説明

腫瘍細胞の生長抑制に使用するミロテシウム菌糸体抽出物

【課題】腫瘍細胞の生長抑制に使用するミロテシウム菌糸体抽出物の提供。
【解決手段】本発明は、腫瘍細胞の生長抑制に使用するミロテシウム菌糸体抽出物に関するものであり、特に、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体から分離させた化合物ベルカリンA(veruucarinA)及びベルカリンJ(veruucarin J)によって、肝臓癌、肺癌、前立腺癌の細胞生長を効果的に抑制するものである。本発明において、化合物のベルカリンA及びベルカリンJは、ヒト肝臓癌細胞のHep3BとHepG2、ヒト肺癌細胞のA549、ヒト前立腺癌細胞のLNCaPとDU-145の生長抑制に応用することが可能であり、同時に、肝臓癌、肺癌、前立腺癌細胞の生長抑制をする医薬組成物中に使用できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物に関するものであり、特に、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体抽出物中から分離・純化して得られた、肺癌、肝臓癌、前立腺癌の細胞生長抑制に使用する化合物である。
【背景技術】
【0002】
20世紀以後、癌は、ヒトの健康に危害を与える最大の敵となっている。台湾衛生署が2002年6月に公表した資料によると、1982年から現在迄の間、悪性腫瘍は、連続20年に渡り台湾の十大死因のトップであり、その死亡率は10万人当たり147.68人、2001年には、およそ3万3千人が悪性腫瘍により命を落としている。よって、効果的で副作用の弱い抗癌物質を探し出すことは、明らかに切実な願いである。
【0003】
トリコテセン類化合物(trichothecenes)は、広い生理活性作用を持つセスキテルペン類(sesquiterpenoids)物質に属しており、それは主に、フサリウム(Fusarium)、トリコテシウム(Trichothecium)、トリコデルマ(Trichoderma)、ミロテシウム(Myrothecium)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、スタキボトリス(Stachybotrys)、シリンドロカルボン(Cylindrocarpon)等の真菌により生産されるものである。研究によれば、トリコテセン類化合物は抗菌活性を有し、且つ、体外試験においては、その細胞増殖抑制活性(cytostatic activity)を有するの効果が実証されている。また、トリコテセン類化合物は、その構造に基づいて更に開環とマクロライド(macrolides)類に区分され、また、マクロサイクリックトリコテセン類化合物(macrocyclic trichothecenes)を有するマイコトキシン(Mycotoxin)(例えば、ベルカリン類(veruucarins)、ロリジン類(roridins)、サトラトキシン(satratoxin)、ベルチスポリン(vertisporin)、バチャリノイド(baccharinoid))は、トリコテセン類化合物中において最も注目されているものであり、並びに、生物活性を有する物質である。これらの物質は、トリコテセン類化合物と真核細胞上のポリソーム(polysomes)と80Sリボソーム(ribosomes)により結合可能であるが、蛋白質への模写機能が活性化起動されず、更には、蛋白質合成の障害となる。前述したこれらの真菌毒素の多くは、病菌生長を抑制する抗生物質の生成、抗炎症効果、免疫調節機能(immunomodulatory)に応用されており、その内、ベルカリン類(veruucarins)(別名muconomycin)は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)等の真菌より生じ、その化学構造式に基づき、ベルカリンA(veruucarinA)(別名muconomycin A)、ベルカリンJ(veruucarinJ)(別名muconomycin B)、ベルカリンK(veruucarinK)等に分類される。研究によると、ベルカリン(veruucarin) は、蛋白質と糖蛋白(glycoprotein)合成物質の抑制に長効性を有し、並びに、免疫抑制活性を有し、それはまた、抗特定種類虫害、ニューカッスル病ウィルス(Newcastle virus)の抑制、タバコ葉ウィルスの活性化に使用可能である。
【0004】
前述のベルカリン(veruucarin) の応用に関して、ベルカリン(veruucarin) を肺癌、肝臓癌、前立腺癌の抑制に使用する研究は見られず、よって、ベルカリン(veruucarin) を前述した癌の抑制方面において応用できるなら、ヒトの肺癌、肝臓癌、前立腺癌の治療にとり、莫大な利益をもたらすことになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
癌細胞生長を効果的に抑制する物質を研究開発する為に、本発明は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)の菌糸体中から、次の構造式を有する化合物を分離純化した。
【化1】

【0006】
式(1)のような構造式を有する化合物の化学名は、ベルカリンA(veruucarinA) (別名muconomycin A)で、分子式はC27H32O8、分子量は484である。
【化2】

