説明

脱ぷ装置

【課題】脱ぷ圧力を上げることなく脱ぷ率を向上させることができる脱ぷ装置を提供する。
【解決手段】被処理物は、一対の第1脱ぷロール201で一次脱ぷ処理(前処理)された後、スロワ機構60を介して一対の第1脱ぷロール201から一対の第2脱ぷロール202へ案内され、当該一対の第2脱ぷロール202で脱ぷ処理される。スロワ機構60において搬送される被処理物は、送風機61からの搬送風により上方且つ第1側方へ搬送され、湾曲形状の第1放出経路63を通過し、第1放出口63bより一対の第2脱ぷロール202の間へ向けて放出される。この際、送風機61からの搬送風は、送風路と対向するように下方且つ前記第1側方とは反対側の第2側方を向いた第1受入口63aより第1放出経路内に導入され、前記第1受入口63aと第1放出口63bとの間で最も上方に位置する最上部63c近傍に設けられた風抜き孔65から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀物を籾摺りするための脱ぷ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに圧接された一対の脱ぷロールの上方に原料タンク及びホッパを設け、原料タンクに収容された被処理物(籾原料)をホッパによって一対の脱ぷロール間に供給し、ロールの回転によって脱ぷロール間に挟まれた穀物の籾摺りを行う脱ぷ装置が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような脱ぷ装置において、脱ぷ率の向上を図るためには、前記一対の脱ぷロールの脱ぷ圧力を上げる必要がある。
しかしながら、前記一対の脱ぷロールの脱ぷ圧力を上げると、被処理物の損傷割合が上昇するとともに、前記一対の脱ぷロールが摩耗し易い状態となり該脱ぷロールの寿命が短くなってしまう。
【特許文献1】特開平11−319589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、脱ぷ圧力を挙げることなく脱ぷ率を向上させることができる脱ぷ装置の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る脱ぷ装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、被処理物に対して所定の衝撃若しくは圧力を加える前処理を行う前処理手段と、前記前処理後の被処理物に対して脱ぷ処理を行う一対の脱ぷロールと、前記前処理手段から流下する被処理物を前記一対の脱ぷロールへ搬送するスロワ機構とを備え、前記スロワ機構は、被処理物を搬送可能な搬送風を発生する送風機と、前記前処理手段から流下する被処理物が前記搬送風によって上方且つ第1側方へ搬送されるように前記搬送風を案内する送風路と、前記搬送風に乗って搬送される被処理物を受け入れ、前記一対の脱ぷロールの間へ向けて放出する第1放出経路とを有し、前記第1放出経路は、前記送風路と対向するように下方且つ前記第1側方とは反対側の第2側方を向いた第1受入口と被処理物を前記一対の脱ぷロールの間へ向けて放出するように下方若しくは下方且つ第1側方を向いた第1放出口との間に最も上方に位置する最上部を有する湾曲形状とされており、前記最上部近傍には、前記第1受入口から導入された前記搬送風を前記第1放出経路の外方へ逃がす風抜き孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成の脱ぷ装置によれば、供給された被処理物は、まず、前処理手段により所定の衝撃若しくは圧力が加えられる前処理が行われた後、スロワ機構を介して前記前処理手段から一対の脱ぷロールへ案内され、当該一対の脱ぷロールで脱ぷ処理される。
ここで、スロワ機構において搬送される被処理物は、送風機からの搬送風により上方且つ第1側方へ搬送され、湾曲形状の第1放出経路を通過し、第1放出口より一対の脱ぷロールの間へ向けて放出される。この際、送風機からの搬送風は、送風路と対向するように下方且つ前記第1側方とは反対側の第2側方を向いた第1受入口より第1放出経路内に導入され、前記第1受入口と第1放出口との間で最も上方に位置する最上部近傍に設けられた風抜き孔から排出される。
【0007】
このように、一対の脱ぷロールで脱ぷ処理される前に、前処理手段において被処理物に対して予め所定の衝撃若しくは圧力が加えられるため、前記被処理物には、易脱ぷ部(被処理物の籾殻に形成された切れ目や裂け目等)が形成される。前記易脱ぷ部が形成された状態で一対の脱ぷロールにより脱ぷ処理を行うことにより、一対の脱ぷロールの脱ぷ圧力を上昇させることなく、脱ぷ処理の高能率化及び被処理物の高品質化を図ることができ、さらに、脱ぷロールの長寿命化も図ることができる。
さらに、前処理後の被処理物は、前記スロワ機構によって均平化された薄層状態で前記一対の脱ぷロールへ供給される。従って、前記一対の脱ぷロールによる脱ぷ処理能力を向上させることができる。この際、前記搬送風は前記風抜き孔を介して被処理物の供給経路外に排出される。従って、前記搬送風が前記一対の脱ぷロール間に作用して、該一対の脱ぷロールによる脱ぷ処理能力を低減させるという不都合を有効に防止できる。
また、前記スロワ機構による風搬送によって、被処理物を前記一対の脱ぷロールの駆動軸に平行な方向に容易に拡散させることができる。従って、被処理物を前記一対の脱ぷロールに対して該脱ぷロールの駆動軸方向全域に略均等量で供給することができる。
