説明

脚装具

【課題】下腿装具と足装具の位置関係を調整することのできる脚装具を提供する。
【解決手段】脚装具100は、下腿装具16、足装具100、及び足首ジョイント17を備える。下腿装具16はユーザの下腿に固定される。足装具100はユーザの足に固定される。足首ジョイント17は足装具をユーザの足首のピッチ軸回りに揺動可能に下腿装具に連結する。足装具100は、荷重センサ31を備えた足底ユニット40と位置調整機構42を有している。位置調整機構42は、足首ジョイント17に対する足底ユニット40の取り付け位置を足のヨー軸に交差する面内で調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚装具に関する。
【背景技術】
【0002】
脚の関節を自由に動かせない人のための脚装具が知られている。典型的な脚装具は、下腿装具と足装具と足首ジョイントを備える。下腿装具は、ユーザの脚の下腿に固定される。足装具は、ユーザの足に固定される。足首ジョイントは、足装具をユーザの足首のピッチ軸回りに揺動可能に下腿装具の下端に連結する。脚装具の一例が例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
本明細書における「脚装具」は、脚の関節にトルクを加えるアクチュエータを備えており、ユーザの歩行動作を補助する歩行補助装置も含む。歩行補助装置の一例は例えば特許文献2に開示されている。そのような歩行補助装置(脚装具)は、ユーザと接地面との間の荷重を検知する荷重センサを備えている。脚装具は、荷重センサの出力やユーザの関節角に応じてアクチュエータを制御する。なお、モータを備えない脚装具も荷重センサを備えていることがある。そのような脚装具の荷重センサは、例えば歩行などユーザの動作を計測するために用いられる。
【0004】
本明細書で用いる用語を説明しておく。ピッチ軸は、ユーザの体側方向に伸びる軸を意味する。ヨー軸は、ユーザが直立姿勢をとったときに鉛直方向に伸びる軸を意味する。なお、「ピッチ軸」や「ヨー軸」は、ユーザに固定された座標系を基準として定義される。下腿のヨー軸は下腿の長手方向に伸びる中心線に相当する。足のヨー軸は、足裏面と略直交し、足首関節の回転軸を通る直線に相当する。本明細書で用いる「ピッチ軸」や「ヨー軸」は、ロボット工学で一般的に用いられる用語と同じ意味で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−307216号公報
【特許文献2】特開2002−301124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歩行時にユーザの足は足首関節のピッチ軸の回りに揺動するため、下腿装具と足装具は、足首のピッチ軸と同軸に配置される足首ジョイントによって連結される。従来、下腿装具と足装具は、ユーザの足首のピッチ軸回りに揺動可能であれば十分であると考えられていた。ところが、脚装具を様々なユーザが試してみると、足装具の揺動がユーザに違和感を与えることがあることが判明した。下腿装具と足装具でユーザの脚が拘束されるため、足首ジョイント周りの足装具の揺動とユーザの足の揺動にずれが生じることが違和感の一因であることが判明した。本明細書が開示する新規な技術は、上記課題に鑑みて創作された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する技術は、下腿装具と足装具が足首ジョイントによって連結された脚装具に具現化することができる。この脚装具は、足装具が荷重センサを備えた足底ユニットと、足首ジョイントに対する足底ユニットの取り付け位置を足のヨー軸に交差する面内で調整可能な位置調整機構を有していることを特徴とする。位置調整機構は、足底ユニットのヨー軸周りの角度だけでなく、ヨー軸に交差する面内のピッチ軸方向の位置を調整可能である。そのような位置調整機構を備えることによって、ユーザに与える違和感を低減することができる。
【0008】
位置調整機構の一実施形態は、第1プレートと第2プレートを有している。第1プレートは、足底ユニットをピッチ軸方向に貫通しており、その両端部が足首ジョイントに連結される。第2プレートは、第1プレートに固定されるとともに足底ユニットに固定される。第2プレートはさらに、第1プレートに対するピッチ軸方向の取り付け位置が調整可能であるとともに、足底ユニットに対する足ヨー軸周りの取り付け位置が調整可能であるように構成されている。第1プレートと第2プレートの間で足のピッチ軸方向の位置が調整でき、第2プレートと足底ユニットの間でヨー軸周りの角度が調整できる。
