説明

脱水装置

【課題】簡便な作業で、含水物の水切り及びプレス脱水を連続して行い、含水物を良好に脱水可能な脱水装置を提供する。
【解決手段】透水性を有し、内部にスラッジSを収納する袋体2と、袋体2の形状に合致する内部空間を有し、水が内部に滞留することなく外部へ排出されるように構成される籠体3と、を具備し、スラッジSの水切り時には、袋体2の外側面と籠体3の内側面とが接触するように、袋体2を籠体3の内部に吊り下げることで、袋体2の形状を保持し、袋体2に投入されたスラッジSの脱水を行う脱水装置1であって、袋体2は、その外部に連通する空隙41が形成されるように、袋体2の表面を内部に向けて窪ませて形成される仕切部40と、スラッジSの水切り時に、仕切部40を支持して仕切部40に張力を付与することで、仕切部40の形状を保持する保持部50と、を具備し、仕切部40は、袋体2に収納されたスラッジSの中央部近傍に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水物を脱水する技術に関し、特にスラッジ等の水を含んだ廃棄物を脱水する脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の産業分野にて発生するスラッジ等の廃棄物(含水物)は、廃棄される際の容量低減(所謂、減溶)のため、種々の方法で脱水されている。
当該脱水方法としては、透水性を有するフレキシブルコンテナバッグ(以下、「フレコンバッグ」と記す)の内部に廃棄物を収納した後、所定の位置にフレコンバッグを設置して水切り(重力脱水)を行い、更にフレコンバッグに対してプレス処理を施すことで圧縮脱水(以下、単に「プレス脱水」と記す)を行う方法が広く知られている。
【0003】
しかしながら、上記のようにフレコンバッグを用いて廃棄物の脱水を行う場合、脱水後の廃棄物の中心部における含水率が高く、充分に廃棄物の脱水が行われない。そのため、廃棄物の中心部における脱水性の向上が広く要求されている。
【0004】
特許文献1には、通液性かつ吸液性を有する素材からなる隔壁が内部に設けられ、当該隔壁を介して良好な脱水が可能なフレコンバッグが開示されている。
しかし、特許文献1に記載のフレコンバッグにおいては、水切りを行う際、内部に投入された廃棄物によって隔壁の形状を保持することができず、隔壁の機能を充分に発揮できないという問題が生じる。
【0005】
特許文献2には、内部に円筒状の排水管が設けられ、当該排水管を介して良好な脱水が可能なフレコンバッグが開示されている。
しかし、特許文献2に記載のフレコンバッグにおいては、内部に排水管が設けられているため、そのままの状態でプレス脱水を行うことができない点で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−185099号公報
【特許文献2】特開2009−90215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡便な作業で、含水物の水切り及びプレス脱水を連続して行い、含水物を良好に脱水可能な脱水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の脱水装置は、透水性を有し、内部に含水物を収納する袋体と、前記袋体の形状に合致する内部空間を有し、水が内部に滞留することなく外部へ排出されるように構成される籠体と、を具備し、前記含水物の水切り時には、前記袋体の外側面と前記籠体の内側面とが接触するように、前記袋体を前記籠体の内部に吊り下げることで、前記袋体の形状を保持し、当該袋体に投入された前記含水物の脱水を行う脱水装置であって、前記袋体は、その外部に連通する空隙が形成されるように、前記袋体の表面を内部に向けて窪ませて形成され、前記袋体の内部空間を仕切る仕切部と、前記含水物の水切り時に、前記仕切部を支持して前記仕切部に張力を付与することで、前記仕切部の形状を保持する保持部と、を具備し、前記仕切部は、前記袋体に収納された前記含水物の中央部近傍に配置される。
【0009】
本発明の脱水装置において、前記仕切部は、前記袋体の内部空間における前記仕切部によって仕切られた空間同士が互いに連通するように形成されることが好ましい。
【0010】