加えて、前記前処理手段から前記一対の脱ぷロールへ流下板を利用して被処理物を供給する構成に比べて、前記前処理手段に対する前記一対の脱ぷロールの設置位置に関し、設計自由度を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、前記スロワ機構は、さらに、前記第1受入口より上方において前記送風路と対向するように下方且つ前記第2側方を向いた第2受入口及び前記第2受入口に連通された第2放出口を有する第2放出経路を備えている。
【0009】
この場合、スロワ機構により案内される被処理物のうち、前処理手段による前処理によって生じた籾殻等の不純物が、第1放出経路の第1受入口より上方に位置する第2受入口から第2放出経路へ送られ、第2放出口から被処理物の供給経路外へ放出される。
【0010】
これにより、前処理によって生じた不純物を脱ぷ処理の前に風選別することができ、前処理によって生じた不純物によって前記脱ぷロールによる脱ぷ処理の効率が悪化することを有効に防止することができる。
【0011】
より好ましくは、前記スロワ機構は、前記送風路と前記第1及び第2放出経路との間に、前記搬送風の通過を許容しつつ前記前処理手段から流下する被処理物が下方へ落下することを防止するスリット領域が設けられた受網を備え、前記受網は、前記送風路から前記第1及び第2放出経路への前記搬送風の流れに略直交するように傾斜配置されている。
【0012】
この場合、送風機からの搬送風は、送風路からスリット領域が設けられた受網を介して第1及び第2放出経路に案内される。前記受網は、搬送風の流れに略直交するように傾斜配置されている。
従って、前記受網によって前処理後の被処理物が意に反して被処理物の供給経路外へ放出されることを防止できる。
さらに、前記受網を傾斜配置させることにより、前処理後の被処理物のうち易脱ぷ部が形成された穀粒や未脱ぷ状態の穀粒を含む比重の重い被処理物は、前記受網を下方へ流下しつつ前記搬送風によって吹き上げられ、籾殻等の比重の軽い不純物は、前記受網の上部領域において前記選別風によって吹き上げられることになる。従って、穀粒を含む被処理物は、下方に位置する前記第1放出経路へ送られ、且つ、籾殻等の不純物は、上方に位置する前記第2放出経路へ送られることになり、効果的に風選別作用を得ることできる。
【0013】
より好ましくは、前記送風路には、前記送風路の搬送風流れ方向下流端部において下方側の風量が上方側の風量よりも多くなるように、前記送風機からの搬送風を上下に分流する風向板が設けられている。
【0014】
この場合、搬送路の搬送風流れ方向下流端部に設けられた風向板の下方側を流れる搬送風は、風向板の上方側を流れる搬送風より風量が多くなる。
従って、比重の大きい穀粒を搬送する前記第1放出経路に大量の搬送風を供給することができ、これにより、前記一対の脱ぷロールへの被処理物の風搬送を効率的に行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記スロワ機構は、前記風抜き孔から放出された搬送風を前記一対の脱ぷロールの一方又は双方へ冷却風として案内する冷却経路を有している。
【0016】
この場合、第1放出経路の搬送風が風抜き孔から排出された後、当該搬送風が冷却経路を介して一対の脱ぷロールの一方又は双方へ案内され、当該一対の脱ぷロールの一方又は双方を冷却する。
従って、搬送風を有効利用して前記一対の脱ぷロールの摩耗を低減化できる。
【0017】
好ましくは、前記前処理手段は、被処理物に対して一次脱ぷ処理を行う一対の第1脱ぷロールであり、前記一対の脱ぷロールは、前記一次脱ぷ処理された被処理物に対して脱ぷ処理する一対の第2脱ぷロールである。
【0018】
この場合、供給された被処理物は、まず、一対の第1脱ぷロールで一次脱ぷ処理された後、流下板を介して前記一対の第1脱ぷロールから当該第1脱ぷロールより下方に配置された一対の第2脱ぷロールへ案内され、当該一対の第2脱ぷロールで再び脱ぷ処理(二次脱ぷ処理)される。
このように、一対の第1及び第2脱ぷロールを用いて脱ぷ処理が2段階で行われる。従って、前記一対の第1及び第2脱ぷロールのそれぞれの脱ぷ圧力を上昇させることなく、脱ぷ処理の高能率化及び被処理物の高品質化を図ることができ、さらに、脱ぷロールの長寿命化も図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る脱ぷ装置によれば、一対の脱ぷロールで脱ぷ処理される前に、前処理手段において被処理物に対して予め所定の衝撃若しくは圧力が加えられるため、前記被処理物には、易脱ぷ部(被処理物の籾殻に形成された切れ目や裂け目等)が形成される。前記易脱ぷ部が形成された状態で一対の脱ぷロールにより脱ぷ処理を行うことにより、一対の脱ぷロールの脱ぷ圧力を上昇させることなく、脱ぷ処理の高能率化及び被処理物の高品質化を図ることができ、さらに、脱ぷロールの長寿命化も図ることができる。
さらに、前処理後の被処理物は、前記スロワ機構によって均平化された薄層状態で前記一対の脱ぷロールへ供給される。従って、前記一対の脱ぷロールによる脱ぷ処理能力を向上させることができる。この際、前記搬送風は前記風抜き孔を介して被処理物の供給経路外に排出される。従って、前記搬送風が前記一対の脱ぷロール間に作用して、該一対の脱ぷロールによる脱ぷ処理能力を低減させるという不都合を有効に防止できる。
