説明

脱穀装置

【課題】被処理物を排塵処理室に能率良く搬送することができる脱穀装置を提供する。
【解決手段】上記課題は、連通部(25)を形成する中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の前後方向の間隔(L1)を、排塵処理胴(61)の外周に設けた前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)の1/2以下にすることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室と排塵処理室を備えた脱穀装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒ロスを低減する為に、脱穀装置の刺さり粒回収室の側壁にガイド部材を備え脱穀装置、扱室の後仕切壁に後方に扱胴の下側外周に延伸するガイド杆を備えた脱穀装置が提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−271264号公報
【特許文献2】特開2006−34152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の脱穀装置においては、扱室の移送終端部に設けられた連通部を介して排塵処理室に搬送された籾、藁屑等の被処理物が、排塵処理室に内装された排塵処理胴によって再び扱室の連通部に逆戻りする虞があった。
また、被処理物が連通部上に集積し、被処理物を排塵処理室に能率良く搬送できない虞もあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、前後方向の扱胴軸(13)に軸架された扱胴(14)を内装する扱室(10)を設け、該扱室(10)の後部一側には排塵処理胴(61)を内装する排塵処理室(60)を備える脱穀装置において、前記扱室(10)の後部の中仕切壁(22)と該中仕切壁(22)の後側に設けられた後仕切壁(24)の間の前記排塵処理室(60)側の部位に、該排塵処理室(60)に連通する連通部(25)を形成し、前記連通部(25)の前後方向の中間部に中間仕切壁(23)を設け、前記中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の前後方向の間隔(L1)を、前記排塵処理胴(61)の外周に設けた前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)の1/2以下に設定したことを特徴とする脱穀装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記中仕切壁(22)と後仕切壁(24)の前後方向の間隔(L2)を、前記排塵処理胴(61)の外周に設けた前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)以下に設定した請求項1記載の脱穀装置である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記中間仕切壁(23)の高さ(H2)を中仕切壁(22)および後仕切壁(24)の高さ(H1,H3)よりも低く設定した請求項1又は2記載の脱穀装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記後仕切壁(24)の高さ(H3)を中仕切壁(22)の高さ(H1)よりも高く設定した請求項3記載の脱穀装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の間に第1排塵口(26A)を複数有する第1排塵漏下部(26)を形成し、前記中間仕切壁(23)と後仕切壁(24)の間に第2排塵口(27A)を複数有する第2排塵漏下部(27)を形成し、第1排塵口(26A)の被処理物濾過用の開口部を第2排塵口(27A)の開口部よりも小さく形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、連通部(25)に備える中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の間隔(L1)を、排塵処理胴(61)の前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)の1/2以下にしているので、排塵処理室(60)内に搬送された籾、藁屑等の被処理物の連通部(25)における中間仕切壁(23)よりも前側への逆戻りを防止することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、中仕切壁(22)と後仕切壁(24)の間隔(L2)を、排塵処理胴(61)の前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)以下にしているので、連通部(25)の中間仕切壁(23)よりも前側から排塵