説明

腎機能の分析方法及び装置

哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法は、レポーター及びマーカー蛍光分子源を含む。当該蛍光分子は、哺乳動物対象の血流へと導入される。ある期間に渡って、当該レポーター及びマーカー蛍光分子の強度の測定が行われる。当該対象の腎臓の健康状態を決定するために、比率が計算される。本方法は、レポーター分子の蛍光に対する、マーカー分子の蛍光に基づいて、血漿分布容積を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臓器機能の分析と併せて使用される、医学的方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、哺乳動物の腎臓の機能を分析及び定量化するために使用される装置及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
急性腎損傷(AKI)は、全入院患者の5〜10%に影響を及ぼす、深刻かつ致死性の疾患過程である。これらの場合における死亡率は、通常50%を超える。AKIは単独で、後の放射線造影剤の投与及び心血管手術を含む、幾つかの臨床状況における死亡率の増大と関連する。それは通常、特に重症患者において、病因学的に多因子性である。個々の因子の相対的重要性は、基礎病理及び患者の併存疾患に依存する。
【0003】
近年のデータは、AKIの全症例数における大きな増加を示している。1992〜2001年の、Medicareの5%サンプルにおける患者の請求を利用して、Xue他(J Am Soc Nephrol 17:1135−1142 2006)は、この期間の間、1992年における1000人の退院者あたり23.6症例から、2001年における1000人の患者あたり63.3症例と、AKIの発症が1年あたり約11.6%増加したことを示した。
【0004】
近年の研究において、Hsu他(Hsu, et al.,”Community−Based Incidence of Acute Renal Failure,”Kidney Int.2007;72(2):208−12.)は、大きな統合された健康管理送達系のメンバーにおける、非透析及び透析性AKIの症例を定量化した。1996〜2003年において、透析を必要としないAKIの症例は、100,000人あたり、323人から522人に増加し、一方で透析を必要とするAKIの症例は20人から30人に増加した。さらに病院における死亡率は、非AKIの退院者よりも、AKI患者において非常に高かった。AKIではない患者は病院における死亡率の4.6%であったが、第一次AKI及び第二次AKIの者においてはそれぞれ15.2%、及び32.6%であった。入院後90日以内の死亡は、AKIではない退院者においては13.1%であり、第一次AKI及び第二次AKIの者においてはそれぞれ34.5%、及び48.6%であった。この大規模試験において、末期腎疾患の確率は、原則的診断における急性腎損傷の患者中18.8%であり、第二次診断コードにおける急性腎損傷の患者中10.1%であった。最終的に、回収されたデータを使用して、米国における末期腎疾患(ESRD)の少なくとも22.4%が、病院で発症したAKIを有するMedicare受給者由来であると計算された。
【0005】
これらのデータは、NIDDKの疫学のディレクターであるDr.Paul Eggersによってなされた見解と一致しており、そして当該見解は、第一次、又は第二次診断としてAKIを患う入院患者の、及び、病院における診断としてAKIを患う、ESRDへと進行する慢性腎疾患(CKD)の患者におけるパーセンテージ及び絶対数の急速な増加を示している。
【0006】
別の試験において(Uchino,et al.,“An Assessment of the RIFLE Criteria for Acute Renal Failure in Hospitalized Patients,”Crit.Care Med.2006;34(7):1913−7.)、20,126人の入院患者の発症及び転帰は、単一施設後ろ向き(retrospectve)試験において決定された。これらの患者の中で、14.7%はICUへの入院許可を必要とし、18%はAKIを患い、そして死亡率は腎損傷の程度と相関した。最終的に、多施設後ろ向きICU試験において、AKIは67%の入院患者に発症し、そして全体を通じた予後はAKIの重症度と相関した。
【0007】
明らかに、入院患者におけるAKIの罹患率は大変な率で増加している。損傷の重症度は、病院における転帰を決定し、そしてAKIは慢性腎疾患の発症、及びCKDからESRDへの進行を加速する。
【0008】
糸球体ろ過率、GFRは、AKIの程度及びCKDの進行を決定するための最も適当な計量であると考えられる。急性又は慢性のいずれかである腎損傷の次に起こるGFRの減少は、血中尿素窒素(BUN)及び血清クレアチニンレベルの増加に付随して起こる。現在、血清クレアチニン又は血清クレアチニンに基づいた方程式のいずれかが、患者の測定GFR(eGFR)を決定するために使用される。筋肉量(クレアチニンは、筋肉の重要な部分であるクレアチンの分解産物である)及びGFRの両方が患者の血清クレアチニンレベルを決定するために、残念ながらこれら2つの手法は、全範囲のGFRにおいて信頼性はなく、そしていずれもAKIにおいて使用され得ない。
【0009】
GFRの指標としての血清クレアチニンの使用は、非常に患者特異的である。例えば、1.0mg/dlの血清クレアチニンは、正常な筋肉量を持つ70kg(154 lb)の男性において、正常なGFRを示す(100ml/分)。しかし、適度に筋肉疲労した50kg(110 lb)の男性において、たとえそのGFRが50ml/分であっても1.0mg/dlの血清クレアチニンが観察される。大規模群試験から導かれた式は、患者の体重、年齢、性別、及び人種における要因へと発展された。しかし、これらの式は不正確であり、そして通常、20ml/分未満又は60ml/分超のGFRの測定時において判断を誤らせる。したがってこれが、AKIの設定において使用され得ない別の理由である。
【0010】
血清クレアチニンにおける少量の全体的な平衡の上昇によって決定される、臨床的に重要ではないと以前まで考えられてきた、腎機能における非常に小さい変化でさえ、致死率の増加を予測できることが現時点で知られていることを、近年のデータは示している。得られた最大血清クレアチン、及び透析の必要性に基づいて、損傷の明白なレベルへと患者を層別化するために、幾つかの近年の刊行物は、リスク、損傷、障害、脂肪およびESR基準(Risk,Injury,Failure,Loss and ESRD criteria)(通常、“RIFLE”基準と呼ばれる)を利用している。死亡率、病院への滞在期間(LOS)、ICU滞在のLOS、病院における費用、及び腎代替療法の必要性に関して回収されたデータは、この層別化系において達成される最も高いステージと関連した。これらのデータは、AKIにおける腎損傷の重症度又は程度が患者の転帰の重要な予後指標であることを示す。さらに、器官機能における早期の変化は、重症敗血症における生存を予測する。
【0011】
GFRの指標としての血清クレアチニンの決定はまた、正確な変換のために必要とされる平衡値に達するためにかかる時間のために、非常に限定的であり得る。急性腎不全の患者は、GFRの突然の減少を発現するが、しかしこの減少の大きさは、血清クレアチニンの上昇によって決定される場合、平衡化の数日後においてのみ明らかとなる。例えば、患者がAKIに続いて95%のGFRを失った場合、GFRは100ml/分から5ml/分へと速やかに減少するが、血清クレアチニンは、1mg/dl/日上昇するのみである。血清クレアチニンにおけるこのゆっくりとした上昇は、イベント後12〜24時間における損傷を診断する医師の能力を制限し、そして同様に、数日間における損傷の程度を決定することは不可能である。これは、AKIの治験を行う能力を著しく制限している。GFR中の減少の程度、又は血清クレアチニン中の最終的な水平状態は、罹患率、脂肪率、及び回復能と相関するため、急性腎損傷の患者においてGFRを正確に決定する能力は、早期の診断、層別化、及び適時治療のための大きな臨床的意義を有する。
【0012】
AKIの12〜24時間後における初期療法は、任意の潜在的治療剤の成功率を制限し得ることが広く知られている。したがって、腎損傷のバイオマーカーの探索は強化され、そして現在多くの専門家によって、AKIの分野において最も高い優先度を有すると考えられている。潜在的分子は、NGAL、KIM−1、IL−18及び幾つかの他のものを含む。任意の一つのバイオマーカー、又は恐らくバイオマーカーの組み合わせは、損傷の構造マーカーとして役立つ。しかし、これらの構造バイオマーカーを利用することを探究する改善は重要ではなく、なぜならばそれらは個人に適用し得ない個体群の結果を使用して開発されたからである。
【0013】
患者のGFRを正確に決定するために、24時間の尿の回収及び侵襲的技術が存在するが、これらは煩わしいものであり、エラーを起こしやすく、高価であり、時間がかかり、又は放射線若しくは造影剤を患者に曝露する。同様に、血清クレアチニンが上昇しているとき、急性腎損傷の患者においてGFRを確実に決定し得る迅速かつ正確な測定技術が存在しない。
【0014】
肝臓は、血液からの代謝産物及び毒素の除去、胆汁の製造、脂質代謝、薬物動態、多くの薬剤の代謝、種々のビタミンの貯蔵、及びタンパク質合成を含む、幾つかの活性に関与する。残念ながら肝臓は、急性又は慢性的に疾患を患い、そして種々の生体機能を行うその能力が制限され得る。集中治療室において、肝臓の最も重要な機能の一つが、不活性状態から活性状態へ、又はその逆へのいずれかへと薬剤を代謝することである。結果として肝臓の健康は、どの程度の量及びどれくらいの間、薬剤が患者へ導入されるべきかを決定するために重要であり得る。肝臓の機能又は機能不全を定量化及び/又は検出する現行手法は、一般的に漠然としており且つ定性的であり、そして黄疸、黒い尿、悪心、食欲不振、異常な体重減少又は体重増加、嘔吐、下痢、淡色の大便、全身性掻痒、低血糖などを含み得る。残念ながら、肝臓の健康を検出するためのこれらのツールは通常、他の主要な健康問題を検出するために使用されるサインと同一であり、そして複数罹患している患者を診断及び治療するときにおいて通常は有用ではない。結果的に多くの肝疾患は、代謝機能及び腹水が大抵決定的なサインである、深刻な状態にそれらが達するまで認識されないままでいる。結果として、定性的というよりもむしろ定量的な肝機能の診断が必要とされる。
【発明の概要】
【0015】
上で議論された問題及び他の問題を解決するために、並びに従前の診断技術によって提供されない利点及び態様を提供するために、本発明は提供される。本発明の特徴及び利点についての全ての議論は、添付の図面を参照としながら、以下の詳細な説明において言及される。