また、前記スロワ機構による風搬送によって、被処理物を前記一対の脱ぷロールの駆動軸に平行な方向に容易に拡散させることができる。従って、被処理物を前記一対の脱ぷロールに対して該脱ぷロールの駆動軸方向全域に略均等量で供給することができる。
加えて、前記前処理手段から前記一対の脱ぷロールへ流下板を利用して被処理物を供給する構成に比べて、前記前処理手段に対する前記一対の脱ぷロールの設置位置に関し、設計自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る脱ぷ装置の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置1の正面断面図及び背面一部断面図であり、図3は、図1の脱ぷ装置1における脱ぷユニット5の上方斜視図である。なお、図3においては後述する第1機枠2a及び第2機枠2bは図示していない。
本発明の一実施形態における脱ぷ装置1は、図1に示すように、脱ぷユニット5と前記脱ぷユニット5の上方に配置され、穀物等の被処理物を貯留する原料タンク4とを備え、前記原料タンク4から供給される被処理物を前記脱ぷユニット5によって籾摺り処理するものである。
前記脱ぷ装置1は、被処理物に対して所定の圧力を加える前処理手段である一対の第1脱ぷロール201と、前記一対の第1脱ぷロール201より下方に配置された一対の第2脱ぷロール(一対の脱ぷロールに相当する)202とを備えている。
【0021】
本実施形態の脱ぷ装置1は、図1に示すように、上部に前記原料タンク4から供給される被処理物を受け入れる受入口31が設けられた脱ぷケース10として、上方及び下方が開口され、前記一対の第1脱ぷロール201を収容する第1機枠2aと、上方及び下方が開口され、前記一対の第2脱ぷロール202を収容する第2機枠2bと、前記第1機枠2aの上方開口2a1に設けられた上部機枠3aと、前記第1機枠2aの下方開口2a2及び前記第2機枠2bの上方開口2b1とに連通するように設けられた中間機枠3bとを有している。前記第2機枠2bは、前記第1機枠2aに対して下方且つ前記一対の第1脱ぷロール201の駆動軸211,231に直交する方向第1側(第1側方)に配設されている。
上部機枠3aには、前記上部機枠3aの内部且つ前記原料タンク4の下方に設けられ、前記第1機枠2a内の一対の第1脱ぷロール201に被処理物を導入するための受入口31と、前記原料タンク4から前記一対の第1脱ぷロール201への被処理物の移動経路を選択的に開放又は遮断するシャッタ機構50と、前記上部機枠3aの内部に支持され、前記受入口31から導入された被処理物を整列させる案内板34とが設けられている。
【0022】
前記シャッタ機構50は、前記受入口31に設けられた開閉弁32と、前記上部機枠3aの外部に設けられ、前記開閉弁32を開閉駆動させる開閉駆動部33とを有している。
本実施形態においては、開閉駆動部33の駆動源として電動モータを用い、開閉駆動部33と前記開閉弁32とを作動連結するシャフトをモータ軸回転により水平移動させて、開閉弁31を水平移動させることにより、受入口31が開放される開放状態と受入口31が遮断される遮断状態とが切り替えられる。
なお、シャッタ機構50は、本実施形態のように脱ぷユニット5に設けられてもよいが、原料タンク4に設けられることとしてもよい。
【0023】
また、上部機枠3aには、前記シャッタ機構50の下方に受入口31の直下に配設された定量供給機構30を備えている。前記定量供給機構30は、前記上部機枠3の内部且つ前記案内板34の下方に前記案内板34の傾斜に沿った方向に回転可能に支持され、前記一対の第1脱ぷロール201に被処理物を順次定量的に導入する羽根車状の繰り込みロール35と、前記案内板34に前記繰り込みロール35を挟んで漏斗状に対向配置された状態で上端が回動支点37回り回動可能に支持され、当該回動支点37回りに回動させることにより繰り込みロール35との間隙を調整可能な調整板36とが設けられている。
【0024】
また、前記一対の第1脱ぷロール201は、固定軸211が第1機枠2aに軸支されることにより、固定軸211回りに回転可能に支持された固定ロール221と、固定軸211と略平行な可動軸231が第1機枠2aに軸支されることにより、可動軸231回りに回転可能に支持され、前記可動軸231を移動させて当該可動軸231及び固定軸211間の距離を調整可能な可動ロール241とを有する。
【0025】
本実施形態においては、図2に示すように、前記第1機枠2aには、前記可動軸231に平行に支持された回動軸251が設けられている。
前記可動ロール241は、前記可動軸231を軸支する可動部材261であって、前記可動軸231から前記可動ロール241の径方向に延出された一端部261aに前記回動軸251が軸支された可動部材261と、前記可動部材261の前記一端部261aとは前記可動軸231に対して前記可動ロール241の径方向反対側に延出された他端部261bに自由端部が作動連結され、前記可動部材261を前記回動軸251回り前記固定ロール231に近接する方向に付勢するエアシリンダ等の付勢部材271とを有している。
前記回動軸251には、前記付勢部材271による前記回動軸251回り前記固定ロール231に近接する方向の付勢力に抗した回転駆動力を生じさせる後述する制御モータ131(図4参照)の駆動軸が作動連結されており、前記制御モータ131の前記回転駆動力を調整することにより、前記付勢力が調整(制動)される。
