説明

腐食電位を予測するための方法、コンピュータプログラムプロダクト、航空宇宙機を検査する方法、航空宇宙機のためのメンテナンススケジュールを準備する方法、RCI値を算出するステップを含む方法、複数の構成要素を有する航空宇宙機、および、RCI値を有する航空宇宙機のための構成要素

【課題】腐食を識別しかつ管理するためのシステムと、それに関連する方法とを提供する。
【解決手段】この発明は、「相対腐食指数」(RCI)を測定することによって、アセンブリについての構造上の腐食電位を識別および管理するためのシステムを提供する。腐食を起こすパラメータが識別され、腐食の促進に対するそれらの相対的な寄与が、容易に分散されるコンピュータベースのシステムに組込まれている。たとえば、コンピュータプログラムは、ユーザが単一のツールを用いてアセンブリについてのRCI(相対腐食指数)を算出することを可能にし得る。材料のすべての組合せについてRCIの概要が提供され得るが、これは、ユーザが入力する材料および環境のデータに基づいて算出され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、腐食を識別および管理するためのシステムと、それに関連する方法とに向けられる。特に、この発明は、「相対腐食指数」(″RCI″)を測定することによってアセンブリについての構造上の腐食電位を識別および管理するためのシステムを提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腐食は、環境と反応することで材料またはその特性が劣化することであり、結果として、典型的には構造の完全性が損なわれてしまう。先進国のGNPの約3〜4%に匹敵する量が、材料の損失、構造上の破損、在庫の損失、製造工場のダウンタイム、保証および保険の請求、効率性の低下、汚染、ならびに構造および構成要素の過剰設計に起因する腐食による経済的損失に関連していると推定される。軍用および商業用の航空機のメンテナンスに関連付けられるライフサイクル費用の約20%は、腐食の検査や修理に関連している。腐食により、重要安全部品が突発的に劣化および故障してしまうので、身体の負傷、物的損害および環境汚染がもたらされる可能性もある。加えて、腐食は、エネルギ資源および物質資源を含む天然資源の使用の増加による潜在的に有害で不必要な環境開発を招く。
【0003】
現在の製造および設計は、材料・工程技術者(Material & Process Engineers)の個人の知識、技術および専門技術に依拠して部分ごとに図面および明細書を審査し、起こり得る腐食の問題を識別するよう実施されている。この工学技術分野は体系的でなく、工学技術工程には腐食パラメータについての共通の基準セットが欠如している。腐食が起こり得る場所を識別し、特徴付けしかつ管理するための定量的ツールが必要とされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
腐食は、化学反応または電気化学反応によって起る可能性があり、通常、材料とその環境との間の界面のプロセスである。単に浸食、摩損または擦過などの物理的手段による劣化は一般には腐食とは考えられていないが、これらのプロセスによってもたらされる表面の損傷が腐食を促進させるおそれがある。化学的腐食は不均一反応であり得、材料/環境の界面に発生し、反応物の1つとして(金属または複合材料などの)材料自体を関与させる。腐食がこのように発生するものとして、酸性またはアルカリ性溶液中の材料、高温の酸化環境における材料、または大気酸素および周囲水の存在下での材料が含まれ得る。電気化学腐食は、電子または電荷の転送を伴う2つ以上の部分的な反応からなる。電気化学反応は、流体の電解液を含み得る陽極、陰極および完全な電気回路を必要とする。たとえば、塩酸における金属の反応時に、金属が酸化され、電子が陽極で生成される。同時に、水素の陽イオンが還元され、電子が消費されて陰極で水素ガスが発生する。一般に、酸化は陽極で起り、還元は陰極で起る。腐食は、通常、材料(たとえば、金属または合金)が酸化される陽極で起り、これにより、溶解、損耗、材料への浸透、および構造完全性の低下が引起こされる。
【0005】
材料の陽極酸化反応が起る場合、還元が同時に起るはずである。腐食しているアセンブ
リにおいては、陽極および陰極の半反応は相互に依存しており、ガルバニ電池を形成する。材料は、その環境に対して電位または起電力を設定し、電解質のイオン強度および組成、温度、材料(たとえば、金属または合金)自体、ならびに他の要因に依存している。プラスに帯電している陽イオンの放出により、溶液中の陽極に材料の電位が生じる。材料の標準的な電位は、当該技術において周知のとおり、単位活性時に可逆的な標準状態(1大気圧、25℃)下でそのイオンの平衡濃度を固定することによって規定される。その電位、すなわち電気化学反応の熱力学的駆動の影響の基準は、絶対項で評価することはできないが、それと別の参照電極との間の差によって決定される。使用される一般的な標準の参照電極は飽和カロメル電極および飽和されたCu/CuSO4であり、その電位は、定義上、標準状態下では0.000Vである標準水素電極に対して測定される。ガルバニ電池の電位は、囲まれている環境における陽極および陰極の半電池の電位の合計である。
【0006】
金属構成要素でアセンブリを設計する場合、一般的な工学技術の実務として、図1に示されるような定性的材料適合性のチャートを参照する。図1は、海水(106)中における第1の金属(102)と第2の金属(104)との適合性を示す。環境が異なる場合の同様の適合性チャートが当業者には公知である。図1においては、金属構成要素の2つのベクトルが、活性金属(112)からより活性の低い金属(114)の順で三角形(110)の2つの側面に沿って整列している。金属A〜Tは表(120)において識別される。技術者は、このようなチャートを用いて、白金(122)と亜鉛(124)とが海水環境においては互いに対して「不適合」(126)であるのに対して、カドミウム(132)と亜鉛(124)とが「適合」(138)することを判断し得る。このチャートは、電解液中の2つの金属構成要素の適合性に関する情報、すなわち電気化学腐食の可能性についての情報だけを提供しているが、互いに直接接触している2つの金属の適合性を予測することを意図するものではない。さらに、この情報は定量的ではない。2つの金属の電気化学反応性の名目上の定量的評価は、図2を参照することによって決定され得る。図2は、海水中の金属および合金の電位列(200)である。たとえば、白金(214)、カドミウム(212)および亜鉛(210)についての電気化学ポテンシャル対標準的なカロメル参照電極が示される。当該列(200)における金属の対についての電位差を用いて、海水中における白金と亜鉛の対またはカドミウムと亜鉛の対などの金属の電気化学腐食に関連付けられる単純な熱力学値を算出し得る。
