説明

脳波検出装置

【課題】簡単に装着が可能で安定に脳波を検出する脳波検出部を提供すること。
【解決手段】本発明は、頭部51の側面に配置され、頭部51の脳波を検出する複数の脳波検出部10と、複数の脳波検出部10が出力するそれぞれの脳波信号を取得し、脳波信号に基づき、複数の脳波検出部10から脳波検出部10aを選択する選択部と、選択された脳波検出部10aが出力する脳波信号に関係した情報を出力する出力部と、を具備する脳波検出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波検出装置に関し、特に、脳波を検出する脳波検出部を複数有する脳波検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳波検出器を用いた脳機能の診断装置や居眠り防止装置が開発されている。特許文献1から3には、自動車や二輪車等の車両運転者の脳波を検出し、運転者の居眠りを防止する居眠り防止装置が開示されている。特許文献4には、頭部全面に配置される複数の脳波信号検出手段を有し、接触状態が良好と判断された脳波信号検出手段の脳波信号を脳機能判定に用いる技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−201727号公報
【特許文献2】実開平5−30796号公報
【特許文献3】特開平5−262161号公報
【特許文献4】特開平2006−14833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1から3のような居眠り防止装置に用いられる脳波検出装置は、運転者の頭部に装着して用いられる。脳波検出装置を装着する際は、脳波検出装置が脳波を良好に検出できているかを確認する。脳波検出装置が脳波を良好に検出できない場合は、脳波検出装置を装着し直おす。このように、従来の脳波検出装置は、装着方法が煩雑である。特に、居眠り防止用途等の日常使用する脳波検出装置には、簡単に装着可能であること求められる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡単に装着が可能で安定に脳波を検出することが可能な脳波検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、頭部の側面に配置され、前記頭部の脳波を検出する複数の脳波検出部と、前記複数の脳波検出部が出力するそれぞれの脳波信号を取得し、前記脳波信号に基づき、前記複数の脳波検出部から脳波検出部を選択する選択部と、選択された脳波検出部が出力する脳波信号に関係した情報を出力する出力部と、を具備する脳波検出装置である。本発明によれば、選択部は、複数の脳波検出部から、脳波信号の安定な脳波検出部を選択することができる。よって、脳波検出装置の装着の仕方によらず、脳波信号を安定に出力することができる。
【0006】
上記構成において、前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって縦方向に配列される構成とすることができる。また、上記構成において、前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって横方向に配列される構成とすることができる。
【0007】
上記構成において、前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって縦方向及び横方向に十字に配列される構成とすることができる。この構成によれば、帽子の被り方によらず、安定な脳波を検出することができる。
【0008】
上記構成において、前記複数の脳波検出部が配置された帽子を具備する構成とすることができる。この構成によれば、脳波検出装置を簡単に装着することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、選択部は、複数の脳波検出部から、脳波信号の安定な脳波検出部を選択することができる。よって、脳波検出装置の装着の仕方によらず、脳波信号を安定に出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用い本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)は、実施例1に係る脳波検出装置のブロック図である。脳波検出装置は、脳波センサ12、フィルタ14、アンプ16、アナログデジタル変換回路(ADC)18、処理部20(選択部)、メモリ22、バッテリ24、RF(高周波)回路26及びアンテナ28からなる。脳波センサ12、フィルタ14、アンプ16及びADC18はそれぞれ複数(実施例1では5個)設けられている。脳波センサ12、フィルタ14及びアンプ16は脳波検出部10を構成している。脳波センサ12は、例えば運転者等の使用者の頭部に配置される。脳波センサ12が検出したアナログの脳波信号は、フィルタ14により不要な周波数の雑音が除去される。その後、アンプ16により増幅され、ADC18によりデジタルの脳波信号に変換される。処理部20には、変換されたデジタルの脳波信号が入力する。処理部20は例えばCPU(中央演算処理装置)からなり、複数の脳波検出部10が出力した脳波信号に基づき、使用する脳波検出部10を選択する。また、選択された脳波検出部10から出力された脳波信号をRF回路26に出力する。RF回路26は、脳波信号を高周波信号に変調する。アンテナ28は高周波信号を送信する。バッテリ24は処理部20等に電源を供給する。