本発明の脱水装置において、前記仕切部は、前記袋体における他の部分よりも高い透水性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡便な作業で、含水物の水切り及びプレス脱水を連続して行うことができ、含水物の脱水後の含水率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る脱水装置を示す斜視図。
【図2】仕切部によって仕切られた収納部の内部空間を示す断面図。
【図3】保持部を示す斜視図。
【図4】袋体と籠体とを固定した状態を示す斜視図。
【図5】保持部を補強する治具を示す斜視図。
【図6】蓋部によって収納部の開放面を塞いだ様子を示す斜視図。
【図7】保持部の別形態を示す斜視図。
【図8】保持部の別形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図1〜図3を参照して、本発明に係る脱水装置の一実施形態である脱水装置1について説明する。
脱水装置1は、水を含んだ廃棄物であるスラッジSを脱水することで、スラッジSの容量を減らす(所謂、減溶を行う)装置である。
スラッジSは、塗料設備にて発生する塗料排水から分離された塗料粕等の水を含んだ泥状の廃棄物(含水物)である。
【0014】
図1に示すように、脱水装置1は、袋体2と、籠体3とを具備する。脱水装置1においては、袋体2が籠体3内にて固定された状態で、袋体2の内部にスラッジSが収納されることでスラッジSの水切り(重力脱水)が行われる。スラッジSの水切りが行われた後は、籠体3から取り出された袋体2に対してプレス処理が施されることでスラッジSの圧縮脱水(以下、単に「プレス脱水」と記す)が行われる。
なお、説明の便宜上、図1における矢印Xの指す方向を脱水装置1の幅方向とし、矢印Yの指す方向を脱水装置1の奥行方向とし、矢印Zの指す方向を脱水装置1の高さ方向と規定する。更に、図1の高さ方向における上側を上方として、脱水装置1の上下方向を規定する。
【0015】
袋体2は、内部にスラッジSを収納することで、スラッジSを脱水するフレキシブルコンテナバッグである。袋体2は、収納部10、蓋部20・20・20・20、掛止部30・30・30・30、仕切部40、及び保持部50を具備する。
【0016】
収納部10は、上面が開放された略直方体形状を有し、内部にスラッジSを収納可能となっている。収納部10は、布生地、又は樹脂織生地等の透水性を有する生地からなり、内部にスラッジSが収納された際に、スラッジSに含まれた水のみが通過するように構成されると共に、スラッジSのプレス脱水が行われる際に、プレス圧力に耐えうる柔軟な構成となっている。なお、収納部10に用いられる生地は、スラッジSの性状、又は脱水条件等により適宜変更可能である。
【0017】
蓋部20・20・20・20は、収納部10の四つの側面を上方に延長して、収納部10の上面における四辺からそれぞれ延出するように形成されており、収納部10と同様の生地から構成されている。蓋部20・20・20・20は、スラッジSのプレス脱水が行われる際、スラッジSが収納部10から流出しないように、互いに重なり合って収納部10の開放された上面を塞ぐ。
【0018】
掛止部30・30・30・30は、環状に構成され、それぞれ収納部10の上端部における四隅に固定されている。掛止部30・30・30・30は、それぞれ後述する籠体3の鉤部60・60・60・60に引っ掛けられることで、収納部10に所定の張力が付与された状態で、袋体2と籠体3とを固定する。つまり、掛止部30・30・30・30により、袋体2が籠体3の内部において吊り下げられることとなる。
これにより、収納部10にスラッジSが収納された場合でも、収納部10がスラッジSの重量によって変形することなく、収納部10の形状を保持し続けることが可能となる。ただし、袋体2と籠体3とが固定された時、袋体2の側面及び底面と籠体3の側面及び底面とが接触した状態で、収納部10に所定の張力が付与されて、収納部10の形状が保持されるように、袋体2及び籠体3の寸法が設定されているものとする。
なお、掛止部30・30・30・30は、籠体3に固定することで、収納部10の形状を保持できればよく、それらの形状及び材質、並びに籠体3への固定方法等は限定しない。
【0019】
仕切部40は、収納部10の底面を奥行方向における全域に亘って、上方に向けて収納部10内のスラッジSの中央部近傍まで切り込むように形成され、収納部10の幅方向における中央部に配置されている。つまり、仕切部40は、収納部10の表面を内部に向けて窪ませて、スラッジSの中央部近傍まで到達するように形成される。