【0016】
発明の概要
本発明の第一の態様は、器官機能を分析するための、哺乳動物対象の血管系への導入のための組成物を対象とする。当該組成物は、レポーター分子及びマーカー分子を含む。当該レポーター分子及びマーカー分子は、共通の分子特性を共有する。当該レポーター分子は、レポーター分子の第一品質分子特性を有し、そして当該マーカー分子は、マーカー分子の第二品質分子特性を有し、そしてそれはレポーター分子の分子特性第一品質と区別可能である。分子特性は、分子量、分子の大きさ、分子の形、分子の電荷、化合物及び無線周波数から成る群から選択され得る。
【0017】
当該分子特性が分子量であるとき、当該レポーター分子は第一の分子量を有し、そして当該マーカー分子は第二の分子量を有し得る。当該第一の分子量は、当該第二の分子量未満であり得、そして実質的により小さくてもよい。当該第一の分子量は、当該レポーター分子が、適切に機能する哺乳動物の腎臓によってろ過される大きさであり得る。当該第二の分子量は、哺乳動物の腎臓によるマーカー分子のろ過に抵抗するために十分に大きいものであり得る。場合により、当該第一の分子量は、当該レポーター分子が適切に機能する哺乳動物の腎臓によって速やかにろ過される大きさであり得、一方で同時に、第二の分子量は、哺乳動物の腎臓によるマーカー分子のろ過に抵抗するために十分に大きい。当該第一の分子量は、1kD〜500kD、3kD〜150kD、10kD〜150kD、10kD〜70kD、及び20kD〜70kDから成る範囲の群から選択され得る。或いは、当該第一の分子量は、500kD未満、1kD〜500kD、3kD〜150kD、3kD〜70kD、3kD〜20kD、又は約5kDであり得る。
【0018】
当該レポーター分子は第一の蛍光特性を有し得、そして当該マーカー分子は第二の蛍光特性を有し得る。これらの蛍光特性は等しくなくてもよく、例えば異なる波長を有する。当該第一の蛍光特性は、第一の蛍光励起波長及び第一の蛍光発光波長であり得る。当該第二の蛍光特性は、第二の蛍光励起波長及び第二の蛍光発光波長であり得る。当該第一及び第二の蛍光励起波長、並びに当該第一及び第二の蛍光発光波長は、異なるか、等しくないか、又は区別可能であり得る。
【0019】
当該レポーター及びマーカー分子は、デキストランであり得る。当該レポーター分子は、スルホローダミン101デキストランであり得る。当該マーカー分子は、哺乳動物の腎臓によってろ過されない、より大きな未確定(undefined)デキストランであり得る。当該レポーター分子及びマーカー分子は、フルオレセインと結合したデキストランであり得る。さらに、当該レポーター分子フルオレセインは、当該マーカー分子の蛍光励起波長と等しくない蛍光励起波長を有し得る。
【0020】
或いは、当該レポーター分子及びマーカー分子は、異なるフルオロフォアと結合したデキストランであり得る。さらに、当該蛍光性レポーター分子は、当該マーカー分子の蛍光励起波長と等しくない蛍光励起波長を有し得る。
【0021】
当該レポーター分子は、フルオレセインイソチオシアネート−イヌリンであり得る。
【0022】
当該マーカー分子は、約0の糸球体ふるい係数を有し得る。
【0023】
当該マーカー分子は、哺乳動物の腎臓によって分泌され、再吸収され、又はろ過され得ない。
【0024】
当該マーカー分子は糸球体ろ過障壁を通過し得ず、そして当該レポーター分子は糸球体ろ過障壁を通過し得る。
【0025】
本発明の第二の態様は、哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置を対象とする。当該装置は、蛍光分子源、当該蛍光分子の血管系への導入手段、当該血管系内の当該蛍光分子の測定手段、及び当該血管系内の当該測定された蛍光分子の報告手段を含む。当該導入手段はカテーテルを含み得る。当該測定手段は、検出器と通信している光ファイバーを含み得る。当該報告手段は、当該血管系内で測定された2つ以上の蛍光分子間の強度比を決定することを含み得る。当該蛍光分子源が複数の蛍光性結合分子を含み得る。
【0026】
本発明の第三の態様は、哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置を対象とする。当該装置は、第一の蛍光分子へ第一の励起波長を提供する光学的手段、及び当該第一の励起波長に応答する、当該第一の蛍光分子からの発光の測定手段を含み得る。
【0027】
当該光学手段は、第二の蛍光分子へ第二の励起波長を放射し得、そして当該装置は、当該第二の励起波長に応答する、当該第二の蛍光分子からの発光の測定手段をさらに含み得る。
【0028】
本発明の第三の態様の装置は、当該第一の蛍光分子からの発光と、当該第二の蛍光分子からの発光との比の計算手段をさらに含み得る。当該装置は、当該比の報告手段をさらに含み得る。
【0029】
当該発明の第四の態様は、血管系内の、複数の蛍光性複合化糸球体ろ過率分子(fluorescently conjugated glomerular filtration rate molecules)の相対的な量を測定するための光学装置を対象とする。当該装置は、第一の蛍光励起波長源、当該蛍光励起波長が通過する送達光学経路、当該蛍光励起波長が送達される励起部位、放出された蛍光シグナルが通過する、復路の光学経路、及び当該放出された蛍光シグナルの強度の検出手段を含む。この装置は、第二の蛍光励起波長源をさらに含み得る。
【0030】
当該検出手段は、光電子増倍管、光検出器、固体検出器、及び電荷結合素子から成る群から選択され得る。
【0031】
当該励起部位は光ファイバーケーブルを含み得る。
【0032】
本発明の第五の態様は、血管系内の、複数の蛍光性糸球体ろ過率分子の相対的な量を測定するための光学装置を対象とする。当該光学装置は、第一の蛍光励起波長源、第二の蛍光励起波長源、当該第一及び第二の蛍光励起波長が通過する送達光学経路、当該第一及び第二の蛍光励起波長が送達される励起部位、第一の放出された蛍光シグナル及び第二の放出された蛍光シグナルが、当該励起部位から通過する、復路の光学経路、当該第一の放出された蛍光シグナルの強度の第一検出手段;並びに当該第二の放出された蛍光シグナルの強度の第二検出手段を含む。
【0033】
本発明の第五の態様の光学装置は、当該第一又は第二の蛍光励起波長の少なくとも一つを、当該励起部位へと焦点を合わせるための第一のレンズをさらに含み得る。第二のレンズは、当該第一又は第二の放出された蛍光シグナルの少なくとも一方を、当該第一又は第二検出手段の一方に焦点を合わせることができる。第三のレンズは、当該第一又は第二の放出された蛍光シグナルの他方を、当該第一又は第二の検出手段の他方へと焦点を合わせることができる。第一の集束レンズは、当該第一の蛍光励起波長と関連する収差を最小化するために提供され得る。第二の集束レンズは、当該第二の蛍光励起波長と関連する収差を最小化するために提供され得る。第一のダイクロイックフィルターは、当該送達光学経路内に置かれ得る。第二のダイクロイックフィルターは、当該復路の光学経路内に置かれ得る。第三のダイクロイックフィルターは、当該相対光学経路と当該復路の光学経路との間に置かれ得る。
【0034】
本発明の第六の態様は、腎臓の作動状態の分析における使用のためのカテーテルを対象とする。当該カテーテルは、遠位末端の反対に近接端を有し、且つ導管を規定するチューブ状主要部材、及び当該遠位末端から伸長可能な光ファイバーケーブルを含む。当該カテーテルは、当該チューブ状部材と一端で接続され、且つ血管系へと挿入可能な反対の端を有するイントロデューサー、及び/又は挿入具をさらに含み得る。一本の当該光ファイバーケーブルは、当該挿入具内に流体封入(fluid sealed)され得る。当該挿入具は、第二のチューブ状部材内にスライド可能である第一のチューブ状部材を含み得る。当該光ファイバーケーブルが、当該第一のチューブ状部材の一部に固定されていてもよい。当該挿入具は、チューブ状主要部材の一部へと結合され得、ここで当該当該光ファイバーケーブルは当該挿入具を貫通し、そして当該チューブ状主要部材へと入る。当該チューブ状主要部材は、コネクターによって当該イントロデューサーへと接続され得る。当該第一及び第二のチューブ状部材間の相対的運動時において、当該光ファイバーケーブルは、当該イントロデューサーから伸長可能である。
【0035】
当該第一及び第二のチューブ状部材は、流体封入(fluidly sealed)され得る。
【0036】
当該光ファイバーケーブルは、血管系へ挿入可能である、遠位末端における屈曲を含み得る。
【0037】
本発明の第七の態様は、腎臓の作動状態の分析における使用のためのカテーテルを対象とする。当該カテーテルは、光ファイバーケーブル;第二のチューブ状部材に密閉され、且つそれと共に相対的運動が可能である、第一のチューブ状部材を有する、一本の光ファイバーケーブルについての光ファイバー挿入具であって、ここで光ファイバーケーブルは、当該第一のチューブ状部材による運動が当該光ファイバーケーブルへの運動に移行するように、当該第一のチューブ状部材の一部に取り付けられている、前記光ファイバー挿入具;並びに前記挿入具に密閉されたチューブ状本体であって、当該光ファイバーケーブルが当該チューブ状本体中の導管を通過し、且つ当該第一及び第二チューブ状部材間の相対的運動時においてそこから伸長可能である、前記チューブ状本体を含む。
【0038】
当該カテーテルは、当該チューブ状本体へと接続されるイントロデューサーをさらに含み得る。当該イントロデューサーは血管系内に挿入可能であり、そして当該光ファイバーケーブルはそこから伸長可能である。
【0039】
当該光ファイバーケーブルは一端で屈曲を有し得る。当該一端は血管内に挿入可能である。
【0040】
本発明の第八の態様は、哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法を対象とする。当該方法は以下のステップ:複数の第一の蛍光分子を提供し;複数の第二の蛍光分子を提供し;当該第一の蛍光分子及び当該第二の蛍光分子を哺乳動物対象の血流へ導入し;第一の蛍光励起波長を用いて当該第一の蛍光分子を励起し、第一の蛍光発光波長を有する第一の蛍光発光シグナルを発生させ、そして第二の蛍光励起波長を用いて当該第二の蛍光分子を励起し、第二の蛍光発光波長を有する第二の蛍光発光シグナルを発生させ;当該導入ステップの後に、当該第一の蛍光発光シグナルの強度、及び当該第二の蛍光発光シグナルの強度を測定し;並びに、当該第一の蛍光発光シグナルの強度と、当該第二の蛍光発光シグナルの強度との比を計算すること、を含む。当該測定及び計算ステップが、既定の間隔で行われ得、そして少なくとも実質的にリアルタイムで報告され得る。
【0041】