【0007】
しかしながら、最先端の方法には、任意に複雑なアセンブリを分析するための、特に、表面保護、材料間の直接接触、熱、紫外線、水分、構成要素の大きさおよび位置、ならびに他の関連するパラメータの影響の定量的評価のための包括的なツールが欠如している。この発明は、この明細書中に記載のとおり、相対腐食指数の形での材料適合性の定量的評価のためのこのようなツールを提供する。
【0008】
この発明の有利な実施例は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムの形をとる。この発明は知識ベースのシステムを含み、当該知識ベースのシステムは、材料・工程技術者の個人の知識、技術および専門技術を含む、1人以上の専門家の特定分野別知識を含む。当該システムは、システムのユーザによって供給される特定クラスの材料についての情報を分析する1組のルールからなるプログラムであり、問題の分析を提供し、いくつかの実施例においては、腐食電位を軽減するように補正を実現するためにユーザのとるべき行動を推奨する。このようなシステムは、他の部材に容易に転送できない高レベルの知識および専門技術を有する組織にとっては有益であるだろう。この発明は、問題を解決する目的で、専門家の知力に見出される知能および情報を伝達し、企業または政府機関などの組織の他のメンバーにこの知識を与えるためのメカニズムを提供する。この発明から利益を得ることのできるいくつかの事業は、航空機の製造およびメンテナンス、パイプラインおよび海洋掘削プラットフォームを含む石油の掘削および輸送、外航貨物船、(鉄道車両を含む)鉄道および自動車およびこれに関連付
けられるエンジンの製造およびメンテナンス、橋の建設および検査、建物建築、圧力容器(たとえば、ボイラー)の製造および稼動、石油化学プラントの稼動、ならびに、中でも、有毒材料を貯蔵および輸送するためのタンクの製造、稼動および検査を含む。
【0009】
この発明の実施例においては、腐食を起こすパラメータが識別され、腐食の促進に対するそれらの相対的な寄与が、容易に分散されるコンピュータベースのシステムに組込まれている。たとえば、コンピュータプログラムは、ユーザが単一のツールを用いてアセンブリについてのRCI(相対腐食指数)を算出することを可能にし得る。材料のすべての組合せについてRCIの概要が提供され得るが、これは、ユーザが入力する材料および環境のデータに基づいて算出され得る。
【0010】
別の局面においては、この発明はさらに、点検中に、RCIを、腐食についての電位を有する既存の構造のための検査間隔に変換する方法を提供する。たとえば、構成要素についてのRCIが算出されてもよく、より腐食し易いと判断されるこれらの構成要素がより頻繁に検査される検査計画が実現されてもよい。すなわち、所与の構成要素のための検査間の期間は、その構成要素についてのRCIの大きさに基づき(たとえば、比例し)得る。この態様で、航空宇宙機内のさまざまな構成要素の検査に関連付けられる時間とコストとが管理され得る。したがって、この発明の実施例は航空宇宙機を検査する方法を含み、当該方法は、航空宇宙機の構成要素についてのRCIを決定するステップと、腐食について当該構成要素を検査するステップと、その後、腐食について当該構成要素を再検査するステップとを含む。この場合、再検査前に経過した間の時間の量は構成要素についてのRCIの大きさに基づいている。便宜上、構成要素およびアセンブリという語はこの明細書中では同義で用いられてもよく、例として、ウイングフラップ、コックピットの計器盤、化粧室および洗面所設備、エンジンマウント、着陸装置、燃料システム、外部および内部の胴体、アンテナ、照明設備、窓およびドアの枠または固定具、ならびに飛行機などの航空宇宙機についての同等物が含まれる。
【0011】
別の局面においては、この発明は、航空宇宙機のためのメンテナンススケジュールを準備する方法に関し、当該方法は、航空宇宙機の構成要素についてのRCI値を算出し、当該RCI値に基づいて当該構成要素の予定された検査またはメンテナンスの頻度を割当てるステップを含む。
【0012】
この発明のさらに別の実施例は、構成要素についてのRCI値を算出し、当該RCI値に基づいて構成要素を選択することによって航空宇宙機の製造または修理時に使用される構成要素を選択する方法を含む。この場合、たとえば、RCI値は所定の範囲内にある。この発明の他の実施例は、複数の構成要素を有する航空宇宙機を含み、各々の構成要素は所定の範囲内にあるRCI値を有する。この発明のさらに別の実施例は、この明細書中に記載される方法に従って算出されるRCI値を有する航空宇宙機のための構成要素を含む。
【0013】
ある実施例においては、この発明は構造についてのRCIを計算するための方法を含み、当該方法は、(1)如何なる有機表面処理、無機表面仕上げ、コーティング損傷可能性、環境条件、および水分侵入可能性をも含む、使用される材料を識別するステップと、(2)接合材料の電位に基づいてガルバニ結合指数を算出するステップと、(3)係数を記録および変更するシステムに基づいて腐食電位を算出するステップと、(4)所定のRCIスケールに適合するよう腐食電位を正規化してRCI値を生成するステップとを含む。当該発明はまた、(5)RCIを検査間隔に変換するか、または、(6)たとえばデータベースにおけるような電子形式で、入力もしくは算出されたデータもしくは結果を記憶する任意の付加的なステップを含む。
【0014】
別の実施例においては、この発明は、1からiの材料と0からjの界面とを含むアセンブリについての腐食電位を予測するための方法を含む。この場合、各界面はいずれかの2つの材料間の接点である。当該方法は、以下の式に従ってiのRCIMaterial値を各材料について1つの値ずつ算出するステップを含む。
【0015】
【数1】

