説明

脱色/脱染剤組成物及び毛髪の脱色/脱染方法

【課題】施術者が時計やタイマー等で時間管理しなくても、施術終了時期を容易に確認することのできる脱色/脱染剤組成物及び毛髪の脱色/脱染方法を提供すること。
【解決手段】(A)過硫酸塩、及び(B)ニトロ染料、酸性染料、及び分散染料から成る群から選ばれる1種以上を含有する脱色/脱染剤組成物第1剤と、過酸化水素を含有する脱色/脱染剤組成物第2剤とから構成される脱色/脱染剤組成物であって、前記第1剤と前記第2剤との混合物は、混合直後は前記(B)成分による着色を有し、混合から所定時間が経過すると、前記着色が消失することを特徴とする脱色/脱染剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を脱色又は脱染する脱色/脱染剤組成物及び毛髪の脱色/脱染方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、脱色/脱染剤組成物は、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤とから構成される。使用直前に、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤とが混合され、その混合物が毛髪へ塗布される。混合物の塗布後、予め設定された施術時間が経過すると、毛髪から混合物を洗い流す。結果として、施術時間に応じて、毛髪が脱色又は脱染される(特許文献1参照)。従来、上記の施術時間は、時計やタイマー等を用いて、施術者が確認していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−290857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、時計を使用して施術時間を確認する場合、時間の読み違えによる施術時間の間違いが起こることがある。また、タイマーを使用する場合、施術時間の入力ミスやタイマーのセットし忘れ等が起こることがある。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、施術者が時計やタイマー等で時間管理しなくても、施術終了時期を容易に確認することのできる脱色/脱染剤組成物及び毛髪の脱色/脱染方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1の発明は、
(A)過硫酸塩、及び(B)ニトロ染料、酸性染料、及び分散染料から成る群から選ばれる1種以上を含有する脱色/脱染剤組成物第1剤と、過酸化水素を含有する脱色/脱染剤組成物第2剤とから構成される脱色/脱染剤組成物であって、前記脱色/脱染剤組成物第1剤と前記脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物は、混合直後は前記(B)成分による着色を有し、混合から所定時間が経過すると、前記着色が消失することを特徴とする脱色/脱染剤組成物を要旨とする。
【0007】
本発明の脱色/脱染剤組成物において、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物を生成した直後は、(B)成分による着色を有する。混合物における(B)成分は、(A)成分と過酸化水素との作用により次第に分解され、混合から所定時間が経過すると、着色が消失する。
【0008】
施術者は、混合物における着色が消失する時期に基づき、適切な施術終了時期を知ることができる。例えば、混合物における着色が消失する時期が、施術終了時期と一致するようにしておけば、施術者は、混合物における着色が消失した時期に、施術を終了させればよい。
(2)請求項2の発明は、
前記混合物のS値は、前記混合直後において65以上であり、混合から前記所定時間経過時に50以下であることを特徴とする請求項1記載の脱色/脱染剤組成物を要旨とする。
【0009】
本発明では、混合物の混合直後におけるS値が65以上であるから、着色を容易に確認することができる。また、本発明では、混合物のS値が、混合から所定時間経過時に50以下であるから、着色の消失を容易に確認することができる。
(3)請求項3の発明は、
前記所定時間は、90分以内の範囲で設定された時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱色/脱染剤組成物を要旨とする。
【0010】
施術終了時期は、通常、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物を生成し、毛髪に塗布してから、90分以内である。本発明では、所定時間(混合物の着色が消失する時期)が、90分以内の範囲で設定された時間であるから、混合物の着色が消失する時期を、施術終了時期と一致させることができる。
(4)請求項4の発明は、
前記脱色/脱染剤組成物第1剤100重量部に対し、前記(A)成分の配合量が30〜80重量部であり、前記(B)成分の配合量が0.01〜0.3重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物を要旨とする。
【0011】
本発明の脱色/脱染剤組成物では、(A)、(B)成分の配合量が上記の範囲内であることにより、混合物の着色が消失する時期を、通常の施術終了時期(例えば、混合から90分以内である所定の時期)と一致させることができる。
(5)請求項5の発明は、
前記(B)成分1重量部に対する前記(A)成分の配合量が、200〜2333重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物を要旨とする。
【0012】
