説明

脊椎変形を矯正するための固定装置および方法

【課題】脊椎変形を矯正するための方法および装置を改善する。
【解決手段】脊椎変形を矯正するのに有効であると同時に、脊椎の柔軟性をいくらか可能にする脊椎固定方法および装置が提供されている。詳細には、この方法および装置により、脊椎固定要素がいくつかの隣り合う椎骨にかみ合い、椎骨を互いに対して一定の距離に維持することができ、それでいて、患者の椎骨の向きが変化したら、各椎骨の向きを固定要素に対して調整できる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、脊椎変形を矯正するための非癒合式(non-fusion)方法および装置に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
脊椎変形には、脊椎の回転、角形成、および/または、湾曲があり、これはさまざまな疾患から生じうる。このさまざまな疾患としては、例えば、側弯症(脊椎の冠状面における異常な湾曲)、後弯症(脊椎の後方への湾曲)、および、脊椎すべり症(腰椎の前方への変位)がある。このような変形を矯正する初期の手法は、椎骨の再配置を試みて脊椎に力を加える外部装置を利用していた。しかし、このような装置では、厳しい制限があり、また、場合によっては、患者を動けなくした。このためこのような装置が必要なくなるように、複数の椎骨にわたってまたがり、椎骨を所望の方向に押すように、いくつかのロッド型手法が、開発されている。
【0003】
ロッド型手法では、1つ以上のロッドが椎骨にいくつかの固定部位において取り付けられて、漸次脊椎変形を矯正する。ロッドは、通常、所望の調整済みの脊椎の湾曲に予め曲げられる。ワイヤも、個々の椎骨をロッドの方へ引っ張るのに用いることができる。脊椎が実質的に矯正されたら、この処置は、通常、器具が取り付けられた脊椎の部分における癒合を必要とする。
【0004】
いくつかの異なるロッド型システムが開発されたが、これらのシステムは扱いにくい傾向があり、複雑な外科手術が必要で、矯正が達成されるまでの手術時間も長い。さらに、手術中にロッド型システムの調整は難しいことがあり、複数回折り曲げ操作を行うことで機械特性を失うこともありうる。最後に、剛体ロッド型システムの剛性および耐久性のため、脊椎は成長することができず、一般に、脊椎のさまざまな高さでの癒合を必要とし、劇的に脊椎の柔軟性を減らしている。
【0005】
したがって、脊椎変形を矯正するための方法および装置を改善する必要性が残っている。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、脊椎変形の矯正のための脊椎固定方法および装置のさまざまな実施形態を提供する。例示的な一実施形態では、脊椎固定装置が提供され、この脊椎固定装置は、骨に係合(engage)するように構成された骨係合部材(bone-engaging member)と、骨係合部材に可動に連結され、脊椎固定要素を設置するように構成されたレシーバ部材とを有する。固定装置は、止めねじのような締結要素をも含むことができ、この締結要素は、レシーバ部材にかみ合うように構成されており、固定要素をレシーバ部材に対して固定位置(fixed position)に固定しながらも、レシーバ部材が骨係合部材に対して自由に動けるようにするものである。
【0007】
レシーバ部材は、さまざまな形態(configurations)を有することができるが、例示的な一実施形態では、レシーバ部材が、レシーバ部材の近位部分に形成された凹部であって、脊椎固定要素を設置するように構成されている凹部を含む。凹部は、好ましくは、レシーバ部材の遠位部分にある空洞部から離間し、この空洞部から独立している。レシーバ部材は、骨係合部材に可動にかみ合わされた遠位部分と、脊椎固定要素を設置するために、レシーバ部材の中に形成された凹部を有する近位部分とをさらに含むことができる。
【0008】
骨係合部材に対するレシーバ部材の動きは変わることができ、一実施形態では、骨係合部材は、レシーバ部材が、ある軸に沿って骨係合部材に対して軸回転するように軸回転可能にレシーバ部材に連結されることができる。非限定的な例であるが、レシーバ部材および骨係合部材を軸回転可能にかみ合わせるために、ピン部材がレシーバ部材の遠位端を通って、かつ、骨係合部材の近位端を通って延在している。別の実施形態では、骨係合部材がレシーバ部材に多軸に(polyaxially)連結されることが可能である。非限定的な実施形態であるが、骨係合部材は、骨係合部材の近位端に形成された球形頭部を含むことができ、レシーバ部材が、レシーバ部材の遠位部分に形成された空洞部であって、骨係合部材の球形頭部を多軸に設置するように構成された空洞部を含むことができる。他の態様では、レシーバ部材の一部および/または骨係合部材の一部は、酸化チタン、窒化物、または、コバルト・クロム合金のような表面被覆であって、レシーバ部材が骨係合部材に対して動きやすくなるように構成されている表面被覆をオプションとして含むことができる。
【0009】
本発明の別の実施形態では、脊椎固定システムが提供され、このシステムは、脊椎固定要素と、骨係合部材、および、骨係合部材に自由に動けるように連結されており、脊椎固定要素を収容するように構成されたレシーバ部材を有する脊椎固定装置と、脊椎固定装置のレシーバ部材の内部に収容されることができ、脊椎固定要素を脊椎固定装置に固定するように構成されている締結要素と、を有する。脊椎固定要素は、さまざまな形態を有することができ、適切な脊椎固定要素としては、例えば、ケーブル、つなぎ鎖(tethers)、剛体脊椎ロッド、または、可撓性脊椎ロッドがある。脊椎固定要素はまた、さまざまな材料から形成でき、その材料としては、例えば、ステンレススチール、チタン、非吸収性ポリマー、吸収性ポリマー、および、これらの組み合わせがある。