こうして、収納部10の幅方向における中央部には、収納部10を奥行方向に沿って貫通し、収納部10の外部に連通する空隙41が形成されることとなる。
これにより、収納部10の内部にスラッジSが収納されてスラッジSの水切りが行われる際に、スラッジSの中央部に含まれる水が仕切部40の表面を通して空隙41へと流動し、最終的に収納部10の外部に排出される。したがって、スラッジSの中央部における脱水性が向上し、良好にスラッジSを脱水することができる。
【0020】
また、仕切部40は、収納部10よりも高い透水性を有する生地からなる。例えば、編み込んだ繊維同士の間隔が比較的大きい樹脂織生地、及び網目状の金属生地等が挙げられる。ただし、仕切部40は、スラッジSが通過せず、スラッジSに含まれた水のみが通過するように構成されると共に、プレス脱水の際にプレス圧力に耐えうる柔軟性を有するものとする。
これにより、スラッジSの中央部における脱水性を更に向上し、より良好にスラッジSを脱水することができる。
【0021】
仕切部40の幅寸法は、収納部10の幅寸法と比較して極めて小さく設定されている。また、仕切部40の高さ寸法は、収納部10の高さ寸法の半分程度に設定されており、収納部10の内部空間における下部分のみが仕切部40によって幅方向に仕切られることとなる。こうして、仕切部40によって仕切られた収納部10の内部空間における下部分には、小室11・11が形成される。
【0022】
図2に示すように、小室11・11は、収納部10の底面から仕切部40上端位置にかけて形成された収納部10における内部空間の一部であり、仕切部40を介して互いに離間して配置されている。前述のように、仕切部40の高さ寸法は、収納部10の高さ寸法の半分程度である。そのため、小室11・11は、収納部10の高さ方向全域に亘って形成されておらず、収納部10の底面から収納部10の高さの半分程度の高さまでのみ形成されている。つまり、収納部10の内部空間において、小室11・11同士が互いに連通している。
これにより、一方の小室11(図2における右側の小室11)にのみスラッジSを投入すれば、一方の小室11がスラッジSによって満たされた場合に、水分を含む泥状の物質であるスラッジSが一方の小室11から溢れて他方の小室11(図2における左側の小室11)へと流動し、他方の小室11もスラッジSで満たすことが可能となる。したがって、収納部10の内部にスラッジSを投入する際に、小室11・11それぞれに位置を変えつつスラッジSを投入することなく、簡便に収納部10の内部にスラッジSを投入することができる。
【0023】
図3に示すように、保持部50は、仕切部40に所定の張力を付与することで仕切部40の形状を保持するものであり、保持帯51と、中央掛止部52・52と、帯支持部53・53・・・とを具備する。
【0024】
保持帯51は、所定の方向に延出された帯状の部材であり、小室11・11の間に形成された空隙41の幅寸法と同程度の外径を有する。保持帯51は、空隙41に設けられ、延出両端部が収納部10の奥行方向における両側面からそれぞれ外方に突出した状態で、仕切部40の上端部に下方から(収納部10の外部から)接触するように配置される。保持帯51における収納部10の側面から突出した部分は、収納部10の側面に沿って仕切部40の上端部から上方へ延出している。
【0025】
中央掛止部52・52は、掛止部30と略同様に構成された環状の部材であり、保持帯51の両端部にそれぞれ固定されている。中央掛止部52・52は、それぞれ後述する籠体3の中央鉤部70・70に引っ掛けられることで、掛止部30・30・30・30と同様に袋体2と籠体3とを固定すると共に、仕切部40を支持する。
なお、中央掛止部52・52は、籠体3に固定することで、仕切部40を支持できればよく、それらの形状及び材質、並びに籠体3への固定方法等は限定しない。
【0026】
帯支持部53は、保持帯51を覆うように収納部10の外側面に設けられ、保持帯51が収納部10から脱落しないように保持帯51を支持する。帯支持部53は、収納部10の奥行方向における両側面、及び収納部10の外側面における仕切部40の上端部が位置する部分(空隙41)に複数配置されている。
【0027】
このように、保持帯51が複数の帯支持部53・53・・・によって略U字状に支持された状態で、中央掛止部52・52が籠体3の中央鉤部70・70に引っ掛けられることで、仕切部40が保持帯51によって吊り上げられる形となる。つまり、保持部50によって仕切部40に所定の張力が付与され、仕切部40の形状が保持されることとなる。