【0009】
上記の脚装具において、足底ユニットが、踵側とつま先側の夫々に配置された少なくとも2個の荷重センサを上下から挟み込む上ソールプレートと下ソールプレートを有しているとよい。そのような構成によって上ソールプレートの上から加わる荷重全体を効果的に計測することができる。なお、上ソールプレートと下ソールプレート間でそれらの縁には、例えばスポンジなどの軟質性素材が配置されていることも好適である。
【0010】
上記の脚装具はさらに、第2プレートが上ソールプレートに固定されていることが好ましい。そのような構成は、上ソールプレートの上から直接伝わるユーザの荷重だけでなく、下腿装具と足装具と第1プレートと第2プレートを介して伝わる荷重成分も含めて計測することができる。
【0011】
位置調整機構の一実施形態では、第2プレートが、下腿の長手方向軸線を中心とする円弧状の第1長孔を有しており、第1長孔を通して足底ユニットにボルト締めされている。そのような構成は、角度調整において踵を中心して足底ユニットをヨー軸周りに回転させることができる。また、他の実施形態では、第1プレートが、足底ユニットのピッチ軸方向に伸びる第2長孔を有しており、第2プレートが第2長孔を通して第1プレートにボルト締めされている。
【0012】
本明細書が開示する技術の他の実施形態では、位置調整機構が、メインフレームとクランプフレームを備えている。メインフレームは、足底ユニットをピッチ軸方向に貫通しており両端部が足首ジョイントに連結される。クランプフレームは、メインフレームとの間で足底ユニットの一部をクランプする。そのような位置調整機構を有する脚装具では、クランプフレームを緩めることによって、メインフレームに対して足底ユニットの位置を自由に動かすことができる。
【0013】
上記他の実施形態の脚装具では、足底ユニットが、踵側とつま先側の夫々に配置された少なくとも2個の荷重センサを上下から挟み込む上ソールプレートと下ソールプレートを有していることが好ましい。そしてさらに、上ソールプレートがメインフレームとクランプフレームの間でクランプされていることが好ましい。そのような構造を有することによって荷重センサが、メインフレームを介して伝わる荷重成分も含めたユーザの全荷重を検知することができる。
【0014】
上記の脚装具はさらに、靴が足底ユニットの上面に面ファスナで取り付けられていることが好ましい。面ファスナを採用することによって、靴を容易に交換することができる。
【0015】
本明細書が開示する技術のさらに他の実施形態の脚装具は、他の構造のメインフレームを備えている。メインフレームは、支持プレートとリブを有する。支持プレートは、上面と下面に面ファスナを備えているとともに、足底ユニットの長手方向に伸びている。リブは、メインプレートから足底ユニットのピッチ軸方向に伸びており両端部が足首ジョイントに連結される。足底ユニットは、支持プレート下面の面ファスナによってメインフレームの下側に取り付けられる。そして、支持プレート上面の面ファスナによって靴がメインフレームの上側に取り付けられる。2つの面ファスナを採用する上記の脚装具は、靴と足底ユニットそれぞれの位置調整が容易である。
【0016】
上記の脚装具では、支持プレートの先端が足底ユニット内のつま先側荷重センサよりも前方にまで伸びているとともに、支持プレートの後端が踵側荷重センサよりも後方にまで伸びていることが好ましい。そのような構造では、荷重センサを支持プレートが押し下げるので、荷重を正確に計測することができる。
【発明の効果】
【0017】
本明細書が開示する一つの新規な技術によれば、下腿装具と足装具の位置関係を調整することのできる脚装具を提供することができる。さらに本明細書が開示する他の技術は、下腿装具と足装具の位置関係を調整することができるとともに、その調整が荷重センサに与える影響を抑制した脚装具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】脚装具全体の模式的斜視図である。
【図2】第1実施例の足装具の模式的斜視図である。
【図3】第1実施例の足装具の分解図である。
【図4】他の形状の第1プレートの斜視図である。
【図5】第2実施例の足装具の分解図である。
【図6】第2実施例の足装具の平面図である。
【図7】第3実施例の足装具の分解図である。
【実施例1】
【0019】
図面を参照して第1実施例の脚装具を説明する。図1に、ユーザHが装着した脚装具10の模式的斜視図を示す。この脚装具10は、ユーザHの膝関節にトルクを与えて歩行動作を補助することができる。脚装具10は、上腿装具12、下腿装具16、足装具100、膝ジョイント13、及び、足首ジョイント17を備える。