本発明の第九の態様は、哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法を対象とする。この方法は、以下のステップ:複数のレポーター分子及び複数のマーカー分子を、既定の比率で含む液体を提供し;当該液体を対象の血管系へ導入し;及び、当該対象の血管系内における経過時間後、当該レポーター及びマーカー分子の各々の特性を測定すること、を含む。この方法は、以下のステップ:当該測定ステップ後、当該レポーター分子の特性と当該マーカー分子の特性との比を計算し;そして当該比率を報告すること、をさらに含む。当該報告ステップは、複数の経過時間において行われ得る。当該計算及び報告ステップが、少なくとも実質的にリアルタイムで行われ得る。
【0042】
当該レポーター分子は、糸球体ろ過障壁を通過可能であってもよい。当該マーカー分子は、糸球体ろ過障壁をレポーター分子ほど通過することができなくてもよい。当該レポーター分子及び当該マーカー分子は蛍光分子であり得る。当該レポーター分子及び当該マーカー分子はデキストランを含み得る。当該マーカー分子は、当該レポーター分子よりも大きな分子量を有し得る。当該レポーター分子は、1kD〜150kDの分子量を有し得る。当該マーカー分子は100kD超の分子量を有し得る。
【0043】
本発明の第十の態様は、哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法を対象とする。この方法は以下のステップ:既知の波長を有する光源を提供し;蛍光分子を当該光源へ曝露し、ここで当該蛍光分子は、既定の時間で哺乳動物対象の血管系内において励起され;及び、当該励起された蛍光分子の特性であって、当該血管系の状態と相関性を有する前記特性を測定すること、を含む。
【0044】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図と共に、以下の明細書から明らかとなるだろう。
【0045】
図面の簡単な説明
本発明を理解するために、以下の図を参照にして、それは実施例によって説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本発明の方法を利用する、本発明の装置のイラストレーションである。
【図2】図2は、生体内2光子顕微鏡によって視覚化された、正常ラットにおける小分子量デキストランの腎クリアランス(renal clearance)を示す、一連の顕微鏡写真である。時系列で撮影された顕微鏡写真は、毛細血管(CAP)における、小さいFITC−イヌリン(5.5kD)(下段の顕微鏡写真)及び大きい500kDのテキサスレッド(Texas Red)(登録商標)デキストラン(上段の顕微鏡写真)の両方の局在化を明らかとする。当該イヌリンは、近位尿細管内腔(PT内腔)を通じて速やかにろ過され、時間経過と共に蛍光シグナルにおける一定の減少をもたらす(パネルE、F、G及びH)。対照的に、500kDのデキストランは除去されず、そしてそのシグナルは毛細血管内で一定のままである(パネルA、B、C及びD)。パネルA、B及びCにおけるPT内腔において見られる蛍光は、500kDのデキストランの除去ではなく、FITC−イヌリンからの発光を通じた出血である。別のLEDを用いた連続的励起及び収集の現在の手法は、現象を通じたこの出血を最少化するであろう。
【図3】図3は、染料注入後より長時間における、FITC−イヌリンと、より大きな分子サイズのために、血流に留まる500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの強度比を示す一連の顕微鏡写真である。
【図4】図4は、60分までのボーラス注入に続けて血管から測定された、500kDのFITCデキストランの、時系列における強度のプロットである。
【図5】図5は、最小二乗適合の結果に従った時間の関数としての、20kDのFITCデキストランと、500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの強度比のプロットである。
【図6】図6は、血漿クリアランスを測定するための、比法及び直接的な強度の使用間におけるプロットの比較である。
【図7】図7は、ボーラス注入後における、2匹のラットから生じる経時的な腎臓血管血漿強度比を示すプロットであり、一方は3kDのFITCデキストランと500kDのテキサスレッド(登録商標)デキストランとの混合物を与えたものであり、そして他方は、20kDのFITCデキストラン及び500kDのテキサスレッド(登録商標)デキストランを与えたものである。
【図8】図8は、ボーラス注入後における、2匹の無腎ラットからの経時的な肝臓血管血漿強度比を示すプロットであり、一方は10kDのFITCデキストランと500kDのテキサスレッド(登録商標)デキストランとの混合物を注入したものであり、そして他方は、20kDのFITCデキストランと500kDのテキサスレッド(登録商標)デキストランとの混合物を注入したものである。
【図9】図9は、本発明の診断装置のブロック図である。
【図10】図10は、図9の装置本発明の診断装置のひな形である。
【図11】図11は、FITC、ローダミン、及びテキサスレッド(登録商標)染料の励起及び発光スペクトルのプロットである。
【図12】図12は、単一チャンネル光学系のブロック図である。
【図13】図13は、2チャンネル光学系のブロック図である。
【図14】図14は、図13の2チャンネル光学系の分解図である。
【図15】図15は、2つのコンパートメントモデルのブロック図である。
【図16】図16は、光ファイバーを有する偽装(dissembled)カテーテルの図である。
【図17】図17は、患者の静脈内に取り付けられ、且つ挿入された、図16のカテーテルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
本発明は、多くの異なる形態における実施形態を許容可能であるが、本開示が本発明の原理の例示であるものとして理解され得、そして本発明の広い態様を、記載された実施形態に限定することを意図していないという理解と共に、本発明の好ましい実施形態が、図面において示され、且つ本明細書において詳細に記載される。
【0048】
本発明は、AKIの構造的及び機能的マーカーの両方の組み合わせが、腎臓の機能及び腎臓関連性疾患の診断時において、高レベルの臨床的有用性を示すことを見出した。したがって、本発明の一つの目的は、従来において測定困難又は不能であった、器官機能及び生理学的パラメーターを分析及び定量するための試験を提供することである。本発明は、急性腎性損傷及び慢性腎臓関連性疾患の迅速検出のための方法及び装置に焦点を当てる。この開発は、Indiana Center for Biological Microscopyによって開発され、且つライセンスされた技術を利用する。かかる技術は、米国仮特許出願第60/672,708号明細書、国際公開第2006/113724号として刊行されたPCT出願番号第US2006/014576号、及び米国出願番号第11/911,895号明細書に記載されており、そしてそれらは、本明細書において完全に説明されているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれる。具体的に、国際公開第2006/113724号の図6〜9に示された装置の図、及び同文献の段落番号96〜104における記載は、利用される技術を対象とする。
【0049】
早期動物試験において、この技術は、糸球体ろ過率(GFR)(腎臓が血流から老廃物をろ過することのできる比率)の正確且つ迅速な測定の提供に有効であることが分かった。疾患診断の必要性は特定の疾患に従って変化するが、腎性疾患においてGFRは、損傷、疾患進行、又は回復の第一臨床指標である。
【0050】
GFRは、既定の時間内における、糸球体を通じてろ過された血漿の量を測定する。それは、腎臓機能の指標として臨床的に最も広く使用される。医師は通常、それを診断及び治療決定の両方のために使用する。実際、National Kidney Foundationは現在、測定GFR(eGFR)に基づいて、慢性腎疾患の患者を5つのグループ(I〜V)に分けている。これは、患者の腎疾患の重症度を認識且つ理解するときに臨床医を支援する。それはまた、患者のベースラインGFRに基づいた、適切な治療の開始を可能とする。
【0051】
種々の技術、例えば放射性及び非放射性造影剤、並びにX線腎臓画像法は、GFRを速やかに測定することができる。血漿クリアランス法は、GFRマーカー分子の血漿クリアランスの測定に基づく。放射活性マーカー、例えば[51]Cr−EDTA、又は[99]m Tc−DTPA((ジエチレントリアミン五酢酸[99]mテクネチウム)を使用することによって、血漿クリアランス及びGFRが両方とも、放射線検出器を使用して独立して決定され得ることが報告されている。放射線検出器と共に、放射活性GFRマーカー、例えば[51]Cr−EDTA、及び[99]m Tc−DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸[99]m−テクネチウム)を使用して、ほぼリアルタイムの速度で、急性腎損傷の患者におけるGFRを測定することが可能である。測定された血漿クリアランスは、尿回収を用いた標準的方法を使用して同時に測定されるGFRと優れた相関性を示す。しかし、放射活性GFRマーカーの使用、及びこの試験を行うにあたっての臨床的困難性により、この方法は魅力的ではない。蛍光性GFRマーカー、例えばFITC−イヌリンをボーラス静脈内注射で使用し、その後複数の時点における血液試料を採取することによって、GFRを正確に決定することが可能である。潜在的に、好適な造影剤の開発と共に、磁気共鳴画像法(MRI)技術は腎臓の機能的診断を提供するために非常に有用であり得る。かかる技術の不都合な点は、高コスト、当該試験の反復困難性、及び患者を試験のために移動させる必要性に関連する、低い利便性である。
【0052】
同様に、標準的方法、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される、非放射性マーカー、例えばイオタラメートの血漿濃度はまた、重病患者における腎臓機能を評価するために使用されている。GFR測定技術に基づくかかる血漿クリアランスは、深刻な障害のある腎臓機能を有する患者における腎臓機能変化の検出時において優れた時間分解能を有することが報告されている。単一の蛍光性GFRマーカーであるFITC−イヌリンのボーラス注入を使用することによって、注入後における時間の関数として、採取された血液試料中の蛍光シグナルを連続的に測定することによって、GFRは決定された。本発明者は、改善された正確性、決定速度、及び潜在的に毒性である放射活性分子に対する曝露の減少を提供するこの手法を、拡張且つ改良した。
【0053】
ろ過され、そして糸球体ろ過によってのみ生体から除去される小さいフルクトースポリマーであるイヌリンは、参照標準GFRマーカーである。他の非放射活性マーカー(例えばイオタラメート、イオヘキソール、ポリフルクトサン)及び放射活性マーカー(例えば[125]I−イオタラメート、及び[51]Cr−EDTA)が同様に、一般的に使用される。
【0054】
