脱臭装置
【課題】空気の脱臭と加湿の両者を満足すると共に、加湿に用いる水が脱臭に用いるヒータユニットの結線部に掛かるのを未然に防止することにより安全性を確保した脱臭装置を提供する。
【解決手段】触媒フィルタ51を有する脱臭ユニット5と、触媒フィルタ51を加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニット8と、を備えた脱臭装置1において、筺体2の空気吸込口21と空気吹出口22とを連通する空気通路25の空気流通経路に、この空気通路25を流通する空気を加湿する加湿ユニット7を設けると共に、前記加湿ユニット7は、水を貯える加湿トレイ72を有して前記筺体の下部に配置される一方、前記ヒータユニット8は、リード線83を介して電力供給されるヒータ本体82を有し、前記ヒータ本体82と前記リード線83との結線部82Jを前記筺体の上部に配置する。
【解決手段】触媒フィルタ51を有する脱臭ユニット5と、触媒フィルタ51を加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニット8と、を備えた脱臭装置1において、筺体2の空気吸込口21と空気吹出口22とを連通する空気通路25の空気流通経路に、この空気通路25を流通する空気を加湿する加湿ユニット7を設けると共に、前記加湿ユニット7は、水を貯える加湿トレイ72を有して前記筺体の下部に配置される一方、前記ヒータユニット8は、リード線83を介して電力供給されるヒータ本体82を有し、前記ヒータ本体82と前記リード線83との結線部82Jを前記筺体の上部に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱再生型の触媒フィルタを用いて空気を脱臭する脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内などの閉塞空間内の空気を脱臭して浄化するのに脱臭装置が用いられる。この脱臭装置は、空気吸込口から導入した室内の空気を装置内部に設けた脱臭フィルタに通過させ、この脱臭フィルタで臭気を吸着した後に空気吹出口から室内に放出して循環させることにより、室内の空気を脱臭する。
【0003】
特に、近年では、前記脱臭フィルタに加熱再生型の触媒フィルタを用い、この触媒フィルタをヒータで加熱することにより、吸着した臭気を分解して臭気の吸着機能を再生できるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の脱臭装置では、空気中の臭気を取り除くのが主な機能であり、たとえば、冬期などの乾燥時期に室内を加湿したい場合は、別途に加湿器を用意しなければならない。このため、加湿器を別途に設けることで経費も大幅に嵩んでしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、経費を抑制しつつ空気の脱臭と加湿との両者を満足すると共に、安全性を確保することができる脱臭装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脱臭装置は、空気吸込口および空気吹出口を有する空気通路が内部に形成された筺体と、前記空気通路内の空気を前記空気吸込口から前記空気吐出口に向かって流通させる送風部と、前記空気通路の空気流通経路に配置されて前記空気吸込口から導入した空気を脱臭する触媒フィルタと前記触媒フィルタを加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニットとを有する脱臭ユニットと、を備えた脱臭装置において、前記脱臭ユニットと対向するように、前記空気通路の空気流通経路に立設し、前記空気通路を流通する空気を加湿する加湿ユニットが設けられ、前記加湿ユニットは、水を貯える加湿トレイを有して前記筺体の下部に配置される一方、前記ヒータユニットは、リード線を介して電力供給されるヒータ本体を有し、前記ヒータ本体と前記リード線との結線部が前記筺体の上部に配置されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記結線部は、前記筺体が前記加湿ユニットに対して前記ヒータユニットが配置された側に転倒した際に、前記加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に位置するように前記加湿ユニットよりも上方に配置されたことを特徴とする。
【0009】
さらに、その場合に、前記ヒータユニットは、前記ヒータ本体を片面に保持する保持プレートを有し、この保持プレートにはヒータ本体の保持面とは反対面にサーモスタットの取付部が設けられ、この取付部に取り付いたサーモスタットが防水板で覆われたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成により、本発明の脱臭装置によれば、送風部によって空気吸込口から空気通路内に導入された空気中の臭気は、脱臭ユニットの触媒フィルタによって吸着されて脱臭され、この脱臭された空気は空気吹出口から放出される。このとき、ヒータユニットで触媒フィルタを加熱することにより、吸着した臭気を分解して触媒フィルタを再生でき、持続した脱臭が可能となる。そして、脱臭ユニットで空気を脱臭する一方、空気通路の空気流通経路に加湿ユニットが設けられことにより、この加湿ユニットで空気通路内を流通する空気を加湿することができる。このように、空気吹出口から放出される空気は脱臭と加湿の両者を実現できるにもかかわらず、それら脱臭と加湿は1つの脱臭装置で達成できることから、別途に加湿器を用意する必要が無くなって経費を抑制することができる。
【0011】
また、このように構成された脱臭装置にあって、この脱臭装置を誤って大きく傾けてしまった場合などには、加湿ユニットの加湿トレイに蓄えられた水が周囲に飛び散ることがある。このような場合にあっても、加湿ユニットが筺体の下部に配置されるのに対して、ヒータユニットの結線部が筺体の上部に配置されたことにより、飛び散った水がその結線部に掛かるのを未然に防止できる。
【0012】
さらに、ヒータユニットの結線部が加湿ユニットよりも上方に配置されて、筺体が加湿ユニットに対してヒータユニットが配置された側に転倒した際にも、加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に前記結線部が位置されている。これにより、何らかの原因で脱臭装置が転倒した際にも、加湿ユニットの水がヒータユニットの結線部に掛かるのを未然に防止できる。
【0013】
さらにまた、このように構成された脱臭装置にあって、ヒータユニットは、異常な温度上昇を防止するサーモスタットを備えて、それが保持プレートに取り付けられており、そして、そのサーモスタットが防水板で覆われている。これにより、加湿ユニットから水が飛び散った場合にも、この飛び散った水がサーモスタットに掛かるのを未然に防止できるため、サーモスタットの本来の温度調節機能が損なわれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示す脱臭装置を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す脱臭装置を背面斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す脱臭装置を中央部から縦断した側断面図である。
【図4】図4は、加湿ユニットを筺体から取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、加湿ユニットを筺体にセットしようとする状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す脱臭装置に備わる脱臭ユニットの側断面図である。
【図7】図7は、図6に示す脱臭ユニットの分解斜視図である。
【図8】図8は、図6の脱臭ユニットに備わるヒータユニットの正面図である。
【図9】図9は、図8中I−I線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図8に示すヒータユニットのヒータ本体の背面図である。
【図11】図11は、図8に示すヒータユニットの背面斜視図である。
【図12】図12は、図8に示すヒータユニットの遮熱板の1つを示す斜視図である。
【図13】図13は、図8に示すヒータユニットの分解斜視図である。
【図14】図14は、図6に示す脱臭ユニットの要部拡大断面図である。
【図15】図15は、図8に示すヒータユニットの正面斜視図である。
【図16】図16は、図8中II−II線に沿った要部拡大断面図である。
【図17】図17は、図8中III−III線に沿った要部拡大断面図である。
【図18】図18は、図8中IV−IV線に沿った要部拡大断面図である。
【図19】図19は、図8中V部に配置されるリード線の要部斜視図である。
【図20】図20は、図10に示すヒータ本体の側面図である。
【図21】図21は、図10中VI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図22】図22は、図10中VII−VII線に沿った拡大断面図である。
【図23】図23は、図20中VIII部の拡大図である。
【図24】図24は、図8に示すヒータユニットにおけるリード線の配線部分の要部を示す拡大断面図である。
【図25】図25は、図6に示す脱臭ユニットからヒータ本体のリード線を取り出す部分を示す拡大断面図である。
【図26】図26は、脱臭装置が後方に転倒して加湿ユニットの水がこぼれる状態を示す断面図である。