【0020】
図面に示す座標系について説明する。図面に示すXYZ座標系においてX軸がロール軸に相当し、Y軸がピッチ軸に相当し、Z軸がヨー軸に相当する。ロール軸は、足底ユニット40の長手方向に伸びており、ピッチ軸は足底ユニット40の横方向に伸びており、ヨー軸は足底ユニット40の足裏面に略直交する。
【0021】
上腿装具12は、ユーザHの上腿に固定される。なお、上腿装具12にはコントローラ11が取り付けられている。下腿装具16は、ユーザHの下腿に固定される。下腿装具16は、ユーザHの下腿のピッチ軸方向両側に位置するリンク15a、15bと、左右のリンクを連結するとともに下腿装具16を下腿に固定するための連結バー14を有している。
【0022】
下腿装具16は、膝ジョイント13によって上腿装具12に対して揺動可能に連結されている。膝ジョイント13は、ユーザの膝の外側に位置するモータ付ジョイント13aと、ユーザの膝の内側に位置するサブジョイント13bで構成されている。モータ付ジョイント13aとサブジョイント13bはユーザの膝関節のピッチ軸と同軸に位置する。ジョイント13aのモータを駆動することによって、ユーザの膝関節にトルクを加え、歩行動作を補助する。
【0023】
足装具は、ユーザHの足に固定される。足装具100は、足首ジョイント17によって下腿装具16に対して揺動可能に連結されている。より詳しくは、足装具100は、足首ジョイント17から伸びているステー18に連結されており、足首ジョイント17の回転によって下腿装具16に対して揺動する。足首ジョイント17は、ユーザの足首の外側に位置するモータ付ジョイント17aと、ユーザの足首の内側に位置するサブジョイント17bで構成されている。モータ付ジョイント17aとサブジョイント17bはユーザの足首のピッチ軸と同軸に位置する。ジョイント13aのモータを駆動することによって、ユーザの足首関節にトルクを加え、歩行動作を補助する。
【0024】
脚装具10は、モータ付ジョイント13aによって下腿装具16をピッチ軸周りに揺動させることができ、モータ付ジョイント17aによって足装具100をピッチ軸周りに揺動させることができる。モータはコントローラ11によって制御される。コントローラ11は、膝ジョイント13、足首ジョイント17に取り付けられたエンコーダ(不図示)と足装具100に取り付けられた荷重センサの検出に基づいて、ユーザHの歩行動作を補助するように各モータを駆動する。荷重センサについては後述する。歩行補助のための制御についての説明は省略する。
【0025】
脚装具10では、下腿装具16がユーザHの下腿に固定され、足装具100がユーザHの足に固定される。ユーザの足の揺動方向と足装具100の揺動方向がずれていると脚装具10はユーザに違和感を与えてしまう。脚装具10の足装具100は、足首ジョイント17に対する取り付け位置を容易に調整できる位置調整機構を有している。足装具100の取り付け位置を調整することによって、ユーザに与える違和感を抑制することができる。
【0026】
足装具100の構造を詳しく説明する。図2は、足装具100の模式的斜視図であり、図3は足装具100の分解図である。足装具100は、ユーザの足に固定する足底ユニット40と、足首ジョイント17と足底ユニット40を連結する位置調整機構42を備えている。位置調整機構42は、足首ジョイント17に対する足底ユニット40の取り付け位置を調整することができる。より詳しくは、位置調整機構42は、足のヨー軸に交差する面内で足底ユニットの取り付け位置を調整することができる。
【0027】
位置調整機構42は、第1プレート25と第2プレート24を有する。位置調整機構42は、足底ユニット40の前後方向の略中央に設けられた空間Sを通じて足底ユニット40をピッチ軸方向に貫通している。
【0028】
第1プレート25の両端には端部孔25aが設けられている。端部孔25aにステー18(図1参照)が固定される。別言すると、第1プレート25の両端が足首ジョイント17から伸びているステー18に連結される。さらに詳しく説明すると、下腿装具16は、下腿のピッチ軸方向の両側に配置されたリンク15a、15bを有しており、足装具100の第1プレート25の両端が、足首ジョイント17を介してそれぞれリンク15a、15bに連結されている。
【0029】
第1プレート25には、足底ユニットのピッチ軸方向に伸びる第2長孔25bが設けられている。第2プレート24の端部には孔24bが設けられている。第1プレート25の第2長孔25bと第2プレートの孔24bをボルト26が通じており、そのボルト26によって第1プレート25と第2プレート24が締結される。