診療において、内因性マーカー、例えば血清クレアチニン及びシスタチンCは、GFRを推測するために通常使用され、そしてそれは、これらの分子の産生及び尿細管再吸収が、異なる個体において有意に変化するためである。AKIを患うICU群におけるクレアチニンよりも前の日までにシスタチンCは上昇するため、シスタチンCは、GFRの優れた内因性血清マーカーとして、血清クレアチニンと比較して近年注目されている。
【0055】
本発明者は、多光子顕微鏡法、好ましくは二光子顕微鏡法を使用する、哺乳動物対象、例えばヒトにおけるGFRの直接的測定のための、最小限の侵襲的装置を開発した。当該方法は、異なる大きさのデキストラン分子と結合した2つの蛍光性分子の読み取りを行うことに基づく。デキストランは複合体であり、可変長(3〜2,000kD)の鎖に結合された、多くのグルコース分子からできている分岐した多糖である。したがって、本発明の別の目的は、蛍光性マーカーの読み取りを行うための、カテーテル型光ファイバープローブを使用する方法及び装置の両方を提供することである。蛍光性マーカーの濃度をリアルタイムで測定し、GFRの直接的測定を提供するために、このカテーテルは血管系、例えば哺乳動物患者の腕静脈へと取り付けられ得る。
【0056】
急性腎損傷の早期の段階における、GFRの迅速且つ正確な測定は、診断、損傷の程度の層別化、及び治療目的のために重要である。本発明の利点は、それが、損傷の程度を迅速に同定且つ決定することであり、それにより透析開始並びに臨床試験のための登録及び層別化を含む、早期の治療を可能とする。それはまた、GFRにおける臨床戦略、例えば輸液蘇生(volume resuscitation)の効果を決定するために使用され得る。したがって、この技術的利点は、特に早期診断、損傷の層別化、及び治療可能性の決定のために集中的観察が必要である高リスクの患者において、大きな臨床的意義を有する。
【0057】
GFRを測定するために現在臨床において使用される方法の不足は、文献中及び実践上の両方において知られている。損傷の存在を検出するためのバイオマーカーを同定するための進展がなされているが、広範囲に許容されるために十分実用的である機能的マーカーの発見に関して、進展はなされていない。本発明者の方法は、ほぼリアルタイムでの効率で腎機能の程度を正確に定量し、且つ追跡する能力における真の進歩を示す。本発明者はまた、医療技術における重大な適応障壁である忙しい医療環境において操作することが容易である装置を開発した。
【0058】
本発明者により開発された光学技術は、蛍光性バイオレポーター分子の血漿クリアランス測定に基づいており、そしてそれは、迅速、頻繁、且つ安全なGFRの評価を可能とする。有用性をさらに立証するために、限定されないが、イヌリン除去を含む他の標準的GFR試験が行われ得る。これらの有効性の比較において、この新規方法を使用して得られたデータに対して、必要であれば補正因子(correction factor)が適用され得る。
【0059】
図1において、本発明の方法を具現化する装置10が図示される。装置10は、GFR測定組成物源100、腎臓の蛍光検出器200、及びカテーテル300を含む。複数のレポーター分子及び複数のマーカー分子を含む、GFR測定組成物100は、ヒト対象20の血流へと、カテーテル300を通じて導入される。蛍光検出器200は、血流内におけるGFR測定組成物のレベルを観測し、そしてヒト対象の腎臓の作動状態を少なくとも実質的にリアルタイムで報告する。レポーター分子の蛍光に対するマーカー分子の蛍光に基づいて、本装置は血漿分布容積を測定する。「実質的にリアルタイム」とは、血流中のレポーター及びマーカーのレベル測定、腎臓の作動状態の計算及びその状態の報告の間において経過した継続時間を含むことが意図されている。この経過時間は、上記の先行技術に関して無視可能である、非常にリアルタイムに近いものと本発明者によって意図されている。
【0060】
GFR測定組成物
腎臓の生体内多光子顕微鏡画像法を利用することによって、本発明者は、各々独立している、糸球体ろ過及び尿細管再吸収過程の両方を定量化した。本発明者は、マルチ蛍光性プローブ実験を用いて、腎臓の局所部位内における蛍光性シグナルの定量的分析を可能とするレシオメトリックな画像技術を開発した。GFRを血漿クリアランスによって測定するために、本発明者は、糸球体ろ過障壁を通過しない、異なる大きな蛍光性マーカー分子と共に、蛍光性GFRレポーター分子、例えばFITCデキストランを使用する。この大きな蛍光性マーカーは、血管領域における血漿の分布容積を定量化する役割を果たし、そしてレシオメトリックな技術を可能とする。
【0061】
本発明者は、画像の血管領域内における2つの分子の蛍光強度の比を調べることによって、蛍光性GFRの血漿クリアランスを定量化することができた。GFRは、この比法を使用して迅速に決定され得る。本方法は、多くの動物モデルにおいて試験された。血漿クリアランスの動態学を定量化するために血管内からの蛍光シグナルが測定されるため、2つの蛍光分子のシグナル比は、測定が行われる身体部位に無関係である。
【0062】
GFRを正確に測定するために、理想的なGFRマーカー分子は、試験中に血管区画内において安定であり、糸球体ふるい係数(GSC)が0.0であり、血管系内で維持されるべきであり、そしてそれは腎臓内に実質的に分泌、再吸収又はろ過されるべきではなく、そして100kD超の分子量を有し得ると、本発明者は決定した。本明細書において使用される「実質的に」は、±5%に限定される。これらの条件を満たすために、GFRは、レポーターの静脈注射後における、当該レポーターの尿クリアランスと等しいであろう。理論上、0超の任意の既知のGSCと共にGFRレポーターが使用され得る。好ましいマーカー分子は、分子量100kD超であるスルホローダミン101である。
【0063】
図2は、生存し、且つ健常な雄ラットの腎臓の、幾つかの蛍光強度画像を含む。これらの画像は、FITC−イヌリン(5.5kD)、及びスルホローダミン101、すなわちテキサスレッド(登録商標)で標識された500kDデキストランを含有する染料混合物の、ボーラス静脈内注射後の時間の関数として撮影された。FITC−イヌリンからの蛍光強度シグナルは、下段の顕微鏡写真において示され、そして500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランの強度が上段の顕微鏡写真において示される。染料の注入から約12秒後において、蛍光強度は腎臓の毛細血管と近位尿細管(PT)内腔内の両方で見られた。血管内における経時的変化は、FITC−イヌリン及び500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランの両方が、これらの血管内において存在することを示す。50秒の時点において、FITC−イヌリンは、この分子の速やかな血漿クリアランス(糸球体ろ過)の結果として、既に毛細血管及びPT内腔内において強度が減少していた。これは、毛細血管における強度が12秒の値と同様であるレッド500kDに関して当てはまらなかった。赤血球(RBC)は、染料を除いた暗い対象として観察された。100及び200秒の時点において、FITC−イヌリン強度は、ろ過がそれを身体から除去し続けるために、毛細血管中、及びPT内腔において減少し続けた。これはまた、ろ過されないためにこの時間間隔の間に強度が変化しない500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランにおいては当てはまらなかった。結果的に、血管からの強度の相対的な強さは、FITC−イヌリンの血漿クリアランスのために、500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとFITC−イヌリンとの濃度比における相対的増加を示した。このタイプの時系列画像集は、腎臓の糸球体ろ過障壁を通過し、ろ液の一部となる既定の分子に関する動的情報を含む。これは、本発明における血漿クリアランス速度及びGFRの測定のための基礎を提供する。
【0064】
分子ろ過の動力学を定量化するために、FITC−イヌリンと500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの強度比を使用した(図3参照)。図3における血管からの強度比は、2つの染料の相対的濃度変化と共に経時的に変化する。500kDデキストラン分子が、その大きなサイズのために腎臓によってではなく、血管培養組織から最小量で除去されるため、それは注射後長時間血漿中において安定であり続ける。通常、染料の注入後における時間内(5〜30分間程度)において、顕著な強度減少は無かった。これは、経時的に視覚化された強度比の減少という結果となった。生物学的試験の出力として蛍光強度を使用する問題を、このタイプの比は大いに最小化する。
【0065】
本発明者はまた、ろ過をさらに最小化し、且つ染料の血漿における存続時間を延長するために、同様の試験に関して500kD蛍光性デキストランを使用した。図4は、ボーラス注入後60分までの、血管から測定された500kD FITCデキストランの強度時系列の例である。初期強度のスパイク(内部図を参照)は、染料の注入及び、全血漿容積への染料分子の迅速な分布によるものであった。曲線の残りの部分において、それは有意な強度減少を見せなかった。事実上、標識化されたイヌリンと標識化された500kDデキストランとの蛍光強度比の減少は、標識化されたイヌリンの濃度減少と相関する。
【0066】
図5は、最小二乗適合の結果に従った時間の関数としての、20kDのFITCデキストランと、500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの、ボーラス注入の強度比のプロットである。図5における各々のデータポイントは、画像時間系列(例えば図3において示された画像)から抽出された、血管からの同一領域の平均比の値であった。データポイントは、0.5秒ごとに、200秒までプロットされた。減衰が2段階、すなわち初期段階及びクリアランス段階(又はろ過段階/除去段階)で起こった。初期段階における漸増は、IV注入後の、腎臓における相対的な染料分布及び蓄積によるものであった。曲線の最高点(約12秒)はクリアランス段階の出発点を示し、そして近位尿細管内におけるFITC−イヌリンの出現開始と相関する。
【0067】
クリアランス段階のデータ点は、単一の指数関数と十分に一致した。本発明者は、(95%信頼限界を使用して)0.00458(s-1)の20kD FITCデキストラン血漿クリアランス速度定数kを得た。
【0068】
GFRレポーター分子のボーラス注入後、GFRレポーター分子の血漿濃度は、腎クリアランスに起因する時間の関数として減少する。異なる時点における血漿試料を得ることによって、血漿クリアランス速度定数(k)を得るために、時間トレースの最小二乗適合が直接的に計算されるか又は実行される。その後、GFRは以下の式:
【0069】
【数1】