【図27】図27は、ヒータユニットに備わるサーモスタットの防水構造の変形例を透視して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するものとし、図1から図26は本発明にかかる脱臭装置1の一実施形態を示す。この脱臭装置1は、図1および図2に示すように、合成樹脂パネルで成形された直方体状の筺体2を有し、この筺体2の背面に設けられた空気吸込口21から導入した空気を、上面に設けられた空気吹出口22から放出する間に、その空気が脱臭されるようになっている。
【0016】
また、筺体2の上面には空気吹出口22の側方に位置して脱臭装置1を各種モードに操作する操作パネル23が設けられるとともに、空気吹出口22には開閉自在なルーバ24が取り付けられている。なお、図1および図2ではルーバ24が開かれた状態にある。
【0017】
筺体2の内部には、図3に示すように、空気吸込口21から導入した空気を空気吹出口22まで案内する空気通路25が形成されており、この空気通路25の空気流通経路中には、空気通路25内の空気を空気吸込口21から空気吐出口22に向かって流通させる送風部としてのシロッコファン3が設けられる。 もちろん、この場合の送風部はシロッコファン3が好ましいのであるが、それに限ることなく空気を流通する機能を有しておれば良く、たとえばラジアルファンや軸流ファンもしくはその他の送風ファンなどであってもよい。なお、図3ではルーバ24が閉じられた状態にある。
【0018】
空気通路25の空気流通経路の最上流部(筺体2の背面側)には、空気吸込口21の裏側に位置して集塵フィルタ4が配置されるとともに、この集塵フィルタ4とシロッコファン3との間に脱臭ユニット5が配置される。また、シロッコファン3の下流側にはオゾン生成ユニット6が配置される。
【0019】
そして、シロッコファン3の稼働にともなって空気吸込口21から空気通路25に導入された空気は、まず、集塵フィルタ4によってゴミや塵が除去された後に脱臭ユニット5に送られる。その後、脱臭ユニット5で脱臭された空気は、下流側のオゾン生成ユニット6で生成されるオゾンガスで清浄されて空気吹出口22から放出される。なお、オゾン生成ユニット6は脱臭装置1を構成する上で必ずしも必要とはしない。
【0020】
ここで、本実施形態では空気通路25の空気流通経路中、詳細にはその空気流通経路の脱臭ユニット5とシロッコファン3との間に、その空気通路25を流通する空気を加湿する加湿ユニット7が設けられる。
【0021】
加湿ユニット7は、図4に示すように、空気通路3の空気流通経路に配置される加湿フィルタ71と、この加湿フィルタ71に水分を供給する加湿トレイ72と、この加湿トレイ72に水を補充する水タンク73とを備えて構成され、これらが1つのユニットとして一体化されている。加湿フィルタ71は、前記加湿トレイ72の側壁から立設する一対の支持部721により回転自在に軸支される。加湿フィルタ71のフィルタの外周部には、水汲みポケット711が一定間隔毎に同じ方向に配置される。加湿運転中は、加湿フィルタ71を一定方向に一定速度で回転させることで、加湿トレイ72内の水を、水汲みポケット711で汲み上げ、頂点付近で水汲みポケット711内の水を加湿フィルタ71に順次掛けることで、加湿フィルタを常に湿潤状態とすることができる。
【0022】
このように一体化された加湿ユニット7は、同図に示すように、筺体2から取り外しができるようになっており、取外した加湿ユニット7は、図5に示すように、筺体2の側方のパネルを取り外した状態で筺体2の内方に差し込んでセットされる。そして、加湿ユニット7が筺体2にセットされた状態では、図3に示したように、加湿フィルタ71がシロッコファン3の直上流側に配置されることになる。
【0023】
この加湿フィルタ71を透湿膜として空気が通過することにより、この通過空気に水分が補給されて加湿される。加湿ユニット7のオン・オフを含めた制御は前述した操作パネル23によって行うことができる。
【0024】
このように、筺体2内に加湿ユニット7がセットされることにより、加湿機能を備えた脱臭装置1として構成される。
【0025】
また、加湿ユニット7が筺体2にセットされた状態では、その加湿ユニット7は筺体2内の下部に配置されることになり、本実施形態では加湿フィルタ71が、筺体2の下部に位置するシロッコファン3の吸入(負圧)側に対向した位置に配置される。そして、加湿トレイ72は、その加湿フィルタ71の下側に所定間隔を設けて設置されることになる。
【0026】
なお、加湿ユニット7はシロッコファン3の上流側に配置された場合を説明したが、これに限ることなく下流側に配置されていてもよい。また、加湿トレイ72の水を加湿フィルタ71に供給する手段としては、滴下浸透式、毛細管式などであってもよく、また、加湿フィルタ71および加湿トレイ72を備えた基本的な加湿構造以外にも、スチームファン式や超音波式または気化式など他の加湿構造であってもよい。
【0027】
脱臭ユニット5は、図6および図7に示すように、臭気を吸着して分解する触媒フィルタ51と、この触媒フィルタ51を加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニット8と、これら触媒フィルタ51およびヒータユニット8を挟むように両側に配置された通気性を有する一対の板状断熱材52と、これら触媒フィルタ51とヒータユニット8と板状断熱材52の外周を囲って配置される環状断熱材53と、板状断熱材52および環状断熱材53の通風方向両側を覆って配置される一対の遮熱板54と、によって構成される。この遮熱板54は、多数の透孔によって通気性が確保された金属製のパンチングプレートで形成されている。
【0028】
したがって、集塵フィルタ4を通過した空気が脱臭ユニット5に導入されると、その空気は図3に示す脱臭ユニット5を図中右側から左側へと通過される。なお、その脱臭ユニット5を拡大した図6は、図3の取付状態に対して左右逆に示されており、脱臭ユニット5に導入された空気は、図6中左側から右側へと通過されることになる。すなわち、空気は、図6中左側の遮熱板54、左側の板状断熱材52、触媒フィルタ51、ヒータユニット8、右側の板状断熱材52そして右側の遮熱板54の順に通過されることになる。
【0029】
ヒータユニット8は、図8に示すように、保持プレート81にヒータ本体としてのシースヒータ82を保持させて概ね構成される。シースヒータ82は、一般に知られるように、金属パイプの中央にスパイラル発熱体を配置し、この発熱体と金属パイプとの間の空間部に熱伝導の良い高絶縁粉末を充填して構成されたものである。
【0030】
保持プレート81は、遮熱板54と同様に多数の透孔によって通気性が確保された金属製のパンチングプレートで形成されている。そして、保持プレート81は、図7に示すように、周縁部がプレス加工などにより裏側方向(図中右側)に折曲された側壁81sを有して全体として矩形容器状に形成される。なお、本実施形態では、保持プレート81の触媒フィルタ51が配置される側を裏側、その反対側を表側として説明するものとする。
【0031】
保持プレート81は、側壁81sで囲まれた裏側(内方側)にシースヒータ82が保持されるようになっており、図6に示すように、その側壁81sで囲まれた内方に触媒フィルタ51が収納される。このとき、触媒フィルタ51は、保持プレート81の裏側面(片側面)に面対向して配置されている。
【0032】
そして、図7に示すように、周囲の4つの側壁81sには、保持プレート81の各辺に沿う方向のほぼ中央部にチャンネル状のブラケット55がそれぞれビス止めされる。このとき、各ブラケット55の両端折曲片55aは保持プレート81に対して外方に向かって配置され、図6に示すように、それら両端折曲片55aに遮熱板54それぞれがビス止めされるようになっている。したがって、このようにして組み付けられた脱臭ユニット5は、図12に示すように、全体として扁平な直方体状となって構成される。
【0033】
また、脱臭ユニット5は、両端の遮熱板54、板状断熱材52および保持プレート81が通気性を有することから、空気通路25を流通する空気が通過できるようになっている。
【0034】
触媒フィルタ51は、アルミ合金製で通気性を有するハニカムコアボードの表面に、酸化マンガンなどの金属酸化物やプラチナなどの貴金属の触媒を所定の厚さにコーティングして形成される。なお、吸着剤として活性炭や各種セラミックス粉末などをさらに添加することが好ましい。さらには、抗菌剤や防かび剤などが添加されることも好ましい。そして、触媒フィルタ51は、基本的に加熱により臭気の吸着機能が再生できる構造(加熱再生型)であればよく、その他の加熱再生構造を有する触媒フィルタであってもよい。
【0035】
次に、上述したヒータユニット8を詳細に説明すると、シースヒータ82は、図10に示すように、W字状に折曲形成されて、リード線83が接続される両端部82a、82bが上方に位置されるようになっている。なお、図10に示すシースヒータ82は、保持プレート81の裏側から見た状態で示されている。
【0036】
つまり、このようにW字状に折曲されたシースヒータ82は、Uターン状の折曲部82Tが下側に2箇所と上側に1箇所形成されることによりW字状となっている。このように折曲部82Tの数を上側よりも下側に多く設定することにより、シースヒータ82で発生する熱量のウエイトを下方に置き、熱が上方に集まろうとするヒータユニット8全体での熱の均等化が図られる。
【0037】
このとき、両端部82a、82bを上方に配置し、かつ、熱量のウエイトを下側に置くためには、シースヒータ82を必ずしもW字状に形成する必要はなく、折曲部82Tの全体の数を奇数として上側よりも下側の折曲部82Tの数が1つ多くなるように形成してやればよい。つまり、折曲部82Tの数をn(n:自然数)とすると、下側の折曲部82Tの数はn+1、上側の折曲部82Tの数はnとしてやればよい。もちろん、折曲部82Tの全体の数は、(n+1)+n=2n+1となって奇数となる。
【0038】