これにより、収納部10にスラッジSが収納された場合でも、仕切部40がスラッジSの重量によって変形することなく、仕切部40の形状を保持し続けることが可能となる。
なお、保持部50は、スラッジSの重量、及びプレス圧力に耐えうる柔軟性及び強度を有するように構成されている。
【0028】
図1に示すように、籠体3は、上面が開放された略直方体形状を有し、内部空間が袋体2の形状に合致するように構成されている。籠体3は、耐水性を有する金属等から成り、水が内部に滞留することなく外部へ排出されるように、全面が網目状に形成されている。
籠体3は、鉤部60・60・60・60、及び中央鉤部70・70を具備する。
【0029】
鉤部60・60・60・60は、それぞれ袋体2の掛止部30・30・30・30を引っ掛けるための鉤状の部材であり、側方に突出すると共に、当該突出端部が下方に向けて湾曲されている。鉤部60・60・60・60は、籠体3の外周側面における上端部に設けられ、袋体2の掛止部30・30・30・30の位置に合わせて籠体3の外周側面における角部分に配置される。
【0030】
中央鉤部70・70は、それぞれ袋体2の中央掛止部52・52を引っ掛けるための鉤状の部材であり、鉤部60と略同様に構成されている。中央鉤部70・70は、籠体3の奥行方向における両側面に設けられ、袋体2の中央掛止部52・52の位置に合わせて籠体3の幅方向における中央部に配置される。
【0031】
以下では、図4〜図6を参照して、脱水装置1によるスラッジSの脱水について説明する。
【0032】
第一に、スラッジSの水切り(重力脱水)が行われる。
図4に示すように、袋体2を籠体3内に設置した状態で、袋体2の掛止部30・30・30・30を籠体3の鉤部60・60・60・60に引っ掛けると共に、袋体2の中央掛止部52・52を籠体3の中央鉤部70・70に引っ掛ける。こうして、袋体2の形状(詳細には、収納部10及び仕切部40の形状)が保持された状態で、袋体2と籠体3とが固定される。
なお、図4においては、説明の便宜上、袋体2の蓋部20・20・20・20を図示していない。
【0033】
袋体2と籠体3とを固定した状態で、袋体2の収納部10にスラッジSを投入する。この時、前述のように、収納部10における一方の小室11にのみスラッジSを投入することで、小室11・11それぞれに位置を変えつつスラッジSを投入することなく、簡便に収納部10の内部にスラッジSを投入することができる。
袋体2が所定の張力が付与された状態で籠体3に固定され、更に袋体2の側面及び底面と籠体3の側面及び底面とが接触し、収納部10の外側面が籠体3の内側面に支持される形となるため、収納部10及び仕切部40がスラッジSの重量によって変形することはない。
【0034】
スラッジSを袋体2の収納部10に収納した後は、袋体2と籠体3とを固定した状態で所定の時間放置する。この時、スラッジSに含まれる水が収納部10の表面を通して、収納部10の外部に排出される。特に、スラッジSの中央部近傍に含まれる水は、スラッジSの中央部近傍まで到達する仕切部40の表面を通して空隙41へと流動し、最終的に収納部10の外部に排出される。そのため、脱水が困難なスラッジSの中央部近傍においても良好に脱水することができる。
【0035】
スラッジSから収納部10の外部へと排出された水は、籠体3の側面及び底面を通って最終的に脱水装置1の外部へと排出されることとなる。こうして、スラッジSの水切り(重力脱水)が行われる。
【0036】
なお、図5に示すように、スラッジSの水切りの際、保持部50を補強する治具54を用いてもよい。
治具54は、金属製の棒材であり、空隙41の幅寸法と同程度の外径を有する。治具54は、奥行方向に沿って延出される下段部54aと、下段部54aの両端部から上方に延出される段差部54b・54bと、段差部54b・54bの上端部から奥行方向に沿って互いに離間するように延出される上段部54c・54cとを具備する。
下段部54aは、保持帯51における仕切部40の上端部に接触する部分に下方から接触するように配置される。下段部54aの奥行寸法は、籠体3の内部の奥行寸法と同程度に設定されている。
段差部54b・54bは、下段部54aの両端部からそれぞれ上方へ籠体3の上端部の高さまで延出される。