【0016】
ここでは、RCIBaseは、実数、または、材料に固有の実数を得るよう評価され得る関数であり、fMは第1のスカラ関数(たとえば乗算)であり、F1M〜FnMは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択された材料腐食係数である。当該方法はまた、以下の式に従って、jのRCIInterface値を各界面について1つの値ずつ算出するステップを含む。
【0017】
【数2】

【0018】
ここで、
【0019】
【数3】

【0020】
は、式Iに従って算出されたとおり、界面における材料の最大のRCIMaterialであり、fIは第2のスカラ関数(たとえば乗算)であり、F1I〜FmIは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択された界面腐食係数である。当該方法はさらに、以下の式に従ってRCIAssembly値を算出するステップを含む。
【0021】
【数4】

【0022】
ここで、fAは第3のスカラ関数(たとえば乗算)であり、各々のRCIMaterial値は式Iに従って算出され、各々のRCIInterface値は式IIに従って算出される。
【0023】
この発明の原理は、単にコンピュータプログラムとしてその実現例を限定するものではなく、この発明は、代替的な技術を用いて等しい有効性および値で実施され得る。
【0024】
この発明の他の特徴および利点は、この発明の原理を一例として示している添付の図面に関連して、好ましい実施例についての以下のより詳細な説明から明らかとなるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
発明の詳細な説明
図3を参照すると、フローチャート(318)に図示のとおり、アセンブリについての全体的なRCI(350)は、アセンブリにおける各材料についてのRCIMaterial値(320)の算出(325)と、アセンブリにおける材料間の各界面についてのRCIInterface値(330)の算出(335)との段階的な実行から始まる。当該ステップはいかなる順序で完了してもよい。RCIMaterialおよびRCIInterfaceの値がすべて算出された後、以下に記載されるとおり、アセンブリについての全体的なRCIが算出される(345)。アセンブリについてのRCIは、RCIMaterial(325)およびRCIInterface(335)の値の最大RCI値である。全体的なRCI値(350)は、RCIMaterial(325)およびRCIInterface(335)の値の関数(340)、すなわち、材料および界面の最大RCIである。
【0026】
さらに図3を参照すると、一例として示される3構成要素のアセンブリ(310)は、金属締結具(313)によって接合される平坦な金属薄板(311)と角度の付いた金属薄板(312)とを含む。この3構成要素のアセンブリ(310)の例は、3つの金属構成要素(311,312,313)と、これにより3つのRCIMaterial値(320)とを有する。3構成要素のアセンブリ(310)はまた、個々の金属構成要素が互いに接触している3つの金属間界面と、これにより3つのRCIInterface値(330)とを有する。このアセンブリ(310)の例においては、RCIは、(RCIMaterial1、(RCIMaterial2、(RCIMaterial3、(RCIInterface1-2、(RCIInterface1-3、および(RCIInterface2-3のうちの最大値である。図示されるアセンブリ(310)は金属製の構成要素を有しているが、この発明はまた、腐食し易い可能性のある他の材料、たとえば、グラファイトエポキシパネルをアルミニウムパネルに接合する金属締結具に関する。
【0027】
この発明の実施例は、図3に示される3構成要素のアセンブリの分析に関するが、この発明の他の実施例は、各々の構成要素についての1〜iのRCIMaterial値と、材料間の接点の各々についての0からjのRCIInterface値とを有する任意に大型のアセンブリの検討を含む。構成要素を1つしかもたないアセンブリには界面がない。全体的なRCI値は約0から約100の範囲であり、ここでは、RCI=0が最も好ましく、RCI=100は望ましくない。
【0028】
図4は、RCIMaterial値(320)がいかに算出されるかを示しており、フローチャート(400)に示されるステップを含む。各材料について、材料の種類は、さまざまな材料についてのランク付けされたリストを参照することによって識別され(410)、RCIBase値(412)が割当てられる。RCIBase値(412)は、各材料について半経験的に決定される。材料と対応するRCIBase値との例として2024−T3が挙げられ、この場合、RCIBaseは90である。
【0029】
さらに図4を参照すると、材料がいずれも禁止された(420)場合、算出されたRCIMaterial値(320)が100になる、すなわち最大になるように、任意に高いFProhibit値(422)が割当てられる。材料が禁止されていない場合、FProhibit=1である。
【0030】
さらに図4を参照すると、材料の表面が或るプロセスによって処理または準備されていた(430)場合、FST値(432)は、さまざまな表面処理についてのランク付けされたリストを参照することによって割当てられる。FST値(432)は約0から約1の範囲であり、各々の表面処理について半経験的に決定される。材料が表面処理されていなければ、FST=1となる。表面処理の例としてニッケルめっきが挙げられ、この場合、FST
0.15である。
【0031】
さらに図4を参照すると、材料の表面がコーティングされていた(440)場合、FCoating値(442)は、プライマ、トップコートおよびインヒビタについてのランク付けされたリストを参照することによって算出され、FCoating値(442)はこれらのパラメータのうちの3つすべての関数となる。具体的には、FCoating=f(FPrimer,FTopcoat,FInhibitor)であり、この場合、関数は乗算である。FPrimer(444)、FTopcoat(446)およびFInhibitor(448)の値は約0〜約1の範囲であり、各々のプライマ、トップコートおよびインヒビタについて半経験的に決定される。材料にプライマ、トップコートまたはインヒビタがない場合、対応するFPrimer、FTopcoatまたはFInhibitorの値は1となる。材料がコーティングされていない場合、FCoating=1となる。この場合、材料は、別の材料と電気的に接触していてもよい。プライマと対応するFPrimer値との例としてエポキシプライマが含まれ、この場合、FPrimerは0.90である。トップコートと対応するFTopcoat値との例としてポリウレタンが含まれ、この場合、FTopcoatは0.20である。インヒビタの例として六価クロムが挙げられ、この場合、FInhibitorは0.50である。