そして、両端部82a、82bに接続されたリード線83の少なくともその接続部分はシリコンチューブ84で覆われる。また、シースヒータ82の一方(図10中左側)の端部82aに接続されたリード線83には、温度ヒューズ86を接続したリード線87がコネクタC1を介して直列に接続される。この場合にあってもリード線87は少なくとも温度ヒューズ86を含めた部分がシリコンチューブ84で覆われる。本実施形態では上述したリード線83、87は耐熱性のあるジイゲル線が用いられることが好ましい。なお、シースヒータ82には、コネクタC1に接続される図示省略した配線から加熱用の電力が供給される。
【0039】
シリコンチューブ84は絶縁とシールとを兼ねて取り付けられるが、必ずしもシリコンチューブ84に限ることはなく、絶縁性、耐熱性および可撓性を備えたチューブであればよい。
【0040】
また、シースヒータ82の他方(図10中右側)の端部82bに接続したリード線83および温度ヒューズ86のリード線87の他端側は、コネクタC2、C3を介して図8に示すサーモスタット9に接続される。
【0041】
このように、シースヒータ82とリード線83との結線部82Jは、シースヒータ82がW字状に形成されたことにより、ヒータユニット8の上端部に配置されることになる。そして、特に本実施形態では、その結線部82Jが加湿ユニット7の加湿トレイ72から上方に十分に距離を隔てるようにして筺体2の上部に配置される。
【0042】
シースヒータ82を保持する保持プレート81は、図11および図13に示すように、触媒フィルタ51が配置される裏側に、シースヒータ82の形状に沿った溝部81Gが凹設されており、この溝部81Gにシースヒータ82を収納した状態でそのシースヒータ82が保持される。
【0043】
このとき、図14に示すように、溝部81Gの深さd1は、シースヒータ82の高さh1よりも所定量少なく形成されている。これにより、触媒フィルタ51を保持プレート81に配置した際に、シースヒータ82の一側が触媒フィルタ51に直接接触されるとともに、他側が溝部81Gの底面、つまり保持プレート81に直接接触されるようになっている。そして、保持プレート81と触媒フィルタ51との間には、溝部81Gの深さd1とシースヒータ82の高さh1との差分に相当する空隙部δが設けられるようになっている。
【0044】
このように保持プレート81と触媒フィルタ51との間に空隙部δが設けられることにより、触媒フィルタ51の通気性がより高められるようになっている。つまり、保持プレート81がパンチングプレートで形成されているとはいえ、このパンチングプレートの多孔間には閉塞面が存在し、上記空隙部δが設けられていない場合は、その閉塞面が触媒フィルタ51に直接接触して触媒フィルタ51の通気性が低下してしまう。
【0045】
また、このようにシースヒータ82の一側が触媒フィルタ51に直接接触され、かつ、シースヒータ82の他側が保持プレート81(溝部81Gの底面)に直接接触されることにより、触媒フィルタ51には、シースヒータ82から直接に伝熱されるとともに、保持プレート81からも空隙部δを介して輻射熱によって間接に伝熱されるようになっている。この場合、保持プレート81は放熱板として機能する。このとき、シースヒータ82の温度は140度〜150度程度まで上昇するため、板状断熱材52としては160度以上の耐熱性を有するものが使用される。
【0046】
つまり、保持プレート81は、これに接触したシースヒータ82の発熱が伝達されて加熱され、その保持プレート81に伝達された熱が触媒フィルタ51方向に放熱されてこの触媒フィルタ51を加熱する一方、板状断熱材52方向にも放熱されることになる。このとき、シースヒータ82の温度は140度〜150度程度まで上昇するため、板状断熱材52としては160度以上の耐熱性を有する必要がある。
【0047】
そして、保持プレート81に伝達された熱は両面から放熱されることになり、シースヒータ82の放熱効果が高められる。これにより、シースヒータ82の表面温度を効率的に利用することができ、断熱構造の簡素化、たとえば板状断熱材52の薄肉化などを達成することができる。
【0048】
また、シースヒータ82のヒータ本体は、図21に示すように、保持プレート81(溝部81G底面)に接触する側がプレス加工などにより加圧されて平坦面82cとなっており、この平坦面82cを介して保持プレート81への伝熱効率が高められるようになっている。
【0049】
保持プレート81に凹設された溝部81Gは、図14に示すように、外方(触媒フィルタ51側)に向かって広がる断面台形状に形成されているが、その溝部81Gに収納されたシースヒータ82は、図8に示すように、保持プレート81から切り起こした舌片81Pによって止着される。すなわち、溝部81Gにシースヒータ82を嵌着する際、舌片81Pは図11に示すように起立させた状態にある。そして、シースヒータ82を溝部81Gに収納した後に、図16に示すように、舌片81Pをシースヒータ82の外周に加締めて固定するようになっている。なお、舌片81Pは止着部位によってそれぞれの幅が適宜設定されている。
【0050】
また、図16はシースヒータ82の一般部分の止着構造を示す一方、図8に示すように、シリコンチューブ84で被覆されたリード線83(図10参照)の止着は図17のようになる。さらに、図8に示すように、リード線87の温度ヒューズ86が接続される部分は、図19に示すように断熱シート88を巻回して覆われるが、この断熱シート88で覆った部分のリード線87は図18に示すように止着される。
【0051】
このとき、シースヒータ82を止着する舌片81Pはシースヒータ82の外周に加締められることにより、その舌片81Pの厚み分だけ外方に突出し、触媒フィルタ51との接触性が悪化される。このため、舌片81Pが配置される箇所には、図20および図22に示すように、プレス加工などによってシースヒータ82に凹所82Sを設け、この凹所82に舌片81Pが配置されるようにして、この舌片81Pがシースヒータ82から突出されないようになっている。これにより、シースヒータ82の一側は全体的に触媒フィルタ51に接触されるようになる。
【0052】
凹所82Sは、図23に示すように、凹設深さsが少なくとも舌片81Pの厚み(保持プレート81の厚み)となり、本実施形態では0.6mm程度となっている。また、シースヒータ82の長さ方向に沿った凹所82Sの両側部は所定角度θをもって傾斜され、本実施形態ではθ≒45度となっている。さらに、凹所82Sの長さLは舌片81Pの幅に相当する長さとすればよいのであるが、プレス型を少なくする関係上、本実施形態ではそれぞれの舌片81Pのうち最大幅の舌片81Pに見合う15mmとなっている。
【0053】
ところで、断面台形状に形成された溝部81Gは、シースヒータ82の形状に沿ってW字状に形成されたが、このW字状の溝部81Gの長さ方向(図8中上下方向)のほぼ中央部は、溝部81Gとほぼ同様の断面形状をもって水平方向に凹設される土手部81Bによって溝部81Gの上下直線部分81Gsが連結されている。このとき、上下直線部分81Gは、本実施形態のように溝部81GがW字状となる場合は左右方向に4箇所存在することになる。
【0054】
このように土手部81Bが設けられることにより、保持プレート81と板状断熱材52との間の空間S(図14参照)は上下方向に不連続となる。これにより、ヒータユニット8の下部から上方に熱気が立ち昇るのを土手部81Bが妨げて、ヒータユニット8の上部の温度が高くなり過ぎるのを抑制できるようになっている。なお、土手部81Bは、1箇所に限ることなく上下方向に適宜間隔を設けて複数箇所設けることもできる。
【0055】
なお、上述した上下直線部分81Gsに対応する部分では、溝部81Gの外側面と板状断熱材52との間に図示省略した断熱材を介在させておくことにより、シースヒータ82の熱が溝部81から板状断熱材52側に放熱されるのが抑制されて、ヒータユニット8全体での熱の均等化を図ることができる。
【0056】
また、図8および図9に示すように、土手部81Bの左右方向の中央部分は他の部分よりも上下幅が広く形成され、その幅広に形成された土手部81Bの表側面(シースヒータ82の保持面とは反対面)がサーモスタット9の取付部81Fとされる。この取付部81Fには、図9に示すように、サーモスタット9の本体部91がほぼ密接して挿入される取付穴81Fhが形成される。また、サーモスタット9の本体部91の両側には、一対の取付ブラケット92が取付部81Fに沿う方向に突設されている。
【0057】
そして、サーモスタット9を取り付ける際は、保持プレート81の表側から本体部91を取付穴81Fhに挿入した後、取付ブラケット92を取付部81Fにビス93で固定するようになっている。
【0058】
サーモスタット9には、図8に示すように、取付ブラケット92の対向方向に対して直交する方向に一対の接続端子94a、94bが突設されており、それら接続端子94a、94bに、上述したシースヒータ82の端部82bに接続されたリード線83のコネクタC2、および温度ヒューズ86のリード線87の他端側のコネクタC3が接続される。このように、シースヒータ82には温度ヒューズ86およびサーモスタット9が直列に接続されたことにより、ヒータユニット8による異常な温度上昇をより確実に防止できるようになっている。
【0059】
そして、図8、図11および図15に示すように、シースヒータ82の両端部82a、82bは、保持プレート81の上部両側に形成された一対の開口部81hから表側に取り出される。なお、シースヒータ82の両端部82a、82bが保持プレート81の開口部81hから表側に取り出される際、図13に示すように、リード線83や温度ヒューズ86のリード線87も一緒に開口部81hから表側に取り出される。そして、このように開口部81hから表側に取り出されたリード線83、87は、図8に示すように、溝部81Gおよび土手部81Fの表側面に沿って配線される。
