説明

脱硝装置及び脱硝方法

【課題】触媒の閉塞を精度よく検出すること。
【解決手段】燃焼排ガスを缶内11に導入して缶11の入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒12を備えた脱硝装置100において、缶11内に、燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される触媒12と、触媒12を挟んで配置される音波を送信する音響送波器Sと音波を受信する受波器Rと、音響送波器Sが送信する音波と受波器Rが受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、減衰に基づいて触媒12の閉塞を検出する減衰検出部6とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝装置及び脱硝方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事業用や産業用の石炭火力発電所においては、石炭焚きのボイラから排出される燃焼排ガス中に窒素酸化物(NOx)が含まれており、この窒素酸化物を除去するための装置として脱硝装置が知られている。従来、脱硝装置は、窒素酸化物を化学反応により除去するための触媒が用いられており、燃焼排ガスを通過させる向きに触媒を設け、アンモニア水を気化したガスと燃焼排ガスとを混合させて触媒に通過させることで、無害な窒素と水に分解する。触媒は通常ハニカム構造となっており、燃焼排ガスがばい塵を含んでいる場合には触媒が部分的又は全体的に閉塞することがあるため、閉塞を検出するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、音波によって触媒層上の堆積物の量の検出を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−109925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、触媒層上の堆積物の周囲に対向する位置に配置される音波送受信機によって送受信される電波の伝搬経路における音波の減衰量を計測するため、触媒層上にある程度の堆積物が堆積した状態になっていないと音波の減衰を検出できず、触媒の閉塞を検出できないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、触媒の閉塞を精度よく検出できる脱硝装置および脱硝方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、互いに前記触媒ハニカム層を挟んで配置される音波送信手段および音波受信手段と、前記音波送信手段が送信する音波と前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出手段とを具備する脱硝装置を提供する。
【0007】
このような構成によれば、燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔で複数段配設される触媒ハニカム層を挟んで配置される音波送信手段と音波受信手段とにおいて、音波送信手段から送信される音波が、触媒ハニカム層を通過して音波受信手段に受信されると、送信された音波と受信された音波とから音波の減衰が検出され、音波の減衰に基づいて触媒ハニカム層の閉塞が検出される。
このように、触媒ハニカム層を通過する音波の減衰に基づいて閉塞を検出するので、音波の減衰量が、触媒ハニカム層に閉塞がない場合の減衰よりも大きくなっている場合には、触媒ハニカム層に閉塞があることを検出する。これにより、触媒ハニカム層上にダストが堆積するような末期症状となる以前であり、触媒ハニカム層に生じる閉塞が初期段階であっても簡便に検出できる。また、減衰量に応じて閉塞状況の把握が可能であるため、交換用のハニカムの準備数を推定することができる。
【0008】
上記脱硝装置の前記音波受信手段は、複数の異なる位置に設けられた前記音波送信手段から送信され、共通の前記触媒ハニカム層を通過した音波を受信することとしてもよい。
共通の触媒ハニカム層を通過して受信した音波が複数あることにより、複数の音波が通過した共通の触媒ハニカム層の閉塞の有無を複数の情報に基づいて判定でき、閉塞を検出する精度を向上させることができる。
【0009】
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置される音波送信手段および音波受信手段と、前記音波送信手段が音波を送信してから前記音波受信手段が音波を受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測手段と、前記時間計測手段によって計測された前記音波伝搬時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出手段とを具備する脱硝装置を提供する。
【0010】
このような構成によれば、音波送波器から送信された音波が、音波送信手段から音波受信手段に到達するまでの音波伝搬時間が計測され、この音波伝搬時間を用いて算出される温度の情報が、音波の伝搬された空間の温度とされる。