【0010】
他の実施形態では、本発明が脊椎変形を矯正する方法を提供し、この方法は、複数の固定装置を脊柱の隣り合う椎骨に埋め込む段階を含む。各固定装置は、好ましくは、椎骨に固定して(fixedly)取り付けられた骨係合部材と、骨係合部材および椎骨に対して自由に動けるレシーバ部材とを含む。脊椎固定要素は、次に、各固定装置にあるレシーバ部材に、固定要素が隣り合う椎骨の各々の間に延在するように連結される。いったん適切に配置されたら、脊椎固定要素が各固定装置のレシーバ部材に固定され、隣り合う椎骨を互いに対して一定の距離に維持しつつも、各椎骨がその固定位置で自由に動けるようにする。
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面とともに参照するとより詳しく理解できる。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、概して、脊椎変形を矯正するのに有効でありながらも、脊椎の柔軟性をある程度許容する脊椎固定方法および装置を提供する。詳細には、この方法および装置により、脊椎固定要素がいくつかの隣り合う椎骨にかみ合って、椎骨を互いに対して一定の距離に維持することができ、それでいて、その固定位置にある各椎骨の向きを、例えば、運動および/または成長によって患者の脊椎の向きが変化したら、調整することが可能である。このような形態を用意するには、さまざまな手法を用いることができるが、本発明の一実施形態による例示的な固定装置は、概して、椎骨に埋め込まれるように構成された骨係合部材と、骨係合部材に可動に連結され、かつ、脊椎固定要素にかみ合わせるのに有効であるレシーバ部材とを含む。使用時、いくつかの固定装置が患者の脊椎における隣り合う椎骨に埋め込まれ、脊椎固定要素が各固定装置に固定してかみ合わせられると、脊椎固定要素が、隣り合う椎骨を互いに対して所望の一定距離に維持するのに有効となる。しかし、各椎骨は、その固定位置において、脊椎固定要素に対して、向きを変えることができる。これは、椎骨に埋め込まれている骨係合部材が、骨係合部材に結合しており、かつ、脊椎固定要素にかみ合わせられているレシーバ部材に可動に取り付けられているからである。結果として、脊椎固定装置は、患者の脊椎を動かせるようにする。このような手法は、患者の脊椎を短くしたり、および/または、成長を止めたりするのに対して有益でありうるが、この方法および装置は、脊椎のさまざまな他の応用例に使用されうる。非限定的な例であるが、狭窄に対する減圧装置として、および/または、椎骨の小関節面から荷重を取り去るための椎間板の補助として機能するように背部を活性化させる(posterior dynamization)のに使用することができる。
【0013】
図1Aから図1Dは、脊椎固定装置10の例示的な一実施形態を図示しており、この脊椎固定装置は、レシーバ部材12を含んでおり、レシーバ部材12は、骨係合部材14に多軸に(polyaxially)連結されている。骨係合部材14は、さまざまな形態を有しうるが、この実施形態では、骨係合部材14が多軸ネジという形態をしており、この多軸ネジは、ネジが切られた軸部(shank)14bと、実質的に球形の頭部14aとを有する。頭部14aの近位端は、図示の実施形態では、平坦な近位面14cを形成するように先端が切ってあってもよく、この平坦な近位面14cは、より詳細に後述するように骨係合部材14がレシーバ部材12に対して多軸に動きやすいようにする。頭部14aは、ドライバー収容要素を含むこともでき、このドライバー収容要素は、ドライバー装置とはまり合うために、平坦な近位端14cに形成される。ドライバー収容要素は、例えば、骨係合部材14を骨にねじ込むのに使用されうるドライバー工具を収容するために、頭部14aの近位端14c内に形成されたソケット14d(図1Cおよび図1D)であってもよい。当業者には分かるであろうが、骨にかみ合わせるのに有効である事実上あらゆる装置が、骨係合部材14の代わりに使用されることができ、これには、骨係合部材14がレシーバ部材12に可動に連結される限りにおいて、例えば、ネジ、フック、ボルト、プレート等が含まれる。
【0014】
レシーバ部材12もさまざまな形態を有しうるが、図示の実施形態では、レシーバ部材12は、概してU字形状をしており、近位部分12aを含んでいる。近位部分12aは、向き合った側壁、すなわち、脚部13a、13bを有し、この脚部13a、13bは、互いに実質的に平行であり、脚部13a、13bの間に脊椎固定要素18を設置するための凹部16を規定している。脊椎固定要素18は、さまざまな形態を有することができ、非限定的な例であるが、剛体である、半剛体である、湾曲可能である、可撓性を有する等のものであってもよい。本発明で使用できる適当な脊椎固定要素としては、非限定的な例であるが、ロッド、つなぎ鎖、ケーブル、プレート等がある。脊椎固定要素18は、さまざまな材料から形成することもでき、このような材料としては、例えば、ステンレススチール、チタン、非吸収性ポリマー、吸収性ポリマー、およびこれらの組み合わせがある。ある応用例では、曲げることを考慮し可撓性があるが、それにも拘わらず、伸ばされることがない、すなわち、長くなることがないように、引っ張りに対して剛性を有する固定要素を用意することが好ましいことがある。このような固定要素は、通常の可撓性を許容しつつも、脊椎の成長を防止することが必要な応用例に特に有用である。
【0015】