【0060】
このとき、リード線83、87が溝部81Gや土手部81Fの表側面に沿った部分は、そのリード線83、87がシリコンチューブ84で覆われるが、特に保持プレート81の表面温度が高温(たとえば180度)を越える恐れのある場合は、図24に示すように、シリコンチューブ84と保持プレート81との間に断熱シート89を介在させることが好ましい。この場合、断熱シート89の素材としてはポリイミドやメラミンが好適である。
【0061】
また、図8に示すように、シースヒータ82の一方(図中右側)のリード線83と、温度ヒューズ86のリード線87とがコネクタC1を介して接続される際、それら両リード線83、87は、図8に示すように、ヒータユニット8から突出されており、さらには図25に示すように、脱臭ユニット5から引き出されるようになっている。このため、図12に示すように、遮熱板54にはリード線83、87の取出口54hが形成されている。
【0062】
すなわち、図25に示すように、保持プレート81の開口部81hからシースヒータ82の端部82aが表側に取り出され、このシースヒータ82の端部82aに接続されたリード線83は、リード線87とともに保持プレート81の表側からこの保持プレート81の外周と環状断熱材53との間を通って取出口54hへと案内される。そして、両リード線83、87はその取出口54hから外方へと引き出されることになる。
【0063】
このとき、リード線83、87は、配線スペースや配線基板の配置方向などによって取出口54hから遮熱板54の面方向に沿うようにほぼ直角に引き出されることになるが、上述したように、シリコンチューブ84で覆われているため、リード線83、87が傷つくおそれはない。
【0064】
ここで、サーモスタット9は保持プレート81に設けた取付部81Fに取り付けられているが、そのサーモスタット9は板状遮熱材52によって覆われるとはいえ、この板状遮熱材52は通気性を有しているため水密構造とはなっていない。このため、脱臭ユニット5に水が掛かった場合には、水が板状遮熱材52を通過してサーモスタット9に達してしまう。
【0065】
そこで、本実施形態では、図8および図9に示すように、サーモスタット9が防水板10で覆われるようになっている。この防水板10は折曲可能な板材、たとえばマイカ板などが用いられる。マイカ板には耐熱性があるので、万一、サーモスタットに接続されたコネクタC2、C3付近が発火した場合でも、延焼を防止できるという効果も期待できる。その防止板10は、矩形状に形成されてそのほぼ半分を取付部10Fとし、残りのほぼ半分を覆い部10Cとしてある。図9に示すように、取付部10Fにはサーモスタット9の本体部91が挿通される開口部10hが形成されている。
【0066】
そして、防水板10を取り付ける際には、開口部10hをサーモスタット9の本体部91に嵌合しつつ、取付部10Fを取付ブラケット92の上に載せ、ビス93で共締めして固定する。このとき、覆い部10Cは伸展した状態で上方に配置されており、取付部10Fを固定した後にその覆い部10Cを、同図に示すように下方に折り返して、サーモスタット9の外側が所定間隔をもって覆われるようになっている。もちろん、覆い部10Cはサーモスタット9を十分に覆い隠すことができる面積が備わっている。
【0067】
ところで、本実施形態の脱臭装置1では、何らかの原因、たとえば、脱臭装置の移動時や、使用者か脱臭装置に誤ってぶつかってしまうなどによって、筺体2が加湿ユニット7に対してヒータユニット8が配置された側、つまり、本実施形態では図26に示すように、空気吸込口21の配置側となる後方側に転倒されてしまうことが考えられる。
【0068】
このように筺体2が後方に転倒された場合は、加湿ユニット7の加湿トレイ72や水汲みポケット711に溜められた水が、その加湿トレイ72や水汲みポケット711から直接に、または加湿フィルタ71を伝うなどしてこぼれてしまう。すると、そのこぼれた水Dが下方に位置するヒータユニット8に掛かってしまう虞がある。
【0069】
このとき、シースヒータ82とリード線83との結線部82Jが筺体2の上部に配置されることを前述したが、さらに本実施形態では、その結線部82Jが加湿ユニット7の水Dがこぼれる範囲A(図26参照)外に位置するように、ヒータユニット8の上部が加湿ユニット7の上端位置7T(図3中2点鎖線で示す)よりも上方に配置されるようになっている。
【0070】
すなわち、筺体2が転倒した際、水Dのこぼれる範囲Aの上限部分(図26中右方)は、筺体2が正立状態にある加湿フィルタ71の上端位置に関係してくるが、本実施形態では図13中2点鎖線で示すように、加湿フィルタ71の上端位置71Tが保持プレート81の上端から所定距離Lだけ下方に下がった位置に配置される。もちろん、この距離Lは加湿フィルタ71からこぼれた水Dが結線部82Jにかからない寸法として設定され、転倒実験などによって決定される。なお、図15では加湿フィルタ71がシロッコファン3の外側形状に沿って円形状とされている場合を示したが、加湿フィルタ71の形状はこれに限ることはない。
【0071】
以上の構成により本実施形態の脱臭装置1によれば、空気通路25の空気流通経路に加湿ユニット7を設けて、加湿機能を備えた脱臭装置1として構成されている。これにより、脱臭装置1の空気吹出口22から放出される空気は脱臭と加湿の両者を満足できるようになり、かつ、その脱臭と加湿は1つの脱臭装置1で達成できる。このため、脱臭装置1以外に加湿器をさらに用意する必要が無くなることから経費を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態の脱臭装置1によれば、加湿ユニット7が筺体2の下部に配置されるのに対して、ヒータユニット8のシースヒータ82とリード線83との結線部82Jが筺体2の上部に配置されている。これにより、脱臭装置1を誤って大きく傾けてしまった場合などにあって、加湿トレイ72に蓄えられた水が周囲に飛び散っても、その飛び散った水が結線部82Jに掛かるのを未然に防止できる。
【0073】
さらに、本実施形態の脱臭装置1によれば、筺体2が後方に転倒した際に加湿ユニット7の水Dがこぼれる範囲外となるように、ヒータユニット8の結線部82Jが加湿ユニット7よりも上方に配置されている。これにより、何らかの原因で脱臭装置1が転倒した際にも、加湿ユニット7の水Dが結線部82Jに掛かるのを未然に防止できる。
【0074】
さらにまた、本実施形態の脱臭装置1によれば、ヒータユニット8は、シースヒータ82を片面に保持した保持プレート81の反対面にサーモスタット9が取り付けられており、このサーモスタット9が防水板10で覆われるようになっている。これにより、加湿ユニット7から水が飛び散った場合にも、この飛び散った水がサーモスタット9に掛かるのを未然に防止でき、サーモスタット9の本来の温度調節機能が損なわれるのを防止することができる。
【0075】
図27は、サーモスタット9の防水板10Aの変形例を示し、本変形例ではその防水板10Aが薄肉平板状のマイカ板で形成されるようになっている。すなわち、マイカ板は絶縁性に優れた雲母であり、そのマイカ板で形成された防水板10Aはサーモスタット9の全体を覆うに十分な面積をもって矩形状に形成されている。なお、本変形例の保持プレート81では、土手部81Bが上下2段に設けられており、上段の土手部81Bにサーモスタット9の取付部81Fが設けられる。
【0076】
そして、防水板10Aの取り付けは、サーモスタット9を覆った状態で防水板10Aの下端中央部を、下段の土手部81Fに取り付けたアングル状の係止片11に係止し、かつ、その防水板10Aの両側の上下中央部をガラスクロステープなどの耐熱性テープ12によって上段の土手部81Fに貼着されるようになっている。
【0077】
これにより、前記実施形態と同様に加湿ユニット7で飛び散った水が板状断熱材52を透過してきた場合にも、その水を防水板10Aで遮蔽できるためサーモスタット9に掛かるのを未然に防止できる。
【0078】
ところで、本発明の脱臭装置は前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 脱臭装置
2 筺体
21 空気吸込口
22 空気吹出口
25 空気通路
3 シロッコファン(送風部)
5 脱臭ユニット
51 触媒フィルタ
7 加湿ユニット
72 加湿トレイ
8 ヒータユニット
81 保持プレート
81F サーモスタットの取付部
82 シースヒータ(ヒータ本体)
82J 結線部
83 リード線
9 サーモスタット
10、10A 防水板
D 加湿ユニットの水
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱再生型の触媒フィルタを用いて空気を脱臭する脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内などの閉塞空間内の空気を脱臭して浄化するのに脱臭装置が用いられる。この脱臭装置は、空気吸込口から導入した室内の空気を装置内部に設けた脱臭フィルタに通過させ、この脱臭フィルタで臭気を吸着した後に空気吹出口から室内に放出して循環させることにより、室内の空気を脱臭する。
【0003】
