説明

脱着反転用ファスナー及びそれを用いた自動二輪車用バッグと衣類

【課題】ファスナーの一方のテープの両端を左右反転して相互に入れ替えても先端挿入部材を挿入部材保持具に挿入でき、ファスナーの噛合わせ開閉ができ、併せて、このファスナーを利用してバッグの上面蓋の部分が表裏反転させて、自由に着脱が繰り返しできる自動二輪車用バッグなどを提供する。
【解決手段】スライダー7によっていずれの方向でも自在に噛合うことができる対称歯3を列状に設けた対向する2つの、一方ファスナーの脱着反転できる可動テープ1と他方固定テープ2とで成り、当該両テープの長さ中央線に対称となるファスナーであって、固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用のスライダーと固定テープ両端にはスライダー係止部材5と相手の可動テープ両端の挿入部材4を挿入保持する挿入部材保持具6を一体化固定して設け、可動テープの両端に前記挿入部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱着反転(リバーシブル)用ファスナーとそれを用いた主として自動二輪車の燃料タンク上部に装着する自動二輪車用ツーリングバッグと変わり衣類に関するものである。 詳しくは、バッグの上面外壁が離脱反転して裏面を表にして取り付けることによって使用し、再び表裏をもとに戻すことができるファスナーとこれを利用した自動二輪車用バッグおよび上着の背中や側面の一部に小物入れなどのポケットを必要に応じて表裏反転取付変化や、上着の腕の一部分を使用場面に応じて表裏反転取付変化させるものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスライドファスナーよりも多様に用いることができ、特に上服と下服をぴったり合せることができるファスナーとして、重ね着の異なった衣服の両ファスナーが相互にファスナー先端の挿入部材が挿入部材保持具に挿入できるもの(例えば特許文献1参照)の技術が公開されている。しかし、両端が結合されて環状を成すファスナーの一方のファスナーテープを表裏反転させて離着自在なものはなかった。
【0003】
従来、この種の自動二輪車用ツーリングバッグは、車体の燃料タンク上に設置、固定されていて、バッグ本体の上面に透明なシートによる書類収納部を有して、この中に所定の地図を上から見れるようにして収納できるように構成されているものである。従って雨天の場合には開口部や隙間から浸水して地図を汚したり、破損することがある。また、走行途中の休憩地や目的地到着時には前記バッグを燃料タンクから取り外して、一般のバッグとして、小物入れのポケットを外側に出して使用できることが便利である。この場合には、前記バックの上面だけが表裏反転させて、着脱が繰り返しできることが望まれていた。
【0004】
また、従来のリバーシブルバッグは、バッグの一辺を固定した状態で他の三辺を開放させて裏面を外側に位置させてバッグの把持部の形態などを変化させるもの(例えば特許文献2参照)の技術が公開されている。しかし、ファスナー自体を反転させるものではなく、バッグの一部を脱着させるものではない。
【0005】
その他、衣類においても、装着や結合させたファスナーの一方のテープを反転させて、裏返しにして再び装着させるものや、それに関する技術の公開は見られない。
【参考文献】
【特許文献1】 特開平8−242911
【特許文献2】 2006−296560
【特許文献3】 2006−298090

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題を解決すると共に、多くの市場の要求にも応えようとするものである。
即ち、ファスナー可動テープの両端を左右反転して相互に入れ替えても先端挿入部材を挿入部材保持具に挿入でき、ファスナーの噛合わせ開閉ができるようにしたことを特長とした脱着反転装着用ファスナーを提供し併せて、このファスナーを利用してバッグの上面蓋の部分が表裏反転させて、自由に着脱が繰り返しできる自動二輪車用バッグを提供することや衣類の一部を表裏反転させて、自由に着脱が繰り返しできる衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の脱着反転用ファスナー及びそれを用いた自動二輪車用バッグと衣類は、スライダーによっていずれの方向にでも離着自在に噛合うことができる対称歯のファスナーであって、ファスナーの固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用スライダーと固定テープ両端にスライダー係止部材と挿入部材保持具を固定状態に設け、ファスナーの脱着反転できる可動テープ両端に設けたファスナー歯の噛合わせ開始部での先端挿入部材を設けることにより、ファスナー可動テープの両端を左右反転して相互に入れ替えても先端挿入部材を挿入部材保持具に挿入でき、ファスナーの噛合わせがされて開閉ができるようにしたことである。
【0008】
また、主として自動車二輪車に装備する箱状のバッグであって、バッグ本体の箱の上面全周縁に、ファスナーの固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用スライダーと固定テープ両端にスライダー係止部材と挿入部材保持具を固定状態に設け、ファスナーの脱着反転可動テープ両端に設けたファスナー歯の噛合わせ開始部での先端挿入部材を設けたファスナーにてファスナーの両端に設ける挿入部材保持具を隣接して背中合わせの状態に設けた双方向開閉式蓋を設け、当該蓋体の少なくともいずれか一方の面において、透明材で被覆されたポケットを設けたことである。