依然として図1Aから図1Dを参照すると、レシーバ部材12は、骨係合部材14に可動に連結するように構成された遠位部分12bをも含んでいる。詳しくは、遠位部分12bは、座部19を含んでいてもよく、この座部19は、骨係合部材14がレシーバ部材12に対して多軸で可動であるように、骨係合部材14の頭部14aを収容するのに有効であることが好ましい。図示の実施形態では、座部19は、遠位端12bに形成された実質的に球形の空洞部20の壁部の少なくとも一部によって規定されている。座部19は、好ましくは、頭部14aに対して形状が相補的となっている。例えば、図示の実施形態では、座部19および頭部14aが球形形状をしている。もっとも、当業者には分かるであろうが、座部19および頭部14aは、必ずしも球形形状であったり、形状が相補的であったりする必要はない。座部19および頭部14aは、骨係合部材14aがレシーバ部材12に対して多軸に動けるようにするのに足りるどのような形状していてもよい。前述したように、ある実施形態では、頭部14aの近位端が、多軸運動が容易となるように先端が切り取られていることがある。図1Cに示されているように、例えば、固定要素18と、平坦な近位面14cとの間の隙間17により、空洞部20内の頭部14aに対する多軸運動の範囲が大きくなる。
【0016】
図示の実施形態では、空洞部20は、そしてそれ故に座部19は、レシーバ部材12の近位部分12aにある凹部16から間隔をあけて配置されていて、頭部14aと、脊椎固定要素18との接触を防いでおり、これにより、骨係合部材14の球形頭部14aが、凹部16に配置された脊椎固定要素18から干渉を受けずに多軸運動を行うことができる。近位部分12aにある凹部16と、遠位部分12bにある空洞部20との間の間隔は、さまざまな手法を用いて得ることができるが、図示の実施形態では、脚部13a、13bの各々が、図1Cおよび図1Dに示されているように、脚部13a、13bの中に形成されていて、凹部16と空洞部20とを隔てる突起部または隆起部22a、22bを含んでいる。隆起部22a、22bは共に、直径D0を有する開口部22cを規定しており、この直径D0は、脊椎固定要素18の直径Dr、および骨係合部材14の球状頭部14aの直径Dbのどちらよりも小さく、固定要素18および頭部14aが開口部22cを通過することを防ぎ、これによりこの2つ部品を隔てている。
【0017】
開口部22cの直径D0が、骨係合部材14の頭部14aの直径Dbよりも好ましくは小さいので、装置10は、骨係合部材14がレシーバ部材12の近位部分12aを通して挿入されて、頭部14aを球形空洞部20の中に設置できるように構成されることができる。このことは、例えば、脚部13a、13bを広げる、すなわち、引っ張って離し、開口部22cの直径D0を大きくして、これにより、球形頭部14aが開口部22cを通過できるようにすることで行うことができる。次に、頭部14aは、空洞部22の中に設置することができ、そして、脚部13a、13bは、元の状態に戻すことができる。次に、脊椎固定要素18をレシーバ部材12の近位部分12aにある凹部16の中に設置することができ、隆起部22a、22bが、固定要素18が隆起部22a、22bを通って空洞部22の中に入ることを防ぐ。その後、脚部にかみ合う固定機構を使って、脚部13a、13bを、互いに対して一定の位置に固定できる。例示的な固定機構は、より詳細に後述する。
【0018】
他の実施形態(不図示)では、レシーバ部材12の脚部13a、13bに形成された隆起部22a、22bを有する代わりに、レシーバ部材12は、球形頭部14aが遠位部分12bの空洞部22内に配置された後に、レシーバ部材12の中に配置されて、球形頭部14aを固定要素18から引き離すように構成されたインサートを含むことができる。このインサートは、任意の形状と大きさを有することができるが、好ましくは、レシーバ部材12の遠位部分12bにある実質的に球状の空洞部20を完成させるように構成されており、また、レシーバ部材12を通って延びている脊椎固定要素18を設置するように構成されている。インサートは、レシーバ部材12の内部に単に位置するように構成することもできるし、インサートがレシーバ部材12の所望の位置に保持されるように、例えば、ねじ、スナップ止め、または、何らかの他の当該技術で既知の係合手法を用いて、レシーバ部材12にかみ合うように構成することもできる。使用時には、インサートにより、骨係合部材14がレシーバ部材12の遠位部分12bにある空洞部20内で自由に回転できる。これは、このインサートが、骨係合部材14の球形頭部14aを押さないからである。このインサートはまた、脊椎固定要素18がレシーバ部材12の中で固定されることを、より詳細に後述する手法を用いて可能にする。当業者には分かるであろうが、さまざまな他の技法を、骨係合部材14をレシーバ部材12に取り付け、レシーバ部材12から取り外すことを可能にするのに用いることができる。非限定的な例であるが、レシーバ部材12の近位部分12aおよび遠位部分12bが、別個の部品であって、例えば、ねじまたは他の当該技術で既知のかみ合わせ手法を用いて、互いにかみ合わせ可能な部品であってもよい。このような形態は、骨係合部材14の頭部14aを遠位部分12bにある空洞部20の内部に、レシーバ部材12の近位部分12aおよび遠位部分12bが互いにかみ合う前に配置可能にする。不図示の、または、本明細書に記載されていない他の手法もまた、骨係合部材14およびレシーバ部材12が少なくとも部分的に互いに対して自由に動くことができる限り、用いることができる。例えば、ある実施形態では、骨係合部材14の頭部14aが、レシーバ部材12の遠位端を通して挿入されてもよい。このような実施形態では、開口部12cが必要でないであろうし、それ故に、図1Eに示されるように、非限定的な例であるが、空洞部20”、および、凹部16”がレシーバ部材12”内で完全に切り離されていてもよい。
【0019】
