説明

脱穀装置

【課題】 唐箕の構造を工夫することによって、唐箕から吹き出す選別風の風量を幅広く調節することのできる脱穀装置を実現する。
【解決手段】 唐箕10から処理物の搬送下手側の排塵口に向って選別風を供給するように構成してある脱穀装置において、唐箕10の吹出口10aに唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材21を備えるとともに、唐箕10の搬送上手側下部に唐箕10内を通過する選別風の一部を機外へ排風することによって唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節可能な排風調節部材22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動選別装置の処理物の搬送上手側の下方に唐箕を備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、唐箕の搬送上手側下部に、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な排風調節部材を備えた脱穀装置や、特許文献2に開示されているように、唐箕の吹出口に、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材を設けた脱穀装置が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−265029号公報
【特許文献2】特開2002−262653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている脱穀装置においては、唐箕の搬送上手側下部に排風調節部材を設けて、唐箕内に一度吸い込んだ選別風の一部を機外へ排風することによって、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節する構造を採用していた。
しかし、排風調節部材を開閉しても、唐箕内の風圧と排風調節部材により開放した機外の大気圧との圧力差が小さく、唐箕内の選別風の一部が機外に排風され難かったと考えられる。そのため、排風調節部材を開閉しても、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節することが難しく、唐箕から吹き出す風量を幅広く調節できないといった問題があった。
【0005】
また、特許文献2に開示されている脱穀装置においては、唐箕の吹出口に、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材を設けて、唐箕の吹出口を絞ることによって、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節する構造を採用していた。
しかし、風量調節部材によって唐箕の吹出口を絞っても選別風の風速が増加する傾向が強かったと考えられる。そのため、唐箕の風量を調節することが難しく、唐箕から吹き出す選別風の風量を幅広く調節することできないといった問題があった。
本発明は、唐箕の構造を工夫することによって、唐箕から吹き出す選別風の風量を幅広く調節することのできる脱穀装置を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、扱室の下方に揺動選別装置を備え、前記揺動選別装置の処理物の搬送上手側の下方に唐箕を備えて、前記唐箕から処理物の搬送下手側の排塵口に向って選別風を供給するように構成してある脱穀装置において、次のように構成することにある。
前記唐箕の吹出口に、前記唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材を備え、
前記唐箕の搬送上手側下部に、前記唐箕内を通過する選別風の一部を機外へ排風することによって前記唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な排風調節部材を備える。
【0007】
(作用)
本発明の第1特徴によると、唐箕の吹出口に、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材を備え、唐箕の搬送上手側下部に、唐箕内を通過する選別風の一部を機外へ排風することによって唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な排風調節部材を備えることにより、風量調節部材と排風調節部材との共働で唐箕から吹き出す選別風の風量を調節することができる。
【0008】