【0070】
[式中、
kは、血漿クリアランス速度であり、及びVDはGFRマーカーが希釈される分布容積である]
に従って決定され得る。この方法を使用して測定されたGFRは、安定な腎臓機能を有する患者において、及びげっ歯類において検証され、そして正確であり、且つ他の方法を使用して測定されたものと十分に相関することが立証された。
【0071】
クリアランス速度を測定するための、強度比の使用と、デキストランと結合した3kD FITC(3kD FITCデキストラン)の強度値の直接的使用との間における比較を図6に示す。根本的な差異は、有意により少ないノイズと、分布段階のより優れた同定である。
【0072】
3kD FITCデキストラン単体における強度の変動は、完全に有意であった(図6B)。結果的に、クリアランス速度定数kのフィッティング結果は、より多くの誤差を含み、そしてあまり規定されなかった。対照的に、(3kD FITCデキストランと500 kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの間の)強度比は、有意により少ないノイズを有し、そして測定されたクリアランス速度定数kは、たった3%の誤差で、より良く規定された。部分的にこれは、蛍光強度が通常、顕微鏡における焦点及び試料の移動における微かな変化でさえ敏感に反応するためである。一方で強度比は、画像の奥行及び動きにおける小さな変化に対しては反応しない。本発明者は、血液からの蛍光シグナルに焦点を当てている。さらに、血液からの染料の強度シグナルは、血流速度が変化するときに変化し得る。しかし、2つの分子間の相対強度比は、(クリアランスがないと仮定した場合)血流速度又は血液量が変化するときでさえ変化しない。これは、染料分子の両方が血液中に存在し、そして一緒に移動するからである。本発明者によって開発された方法は、この問題を限定する。
【0073】
初期の染料分布と、クリアランス段階との間における分離は、強度比を使用して十分に規定される。単一の染料のみの強度を使用するとき、どの時点でクリアランス段階が始まるかを決定することはより困難である。強度曲線における最も高いデータ点は通常、近位尿細管内腔におけるより小さな分子の出現時と相関しない。したがって、染料分布及びろ過段階は、曲線の強度に関連する。多光子顕微鏡法の使用はかかる相関を可能とし、そしてそれは非常に有益である。
【0074】
サイズ分布又は分子量の観点において、デキストランの純度は極めて重要であると考えられる。さらに、分子量の分布は、どの程度十分にGFRが測定され得るかに関して重要な役割を果たす。デキストランは医学的利用に広範囲で使用されるが、これらの従来の利用は本発明における使用に要求されるより厳しいサイズ制御が必要ではなかった。
【0075】
図7において、ボーラス注入後の2匹のラットから得られる強度値のプロットが図示される。一のラットは、3kD FITCデキストラン及び500 kDテキサスレッド(登録商標)デキストランの混合物を注入された。第二のラットは、20kD FITCデキストランと、500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとを注入された。当該プロットは、3kD/500kDの蛍光比の曲線において早期の減少を示す。これは、間質腔への移動を伴う迅速なクリアランスを示唆する。しかしその相当な部分は、図8に示された肝臓画像の10kDデキストランデータから見られる非腎臓性血漿クリアランスに起因する。
【0076】
図8は、(両方の腎臓を除去した)一対の無腎ラットから得た。ラットの一方は、10kD FITCデキストラン、及び500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランの混合物を注入された。他方のラットは、20kD FITCデキストランと500kDテキサスレッド(登録商標)デキストランとの混合物を注入された。10kD/500kDの比率の曲線は、10kDデキストランの非腎臓性血漿クリアランスが相当量存在するという明確な証拠が存在することを示している。その一方で、糸球体によってろ過され得る20kDaのデキストランは、最少の非腎臓性血漿クリアランスを示す。したがって、それはGFRを決定するために使用され得る。
【0077】
さらに、2画分動態モデルと共に、レポーター分子として3kD〜5kDのより小さな分子が、器官の機能を測定するために使用され得る。したがって本発明者は、ろ過された分子の好ましい分子量は、3kD〜500kDの、より好ましくは3〜150kDの、さらにより好ましくは3kD〜7kDの、さらにより好ましくは3kD〜70kDの、さらにより好ましくは3kD〜5kDの範囲内で、そして最も好ましくは約5kDであると、或いは任意の範囲、又はそれらの範囲の組み合わせであると見出した。本方法はまた、既知の一般的な大きさ、例えば10kD及び500kDのデキストランの使用を、並びにあまり一般的ではない大きさである20kD、70kD及び150kDのものの使用を意図している。アミノフルオレセインデキストランが好ましい。
【0078】
蛍光検出器
蛍光検出器200は、データの読み込み及び報告のためのソフトウェア、装置10を制御し、及び結果を再検討するためのユーザー・インターフェース202、及び蛍光性シグナル204を送信及び受信するための装置を含む(図9、10、及び12〜14を参照)。このユニット200は、標準的IVポンプスタンドと適合するように設計されるか、又はそれはテーブルポンプ面上で操作され得る。それは、AC電源との接続無しで2時間作動可能であるバッテリーバックアップシステムを組み込んでいる。
【0079】
ユーザー・インターフェース202は、任意の臨床医によって使用され得る。それは、大部分のソフトウェアユーザー・インターフェースのために、タッチスクリーン技術を含む。これは、どのようにしてデータが臨床医に示されるかにおける柔軟性を提供する。
【0080】
多光子顕微鏡を使用する比法を完全なものとするためになされる一連の研究に基づいて、本発明者は、対象の血流に配置される光ファイバーカテーテルが蛍光分子を測定することができると見出した。多光子顕微鏡を使用する従来法は、組織がより深く貫通されているために蛍光強度が減少することに起因する、大きな変動が発生する。本明細書に開示された光ファイバーカテーテルの使用は、測定が血液中において直接に、リアルタイム又は実質的にリアルタイムでなされるため、これらの変動を排除するだろう。当該光ファイバーカテーテルは以下においてより詳細に説明される。
【0081】
図9及び10は、単一の多色LED206(発光ダイオード)を光源として使用する2チャンネル装置204を図示する。この装置204の目的は、どれ程蛍光性シグナルが光ファイバーエレメント210から戻ってくるかを決定することである。図9及び10は、この装置において使用される光学系の略図及びコンピューターモデルの両方を示す。当該装置は、光電子増倍管(PMT)208a、bを、これらの装置が周知の特性を有するために、検出器として含む。代替的に当該検出器は、光検出器、固体検出器、電荷結合素子、又は本発明の趣旨から離れることのない、任意の他の等価な装置であり得る。この装置は、LED及びPMT208a、bへ電力を提供するために、一つ以上の電力供給装置207、209、及び/又はコントローラーを有し得る。
【0082】
光学経路212は、バンドパス216及びダイクロイックフィルター220による選択を通過したLED源206からの光の焦点をその後、光ファイバーエレメント210上に合わせる。励起光はその後、光ファイバーエレメント210を通過して、血流中の蛍光性デキストランのおおよそのレベルをシミュレートするために選択された試験溶液へと入る。光ファイバーエレメント210は一般的に、直径が0.5〜1mmの範囲、又はそれよりも小さい光ファイバーケーブルである。
【0083】
一度励起されたら、少量の蛍光性シグナルはその後、光ファイバーエレメント210を通じて戻ってくる。当該シグナルはその後、PMT208aのカソード上に達する前に、収束レンズ224、二色性ビームスプリッター228、及びバンドパスフィルター232を通過する。
【0084】
容易に検出可能である蛍光シグナルが、フルオレセイン染料に関してPMT208a、bから測定される。この染料は、約494nmの励起ピークを有し、そして519nmを中心とした広帯域の波長の光を放出する。フルオレセイン染料は、マーカー染料の一例に過ぎない。ローダミン染料が同様に使用され得る;しかしLED源206は、ローダミン染料を励起するために十分な強度を有さなければならない。フルオレセイン、ローダミン、及びテキサスレッド(登録商標)のスペクトル応答を図11において見ることができる。
【0085】
標準的LEDに関連した狭いスペクトルバンド幅は、バックグラウンド光を減少させるために優れているが、蛍光物質をLEDの鋳型に添加することに基づいた白色LEDの出現は、本装置200において使用され得る。光源の強度、及びどの程度効率的にエネルギーが光ファイバー210へと送られ得るかが重要である。
【0086】
レーザーダイオードは、LEDの代替として使用され得る。レーザーダイオードは、血流中の染料マーカー濃度を減少させる追加の光エネルギーを提供する。しかし、利用可能な波長の大部分は、フルオレセイン及びスルホローダミン101の好ましい蛍光分子のために理想的ではない。
【0087】
幾つかのベンダーからのLEDが評価された。幾つかのLEDは、装置の要求に合致した。これらのLEDは、最も優れた単位面積当たりの流速密度を提供し、そしてオフ波長バックグラウンドの優れた排除を提供するフィルターと良好に作用する。
【0088】
フルオレセインのために、オーストリアのROITHNER LASERTECHNIK GmbHによって製造されたLED490−03Uが選択され得る。このLEDは、フルオレセインの励起のために、490nmのピーク波長を有する。このLEDは、1.2mwと評定される。或いは、フルオレセインのために、Durham,NCのCree Inc.によって製造されたXREBLU−L1−0000−00K01 LEDが好ましい。この部品は、優れた熱的特性を有する高出力表面実装LEDである。この適用のためのピーク波長は、30.6ルーメンの最小フラックス出力で485nmである。同様の特性を有するように選別され得る表面実装部は、この部分の代替であり得る。
【0089】
スルホローダミン101の励起のために、北米及び全世界で販売されているOPTEKの、ピーク波長595nmの828−OVTL01LGAASが使用され得る。この表面実装LEDはより高い流束密度を有し、そのためそれは、波長熱ドリフトを最小化するためのより低い出力設定で作動され得る。1mm光ファイバーのための標的出力電力は、約50マイクロワットであろう。スルホローダミン101の励起のために、Durham,NCのCree Inc.によって製造されたXRCAMB−L1−0000−00K01LEDが好ましい。このタイプのLEDは、585nm〜595nmの範囲を超えるピーク波長によって分類され得る。590nmのピーク出力が、当該適用のために選択された。これらは、優れた熱的特性を有する高出力表面実装LEDである。このLEDの光束出力はまた、30.6ルーメンである。
【0090】
フィルターの選択は、このシステムの実行に重要である。光ファイバー210を通じて戻ってくる蛍光シグナルが、多桁倍だけ励起エネルギーより小さいため、フィルターブロッキング及びバンドパスの特性は、適切な実行のために重要である。顕微鏡及び他の適用において長年使用されている蛍光マーカーは、当技術分野において周知である。したがって、優れたフィルターセットが多くの製造業者、例えば米国のSEMROCKから入手可能である。これらのフィルターは、本適用において理想的である。
【0091】
蛍光シグナル204を送信及び受信するための2つの追加の装置が、本発明者によって意図されている。これらの装置は図12及び13において示され、そして改善された光学的形状(optical geometry)を目的とする。単一チャンネル装置を図12に示す。単一チャンネル装置の目的の一つは、シグナル対バックグラウンド比を改善し、そして全血液中における蛍光標識されたデキストランの標的シグナル強度を決定することである。改善された光学的形状は、1桁超バックグラウンドレベルを有意に減少させた。この新規光学的形状及びファイバー結合は、我々に30:1のシグナル対バックグラウンド比を提供した。
【0092】
図12は、単一チャンネル光学系のブロック図である。図12に示された単一チャンネル装置は、単純な光学的設計を使用する。490nmのLED206からの光は、バンドパスダイクロイックフィルター220を通じて中継され、その後光ファイバー表面実装アダプター(SMA)コネクター244上に焦点を合わせられる。単純集光レンズエレメント240は、0.5〜1mmの小さな光ファイバー標的210上に焦点を合わせる能力を制限する、球面収差を最小化するために使用される。ファイバーレンズ224は、光源光のための最後の集束エレメント、及び蛍光発光のための最初のコリメータの両方として働く。蛍光発光の光は、ダイクロイックフィルター220を通じて再度中継され、そしてPMT208上へと再度焦点を合わせられる。PMT208上の標的サイズは重要ではないため、単純両凸レンズ248はこのために使用され、そしてFITC発光フィルターはバンドパスフィルターとして提供される。コンポーネント構造物中において優れた光吸収性コーティング材を利用することによって、この系における光及び反射を迷走(stray)させることについて特に注意が払われる。
【0093】
図13及び14において、2チャンネル光学系が示される。単一チャンネル設計において選択されたものと同様のコンポーネントが2チャンネル設計において使用される。主要な差異は、ホルダー254a、b内の追加のダイクロイックフィルターが存在する点、並びに490nm LED206a及び595nm LED206bからの光を結集させるために使用されるスペーサー256a、bによって、メインブロック255から間隔を空けられている点である。各々の源は、ホルダー242a、b内に存在する、それ自身の集光レンズアセンブリ240a、b、及びバンドパスフィルター216a、b、595nmフィルター及び490nmフィルターをそれぞれ利用する。LED206a、bからの光線はその後、特殊なデュアルバンドダイクロイックフィルター252を通じて中継され、その後レンズ224によってファイバー結合器244上へ、特に光ファイバー標的210上へ焦点を合わせられる。このデュアルバンドフィルターは、SEMROCKから容易に入手可能である。両蛍光分子からの発光はその後、光ファイバー210を通じて反対方向に進行する。ファイバーレンズ224は、ホルダー258及びリング262内でメインブロック255と接続され、そしてデュアルバンド・ダイクロイックフィルターを通じた反対方向の中継、及びその後、最後の発光ダイクロイックフィルター228を使用して好適なPMT208a、bへと分裂させるために、この光を平行とするために使用される。各々のPMTアセンブリ208a、bは、最終集束レンズ248a、b、並びにホルダー260a、b内の発光フィルター232a、b、好ましくはFITC発光フィルター及びスルホローダミン101発光フィルターの各々、並びにPMTアダプター262a,bを有する。メインブロック255は、密封プレート264a、b、及びガスケット266a、bによって、留め具268を用いて密閉される。
【0094】
電気回路は、LED206a、bへの両方のパルス繰返し数(pulse rate)を調節するための、及びPMT208a、bからの読み込みに同時性を持たせるためのマイクロコントローラーを含む。LED206a、bは、100Hzの周波数で短時間電圧をかけられる。2つの蛍光性マーカーを通過する幾つかの出血を排除する、LED206a、bの両方は照明されない。高速16ビットアナログ/デジタル変換器は、PMT208a、bを読み込み、そしてデータを平均化するために使用される。ラップトップコンピューターが、このシステムのソフトウェアコンポーネントのために使用され得るか、又は、電気回路、マイクロコントローラー、及びソフトウェアは、蛍光検出器200に内蔵され得る。
【0095】
数学的モデル
2つの標識化されたデキストラン分子の強度比からGFRを計算するために、2コンパートメント数学モデルが使用され得る。このモデルは、外部コンピューターに、又は蛍光検出器200内に記憶され得るソフトウェア中に含まれ得る。或いは、当該数学モデルは、装置に対して内部又は外部のいずれかに存在する、ハードウェアに組み込まれた電気回路であり得る。
【0096】
GFR及び明確な分布容積は、単回ボーラス注入によりによって静脈内投与された蛍光標識されたデキストラン分子の血漿中における消失を観測することによって測定さ得る。図15は、3コンポーネントモデルとしても知られている、広く使用される2コンパートメントモデルを示す。対象とする2コンパートメントは、血管腔及び間質腔である。本モデルのための基本的前提は、ボーラス注入後に、注入されたリポーター分子は血管腔から間質腔へと分布するが、マーカー分子は血管腔内に保持されるということである。レポーター分子の血漿除去は、血管腔からのみ生じる。
【0097】
血漿クリアランス速度及びコンパートメント間クリアランス速度をそれぞれG及びkで示す。血管腔及び間質腔の仮想容積をそれぞれV1及びV2で示す。Sapirstein他によって実証された通り(Sapirstein,L.A.,D.G.Vidt,et al.(1955).”Volumes of distribution and clearances of intravenously injected creatinine in the dog.”American Journal of Physiology 181(2):330−6)、V1における単位時間当たりの量変化は、以下の式によって与えられる。
【0098】
【数2】