前述したように、装置10は、締結要素をも含むことができ、この締結要素は、脊椎固定要素18をレシーバ部材12に固定するのに有効であり、また、より好ましくは、脊椎固定要素18をレシーバ部材12にある凹部16の中で、脊椎固定要素18がレシーバ12に対して動かないように固定するのに有効である。締結要素は、さまざまな形態を有することができ、レシーバ部材の脚部13a、13bの内側部分および/または外側部分にかみ合うように構成することができる。図1Bから図1Dは、締結要素の一実施形態を図示しており、この締結要素は、ねじが切られた止めねじ24の形態をしており、この止めねじ24は、レシーバ部材12の内部、つまり、脚部13a、13bに形成された対応するねじ部と噛み合うように構成されている。当業者には分かるであろうが、当該技術で既知のさまざまな締結要素が本発明のさまざまな脊椎固定装置と共に使用でき、また、図示した止めねじ24は、締結要素の例示的な一例にすぎない。
【0020】
図2は、図1Aから図1Dに示された脊椎固定装置10が使用されている状態を示している。図示の実施形態では、2つの脊椎固定装置10、10’が隣り合う椎骨50、52に埋め込まれているが、任意の数の脊椎固定装置が使用されてもよく、また、その数は、行われる処置の性質によって変わる。装置10、10’は、各装置10、10’の骨係合部材14、14’をレシーバ部材12、12’に通して挿入し、次に、骨係合部材14、14’を椎骨にねじ込むことにより、椎骨50、52に埋め込まれる。前述したように、これは、各骨係合部材14、14’にある球状頭部14a、14a’におけるソケット14d、14d’のようなドライバー収容要素と係合するように構成されたドライバー工具を用いることで行うことができる。骨係合部材14、14”が隣り合う椎骨50、52に埋め込まれると、脊椎ロッド18のような脊椎固定要素が各装置10、10’のレシーバ部材12、12’内に配置される。装置10、10’は、好ましくは、脊椎変形を矯正するのに使用されるので、各椎骨の位置は、ロッド18を各レシーバ部材12、12’内に設置するために、調整して変形を矯正する必要があり得る。いったん適切に配置されたら、ロッド18は、各レシーバ部材12、12’に、好ましくは、止めねじのような固定機構を各レシーバ部材12、12’の頭部に挿入することで、固定されることが可能で、これにより、椎骨50、52を互いから離れた一定距離に維持することができる。各骨係合部材14、14’は、各レシーバ部材12、12’に対して多軸に可動であるので、各椎骨50、52は、その固定位置において、その椎骨に連結されているレシーバ部材12、12’に対して自由に動くことができ、したがって、脊椎が動くことを可能にしている。
【0021】
図3Aおよび図3Bは、脊椎固定装置100のさらに別の実施形態を図示している。図面には、2つの装置100、100’が隣り合う椎骨150、152に埋め込まれているところが図示されているが、装置100、100’は、実質的に同様であり、したがって、1つの装置100のみを説明する。図示のように、装置100は、脊椎固定要素118を設置するための近位部分112aと、骨係合部材114に連結されるよう構成された遠位部分とを有するレシーバ部材112を含む点で、装置10と同様である。しかし、この実施形態では、レシーバ部材112の骨係合部材114に対する多軸運動を可能にする代わりに、レシーバ部材112は、点Aによって示されている軸に沿って、骨係合部材114に対して軸回転する。軸回転運動は、さまざまな手法を用いて達成でき、例示的な一実施形態では、ベアリング要素が部品112、114の間に形成されることが可能である。このベアリング要素は、例えば、ピン部材120であってよく、このピン部材120は、レシーバ部材112の遠位部分112bを通って延び、かつ、骨係合部材114の一部を通って延びる。骨係合部材114は多軸でないので、骨係合部材114は、頭部がその上に形成されていてもよいし、されていなくてもよく、このため、ピン部材120は、骨係合部材114の頭部を通って延びることもできるし、骨係合部材114のシャフト114bの一部を直接通って延びることもできる。当業者には分かるであろうが、さまざまな他の手法を用いて、骨係合部材114に軸回転可能に連結されたレシーバ部材112を提供することができる。
【0022】
使用時には、いくつかの装置100を隣り合う椎骨に埋め込んで、椎骨を互いに対して固定位置に維持することができ、それでいて、例えば、患者の脊椎が曲がるように、各椎骨がその固定位置で軸回転することができる。図4Aおよび図4Bに示されるように、2つの装置100、100’が隣り合う椎骨150、152に埋め込まれている。図4Aにおいて、椎骨150、152は、第1の固定位置で固定用脊椎ロッド118によって各装置100、100’のレシーバ部材112、112’に維持されている。図4Bでは、椎骨150、152が、患者の脊椎の湾曲のために、その固定位置において軸回転しており、このため、各骨係合部材114、114’が軸Aに沿って、骨係合部材114、114’に連結したレシーバ部材112、112’に対して、そして、各レシーバ部材112、112’にかみ合わされている脊椎固定要素18に対して軸回転している。このような形態は、椎骨150、152の軸方向回転を防ぎながら、患者の冠状面のような単一面に沿った動きが必要な応用例では有効であることがある。
【0023】
本発明のさまざまな実施形態による脊椎固定装置は、さまざまな材料から形成されることが可能であり、このような材料としては、例えば、ステンレススチール、チタン、コバルト・クロム合金等がある。他の実施形態では、脊椎固定装置が骨係合部材をレシーバ部材に対して動かしやすくする特徴部を含んでいてもよい。例えば、図1Aから図1Dに示された装置10を参照すると、互いに接触する骨係合部材14およびレシーバ部材12の一部、例えば、骨係合部材14の球形頭部14aおよび/またはレシーバ部材12の空洞部20は、その上または中の表面が被覆されていてもよい。この表面被覆は、部品12、14が自由に動けるようにし、かつ、好ましくは耐摩耗性がある材料から形成されることが可能である。非限定的な例であるが、適切な材料としては、酸化チタン、窒化物、および、コバルト・クロム合金がある。