具体的に説明すると、唐箕の吹出口に備えた風量調節部材を調節して唐箕の吹出口を絞ると唐箕内の風圧が上昇する。唐箕内の風圧が上昇した状態で、唐箕の搬送上手側下部に設けた排風調節部材を調節して唐箕の一部が機外に開放されると、唐箕内の風圧と排風調節部材により開放した機外の大気圧との間に圧力差が生じる。そうすると、唐箕内の選別風の一部がこの圧力差によって機外に排風され易くなると考えられる。すなわち、風量調節部材を調節することによって唐箕内の風圧を上昇させるとともに、排風調節部材を調節することによって唐箕の一部を機外に開放することで、風量調節部材と排風調節部材との共働で唐箕から吹き出す選別風の風量を調節することができると考えられる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、風量調節部材と排風調節部材との共働で唐箕から吹き出す選別風の風量を調節することができるため、風量調節部材又は排風調節部材のみで選別風の風量を調節する場合に比べ、風量調節部材及び排風調節部材の特性を有効に活用して、唐箕から吹き出す選別風の風量を幅広く調節することのでき、脱穀装置の選別性能を向上させることができる。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の脱穀装置において、次のように構成することにある。
前記揺動選別装置に、前記扱室から落下供給される処理物を受け止めて搬送しながら選別処理するグレンパンを備え、前記グレンパンの終端部に向って選別風を供給する回転ファンを備えるとともに、前記回転ファンのファン吹出口に、前記回転ファンから吹き出す選別風の風量を調節可能なファン風量調節部材を備えて、
前記風量調節部材又は排風調節部材と、前記ファン風量調節部材とを連動可能に構成する。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、回転ファンと、この回転ファンから吹き出す選別風の風量を調節可能なファン風量調節部材を備えることにより、グレンパンの終端部に供給される処理物の量に応じて回転ファンから吹き出す選別風の風量を調節することができる。
【0012】
例えば、唐箕の吹出口に風量調節部材を備えて、唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能に構成しようとすると、風量調節部材をアクチュエータ等によって駆動するように構成することが考えられる。排風調節部材やファン風量調節部材についても同様に、アクチュエータ等によって駆動することが考えられる。しかし、これらの調節部材をそれぞれ独立して駆動させようとすると、それぞれの駆動装置等を構成する必要があり、部品点数が多くなって、製造コストアップの要因となる。
【0013】
本発明の第2特徴によると、請求項1記載の風量調節部材又は排風調節部材と、ファン風量調節部材とを連動可能に構成することにより、風量調節部材又は排風調節部材と、ファン風量調節部材とを一つのアクチュエータ等で駆動することができる。そのため、例えば、それぞれの調節部材を別個にアクチュエータ等で駆動する場合に比べ、アクチュエータや駆動装置等を簡素化することができる。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、グレンパンの終端部に供給される処理物の量に応じて回転ファンから吹き出す選別風の風量を調節することができるため、グレンパンの終端部における処理物の選別効率を向上させることができる。
【0015】
本発明の第2特徴によると、風量調節部材、排風調節部材及びファン風量調節部材を駆動するアクチュエータや駆動装置等を簡素化することができるため、部品点数が少なくなって、製造コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔脱穀装置の全体構成〕
図1に、コンバインに搭載された脱穀装置1を示す。なお、この発明を実施するための最良の形態においては、脱穀装置1をコンバインに搭載した例を示すため、図1における左方が処理物の搬送上手側に相当し、図1における右方が処理物の搬送下手側に相当し、図1における手前側がフィードチェーン2側に相当する(図2〜図5においても同様)。以下の説明においては、処理物の搬送上手側を前方と、処理物の搬送下手側を後方と表示する。
【0017】
図1に示すように、脱穀装置1は、その上部側に扱室A、中間部側に揺動選別装置B、下部側に回収装置Cを配設している。脱穀装置1には、刈取処理された穀稈をフィードチェーン2で挟持搬送しながら扱き処理する扱胴3を扱室Aに軸架するとともに、扱き処理された処理物を漏下させる受網5を扱胴3の下方側に配設している。