【0026】
前記固定ロール221及び可動ロール241は、第1機枠2a外に設けられた駆動源(例えば、後述する電動モータ111(図4参照)等)の駆動力が駆動源との間で掛け回された駆動ベルト(図示せず)を介して伝達されることにより、互いに逆方向に異なる周速度で回転される。なお、前記繰り込みロール35も駆動ベルトを介して同じ駆動源からの駆動力により被処理物を一対の第1脱ぷロール201に導入させる方向に回転される。
【0027】
同様に、前記一対の第2脱ぷロール202は、固定軸212が第2機枠2bに軸支されることにより、固定軸212回りに回転可能に支持された固定ロール222と、固定軸212と略平行な可動軸232が第2機枠2bに軸支されることにより、可動軸232回りに回転可能に支持され、前記可動軸232を移動させて当該可動軸232及び固定軸212間の距離(圧力)を調整可能な可動ロール242とを有する。
なお、本実施形態における前記一対の第2脱ぷロール202の駆動軸212,232方向長さは、図3に示すように、前記一対の第1脱ぷロール201の駆動軸211,231方向長さよりも長いように構成されている。
【0028】
本実施形態においては、図2に示すように、前記第2機枠2bには、前記可動軸232に平行に支持された回動軸252が設けられている。
前記可動ロール242は、前記可動軸232を軸支する可動部材262であって、前記可動軸232から前記可動ロール242の径方向に延出された一端部262aに前記回動軸252が軸支された可動部材262と、前記可動部材262の前記一端部262aとは前記可動軸232に対して前記可動ロール242の径方向反対側に延出された他端部262bに自由端部が作動連結され、前記可動部材262を前記回動軸252回り前記固定ロール222に近接する方向に付勢するエアシリンダ等の付勢部材272とを有している。
【0029】
前記固定ロール222及び可動ロール242は、第2機枠2b外に設けられた電動モータ等の駆動源(図示せず)の駆動力が駆動源との間で掛け回された駆動ベルト(図示せず)を介して伝達されることにより、互いに逆方向に異なる周速度で回転される。
なお、前記一対の第2脱ぷロール202は、駆動源を第1脱ぷロール201と共用することとしてもよい。
【0030】
前記中間機枠3bには、図1に示すように、前記一対の第1脱ぷロール201から流下する被処理物を前記一対の第2脱ぷロール202へ搬送するスロワ機構60が設けられている。前記スロワ機構60は、被処理物を搬送可能な搬送風を発生する圧送ファン等の送風機61と、前記一対の第1脱ぷロール201から流下する被処理物が前記搬送風によって上方且つ第1側方(ここでは、一対の第1脱ぷロール201のうちの可動ロール241側)へ搬送されるように前記搬送風を案内する送風路62と、前記搬送風に乗って搬送される被処理物を受け入れ、前記一対の第2脱ぷロール202の間へ向けて放出する第1放出経路63とを有している。
なお、前記送風路62に前記送風機61を直接取り付けることにより前記送風路62に専用の搬送風を発生させる代わりに、前記一対の第2脱ぷロール202の下流側に配置され得るメイン風選機構(図示せず)のファンを前記送風機61として利用することにより前記送風路62に搬送風を生じさせることも可能である。
【0031】
前記第1放出経路63は、前記送風路62と対向するように一対の第1脱ぷロール201の下方且つ前記第1側方とは反対側の第2側方(ここでは、一対の第1脱ぷロール201のうちの固定ロール221側)を向いた第1受入口63aと被処理物を前記一対の第2脱ぷロール202の間へ向けて放出するように下方を向いた第1放出口63bとの間に最も上方に位置する最上部63cを有する湾曲形状とされており、前記最上部63c近傍には、前記第1受入口63aから導入された前記搬送風を前記第1放出経路63の外方へ逃がす風抜き孔65が設けられている。
なお、前記送風路62及び第1放出経路63における前記一対の第1及び第2脱ぷロール201,202の駆動軸方向長さは、図3に示すように、前記一対の第2脱ぷロール202と略同等とされている。
【0032】
ここで、上記構成の脱ぷ装置1における籾摺り作業の流れを説明する。
まず、駆動部を作動させて固定ロール221,222、可動ロール241,242及び繰り込みロール35を回転させた状態で、開閉駆動部33により開閉弁32を開放することにより、原料タンク4に貯留されている被処理物が受入口31から下方へ落下する。落下した被処理物は、その下方にある案内板34と調整板36とにより形成された流路を滑落し、繰り込みロール35に供給される。
繰り込みロール35に供給された被処理物は、繰り込みロール35の回転により、繰り込みロール35及び調整板36の間隙の大きさに応じて、順次定量の被処理物を上方開口2a1を通じて第1機枠2a内の一対の第1脱ぷロール201へ供給する。一対の第1脱ぷロール201への供給量を変更する場合には、調整ねじ(図示せず)を用いて回動支点37回りに調整板36を回動させることにより調整板36の傾斜角を変更して、繰り込みロール35及び調整板36の間隙の大きさを変更する。
【0033】
定量供給機構30から供給された被処理物は、前記一対の第1脱ぷロール201の間隙に供給される。供給された被処理物は、前記一対の第1脱ぷロール201間の間隙において籾摺り処理(一次脱ぷ処理)され、前記第1機枠2aの下方開口2a2から排出される。
【0034】