【0032】
図4をさらに参照すると、たとえば砂、砂利、燃焼による排気ガスなどがある状態でコーティングが損なわれる可能性のある(450)位置または環境に、コーティングされた材料が位置している場合、F′Coating値(452)が算出される。F′Coating値は、約0〜約10以上の範囲である。材料がコーティングされていない場合、F′Coating=1となる。材料がコーティングされている場合、F′Coating(452)は、構成要素が環境またはメンテナンスによる損傷にどれほど晒されるかについての基準となる構成要素の位置(454)と、その位置で発生し得る損傷、たとえば、ジェットエンジン排気ガスからの熱による損傷、砂との衝突による磨耗、または、定期的なメンテナンス中のツールの偶発的な接触による衝突による損傷などの種類(456)との関数である。F′Coating(452)は、特定の位置(454)および種類(456)についてのランク付けされ半経験的に決定された値の表を参照することによって割当てられる係数をFCoating(442)に掛けることで算出される。この文脈においては、「位置」は、アセンブリにおいて構成要素が位置している場所(上部、底部など)を指しており、位置はその配列を指すものではない。
【0033】
さらに図4を参照すると、水分侵入の可能性がある(460)位置または環境に材料がある場合、FMoisture値(462)が算出される。FMoisture値は約0〜ほぼ10以上の範囲である。水分に晒されることが起こりそうにないかまたはRCIの算出に重要ではないと考えられる場合、FMoisture=1となる。材料が水分に晒される可能性がある場合、FMoisture(462)は、構成要素の位置、FLocation(464)と、その位置の排水特徴、FDrainage(466)と、材料が締結具として機能している場合、FFastener(468)との関数(乗算)である。
【0034】
さらに図4を参照すると、FProtective値(472)またはFAdverse値(482)を算出するために、材料が保護環境(470)にあるかまたは悪条件(480)下にあるかどうかについての査定が、以下に詳細に説明されるとおりなされる。これらの2つの条件は相互に排他的である。すなわち、材料が保護環境にある(たとえば、油中に入れられている)と考えられる場合、FProtective値(472)が算出され、FAdverse=1となる。同様に、材料が悪条件(たとえば、海水)に晒されていると考えられる場合、FAdverse値(482)が算出され、FProtective=1となる。FAdverse値が約0〜ほぼ10以上の範囲であるのに対して、FProtective値は約0〜約1の範囲である。保護作用または悪影響がない場合の係数は単一である(1に等しい)。
【0035】
図4をさらに参照すると、RCIBase、FProhibit、FST、F′Coating、FMoisture、FProtectiveおよびFAdverseの値が決定された後、これらを掛け合わせて、最後のステップ(490)における構成要素についてのRCIMaterial値(320)を得る。フローチャート(400)に概略されるプロセスが、評価中にアセンブリの各構成要素のために繰返される。RCIMaterial値は約0〜約100の範囲である。
【0036】
図5は、点検時に材料が遭遇する環境に基づいてFProtective値(472)がいかに算出されるかを示す。フローチャート(500)を参照して、材料が油に浸されているかどうか(510)が判断される。この場合、油についてのランク付けされたリストを参照することによってFoil値(512)が割当てられる。Foil値(512)は、各々の油について半経験的に決定される。例として作動油が挙げられ、この場合、Foilは0.10である。
【0037】
さらに図5を参照すると、材料が燃料に浸されているかどうか(520)が判断される。この場合、燃料についてのランク付けされたリストを参照することによってFfuel値(522)が割当てられる。Ffuel値(522)は各々の燃料について半経験的に決定される。例としてジェット燃料が挙げられ、この場合、Ffuelは0.10である。
【0038】
さらに図5を参照すると、材料が加圧された環境にあるかどうか(530)、たとえば、構成要素が飛行機の与圧された客室にあるかどうかがさらに判断される。この場合、圧力条件についてのランク付けされたリストを参照することによってFpressure値(532)が割当てられる。Fpressure値(532)は、各々の圧力条件について半経験的に決定される。例として、コクピットの与圧が挙げられ、この場合、Fpressureは0.20である。
【0039】
さらに図5を参照すると、材料が保護された環境にあるかどうか(540)、たとえば、構成要素が密閉された区画にあるかどうかがさらに判断される。この場合、保護条件についてのランク付けされたリストを参照することによってFProtected値(542)が割当てられる。FProtected値(542)は各々の条件について半経験的に決定される。例として、封止された貨物用コンテナが挙げられ、この場合、FProtectedは0.01である。
【0040】
図5に示される計算を実行する際に、Foil、Ffuel、FpressureおよびFprotectedの条件は、この明細書中において、相互に排他的なものとして規定されてもよい。すなわち、約0〜約1の範囲のFProtectiveは、1.0、Foil、Ffuel、FpressureまたはFprotectedである。
【0041】
図6は、約0から約10以上の範囲であり得るFAdverse値(482)の算出に含まれるステップを示す。当該ステップは、フローチャート(600)に示されており、材料が或る悪条件に晒される可能性があるかどうかを確かめることから始まる。各々の悪条件については、半経験的に決定されたF値が各条件に対して割当てられ、いずれのコーティングの影響によってもオフセットされ、次に、乗算されてFAdverse値(482)を生成する。このような悪条件と対応するF値との例には、塩(Fsalt=4)(612)、紫外線(FUV=2)(650)、航空機除氷液(FAnti-Ice=10)(660)、航空機洗面所(「青い」)廃水(FBlue=8)(670)、航空機エンジン排気ガス(FExhaust=2)(680)、および、約250°Fを上回る熱(FHeat=2)(690)に晒されることが含まれる。これらの悪条件のうちの1つが存在しないと判断された場合、それはFAdverseの計算から省かれてもよい。同様に、付加的な悪条件が存在する場合、それらの条件についての対応するF値がFAdverseの計算に加えられてもよい。航空機産業に関連して悪条件をこの明細書中に説明してきたが、当該悪条件が変更可能であり、多種多様な技
