整復要素と、
前記細長い要素により画定された前記スロット内に配置され、前記スロットの前記長さに沿って近位方向に動かされ、前記近位部分を前記第2整復要素に沿って概ね整列させて、脊椎変形を整復する、第2整復要素と、を備えている器具。
【請求項26】
前記第1整復要素は、前記細長い要素の前記スロット内に前記遠位部分に隣接して配置されて、前記遠位部分を前記第1整復要素に沿って概ね整列した状態に維持する、請求項25に記載の器具。
【請求項27】
前記第1整復要素は、最初は前記スロット内に配置され、前記スロットの前記長さに沿って遠位方向に動かされ、前記遠位部分を前記第1整復要素に沿って概ね整列させる、請求項26に記載の器具。
【請求項28】
前記第2整復要素を前記スロットの前記長さに沿って移動させると、対応して、前記細長い要素が、共通面に沿って互いに概ね整列状態に引き寄せられる、請求項25に記載の器具。
【請求項29】
前記第2整復要素を前記スロットの前記長さに沿って移動させると、前記細長い要素の少なくとも幾つかに前記第1整復要素周りの回転運動が付与され、脊椎変形が整復される、請求項25に記載の器具。
【請求項30】
脊椎変形を整復するための器具において、
複数の細長い要素であって、それぞれが、長手方向軸に沿って伸張しており、近位部分と遠位部分とを含んでいる、細長い要素と、
前記細長い要素のそれぞれの前記近位部分を対応する椎骨に連結するための手段と、
前記細長い要素の前記遠位部分を概ね第1横断軸に沿って整列した状態に維持するための手段と、
前記細長い要素の前記近位部分を概ね前記第2横断軸に沿って整列させて、脊椎変形を整復する手段と、を備えている器具。
【請求項31】
隣接する対を成す前記細長い要素の前記遠位部分を選択距離だけ空けて配置し、前記隣接する対を成す細長い要素を互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記隣接する対を成す細長い要素が連結されている椎骨を実質的に前記選択角度に配置する手段を更に備えている、請求項30に記載の器具。
【請求項32】
前記細長い要素の内の少なくとも2つを互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記細長い要素の内の前記少なくとも2つが連結されている椎骨を実質的に前記選択角度に配置する手段を更に備えている、請求項30に記載の器具。
【請求項33】
前記細長い要素のそれぞれを対応する椎骨に連結するための前記手段は、
一対の骨アンカーと、
前記一対の骨アンカーを相互接続するための手段と、を含んでおり、
前記細長い要素は、前記相互接続するための前記手段に連結される、請求項30に記載の器具。
【請求項34】
前記維持するための手段と前記整列させるための手段は協働して、前記細長い要素の前記長手方向軸を概ね共通面に沿って配置する、請求項30に記載の器具。
【請求項35】
脊椎変形を整復する方法において、
複数の細長い要素であって、それぞれが、概ね長手方向軸に沿って伸張しており、近位部分と遠位部分を含んでいる、細長い要素と、第1及び第2整復要素と、を提供する段階と、
前記細長い要素の前記近位部分を各椎骨に連結する段階と、
前記第1整復要素を前記細長い要素に係合させて、前記細長い要素の前記遠位部分を前記第1整復要素に対して概ね整列して係合させる段階と、
前記第2整復要素を前記細長い要素に係合させる段階と、
前記第2整復要素を近位方向に移動させて、前記細長い要素の前記近位部分を前記第2整復要素に概ね整列させ、脊椎変形を整復する段階と、から成る方法。
【請求項36】
前記第2整復要素を移動させると、前記細長い要素の内の少なくとも幾つかに前記第1整復要素周りの回転運動が付与され、その結果、対応する椎骨の回転運動と並進運動の内の少なくとも一方が生じて、脊椎変形が整復される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細長い要素の前記遠位部分を前記第1整復要素に沿って概ね整列した状態に維持しながら、一方で前記第2整復要素を近位方向に移動させ、その結果、前記細長い要素が実質的に共通面に沿って配置されることになる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記細長い要素のそれぞれは、前記近位部分と前記遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定しており、
前記第2整復要素を前記細長い要素の前記スロット内に配置する段階と、前記第2整復要素を前記スロットに沿って近位方向に移動させて、前記近位部分を前記第2整復要素に沿って概ね整列させ、脊椎変形を整復する段階と、を更に備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
隣接する対を成す細長い要素の遠位部分の間に選択距離を確立して、前記隣接する対を成す細長い要素を互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記隣接する対を成す細長い要素が連結されている椎骨を実質的に前記選択角度に配置する段階を更に備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記選択距離を確立する段階は、前記隣接する対を成す細長い要素の前記遠位部分の間に選択長さを有するスペーサ要素を配置することにより達成される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細長い要素の内の少なくとも2つを互いに対して選択角度に配置して、対応して、前記細長い要素の内の前記少なくとも2つが連結されている椎骨を実質的に選択角度に配置する段階を更に含んでいる、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記配置する段階は、前記第2整復ロッドを前記少なくとも2つの細長い要素のそれぞれに関係付けられた傾斜面に押し付けて係合させることにより達成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つの骨アンカーを、脊椎変形を画定している複数の椎骨のそれぞれに錨着させる段階を更に含んでおり、