【0030】
足底ユニット40は、ラバープレート21、クランププレート22、上ソールプレート23、ラバー枠32、下ソールプレート33、及びソール27を有する。上ソールプレート23と下ソールプレート33は例えばCFRPなどの硬質素材で形成されている。上ソールプレート23と下ソールプレート33の間に、荷重センサ31a、31b、及び31cが配置されている。荷重センサ31aと31bはつま先側に配置されており、荷重センサ31cは踵側に配置されている。ラバー枠32は、荷重センサ31a、31b、及び31cを囲むように配置されている。ラバー枠32は非常に柔らかい。そのため、ユーザの足が足底ユニット40の上に載ると、ラバー枠32が縮み、上ソールプレート23の下面が3個の荷重センサ31a、31b、及び31cに当接する。即ち、足装具100を装着したユーザの荷重(自重)が上ソールプレート23全体を押し下げ、これによってユーザの荷重が荷重センサ31a、31b、及び31cによって計測される。
【0031】
第2プレート24には、円弧状の第1長孔24bが設けられている。第1長孔24bの円弧は、ユーザ下腿の長手方向軸線Lをその中心に有する。第2プレート24の第1長孔24bをボルト28が通じており、そのボルト28によって第2プレート24が上ソールプレート23に締結される。より詳しくは、ボルト28は、上ソールプレート23の上側に配置されるクランププレート22に締結される。ボルト28とクランププレート22によって、上ソールプレート23と第2プレート24が一緒にクランプされて相互に固定される。
【0032】
第1長孔24bの円弧は、下腿の長手方向軸線Lをその中心に有している。そのため、ボルト28を緩めると、足底ユニット40は、ユーザ下腿の長手方向軸線Lの周りに回転する。また、第1プレート25と第2プレート24を締結しているボルト26を緩めると、足底ユニット40をピッチ軸方向に移動させることができる。即ち、この足装具100の位置調整機構42は、足首ジョイント17に対する足底ユニット40の取り付け位置を足のヨー軸に交差する面内で調整することができる。
【0033】
また、位置調整機構42は、上ソールプレート23に固定されている。そのため、ユーザの荷重(自重)のうち、下腿装具16と足首ジョイント17を介して足装具100に伝わる荷重成分も上ソールプレート23を押し下げる。即ち、荷重センサ31a、31b、及び31cは、下腿装具16を通じて足装具100に伝わる荷重成分を含めた全荷重を検出することができる。
【0034】
第1実施例の位置調整機構42は、第1プレート25と第2プレート24で構成されている。位置調整機構42は、これら2個のプレートに代えて、図4に示す1枚の複合プレート125によって構成することも好ましい。図2に示す第1プレート25と第2プレート24に代えて複合プレート125を採用すると、足装具100に組み込まれた複合プレート125は、足底ユニット40をピッチ軸方向に貫通しており、両端部が足首ジョイント17に連結されるとともに足底ユニット40に連結される。複合プレート125は、下腿の長手方向軸線Lを中心とする円弧状の第1長孔125bを有しており、第1長孔125bを通して足底ユニット40にボルト締めされる。複合プレート125はまた、足底ユニット40のピッチ軸方向に伸びる第2長孔125aを有している。この第2長孔125aを通して足首ジョイント17から伸びるステー18がボルト締めされる。第1長孔125bによって足底ユニット40のヨー軸周りの角度を調整することができ、第2長孔125aによって足底ユニット40のピッチ軸方向の位置を調整することができる。
【0035】
なお、図1〜図3では図示を省略しているが、ラバープレート21の上面に、第2実施例で説明する靴51が面ファスナにて固定される。靴51を介して足底ユニット40がユーザの足に固定される。
【実施例2】
【0036】
図5と図6を参照して第2実施例の足装具200を説明する。図5は、第2実施例の足装具200の分解図である。図6は、足装具200の平面図である。足装具200は、足装具100の代わりに第1実施例の下腿装具16に取り付けられる。
【0037】
足装具200の位置調整機構142は、メインフレーム56とクランプフレーム54を有する。メインフレーム56は、足底ユニット140をピッチ軸横方向に貫通しており両端部が足首ジョイント17に連結される。クランプフレーム54は、メインフレーム56との間で足底ユニット140の一部をクランプする。