【0099】
全注入量Dは、以下の式:
【0100】
【数3】

【0101】
[式中、
1及びC2はそれぞれ、血管腔及び間質腔におけるレポーター分子の濃度を示す]
として表され得る。
【0102】
上の2つの方程式の結合は、二次線形微分方程式を与える(Sapirstein,Vidt et al.1955)。
【0103】
【数4】

【0104】
方程式(4)に対する一般解は、以下の方程式(5):
【0105】
【数5】

【0106】
[式中、減衰(decay)定数α及びβは、k、G、V1及びV2で表され得る]
で表される二重指数関数である(Sapirstein,L.A.,D.G.Vidt,et al.(1955).”Volumes of distribution and clearances of intravenously injected creatinine in the dog.”American Journal of Physiology 181(2):330−6)。
【0107】
1におけるコンパートメント間混合が完了する前に、コンパートメント間運動が無視可能であると仮定すると、以下の2つの境界条件がt=0において有効となる:C0=D/V1及びC2=0。
【0108】
方程式(2)、(3)、(5)、及び2つの境界条件から、我々は以下:
【0109】
【数6】

【0110】
[式中、全細胞外分布容積Vdは、V1とV2との合計である]
を導くことができる。
【0111】
パラメーターA、B、α及びβは、実験データを方程式(5)に当てはめることによって得られる。
【0112】
実際面において我々は、マーカー分子を使用してV1を得ることができる。濃度と蛍光強度との間の直線関係がレポーター分子において適用できる場合、方程式(5)はその後、以下:
【0113】
【数7】

【0114】
[式中、
1は時間の関数としてのレポーター分子の蛍光強度であり、A1及びB1は定数である]
と書き換えられ得る。
【0115】
したがって、方程式(6)及び(8)は以下:
【0116】
【数8】

【0117】
[式中、
方程式(10)は、単一の自由にろ過可能なレポーター分子種からのGFRを表し、そして方程式(11)は、単一の自由にろ過可能なレポーター分子種に関連する分布容積を表す]
のように書き換えられ得る。
【0118】
さらに、当該マーカーの蛍光性は、経時的に一定であり、方程式(9)はまた、マーカー分子を超えるレポーター分子の蛍光比の観点で表現され得る。したがって、双指数関数方程式は:
【0119】
【数9】

【0120】
[式中、
R(t)は、マーカー分子を超えるレポーター分子の蛍光比である]
となる。
【0121】
定数A2、B2、α、及びβは、上の方程式へ実験データを当てはめることによって得られる。したがって、クリアランスGFR及び全分布容積は、以下:
【0122】
【数10】