【0024】
当業者には、本発明の他の特徴および利点が上記の実施形態に基づいて分かるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲により示す場合を除いて、詳しく示し、説明したことによって限定されない。本明細書で引用した全ての刊行物および参照文献は、参照することによりその全体が本明細書に特に組み込まれる。
【0025】
〔実施の態様〕
(1)脊椎固定装置において、
骨に係合するように構成された骨係合部材と、
前記骨係合部材に可動に連結されたレシーバ部材であって、脊椎固定要素を設置するように構成された、レシーバ部材と、
前記レシーバ部材にかみ合わせるよう構成された締結要素であって、前記固定要素を前記レシーバ部材に対して固定位置に固定しつつも、前記レシーバ部材が前記骨係合部材に対して自由に動けるようにする、締結要素と、
を備える、脊椎固定装置。
(2)実施態様1記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材が前記骨係合部材に対して所与の軸に沿って軸回転するように、軸回転可能に前記レシーバ部材に連結されている、脊椎固定装置。
【0026】
(3)実施態様2記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材および前記骨係合部材を軸回転可能にかみ合わせるために、前記レシーバ部材の遠位端を通り、かつ、前記骨係合部材の近位端を通って延びている、ピン部材、
をさらに備える、脊椎固定装置。
(4)実施態様2記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材および前記レシーバ部材の、互いに接触する部分に設けられている表面被覆、
をさらに備えている、脊椎固定装置。
(5)実施態様4記載の脊椎固定装置において、
前記表面被覆が、酸化チタン、窒化物、および、コバルト・クロム合金からなる群から選択された材料から形成されている、脊椎固定装置。
【0027】
(6)実施態様1記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材が、前記レシーバ部材に多軸に連結されている、脊椎固定装置。
(7)実施態様6記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材は、前記骨係合部材の近位端に形成された球形頭部を含み、
前記レシーバ部材は、前記レシーバ部材の遠位部分に形成されており、かつ、前記骨係合部材の前記球形頭部を多軸に設置するように構成された、空洞部を含む、
脊椎固定装置。
(8)実施態様7記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材は、
前記レシーバ部材の近位部分に形成されており、脊椎固定要素を設置するように構成されている、凹部であって、前記レシーバ部材の前記遠位部分に設けられている前記空洞部から離間し、前記空洞部から独立している、凹部、
を含む、
脊椎固定装置。
【0028】
(9)実施態様1記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材は、
前記骨係合部材に可動にかみ合わされた遠位部分と、
凹部を有する近位部分であって、前記凹部は、脊椎固定要素を設置するために、前記近位部分の中に形成されている、近位部分と、
を含む、
脊椎固定装置。
(10)実施態様9記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の前記近位部分にかみ合うように構成されており、脊椎固定要素を前記レシーバ部材の前記凹部内に係合し、固定する、脊椎固定装置。
(11)実施態様10記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素が、前記レシーバ部材の前記凹部の少なくとも一部の中に形成された対応するねじ部と、かみ合うように構成された止めねじを備えている、脊椎固定装置。
【0029】
(12)脊椎固定システムにおいて、
脊椎固定要素と、
骨係合部材、およびレシーバ部材、を有する脊椎固定装置であって、前記レシーバ部材は、自由に動けるように前記骨係合部材に連結されており、かつ、前記脊椎固定要素を収容するように構成されている、脊椎固定装置と、
前記脊椎固定装置の前記レシーバ部材内に収容されることができ、前記脊椎固定要素を前記脊椎固定装置に固定するように構成されている、締結要素と、
を備える、脊椎固定システム。
(13)実施態様12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材は、前記骨係合部材に軸回転可能に連結されている、脊椎固定システム。
【0030】
(14)実施態様13記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材の前記骨係合部材に対する軸回転運動を可能にするために、前記レシーバ部材と前記骨係合部材との間に形成された、ベアリング要素、
をさらに備える、脊椎固定システム。
(15)実施態様13記載の脊椎固定システムにおいて、
前記ベアリング要素が、前記ベアリング要素に対する前記レシーバ部材の運動を容易にするように構成された表面被覆を含んでいる、脊椎固定システム。
(16)実施態様15記載の脊椎固定システムにおいて、