このような場合に、燃焼排ガスの流れ方向に対して、閉塞している触媒ハニカム層の手前側の空間の温度と、閉塞している触媒ハニカム層の後流側の空間の温度とを比較した場合、後者の空間においては、高温ガスの通過がない(または少ない)領域が存在するため、低温となる。これにより、各空間の温度を算出し、それぞれ比較することによって、触媒ハニカム層の閉塞を簡便に検出することができるとともに、閉塞のある触媒ハニカム層を簡便に特定することができる。
【0011】
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置される音波送信手段および音波受信手段と、前記音波送信手段が送信する音波と、前記音波送信手段と前記触媒ハニカム層を挟んで配置される前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出手段と、前記音波送信手段が音波を送信し、共通の空間の前記音波受信手段が受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測手段と、前記時間計測手段によって計測された時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出手段とを具備する脱硝装置を提供する。
【0012】
このような構成によれば、燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔で複数段配設される触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に音波送信手段と音波受信手段とが配置され、音波送信手段から送信された音波が、触媒ハニカム層を挟んで配置される音波受信手段によって受信され、触媒ハニカム層を挟んで受信される音波の減衰に基づいて、触媒ハニカム層の閉塞が検出される。また、音波送信手段から送信される音波が、音波送信手段と共通の空間の音波受信手段に受信されるまでの音波伝搬時間が計測され、音波伝搬時間を用いて算出される温度の情報が、音波が伝搬される空間の温度とされる。
このように、触媒ハニカム層を通過する音波の減衰に基づいて閉塞を検出する場合には、触媒ハニカム層上にダストが堆積する以前であっても、触媒ハニカム層に閉塞が存在していることが簡便に検出できる。また、燃焼排ガスの流れ方向に対して、閉塞している触媒ハニカム層の手前の空間の温度と、閉塞している触媒ハニカム層の後流側の空間の温度とを比較した場合、後者の空間においては、高温ガスの通過がない(または、少ない)領域が存在するため低温となる。このように温度を算出することによっても、簡便に閉塞を検出できる。これにより、触媒ハニカム層の閉塞を精度よく検出することができる。
【0013】
上記脱硝装置は、前記缶内の燃焼排ガスの流れ方向に対向する該缶の横断面を見た場合に、前記音波送信手段の対面する方向に配置される第1音波受信手段と、前記音波送信手段の対面する方向の側面に配置される第2音波受信手段とを具備することとしてもよい。
音波送信手段と音波受信手段との経路が増加することとなり、より広範囲の音波が受信されることとなる。これにより、触媒ハニカム層の閉塞状況を、精度よく検出することができる。
【0014】
上記脱硝装置は、前記缶内の燃焼排ガスの流れ方向に対向する該缶の横断面を見た場合に、前記音波送信手段の対面する方向に配置され、前記音波送信手段の位置に対して平行に移動可能である第3音波受信手段を具備することとしてもよい。
音波受信手段を移動可能とすることにより、1つの音波送信手段によって異なる位置において音波を受信することができる。これにより、配置する音波受信手段の個数を低減することができる。
【0015】
上記脱硝装置の前記缶内の上流位置に設けられる天井音波送信手段を具備することとしてもよい。
音波送信手段を天井に備えることにより、音波受信手段に受信させる音波の経路を増やすことができるので、閉塞検出の精度を向上させることができる。また、一般に、燃焼排ガスの流れ方向の上流側に位置する触媒ハニカム層(第1層目)の方が、下流側よりも詰まりやすい。そこで、本発明では、上流位置の天井に音波送波器を備えることとし、閉塞の可能性が最も高い触媒ハニカム層の第1層目を重点的に検査することとした。
【0016】
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層を挟んで配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、前記音波送信手段が送信する音波と前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する脱硝方法を提供する。
【0017】
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、前記音波送信手段が音波を送信してから前記音波受信手段が音波を受信するまでの音波伝搬時間を計測する過程と、計測された前記音波伝搬時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する過程とを有する脱硝方法を提供する。
【0018】