さらに、前記一対の第1脱ぷロール201にて一次脱ぷ処理された被処理物は、第1機枠2aの下方開口2a2から前記中間機枠3bに供給され、前記下方開口2a2下方のスロワ機構60において前記送風路62を通じて送風機61から送られてくる搬送風により上方且つ第1側方へ飛ばされ、第1受入口63aから湾曲形状の第1放出経路63内を通過して、前記第2機枠2bの上方開口2b1に連通された第1放出口63bから当該第1放出口63bの下方にある一対の第2脱ぷロール202の間の圧接領域に供給される。
なお、前記第1放出経路63は、第1放出口63bが下方且つ前記第1側方を向くように配置することとしてもよい。この場合、前記一対の第2脱ぷロール202を傾斜配置する(固定軸212が前記可動軸232に対して垂直方向上方側に位置する)こととしてもよい。
【0035】
この際、送風機61からの搬送風は、前記第1受入口63aより第1放出経路63内に導入された後、前記第1受入口63aと第1放出口63bとの間で最も上方に位置する最上部63c近傍に設けられた風抜き孔65から排出される。
【0036】
前記第2脱ぷロール202間に供給された被処理物は、当該一対の第2脱ぷロール202間の圧接領域において籾摺り処理(二次脱ぷ処理)され、前記第2機枠2bの下方開口2b2から排出される。下方開口2b2には、風選別装置等(図示せず)が配置され、籾摺りされた穀粒と籾殻とが選別される。
【0037】
このように、一対の第1及び第2脱ぷロール201,202を用いて脱ぷ処理が2段階で行われる。つまり、一対の第2脱ぷロール202で最終的な脱ぷ処理(二次脱ぷ処理)が行われる前に一対の第1脱ぷロール201において被処理物に対して所定の圧力が加えられる前処理(一次脱ぷ処理)が行われる。従って、前記一対の第1及び第2脱ぷロール201,202のそれぞれの脱ぷ圧力を上昇させることなく、脱ぷ処理の高能率化及び被処理物の高品質化を図ることができ、さらに、脱ぷロールの長寿命化も図ることができる。
さらに、一次脱ぷ処理後の被処理物は、前記スロワ機構60によって均平化された薄層状態で前記一対の第2脱ぷロール202へ供給される。従って、前記一対の第2脱ぷロール202による脱ぷ処理能力を向上させることができる。この際、前記搬送風は前記風抜き孔65を介して被処理物の供給経路外に排出されるため、前記搬送風が前記一対の第2脱ぷロール202間に作用して、該一対の第2脱ぷロール202による脱ぷ処理能力を低減させるという不都合を有効に防止できる。
また、前記スロワ機構60による風搬送によって、被処理物を前記一対の第2脱ぷロール202の駆動軸に平行な方向に容易に拡散させることができる。従って、被処理物を前記一対の第2脱ぷロール202に対して該第2脱ぷロール202の駆動軸方向全域に略均等量で供給することができる。
加えて、前記一対の第1脱ぷロール201から前記一対の第2脱ぷロール202へ流下板を利用して被処理物を供給する構成に比べて、前記一対の第1脱ぷロール201に対する前記一対の第2脱ぷロール202の設置位置に関し、設計自由度を向上させることができる。
【0038】
ここで、一次脱ぷ処理における脱ぷ率(前記一対の第1脱ぷロール201の脱ぷ率)は、所定の割合に設定可能であるが、例えば、前記一対の第1脱ぷロール201の脱ぷ率は、50%に設定される。
この場合、前記一対の第2脱ぷロール202は、残りの50%の被処理物を脱ぷ処理することになるが、この際、残りの50%の被処理物の少なくとも一部には前記第1脱ぷロール201によって易脱ぷ部(被処理物の籾殻に形成された切れ目や裂け目等)が形成されている。
従って、前記第2脱ぷロール202の脱ぷ圧力を上昇させることなく、脱ぷ処理の高能率化及び被処理物の高品質化を図ることができる。
【0039】
本実施形態において、前記一対の第1脱ぷロール201は、互いの間に設けられた隙間が一定となるように位置制御され、前記一対の第2脱ぷロール202は、所定圧力で互いに押圧される。
【0040】
この場合、一対の第1脱ぷロール201は、固定ロール221及び可動ロール241間の隙間が一定となるように位置制御される。従って、前記一対の第1脱ぷロール201が摩耗したとしても、所定の脱ぷ率での一次脱ぷ処理及び易脱ぷ部の形成を行うことができる。これにより、前記一対の第1脱ぷロール201の摩耗の有無に拘わらず、一対の第2脱ぷロール202に供給された時点での被処理物の未脱ぷ量を略一定にすることができる。
一方、一対の第2脱ぷロール202は、所定圧力で互いに押圧される。従って、摩耗の有無に拘わらず脱ぷ処理能力は一定に保持される。これにより、第2脱ぷロール202の摩耗の有無に拘わらず、最終的な脱ぷ率を高水準に保持することができる。
【0041】
図4に、図1の脱ぷ装置1における一対の第1脱ぷロール201の位置制御に関する概略構成図を示す。
本実施形態における前記一対の第1脱ぷロール201の位置制御は、前記一対の第1脱ぷロール201を回転駆動する駆動源(ここでは、三相交流の電動モータ111)の負荷電流値に基づいて行われる。
【0042】
詳しくは、前記脱ぷ装置1は、図4に示すように、前記一対の第1脱ぷロール201を回転駆動する前記電動モータ111の電流値を検出する電流センサ121と、前記電流センサ121で検出された電流値に基づいて前記可動ロール242を前記固定ロール222に対して接離させるべく、前記制御モータ131に制御信号を送信する制御部101とを備えている。さらに、前記脱ぷ装置1は、前記シャッタ機構50の開閉弁32の弁開度を検出する弁開度センサ141と、前記電動モータ111の駆動電圧を検出する電圧センサ151とを有している。