本発明の脱色/脱染剤組成物では、(A)、(B)成分の配合比が上記の範囲内であることにより、混合物の着色が消失する時期を、通常の施術終了時期(例えば、混合から90分以内である所定の時期)と一致させることができる。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物を用いることを特徴とする毛髪の脱色/脱染方法を要旨とする。
【0013】
本発明の脱色/脱染方法によれば、施術者は、混合物における着色が消失する時期に基づき、適切な施術終了時期を知ることができる。例えば、混合物における着色が消失する時期が、施術終了時期と一致するようにしておけば、施術者は、混合物における着色が消失した時期に、施術を終了させればよい。
【0014】
本発明の脱色/脱染方法は、例えば、以下のように行うことができる。脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤とを混合し、その混合物を毛髪へ塗布する。混合物の生成後、所定時間が経過すると、混合物の着色が消失する。施術者は、着色の消失時期に基づき、施術終了時期(毛髪から混合物を除去する時期)を決めることができる。例えば、混合物における着色が消失する時期が、施術終了時期と一致するようにしておけば、施術者は、混合物における着色が消失した時期に、施術を終了させればよい。施術者は、施術終了時期に、混合物を毛髪から除去する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を説明する。
本発明において、着色の消失は、例えば、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物のS値に基づき判断することができる。そのS値は、次のようにして算出することができる。まず、混合物を、容器に収容し、色評価用蛍光ランプ昼白色(型番:FHF32N-EDL)の光の下で、デジタルカメラにより撮影する。この撮影は、例えば、デジタルカメラとして、富士写真フィルム社製FinePix F410を使用し、接写モード、光学1倍の条件で行うことができる。次に、その画像データをAdobe Photoshop Creative Suite 2 Premium(Adobe Systems Incorporated社)を用いてデータ処理する。詳細には、混合物を収容した容器の中心における3cm×3cmの範囲で混合物の表面画像の一部を選択する。この選択部分について色調の平均化を行う。この平均化した選択部分の色調について色の三原則R(赤)、G(緑)、B(青)値を読み取る。このRGB値を次式(1)に代入し、S値を算出する。
【0016】
式(1) S=255×(max−min)/max
ここで、得られるR(赤)、G(緑)、B(青)値のうち、最大の数値をmax、最小値をminとする。尚、S値は0〜256の数値をとり、S値が256に近いほど色味が濃いことを表す。
【0017】
脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合直後における混合物のS値は、65以上であることが好ましい。S値が65以上であることにより、着色を容易に視認することができる。また、混合時から所定時間経過したときにおけるS値は、50以下であることが好ましい。S値が50以下であることにより、着色の消失を容易に視認することができる。
【0018】
混合時から、S値が所定値(例えば50)以下となるまでの時間(以下、消失時間とする)は、(A)成分と(B)成分との配合比率を変えることにより調整できる。すなわち、(A)成分の量に対する(B)成分の量を多くすれば、消失時間は長くなり、逆に、(A)成分の量に対する(B)成分の量を少なくすれば、消失時間は短くなる。また、消失時間は、(A)成分の種類、及び/または(B)成分の種類によっても調整できる。
【0019】
脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合割合は、質量比で、1:1〜1:10の範囲が好ましく、操作性の点から、1:2〜1:6の範囲がさらに好ましい。
【0020】
前記過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。脱色/脱染剤組成物第1剤に含まれる過硫酸塩の総量は、脱色/脱染剤組成物第1剤100重量部に対して、30〜80重量部が好ましく、40〜70重量部がさらに好ましく、40〜65重量部が特に好ましい。
【0021】
前記(B)成分は、脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物を一時的に着色する着色剤として機能する。前記(B)成分は、ニトロ染料、酸性染料(分子中に、例えばスルホン基、カルボキシル基等の酸性基を有する染料)、分散染料から成る群から選ばれる1種以上である。ニトロ染料としては、例えば、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、4−ニトロ−m−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。酸性染料として赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色22号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号等が挙げられる。
【0022】
分散染料としては、例えば、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Violet 1、Disperse Black 9、Disperse Orange 3、Disperse Blue 9、Disperse Blue 377、Disperse Blue 7、Disperse Violet 4等が挙げられる。
【0023】
