説明

脱穀装置

【課題】一番物の選別性能を向上させるようにする。
【解決手段】扱室33内に扱胴31を軸架して設け、該扱室33下側の扱網30より漏下する被処理物を、揺動選別棚で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、前記扱室33の一側には二番処理胴39を軸架した二番処理室を設け、該二番処理室内の二番物の送り作用に対して抵抗を与えることの可能な送塵板53を設けたことを特徴とする脱穀装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインやハーベスタに搭載する脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扱室内に扱胴を軸架して設け、該扱室下側の扱網より漏下する被処理物を、揺動選別棚で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、扱室の一側には二番処理胴を軸架した二番処理室を設け、この二番処理室内の二番物の送り作用に対して、さらに送り作用を与える送塵板を設ける構成である。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−28017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のような技術では、二番処理室内に設けている送塵板は、常に二番物に対して送り作用を与えるものであり、抵抗を与えるものではないので、二番物に対して処理作用が施される時間(過程)が短くなり、その結果、二番物の処理作用が不完全なものとなり、したがって、一番物の選別性能が低下してしまうという欠点がある。
【0004】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消して、一番に回収される整粒の選別性能を向上させた脱穀装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、扱室33内に扱胴31を軸架して設け、該扱室33下側の扱網30より漏下する被処理物を、揺動選別棚38で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、前記扱室33の一側には二番処理胴39を軸架した二番処理室41を設け、該二番処理室41内の二番物の送り作用に対して抵抗を与えることの可能な送塵板53を設けたことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0006】
請求項1の作用は、扱室33内の扱胴31で脱穀された被処理物は、扱網30より下方の揺動選別棚38上に落下して揺動選別される。また、二番物は、二番処理室41に送られて、処理される。そして、送塵板53で、二番物の流れに対して抵抗が与えられる。
【0007】
請求項2記載の発明では、処理歯39aを傾斜角度Cを有して二番処理胴39に設け、この傾斜角度Cにより二番物に対して送り作用が与えられる構成とし、前記送塵板53は傾斜角度Dを有して二番処理室41内に設けられ、この傾斜角度Dにより二番物の送り作用に対して抵抗が与えられる構成とし、前記処理歯39aの傾斜角度Cに対して、前記送塵板53の傾斜角度Dを小さくして構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置としたものである。
【0008】
請求項2の作用は、請求項1の作用に加え、二番物は二番処理胴39の処理歯39aで処理されながら搬送される。また、二番処理室41内に設けられている送塵板53で、二番物の流れに対して抵抗が与えられる。二番処理室41内の二番物は、処理歯39aが傾斜角度Cを有することで、二番処理室41内の二番物が搬送される。また、送塵板53が傾斜角度Dを有することで、二番物の搬送に対して抵抗が与えられる。そして、処理歯39aの傾斜角度Cに対して、送塵板53の傾斜角度Dを小さくしているので、二番物の搬送に対して与えられる抵抗は、比較的小さくなる。
【0009】
請求項3記載の発明では、前記送塵板53の傾斜角度Dを変更可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の脱穀装置としたものである。
請求項3の作用は、請求項2の作用に加え、送塵板53の傾斜角度Dは条件に応じて変更する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、二番処理室41内の二番物は、その送り方向に対して送塵板53で抵抗が与えられるので、二番物の処理作用が多くなって処理作用が向上し、枝梗粒を少なくすることができるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、二番物の搬送に対して与えられる抵抗は大きくならないので、二番物の詰まり状態が発生するのを防止できるようになる。
【0012】
請求項3記載の発明においては、請求項2の効果に加え、送塵板53の傾斜角度Dは条件に応じて変更できるので、条件に合った作業が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2には、本発明を具現化した農業機械であるコンバインが示されている。