【0009】
また、主としてジャケットなどの衣服類の表皮面の任意な一部分や表皮の端面全周囲縁にファスナーの固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用スライダーと固定テープ両端に挿入部材保持具を固定状態に設け、ファスナーの脱着反転可動テープ両端に設けたファスナー歯の噛合わせ開始部での先端挿入部材を設けたファスナーにて、装着する母材側にファスナー固定テープとスライダーを取り付けると共に、表裏反転して母材の一部分に装着される物の縁にはファスナー可動テープを取り付けることによって、通常使用の表皮の裏面や袖などの端面における他の外皮部材や物品の収納機能を形成する手段を装着したものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、以下の多くの優れた効果を奏する。
請求項1の発明によれば、スライダーによっていずれの方向にでも離着自在に噛合うことができる対称歯のファスナーであって、ファスナーの固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用スライダーと固定テープ両端に挿入部材保持具を固定状態に設け、ファスナーの脱着反転できる可動テープ両端に設けたファスナー歯の噛合わせ開始部での先端挿入部材を設けたので、ファスナー可動テープの両端を左右反転して相互に入れ替えても先端挿入部材を挿入部材保持具に挿入でき、ファスナーの開閉ができるファスナーが得られる。
従来のファスナーでは、その部分を取り外したり、取り付けたりすることはできたが、表面と裏面を反対にして取り付け取り外しの繰り返しはできなかったものが、本発明のファスナーによって、可能となった。従って、表面と裏面を時と場合によって、選択して使用することができるので、機能性やデザイン性を向上することができる。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、前記ファスナーにてファスナーの両端に設ける挿入部材保持具を隣接して背中合わせの状態に蓋の全周縁に設けた双方向開閉式蓋を設け、当該蓋体の少なくともいずれか一方の面において、透明材で被覆されたポケットを設けたことによって、必要に応じて地図を収納している透明なポケットの面をバッグの内面にして、地図の濡れやよごれることを防止でき、またバッグを車両から取り外した場合にはバックの外面をすっきりさせたり、必要に応じた小物入れポケットを設けることもできる。
即ち、バッグの上面または側面を取り外しできるようにして、使用目的に合わせて外面の変化を使い分けできるものである。
【0012】
また、請求項3の発明によれば、衣服類の表皮面の任意な一部分や表皮の端面全周囲縁に前記ファスナーにて、装着する母材側にファスナー固定テープとスライダーを取り付けると共に、表裏反転して母材の一部分に装着される物の全周縁にはファスナー可動テープを取り付けることによって、通常使用の表皮の裏面や袖などの端面における他の外皮部材や物品の収納機能を形成する手段を装着することができる。例えば、ポケットを設けたジャケット等の背面部や袖部を一部取り外して、目的や好みに合わせて、表側と裏側を使い分けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図面はいずれも簡略化図式化され、縮尺や細部は必ずしも正確ではない。図1は本発明のファスナーの平面図で、図2は本発明のファスナーを装備した自動二輪車用のバッグの上蓋体を開けた状態の上面から見た斜視図で、図3は本発明のファスナーを装備した衣服(上着)の変化状態の上面から見た斜視図である。
【0014】
図1で示すように、本発明におけるファスナーは、スライダー7によっていずれの方向でも自在に噛合うことができる対称歯3を列状に設けた対向する2つの、一方ファスナーの脱着反転できる可動テープ1と他方固定テープ2とで成り、当該両テープの長さ中央線に対称となるファスナーであって、固定テープ2のファスナー歯3上に中央に閉める方向に対向する2つのファスナー開閉用のスライダー7と固定テープ2両端にはスライダー係止部材5と共に相手の可動テープ1両端の挿入部材4を挿入保持する挿入部材保持具6を重合固定して設け、可動テープ1の両端にファスナー歯の噛合わせ開始部での挿入部材4を設け、ファスナー可動テープ1の両端を左右反転して相互に入れ替えても先端挿入部材4を挿入部材保持具6に相互に挿入でき、ファスナーの開閉ができるようにしたものである。
【0015】
前記スライダー係止部材5は挿入部材保持具6の中にはめ込まれて、一体的にかしめによって固着されている。
前記スライダー7は一つでもよいが、開閉作業上やデザイン上左右対称的に2つ設けた方が好ましい。
ファスナー歯3の材質は最近は金属に変えて硬質プラスチックが多く用いられている。
【0016】
そして、前記ファスナーは以下のように利用される。図2は自動二輪車用バッグの一種で、燃料タンクに装着されるツーリングバッグとも言われるものである。図2は本発明のファスナーの開離状態を分かりやすく示すために略五角形に表示しているが、実際は略矩形の箱状態の場合がほとんどである。
【0017】