特に、近年では、前記脱臭フィルタに加熱再生型の触媒フィルタを用い、この触媒フィルタをヒータで加熱することにより、吸着した臭気を分解して臭気の吸着機能を再生できるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の脱臭装置では、空気中の臭気を取り除くのが主な機能であり、たとえば、冬期などの乾燥時期に室内を加湿したい場合は、別途に加湿器を用意しなければならない。このため、加湿器を別途に設けることで経費も大幅に嵩んでしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明は、経費を抑制しつつ空気の脱臭と加湿との両者を満足すると共に、安全性を確保することができる脱臭装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脱臭装置は、空気吸込口および空気吹出口を有する空気通路が内部に形成された筺体と、前記空気通路内の空気を前記空気吸込口から前記空気吐出口に向かって流通させる送風部と、前記空気通路の空気流通経路に配置されて前記空気吸込口から導入した空気を脱臭する触媒フィルタと前記触媒フィルタを加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニットとを有する脱臭ユニットと、を備えた脱臭装置において、前記脱臭ユニットと対向するように、前記空気通路の空気流通経路に立設し、前記空気通路を流通する空気を加湿する加湿ユニットが設けられ、前記加湿ユニットは、水を貯える加湿トレイを有して前記筺体の下部に配置される一方、前記ヒータユニットは、リード線を介して電力供給されるヒータ本体を有し、前記ヒータ本体と前記リード線との結線部が前記筺体の上部に配置されたことを特徴とする。
【0008】
また、前記結線部は、前記筺体が前記加湿ユニットに対して前記ヒータユニットが配置された側に転倒した際に、前記加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に位置するように前記加湿ユニットよりも上方に配置されたことを特徴とする。
【0009】
さらに、その場合に、前記ヒータユニットは、前記ヒータ本体を片面に保持する保持プレートを有し、この保持プレートにはヒータ本体の保持面とは反対面にサーモスタットの取付部が設けられ、この取付部に取り付いたサーモスタットが防水板で覆われたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成により、本発明の脱臭装置によれば、送風部によって空気吸込口から空気通路内に導入された空気中の臭気は、脱臭ユニットの触媒フィルタによって吸着されて脱臭され、この脱臭された空気は空気吹出口から放出される。このとき、ヒータユニットで触媒フィルタを加熱することにより、吸着した臭気を分解して触媒フィルタを再生でき、持続した脱臭が可能となる。そして、脱臭ユニットで空気を脱臭する一方、空気通路の空気流通経路に加湿ユニットが設けられことにより、この加湿ユニットで空気通路内を流通する空気を加湿することができる。このように、空気吹出口から放出される空気は脱臭と加湿の両者を実現できるにもかかわらず、それら脱臭と加湿は1つの脱臭装置で達成できることから、別途に加湿器を用意する必要が無くなって経費を抑制することができる。
【0011】
また、このように構成された脱臭装置にあって、この脱臭装置を誤って大きく傾けてしまった場合などには、加湿ユニットの加湿トレイに蓄えられた水が周囲に飛び散ることがある。このような場合にあっても、加湿ユニットが筺体の下部に配置されるのに対して、ヒータユニットの結線部が筺体の上部に配置されたことにより、飛び散った水がその結線部に掛かるのを未然に防止できる。
【0012】
さらに、ヒータユニットの結線部が加湿ユニットよりも上方に配置されて、筺体が加湿ユニットに対してヒータユニットが配置された側に転倒した際にも、加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に前記結線部が位置されている。これにより、何らかの原因で脱臭装置が転倒した際にも、加湿ユニットの水がヒータユニットの結線部に掛かるのを未然に防止できる。
【0013】
さらにまた、このように構成された脱臭装置にあって、ヒータユニットは、異常な温度上昇を防止するサーモスタットを備えて、それが保持プレートに取り付けられており、そして、そのサーモスタットが防水板で覆われている。これにより、加湿ユニットから水が飛び散った場合にも、この飛び散った水がサーモスタットに掛かるのを未然に防止できるため、サーモスタットの本来の温度調節機能が損なわれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示す脱臭装置を正面斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す脱臭装置を背面斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す脱臭装置を中央部から縦断した側断面図である。
【図4】図4は、加湿ユニットを筺体から取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、加湿ユニットを筺体にセットしようとする状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す脱臭装置に備わる脱臭ユニットの側断面図である。
【図7】図7は、図6に示す脱臭ユニットの分解斜視図である。
【図8】図8は、図6の脱臭ユニットに備わるヒータユニットの正面図である。
【図9】図9は、図8中I−I線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図8に示すヒータユニットのヒータ本体の背面図である。
【図11】図11は、図8に示すヒータユニットの背面斜視図である。
【図12】図12は、図8に示すヒータユニットの遮熱板の1つを示す斜視図である。
【図13】図13は、図8に示すヒータユニットの分解斜視図である。
【図14】図14は、図6に示す脱臭ユニットの要部拡大断面図である。
【図15】図15は、図8に示すヒータユニットの正面斜視図である。
【図16】図16は、図8中II−II線に沿った要部拡大断面図である。
【図17】図17は、図8中III−III線に沿った要部拡大断面図である。
【図18】図18は、図8中IV−IV線に沿った要部拡大断面図である。
【図19】図19は、図8中V部に配置されるリード線の要部斜視図である。
【図20】図20は、図10に示すヒータ本体の側面図である。
【図21】図21は、図10中VI−VI線に沿った拡大断面図である。
【図22】図22は、図10中VII−VII線に沿った拡大断面図である。
【図23】図23は、図20中VIII部の拡大図である。
【図24】図24は、図8に示すヒータユニットにおけるリード線の配線部分の要部を示す拡大断面図である。
【図25】図25は、図6に示す脱臭ユニットからヒータ本体のリード線を取り出す部分を示す拡大断面図である。
【図26】図26は、脱臭装置が後方に転倒して加湿ユニットの水がこぼれる状態を示す断面図である。
【図27】図27は、ヒータユニットに備わるサーモスタットの防水構造の変形例を透視して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明するものとし、図1から図26は本発明にかかる脱臭装置1の一実施形態を示す。この脱臭装置1は、図1および図2に示すように、合成樹脂パネルで成形された直方体状の筺体2を有し、この筺体2の背面に設けられた空気吸込口21から導入した空気を、上面に設けられた空気吹出口22から放出する間に、その空気が脱臭されるようになっている。
【0016】
また、筺体2の上面には空気吹出口22の側方に位置して脱臭装置1を各種モードに操作する操作パネル23が設けられるとともに、空気吹出口22には開閉自在なルーバ24が取り付けられている。なお、図1および図2ではルーバ24が開かれた状態にある。
【0017】
筺体2の内部には、図3に示すように、空気吸込口21から導入した空気を空気吹出口22まで案内する空気通路25が形成されており、この空気通路25の空気流通経路中には、空気通路25内の空気を空気吸込口21から空気吐出口22に向かって流通させる送風部としてのシロッコファン3が設けられる。 もちろん、この場合の送風部はシロッコファン3が好ましいのであるが、それに限ることなく空気を流通する機能を有しておれば良く、たとえばラジアルファンや軸流ファンもしくはその他の送風ファンなどであってもよい。なお、図3ではルーバ24が閉じられた状態にある。
【0018】
空気通路25の空気流通経路の最上流部(筺体2の背面側)には、空気吸込口21の裏側に位置して集塵フィルタ4が配置されるとともに、この集塵フィルタ4とシロッコファン3との間に脱臭ユニット5が配置される。また、シロッコファン3の下流側にはオゾン生成ユニット6が配置される。
【0019】
そして、シロッコファン3の稼働にともなって空気吸込口21から空気通路25に導入された空気は、まず、集塵フィルタ4によってゴミや塵が除去された後に脱臭ユニット5に送られる。その後、脱臭ユニット5で脱臭された空気は、下流側のオゾン生成ユニット6で生成されるオゾンガスで清浄されて空気吹出口22から放出される。なお、オゾン生成ユニット6は脱臭装置1を構成する上で必ずしも必要とはしない。
【0020】
ここで、本実施形態では空気通路25の空気流通経路中、詳細にはその空気流通経路の脱臭ユニット5とシロッコファン3との間に、その空気通路25を流通する空気を加湿する加湿ユニット7が設けられる。
【0021】
加湿ユニット7は、図4に示すように、空気通路3の空気流通経路に配置される加湿フィルタ71と、この加湿フィルタ71に水分を供給する加湿トレイ72と、この加湿トレイ72に水を補充する水タンク73とを備えて構成され、これらが1つのユニットとして一体化されている。加湿フィルタ71は、前記加湿トレイ72の側壁から立設する一対の支持部721により回転自在に軸支される。加湿フィルタ71のフィルタの外周部には、水汲みポケット711が一定間隔毎に同じ方向に配置される。加湿運転中は、加湿フィルタ71を一定方向に一定速度で回転させることで、加湿トレイ72内の水を、水汲みポケット711で汲み上げ、頂点付近で水汲みポケット711内の水を加湿フィルタ71に順次掛けることで、加湿フィルタを常に湿潤状態とすることができる。