前記電流センサ121は、例えば、三相交流の電動モータ111の負荷電流を検出する変流計等である。前記弁開度センサ141は、例えば、開閉弁32の開閉駆動部33としてサーボモータを使用した場合、当該サーボモータの回転角を検出するエンコーダ等である。また、開閉駆動部33としてステッピングモータを使用して当該ステッピングモータの回転角を検出することにより開閉弁32の弁開度を検出することとしてもよい。
【0043】
この場合、前記電流センサ121により、前記一対の第1脱ぷロール201を回転駆動する電動モータ111の負荷電流が検出される。ここで、検出された前記負荷電流の変化量は、前記一対の第1脱ぷロール201の回転負荷の変化量に比例する。即ち、磨耗によりロール間距離が離れると回転負荷が減少し、前記電流センサ121において検出される負荷電流値も小さくなる。このような負荷電流値に基づいて、制御部101から前記制御モータ131に対して制御信号が送信され、前記電流センサ121において検出される負荷電流値が所定値で一定となるように制御モータ131の回転駆動力(制動力)が制御される。
【0044】
ここで、電動モータ111の電源電圧は、所定の一定電圧(例えば、定格200V)とされているが、実際は、定格電圧を基準にして所定の範囲(例えば、±10%)で変動することが知られている。電動モータ111の電源電圧値が低下すれば、前記電流センサ121で検出される負荷電流値は、ロール間距離が一定であっても低下し、逆に、電源電圧値が上昇すれば、前記電流センサ121で検出される負荷電流値は、ロール間距離が一定であっても上昇してしまう。言い換えると同じ負荷電流値が検出されていても、電源電圧値が変動すれば、脱ぷ率は変化してしまうため、電流センサ121で検出される負荷電流値のみでは、ロール間距離を一定に保持することができない。
そこで、本実施形態においては、制御部101において、電流センサ121で検出された負荷電流値に基づいた制御モータ131の制御量を前記電圧センサ151により検出される電動モータ111の電源電圧値に基づいて補正することにより、電動モータ111の電源電圧値に左右されることなく適正なロール間距離を保持するように制御することができる。
【0045】
加えて、前記一対の第1脱ぷロール201に供給される被処理物の量が変動すると、それに応じて前記電流センサ121で検出される負荷電流値も変動する。即ち、供給される被処理物の量が少なくなると、前記電流センサ121で検出される負荷電流値は、ロール間距離が一定であっても低下し、逆に、供給される被処理物の量が多くなると、前記電流センサ121で検出される負荷電流値は、ロール間距離が一定であっても上昇してしまう。言い換えると同じ負荷電流値が検出されていても、被処理物の供給量が変動すれば、脱ぷ率は変化してしまうため、電流センサ121で検出される負荷電流値のみでは、ロール間距離を一定に保持するように制御することができない。
【0046】
そこで、本実施形態においては、制御部101において、電流センサ121で検出された負荷電流値に基づいた制御モータ131の制御量を前記弁開度センサ151により検出される前記シャッタ機構50の弁開度(即ち、前記一対の第1脱ぷロール201に供給される単位時間あたりの被処理物の量)に基づいて補正することにより、前記一対の第1脱ぷロール201に供給される被処理物の量に左右されることなく適正なロール間距離を保持するように制御することができる。
【0047】
一方、本実施形態における前記一対の第2脱ぷロール202の圧力制御は、前記一対の第2脱ぷロール202の可動ロール242を付勢する付勢部材272において圧力センサ(図示せず)等により付加圧力が一定となるように制御される。
これにより、固定ロール222及び可動ロール242が互いに押圧する圧力を一定にすることができる。
【0048】
次に、本実施形態のスロワ機構60についてより詳細に説明する。
本実施形態において、前記第1放出経路63は、図1に示すように、前記第1受入口63aから前記第1放出口63bへ行くに従って縮径されている。
これにより、前記第1放出経路63を介して前記一対の第2脱ぷロール202へ風搬送される被処理物の搬送速度を上昇させることができる。従って、脱ぷ率を向上させることができる。
また、前記一対の第2脱ぷロール202へ供給される時点の被処理物の層厚をより薄くすることができ、これによっても、脱ぷ率の向上を図ることができる。
【0049】
さらに、前記スロワ機構60は、図1〜図3に示すように、前記第1受入口63aより上方において前記送風路62と対向するように下方且つ前記第2側方を向いた第2受入口64a及び前記第2受入口64aに連通された第2放出口64bを有する第2放出経路64を備えている。本実施形態において、前記第2放出口54bは、前記第2機枠2bより外方に配置されている。
【0050】
この場合、スロワ機構60により案内される被処理物のうち、一対の第1脱ぷロール201による一次脱ぷ処理によって生じた籾殻等の不純物が、第1放出経路63の第1受入口63aより上方に位置する第2受入口64aから第2放出経路64へ送られ、第2放出口64bから被処理物の供給経路外へ放出される。
【0051】