術工学の分野と産業とに適合可能であることを当業者は認識するだろう。
【0042】
さらに図6を参照すると、材料が塩に晒される可能性がある(610)場合、いずれのコーティングの影響も評価される(620)。たとえば、材料が塩に晒される場合、F′salt(613)の値が、図4に関連して上述されFsalt(612)が掛けられた同じFPrimer(444)、FTopcoat(446)およびFInhibitor(448)の係数を用いて算出される。当該プロセスは、F′UV(652)、F′Anti-Ice(662)、F′Blue(672)、F′Exhaust(682)およびF′Heat(692)を算出するために他の悪条件について繰返される(630)。悪条件の係数がすべていずれかのコーティングに関して算出された後、これらを掛け合わせてFAdverse(482)を生成する(640)。
【0043】
RCIInterface値(330)の算出が図7のフローチャート(700)に示される。界面における各々の材料について、ガルバニ群(712)は、材料の種類(714)および表面処理(716)に従って分類されたさまざまな材料についてのランク付けされたリストを参照することによって、決定され(710)、値が割当てられ、RCIBase値が割当てられる。Ngalvanic値(712)は、各々の材料についての電気化学ポテンシャルに関連しており、特定の材料についてのNgalvanic値(712)の例には、アルミニウムとステンレス鋼との間の2つのNgalvanicが含まれる。
【0044】
さらに図7を参照すると、ガルバニック作用の電位、Fgalvanic(722)は、界面についての2つのNgalvanic値(712)の差の関数である(720)。たとえば、Ngalvanic=2であれば、Fgalvanicは6であり得る。
【0045】
さらに図7を参照すると、分離係数、FSealant(732)が算出されて(730)、界面における材料が、構成要素のいずれかにおけるコーティング(734)によって互いから電気化学的に分離されているかどうかが説明される。FSealant値(732)は各々の条件について半経験的に決定され、このような条件と対応する値との例には多硫化物シーラントが含まれ、この場合、FSealantは0.1である。
【0046】
さらに図7を参照すると、いずれかのアセンブリの界面における構成要素の相対的な大きさについてさらに考慮される(750)。この係数、Fsmall(752)の目的は、小さな構成要素がかなり大きな構成要素と接触している状況について説明することである。2つの異なる構成要素のサイズの大きな差(754)(たとえば、質量の差または表面積の差)が、より小さな構成要素の陽極容量を上回る(より小さな構成要素が完全に酸化され得る)可能性があり、結果として、過度の腐食作用がもたらされる可能性がある。小さなリベットまたは締結具が犠牲陽極として機能する場合、これらは完全に腐食する可能性がある。構成要素の相対的な大きさがRCIInterface値(330)の計算にとって重要でない場合、Fsmall=1となる。Fsmallの値の例として2.0が挙げられる。
【0047】
さらに図7を参照すると、材料間の直接的な接点が存在している界面について考慮される(760)。このような状況では、電子が一方の導電性構成要素から他方の導電性構成要素に流れる完全な電気回路が存在し得る。界面が構成要素間に電気的結合を形成する場合、FSealant(732)およびFCoating(442)は1に等しくなるはずである。
【0048】
最後に、図7を参照すると、界面に含まれる材料の最大のRCIMaterial(775)をFsmall(752)、FSealant(732)およびFgalvanic(722)に掛けることによって、各々の界面についてのRCIInterface値(330)が算出される。これらのステップはアセンブリに存在する各々の界面のために繰返される。
【0049】
この発明の実現例はコンピュータプログラムプロダクトを含み、当該コンピュータプロ
グラムプロダクトは、コンピュータ読取可能媒体上で実現され、腐食電位を予測するためのマイクロプロセッサによって実行可能であり、この明細書中に記載される方法のステップを実行するためのコンピュータ命令を組込む。制御アルゴリズムがコンピュータプログラムにおいて実現され、マイクロプロセッサによって実行されることが好ましいが、当該制御アルゴリズムが、当業者によってデジタルまたはアナログハードウェアを用いて実現および実行され得ることが理解されるべきである。図8は、ユーザがコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムを用いてこの発明を利用し得るグラフィカルユーザインターフェイス(800)を示す。当該インターフェイスにより、ユーザが、材料の種類(810)、表面処理(820)、コーティングなどの表面仕上げ(830)、および起こり得る損傷にこのようなコーティングが晒されること(840)、環境(850)、ならびに水分(860)についての情報を入力することが可能となる。ユーザは、ドロップダウンメニューとチェックボックスとによってデータを入力する。コンピュータプログラムは、この明細書中に記載のとおりRCI(870)を算出する。RCI(870)は、起こり得る腐食の問題のために工学的青写真、設計プランおよび仕様書を評価する際に用いられてもよい。加えて、既存の構造についてのRCIは、より高いRCIをもつアセンブリがより頻繁に検査され、より低いRCIをもつアセンブリがさほど頻繁に検査されないといった検査計画を設計するのに用いられてもよい。
【0050】
さらに別の実施例においては、この発明は、1からiの材料と0からjの界面とを含むアセンブリについての腐食電位を予測するための一般的な方法を含む。この場合、各々の界面はいずれかの2つの材料の間の接点である。当該方法は、以下の式に従ってiのRCIMaterial値を各材料について1つの値ずつ算出するステップを含む。
【0051】
【数5】