【0022】
このように一体化された加湿ユニット7は、同図に示すように、筺体2から取り外しができるようになっており、取外した加湿ユニット7は、図5に示すように、筺体2の側方のパネルを取り外した状態で筺体2の内方に差し込んでセットされる。そして、加湿ユニット7が筺体2にセットされた状態では、図3に示したように、加湿フィルタ71がシロッコファン3の直上流側に配置されることになる。
【0023】
この加湿フィルタ71を透湿膜として空気が通過することにより、この通過空気に水分が補給されて加湿される。加湿ユニット7のオン・オフを含めた制御は前述した操作パネル23によって行うことができる。
【0024】
このように、筺体2内に加湿ユニット7がセットされることにより、加湿機能を備えた脱臭装置1として構成される。
【0025】
また、加湿ユニット7が筺体2にセットされた状態では、その加湿ユニット7は筺体2内の下部に配置されることになり、本実施形態では加湿フィルタ71が、筺体2の下部に位置するシロッコファン3の吸入(負圧)側に対向した位置に配置される。そして、加湿トレイ72は、その加湿フィルタ71の下側に所定間隔を設けて設置されることになる。
【0026】
なお、加湿ユニット7はシロッコファン3の上流側に配置された場合を説明したが、これに限ることなく下流側に配置されていてもよい。また、加湿トレイ72の水を加湿フィルタ71に供給する手段としては、滴下浸透式、毛細管式などであってもよく、また、加湿フィルタ71および加湿トレイ72を備えた基本的な加湿構造以外にも、スチームファン式や超音波式または気化式など他の加湿構造であってもよい。
【0027】
脱臭ユニット5は、図6および図7に示すように、臭気を吸着して分解する触媒フィルタ51と、この触媒フィルタ51を加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニット8と、これら触媒フィルタ51およびヒータユニット8を挟むように両側に配置された通気性を有する一対の板状断熱材52と、これら触媒フィルタ51とヒータユニット8と板状断熱材52の外周を囲って配置される環状断熱材53と、板状断熱材52および環状断熱材53の通風方向両側を覆って配置される一対の遮熱板54と、によって構成される。この遮熱板54は、多数の透孔によって通気性が確保された金属製のパンチングプレートで形成されている。
【0028】
したがって、集塵フィルタ4を通過した空気が脱臭ユニット5に導入されると、その空気は図3に示す脱臭ユニット5を図中右側から左側へと通過される。なお、その脱臭ユニット5を拡大した図6は、図3の取付状態に対して左右逆に示されており、脱臭ユニット5に導入された空気は、図6中左側から右側へと通過されることになる。すなわち、空気は、図6中左側の遮熱板54、左側の板状断熱材52、触媒フィルタ51、ヒータユニット8、右側の板状断熱材52そして右側の遮熱板54の順に通過されることになる。
【0029】
ヒータユニット8は、図8に示すように、保持プレート81にヒータ本体としてのシースヒータ82を保持させて概ね構成される。シースヒータ82は、一般に知られるように、金属パイプの中央にスパイラル発熱体を配置し、この発熱体と金属パイプとの間の空間部に熱伝導の良い高絶縁粉末を充填して構成されたものである。
【0030】
保持プレート81は、遮熱板54と同様に多数の透孔によって通気性が確保された金属製のパンチングプレートで形成されている。そして、保持プレート81は、図7に示すように、周縁部がプレス加工などにより裏側方向(図中右側)に折曲された側壁81sを有して全体として矩形容器状に形成される。なお、本実施形態では、保持プレート81の触媒フィルタ51が配置される側を裏側、その反対側を表側として説明するものとする。
【0031】
保持プレート81は、側壁81sで囲まれた裏側(内方側)にシースヒータ82が保持されるようになっており、図6に示すように、その側壁81sで囲まれた内方に触媒フィルタ51が収納される。このとき、触媒フィルタ51は、保持プレート81の裏側面(片側面)に面対向して配置されている。
【0032】
そして、図7に示すように、周囲の4つの側壁81sには、保持プレート81の各辺に沿う方向のほぼ中央部にチャンネル状のブラケット55がそれぞれビス止めされる。このとき、各ブラケット55の両端折曲片55aは保持プレート81に対して外方に向かって配置され、図6に示すように、それら両端折曲片55aに遮熱板54それぞれがビス止めされるようになっている。したがって、このようにして組み付けられた脱臭ユニット5は、図12に示すように、全体として扁平な直方体状となって構成される。
【0033】
また、脱臭ユニット5は、両端の遮熱板54、板状断熱材52および保持プレート81が通気性を有することから、空気通路25を流通する空気が通過できるようになっている。
【0034】
触媒フィルタ51は、アルミ合金製で通気性を有するハニカムコアボードの表面に、酸化マンガンなどの金属酸化物やプラチナなどの貴金属の触媒を所定の厚さにコーティングして形成される。なお、吸着剤として活性炭や各種セラミックス粉末などをさらに添加することが好ましい。さらには、抗菌剤や防かび剤などが添加されることも好ましい。そして、触媒フィルタ51は、基本的に加熱により臭気の吸着機能が再生できる構造(加熱再生型)であればよく、その他の加熱再生構造を有する触媒フィルタであってもよい。
【0035】
次に、上述したヒータユニット8を詳細に説明すると、シースヒータ82は、図10に示すように、W字状に折曲形成されて、リード線83が接続される両端部82a、82bが上方に位置されるようになっている。なお、図10に示すシースヒータ82は、保持プレート81の裏側から見た状態で示されている。
【0036】
つまり、このようにW字状に折曲されたシースヒータ82は、Uターン状の折曲部82Tが下側に2箇所と上側に1箇所形成されることによりW字状となっている。このように折曲部82Tの数を上側よりも下側に多く設定することにより、シースヒータ82で発生する熱量のウエイトを下方に置き、熱が上方に集まろうとするヒータユニット8全体での熱の均等化が図られる。
【0037】
このとき、両端部82a、82bを上方に配置し、かつ、熱量のウエイトを下側に置くためには、シースヒータ82を必ずしもW字状に形成する必要はなく、折曲部82Tの全体の数を奇数として上側よりも下側の折曲部82Tの数が1つ多くなるように形成してやればよい。つまり、折曲部82Tの数をn(n:自然数)とすると、下側の折曲部82Tの数はn+1、上側の折曲部82Tの数はnとしてやればよい。もちろん、折曲部82Tの全体の数は、(n+1)+n=2n+1となって奇数となる。
【0038】
そして、両端部82a、82bに接続されたリード線83の少なくともその接続部分はシリコンチューブ84で覆われる。また、シースヒータ82の一方(図10中左側)の端部82aに接続されたリード線83には、温度ヒューズ86を接続したリード線87がコネクタC1を介して直列に接続される。この場合にあってもリード線87は少なくとも温度ヒューズ86を含めた部分がシリコンチューブ84で覆われる。本実施形態では上述したリード線83、87は耐熱性のあるジイゲル線が用いられることが好ましい。なお、シースヒータ82には、コネクタC1に接続される図示省略した配線から加熱用の電力が供給される。
【0039】
シリコンチューブ84は絶縁とシールとを兼ねて取り付けられるが、必ずしもシリコンチューブ84に限ることはなく、絶縁性、耐熱性および可撓性を備えたチューブであればよい。
【0040】
また、シースヒータ82の他方(図10中右側)の端部82bに接続したリード線83および温度ヒューズ86のリード線87の他端側は、コネクタC2、C3を介して図8に示すサーモスタット9に接続される。
【0041】
このように、シースヒータ82とリード線83との結線部82Jは、シースヒータ82がW字状に形成されたことにより、ヒータユニット8の上端部に配置されることになる。そして、特に本実施形態では、その結線部82Jが加湿ユニット7の加湿トレイ72から上方に十分に距離を隔てるようにして筺体2の上部に配置される。
【0042】
シースヒータ82を保持する保持プレート81は、図11および図13に示すように、触媒フィルタ51が配置される裏側に、シースヒータ82の形状に沿った溝部81Gが凹設されており、この溝部81Gにシースヒータ82を収納した状態でそのシースヒータ82が保持される。
【0043】
このとき、図14に示すように、溝部81Gの深さd1は、シースヒータ82の高さh1よりも所定量少なく形成されている。これにより、触媒フィルタ51を保持プレート81に配置した際に、シースヒータ82の一側が触媒フィルタ51に直接接触されるとともに、他側が溝部81Gの底面、つまり保持プレート81に直接接触されるようになっている。そして、保持プレート81と触媒フィルタ51との間には、溝部81Gの深さd1とシースヒータ82の高さh1との差分に相当する空隙部δが設けられるようになっている。
【0044】
このように保持プレート81と触媒フィルタ51との間に空隙部δが設けられることにより、触媒フィルタ51の通気性がより高められるようになっている。つまり、保持プレート81がパンチングプレートで形成されているとはいえ、このパンチングプレートの多孔間には閉塞面が存在し、上記空隙部δが設けられていない場合は、その閉塞面が触媒フィルタ51に直接接触して触媒フィルタ51の通気性が低下してしまう。
【0045】