本発明の脱色/脱染剤組成物は、脱色の作用を有する脱色剤組成物であってもよいし、脱染の作用を有する脱染剤組成物であってもよいし、脱色と脱染の両方の作用を有するものであってもよい。
【0024】
前記脱色/脱染剤組成物第1剤は、さらに、他の成分を、任意成分として含む構成であってもよい。他の成分の具体例としては、水溶性高分子化合物、油性成分、各種界面活性剤、アルカリ剤、分散剤、増粘剤、保湿剤、ポリペプタイド、pH調整剤、金属封鎖剤等が挙げられる。
【0025】
水溶性高分子化合物の具体例としては、キサンタンガム、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、ローカストビーンガム、バレイショデンプン、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸とその塩類、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。それらの中でも、特に、キサンタンガム、グアーガム、トラガントガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド又はヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテルが好ましい。水溶性高分子化合物の配合量は特に限定されないが、混合物において0.35〜5.0質量%の範囲が好ましく、0.7〜4.0質量%の範囲がさらに好ましく、1.0〜3.5質量%の範囲が特に好ましい。
【0026】
油性成分は、アルカリ剤、過硫酸塩等の粉末状の成分が飛散するのを防止するために配合される。油性成分の具体例としては、炭化水素、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。
【0027】
アルカリ剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。分散剤としては、例えば、ステアリン酸金属塩、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、デンプン、乳糖等が挙げられる。増粘剤としては、例えば、海藻類、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、グアーガム、キサンタンガム及び第4級窒素含有セルロースエーテル等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、高級アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキル燐酸エステル等が挙げられる。ポリペプタイドは毛髪を保護するために配合されるもので、例えば、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆蛋白、カゼイン等の蛋白質を酸、アルカリ及び酵素などにより加水分解した加水分解物や、更に、4級化したカチオン変性蛋白質も挙げられる。また、pH調整剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、燐酸第1アンモニウム、燐酸第2アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸等が挙げられる。金属封鎖剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。その他、固体状の任意成分として、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、酸化防止剤、防腐剤、賦形剤、香料等を適宜配合することができる。
【0028】
前記脱色/脱染剤組成物第2剤には、過酸化水素が含まれる。第2剤に含まれる過酸化水素の配合量は、脱色/脱染剤組成物第2剤100重量部に対し、1.0〜6.0重量部の範囲が好ましく、2.0〜6.0重量部の範囲がさらに好ましい。
【0029】
尚、この脱色/脱染剤組成物第2剤は、過酸化水素以外の成分を任意成分として含む構成であってもよい。過酸化水素以外の成分の具体例としては、糖類、アルキルグリセリルエーテル、油脂類、高級アルコール、ロウ類、炭化水素類、エステル類、シリコーン誘導体、非イオン性高分子、アニオン性高分子、両性高分子、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤、各種界面活性剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下に本発明の実施例を比較例、参考例と共に説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されない。
1.脱色/脱染剤組成物の調製
常法に従い、表1〜表3に示す組成を有する、実施例1〜19の脱色/脱染剤組成物を調製した。また、常法に従い、表4に示す組成を有する、比較例1〜6、参考例1の脱色/脱染剤組成物を調製した。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
表1〜表4において、各成分の配合量の単位は質量%である。実施例1〜19及び比較例1〜6、参考例1の脱色/脱染剤組成物は、それぞれ、脱色/脱染剤組成物第1剤及び脱色/脱染剤組成物第2剤から構成され、使用直前に脱色/脱染剤組成物第1剤と脱色/脱染剤組成物第2剤とを混合する。脱色/脱染剤組成物第1剤の剤型は粉末状であり、脱色/脱染剤組成物第2剤の剤型は液状である。
【0036】
2.脱色/脱染剤組成物の消色に関する評価
実施例1〜19及び比較例1〜6、参考例1のそれぞれについて、以下のようにして、消色に関する評価を行った。
【0037】