【0018】
揺動選別装置Bには、受網5から漏下した処理物を受け止めるグレンパン6と、このグレンパン6の後方に順に位置させたチャフシーブ7及びストローラック8と、チャフシーブ7の下方に位置するグレンシーブ9とを備え、前後揺動駆動されるシーブケース16に架設されている。
【0019】
回収装置Cには、グレンパン6の下方側に位置し回転速度が一定の速度に設定された唐箕10と、グレンシーブ9の下方に位置しグレンシーブ9からの漏化物(一番物)を回収して横一側に横送りする一番物搬送スクリュ11と、ストローラック8の下方に位置しグレンシーブ9やチャフシーブ7等からの漏化物(二番物)を回収して横一側に横送りする二番物搬送スクリュ12と、一番物搬送スクリュ11と二番物搬送スクリュ12の間に位置し二番物搬送スクリュ12の上方に向って選別風を供給する選別ファン13が配設されている。
【0020】
揺動選別装置Bの前側下方で唐箕10の前方には、回転ファン14を備え、上側ファンケース18と下側ファンケース19に案内されて、グレンパン6の終端部及びその後方に設けた固定ガイド15に向って選別風を供給するように構成されている。また、扱胴3の後方に回転胴17を備え、扱胴3の後端部から排出される処理物をこの回転胴17によって解し処理し、塵埃から穀粒を取り出すように構成されており、この回転胴17の後方には藁屑を機外に排出する排塵ファン4が配設されている。
【0021】
排塵ファン4の下方に排塵口40が設けられており、揺動選別装置Bの前部下方に位置する唐箕10から、この排塵口40に向って選別風を供給することで、処理物に含まれる穀粒と藁屑を選別することができるように構成されている。
【0022】
〔唐箕の周辺構造〕
図2に示すように、唐箕10の吹出口10aの下側には、導風板20を備え、この導風板20の後端部は斜め後方下方に位置する一番物搬送スクリュ11の方向に向って折り曲げられて、選別風の一部が一番物搬送スクリュ11の上方に供給されるように構成されている。この導風板20の下方に唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材21を備える。風量調節部材21は、その後端部の支点P1周りに上下に揺動可能に構成されており、風量調節部材21を上方に揺動させると、唐箕10の吹出口10aの一部が塞がれて、風量調節部材21を下方に揺動させると、唐箕10の吹出口10aが開くように構成されている。
【0023】
唐箕10のケーシング10cの前方下部には、排風口10bを備え、この排風口10bに、唐箕10内を通過する選別風の一部を機外へ排風することが可能な排風調節部材22が取り付けられている。排風調節部材22は、その上端部の搬送方向に直交する方向(以下左右方向という)の軸心P2周りに前後に揺動可能に構成されており、排風調節部材22を前方に揺動させると、唐箕10の排風口10bが機外に開放され、排風調節部材22を後方に揺動させると、唐箕10の排風口10bが閉じるように構成されている。
【0024】
回転ファン14の上側に設けた上側ファンケース18の下面側に、回転ファン14から吹き出す選別風の風量を調節可能なファン風量調節部材23を備える。ファン風量調節部材23は、その前端部の支点P3周りに上下に揺動可能に構成されており、ファン風量調節部材23を下方に揺動させると、ファン吹出口14aの一部が塞がれて、ファン風量調節部材23を上方に揺動させると、ファン吹出口14aが開くように構成されている。
【0025】
〔各調節部材の連係構造〕
図3〜図5に示すように、上述した風量調節部材21、排風調節部材22及びファン風量調節部材23は一つの電動モータ25によって、連動駆動されるように構成されている。
【0026】
電動モータ25は、減速機29を介して回転ファン14の上方に位置するブラケット27に固定されており、その出力軸28に出力ギア26が固定されている。ブラケット27には揺動軸30が左右方向の軸心P4周りで回動可能に取り付けられており、この揺動軸30に駆動ギア31が固定されている。ブラケット27に取り付けた駆動ギア31と電動モータ25の出力ギア26は噛合されており、電動モータ25を回転させると、減速機29及び出力ギア26を介して駆動ギア31が揺動軸30の軸心P4周りに揺動するように構成されている。
【0027】