これにより、一次脱ぷ処理によって生じた不純物を二次脱ぷ処理の前に風選別することができ、一次脱ぷ処理によって生じた不純物によって前記第2脱ぷロール202による二次脱ぷ処理の効率が悪化することを有効に防止することができる。
【0052】
さらに、前記スロワ機構60は、前記送風路61と前記第1及び第2放出経路63,64との間に、前記搬送風の通過を許容しつつ前記一対の第1脱ぷロール201から流下する被処理物が下方へ落下することを防止するスリット67が設けられた受網66を備え、前記受網66は、前記送風路61から前記第1及び第2放出経路63,64への前記搬送風の流れに略直交するように傾斜配置されている。
【0053】
この場合、送風機61からの搬送風は、送風路62からスリット領域66sが設けられた受網66を介して第1及び第2放出経路63,64に案内される。前記受網66は、搬送風の流れに略直交するように傾斜配置されている。
従って、前記受網66によって一次脱ぷ処理後の被処理物が意に反して被処理物の供給経路外へ放出されることを防止できる。
さらに、前記受網66を傾斜配置させることにより、一次脱ぷ処理後の被処理物のうち脱ぷ処理済みの穀粒や未脱ぷ状態の穀粒を含む比重の重い被処理物は、前記受網66を下方へ流下しつつ前記搬送風によって吹き上げられ、籾殻等の比重の軽い不純物は、前記受網の上部領域において前記選別風によって吹き上げられることになる。従って、穀粒を含む被処理物は、下方に位置する前記第1放出経路63へ送られ、且つ、籾殻等の不純物は、上方に位置する前記第2放出経路64へ送られることになり、効果的に風選別作用を得ることできる。
【0054】
本実施形態における前記送風路62には、図1及び図2に示すように、前記送風路62の搬送風流れ方向下流端部において下方側の風量が上方側の風量よりも多くなるように、前記送風機61からの搬送風を上下に分流する風向板67が設けられている。より具体的には、前記風向板67の上方側に位置する上方側搬送路62aにおいては、上方受入口62a1と上方排出口62a2とが略同じ大きさを有しており、前記風向板67の下方側に位置する下方側搬送路62bにおいては、下方受入口62b1が下方排出口62b2及び前記上方受入口62a1より大きく開口されている。
【0055】
この場合、搬送路62の搬送風流れ方向下流端部に設けられた風向板67の下方側を流れる搬送風は、風向板67の上方側を流れる搬送風より風量が多くなる。しかも前記風向板67の下方側を流れる搬送風は、下方受入口62b1からより小さい開口を有する下方排出口62b2へ至ることにより、圧縮される。
従って、比重の大きい穀粒を搬送する前記第1放出経路に大量の搬送風を供給することができ、これにより、前記一対の第2脱ぷロールへの被処理物の風搬送を効率的に行うことができる。
【0056】
ここで、本実施形態における前記受網66のスリット領域66sについてより詳しく説明する。図5に、本実施形態における受網66の上面図を示す。また、図6に、図5のVI−VI断面図を示し、図7に、図5のVII−VII断面図(被処理物の落下方向上流側から見た断面図)を示す。
本実施形態における前記受網66のスリット領域66sは、図5〜図7に示すように、複数のスリット孔68と、前記スリット孔68の被処理物落下方向上流側に隣接された切り起こし部69とを有し、
前記切り起こし部69は、前記受網66が位置する傾斜平面を基準にして被処理物落下方向下流側へ行くに従って前記傾斜平面から前記受網66の上面側へ離間されている。
【0057】
この場合、受網66のスリット領域66sに案内された被処理物は、複数のスリット孔68の被処理物落下方向上流側に隣接された切り起こし部69において、当該切り起こし部69の形状に応じて前記受網66が位置する傾斜平面を基準にして被処理物落下方向下流側へ行くに従って前記傾斜平面から前記受網66の上面側へ離間される(前記傾斜平面に対して浮き上がる)ように案内される。この状態で、前記切り起こし部69の被処理物落下方向下流側にある前記複数のスリット孔68から搬送風が抜けることにより、被処理物に対して風搬送が行われるとともに風選別が行われる。
従って、前記切り起こし部69を設けることにより、穀粒を含む比重の大きい被処理物が前記受網66を流下する際の抵抗を可及的に抑えることができる。従って、被処理物を下方に位置する前記第1放出経路63に効果的に送ることができる。
なお、前記受網66は、本実施形態においては傾斜配置としたが、前記傾斜配置以外の種々の姿勢でも設置可能である。例えば、前記受網66を略水平姿勢に設置することとしてもよい。
【0058】
本実施形態の前記スロワ機構60においては、前記風抜き孔65から放出された搬送風を前記一対の第2脱ぷロール202の一方又は双方へ冷却風として案内する冷却経路70を有することとしてもよい。
図8に、図1の脱ぷ装置1において冷却経路70を付加した状態の正面断面図を示す。
【0059】
本実施形態において、前記冷却経路70は、図8に示すように、前記一対の第2脱ぷロール202のうち前記可動ロール242より高速駆動される前記固定ロール222の固定軸212を通る仮想垂直面V1より外方側において、前記固定ロール222へ冷却風を案内するように構成されている。具体的には、前記冷却路70は、前記風抜き孔65を覆うような受入口70aと、前記仮想垂直面V1より外方側の第2機枠2b側面に設けられた放出口70bとを有している。
【0060】
この場合、第1放出経路63の搬送風が風抜き孔65から排出された後、当該搬送風が冷却経路70を介して一対の第2脱ぷロール202の固定ロール222へ案内され、当該固定ロール222を冷却する。