また、このようにシースヒータ82の一側が触媒フィルタ51に直接接触され、かつ、シースヒータ82の他側が保持プレート81(溝部81Gの底面)に直接接触されることにより、触媒フィルタ51には、シースヒータ82から直接に伝熱されるとともに、保持プレート81からも空隙部δを介して輻射熱によって間接に伝熱されるようになっている。この場合、保持プレート81は放熱板として機能する。このとき、シースヒータ82の温度は140度〜150度程度まで上昇するため、板状断熱材52としては160度以上の耐熱性を有するものが使用される。
【0046】
つまり、保持プレート81は、これに接触したシースヒータ82の発熱が伝達されて加熱され、その保持プレート81に伝達された熱が触媒フィルタ51方向に放熱されてこの触媒フィルタ51を加熱する一方、板状断熱材52方向にも放熱されることになる。このとき、シースヒータ82の温度は140度〜150度程度まで上昇するため、板状断熱材52としては160度以上の耐熱性を有する必要がある。
【0047】
そして、保持プレート81に伝達された熱は両面から放熱されることになり、シースヒータ82の放熱効果が高められる。これにより、シースヒータ82の表面温度を効率的に利用することができ、断熱構造の簡素化、たとえば板状断熱材52の薄肉化などを達成することができる。
【0048】
また、シースヒータ82のヒータ本体は、図21に示すように、保持プレート81(溝部81G底面)に接触する側がプレス加工などにより加圧されて平坦面82cとなっており、この平坦面82cを介して保持プレート81への伝熱効率が高められるようになっている。
【0049】
保持プレート81に凹設された溝部81Gは、図14に示すように、外方(触媒フィルタ51側)に向かって広がる断面台形状に形成されているが、その溝部81Gに収納されたシースヒータ82は、図8に示すように、保持プレート81から切り起こした舌片81Pによって止着される。すなわち、溝部81Gにシースヒータ82を嵌着する際、舌片81Pは図11に示すように起立させた状態にある。そして、シースヒータ82を溝部81Gに収納した後に、図16に示すように、舌片81Pをシースヒータ82の外周に加締めて固定するようになっている。なお、舌片81Pは止着部位によってそれぞれの幅が適宜設定されている。
【0050】
また、図16はシースヒータ82の一般部分の止着構造を示す一方、図8に示すように、シリコンチューブ84で被覆されたリード線83(図10参照)の止着は図17のようになる。さらに、図8に示すように、リード線87の温度ヒューズ86が接続される部分は、図19に示すように断熱シート88を巻回して覆われるが、この断熱シート88で覆った部分のリード線87は図18に示すように止着される。
【0051】
このとき、シースヒータ82を止着する舌片81Pはシースヒータ82の外周に加締められることにより、その舌片81Pの厚み分だけ外方に突出し、触媒フィルタ51との接触性が悪化される。このため、舌片81Pが配置される箇所には、図20および図22に示すように、プレス加工などによってシースヒータ82に凹所82Sを設け、この凹所82に舌片81Pが配置されるようにして、この舌片81Pがシースヒータ82から突出されないようになっている。これにより、シースヒータ82の一側は全体的に触媒フィルタ51に接触されるようになる。
【0052】
凹所82Sは、図23に示すように、凹設深さsが少なくとも舌片81Pの厚み(保持プレート81の厚み)となり、本実施形態では0.6mm程度となっている。また、シースヒータ82の長さ方向に沿った凹所82Sの両側部は所定角度θをもって傾斜され、本実施形態ではθ≒45度となっている。さらに、凹所82Sの長さLは舌片81Pの幅に相当する長さとすればよいのであるが、プレス型を少なくする関係上、本実施形態ではそれぞれの舌片81Pのうち最大幅の舌片81Pに見合う15mmとなっている。
【0053】
ところで、断面台形状に形成された溝部81Gは、シースヒータ82の形状に沿ってW字状に形成されたが、このW字状の溝部81Gの長さ方向(図8中上下方向)のほぼ中央部は、溝部81Gとほぼ同様の断面形状をもって水平方向に凹設される土手部81Bによって溝部81Gの上下直線部分81Gsが連結されている。このとき、上下直線部分81Gは、本実施形態のように溝部81GがW字状となる場合は左右方向に4箇所存在することになる。
【0054】
このように土手部81Bが設けられることにより、保持プレート81と板状断熱材52との間の空間S(図14参照)は上下方向に不連続となる。これにより、ヒータユニット8の下部から上方に熱気が立ち昇るのを土手部81Bが妨げて、ヒータユニット8の上部の温度が高くなり過ぎるのを抑制できるようになっている。なお、土手部81Bは、1箇所に限ることなく上下方向に適宜間隔を設けて複数箇所設けることもできる。
【0055】
なお、上述した上下直線部分81Gsに対応する部分では、溝部81Gの外側面と板状断熱材52との間に図示省略した断熱材を介在させておくことにより、シースヒータ82の熱が溝部81から板状断熱材52側に放熱されるのが抑制されて、ヒータユニット8全体での熱の均等化を図ることができる。
【0056】
また、図8および図9に示すように、土手部81Bの左右方向の中央部分は他の部分よりも上下幅が広く形成され、その幅広に形成された土手部81Bの表側面(シースヒータ82の保持面とは反対面)がサーモスタット9の取付部81Fとされる。この取付部81Fには、図9に示すように、サーモスタット9の本体部91がほぼ密接して挿入される取付穴81Fhが形成される。また、サーモスタット9の本体部91の両側には、一対の取付ブラケット92が取付部81Fに沿う方向に突設されている。
【0057】
そして、サーモスタット9を取り付ける際は、保持プレート81の表側から本体部91を取付穴81Fhに挿入した後、取付ブラケット92を取付部81Fにビス93で固定するようになっている。
【0058】
サーモスタット9には、図8に示すように、取付ブラケット92の対向方向に対して直交する方向に一対の接続端子94a、94bが突設されており、それら接続端子94a、94bに、上述したシースヒータ82の端部82bに接続されたリード線83のコネクタC2、および温度ヒューズ86のリード線87の他端側のコネクタC3が接続される。このように、シースヒータ82には温度ヒューズ86およびサーモスタット9が直列に接続されたことにより、ヒータユニット8による異常な温度上昇をより確実に防止できるようになっている。
【0059】
そして、図8、図11および図15に示すように、シースヒータ82の両端部82a、82bは、保持プレート81の上部両側に形成された一対の開口部81hから表側に取り出される。なお、シースヒータ82の両端部82a、82bが保持プレート81の開口部81hから表側に取り出される際、図13に示すように、リード線83や温度ヒューズ86のリード線87も一緒に開口部81hから表側に取り出される。そして、このように開口部81hから表側に取り出されたリード線83、87は、図8に示すように、溝部81Gおよび土手部81Fの表側面に沿って配線される。
【0060】
このとき、リード線83、87が溝部81Gや土手部81Fの表側面に沿った部分は、そのリード線83、87がシリコンチューブ84で覆われるが、特に保持プレート81の表面温度が高温(たとえば180度)を越える恐れのある場合は、図24に示すように、シリコンチューブ84と保持プレート81との間に断熱シート89を介在させることが好ましい。この場合、断熱シート89の素材としてはポリイミドやメラミンが好適である。
【0061】
また、図8に示すように、シースヒータ82の一方(図中右側)のリード線83と、温度ヒューズ86のリード線87とがコネクタC1を介して接続される際、それら両リード線83、87は、図8に示すように、ヒータユニット8から突出されており、さらには図25に示すように、脱臭ユニット5から引き出されるようになっている。このため、図12に示すように、遮熱板54にはリード線83、87の取出口54hが形成されている。
【0062】
すなわち、図25に示すように、保持プレート81の開口部81hからシースヒータ82の端部82aが表側に取り出され、このシースヒータ82の端部82aに接続されたリード線83は、リード線87とともに保持プレート81の表側からこの保持プレート81の外周と環状断熱材53との間を通って取出口54hへと案内される。そして、両リード線83、87はその取出口54hから外方へと引き出されることになる。
【0063】
このとき、リード線83、87は、配線スペースや配線基板の配置方向などによって取出口54hから遮熱板54の面方向に沿うようにほぼ直角に引き出されることになるが、上述したように、シリコンチューブ84で覆われているため、リード線83、87が傷つくおそれはない。
【0064】
ここで、サーモスタット9は保持プレート81に設けた取付部81Fに取り付けられているが、そのサーモスタット9は板状遮熱材52によって覆われるとはいえ、この板状遮熱材52は通気性を有しているため水密構造とはなっていない。このため、脱臭ユニット5に水が掛かった場合には、水が板状遮熱材52を通過してサーモスタット9に達してしまう。
【0065】
そこで、本実施形態では、図8および図9に示すように、サーモスタット9が防水板10で覆われるようになっている。この防水板10は折曲可能な板材、たとえばマイカ板などが用いられる。マイカ板には耐熱性があるので、万一、サーモスタットに接続されたコネクタC2、C3付近が発火した場合でも、延焼を防止できるという効果も期待できる。その防止板10は、矩形状に形成されてそのほぼ半分を取付部10Fとし、残りのほぼ半分を覆い部10Cとしてある。図9に示すように、取付部10Fにはサーモスタット9の本体部91が挿通される開口部10hが形成されている。
【0066】