【0052】
ここで、RCIBaseは、実数、または材料に固有の実数を得るよう評価され得る関数であり、fMは第1のスカラ関数(たとえば乗算)であり、F1M〜FnMは、実数の組、または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択される材料腐食係数である。当該方法はまた、以下の式に従ってjのRCIInterface値を各界面について1つの値ずつ算出するステップを含む。
【0053】
【数6】

【0054】
ここで、
【0055】
【数7】

【0056】
は、式Iに従って算出されたとおり、界面における材料の最大のRCIMaterialであり、fIは第2のスカラ関数(たとえば乗算)であり、F1I〜FmIは、実数の組、または実数
を得るよう算出され得る関数の組から選択される界面腐食係数である。当該方法はさらに、以下の式に従ってRCIAssembly値を算出するステップを含む。
【0057】
【数8】

【0058】
ここで、fAは第3のスカラ関数(たとえば、最大値)であり、各々のRCIMaterial値は式Iに従って算出され、各々のRCIInterface値は式IIに従って算出される。当該方法に従うと、RCIAssemblyの大きさは当該アセンブリの腐食電位に基づいている。「スカラ関数」という語は、1つ以上のオペランドを評価して単一の無次元数値を生成する乗算などの如何なる数学的関数をも含むことを意図している。
【0059】
ある実施例においては、材料腐食係数および界面腐食係数は、保護腐食係数および悪条件腐食係数を含む。保護腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数であり得る。同様に、悪条件腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数であり得る。好ましい実施例においては、保護腐食係数および悪条件腐食係数は、直交する組、すなわち、共通した点を1つしかもたない組、から選択される。たとえば、保護腐食係数は0から1であってもよく、悪条件腐食係数は1から約100であってもよく、したがって、2つの組は共通の値1を共有する。この発明の原理は、0および負の数から選択される保護腐食係数、ならびに、0および正の数であり得る悪条件腐食係数などの他の組を含むよう適合されてもよい。
【0060】
好ましい実施例に関連してこの発明を説明してきたが、この発明の範囲から逸脱することなくさまざまな変更が可能であり、その要素の代わりに同等物が代用可能であることを当業者は理解するだろう。たとえば、この明細書中に記載される特定の数値計算は特定の範囲にスケール変更され、たとえば、アセンブリについてのRCIは約0〜約100であり、この場合、0では腐食する可能性が低く、100では腐食する可能性が極めて高くなる。この明細書中に記載されるように、「有益な」係数(たとえば、材料上にシーラントまたはコーティングが存在すること)が、1未満の値を有する係数としてRCI計算に組込まれる。同様に、「不利益な」係数(たとえば、塩が存在すること)が、1よりも大きな値を有する係数としてRCI計算に組込まれる。当業者であれば、これらの範囲および計算が特定の必要性に適合するよう変更可能であることを容易に認識するだろう。たとえば、この明細書中に記載される計算は、負の値から正の値にわたるRCIスケールを生成するよう容易に変更され得る。このようなさらなる変更例は当業者に容易に認識されるだろう。加えて、その本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料をこの発明の教示に適合させるよう多くの変更を行なうことが可能である。したがって、この発明が、この発明を実行するために企図された最適なモードとして開示された特定の実施例に限定されないが、この発明が添付の特許請求の範囲に収まるすべての実施例を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】海水環境における2つの異なる金属についての定性的腐食適合性チャートの例を示す図である。
【図2】海水中の或る金属および合金の電位列の例を示す図である。
【図3】RCIMaterial値およびRCIInterface値からいかにRCIが算出されるかを示す図である。
【図4】RCIMaterial値がいかに算出されるかを示す図である。
【図5】FProtective値を算出するのに用いられるパラメータを示す図である。
【図6】FAdverse値を算出するのに用いられるパラメータを示す図である。
【図7】RCIInterface値がいかに算出されるかを示す図である。
【図8】さまざまな入力パラメータに基づいてRCI値を算出するコンピュータプログラムのグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【符号の説明】
【0062】
102 第1の金属、104 第2の金属、106 海水、110 三角形、112 活性金属、114 より活性の低い金属、120 表、122 白金、124 亜鉛、132 カドミウム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腐食電位を予測するための方法であって、
アセンブリを設けるステップを含み、前記アセンブリは、
1からiの材料と、