本発明は、燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、前記音波送信手段が送信する音波と、前記音波送信手段と前記触媒ハニカム層を挟んで配置される前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出過程と、前記音波送信手段が音波を送信し、共通の空間の前記音波受信手段が受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測過程と、前記時間計測過程によって計測された時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出過程とを有する脱硝方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、触媒の閉塞を精度よく検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る脱硝装置の概略構成の一例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る触媒と音響送波器と受波器との配置を示す立面図である。
【図3】第1の実施形態の変形例1に係る受波器の配置の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態の変形例2に係る受波器の配置の一例を示す図である。
【図5】第1の実施形態の変形例3に係る音響送波器の配置の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る脱硝装置の概略構成の一例を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る触媒と音響送波器と受波器との配置を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る脱硝装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態について、図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態の脱硝装置100の概略構成を示した図である。図1に示されるように、脱硝装置100は、音響送波器(音波送信手段)Sn,Sn´(nは音響送波器の配置される空間を示す番号であり、n=1,2,3,4)と、受波器(音波受信手段)Rn,Rn´(nは受波器の配置される空間を示す番号であり、n=1,2,3,4)、周波数分析器1、増幅器2、発振器3、格納部5、減衰検出部(減衰検出手段)6、及び触媒(触媒ハニカム層)12a,12b,12cを備えている。以下特に明記しない場合には、触媒は触媒12、音響送波器は音響送波器S、及び受波器は受波器Rとして記述する。
【0022】
脱硝装置100は、燃焼排ガスの流入側に、ダクト4が接続されている。脱硝装置100は、ダクト4を介して上流側から燃焼排ガスを缶11内に導入して、触媒12において缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する装置である。また、触媒12が缶11内に所定の空間(間隔)13をもって複数段(図1の例では3段)に配設されている。
本実施形態においては、各空間13には、音響送波器S及び受波器Rが、それぞれ2つずつ設けられ、触媒12は3段に配置されることから空間13は4つ備えていることとして説明する。なお、各空間13に設けられる音響送波器S及び受波器Rの個数はこれに限定されず、特に上限を設けない。また、以下特に明記しない場合には、空間は空間13として示すが、上段からの順序を示す場合には空間13a,b,c,dとして示す。
【0023】
発振器3は、所定の周波数の音波を繰り返し発生し、音響送波器Sを介して空間13に音波を放出させる。例えば、発振器3は、音響送波器S,S´から送出される音波の周波数をF,F´とし、音響送波器S、S´から送出される音波の周波数をF、F´とする等、異なる位置に配置される音響送波器S毎に、送出させる音波の周波数を異ならせる。
増幅器2は、発振器3から出力された音波を増幅して音響送波器Sに出力する。また、増幅器2は、受波器Rから取得された音波を増幅して周波数分析器1に出力する。
周波数分析器1は、受波器Rが受信した音波の周波数を分析し、分析結果を減衰検出部6に出力する。
【0024】
格納部5には、触媒12の閉塞が発生していない状態である正常時に、音響送波器Sから送信された音波と受波器Rに受信された音波とから計測された減衰の情報が格納される。例えば、閉塞が発生していない場合に、図1の音響送波器Sから送信された音波が、触媒12を挟んで配置される受波器R,R´、R,R´、R,R´のそれぞれにおいて受信された音波に基づいて減衰の状態が計測されるとともに、計測結果が格納部5に格納される。また、全ての音響送波器Sから出力された音波に対して同様の減衰の計測が行われ、その計測結果がそれぞれ格納される。
【0025】