処理室(60)に移送された被処理物と、中間仕切壁(23)よりも後側から排塵処理室(60)に移送された被処理物が混り合わずに排塵処理室(60)の後方に向けて搬送され、被処理物の連通部(25)上での集積を防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、中間仕切壁(23)の高さ(H2)を中仕切壁(22)および後仕切壁(24)の高さ(H1,H3)よりも低くしているので、被処理物を連通部(25)を介して排塵処理室(60)に能率良く搬送することができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、後仕切壁(24)の高さ(H3)を中仕切壁(22)の高さ(H1)よりも高くしているので、被処理物を連通部(25)を介して排塵処理室(60)に確実に搬送することができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、第1排塵口(26A)の開口部を第2排塵口(27A)の開口部よりも小さくしているので、被処理物中の穀粒を第1排塵口(26A)から下方に落下させるとともに、藁屑等が下方に漏下するのを低減できる為に、選別能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの左側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】脱穀装置の平面図である。
【図5】脱穀装置の縦断面図である。
【図6】図3のA−A断面図である。
【図7】受網と排塵網の要部縦断面図である。
【図8】第2実施形態の排塵網の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は左側面図である。
【図9】第3実施形態の排塵網の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は左側面図である。
【図10】第4実施形態の排塵網の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は左側面図である。
【図11】第5実施形態の排塵網の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は背面図、(d)は左側面図である。
【図12】排塵処理胴の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0018】
コンバイン1は、図1〜図3に示すように、圃場を走向する左右一対のクローラからなる走行装置2と、機体の前端位置で圃場から穀桿を刈取る刈取装置3と、その後方で穀桿の脱穀・選別を行なう脱穀装置4と、脱穀装置4の右側に並設され脱穀・選別された穀粒を貯留するグレンタンク5とを備え、グレンタンク5の前側で刈取装置3の背面に臨む部位に操作者が搭乗する操縦部6を備え、操縦部6の下方後側にはエンジンEを搭載するエンジンルームが備えられている。また、グレンタンク5の後方には貯留された稲、麦等の穀粒を機外に排出する排出オーガ7を備えている。
【0019】
(扱室)
脱穀装置3は、図4〜図6に示すように、上部に穀稈の脱穀を行う扱室10を備え、下部に穀粒の選別を行う選別室40を備えている。また、扱室10の左側面には、穀稈の穂先側を扱室10内に供給する扱ぎ口11が開口されており、刈取装置3によって刈取られた穀稈は、供給搬送装置8により揚上搬送され、扱ぎ口11の側方に沿って設けられた脱穀部搬送装置12に引継がれ、株元側をフィードチェン12Aと挟持杆12Bで挟持され、穂先側を扱室10内で脱穀されながら後方に搬送される。
【0020】
扱室10には、前後方向に延伸する扱胴軸13が前壁20と後壁21に支持され、扱胴軸13には、複数の扱歯14Aを有する扱胴14が設けられている。また、扱胴14の主として下側には、扱胴14の外周を包囲する扱網15が張設されている。扱室10内を通過する穀稈は、扱胴14と扱網15の間で脱穀され、脱穀された穀粒は、扱網15から選別室40に漏下し、揺動選別装置41によって選別される。
なお、エンジンEの回転は、脱穀装置3の前方に設けられたプーリ16、ギヤボックス17、及び扱胴軸13を介して扱胴14に伝動され、正面視において扱胴14を時計方向に回転させる。
【0021】
扱室10は、前壁20と後壁21の前側に設けられた後仕切壁24で区画される部位である。また、扱室10の後部(移送終端部)には、扱室10で処理できなかった籾、藁屑等の被処理物を後述する排塵処理室60に搬送する為に、後仕切壁24の前方に設けられた中仕切壁22と後仕切壁24で区画される連通部25が形成されている。
【0022】
中仕切壁22と後仕切壁24の間には、中間仕切壁23が設けられており、中仕切壁22と中間仕切壁23の間の底部は、小さな被処理物を濾過する第1排塵口26Aを有する第1排塵格子網(第1排塵漏下部)26によって連結され、中間仕切壁23と後仕切壁24の間の底部は、大きな被処理物を濾過する第2排塵口27Aを有する第2排塵格子網(第2排塵漏下部)27によって連結されている。