【0012】
図1(b)は、実施例1に係る脳波検出装置の外観模式図である。ベース30及びメインプリント回路基板32はバンド34に配置され固定されている。例えばフレキシブル基板等からなる十字形ベース30に、十字状に5つの脳波検出部10が設けられている。メインプリント回路基板32には、ADC18、処理部20、メモリ22、バッテリ24、RF回路26及びアンテナ28が設けられている。
【0013】
図2はベース30及びメインプリント回路基板32を帽子40の内側に取り付けた図である。なお、ベース30及びメインプリント基板32は、帽子40を透視して図示している。ベース30及びメインプリント回路基板32はバンド34により帽子40の内側に取り付けられている。例えば使用者50が帽子40を被ると、複数の脳波検出部10は頭部51の側面に配置される。脳波検出部10内の脳波センサが使用者50の頭皮に接触する。これにより、脳波センサ10は使用者50の脳波を検出することができる。
【0014】
次に、脳波検出装置の動作について説明する。図3は、使用者50が帽子40を波ぶった後、処理部20が行う初期化処理の動作を示すフローチャートである。図3を参照に、処理部20は、複数(5つ)の脳波検出部10が出力するそれぞれの脳波信号を取得する(ステップS10)。処理部20は、脳波信号を一定時間取得したかを判断する(ステップS12)。Noの場合、ステップS10に戻る。Yesの場合、処理部20は、複数の脳波検出部10より出力された脳波信号を比較する(ステップS14)。処理部20は、複数の脳波検出部10が出力する脳波信号に基づき、使用する脳波検出部10を選択する(ステップS16)。例えば、処理部20は、複数の脳波検出部10の中で最も脳波信号の強い脳波検出部10を選択することができる。また、一定時間内で最も脳波信号が安定していた脳波検出部10を選択することもできる。処理部20は、選択した脳波検出部10に関する情報をメモリ22に記憶する(ステップS18)。以上により、初期化処理が完了する。
【0015】
図4は、初期化処理後、脳波検出装置を使用する場合の処理部20の動作を示すフローチャートである。図4を参照に、処理部20は、メモリ22から図3のステップS16において選択された脳波検出部10に関する情報を取得する(ステップS20)。処理部20は選択された脳波検出部10に関する情報に基づき、使用する脳波検出部10を選択する。選択された脳波検出部10から脳波信号を取得する(ステップS22)。処理部20は取得した脳波信号に関する情報(例えば、脳波信号そのものや脳波信号を加工した情報)をRF回路26を介し高周波信号に変調しアンテナ28より送信する(ステップS24)。
【0016】
アンテナ28から送信された信号は、例えば特許文献2のような居眠り検出装置に受信される。居眠り検出装置は、使用者の脳波のうちα波から使用者が居眠りしそうな状況かを判定する。居眠りしそうな場合、居眠り検出装置は使用者に警告を発する。このようにして、使用者の居眠りを防止する。
【0017】
図3のステップS10のように、処理部20(選択部)は複数の脳波検出部10が出力するそれぞれの脳波信号を取得する。ステップS14及び16のように、処理部20(選択部)は、脳波信号に基づき、複数の脳波検出部から使用する脳波検出部10を選択する。図4のステップS24のように、RF回路26及びアンテナ28(出力部)は、選択された脳波検出部10が出力する脳波信号に関係した情報を出力する。このような構成により、処理部20は、複数の脳波検出部10から、脳波信号の安定な脳波検出部10を選択することができる。よって、使用者50の脳波検出装置の装着の仕方によらず、使用者50の脳波信号を安定に出力することができる。
【0018】
次に、使用者50が帽子40を被った際の被り方が変わった場合における使用する脳波検出部10の選択について説明する。図2のように、使用者50が帽子40を普通に被った場合、脳波検出部10のうち、中心の脳波検出部10aが5個の脳波検出部10のうち最も安定な脳波信号を出力できる。この場合、処理部20は脳波検出部10aを使用する脳波検出部として選択する。
【0019】
図5(a)のように、使用者50が帽子40を深く被った場合、図2において脳波検出部10aが接触していた頭部の部分には、脳波検出部10bが接触する。このため、脳波検出部10bが最も安定な脳波信号を出力する。処理部20は脳波検出部10bを使用する脳波検出部として選択する。図5(b)のように、使用者50が帽子40を浅く被った場合、処理部20は脳波検出部10cを使用する脳波検出部として選択する。
【0020】
このように、使用者50によって、帽子40の被り方が深浅の違いがあった場合や、同じ使用者50が気分により帽子の被り方を変えた場合であっても、頭部の側面であって縦方向(頭部の頂点方向)に配列される脳波検出部10a,10bまたは10cのいずれかが脳波を検出することにより、安定に脳波を検出することができる。
【0021】
図6(a)から図6(c)は、上方から使用者50の頭部を視た図である。なお、ベース30は、帽子40を透視して図示している。図6(a)のように、使用者50が帽子40を真直ぐに被った場合、5個の脳波検出部10のうち、中心の脳波検出部10aが最も安定な脳波信号を出力できる。この場合、処理部20は脳波検出部10aを使用する脳波検出部として選択する。