【0123】
[式中、
方程式(13)は、自由にろ過可能なレポーター分子種と、より大きなマーカー分子種との間の強度比からのGFRを示し、そして方程式(11)は、自由にろ過可能なレポーター分子種と、より大きなマーカー分子種からと関連した分布容積を示す]
として表現され得る。
【0124】
明らかに、コンパートメント間容積変化率がゼロに接近するとき、このモデルは単一コンパートメントモデルとなる。しかし、血漿クリアランスレベルが増大するとき、この単一指数関数近似はGFRの過大評価をもたらし得ることが示された(Schwartz,G.J.,S.Furth,et al.(2006).”Glomerular filtration rate via plasma iohexol disappearance:pilot study for chronic kidney disease in children.”Kidney International 69(11):2070−7;Yu,W.,R.M.Sandoval,et al.(2007).”Rapid determination of renal filtration function using an optical ratiometric imaging approach.”American Journal of Physiology−Renal Physiology292(6):F1873−80)。
【0125】
光学カテーテル
図16及び17に、本発明を用いた使用のためのカテーテル300が示される。カテーテル300は、光ファイバー挿入ツール304、デュアルポート管腔308、及びフレンチ(French)5〜8サイズイントロデューサー312を含む。標準的1mmプラスティック光ファイバーケーブル316は、イントロデューサー312と一緒になった管腔308を一緒になった挿入具304の組み合わせによって規定される導管(passageway)320を通じて挿入され得る。したがって、これらのコンポーネントの各々は、チューブ状形態のものである。好ましくは、0.75mm光ファイバーケーブルが、導管320を通じて挿入される。直径0.75mmは、標準的18ゲージイントロデューサーの使用を許容するためにのみ選択された。
【0126】
挿入具304は、第二のチューブ状部材328内にスライド可能である第一のチューブ状部材324を含む。流体封入シールが、第一チューブ状部材324及び光ファイバーケーブル316のそれぞれに関して、o−リング332によって第二チューブ状部材328の反対末端に提供される。光ファイバーケーブル316は、しっかりと固定されるか、または挿入具304内に、挿入具304の反対末端においてシール336によって固定される。
【0127】
挿入具304は、管腔308上のポート340aの一つと連結される。ホモスタティック(Homostatic)シール344a、bは、ポート340a、b上に配置される。他方のポート340bは、蛍光分子のボーラス注入又は連続的注入を提供し得る。管腔308の反対末端のルアーコネクター348は、対象とイントロデューサー312で連結する。
【0128】
光ファイバーケーブル316は、発光及び励起の光送達及び回収のために、単一又は多重単一ファイバーを含み得る。光ファイバーケーブル316は、第二のチューブ状部材328を通じて、第一チューブ状部材324、及び、カテーテル300から伸長可能である光ファイバーケーブル316を押圧することによって、対象の静脈352内へ挿入される。光ケーブル316は、ルアーコネクタ−348を通るイントロデューサー312を通過して対象を横切り、対象の静脈352へと入る。光ファイバーケーブル316は、対象の静脈352へと挿入される末端において小さい固定屈曲を有し得る。この屈曲は、組織を貫通し、そして静脈内における光ファイバーケーブル316の妨害を最小化するために有用である。
【0129】
使用上において、評価のために、蛍光検出器200へ対象の静脈で生じたシグナル(単数又は複数)を伝達するために、光ファイバーケーブル316は、蛍光検出器200の光ファイバーケーブル210の延長上にあるか、又は通信がなされている。
【0130】
本発明は、腎臓機能を定量化するための特有且つ新規の方法、及び装置を開示するだけではなく、肝機能を定量的に決定する特有の方法を提示する。例えば、より大きな分子量のマーカー分子、及びより小さい分子量のレポーター分子の染料組成物は、対象へと注入され、そしてレポーター分子とマーカー分子の減少の比が、腎臓機能を検出するために使用される。より小さいレポーター分子は、腎臓によってろ過され、一方でマーカー分子は血管系内に残存される。マーカー分子とシグナル分子との妥当な比が検出されるために、マーカー分子は、診断試験中において比較的一貫したレベルで血液内に残存しなければならない。最終的に、より長い時間スケール(通常12〜24時間)において、マーカー分子は通常、腎臓の代わりに肝臓によって、血管系から吸収且つ処理されるだろう。本明細書において新規方法及び装置が記載されており、それにより、相対的肝臓機能及び健康状態が、経時的に、マーカー分子の絶対的減少を測定することによって定量的に決定され得る。本方法は、肝臓の健康状態と相関する任意のスケールでの定量的な値を提供することによって、他の方法を超える利点を有するであろう。結果として、医療の専門家は、すぐれた治療を患者に提供し、且つ特定の薬剤の適切な投与量を予測することが可能である、新規ツールを提供されるだろう。本方法は、以前に記載された装置と同一のものを使用し得、そして以前に記載された染料組成物と同一のものを利用し得るが、それは、追加の機能及び有用性を提供するために、以下の方程式:
【0131】
【数11】

【0132】
を使用して結果を分析する方法を提供するだろう。
【0133】
特定の実施形態が図示され且つ説明されるが、多くの改良が本発明の趣旨から著しく離れることなく想到され、そして保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみに限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器官機能を分析するための、哺乳動物対象の血管系への導入のための組成物であって:
レポーター分子;及び
マーカー分子を含み、ここで前記レポーター分子及び前記マーカー分子は分子特性を共有し、前記レポーター分子の分子特性は第一の性質を有し、そして前記マーカー分子の分子特性は前記第一の性質と区別可能な第二の性質を有する、前記組成物。
【請求項2】
前記分子特性が、分子量、分子の大きさ、分子の形、分子の電荷、化合物及び無線周波数から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記レポーター分子が第一の蛍光特性を有し、そして前記マーカー分子が第二の蛍光特性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記レポーター分子が第一の蛍光特性を有し、そして前記マーカー分子が第二の蛍光特性を有し、ここで前記第一の蛍光特性及び前記第二の蛍光特性が区別可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記レポーター分子が第一の蛍光特性を有し、そして前記マーカー分子が第二の蛍光特性を有し、ここで前記第一の蛍光特性は第一の蛍光励起波長及び第一の蛍光発光波長であり、前記第二の蛍光特性は第二の蛍光励起波長及び第二の蛍光発光波長であり、前記第一及び第二の蛍光励起波長、並びに前記第一及び第二の蛍光発光波長が等しくない、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記分子特性が分子量であり、そして前記レポーター分子は第一の分子量を有し、前記第一の分子量は前記マーカー分子の第二の分子量未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第二の分子量が、ヒトの腎臓によるマーカー分子のろ過に抵抗するために十分に大きい、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記第一の分子量が、適切に機能する哺乳動物の腎臓によってろ過される大きさである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記第一の分子量は、前記レポーター分子が適切に機能する哺乳動物の腎臓によって速やかにろ過される大きさであり、そして前記第二の分子量は、哺乳動物の腎臓によるマーカー分子のろ過に抵抗するために十分に大きい、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記第一の分子量が前記第二の分子量よりも実質的に小さい、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記第一の分子量が1kD〜500kD、3kD〜150kD、10kD〜150kD、10kD〜70kD、及び20kD〜70kDから成る範囲の群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項12】
前記第一の分子量が500kD未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記第一の分子量が1kD〜500kDである、請求項6に記載の組成物。
【請求項14】
前記第一の分子量が3kD〜150kDである、請求項6に記載の組成物。
【請求項15】
前記第一の分子量が3kD〜70kDである、請求項6に記載の組成物。
【請求項16】
前記第一の分子量が3kD〜20kDである、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
前記第一の分子量が約5kDである、請求項6に記載の組成物。
【請求項18】
前記レポーター分子がデキストランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記マーカー分子がデキストランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記レポーター分子がアミノフルオレセインデキストランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記マーカー分子が、前記器官によってろ過されない、より大きなスルホローダミン101デキストランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記レポーター分子がフルオレセインイソチオシアネート−イヌリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記マーカー分子が約0の糸球体ふるい係数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記マーカー分子が、哺乳動物の腎臓によって実質的に分泌され、再吸収され、又はろ過されない、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記マーカー分子が糸球体ろ過障壁を通過することができない、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記レポーター分子及び前記マーカー分子が、フルオレセインと結合したデキストランである、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記レポーター分子及び前記マーカー分子が、フルオレセインと結合したデキストランであり、そして前記レポーター分子のフルオレセインが、前記マーカー分子の蛍光励起波長と等しくない蛍光励起波長を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記レポーター分子が糸球体ろ過障壁を通過することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置であって:
蛍光分子源;
血管系への、前記蛍光分子の導入手段;
前記血管系内に存在する前記蛍光分子の測定手段;及び
前記血管系内に存在する前記測定された蛍光分子の報告手段
を含む、前記装置。
【請求項30】
前記導入手段がカテーテルを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記測定手段が、検出器と通信している光ファイバーを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記報告手段が、前記血管系内で測定された2つ以上のフルオレセイン間の強度比を決定することを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記蛍光分子源が複数の蛍光性結合分子を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
方程式:
【数1】

[式中、
lは血管腔の仮想容積であり;A2及びB2は定数であり;αは高速相減衰定数であり;及びβは低速相減衰定数である]
に従って、糸球体ろ過率を計算する手段をさらに含む、請求項29に記載の、哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置。
【請求項35】
方程式:
【数2】