図2で示すように、先述した本発明のファスナーを、バッグ本体11には固定テープ2を取り付け、バッグ蓋体12には可動テープ1を取り付ける。この場合、ファスナーの両端に装着された挿入部材保持具6を、隣接して背中合わせの円環状態になるようにして、バッグ本体11の箱の上端全周縁と、バッグ蓋体12の全周縁に取り付けられている。そして、バッグ蓋体12の一方の面(図2では破断したバッグ蓋体12の外側)において、外面が透明シート13で被覆された書類(地図)収納部121を設け、バッグ蓋体12の内側には小物ポケット122が設けられているものである。
【0018】
以上のように構成されているので、これらの外側と内側を反転させてバッグ蓋体12を容易に取り付けることができる。そして、使用時に応じて、このバッグ蓋体12を表裏任意に脱着反転を繰り返し行なうことができる。即ち、ツーリング走行時には、書類(地図)収納部121を外側にして、車両から外した場合には小物ポケット122を外側にする。
【0019】
図3は本発明のファスナーを装備した衣服(上着)の変化状態の上面から見た斜視図である。
図3に示すように、ジャケット21の背中の表皮面の任意な一部分を切り欠いた部分や背中当て部材および袖根元部材23表皮の端面全周囲縁に先述する本発明のファスナーにて、装着する母材側であるジャケット21にファスナー固定テープ2とスライダー7を取り付けると共に、表裏反転して母材の一部分に装着される物であるポケット241の全周縁にはファスナー可動テープ1を取り付けることによって、通常使用の表皮の裏面や袖などの端面における他の外皮部材や物品の収納機能を形成する手段としてポケット241を装着しているジャケット21である。
【0020】
以上のように構成されているので、使用時に応じて、ファスナーで取り付けた部分や部材を取り外したり、それぞれ表裏反転させることによって、収納機能を付加したり、袖などは、表裏異なった楽しい絵柄の変化を楽しむことができる。
【0021】
更に、その他の実施例として、以上に述べた考え方に基づく各種変形型バリエーションも可能である。例えば表裏面を入れ替えるエプロンなども考えられる。
上記各構成品の形状や、プラスチック、アルミなどのファスナー歯の材質等いずれも記載している実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、包含されるべくものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のファスナーの平面図である。
【図2】本発明のファスナーを装備した自動二輪車用のバッグの上蓋体を開けた状態の上面から見た斜視図である。
【図3】本発明のファスナーを装備した衣服(上着)の変化状態の上面から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ファスナー可動テープ
2 ファスナー固定テープ
3 ファスナー歯
4 挿入部材
5 スライダー係止部材
6 挿入部材保持具
7 スライダー
11 バッグ本体
12 バッグ蓋体
121 書類(地図)収納部
122 小物ポケット
13 透明シート
21 ジャケット
22 背中当て部材
23 袖根元部材
24 袖脱着部材
241 ポケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダーによっていずれの方向でも自在に噛合うことができる対称歯を列状に設けた対向する2つの、一方ファスナーの脱着反転できる可動テープと他方固定テープとで成り、当該両テープの長さ中央線に対称となるファスナーであって、固定テープのファスナー歯上に少なくともひとつのファスナー開閉用のスライダーと固定テープ両端にはスライダー係止部材と相手の可動テープ両端の挿入部材を挿入保持する挿入部材保持具を一体化固定して設け、可動テープの両端に前記入部材を設けることにより、ファスナー可動テープの両端を左右反転して相互に入れ替えても両端の挿入部材が各挿入部材保持具に相互に挿入でき、ファスナーの開閉ができるようにしたことを特長とした脱着反転用ファスナー。
【請求項2】
主として自動車二輪車に装備する箱状のバッグであって、請求項1に記載するファスナーをファスナーの両端に装着された挿入部材保持具を、隣接して背中合わせの円環状態にして、バッグ本体の箱の上端全周縁と、蓋体の全周縁に取り付けた蓋を設け、当該蓋体の少なくともいずれか一方の面において、外面が透明材で被覆された書類収納部を設けたことを特徴とする自動二輪車用バッグ。
【請求項3】
主としてジャケットなどの衣服類の表皮面の任意な一部分や表皮の端面全周囲縁に請求項1に記載するファスナーにて、装着する母材側にファスナー固定テープとスライダーを取り付けると共に、表裏反転して母材の一部分に装着される物の全周縁にはファスナー可動テープを取り付けることによって、通常使用の表皮の裏面や袖などの端面における他の外皮部材や物品の収納機能を形成する手段を装着して成ることを特徴とする離脱反転装着用衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−233304(P2009−233304A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113164(P2008−113164)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(592016485)株式会社デイトナ (8)
【Fターム(参考)】