【0022】
図6(b)のように、使用者50が帽子40を右に傾けて被った場合、図6(a)において脳波検出部10aが接触していた頭部の部分には、脳波検出部10dが接触する。このため、脳波検出部10dが最も安定な脳波信号を出力する。処理部20は脳波検出部10dを使用する脳波検出部として選択する。図6(c)のように、使用者50が帽子40を左に傾けて被った場合、処理部20は脳波検出部10eを使用する脳波検出部として選択する。
【0023】
このように、帽子の被り方を変えた場合であっても、頭部の側面であって横方向(頭部の頂点方向に交差する方向)に配列される脳波検出部10a,10dまたは10eのいずれかが脳波を検出することにより、安定に脳波を検出することができる。
【0024】
また、脳波検出器10が、頭部の側面であって縦方向及び横方向に十字に配列されている。これにより、帽子40の被り方が深浅や左右に変化した場合も安定に脳波を検出することができる。なお、実施例1では、縦方向、横方向に脳波検知器10が3個ずつ配列した場合を例に説明したが、複数個配列していればよい。
【0025】
特許文献4のように、診断用の脳波検出システムの場合、脳波検出部は頭部全体にわたり配置されている。しかしながら、居眠り検出装置のように、脳波を簡易に取得すれば足りる場合、頭部の一部の脳波を検出すればよい。そこで、脳波を検出しやすい頭部の側面に複数の脳波検出器10を配置することにより、帽子40の被り方によらず安定して脳波を検出することができる。なお、脳波検出部10を配置する頭部の側面は、図6(a)の右面、左面、前面及び後面のいずれか1側面とすることができる。特に、頭髪のない頭部の右面、左面及び前面のいずれか1側面に配置することが好ましい。さらに、脳波検出部10を頭部の前面に配置すると、使用者の視野が狭くなるため、脳波検出部10は頭部の右面または左面に配置することが好ましい。
【0026】
このように、脳波検出部10を頭部の右面または左面に配置し、縦方向及び横方向に十字に配列させることにより、少ない個数の脳波検出部10を用い、帽子40の被り方によらず、脳波を安定して検出することができる。
【0027】
使用者50にとっては、脳波検出装置10を装着することは面倒である。しかしながら、帽子40に複数の脳波検出部10を配置させることにより、使用者50は、脳波検出装置10の装着を意識することなく、帽子40を被る要領で脳波検出装置10を装着することができる。
【0028】
また、脳波検出部10を配送業者の帽子等の車両運転者用帽子に配置することにより、使用者50は、脳波検出装置10の装着を意識することなく、脳波検出装置10を装着することができる。
【0029】
なお、実施例1では、送信された脳波信号を車両の居眠り防止装置に用いる例を説明したが、事務所用に用いることもできる。また、脳波信号を居眠りではなく疲れ検知等に用いることもできる。さらに、脳波信号を出力する出力部として、RF回路26及びアンテナ28を例に説明したが、例えば有線により脳波信号を出力してもよい。
【0030】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1(a)は実施例1に係る脳波検出装置のブロック図であり、図1(b)は外観模式図である。
【図2】図2は頭部に脳波検出装置を装着した外観模式図である。
【図3】図3は処理部の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図4】図4は処理部の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、帽子を深く被った場合、浅く被った場合を示す外観模式図である。
【図6】図6(a)から図6(c)は帽子を左右に傾けて被った場合を示す外観模式図である。
【符号の説明】
【0032】
10 脳波検出部
20 処理部
30 ベース
32 プリント回路基板
40 帽子
50 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部の側面に配置され、前記頭部の脳波を検出する複数の脳波検出部と、
前記複数の脳波検出部が出力するそれぞれの脳波信号を取得し、前記脳波信号に基づき、前記複数の脳波検出部から脳波検出部を選択する選択部と、
選択された脳波検出部が出力する脳波信号に関係した情報を出力する出力部と、
を具備する脳波検出装置。
【請求項2】
前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって縦方向に配列されることを特徴とする請求項1記載の脳波検出装置。
【請求項3】
前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって横方向に配列されることを特徴とする請求項1記載の脳波検出装置。
【請求項4】
前記複数の脳波検出部は前記頭部の側面であって縦方向及び横方向に十字に配列されることを特徴とする請求項1記載の脳波検出装置。
【請求項5】
前記複数の脳波検出部が配置された帽子を具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の脳波検出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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