また、排塵処理室60に搬送された被処理物の連通部25への逆戻りを防止する為に、第1実施形態においては、中仕切壁22と中間仕切壁23の前後方向の間隔L1を排塵処理室60に内装された排塵処理胴61の螺旋状の前側スクリュー羽根体62のピッチPの1/2以下、好適にはピッチPの1/2に形成され、被処理物を排塵処理室60に能率良く搬送する為に、中仕切壁22と後仕切壁24の前後方向の間隔L2を排塵処理胴61の螺旋状のスクリュー羽根体のピッチP以下、好適にはピッチPに形成されている。
なお、中仕切壁22、中間仕切壁23、及び後仕切壁24は、いずれも扱胴14の下側外周を包囲するように設けられ、中仕切壁22、中間仕切壁23、及び後仕切壁24の左側端部に設けられた取付部材33に支持され、扱室10の下壁にボルト等の締結部材によって取付けられている。
【0023】
中仕切壁22、中間仕切壁23、及び後仕切壁24の高さH1,H2,H3は、図7に示すように、連通部25から排塵処理室60に被処理物を能率良く搬送する為に、中間仕切壁23の高さH2は、中仕切壁22、及び後仕切壁24の高さH1,H3よりも低く形成され、連通部25から排塵処理室60に被処理物を確実に搬送する為に、後仕切壁24の高さH3は、中仕切壁22の高さH1よりも高く形成されている。
中仕切壁22、中間仕切壁23、及び後仕切壁24の高さH1,H2,H3とは、扱網15及び、後述する第1排塵格子網27及び第2排塵格子網27の内面から、扱胴軸13の軸心へ向かう方向へ各仕切壁が突出する量のことである。
【0024】
後仕切壁24と後壁21の間には、穀粒ロスを低減する為に、穀稈に刺さった穀粒を回収する刺さり粒回収室29が形成されている。
扱胴14の後端部は、後仕切壁24を貫通して刺さり粒回収室29まで延伸し、扱胴14の後端部には、扱胴14の回転方向に対して所定角度に傾斜する傾斜扱歯14Bが周方向に所定の間隔を空け、且つ、交互に設けられている。
また、穀稈の穂先側が下方に逃げるのを防止し、刺さり粒を能率良く回収する為に、後仕切壁24には、扱胴14の下側外周に延伸する複数のガイド杆28が設けられている。
【0025】
第1実施形態においては、中仕切壁22と中間仕切壁23の底部に第1排塵口26Aを有する第1排塵格子網26を設け、中間仕切壁23と後仕切壁24の底部に第2排塵口27Aを有する第2排塵格子網27を設けているが、部品点数を削減する為に、扱胴14の下側に設けられた扱網15を中間仕切壁23、あるいは後仕切壁24まで延伸させ、後端部を中間仕切壁23、あるいは後仕切壁24に固定することもできる。
また、第1実施形態に換え、以下に説明する第2実施形態〜第5実施形態を採用することもできる。
【0026】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について添付図面を参照しつつ詳述する。なお、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0027】
第2実施形態は、図8に示すように、背面視において扱胴14の下死点よりも右側に搬送された籾、藁屑等の被処理物を排塵処理室60に迅速に搬送する為に、中仕切壁22と中間仕切壁23の底部の右側部(扱胴14の下死点よりも右側に対向する部位)は、無孔プレート30によって連結され、左側部(扱胴14の下死点よりも左側に対向する部位)は、第1排塵口26Aを有する第1排塵格子網26によって連結されている。
また、中間仕切壁23と後仕切壁24の底部も同様に、中間仕切壁23と後仕切壁24の底部の右側部は、無孔プレート30によって連結され、左側部は、第2排塵口27Aを有する第2排塵格子網27によって連結されている。
なお、後仕切壁24には、扱胴14の下側外周に延伸する複数のガイド杆28が設けられている。
【0028】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について添付図面を参照しつつ詳述する。なお、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0029】
第3実施形態は、図9に示すように、中間仕切壁23を乗り越えて中間仕切壁23と後仕切壁24の間に介在する籾、藁屑等の被処理物を排塵処理室60に搬送する為に、中間仕切壁23と後仕切壁24の底部は、無孔プレート30によって連結されている。
なお、中仕切壁22と中間仕切壁23の底部は、第1排塵口26Aを有する第1排塵格子網26によって連結し、後仕切壁24には、扱胴14の下側外周に延伸する複数のガイド杆28が設けられている。
【0030】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について添付図面を参照しつつ詳述する。なお、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0031】