走行装置1を有する車台2の前方には、刈取装置3が設けられている。この刈取装置3には、植立穀稈を分草する複数の分草具4と、植立穀稈を引き起こす複数の引起装置5と、植立穀稈を刈り取る刈刃6と、該刈刃6にて刈り取られた穀稈を挟持して後方に搬送する搬送装置7が設けられている。この搬送装置7は刈刃6後方の株元搬送装置8と該株元搬送装置8から搬送されてくる穀稈を引き継いで脱穀装置9に供給する供給搬送装置10とから構成されている。
【0014】
前記刈取装置3は、車台2の前部に立設する懸架台11の上方に設ける回転軸11aを支点にして上下動する刈取装置支持フレーム12にて、その略左右中間部で支持されている。そして、刈取装置3は操作部13に設ける操向レバー14を前後方向に傾動させることによって刈取装置支持フレーム12と共に上下動する構成である。
【0015】
車台2の上方には、前記供給搬送装置10から搬送されてくる穀稈を引き継いで搬送するフィードチェン15を有する脱穀装置9と、該脱穀装置9の右側方であって、この脱穀装置9で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク16と、該グレンタンク16の前方に位置していてコンバインの各種操作を実行する操作部13が載置されている。また、車台2の前部には走行装置1を駆動する走行伝動装置17が設けられている。
【0016】
脱穀装置9の後方には、前記フィードチェン15から搬送されてくる排稈を引き継いで搬送する排稈チェン18と、該排稈チェン18の終端部下方には排稈を切断するカッター装置19が設けられている。また、この実施例のカッター装置19の後方には、排稈を結束するノッター等の他の作業機を装着してもよい。
【0017】
前記グレンタンク16内の穀粒量が満杯となると、揚穀筒20と穀粒排出オーガ21から穀粒を機外へと排出する。揚穀筒20は電気モータ(図示せず)にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ21は油圧シリンダ22にて昇降可能に構成されている。そして、穀粒排出オーガ21は揚穀筒20の上部に連結されて一体的に構成され、揚穀筒20が旋回すると、穀粒排出オーガ21も一緒に旋回する構成となっている。
【0018】
また、コンバインは操作部13に設ける副変速レバー23を操作して走行伝動装置17内の副変速の位置を決定し、その後、走行変速レバー24を操作してエンジン(図示せず)からの動力を油圧無段変速装置及び走行伝動装置17を介して走行装置1の左右のクローラ26、26に伝動して任意の速度で走行する構成である。このように、前記走行変速レバー24の操作量によって速度が変速されるとともに、走行変速レバー24の前方向と後方向の操作によってコンバインが前後進する構成である。
【0019】
また、コンバインは操作部13に設ける前記操向レバー14を左右方向に傾倒操作することによって左右方向に旋回する構成であり、さらに、操向レバー14の左右方向への傾倒操作量によって旋回半径が決定される構成である。
【0020】
このようなコンバインを前進させて刈取作業をすると、圃場面に植立している穀稈は、分草具4にて分草され、その後、引起装置5にて引き起こされて刈刃6にて刈り取られる構成である。その後、刈り取られた穀稈は株元搬送装置8にて後方へ搬送され、供給搬送装置10へと引き継ぎ搬送される。この供給搬送装置10に引き継がれた穀稈は、さらに後方へと搬送されて、脱穀装置9のフィードチェン15へと引継ぎ搬送され、穀稈はフィードチェン15で後方へ搬送されながら脱穀装置9にて脱穀選別される構成である。
【0021】
このように脱穀選別された穀粒は、一番揚穀筒27からグレンタンク16内へと搬送されて一時貯留され、このグレンタンク16内に貯留される穀粒量が満杯になると、操作部13の報知手段(ブザーや表示装置)でオペレータに報知される構成である。その後、刈取作業を中断して、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出する作業を開始する。コンバインを任意の位置(トラック近傍位置)へと移動させ、穀粒排出オーガ21をオーガ受け28から離脱させて穀粒排出口21aをトラックの荷台等の位置へ移動させる。そして、操作部13に設けている穀粒排出レバー29を入り状態として、グレンタンク16内の穀粒を機外へと排出し、グレンタンク16内の穀粒排出が終了すると、穀粒排出オーガ21は再びオーガ受け28へと収納されていく構成である。
【0022】
前記脱穀装置9について、図3〜図5に基づいて説明する。
図3は脱穀装置9の側面図、図4は脱穀装置9の平面図である。
脱穀装置9内には、扱網30を有する扱胴31を扱胴軸32で軸架した扱室33と、該扱室33の一側には、扱室33の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網34を有する排塵処理胴35を排塵処理胴軸36で軸架した排塵処理室37が設けられている。そして、扱室33と排塵処理室37の下方には揺動選別棚38を設けている。
【0023】
また、排塵処理胴35の前方には、二番処理胴39と二番処理胴受樋40(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室41が構成されている。二番処理胴39は、本実施例では扱胴31の一側(グレンタンク16側)であって、排塵処理胴35の前方にこの排塵処理胴35と一体的に構成されている。この二番処理胴39は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴39は二番処理胴軸42にて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴35と二番処理胴39とは一体的に排塵処理胴軸36と二番処理胴軸42とで支持されている構成である。