揺動軸30にはアーム32が固定されており、このアーム32の揺動軸30とは反対側の端部に上下方向に長さ調節可能な連係ロッド33が回動可能に取り付けられている。連係ロッド33の上下中央部にはロッド34が固定されており、このロッド34がファン風量調節部材23の上面側に当接するようにL字状に折り曲げ成形されている。ファン風量調節部材23の前端部は、上側ファンケース18の下面側に固定され下方に延出されたブラケット18aに支点P3周りに上下に揺動可能に取り付けられており、連係ロッド33が上下方向に移動すると、ロッド34を介してファン風量調節部材23が支点P3周りに上下に揺動するように構成されている。このように、ファン風量調節部材23とブラケット18aとによって回転ファン14の風量を調節可能に構成することによって、部品点数が少なくなって、製造コストを削減することができる。
【0028】
ファン風量調節部材23の後端部とブラケット27とに亘ってスプリング35が取り付けられており、ファン風量調節部材23の後端部が上側ファンケース18の下面に当接した状態、すなわち、回転ファン14のファン吹出口14aが最も開いた状態にバネ付勢するように構成されている。このスプリング35の付勢力に抗して、ロッド34によってファン風量調節部材23を押し下げることによって、ファン風量調節部材23が支点P3周りに下方へ揺動して、ファン吹出口14aの一部を塞ぐことができるように構成されている。
【0029】
排風調節部材22の上端部に固定した揺動軸37からアーム38が後方に向って延出されており、このアーム38が連係ロッド39の前端部に連係ロッド33とともに回動及び摺動自在に取り付けられている。このように構成することで、連係ロッド33が下方に移動すると、アーム38が揺動軸37の左右方向の軸心P2周りに揺動するとともに、排風調節部材22が揺動して、排風口10bが機外に開放されるようになっている。
【0030】
連係ロッド39は、その中央部に位置する回動軸41の左右方向の軸心P5周りに回動自在に取り付けられており、この連係ロッド39の後端部に、風量調節部材21の前端部が回動及び摺動自在に取り付けられている。このように構成することで、連係ロッド33が下方に移動すると、連係ロッド39が軸心P5周りに揺動して、連係ロッド39の一端部に取り付けた風量調節部材21が支点P1周りに揺動することで、吹出口10aの一部を塞ぐことができるように構成されている。
【0031】
以上のように構成することで、電動モータ25を正回転させて、フィードチェーン2側から見た側面視で電動モータ25の出力軸28が反時計回りに回転すると、駆動ギア31が軸心P4周りで時計回りに揺動して連係ロッド33を押し下げる。そうすると、ファン風量調節部材23はロッド34に押し下げられて支点P3周りで時計回りに揺動し、排風調節部材22はアーム38を介して軸心P2周りで時計回りに揺動して、さらに、風量調節部材21は連係ロッド39を介して支点P1周りで時計回りに揺動する。このように、電動モータ25を正回転させると、排風調節部材22が揺動して排風口10bが開くと同時に、風量調節部材21が揺動して吹出口10aの一部が塞がれて、唐箕10の風量を弱めることができる。また、ファン風量調節部材23も連動されているため、唐箕10の風量を弱めることができると同時に、ファン風量調節部材23も揺動してファン吹出口14aの一部が塞がれて回転ファン14の風量を弱めることができる。
【0032】
一方、電動モータ25を逆回転させて、フィードチェーン2側から見た側面視で電動モータ25の出力軸28が時計回りに回転すると、駆動ギア31が軸心P4周りで反時計回りに揺動して連係ロッド33を押し上げる。そうすると、ファン風量調節部材23はスプリング35の付勢力によって支点P3周りで反時計回りに揺動し、排風調節部材22はアーム38を介して軸心P2周りで反時計回りに揺動し、さらに、風量調節部材21は連係ロッド39を介して支点P1周りで反時計回りに揺動する。このように、電動モータ25を逆回転させると、排風調節部材22が揺動して排風口10bが閉じると同時に、風量調節部材21が揺動して吹出口10aが開いて、唐箕10の風量を強めることができる。また、ファン風量調節部材23も連動されているため、唐箕10の風量を強めることができると同時に、ファン風量調節部材23も揺動してファン吹出口14aが開いて回転ファン14の風量を強めることができる。
【0033】
なお、ファン風量調節部材23、排風調節部材22、及び、風量調節部材21は、電動モータ25を正逆転させて任意の位置で停止することで、連続的にその開閉度を調節することができるように構成されており、唐箕10から吹き出す選別風の風量及び回転ファン14から吹き出す選別風の風量を連続的に調節できるようになっている。このように構成することで、処理物の量等に応じて、唐箕10から吹き出す選別風の風量及び回転ファン14から吹き出す選別風の風量を微調節することが可能になって、脱穀装置1の選別性能を向上させることができる。