第4実施形態は、図10に示すように、背の長い籾、藁屑等の被処理物による濾過口の詰まりを防止する為に、中仕切壁22と後仕切壁24を鋼材からなる角棒、円棒等の複数のフレーム材31で連結する。
なお、フレーム材31は、中仕切壁22と後仕切壁24の間に設けられた中間仕切壁23を貫通し中仕切壁22と後仕切壁24に延伸しており、後仕切壁24には、扱胴14の下側外周に延伸する複数のガイド杆28が設けられている。
【0032】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について添付図面を参照しつつ詳述する。なお、同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0033】
第5実施形態は、図11に示すように、籾、藁屑等の被処理物を排塵処理室60に迅速に搬送し、背の長い籾、藁屑等の被処理物による濾過口の詰まりを防止する為に、中仕切壁22と後仕切壁24を中仕切壁22から右側向かい傾斜させた鋼材からなる角棒、円棒等のフレーム材31に連結する。
なお、フレーム材31は、中仕切壁22と後仕切壁24の間に設けられた中間仕切壁23を貫通し中仕切壁22と後仕切壁24に延伸しており、後仕切壁24には、扱胴14の下側外周に延伸する複数のガイド杆28が設けられている。
【0034】
(選別室)
扱室10の扱網15の下方には、図5に示すように、扱網15から漏下する脱穀処理物を穀粒とそれ以外の物とに選別するための選別室40が備えられている。選別室40の上部には前後方向に往復揺動する揺動選別装置41が設けられ、選別室40の下部には、第一唐箕44、一番受樋46、第二唐箕45、及び二番受樋47が、前側(上流側)から後側(下流側)に向かって順次設けられている。
【0035】
揺動選別装置41の前部の移送棚42は、第一唐箕44のケーシング44Aの上方に設けられている。移送棚42の形状は任意であり、移送棚42の後側を低く傾斜させたり、あるいは、移送棚42の上面に突起や凹凸を形成したりして、揺動選別装置41の後部のシーブ43に向けて扱網15からの漏下物を移送できればよい。
【0036】
シーブ43は、左右方向に延在するとともに前後方向に対する傾斜角度が調整自在の複数の可動シーブ部材43Aが前後方向に平行に並設されて形成されている。シーブ43の前側の上方には、排塵処理室60への連通部25、及び刺さり粒回収室29の還元口32が設けられており、シーブ43は、連通部25から漏下してくる穀粒と藁屑、還元口32から漏下してくる枝梗が付いた穀粒と藁屑を集載し後側に移送する。
また、シーブ43の上面の中間部(還元口32の下方部位)には、比較的大きな藁屑中から枝梗付着粒等を篩い選別し、二番受樋47に漏下させる為に、ストローラック48Aが設けられている。
【0037】
揺動選別装置41の下方には、移送棚42と一番受樋46の間に臨む送風口44Bを備えた第一唐箕44が設けられており、送風口44Bの下手側に一番受樋46が設けられている。また、一番棚先49と二番受樋47の間に臨む送風口45Bを備えた第二唐箕45が設けられており、送風口45Bの下手側に二番受樋47が設けられている。
【0038】
一番受樋46内には、グレンタンク5へ連通する螺旋コンベア式の一番コンベア46Aが内装され、二番受樋47内には、二番処理室70へ連通する螺旋コンベア式の二番コンベア47Aが内装されている。
なお、一番受樋46は、その前側の部分が第一唐箕44のケーシング44Aに一体的に繋がれるとともに、その後側の部分は一番棚先49まで延在されており、一番棚先49は、上方のシーブ43の終端部に向けて斜め上方へ傾斜して設けられており、上下方向に揺動可能に構成され、揺動選別装置41の後端部の上方には、吸引排塵ファン51が設けられている。
【0039】
揺動選別装置41上の穀粒は、移送棚42またはシーブ43から漏下し、一番受樋46に回収され、グレンタンク5に搬送される。被処理物の軽量のものは、シーブ43を漏下せず、揺動選別装置41の揺動作用と第一唐箕44による送風で吹き飛ばされてシーブ43の上面を後方へ移動し、ストローラック48A,48Bの上で大きさの小さい二番物は漏下して二番受樋47に回収され、二番処理室70に搬送される。また、シーブ43及びストローラック48A,48Bから漏下しない被処理物は、さらに後方へ移送されて三番排塵口50から外部に排出される。
【0040】
(排塵処理室)
扱室10の後端部は、図4〜図6に示すように、連通部25を介して排塵処理室60に連通されている。排塵処理室60内には、扱胴14の軸心と略平行な排塵処理胴61が内装されており、正面視において時計方向に回転している。排塵処理室60の周壁のうち揺動選別装置41側の下部は、後端部に排出口65が形成されるとともに、この排出口65と連通部25の間の部分には排塵網64が設けられている。
【0041】