【0024】
さらに、図5は図4にて示すA−A断面図であるが、扱網30から漏れた被処理物は二番処理室41内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴39は二番物の他に、扱室33内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網30と二番処理胴受樋40(網や格子状でもよい)と排塵処理網34は、それぞれ扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35の下方に設けられている。
【0025】
前記扱室33と二番処理室41と排塵処理室37の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚38が設置されていて、該揺動選別棚38の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕43を設け、該唐箕43から送風される選別風の送り方向下手側には、風路44と風路45が設けられていて、この風路44と風路45の下手側に一番ラセン46を設け、該一番ラセン46の選別風送り方向下手側には二番ラセン47を設けている。この二番ラセン47にて収集された二番物を前記二番処理室41へ揚穀するための二番揚穀筒48が設けられている。
【0026】
前記揺動選別棚38の構成について説明する。揺動選別棚38は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚49,脱穀物を選別するグレンシーブ38a,二番物を選別するチャフシーブ38b,排塵物をほぐしてササリ粒を回収すると共に排塵物を機外に移送して放出するストローラック38cとから構成されている。該ストローラック38cの下方は、二番物を二番ラセン47内へ案内する二番棚先47aで構成されていて、この二番棚先47aの終端部近傍まで前記排塵処理胴35が延出している構成である。吸引ファン51は、選別室50内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴31に対して排塵処理胴35と対向する位置に設けられている。52は揺動選別棚38を揺動駆動させるクランク軸である。
【0027】
前記刈取装置3から搬送されてきた穀稈は、脱穀装置9のフィードチェン15の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン15に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴31と扱網30により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚38上に落下して、該揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの風選作用により選別され、一番ラセン46内へと取り込まれていき、該一番ラセン46に取り込まれた穀粒は、グレンタンク16内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン15の終端部から、排稈チェン18の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター19に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0028】
扱室31の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室41内に取り込まれていく。該二番処理室41内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴39と二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚38上に落下していく。扱胴31と二番処理胴39と排塵処理胴35は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置9の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴39の処理歯39aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0029】
即ち、該処理歯39aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯39aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋40との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴39の搬送終端部に設けられている羽根39bは、被処理物を揺動選別棚38上に強制的に送り出すものである。
【0030】
前記排塵処理胴35の排塵処理歯35aは、扱室33の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯35aは、排塵処理胴35の外周面に巻き回いされているラセン形状となっている。
【0031】