【0034】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、唐箕10の吹出口10aの一部を風量調節部材21によって塞ぐことによって、唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節可能に構成した例を示したが、図6〜図8に示すように、唐箕10から吹き出す選別風の一部を第2風量調節部材24及び風量調節部材21によって機外に排風することによって、唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節可能に構成してもよい。なお、後述する第2風量調節部材24及び風量調節部材21に関する構成以外の他の脱穀装置1の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様である。また、この発明を実施の第1別形態においては、脱穀装置1をコンバインに搭載した例を示すため、図6における左方が処理物の搬送上手側に相当し、図6における右方が処理物の搬送下手側に相当する(図7及び図8においても同様)。以下の説明においては、処理物の搬送上手側を前方と、処理物の搬送下手側を後方と表示する。
【0035】
図6に示すように、唐箕10のケーシング10cの後方下部に、機外に開放された前後二つの第2排風口10d及び10eが形成されている。第2排風口10dには、唐箕10から吹き出す選別風の一部を機外へ排風することが可能な第2風量調節部材24が、その前端部の揺動軸43の左右方向の軸心P6周りに上下に揺動可能に取り付けられており、第2風量調節部材24を下方に揺動させると、唐箕10の第2排風口10dが機外に開放され、第2風量調節部材24を上方に揺動させると、唐箕10の第2排風口10dが塞がれるように構成されている。
【0036】
一方、第2排風口10eには、風量調節部材21が、その後端部の支点P1周りに上下に揺動可能に取り付けられており、風量調節部材21を上方に揺動させると、唐箕10の吹出口10aが塞がれると同時に第2排風口10eが機外に開放されて、風量調節部材21を下方に揺動させると、唐箕10の吹出口10aが開くと同時に第2排風口10eが塞がれるように構成されている。
【0037】
図7及び図8に示すように、連係ロッド39は、その中央部に位置する回動軸41の軸心P5周りに回動自在に取り付けられており、この連係ロッド39の後端部に、風量調節部材21の前端部が回動及び摺動自在に取り付けられている。連係ロッド33が下方に移動すると、連係ロッド39が揺動軸41の左右方向の軸心P5周りに回転して、連係ロッド39の後端部に取り付けた風量調節部材21が支点P1周りに揺動し、吹出口10aの一部が塞がれると同時に第2排風口10eが機外に開放されるように構成されている。
【0038】
第2風量調節部材24の前端部に固定した揺動軸43には、この揺動軸43と一体揺動可能なアーム44が固定されており、このアーム44の他端部はロッド45を介して、連係ロッド39に連係されている。このように構成することで、連係ロッド33が下方に移動すると、連係ロッド39が回転軸41の軸心P5周りに回転して、この連係ロッド39に回動可能に取り付けられたロッド45が上方に押し上げられる。そうすると、ロッド45に連係されたアーム44とともに、このアーム44に揺動軸43を介して固定された第2風量調節部材24も揺動軸43の左右方向の軸心P6周りに揺動して、第2排風口10dが機外に開放されるようになっている。
【0039】
以上のように構成することで、電動モータ25を正回転させると、排風調節部材22が揺動して排風口10bが開き、風量調節部材21が揺動して吹出口10aの一部が塞がれると同時に、第2風量調節部材24及び風量調節部材21によって第2排風口10d,10eが開放されて、吹出口10aから吹き出す選別風の一部を積極的に機外へ排風することができて、唐箕10の風量を弱めることができる。
【0040】
このように、風量調節部材21によって吹出口10aの一部が塞がれると同時に、第2風量調節部材24及び風量調節部材21によって第2排風口10d,10eが開放されることで、唐箕10から吹き出す選別風の一部が、風量調節部材21と第2風量調節部材24に案内されて、機外に排風され易くなると考えられる。また、風量調節部材21と、第2風量調節部材24と、排風調節部材22との共働で唐箕10から吹き出す選別風の風量を調節することによって、唐箕10から吹き出す選別風の一部が、機外に排風され易くなると考えられる。そのため、唐箕10から吹き出す選別風の風量を幅広く調節することができて、脱穀装置1の選別性能を向上させることができる。