減衰検出部6は、音響送波器Sが送信する音波と受波器Rが受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、減衰に基づいて触媒12の閉塞を検出する。具体的には、減衰検出部6は、周波数分析器1から取得した周波数の分析結果に基づいて送信元の音響送波器Sを特定するとともに、格納部5に格納された情報に基づいて特定された音響送波器Sからの音波の正常時の減衰の情報と、受波器Rで受信した音波の減衰の情報とを比較し、比較結果が所定値以上となった場合に、触媒12に閉塞が生じていることを検出する。
【0026】
音響送波器Sは、各触媒12間に設けられ、水平方向の異なる位置に2つ配置される。本実施形態においては、音響送波器Sは、第1から第4の4つの空間13に、それぞれ2つずつ設けられる。また、音響送波器Sは、閉塞を検出する目的で設置された音波の送波器を使用することとするが、これに限定されない。例えば、音の伝搬に伴って生じる圧力変動の力を触媒に蓄積した粉体除去する除煤装置用に設けられた音響除煤装置を使用することとしてもよい。
【0027】
受波器Rは、各触媒12間に設けられ、音響送波器Sと対面する方向に配置され、水平方向の異なる位置に2つ配置される。
また、本実施形態においては、音響送波器S及び受波器Rは、それぞれ無指向性のものを使用することとして説明するが、これに限定されない。例えば、それぞれ指向性のものを使用してもよいこととする。例えば、指向性の受波器を使用する場合には、受波器の個数分だけ送波器を使用する、または、送波する音波の角度を可変とする機構を備える送波器を使用することが望ましい。
【0028】
図2は、第1の触媒12aを上部から見た立面図の一例である。図2は、音響送波器S,S´と対面する位置に受波器R,R´が配置されており、第1の空間13aに配置された音響送波器S,S´から送出された音波が、触媒12aを挟んで第2の空間13bに配置された受波器R,R´に受信される様子を示している。また、図2の触媒12aが格子柄で示されているのは、触媒12がハニカム形状であることを示している。
ここで、図2に示されるように、触媒12aにおいて、SからRに到達する音波、及びSからR´に到達する音波の減衰が、格納部5に格納されている正常時に生じる減衰よりも大きい場合、音響送波器Sから受波器Rの経路上及び音響送波器Sから受波器R´の経路上に閉塞部Xが存在すると推定される。
【0029】
また、複数の経路を用いて触媒12の閉塞を確定してもよいこととする。例えば、図1において、受波器Rが、第1の触媒12aと第2の触媒12bを通過する音響送波器Sからの音波と、第2の触媒12bを通過する音響送波器Sからの音波との2つの経路の音波を受信した場合について説明する。S−Rの経路において減衰が大きく閉塞が推定され、S−Rの経路において減衰量が正常と判定される範囲内である場合には、第1の触媒12aにおいて閉塞が生じていると判定することができる。このように、複数の経路の減衰量によっても閉塞を確定することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る脱硝装置100の作用について図1を用いて説明する。
缶11の上流側のダクト4から燃焼排ガスが缶11内に導入され、缶11の入口においてアンモニア等の還元剤が噴霧され、触媒12a、12b、12cを通過する場合に生じる化学反応によって燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)が除去される。この過程において、燃焼排ガスがばい塵を含んでおり、第1の触媒12aに閉塞が生じている場合を例に挙げ、音響送波器S,S´と受波器R,R´とに着目して説明する。
【0031】
音響送波器S,S´のそれぞれに対して異なる周波数F,F´の音波が発振器3から出力され、増幅器2において増幅され、音響送波器S,S´から放出される。音響送波器S,S´から送出された音波は、受波器R,R´によって受信され、増幅器2によって増幅された後、周波数分析器1に出力される。周波数分析器1において、受信した音波の周波数F,F´に基づいて音波の送信元の音響送波器Sが、音響送波器S,S´であると特定される。特定された音響送波器Sの情報と受信した音波の情報とが減衰検出部6に出力される。
【0032】
減衰検出部6において、音響送波器Sと受波器Rとの経路、音響送波器S´と受波器Rとの経路、音響送波器S´と受波器Rとの経路、音響送波器S´と受波器R´との経路のそれぞれの音波の減衰量と、格納部5に格納された上記4つの経路の正常時(触媒に閉塞がない場合)の減衰量とが比較される。比較の結果、経路S−R及び経路S−R´の減衰量が正常時より大きい場合には、これら経路S−Rと経路S−R´との経路上の領域Xにおいて触媒12aの閉塞があると検出される。また、比較の結果、経路S´−R及び経路S´−R´の減衰量が正常時とみなされる範囲内である場合には、これら経路S´−R及び経路S´−R´の経路上には触媒12aの閉塞がないことと判定される。
【0033】