しかし、本実施例では、排塵処理網34の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚38上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室37の終端部まで搬送されて、排塵処理胴35の終端部の羽根35bにてストローラック38c上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室37内にて搬送される間に、排塵処理胴35とこの排塵処理胴35の設けられている処理歯35cと排塵処理網34との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚38上に落下し、さらに、二番ラセン47内へと回収されていく構成である。
【0032】
前述のように、扱室33内の脱穀物で揺動選別棚38上に落下せず、二番処理室41内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室33の終端部まで搬送されていく。この扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室37内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室33の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室37内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚38上に落下していく構成である。
【0033】
扱室33内の終端部から排塵処理室37内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室33から排塵処理室37への引継ぎ部分においても、排塵処理胴35の外周にラセン形状の排塵処理歯35aを設けていて、該排塵処理歯35aの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0034】
このような、揺動選別棚38の揺動作用と唐箕43からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン46内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン47内へと取り込まれていく。該二番ラセン47内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒48にて前記二番処理室41の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室33からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋40との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根39bにより下方の揺動選別棚38上に強制的に落下していく構成である。
【0035】
図4及び図5に示している53は二番処理室41内上部に設けている送塵板である。図6は、前記送塵板53をグレンタンク16側から見た図を示している。そして、図7は、送塵板53の傾斜角度と二番処理胴39に設けている処理歯39aの傾斜角度の関係を示している。
【0036】
前述のごとく、二番処理室41内の二番物は、処理歯39aにより処理されながら、この処理歯39aの送り作用によりB方向(前側)方向へ送られる構成である。このために、処理歯39aには角度Cが形成されている。一方、前記送塵板53にも角度Dが形成されているが、この送塵板53の角度Dは、前記矢印B方向への送り方向へ抵抗を与える角度としている。これにより、矢印B方向へ流れようとする二番物が送塵板53に当接すると抵抗となるので、この抵抗により、二番物が処理可能となる。また、二番物が二番処理室41内に存在する時間が長くなるので、処理歯39aによる処理作用が多くなり、枝梗の除去作用が効率よく行われるようになる。特に、二番処理胴39を短く構成可能となり、コンパクトな脱穀装置を提供可能となる。
【0037】
前記処理歯39aの角度Cと送塵板53の角度Dとを比較すると、C>Dとなるように構成する。これにより、二番物の矢印B方向への送りに対して、送塵板53による抵抗を与えすぎるのを防止できるようになるので、詰まり等が発生するのを防止できるようになる。
【0038】
また、前記送塵板53の角度Dを可変に構成している。すなわち、湿材などでは、角度Cに対して角度Dを小さくすることで、抵抗の掛けすぎを防止して詰まり等が発生するのを防止するようにする。また、湿材でなくても、多量の被処理物が脱穀装置9内に投入される場合においても、角度Cに対して角度Dを小さくするようにして、詰まり等が発生するのを防止するようにする。
【0039】
また、脱穀装置9内に投入される被処理物が所定量よりも少ない場合においては、送塵板53の角度Dを変更して、多くの抵抗を二番物に与えるようにする。これにより、二番物の処理作用が向上するようになるので、一番物の選別性能が向上するようになる。特に、高収量状態や藁屑が多く発生する場合においては、二番物の量が増大し、二番物がオ−バ−フロ−する可能性があるが、抵抗を少なくすることで、二番の詰まりを防止でき、損傷粒の発生も抑制することが可能となる。
【0040】