前記表面被覆は、酸化チタン、窒化物、および、コバルト・クロム合金からなる群から選択された材料で形成されている、脊椎固定システム。
【0031】
(17)実施態様12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材に多軸に連結されている、脊椎固定システム。
(18)実施態様17記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記骨係合部材上に形成された球形頭部を含み、
前記レシーバ部材は、前記球形頭部を収容するために、前記レシーバ部材内に形成された空洞部を含む、
脊椎固定システム。
(19)実施態様12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材の遠位端に連結されており、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の近位端にかみ合わせ可能である、
脊椎固定システム。
(20)実施態様19記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材の前記近位端は、前記脊椎固定要素を設置するために、前記レシーバ部材の前記近位端に形成された、ほぼU字形状をした凹部を含む、脊椎固定システム。
【0032】
(21)実施態様20記載の脊椎固定システムにおいて、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の中に形成された前記U字形状凹部の少なくとも一部の内側に形成された対応するねじ部にかみ合わせるために、前記締結要素に形成されたねじ部を含む、脊椎固定システム。
(22)実施態様12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記脊椎固定要素は、ケーブル、つなぎ鎖(tether)、剛体脊椎ロッド、および、可撓性脊椎ロッドからなる群から選択される、脊椎固定システム。
(23)実施態様12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記脊椎固定要素が、ステンレススチール、チタン、非吸収性ポリマー、吸収性ポリマー、および、これらの組み合わせからなる群から選択された材料で形成されている、脊椎固定システム。
【0033】
(24)脊椎変形を矯正する方法であって、
脊柱における隣り合う椎骨に複数の固定装置を埋め込む段階であって、各固定装置が、前記椎骨に固定して取り付けられた骨係合部材、ならびに、前記骨係合部材および前記椎骨に対して自由に動けるレシーバ部材、を含む、段階と、
脊椎固定要素が前記隣り合う椎骨の各々の間に延在するように、前記固定装置の各々に備えられている前記レシーバ部材に、前記脊椎固定要素を連結する段階と、
前記隣り合う椎骨を互いに対して一定の距離に維持しながらも、前記固定位置における前記椎骨の各々の自由な運動を可能にするように、前記固定装置の各々にある前記レシーバ部材に前記脊椎固定要素を固定する段階と、
を含む、方法。
【0034】
(25)実施態様24記載の方法において、
少なくとも1つの前記固定装置の前記レシーバ部材が、単一の面に沿って、前記骨係合部材に対して移動可能である、方法。
(26)実施態様24記載の方法において、
少なくとも1つの前記固定装置の前記骨係合部材が、前記レシーバ部材に多軸に連結されている、方法。
(27)実施態様24記載の方法において、
前記骨係合部材は、前記骨係合部材の近位端に形成された球形頭部を含み、
前記レシーバ部材は、前記レシーバ部材の遠位部分に形成されていて、前記骨係合部材の前記球形頭部を多軸に設置するように構成された、空洞部を含む、
方法。
【0035】
(28)実施態様24記載の方法において、
前記レシーバ部材が、前記レシーバ部材の近位部分に形成されていて、前記脊椎固定要素を設置するように構成された、凹部を含む、方法。
(29)実施態様24記載の方法において、
前記レシーバ部材が、
前記骨係合部材に可動に連結された遠位部分と、
凹部を有する近位部分であって、前記凹部は、前記脊椎固定要素を設置するために前記近位部分の中に形成されている、近位部分と、
を含む、方法。
(30)実施態様24記載の方法において、
前記固定する段階は、締結要素を各レシーバ部材に取り付けて、前記レシーバ部材の中に前記脊椎固定要素を係合させて、固定する段階を含む、方法。
【0036】
(31)実施態様24記載の方法において、
前記脊椎固定要素は、ケーブル、つなぎ鎖、剛性脊椎ロッド、および、可撓性脊椎ロッドからなる群から選択されている、方法。
(32)脊椎固定装置において、
頭部、および軸部(shank)、を有する骨ネジと、
前記骨ネジの前記頭部の少なくとも一部を収容するための遠位座部、および、脊椎固定ロッドを収容するための近位座部、を有するレシーバ部材と、
前記レシーバ部材とかみ合って、前記脊椎固定ロッドを前記近位座部に設置するように構成された締結要素であって、前記締結要素によって前記脊椎固定ロッドが前記近位座部に設置された状態で、前記骨ネジが前記レシーバ部材に対して多軸運動を行うことができるように、前記近位座部は前記遠位座部から十分な距離をおいて配置されている、締結要素と、
を備える、脊椎固定装置。
【0037】
(33)実施態様32記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材が、前記レシーバ部材に設けられている近位開口部から延びる凹部を含み、
前記凹部の遠位部分が、前記脊椎固定ロッドのための前記近位座部を画定している、
脊椎固定装置。
(34)実施態様33記載の脊椎固定装置において、
前記凹部は、ほぼU字形状の形態をしており、2つの向き合った脚部によって画定されている、脊椎固定装置。