[式中、
dは、合計の細胞外容積であり;Vlは血管腔の仮想容積であり;A2及びB2は定数であり;αは高速相減衰定数であり;及びβは低速相減衰定数である]
を利用して、糸球体ろ過率を計算する手段をさらに含む、請求項29に記載の、哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置。
【請求項36】
哺乳動物の腎臓の作動状態を分析するための装置であって:
第一の蛍光分子へ第一の励起波長を提供する光学的手段;及び
前記第一の励起波長に応答する、前記第一の蛍光分子からの発光の測定手段
を含む、前記装置。
【請求項37】
前記光学手段が、第二の蛍光分子へ第二の励起波長を放射する、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記第二の励起波長に応答する、前記第二の蛍光分子からの発光の測定手段をさらに含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記第一の蛍光分子からの前記発光と、前記第二の蛍光分子からの前記発光との比の計算手段をさらに含む、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記比の報告手段をさらに含む、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
血管系内の、複数の蛍光性糸球体ろ過率分子の相対的な量を測定するための光学装置であって:
第一の蛍光励起波長源;
前記蛍光励起波長が通過する送達光学経路;
前記蛍光励起波長が送達される励起部位;
放出された蛍光シグナルが通過する、復路の光学経路;及び
放出された蛍光シグナルの強度の検出手段
を含む、前記光学装置。
【請求項42】
第二の蛍光励起波長源をさらに含む、請求項41に記載の光学装置。
【請求項43】
前記検出手段が、光電子増倍管、光検出器、固体検出器、及び電荷結合素子から成る群から選択される、請求項41に記載の光学装置。
【請求項44】
前記励起部位が光ファイバーケーブルを含む、請求項41に記載の光学装置。
【請求項45】
血管系内の、複数の蛍光性糸球体ろ過率分子の相対的な量を測定するための光学装置であって:
第一の蛍光励起波長源;
第二の蛍光励起波長源;
前記第一及び第二の蛍光励起波長が通過する送達光学経路;
前記第一及び第二の蛍光励起波長が送達される励起部位;
第一の放出された蛍光シグナル及び第二の放出された蛍光シグナルが、前記励起部位から通過する、復路の光学経路;
前記第一の放出された蛍光シグナルの強度の第一検出手段;及び
前記第二の放出された蛍光シグナルの強度の第二検出手段
を含む、前記光学装置。
【請求項46】
前記第一又は第二の蛍光励起波長の少なくとも一方を、前記励起部位へと焦点を合わせるための第一のレンズをさらに含む、請求項45に記載の光学装置。
【請求項47】
前記第一又は第二の放出された蛍光シグナルの少なくとも一方を、前記第一又は第二検出手段の一方に焦点を合わせるための第二のレンズをさらに含む、請求項46に記載の光学装置。
【請求項48】
前記第一又は第二の放出された蛍光シグナルを、前記第一又は第二の検出手段の他方へと焦点を合わせるための第三のレンズをさらに含む、請求項47に記載の光学装置。
【請求項49】
前記第一の蛍光励起波長と関連する収差を最小化するための、第一の集束レンズをさらに含む、請求項45〜48のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項50】
前記第二の蛍光励起波長と関連する収差を最小化するための、第二の集束レンズをさらに含む、請求項49に記載の光学装置。
【請求項51】
前記送達光学経路内に、第一のダイクロイックフィルターをさらに含む、請求項45〜50のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項52】
前記復路の光学経路内に、第二のダイクロイックフィルターをさらに含む、請求項45〜51のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項53】
前記送達光学経路と前記復路の光学経路との間に配置された、第三のダイクロイックフィルターをさらに含む、請求項45〜52のいずれか一項に記載の光学装置。
【請求項54】
腎臓の作動状態の分析における使用のためのカテーテルであって:
遠位末端の反対に近接端を有し、且つ導管を規定するチューブ状主要部材:及び、
前記遠位末端から伸長可能な光ファイバーケーブル
を含む、前記カテーテル。
【請求項55】
前記チューブ状部材と一端で接続され、且つ血管系へと挿入可能な反対の端を有するイントロデューサーをさらに含む、請求項54に記載のカテーテル。
【請求項56】
挿入具をさらに含む、請求項54に記載のカテーテル。
【請求項57】
一本の前記光ファイバーケーブルが前記挿入具内に流体封入される、請求項54に記載のカテーテル。
【請求項58】
前記挿入具が、第二のチューブ状部材内にスライド可能である第一のチューブ状部材を含む、請求項57に記載のカテーテル。
【請求項59】
前記第一及及び第二のチューブ状部材が流体密閉される、請求項58に記載のカテーテル。
【請求項60】
前記光ファイバーケーブルが、前記第一のチューブ状部材の一部に固定される、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項61】
前記光ファイバーケーブルが、前記カテーテル内にスライド可能であり、且つそれから伸長可能である、請求項60に記載のカテーテル。
【請求項62】
前記光ファイバーケーブルが、血管系へ挿入可能である、遠位末端における屈曲を含む、請求項61に記載のカテーテル。
【請求項63】
第二のチューブ状部材で密閉され、且つその中へスライド可能である、第一のチューブ状部材を含む挿入具をさらに含み、前記光ファイバーケーブルが前記第一のチューブ状部材の一部によって捕捉され、前記挿入具が前記チューブ状主要部材のポートへ連結され、ここで前記光ファイバーケーブルは前記挿入具を貫通し、そして前記チューブ状主要部材へと入り、前記チューブ状主要部材がコネクターによって前記イントロデューサーへと連結され、前記第一及び第二のチューブ状部材間の相対的運動時において、前記光ファイバーケーブルが前記イントロデューサーから伸長可能である、請求項54に記載のカテーテル。
【請求項64】
腎臓の作動状態の分析における使用のためのカテーテルであって、
光ファイバーケーブル;
第二のチューブ状部材に密閉され、且つそれと共に相対的運動が可能である第一のチューブ状部材を有する、一本の前記光ファイバーケーブルについての光ファイバー挿入具、ここで前記光ファイバーケーブルは、前記第一のチューブ状部材による運動が前記光ファイバーケーブルへの運動に移行するように、前記第一のチューブ状部材の一部に取り付けられている;並びに
前記挿入具に密閉されたチューブ状本体、ここで前記光ファイバーケーブルは、前記チューブ状本体中の導管を通過し、且つ前記第一及び第二チューブ状部材間の相対的運動時においてそれから伸長可能である、前記チューブ状本体
を含む、前記カテーテル。
【請求項65】
前記チューブ状本体へと接続されるイントロデューサーをさらに含み、前記イントロデューサーが血管系内に挿入可能であり、且つ前記光ファイバーケーブルがそれから伸長可能である、請求項64に記載のカテーテル。
【請求項66】
前記光ファイバーケーブルが一端で屈曲を有し、前記一端が血管内に挿入可能である、請求項64に記載のカテーテル。
【請求項67】
哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法であって、以下のステップ:
複数の第一の蛍光分子を提供し;
複数の第二の蛍光分子を提供し;
前記第一の蛍光分子及び前記第二の蛍光分子を哺乳動物対象の血流へ導入し;
第一の蛍光励起波長を用いて前記第一の蛍光分子を励起し、第一の蛍光発光波長を有する第一の蛍光発光シグナルを発生させ、そして第二の蛍光励起波長を用いて前記第二の蛍光分子を励起し、第二の蛍光発光波長を有する第二の蛍光発光シグナルを発生させ;
前記導入ステップの後に、前記第一の蛍光発光シグナルの強度、及び前記第二の蛍光発光シグナルの強度を測定し;並びに、
前記第一の蛍光発光シグナルの強度と、前記第二の蛍光発光シグナルの強度との比を計算すること
を含む、前記方法。
【請求項68】
前記測定及び計算ステップが、既定の間隔で行われ、そして少なくとも実質的にリアルタイムで報告される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
哺乳動物器官の糸球体ろ過率の測定方法であって、以下のステップ:
複数のレポーター分子及び複数のマーカー分子を、既定の比率で含む液体を提供し;
前記液体を対象の血管系へ導入し;並びに
前記対象の血管系内における経過時間後、前記レポーター及びマーカー分子の各々の特性を測定すること
を含む、前記方法。
【請求項70】
以下のステップ:
前記測定ステップ後、前記レポーター分子の特性と前記マーカー分子の特性との比を計算すること
をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
以下のステップ:
前記比率を報告すること
をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記報告ステップが、複数の経過時間において行われる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記計算及び報告ステップが、少なくとも実質的にリアルタイムで行われる、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記レポーター分子が、糸球体ろ過障壁を通過することができる、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記マーカー分子が、糸球体ろ過障壁をレポーター分子ほど通過することができない、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記レポーター分子及び前記マーカー分子がフルオレセインである、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記レポーター分子及び前記マーカー分子がデキストランを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記マーカー分子が、前記レポーター分子よりも大きな分子量を有する、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記レポーター分子が1kD〜150kDの分子量を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記マーカー分子が100kD超の分子量を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
哺乳動物の腎臓における糸球体ろ過率の測定方法であって、以下のステップ:
既知の波長を有する光源を提供し;
蛍光分子を前記光源へ曝露し、ここで前記蛍光分子は、既定の時間で哺乳動物対象の血管系内において励起され;並びに
前記励起された蛍光分子の特性を測定すること、ここで前記特性は、前記血管系の状態と相関性を有する、
を含む、前記方法。
【請求項82】
方程式:
【数3】

[式中、
lは血管腔の仮想容積であり;A2及びB2は定数であり;αは高速相減衰定数であり;並びにβは低速相減衰定数である]
に従って、糸球体ろ過率を計算するステップをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
方程式:
【数4】

[式中、
Dは前記蛍光分子内のレポーター分子の容積であり;C2は前記蛍光分子からのマーカー分子の血漿濃度であり;A及びBは定数であり;αは高速相減衰定数であり;並びにβは低速相減衰定数である]
に従って、糸球体ろ過率を計算するステップをさらに含む、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
方程式:
【数5】

[式中、
Vdは全体の細胞外容積であり;V1は血管腔の仮想容積であり;A2及びB2は定数であり;αは高速相減衰定数であり;並びにβは低速相減衰定数である]
を利用して、糸球体ろ過率を計算するステップをさらに含む、請求項81に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−521899(P2011−521899A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505236(P2011−505236)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040994
【国際公開番号】WO2009/140026
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510277039)ファーマコフォトニクス,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】