0からjの界面とを含み、各々の界面はいずれかの2つの材料間の接点であり、前記方法はさらに、
式Iに従って各々の材料についてのRCIMaterial値を算出するステップを含み、
【数1】

ここで、RCIBaseは、実数または材料に固有の実数を得るよう評価され得る関数であり、
Mは第1のスカラ関数であり、
1M〜FnMは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択される材料腐食係数であり、前記方法はさらに、
式IIに従って各々の界面についてのRCIInterface値を算出するステップを含み、
【数2】

ここで、
【数3】

は、式Iに従って算出されるとおり、界面における材料の最大のRCIMaterialであり、
Iは第2のスカラ関数であり、
1I〜FmIは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択される界面腐食係数であり、前記方法はさらに、
式IIIに従ってRCIAssembly値を算出するステップを含み、
【数4】

ここで、fAは第3のスカラ関数であり、
各々のRCIMaterial値は式Iに従って算出され、
各々のRCIInterface値は式IIに従って算出され、
RCIAssemblyの大きさは前記アセンブリの腐食電位に基づいている、方法。
【請求項2】
前記材料腐食係数および前記界面腐食係数は保護腐食係数および悪条件腐食係数を含み、前記保護腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数を含む第1の組から選択され、前記悪条件腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数を含む第2の組から選択され、前記第1の組および前記第2の組は直交している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の組は1以下の実数を含み、前記第2の組は1以上の実数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のスカラ関数は乗算であり、前記第2のスカラ関数は乗算である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第3のスカラ関数は最大関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1Iは、界面の材料間における電気化学ポテンシャルの差に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
RCIMaterial=RCIBase×FProhibit×FST×F′Coating×FMoisture×FProtective×FAdverseであり、
Prohibitは、材料が禁止されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる約1から約100の間の値であり、
STは、表面処理の存在および種類に基づいて経験的に割当てられる約0から約1の間の値であり、
F′Coatingは、コーティングの存在および種類に基づいて経験的に割当てられる約0から約10の間の値であり、
Moistureは、材料が水分に晒されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる約0から約10の間の値であり、
Protectiveは、材料が保護条件に晒されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる約0から約1の間の値であり、
Adverseは、材料が悪条件に晒されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる約0から約10の間の値である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
F′Coatingは、材料上のプライマの存在および種類と、アセンブリにおける材料の位置と、材料が前記位置で被る損傷の種類とにさらに基づいて経験的に割当てられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Moistureは、アセンブリにおける材料の位置と、排水が前記位置にあるかどうかと、材料が締結具として機能しているかどうかとにさらに基づいて経験的に割当てられる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
Protectiveは、材料が油に浸されているか、燃料に浸されているか、加圧された環境にあるか、または保護された環境にあるかどうかに基づいて経験的に割当てられる、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
Adverseは、塩、紫外線、除氷液、廃水、排気ガスまたは熱に晒されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ProtectiveまたはFAdverseのうちの少なくとも1つは1に等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
【数5】