前記連結する段階は、前記細長い要素を前記少なくとも1つの骨アンカーの対応する骨アンカーに係合させる段階を含んでいる、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
一対の骨アンカーのを、脊椎変形を画定している複数の椎骨のそれぞれに錨着させる段階と、
前記一対の骨アンカーをブリッジ部材と相互接続する段階と、を更に備えており、
前記連結する段階は、前記細長い要素を前記ブリッジ部材のそれぞれに係合させる段階を含んでいる、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記一対の骨アンカーは、前記脊柱の互いに反対側に配置され、
前記細長い要素は、前記脊柱の中間部分に沿って配置される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
一対の細長いロッドを脊柱の各側に沿って前記骨アンカーと係合させて、脊椎変形の矯正を維持する段階を更に含んでいる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細長い要素を連結する段階は、前記細長い要素を前記各椎骨に直接錨着させる段階を含んでいる、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記脊椎変形を整復する段階は、影響を受ける椎骨を3つの空間面に沿って回転させることと並進運動させることの内の少なくとも一方を含んでいる、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
前記3つの空間面は、横断面、前頭面、及び矢状面を備えている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
脊椎変形を整復する方法において、
複数の細長い要素であって、それぞれが、長手方向軸に沿って伸張しており、近位部分と遠位部分を含んでいる、細長い要素を提供する段階と、
前記細長い要素の前記近位部分を各椎骨に連結する段階と、
前記細長い要素の前記遠位部分を概ね第1横断軸に沿って整列させる段階と、
前記遠位部分の整列を維持しながら、前記細長い要素の前記近位部分を概ね第2横断軸に沿って整列させて、脊椎変形を整復する段階と、から成る方法。
【請求項51】
第1整復要素を前記細長い要素に係合させて、前記遠位部分の概ね前記第1横断軸に沿う整列を維持する段階と、
第2整復要素を前記細長い要素に係合させて、前記近位部分の概ね前記第2横断軸に沿う整列を維持する段階と、を更に備えている、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記細長い要素の前記近位部分を、概ね前記第2横断軸に沿って整列させることは、前記第2整復要素を近位方向に前記細長い要素に沿って滑動的に移動させた結果である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第2整復要素を移動させると、前記細長い要素の少なくとも幾つかに前記第1整列要素に対する回転運動が付与され、その結果、対応する椎骨の回転運動と並進運動の内の少なくとも一方が生じて、脊椎変形が整復される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細長い要素の前記遠位部分を概ね前記第1横断軸に沿って整列させ、前記細長い要素の前記近位部分を概ね前記第2横断軸に沿って整列させると、その結果、前記細長い要素が実質的に共通面に沿って配置される、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記細長い要素のそれぞれは、前記近位部分と前記遠位部分の間を伸張する長さを有するスロットを画定しており、
前記第2整復要素を前記細長い要素の前記スロット内に配置する段階と、前記第2整復要素を前記スロットに沿って近位方向に移動させて、前記近位部分を前記第2整復要素に沿って概ね整列させ、脊椎変形を整復する段階と、を更に備えている、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
隣接する対を成す前記細長い要素の前記遠位部分の間に選択距離を確立して、前記隣接する対を成す細長い要素を互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記隣接する対を成す細長い要素が連結されている椎骨を実質的に選択角度に配置する段階を更に含んでいる、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記細長い要素の少なくとも2つを互いに対して選択角度に配置し、対応して、前記細長い要素の少なくとも2つが連結されている椎骨を実質的に選択角度に配置する段階を更に含んでいる、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
脊椎変形を画定している複数の椎骨のぞれぞれに一対の骨アンカーを錨着させる段階と、
前記一対の骨アンカーをブリッジ部材と相互接続する段階と、を更に含んでおり、
前記連結する段階は、前記細長い要素を前記ブリッジ部材のそれぞれに係合させる段階を含んでいる、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記一対の骨アンカーは前記脊柱の互いに反対側に配置され、
前記細長い要素は前記脊柱の中間部分に沿って配置される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記脊椎変形を整復する段階は、影響を受ける椎骨を3つの空間面に沿って回転させることと並進運動させることの内の少なくとも一方を含んでいる、請求項50に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2008−537900(P2008−537900A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504160(P2008−504160)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/010467
【国際公開番号】WO2006/104813
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】