【0038】
足底ユニット140は、靴51、ラバープレート52、上ソールプレート55、ラバー枠32、下ソールプレート33、及びソール27を有する。上ソールプレート55は、金属製である。下ソールプレート33は例えばCFRPなどの硬質素材で作られている。ソール27は硬質ラバーで作られている。上ソールプレート55と下ソールプレート33の間に、荷重センサ31a、31b、及び31cが配置されている。荷重センサ31a、31b、及び31c、ラバー枠32、下ソールプレート33、及びソール27の構造は第1実施例の足底ユニット40と同じであるので説明は省略する。
【0039】
メインフレーム56の両端に孔56aが設けられており、この孔を通じて足首ジョイント17から伸びるステー18が固定される。メインフレーム56には他の孔56bが設けられており、この孔にボルト53が締結される。メインフレーム56とクランプフレーム54の間に上ソールプレート55が挟み込まれ、それらをボルト53が締結する。別言すると、足底ユニット140は、踵側とつま先側の夫々に位置する3個の荷重センサ31a、31b、及び31cを上下から挟み込む上ソールプレート55と下ソールプレート33を有しており、上ソールプレート55がメインフレーム56とクランプフレーム54の間でクランプされている。
【0040】
ボルト53を緩めることによって、図6の矢印Aと矢印Bが示すように、足底ユニット140は、足のヨー軸に直交する面内で回転と移動が可能となる。即ち、メインフレーム56とクランプフレーム54が、足首ジョイント17に対する足底ユニット140の位置を調整するための位置調整機構142を構成する。この足装具200は、ボルト53を緩めることによって足底ユニット140のヨー軸交差面内での角度と位置を同時に調整することができる。即ち、この足装具200は、位置調整が非常にし易い。
【0041】
ラバープレート52は、上ソールプレート55の上面に面ファスナによって取り付けられる。ラバープレート52の上面に靴51が面ファスナによって取り付けられる。
【実施例3】
【0042】
次に、第3実施例の足装具300を説明する。図7に、足装具300の模式的分解斜視図を示す。足装具300は、足装具100の代わりに第1実施例の下腿装具16に取り付けられる。足装具300の足底ユニット240は、靴51、ラバープレート52、上ソールプレート23、ラバー枠32、下ソールプレート33、ソール27、及び、荷重センサ31a、31b、31cを有する。上ソールプレート23、下ソールプレート33、ラバー枠32、ソール27、及び、荷重センサ31a、31b、31cについては第1実施例の足底ユニット40と同様であるので説明は省略する。
【0043】
足装具300はまた、メインフレーム242を備える。このメインフレーム242は足装具300の位置調整機構に相当する。足底ユニット240は、メインフレーム242によって足首ジョイント17に連結される。メインフレーム242は、足底ユニットの長手方向(前後方向)に伸びる支持プレート255と、リブ256を有する。支持プレート255の上面と下面には面ファスナが設けられている。リブ256は、支持プレート255から足底ユニットのピッチ軸方向に伸びている。リブ256は、足底ユニット240からそのピッチ軸方向両側に突出しており、その端部に孔256aが設けられている。孔256aを介して、足首ジョイント17から伸びるステー18(図1参照)にメインフレーム242が連結される。
【0044】
上ソールプレート23(足底ユニット140)は、支持プレート255の下面の面ファスナによってメインフレーム242の下面に固定される。支持プレート255の上面の面ファスナによって、メインフレーム242の上側にラバープレート52が固定される。ラバープレート52にさらに上面に、面ファスナによって靴51が固定される。
【0045】
支持プレート255の先端は、つま先側の荷重センサ31a、31bよりもつま先側にまで伸びている。また支持プレート255の後端は、踵側荷重センサ31cよりも後方にまで伸びている。支持プレート255は金属製であり、ユーザの荷重を受けてもほとんど変形しない。ユーザの荷重は支持プレート255を介して荷重センサに伝えられるので、上記の足装具300は荷重を正確に計測することができる。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
10:脚装具
11:コントローラ
12:上腿装具
13:膝ジョイント
14:連結バー
16:下腿装具
17:足首ジョイント
21:ラバープレート
22:クランププレート
23、55:上ソールプレート