【0041】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、風量調節部材21と、排風調節部材22と、ファン風量調節部材23とを一つの電動モータ25で連動させた例を示したが、これらのすべてを連動させる構成に限らず、風量調節部材21とファン風量調節部材23を連動させる構成や、排風調節部材22とファン風量調節部材23を連動させる構成を採用してもよい。また、前述の[発明の実施の第1別形態]においては、風量調節部材21と、排風調節部材22と、ファン風量調節部材23に加えて、第2風量調節部材24を一つの電動モータ25で連動させた例を示したが、これらのすべてを連動させる構成に限らず、風量調節部材21とファン風量調節部材23を連動させる構成、排風調節部材22とファン風量調節部材23を連動させる構成、及び、第2風量調節部材24とファン風量調節部材23を連動させる構成を採用してもよい。
【0042】
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、電動モータ25によって連動させる構成を採用した例を示したが、電動モータ25に限らず、他のアクチュエータ、例えば電動シリンダ(図示せず)等によって構成してもよく、また、操作レバー(図示せず)等によって手動で風量を調節できるように構成してもよい。
【0043】
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の第1別形態]においては、連係ロッド33等を用いて連動させる構成を採用した例を示したが、連係ロッド33等に限らず、例えば、連係ワイヤ(図示せず)等を採用してもよい。
【0044】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、コンバインに搭載した脱穀装置1を例に示したが、コンバインに搭載する脱穀装置1に限らず、例えば、刈取部(図示せず)を備えていないハーベスタ(図示せず)に搭載する脱穀装置1においても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】脱穀装置の縦断側面図
【図2】唐箕の周辺構造を示す縦断側面図
【図3】唐箕の風量を弱くした状態での各調節部材の連係構造を示す側面図
【図4】唐箕の風量を強くした状態での各調節部材の連係構造を示す側面図
【図5】各調節部材の連係構造を示す斜視図
【図6】発明の実施の第1別形態における唐箕の周辺構造を示す縦断側面図
【図7】発明の実施の第1別形態における唐箕の風量を弱くした状態での各調節部材の連係構造を示す側面図
【図8】発明の実施の第1別形態における唐箕の風量を強くした状態での各調節部材の連係構造を示す側面図
【符号の説明】
【0046】
1 脱穀装置
6 グレンパン
10 唐箕
10a 吹出口
14 回転ファン
14a ファン吹出口
21 風量調節部材
22 排風調節部材
23 ファン風量調節部材
40 排塵口
A 扱室
B 揺動選別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室の下方に揺動選別装置を備え、前記揺動選別装置の処理物の搬送上手側の下方に唐箕を備えて、前記唐箕から処理物の搬送下手側の排塵口に向って選別風を供給するように構成してある脱穀装置であって、
前記唐箕の吹出口に、前記唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な風量調節部材を備え、
前記唐箕の搬送上手側下部に、前記唐箕内を通過する選別風の一部を機外へ排風することによって前記唐箕から吹き出す選別風の風量を調節可能な排風調節部材を備えてある脱穀装置。
【請求項2】
前記揺動選別装置に、前記扱室から落下供給される処理物を受け止めて搬送しながら選別処理するグレンパンを備え、前記グレンパンの終端部に向って選別風を供給する回転ファンを備え、
前記回転ファンのファン吹出口に、前記回転ファンから吹き出す選別風の風量を調節可能なファン風量調節部材を備えて、
前記風量調節部材又は排風調節部材と、前記ファン風量調節部材とを連動可能に構成してある請求項1記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−43277(P2008−43277A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−223335(P2006−223335)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】