(35)実施態様34記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素は、前記脚部に設けられた雌ねじ部と係合するための雄ねじ部を有する止めねじである、脊椎固定装置。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明による脊椎固定装置の一実施形態の側面図である。
【図1B】図1Aに示された脊椎固定装置の別の側面図である。
【図1C】図1Aに示されている脊椎固定装置の線A−Aに沿って取られた断面図である。
【図1D】図1Cに示された脊椎固定装置の近位部分の拡大図である。
【図1E】脊椎固定装置の別の実施形態の近位部分の拡大図である。
【図2】脊椎変形の矯正方法の一実施形態による隣り合う椎骨に埋め込まれた、図1Aに示されたような、2つの脊椎固定装置の側面の部分断面図である。
【図3A】脊椎変形を矯正する方法の別の実施形態による、脊椎固定ロッドに連結されたレシーバ部材と、隣り合う椎骨に埋め込まれた骨係合部材とを有する2つの脊椎固定装置の側面図である。
【図3B】図3Aに示された脊椎固定装置であって、椎骨の動きを考慮して、レシーバ部材を骨係合部材に対して軸回転させたものの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎固定装置において、
骨に係合するように構成された骨係合部材と、
前記骨係合部材に可動に連結されたレシーバ部材であって、脊椎固定要素を設置するように構成された、レシーバ部材と、
前記レシーバ部材にかみ合わせるよう構成された締結要素であって、前記固定要素を前記レシーバ部材に対して固定位置に固定しつつも、前記レシーバ部材が前記骨係合部材に対して自由に動けるようにする、締結要素と、
を備える、脊椎固定装置。
【請求項2】
請求項1記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材が前記骨係合部材に対して所与の軸に沿って軸回転するように、軸回転可能に前記レシーバ部材に連結されている、脊椎固定装置。
【請求項3】
請求項2記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材および前記骨係合部材を軸回転可能にかみ合わせるために、前記レシーバ部材の遠位端を通り、かつ、前記骨係合部材の近位端を通って延びている、ピン部材、
をさらに備える、脊椎固定装置。
【請求項4】
請求項2記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材および前記レシーバ部材の、互いに接触する部分に設けられている表面被覆、
をさらに備えている、脊椎固定装置。
【請求項5】
請求項4記載の脊椎固定装置において、
前記表面被覆が、酸化チタン、窒化物、および、コバルト・クロム合金からなる群から選択された材料から形成されている、脊椎固定装置。
【請求項6】
請求項1記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材が、前記レシーバ部材に多軸に連結されている、脊椎固定装置。
【請求項7】
請求項6記載の脊椎固定装置において、
前記骨係合部材は、前記骨係合部材の近位端に形成された球形頭部を含み、
前記レシーバ部材は、前記レシーバ部材の遠位部分に形成されており、かつ、前記骨係合部材の前記球形頭部を多軸に設置するように構成された、空洞部を含む、
脊椎固定装置。
【請求項8】
請求項7記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材は、
前記レシーバ部材の近位部分に形成されており、脊椎固定要素を設置するように構成されている、凹部であって、前記レシーバ部材の前記遠位部分に設けられている前記空洞部から離間し、前記空洞部から独立している、凹部、
を含む、
脊椎固定装置。
【請求項9】
請求項1記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材は、
前記骨係合部材に可動にかみ合わされた遠位部分と、
凹部を有する近位部分であって、前記凹部は、脊椎固定要素を設置するために、前記近位部分に形成されている、近位部分と、
を含む、
脊椎固定装置。
【請求項10】
請求項9記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の前記近位部分にかみ合うように構成されており、脊椎固定要素を前記レシーバ部材の前記凹部内に係合し、固定する、脊椎固定装置。
【請求項11】
請求項10記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素が、前記レシーバ部材の前記凹部の少なくとも一部の中に形成された対応するねじ部と、かみ合うように構成された止めねじを備えている、脊椎固定装置。
【請求項12】
脊椎固定システムにおいて、
脊椎固定要素と、
骨係合部材、およびレシーバ部材、を有する脊椎固定装置であって、前記レシーバ部材は、自由に動けるように前記骨係合部材に連結されており、かつ、前記脊椎固定要素を収容するように構成されている、脊椎固定装置と、
前記脊椎固定装置の前記レシーバ部材内に収容されることができ、前記脊椎固定要素を前記脊椎固定装置に固定するように構成されている、締結要素と、
を備える、脊椎固定システム。
【請求項13】
請求項12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材は、前記骨係合部材に軸回転可能に連結されている、脊椎固定システム。
【請求項14】