上段部54c・54cは、段差部54b・54bの上端部から奥行方向に沿って、それぞれ籠体3の側面から若干外方に突出するように延出される。
【0037】
このように構成される治具54においては、籠体3の奥行方向における両側面の上端部に上段部54c・54cを引っ掛けることで、下段部54aが保持帯51を下方から支持する形となる。つまり、治具54は、仕切部40の形状を保持する保持部50を補強することとなる。
これにより、スラッジSが鉄粉等を含む比較的重量の大きい場合であっても、仕切部40がスラッジSの重量によって変形することなく、仕切部40の形状を保持し続けることが可能となる。
なお、本実施形態においては、治具54は、金属製の棒材としたが、これに限定するものではなく、小室11・11の間に形成された空隙41を満たす板材等、保持部50を補強できるものであればよい。
【0038】
第二に、スラッジSのプレス脱水が行われる。
図6に示すように、スラッジSの水切りを行った後、袋体2を籠体3から取り外し、収納部10の開放した上面を蓋部20・20・20・20で塞ぐ。
【0039】
その後、所定のプレス装置(不図示)により、袋体2に対してプレス処理を施す。この時、袋体2が籠体3から取り外されて、袋体2に付与されていた張力が解放されているため、袋体2に対して良好にプレス処理を施すことができる。また、袋体2に対するプレス処理の際、収納部10の小室11・11が互いに離間するように袋体2が変形するため、仕切部40が阻害することなく、袋体2に対して良好にプレス処理を施すことができる。
【0040】
このように、袋体2に対してプレス処理を施すことで、水切り(重力脱水)を経た後もスラッジSに残存する水が袋体2の外部に排出されることとなる。こうして、スラッジSのプレス脱水が行われる。
【0041】
以上のように、脱水装置1においては、スラッジSの水切り時に、袋体2と籠体3とを固定することで収納部10及び仕切部40の形状を保持し、スラッジSのプレス脱水時に、袋体2を籠体3から取り外すことで袋体2に構造的柔軟性が付与される。
そのため、脱水装置1によれば、籠体3に対する袋体2の着脱による簡便な作業で、スラッジSの水切り及びプレス脱水を連続して短時間で行い、スラッジSを良好に脱水することができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、袋体2に保持部50を設けたが、保持部50の代わりに保持部150を設けてもよい。
図7に示すように、保持部150は、補強帯151と、中央掛止部152・152とを具備する。
【0043】
補強帯151は、仕切部40の形状に沿って収納部10の外側面に設けられた帯状の部材である。補強帯151は、空隙41の外周に沿って、収納部10の奥行方向における両側面、及び収納部10の底面に外部から取り付けられ、更に収納部10の奥行方向における両側面に取り付けられた部分においては、それぞれ仕切部40の上端部が位置する部分から上方に延出されている。
こうして、補強帯151は、仕切部40の形状に沿って収納部10を補強することとなる。ただし、補強帯151は、スラッジSの重量、及びプレス圧力に耐えうる柔軟性及び強度を有するように構成されているものとする。
【0044】
中央掛止部152・152は、中央掛止部52・52と略同様に構成された環状の部材であり、補強帯151の上端部にそれぞれ固定されている。中央掛止部152・152は、籠体3の中央鉤部70・70に引っ掛けられることで、中央掛止部52・52と同様に袋体2と籠体3とを固定する。
【0045】
このように、補強帯151が仕切部40の形状に沿って収納部10を補強した状態で、中央掛止部152・152が籠体3の中央鉤部70・70に引っ掛けられることで、保持部150によって仕切部40の形状が保持されることとなる。
これにより、収納部10にスラッジSが収納された場合でも、仕切部40がスラッジSの重量によって変形することなく、仕切部40の形状を保持し続けることが可能となる。
【0046】
また、袋体2に保持部50の代わりに保持部250を設けてもよい。
図8に示すように、保持部250は、挟持帯251と、吊上部252・252・252・252とを具備する。
【0047】
挟持帯251は、仕切部40の上端部を上方から覆った状態で両側面から挟持する部材であり、仕切部40の奥行方向における中央部に配置されている。挟持帯251の寸法は、仕切部40の寸法と比較して極めて小さく、挟持帯251が仕切部40の一部分のみを覆う程度に設定されている。