以上説明してきたように、本実施形態に係る脱硝装置100及び脱硝方法によれば、燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔で複数段配設される触媒12を挟んで配置される音響送波器Sと受波器Rとにおいて、音響送波器Sから送信される音波が、触媒12を通過して受波器Rに受信されると、送信された音波と受信された音波とから音波の減衰が検出され、音波の減衰に基づいて触媒12の閉塞が検出される。このように、触媒12を通過する音波の減衰に基づいて閉塞を検出するので、触媒12に閉塞がない場合の減衰よりも音波の減衰量が大きくなっている場合には、触媒12に閉塞があることを検出する。これにより、触媒12上にダストが堆積する以前であり、触媒の閉塞が初期段階であっても、触媒12の閉塞を簡便に検出できる。また、減衰量に応じて閉塞状況の把握が可能であるため、交換用のハニカムの準備数を推定することができるとともに、点検する領域を絞り込むことができる。
【0034】
〔変形例1〕
なお、本実施形態において、受波器Rの配置位置は、音響送波器Sと対面する位置に配置されることとして説明していたが、これに限定されない。例えば、図3に示されるように、対面する位置に配置される第1受波器(第1音波受信手段)R,R´と、音響送波器と対面する方向の側面に配置される第2受波器(第2音波受信手段)R´´,R´´´とを設ける。このように、音響送波器と対面する方向の側面にも受波器を配置することによって、対面する方向の音波の経路の外側の領域をも閉塞の検出ができるようになる。これにより、閉塞を検出できる領域を広範囲化し、閉塞検出の精度を向上させることができる。
【0035】
〔変形例2〕
または、例えば、図4に示されるように、受波器(第3音波受信手段)は、音響送波器Sと対面する方向に配置され、音響送波器Sの位置に対して平行に移動可能としてもよい。このように、移動可能とすることによって、受波器Rの数を低減させることができ、受波器Rの設置費用を低減することができる。
【0036】
〔変形例3〕
また、音響送波器Sの位置は、図1に示される各空間13に設けられることとしていたが、これに限定されない。例えば、図5に示されるように、天井部分に天井音響送波器(天井音波送信手段)Sを設置することとしてもよい。例えば、燃焼排ガスの流れ方向の上流側に位置する触媒ハニカム層(第1層目)の方が、下流側よりも詰まりやすいので、上流位置の天井に音響送波器Sを備えることとする。これにより、閉塞の可能性が最も高い触媒ハニカム層の第1層目を重点的に検査することができる。このように、音響送波器Sを天井に備えることにより、受波器Rに受信させる音波の経路を増やすことができるので、閉塞検出の精度を向上させることができる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態の脱硝装置100´が第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態において触媒12を通過する音波の減衰に基づいて触媒12の閉塞を求めていたことに代えて、燃焼排ガスが、触媒12を通過する過程の各空間13における温度に基づいて触媒12の閉塞を求める点である。以下、本実施形態の脱硝装置100´について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0038】
図6は、第2の実施形態の脱硝装置100´の概略構成を示した図である。図6に示されるように、脱硝装置100´は、音響送波器Sn,Sn´(nは音響送波器の配置される空間を示す番号であり、n=1,2,3,4)と、受波器Rn,Rn´(nは受波器の配置される空間を示す番号であり、n=1,2,3,4)、時間計測部(時間計測手段)8及び温度検出部(温度検出手段)9、増幅器2、発振器3、及び触媒(触媒ハニカム層)12a,12b,12cを備えている。以下特に明記しない場合には、触媒は触媒12、音響送波器は音響送波器S、及び受波器は受波器Rとして記述する。
【0039】
受波器Rは、同一の空間13の音響送波器Sから送信された音波を受信する。図7には、第1の触媒12aの下段の空間13にある音響送波器S,S´から送信された音波が、受波器R,R´で受信される様子が示されている。
【0040】
時間計測部8は、音響送波器Sが音波を送信してから受波器Rが音波を受信するまでの音波の伝搬時間tを計測し、温度検出部9に出力する。具体的には、時間計測部8は、電圧測定器7を備えており、電圧測定器7は、受波器Rによって受信される音波の音圧を電圧値により出力する。時間計測部8は、音波がない通常状態の場合の電圧値の情報を有しており、電圧測定器7によって出力された電圧値が、通常状態の場合の電圧値よりも大きくなるタイミングを音波の受信時刻とし、この受信時刻と、音響送波器Sから音波が送信された送信時刻との時間差に基づいて、音波の伝搬時間tを計測する。
温度検出部9は、時間計測部8によって計測された伝搬時間tを用いて空間13の温度を算出し、各空間13の温度に基づいて触媒12の閉塞を検出する。以下に、空間13の温度算出方法について説明する。触媒12を通過しない音波の経路(例えば、音響送波器Sから受波器R、音響送波器Sから受波器R´等)における伝搬時間tは(1)式により算出される。ここで、Lは脱硝装置の幅、cは音速を示す。
【0041】
【数1】

【0042】
また、音速cは、γを比熱、Rを気体定数、Tを絶対温度[K]とすると(2)式のように表わされることから、上記(1)式は(3)式のように表わされる。なお、Tcは音響送波器Sと受波器R間の平均温度[℃]である。
【0043】