24:第2プレート
25:第1プレート
27:ソール
31a、31b、31c:荷重センサ
32:ラバー枠
33:下ソールプレート
40、140、240:足底ユニット
42、142:位置調整機構
51:靴
52:ラバープレート
54:クランプフレーム
56:メインフレーム
100、200、300:足装具
242:メインフレーム(位置調整機構)
255:支持プレート
256:リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの下腿に固定される下腿装具と、
ユーザの足に固定される足装具と、
足装具をユーザの足首のピッチ軸回りに揺動可能に下腿装具に連結する足首ジョイントと、を備えており、
足装具が、荷重センサを備えた足底ユニットと、足首ジョイントに対する足底ユニットの取り付け位置を足のヨー軸に交差する面内で調整可能な位置調整機構を有していることを特徴とする脚装具。
【請求項2】
前記位置調整機構は、
足底ユニットをピッチ軸方向に貫通しており両端部が足首ジョイントに連結される第1プレートと、
第1プレートに固定されるとともに足底ユニットに固定される第2プレートであり、第1プレートに対するピッチ軸方向の取り付け位置が調整可能であるとともに、足底ユニットに対する足のヨー軸周りの取り付け位置が調整可能な第2プレートと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の脚装具。
【請求項3】
足底ユニットが、踵側とつま先側の夫々に配置された少なくとも2個の荷重センサを上下から挟み込む上ソールプレートと下ソールプレートを有していることを特徴とする請求項2に記載の脚装具。
【請求項4】
第2プレートが、上ソールプレートに固定されていることを特徴とする請求項3に記載の脚装具。
【請求項5】
第2プレートが、下腿の長手方向軸線を中心とする円弧状の第1長孔を有しており、第1長孔を通して足底ユニットにボルト締めされていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項6】
第1プレートが、足底ユニットのピッチ軸方向に伸びる第2長孔を有しており、第2プレートが第2長孔を通して第1プレートにボルト締めされていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の脚装具。
【請求項7】
前記位置調整機構が、
足底ユニットをピッチ軸方向に貫通しており両端部が足首ジョイントに連結されるメインフレームと、
メインフレームとの間で足底ユニットの一部をクランプするクランプフレームとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の脚装具。
【請求項8】
足底ユニットが、踵側とつま先側の夫々に配置された少なくとも2個の荷重センサを上下から挟み込む上ソールプレートと下ソールプレートを有しており、上ソールプレートがメインフレームとクランプフレームの間でクランプされていることを特徴とする請求項7に記載の脚装具。
【請求項9】
足底ユニットの上面に靴が面ファスナで取り付けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の脚装具。
【請求項10】
前記位置調整機構が、
上面と下面に面ファスナを備えており足底ユニットの長手方向に伸びている支持プレートを有しているとともに、支持プレートから足底ユニットのピッチ軸方向に伸びており両端部が足首ジョイントに連結されるリブを有しているメインフレームを備えており、
足底ユニットが支持プレート下面の面ファスナによってメインフレームの下側に取り付けられており、
靴が支持プレート上面の面ファスナによってメインフレームの上側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の脚装具。
【請求項11】
支持プレートの先端が足底ユニット内のつま先側荷重センサよりも前方にまで伸びているとともに、支持プレートの後端が踵側荷重センサよりも後方にまで伸びていることを特徴とする請求項10に記載の脚装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110176(P2011−110176A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268294(P2009−268294)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】