排塵処理胴61の前部(連通部25と対向する部位)の外周面には、ピッチPの螺旋状の前側スクリュー羽根体62が設けられ、中間部から後部の外周面には、ピッチPよりも小さなピッチの螺旋状の後側スクリュー羽根体63が設けられている。
また、後側スクリュー羽根体63の倒伏を防止する為に、隣接する後側スクリュー羽根体63の間には、図12に示すように、プレート66が設けられている。
【0042】
排塵処理室60に供給された被処理物は、回転する排塵処理胴61により終端側に移動されつつ解砕処理される過程で、排塵網64から揺動選別装置41上に漏下されるか、または、排塵処理室60の終端閉塞部に至った後に、排出口65を介して揺動選別装置41の後側のストローラック48B上に排出される。これら排出処理物は、揺動選別装置41によって穀粒は回収され、藁屑等は機外に排出される。
【0043】
(二番処理室)
排塵処理室60の前側には、図4、図5に示すように、二番物を処理して還元するための二番処理室70が設けられている。二番処理室70内には、外周面に間欠螺旋羽根を有する二番処理胴71が排塵処理胴61と同心的かつ直列的に内装されており、正面視において時計方向に回転している。
【0044】
二番処理室70では、二番物が二番処理胴71によって搬送される間に穀粒の分離と枝梗付着粒からの枝梗の除去が行われた後、二番処理物還元口から揺動選別装置41に落下し、扱室10からの被処理物と合流して再選別される。
【符号の説明】
【0045】
4 脱穀装置
10 扱室
11 扱ぎ口
12 脱穀部搬送装置
13 扱胴軸
14 扱胴
20 前壁
21 後壁
22 中仕切壁
23 中間仕切壁
24 後仕切壁
25 連通部
26 第1排塵格子網(第1排塵漏下部)
26A 第1排塵口
27 第2排塵格子網(第2排塵漏下部)
27A 第2排塵口
28 ガイド杆
29 刺さり粒回収室
30 無孔プレート
31 フレーム材
32 還元口
33 取付部材
40 選別室
41 揺動選別装置
44 第一唐箕
45 第二唐箕
46 一番受樋
47 二番受樋
60 排塵処理室
61 排塵処理胴
62 前側スクリュー羽根体
63 後側スクリュー羽根体
66 プレート
P ピッチ
H1 中仕切壁の高さ
H2 中間仕切壁の高さ
H3 後仕切壁の高さ
L1 中仕切壁と中間仕切壁の間隔
L2 中仕切壁と後仕切壁の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向の扱胴軸(13)に軸架された扱胴(14)を内装する扱室(10)を設け、該扱室(10)の後部一側には排塵処理胴(61)を内装する排塵処理室(60)を備える脱穀装置において、
前記扱室(10)の後部の中仕切壁(22)と該中仕切壁(22)の後側に設けられた後仕切壁(24)の間の前記排塵処理室(60)側の部位に、該排塵処理室(60)に連通する連通部(25)を形成し、
前記連通部(25)の前後方向の中間部に中間仕切壁(23)を設け、
前記中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の前後方向の間隔(L1)を、前記排塵処理胴(61)の外周に設けた前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)の1/2以下に設定したことを特徴とする脱穀装置。
【請求項2】
前記中仕切壁(22)と後仕切壁(24)の前後方向の間隔(L2)を、前記排塵処理胴(61)の外周に設けた前側スクリュー羽根体(62)のピッチ(P)以下に設定した請求項1記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記中間仕切壁(23)の高さ(H2)を中仕切壁(22)および後仕切壁(24)の高さ(H1,H3)よりも低く設定した請求項1又は2記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記後仕切壁(24)の高さ(H3)を中仕切壁(22)の高さ(H1)よりも高く設定した請求項3記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記中仕切壁(22)と中間仕切壁(23)の間に第1排塵口(26A)を複数有する第1排塵漏下部(26)を形成し、前記中間仕切壁(23)と後仕切壁(24)の間に第2排塵口(27A)を複数有する第2排塵漏下部(27)を形成し、第1排塵口(26A)の被処理物濾過用の開口部を第2排塵口(27A)の開口部よりも小さく形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−48566(P2013−48566A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186993(P2011−186993)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】