【数2】

【0044】
上記の方法により算出した各空間13の温度Tcと、上段の空間13の温度Tc´とを比較することにより閉塞の有無を判定する。例えば、第1の触媒12aに閉塞が生じている場合には、第1の空間13の温度Tc´よりも第2の空間13の温度Tcの方が低くなると推定されるので、第1の空間13と第2の空間との温度を比較し、第1の触媒12aの閉塞が生じているか否かを判定する。
【0045】
なお、本実施形態においては、上段の空間13の温度と比較することによって閉塞の有無を判定することとするが、これに限定されない。例えば、閉塞が生じていない正常時の温度を格納する格納部を備えることとしてもよい。この場合には、格納部には、触媒12に閉塞が発生していない状態である正常時に、音響送波器Sから音波が送信されたタイミングと、同一の空間13に配置された受波器Rに音波が受信されたタイミングとから計測された伝搬時間t´に基づいて、正常時の温度の情報を算出し、この温度の情報を格納する。このように、格納部に閉塞していない場合の空間13の温度を格納しておくことで、閉塞の有無を簡便に判定することができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る脱硝装置100´の作用について図6及び図7を用いて説明する。
ここで、缶11の上流側のダクト4から燃焼排ガスが缶11内に導入され、缶11の入口においてアンモニア等の還元剤が噴霧され、触媒12a、12b、12cを通過する場合に生じる化学反応によって燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)が除去される。この過程において、燃焼排ガスがばい塵を含んでおり、第1の触媒12aに閉塞が生じている場合を例に挙げ、第1の触媒12aを通過する燃焼排ガスの温度を計測する音響送波器S,S´と受波器R,R´との音波に着目して説明する。
【0047】
音響送波器S,S´のそれぞれに対して異なる周波数の音波が発振器3から出力され、増幅器2において増幅され、音響送波器S,S´から放出される。音響送波器S,S´から送出された音波は、受波器R,R´によって受信され、増幅器2によって増幅された後、時間計測部8の電圧測定器7に入力される。電圧測定器7において、音響送波器S,S´から送信された音波の電圧と、受波器R,R´から受信された音波の電圧とに基づいて、音波が送信されてから受信されるまでの音波の伝搬時間tが検出される。伝搬時間tが検出されると、上述した(4)式に基づいて、音波を検出した空間13の温度Tcが算出される。算出された温度Tcは、第1の触媒12aの上段の空間13の温度Tc´と比較される。比較の結果、TcがTc´よりも所定値以上温度が低い場合には、第1の触媒12aに閉塞が生じていると判定され、TcがTc´よりも温度差が所定値以下である場合には、第1の触媒12aに閉塞が生じていないと判定される。また、同様に、第2の空間13bの温度と第3の空間13cの温度との比較、第3の空間13cの温度と第4の空間13dの温度との比較が継続して行われる。
【0048】
以上説明してきたように、本実施形態に係る脱硝装置100´及び脱硝方法によれば、音響送波器Sから送信された音波が、音響送波器Sから受波器Rに到達するまでの音波伝搬時間tが計測され、この音波伝搬時間tを用いて算出される温度Tcの情報が、音波が伝搬された空間13の温度とされる。このような場合に、燃焼排ガスの流れ方向に対して、閉塞している触媒12の手前側の空間13の温度Tc´と、閉塞している触媒12の後流側の空間13の温度Tcとを比較した場合、後者の空間においては、高温ガスの通過がない(または少ない)ため、低温となる。このように、各空間13の温度Tcを算出し、それぞれその上段の空間13の温度Tc´と比較することによって、触媒12の閉塞を簡便に検出することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る脱硝装置100´を、上述した第1の実施形態の脱硝装置100と組み合わせることとしてもよい。具体的には、受波器Rの後段に音波の減衰を求める機構(周波数分析器)と空間の温度を算出する機構(時間計測部及び温度検出部)を設ける。このように、音波の減衰と空間の温度とを組み合わせて閉塞を検出することによって、閉塞領域の絞り込みの精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
Sn、Sn´(n=1〜4) 音響送波器
Rn、Rn´(n=1〜4) 受波器
L 脱硝装置の幅
X 閉塞部
4 ダクト
5 格納部
6 減衰検出部
7 電圧測定器
8 時間計測部
9 温度検出部
12a、12b、12c 触媒(触媒ハニカム層)
13a、13b、13c、13d 空間
100、100´ 脱硝装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、
互いに前記触媒ハニカム層を挟んで配置される音波送信手段および音波受信手段と、
前記音波送信手段が送信する音波と前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出手段と
を具備する脱硝装置。
【請求項2】