そして、防水板10を取り付ける際には、開口部10hをサーモスタット9の本体部91に嵌合しつつ、取付部10Fを取付ブラケット92の上に載せ、ビス93で共締めして固定する。このとき、覆い部10Cは伸展した状態で上方に配置されており、取付部10Fを固定した後にその覆い部10Cを、同図に示すように下方に折り返して、サーモスタット9の外側が所定間隔をもって覆われるようになっている。もちろん、覆い部10Cはサーモスタット9を十分に覆い隠すことができる面積が備わっている。
【0067】
ところで、本実施形態の脱臭装置1では、何らかの原因、たとえば、脱臭装置の移動時や、使用者か脱臭装置に誤ってぶつかってしまうなどによって、筺体2が加湿ユニット7に対してヒータユニット8が配置された側、つまり、本実施形態では図26に示すように、空気吸込口21の配置側となる後方側に転倒されてしまうことが考えられる。
【0068】
このように筺体2が後方に転倒された場合は、加湿ユニット7の加湿トレイ72や水汲みポケット711に溜められた水が、その加湿トレイ72や水汲みポケット711から直接に、または加湿フィルタ71を伝うなどしてこぼれてしまう。すると、そのこぼれた水Dが下方に位置するヒータユニット8に掛かってしまう虞がある。
【0069】
このとき、シースヒータ82とリード線83との結線部82Jが筺体2の上部に配置されることを前述したが、さらに本実施形態では、その結線部82Jが加湿ユニット7の水Dがこぼれる範囲A(図26参照)外に位置するように、ヒータユニット8の上部が加湿ユニット7の上端位置7T(図3中2点鎖線で示す)よりも上方に配置されるようになっている。
【0070】
すなわち、筺体2が転倒した際、水Dのこぼれる範囲Aの上限部分(図26中右方)は、筺体2が正立状態にある加湿フィルタ71の上端位置に関係してくるが、本実施形態では図13中2点鎖線で示すように、加湿フィルタ71の上端位置71Tが保持プレート81の上端から所定距離Lだけ下方に下がった位置に配置される。もちろん、この距離Lは加湿フィルタ71からこぼれた水Dが結線部82Jにかからない寸法として設定され、転倒実験などによって決定される。なお、図15では加湿フィルタ71がシロッコファン3の外側形状に沿って円形状とされている場合を示したが、加湿フィルタ71の形状はこれに限ることはない。
【0071】
以上の構成により本実施形態の脱臭装置1によれば、空気通路25の空気流通経路に加湿ユニット7を設けて、加湿機能を備えた脱臭装置1として構成されている。これにより、脱臭装置1の空気吹出口22から放出される空気は脱臭と加湿の両者を満足できるようになり、かつ、その脱臭と加湿は1つの脱臭装置1で達成できる。このため、脱臭装置1以外に加湿器をさらに用意する必要が無くなることから経費を抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態の脱臭装置1によれば、加湿ユニット7が筺体2の下部に配置されるのに対して、ヒータユニット8のシースヒータ82とリード線83との結線部82Jが筺体2の上部に配置されている。これにより、脱臭装置1を誤って大きく傾けてしまった場合などにあって、加湿トレイ72に蓄えられた水が周囲に飛び散っても、その飛び散った水が結線部82Jに掛かるのを未然に防止できる。
【0073】
さらに、本実施形態の脱臭装置1によれば、筺体2が後方に転倒した際に加湿ユニット7の水Dがこぼれる範囲外となるように、ヒータユニット8の結線部82Jが加湿ユニット7よりも上方に配置されている。これにより、何らかの原因で脱臭装置1が転倒した際にも、加湿ユニット7の水Dが結線部82Jに掛かるのを未然に防止できる。
【0074】
さらにまた、本実施形態の脱臭装置1によれば、ヒータユニット8は、シースヒータ82を片面に保持した保持プレート81の反対面にサーモスタット9が取り付けられており、このサーモスタット9が防水板10で覆われるようになっている。これにより、加湿ユニット7から水が飛び散った場合にも、この飛び散った水がサーモスタット9に掛かるのを未然に防止でき、サーモスタット9の本来の温度調節機能が損なわれるのを防止することができる。
【0075】
図27は、サーモスタット9の防水板10Aの変形例を示し、本変形例ではその防水板10Aが薄肉平板状のマイカ板で形成されるようになっている。すなわち、マイカ板は絶縁性に優れた雲母であり、そのマイカ板で形成された防水板10Aはサーモスタット9の全体を覆うに十分な面積をもって矩形状に形成されている。なお、本変形例の保持プレート81では、土手部81Bが上下2段に設けられており、上段の土手部81Bにサーモスタット9の取付部81Fが設けられる。
【0076】
そして、防水板10Aの取り付けは、サーモスタット9を覆った状態で防水板10Aの下端中央部を、下段の土手部81Fに取り付けたアングル状の係止片11に係止し、かつ、その防水板10Aの両側の上下中央部をガラスクロステープなどの耐熱性テープ12によって上段の土手部81Fに貼着されるようになっている。
【0077】
これにより、前記実施形態と同様に加湿ユニット7で飛び散った水が板状断熱材52を透過してきた場合にも、その水を防水板10Aで遮蔽できるためサーモスタット9に掛かるのを未然に防止できる。
【0078】
ところで、本発明の脱臭装置は前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 脱臭装置
2 筺体
21 空気吸込口
22 空気吹出口
25 空気通路
3 シロッコファン(送風部)
5 脱臭ユニット
51 触媒フィルタ
7 加湿ユニット
72 加湿トレイ
8 ヒータユニット
81 保持プレート
81F サーモスタットの取付部
82 シースヒータ(ヒータ本体)
82J 結線部
83 リード線
9 サーモスタット
10、10A 防水板
D 加湿ユニットの水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸込口および空気吹出口を有する空気通路が内部に形成された筺体と、
前記空気通路内の空気を前記空気吸込口から前記空気吐出口に向かって流通させる送風部と、
前記空気通路の空気流通経路に配置されて前記空気吸込口から導入した空気を脱臭する触媒フィルタと前記触媒フィルタを加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニットとを有する脱臭ユニットと、を備えた脱臭装置において、
前記脱臭ユニットと対向するように、前記空気通路の空気流通経路に立設し、前記空気通路を流通する空気を加湿する加湿ユニットが設けられ、
前記加湿ユニットは、水を貯える加湿トレイを有して前記筺体の下部に配置される一方、
前記ヒータユニットは、リード線を介して電力供給されるヒータ本体を有し、前記ヒータ本体と前記リード線との結線部が前記筺体の上部に配置されたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記結線部は、前記筺体が前記加湿ユニットに対して前記ヒータユニットが配置された側に転倒した際に、前記加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に位置するように前記加湿ユニットよりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記ヒータユニットは、前記ヒータ本体を片面に保持する保持プレートを有し、前記保持プレートには前記ヒータ本体の保持面とは反対面にサーモスタットの取付部が設けられ、前記取付部に取り付いたサーモスタットが防水板で覆われたことを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置。
【請求項1】
空気吸込口および空気吹出口を有する空気通路が内部に形成された筺体と、
前記空気通路内の空気を前記空気吸込口から前記空気吐出口に向かって流通させる送風部と、
前記空気通路の空気流通経路に配置されて前記空気吸込口から導入した空気を脱臭する触媒フィルタと前記触媒フィルタを加熱して吸着した臭気の分解を促進するヒータユニットとを有する脱臭ユニットと、を備えた脱臭装置において、
前記脱臭ユニットと対向するように、前記空気通路の空気流通経路に立設し、前記空気通路を流通する空気を加湿する加湿ユニットが設けられ、
前記加湿ユニットは、水を貯える加湿トレイを有して前記筺体の下部に配置される一方、
前記ヒータユニットは、リード線を介して電力供給されるヒータ本体を有し、前記ヒータ本体と前記リード線との結線部が前記筺体の上部に配置されたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
前記結線部は、前記筺体が前記加湿ユニットに対して前記ヒータユニットが配置された側に転倒した際に、前記加湿ユニットの水がこぼれる範囲外に位置するように前記加湿ユニットよりも上方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
前記ヒータユニットは、前記ヒータ本体を片面に保持する保持プレートを有し、前記保持プレートには前記ヒータ本体の保持面とは反対面にサーモスタットの取付部が設けられ、前記取付部に取り付いたサーモスタットが防水板で覆われたことを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−34887(P2012−34887A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178498(P2010−178498)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】
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