図6に示す54は引っ張りスプリングであり、送塵板53を常に抵抗側に付勢している。そして、二番処理室41内の二番物が多くなると、前記引っ張りスプリング54の付勢力に打ち勝って、送塵板53は二番物の送り方向へ傾斜するように構成している。
【0041】
これにより、二番処理室41内において、二番物が停滞して詰まるような不具合が発生するのを防止できるようになる。
図6に示す55は連結板であり、複数の送塵板53を連結している。この連結板55においては、ケ−ブル56が接続しており、該ケ−ブル56の他端にはレバ−57が設けられている構成である。そして、このレバ−57を操作することで、送塵板53の傾斜角度Dを変更可能に構成している。さらに、前記レバ−57は、操作部13に設ける構成とする。これにより、作業中であっても容易に送塵板53の傾斜角度を変更可能となる。
【0042】
図5に示す58は二番物の量を測定する二番センサ−であり、二番揚穀筒48の出口部分に設けられている構成である。そして、この二番センサ−58の測定値により、前記送塵板53の傾斜角度Dを自動的に変更するようにする。具体的には、二番物の量が多くなると、送塵板53の傾斜角度Dは送り方向に変更する。
【0043】
また、二番物の量が少ない場合においては、送塵板53の傾斜角度Dは、二番物の送り方向に抵抗を掛ける方向へ傾斜させるようにする。
この場合、送塵板53を自動的に動かすモ−タ−59を脱穀装置の前部側に設け、モ−タ−59の出力軸60にプレ−ト61を設け、このプレ−トに前記ケ−ブルを接続している構成である。すなわち、モ−タ−59の出力軸60が正逆方向に回転することで、プレ−ト61を介してケ−ブル56が押し引きされ、送塵板53が回動して傾斜角度Dが変更される構成である。
【0044】
前述のごとく、送塵板53の傾斜角度Dは手動による調整と自動による調整が可能に構成されているが、基本的には手動を優先するようにしている。したがって、作業能率が向上するようになる。
【0045】
図8においては、前記レバ−57の調節段階を示している。即ち、車速低速の2段階、車速標準段階、車速高速段階、及び、湿材段階の5段階調節としている。もちろん、この5段階よりも少なくてもよいし、多くてもよい。図9はレバ−57の操作位置と送塵板53の傾斜角度の関係を示している。低速の2段階では、二番物の送り方向に対して抵抗を作用させる角度である。そして、標準車速、高速、湿材においては、順番に二番物の送り方向に傾斜するように構成している。
【0046】
前記二番センサ−58の測定値によって、送塵板53の傾斜角度Dを変更する場合においても、手動でレバ−57を操作して送塵板53の傾斜角度Dを変更させる場合の角度領域と同じにしている。
【0047】
図6及び図7に示すように、排塵処理室37内には固定の送塵板62を設けているが、この場合においては、排塵処理室37内の排塵物の送り方向(機体後方)に傾斜角度を付けている。これにより、排塵物の送り作用が向上するようになり、詰まり等が防止できるようになる。
【0048】
また、前記排塵処理室37内の送塵板62の傾斜角度Eについては、前述した二番処理室41内の送塵板53の傾斜角度Dよりも大きくなるように構成している。これにより、排塵処理室37内の排塵物の送り作用が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】脱穀装置の側断面図
【図4】脱穀装置の平面図
【図5】脱穀装置正面の断面図
【図6】脱穀装置の側断面図
【図7】処理胴の側面図
【図8】平面図
【図9】レバーと送塵板との関係図
【符号の説明】
【0050】
9 脱穀装置
30 扱網
31 扱胴
33 扱室
38 揺動選別棚
39 二番処理胴
39a 処理歯
41 二番処理室
53 送塵板
C 処理歯の傾斜角度
D 送塵板の傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(33)内に扱胴(31)を軸架して設け、該扱室(33)下側の扱網(30)より漏下する被処理物を、揺動選別棚(38)で受けて揺動移送しながら揺動選別する脱穀装置において、前記扱室(33)の一側には二番処理胴(39)を軸架した二番処理室(41)を設け、該二番処理室(41)内の二番物の送り作用に対して抵抗を与えることの可能な送塵板(53)を設けたことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
処理歯(39a)を傾斜角度(C)を有して二番処理胴(39)に設け、この傾斜角度(C)により二番物に対して送り作用が与えられる構成とし、前記送塵板(53)は傾斜角度(D)を有して二番処理室(41)内に設けられ、この傾斜角度(D)により二番物の送り作用に対して抵抗が与えられる構成とし、前記処理歯(39a)の傾斜角度(C)に対して、前記送塵板(53)の傾斜角度(D)を小さくして構成したことを特徴とする請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記送塵板(53)の傾斜角度(D)を変更可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−29037(P2007−29037A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219551(P2005−219551)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】