請求項13記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材の前記骨係合部材に対する軸回転運動を可能にするために、前記レシーバ部材と前記骨係合部材との間に形成された、ベアリング要素、
をさらに備える、脊椎固定システム。
【請求項15】
請求項13記載の脊椎固定システムにおいて、
前記ベアリング要素が、前記ベアリング要素に対する前記レシーバ部材の運動を容易にするように構成された表面被覆を含んでいる、脊椎固定システム。
【請求項16】
請求項15記載の脊椎固定システムにおいて、
前記表面被覆は、酸化チタン、窒化物、および、コバルト・クロム合金からなる群から選択された材料で形成されている、脊椎固定システム。
【請求項17】
請求項12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材に多軸に連結されている、脊椎固定システム。
【請求項18】
請求項17記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記骨係合部材上に形成された球形頭部を含み、
前記レシーバ部材は、前記球形頭部を収容するために、前記レシーバ部材内に形成された空洞部を含む、
脊椎固定システム。
【請求項19】
請求項12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記骨係合部材は、前記レシーバ部材の遠位端に連結されており、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の近位端にかみ合わせ可能である、
脊椎固定システム。
【請求項20】
請求項19記載の脊椎固定システムにおいて、
前記レシーバ部材の前記近位端は、前記脊椎固定要素を設置するために、前記レシーバ部材の前記近位端に形成された、ほぼU字形状をした凹部を含む、脊椎固定システム。
【請求項21】
請求項20記載の脊椎固定システムにおいて、
前記締結要素は、前記レシーバ部材の中に形成された前記U字形状凹部の少なくとも一部の内側に形成された対応するねじ部にかみ合わせるために、前記締結要素に形成されたねじ部を含む、脊椎固定システム。
【請求項22】
請求項12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記脊椎固定要素は、ケーブル、つなぎ鎖(tether)、剛体脊椎ロッド、および、可撓性脊椎ロッドからなる群から選択される、脊椎固定システム。
【請求項23】
請求項12記載の脊椎固定システムにおいて、
前記脊椎固定要素が、ステンレススチール、チタン、非吸収性ポリマー、吸収性ポリマー、および、これらの組み合わせからなる群から選択された材料で形成されている、脊椎固定システム。
【請求項24】
脊椎変形を矯正する方法であって、
脊柱における隣り合う椎骨に複数の固定装置を埋め込む段階であって、各固定装置が、前記椎骨に固定して取り付けられた骨係合部材、ならびに、前記骨係合部材および前記椎骨に対して自由に動けるレシーバ部材、を含む、段階と、
脊椎固定要素が前記隣り合う椎骨の各々の間に延在するように、前記固定装置の各々に備えられている前記レシーバ部材に、前記脊椎固定要素を連結する段階と、
前記隣り合う椎骨を互いに対して一定の距離に維持しながらも、前記固定位置における前記椎骨の各々の自由な運動を可能にするように、前記固定装置の各々にある前記レシーバ部材に前記脊椎固定要素を固定する段階と、
を含む、方法。
【請求項25】
脊椎固定装置において、
頭部、および軸部(shank)、を有する骨ネジと、
前記骨ネジの前記頭部の少なくとも一部を収容するための遠位座部、および、脊椎固定ロッドを収容するための近位座部、を有するレシーバ部材と、
前記レシーバ部材とかみ合って、前記脊椎固定ロッドを前記近位座部に設置するように構成された締結要素であって、前記締結要素によって前記脊椎固定ロッドが前記近位座部に設置された状態で、前記骨ネジが前記レシーバ部材に対して多軸運動を行うことができるように、前記近位座部は前記遠位座部から十分な距離をおいて配置されている、締結要素と、
を備える、脊椎固定装置。
【請求項26】
請求項25記載の脊椎固定装置において、
前記レシーバ部材が、前記レシーバ部材に設けられている近位開口部から延びる凹部を含み、
前記凹部の遠位部分が、前記脊椎固定ロッドのための前記近位座部を画定している、
脊椎固定装置。
【請求項27】
請求項26記載の脊椎固定装置において、
前記凹部は、ほぼU字形状の形態をしており、2つの向き合った脚部によって画定されている、脊椎固定装置。
【請求項28】
請求項27記載の脊椎固定装置において、
前記締結要素は、前記脚部に設けられた雌ねじ部と係合するための雄ねじ部を有する止めねじである、脊椎固定装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2008−500874(P2008−500874A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515100(P2007−515100)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/014384
【国際公開番号】WO2005/117729
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504003396)デピュイ・スパイン・インコーポレイテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Spine,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,MA 02767,U.S.A.
【Fターム(参考)】