【0048】
吊上部252・252・252・252は、挟持帯251を吊り上げる紐状の部材である。吊上部252・252・252・252は、一端部が挟持帯251に固定され、他端部がそれぞれ収納部10の上端部における四隅に固定されている。
【0049】
このように、袋体2が籠体3内に設置されて、袋体2の掛止部30・30・30・30が籠体3の鉤部60・60・60・60に引っ掛けられることで、袋体2に所定の張力が付与されるに伴って、吊上部252・252・252・252にも所定の張力が付与され、吊上部252・252・252・252によって挟持帯251が吊り上げられることとなる。こうして、保持部250によって仕切部40の形状が保持されることとなる。
これにより、収納部10にスラッジSが収納された場合でも、仕切部40がスラッジSの重量によって変形することなく、仕切部40の形状を保持し続けることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態においては、仕切部40を収納部10の幅方向における中央部において奥行方向全域に亘って形成したが、これに限定するものではなく、仕切部40が収納部10に収納されたスラッジSの中央部近傍を通るように形成されると共に、収納部10の外部に連通する空隙41が形成されて、スラッジSの中央部に含まれる水を良好に脱水できればよい。
例えば、仕切部40を収納部10の幅方向における中央部近傍の複数箇所においてそれぞれ奥行方向全域に亘って形成すること、収納部10の幅方向及び奥行方向における中央部においてそれぞれ奥行方向全域及び幅方向全域に亘って互いに交差するように形成すること、収納部10の底面における対角線上に形成すること、収納部10の幅方向における中央部において奥行方向における中央部近傍のみ形成すること等が可能である。
また、本実施形態においては、仕切部40を収納部10の底面を上方に向けて切り込むように形成したが、収納部10の高さ方向における中途部において収納部10を奥行方向に沿って貫通するように形成してもよい。
【0051】
また、本実施形態においては、収納部10を略直方体形状としたが、これに限定するものではなく、円柱形状、又は多角柱形状等とすることも可能である。ただし、当該形状に合わせて、籠体3の内部空間が形成されているものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 脱水装置
2 袋体
3 籠体
10 収納部
20 蓋部
30 掛止部
40 仕切部
50 保持部
51 保持帯
52 中央掛止部
53 帯支持部
54 治具
60 鉤部
70 中央鉤部
S スラッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透水性を有し、内部に含水物を収納する袋体と、
前記袋体の形状に合致する内部空間を有し、水が内部に滞留することなく外部へ排出されるように構成される籠体と、を具備し、
前記含水物の水切り時には、前記袋体の外側面と前記籠体の内側面とが接触するように、前記袋体を前記籠体の内部に吊り下げることで、前記袋体の形状を保持し、当該袋体に投入された前記含水物の脱水を行う脱水装置であって、
前記袋体は、その外部に連通する空隙が形成されるように、前記袋体の表面を内部に向けて窪ませて形成され、前記袋体の内部空間を仕切る仕切部と、
前記含水物の水切り時に、前記仕切部を支持して前記仕切部に張力を付与することで、前記仕切部の形状を保持する保持部と、を具備し、
前記仕切部は、前記袋体に収納された前記含水物の中央部近傍に配置される脱水装置。
【請求項2】
前記仕切部は、前記袋体の内部空間における前記仕切部によって仕切られた空間同士が互いに連通するように形成される請求項1に記載の脱水装置。
【請求項3】
前記仕切部は、前記袋体における他の部分よりも高い透水性を有する請求項1又は請求項2に記載の脱水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91088(P2012−91088A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239063(P2010−239063)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】