脱色/脱染剤組成物第1剤の10重量部と、脱色/脱染剤組成物第2剤の40重量部とを、カップもしくはトレイで混合し、混合物を調製した。その混合物のS値を、混合直後から、5分ごとに繰り返し測定した。測定は、最大で、混合直後から90分が経過するまで行った。
【0038】
S値の測定は、以下のようにして行った。混合物を、色評価用蛍光ランプ昼白色(型番:FHF32N-EDL)の光の下で、デジタルカメラにより撮影した。この撮影は、デジタルカメラとして、富士写真フィルム社製FinePix F410を使用し、接写モード、光学1倍の条件で行った。次に、その画像データをAdobe Photoshop Creative Suite 2 Premium(Adobe Systems Incorporated社)を用いてデータ処理した。詳細には、混合物を収容した容器の中心における3cm×3cmの範囲で混合物の表面画像の一部を選択し、この選択部分について色調の平均化を行った。この平均化した選択部分の色調について色の三原則R(赤)、G(緑)、B(青)値を読み取った。このRGB値を次式(1)に代入し、S値を算出した。
【0039】
式(1) S=255×(max−min)/max
ここで、得られるR(赤)、G(緑)、B(青)値のうち、最大の数値をmax、最小値をminとした。
【0040】
上記表1〜表4に、「混合時」におけるR、G、B、及びS値を示す。また、上記表1〜表4に、「終了時」におけるR、G、B、及びS値を示す。ここで、「混合時」とは、脱色/脱染剤組成物第1剤と、脱色/脱染剤組成物第2剤とを混合した直後である。また、「終了時」とは、「混合時」から90分以内にS値が50を下回った場合は、S値が、はじめて50を下回った時点である。また、「混合時」から90分経過した時点でも、S値が50以上であった場合は、「混合時」から90分経過した時点である。
【0041】
また、上記表1〜表4に、「混合時」から「終了時」までの時間を、「消色時間」として記載する。なお、混合から90分経過した時点でも、S値が50以上の場合は、「90(×)」と表記している。
【0042】
上記表1〜表4に示すように、実施例1〜19の脱色/脱染剤組成物では、混合時のS値が高いため、混合時には、着色を容易に確認することができる。また、実施例1〜19の脱色/脱染剤組成物では、消色時間が90分以内であるため、混合物の着色が消失する時期を、施術終了時期と一致させることができる。よって、施術者は、混合物における着色が消失する時期に基づき、施術終了時期を知ることができる。
【0043】
それに対し、比較例1〜6では、混合時のS値が過度に低く、着色が視認しにくかったり、混合から90分経過しても着色が消失しなかったりした。
3.脱色/脱染剤組成物の脱色/脱染に関する評価
実施例6の脱色/脱染剤組成物を用い、常法にて、白髪(ヤギ毛)の毛束を処理した。処理時間は塗布から35分間とした。上記の処理の前後において、毛束のL*a*b*表色系(CIE1976)における値を、ミノルタ社製の分光測色計CM−508d(標準光源D65使用)を用いて測定した。
【0044】
上記毛束の処理前と処理後のL*、a*、b*を表5に示す。ここで、L*は明度を表し、その数値が大きいほど、毛束の明度が高いということになる。a*は赤味を表し、数値が大きいほど、毛束の赤味が強いということになる。b*は黄味を表し、数値が大きいほど、毛束の黄味が強いということになる。
【0045】
【表5】

【0046】
表5に示すように、処理の前後で、毛束のa*、b*はほとんど変化していなかった(毛束の色味は変化していなかった)。すなわち、脱色/脱染剤組成物の(B)成分により、毛束が着色されてしまうようなことはなかった。
【0047】
また、表5に示すように、処理後における毛束のL*は、処理前におけるL*に比べて顕著に大きくなった。このことは、毛束が脱色されたことを示している。
なお、他の実施例の脱色/脱染剤組成物を用いても、略同様の結果が得られる。
【0048】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)過硫酸塩、及び(B)ニトロ染料、酸性染料、及び分散染料から成る群から選ばれる1種以上を含有する脱色/脱染剤組成物第1剤と、過酸化水素を含有する脱色/脱染剤組成物第2剤とから構成される脱色/脱染剤組成物であって、
前記脱色/脱染剤組成物第1剤と前記脱色/脱染剤組成物第2剤との混合物は、混合直後は前記(B)成分による着色を有し、混合から所定時間が経過すると、前記着色が消失することを特徴とする脱色/脱染剤組成物。
【請求項2】
前記混合物のS値は、前記混合直後において65以上であり、混合から前記所定時間経過時に50以下であることを特徴とする請求項1記載の脱色/脱染剤組成物。
【請求項3】
前記所定時間は、90分以内の範囲で設定された時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱色/脱染剤組成物。
【請求項4】
前記脱色/脱染剤組成物第1剤100重量部に対し、前記(A)成分の配合量が30〜80重量部であり、前記(B)成分の配合量が0.01〜0.3重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物。
【請求項5】
前記(B)成分1重量部に対する前記(A)成分の配合量が、200〜2333重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の脱色/脱染剤組成物を用いることを特徴とする毛髪の脱色/脱染方法。

【公開番号】特開2011−26266(P2011−26266A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175456(P2009−175456)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】