前記音波受信手段は、複数の異なる位置に設けられた前記音波送信手段から送信され、共通の前記触媒ハニカム層を通過した音波を受信する請求項1に記載の脱硝装置。
【請求項3】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、
前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置される音波送信手段および音波受信手段と、
前記音波送信手段が音波を送信してから前記音波受信手段が音波を受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測手段と、
前記時間計測手段によって計測された前記音波伝搬時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出手段と
を具備する脱硝装置。
【請求項4】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層と、
前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置される音波送信手段および音波受信手段と、
前記音波送信手段が送信する音波と、前記音波送信手段と前記触媒ハニカム層を挟んで配置される前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出手段と、
前記音波送信手段が音波を送信し、共通の空間の前記音波受信手段が受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測手段と、
前記時間計測手段によって計測された時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出手段と
を具備する脱硝装置。
【請求項5】
前記缶内の燃焼排ガスの流れ方向に対向する該缶の横断面を見た場合に、
前記音波送信手段の対面する方向に配置される第1音波受信手段と、
前記音波送信手段の対面する方向の側面に配置される第2音波受信手段と
を具備する請求項1から請求項4のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項6】
前記缶内の燃焼排ガスの流れ方向に対向する該缶の横断面を見た場合に、
前記音波送信手段の対面する方向に配置され、前記音波送信手段の位置に対して平行に移動可能である第3音波受信手段を具備する請求項1から請求項5のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項7】
前記缶内の上流位置に設けられる天井音波送信手段を具備する請求項1から請求項6のいずれかに記載の脱硝装置。
【請求項8】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層を挟んで配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、
前記音波送信手段が送信する音波と前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する脱硝方法。
【請求項9】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、
前記音波送信手段が音波を送信してから前記音波受信手段が音波を受信するまでの音波伝搬時間を計測する過程と、
計測された前記音波伝搬時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する過程とを有する脱硝方法。
【請求項10】
燃焼排ガスを缶内に導入して缶入口で噴霧されたアンモニア等の還元剤との化学反応により前記燃焼排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒ハニカム層を備えた脱硝装置の脱硝方法において、
前記缶内に、前記燃焼排ガスの流れ方向に対して所定の間隔をもって複数段配設される前記触媒ハニカム層の各段間に形成された空間に配置された音波送信手段および音波受信手段を用いて、
前記音波送信手段が送信する音波と、前記音波送信手段と前記触媒ハニカム層を挟んで配置される前記音波受信手段が受信する音波とに基づいて音波の減衰を検出し、該減衰に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する減衰検出過程と、
前記音波送信手段が音波を送信し、共通の空間の前記音波受信手段が受信するまでの音波伝搬時間を計測する時間計測過程と、
前記時間計測過程によって計測された時間を用いて前記空間の温度を算出し、各前記空間の前記温度に基づいて前記触媒ハニカム層の閉塞を検出する温度検出過程と
を有する脱硝方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−125803(P2011−125803A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287610(P2009−287610)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】