ここで、Fgalvanicは、界面の2つの材料間の電気化学ポテンシャルの差に基づいて経験的に割当てられる約0から約10の間の値であり、
Sealantは、材料のうちのいずれかがシーラントによって電気化学的に分離されているかどうかに基づいて経験的に割当てられる約0から約1の間の値であり、
smallは、材料の大きさの相対的な差に基づいて経験的に割当てられる約1から約1
0の間の値である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
RCIAssemblyは約0から約100である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
約100に等しいRCIAssemblyを有するアセンブリは、約0に等しいRCIAssemblyを有するアセンブリよりも腐食する可能性が高いと予測される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
材料腐食係数および界面腐食係数は電子形式で記憶される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記アセンブリは航空宇宙機の構成要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
コンピュータ読取可能媒体上で実現され、腐食電位を予測するためのマイクロプロセッサによって実行可能であり、以下のステップを実行するためのコンピュータ命令を含むコンピュータプログラムプロダクトであって、前記ステップは、
アセンブリを設けるステップを含み、前記アセンブリは、
1からiの材料と、
0からjの界面とを含み、各々の界面はいずれかの2つの材料間の接点であり、前記ステップはさらに、
式Iに従って各々の材料についてのRCIMaterial値を算出するステップを含み、
【数6】

ここで、RCIBaseは、実数または材料に固有の実数を得るよう評価され得る関数であり、
Mは第1のスカラ関数であり、
1M〜FnMは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択される材料腐食係数であり、前記ステップはさらに、
式IIに従って各々の界面についてのRCIInterface値を算出するステップを含み、
【数7】

ここで、
【数8】

は、式Iに従って算出されるとおり、界面における材料の最大のRCIMaterialであり、
Iは第2のスカラ関数であり、
1I〜FmIは、実数の組または実数を得るよう評価され得る関数の組から選択される界面腐食係数であり、前記ステップはさらに、
式IIIに従ってRCIAssembly値を算出するステップを含み、
【数9】

ここで、fAは第3のスカラ関数であり、
各々のRCIMaterial値は式Iに従って算出され、
各々のRCIInterface値は式IIに従って算出され、
RCIAssemblyの大きさは前記アセンブリの腐食電位に基づいている、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項19】
前記材料腐食係数および前記界面腐食係数は保護腐食係数および悪条件腐食係数を含み、前記保護腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数を含む第1の組から選択され、前記悪条件腐食係数は、実数または実数を得るよう評価され得る関数を含む第2の組から選択され、前記第1の組および前記第2の組は直交している、請求項18に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項20】
前記第1の組は1以下の実数を含み、前記第2の組は1以上の実数を含む、請求項19に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項21】
前記材料腐食係数および前記界面腐食係数は電子形式で記憶される、請求項18に記載のコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項22】
航空宇宙機を検査する方法であって、
請求項1に記載の方法に従って航空宇宙機の構成要素についてのRCIを決定するステップと、
腐食について前記構成要素を検査するステップと、その後、
腐食について前記構成要素を再検査するステップとを含み、前記検査するステップと前記再検査するステップとの間の時間の量は、前記構成要素についてのRCIの大きさに基づいている、方法。
【請求項23】
航空宇宙機についてのメンテナンススケジュールを準備する方法であって、
請求項1に記載の方法に従って前記航空宇宙機の構成要素についてのRCI値を算出し、前記RCI値に基づいて前記構成要素の予定された検査またはメンテナンスの頻度を割当てるステップを含む、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法に従って構成要素についてのRCI値を算出し、航空宇宙機の製造または修理の際に使用するための前記RCI値に基づいて前記構成要素を選択するステップを含む方法。
【請求項25】
前記RCI値は所定の範囲内である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
複数の構成要素を有する航空宇宙機であって、各々の構成要素は、請求項1に従って算出される所定の範囲内のRCI値を有する、航空宇宙機。
【請求項27】
請求項1に従って算出されるRCI値を有する、航空宇宙機のための構成要素。
【請求項28】
前記アセンブリは、飛行機、油掘削設備、外航貨物船、鉄道もしくは鉄道車両、自動車、橋、建物、圧力容器、石油化学プラント、エンジンまたはタンクの構成要素である、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−51817(P2008−51817A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218502(P2007−218502)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】