従って、搬送風を有効利用して前記一対の第2脱ぷロール202の摩耗を低減化できる。
なお、冷却経路70は、冷却風を一対の第2脱ぷロール202の双方へ案内するように構成してもよい。この場合、前記一対の第2脱ぷロール202の駆動軸212,232をそれぞれ通る一対の仮想垂直面V1,V2より外方側において、前記一対の第2脱ぷロール202の双方へ冷却風を案内することが好ましい。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、前処理手段として一対の第1脱ぷロール201を適用した例について説明したが、これに限られず、前記第1機枠2a内に、駆動源に作動連結された状態で略上下方向に延びる回転軸と、前記回転軸に連結された攪拌棒を有する攪拌機構を設けることにより、所定の衝撃を加える構成や、被処理物の落下方向に対し略直交する方向に平行移動する加圧機構を設けることにより、所定の圧力を加える構成等を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置の正面断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置の背面一部断面図である。
【図3】図3は、図1の脱ぷ装置における脱ぷユニットの上方斜視図である。
【図4】図4は、図1の脱ぷ装置における一対の第1脱ぷロールの位置制御に関する概略構成図である。
【図5】図5は、本実施形態における上流側流下板の上面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI断面図である。
【図7】図7は、図5のVII−VII断面図である。
【図8】図8は、図1の脱ぷ装置において冷却経路を付加した状態の正面断面図である。
【符号の説明】
【0064】
60 スロワ機構
61 送風機
62 送風路
63 第1放出経路
63a 第1受入口
63b 第1放出口
63c 最上部
64 第2放出経路
64a 第2受入口
64b 第2放出口
65 風抜き孔
66 受網
66s スリット領域
67 風向板
70 冷却経路
101 制御部
201 一対の第1脱ぷロール(前処理手段)
202 一対の第2脱ぷロール(一対の脱ぷロール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に対して所定の衝撃若しくは圧力を加える前処理を行う前処理手段と、前記前処理後の被処理物に対して脱ぷ処理を行う一対の脱ぷロールと、前記前処理手段から流下する被処理物を前記一対の脱ぷロールへ搬送するスロワ機構とを備え、
前記スロワ機構は、被処理物を搬送可能な搬送風を発生する送風機と、前記前処理手段から流下する被処理物が前記搬送風によって上方且つ第1側方へ搬送されるように前記搬送風を案内する送風路と、前記搬送風に乗って搬送される被処理物を受け入れ、前記一対の脱ぷロールの間へ向けて放出する第1放出経路とを有し、
前記第1放出経路は、前記送風路と対向するように下方且つ前記第1側方とは反対側の第2側方を向いた第1受入口と被処理物を前記一対の脱ぷロールの間へ向けて放出するように下方若しくは下方且つ第1側方を向いた第1放出口との間に最も上方に位置する最上部を有する湾曲形状とされており、
前記最上部近傍には、前記第1受入口から導入された前記搬送風を前記第1放出経路の外方へ逃がす風抜き孔が設けられていることを特徴とする脱ぷ装置。
【請求項2】
前記スロワ機構は、さらに、前記第1受入口より上方において前記送風路と対向するように下方且つ前記第2側方を向いた第2受入口及び前記第2受入口に連通された第2放出口を有する第2放出経路を備えていることを特徴とする請求項1に記載の脱ぷ装置。
【請求項3】
前記スロワ機構は、前記送風路と前記第1及び第2放出経路との間に、前記搬送風の通過を許容しつつ前記前処理手段から流下する被処理物が下方へ落下することを防止するスリット領域が設けられた受網を備え、
前記受網は、前記送風路から前記第1及び第2放出経路への前記搬送風の流れに略直交するように傾斜配置されていることを特徴とする請求項2に記載の脱ぷ装置。
【請求項4】
前記送風路には、前記送風路の搬送風流れ方向下流端部において下方側の風量が上方側の風量よりも多くなるように、前記送風機からの搬送風を上下に分流する風向板が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の脱ぷ装置。
【請求項5】
前記スロワ機構は、前記風抜き孔から放出された搬送風を前記一対の脱ぷロールの一方又は双方へ冷却風として案内する冷却経路を有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の脱ぷ装置。
【請求項6】
前記前処理手段は、被処理物に対して一次脱ぷ処理を行う一対の第1脱ぷロールであり、前記一対の脱ぷロールは、前記一次脱ぷ処理後の被処理物に対して脱ぷ処理を行う一対の第2脱ぷロールであることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の脱ぷ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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