【0007】
式(2)のような構造式を有する化合物の化学名は、ベルカリンJ(veruucarinJ) (別名muconomycin B)で、分子式はC27H34O9、分子量は502である。
【0008】
本発明中の式(1)、式(2)の化合物は、ミロテシウム菌糸体から分離純化させた有機溶剤抽出物である。該有機溶剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等アルコール類溶液を含んでおり、その内、良好例はエチルアルコールであるが、これに制限されるものではなく、ミロテシウム菌糸体から抽出した式(1)、式(2)の化合物の有機溶剤には、エステル類(例えば、酢酸エチル)、アルカン類(例えば、エタン)、ハロアルカン(例えば、塩化メチル、塩化エチル)等、全て応用可能である。
【0009】
これを腫瘍細胞生長の抑制に応用するものであり、更には、癌治療の医薬組成分中に使用すると、癌治療効果の向上が可能となる。本発明の化合物を応用可能な範囲には、肺癌腫瘍細胞、肝臓癌腫瘍細胞、前立腺癌腫瘍細胞等の生長抑制を含んでおり、それらの腫瘍細胞の迅速生長を阻止し、腫瘍の増殖を抑制し、腫瘍の悪化速度を緩める故、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等の治療に使用できるものである。
【0010】
また、本発明において、式(1)か式(2)若しくは式(1)と式(2)の化合物を、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等を治療する医薬組成物の成分中に利用することにより、それらの腫瘍細胞の生長を抑制することも可能である。前述した医薬組成物には、有効使用量の式(1)か式(2)若しくは式(1)と式(2)の化合物の他、薬学上受け入れ可能な担体をも含む。担体は、賦形剤(例えば水)、充填剤(例えば蔗糖や澱粉)、粘着剤(例えば纖維素誘導体)、希釈剤、崩壊剤、吸收促進剤、甘味剤とすることも可能であるが、これに制限されるものではない。本発明の医薬組成物は、公知の薬学の加工方法に基づいて生産製造される。式(1)か式(2)若しくは式(1)と式(2)の有効成分使用量と一種類以上の担体相を混合し、必要な剤形に加工する。この剤形は、錠剤、粉剤、粒剤、カプセル、その他液体製剤を含むが、これに制限されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、腫瘍細胞生長を抑制する化合物において、それは次の構造式を有しており、該腫瘍細胞は、肝臓癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
【化3】

請求項2の発明は、前記化合物は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体から分離して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項3の発明は、前記肝臓癌細胞は、Hep3B若しくはHepG2細胞系であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項4の発明は、前記化合物の肝臓癌細胞Hep3Bを抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.31ng/mlであることを特徴とする請求項3記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項5の発明は、前記化合物の肝臓癌細胞HepG2を抑制する50%阻害濃度(IC50)は10.21ng/mlであることを特徴とする請求項3記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項6の発明は、前記肺癌細胞はA549細胞系であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項7の発明は、前記化合物の肺癌細胞A549を抑制する50%阻害濃度(IC50)は1.12 ng/mlであることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項8の発明は、前記前立腺癌細胞はLNCaPもしくはDU-145であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項9の発明は、前記化合物の前立腺癌細胞LNCaPを抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.85ng/mlであることを特徴とする請求項8記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項10の発明は、前記化合物の前立腺癌細胞DU-145を抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.02ng/mlであることを特徴とする請求項8記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項11の発明は、有効使用量である請求項1記載の化合物、薬学上受け入れ可能な担体を含むことを特徴とする肝臓癌、肺癌、前立腺癌細胞の生長抑制に使用する医薬組成物としている。
請求項12の発明は、腫瘍細胞生長抑制に使用し、次の構造式を有する化合物において、該腫瘍細胞は、肝臓癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
【化4】

請求項13の発明は、前記化合物は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体より分離して得られることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項14の発明は、前記肝臓癌細胞は、Hep3B若しくはHepG2細胞系であることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項15の発明は、前記化合物の肝臓癌細胞Hep3Bを抑制する50%阻害濃度(IC50)は3.12ng/mlであることを特徴とする請求項14記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。としている。
請求項16の発明は、前記化合物の肝臓癌細胞HepG2を抑制する50%阻害濃度(IC50)は13.31ng/mlであることを特徴とする請求項14記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項17の発明は、前記肺癌細胞はA549細胞系であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項18の発明は、前記化合物の肺癌細胞A549を抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.34ng/mlであることを特徴とする請求項17記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項19の発明は、前記前立腺癌細胞はLNCaPもしくはDU-145であることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項20の発明は、前記化合物の前立腺癌細胞LNCaPを抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.31ng/mlであることを特徴とする請求項19記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項21の発明は、前記化合物の前立腺癌細胞DU-145を抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.28ng/mlであることを特徴とする請求項19記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物としている。
請求項22の発明は、有効使用量である請求項12に記載した化合物、医学上受け入れ可能な担体を含むことを特徴とする肝臓癌、肺癌、前立腺癌細胞の生長抑制に使用する医薬組成物としている。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の腫瘍細胞の生長抑制に使用するミロテシウム菌糸体抽出物は、腫瘍細胞生長の抑制に応用するものであり、更には、癌治療の医薬組成分中に使用し、癌治療の効果を向上させることができる。本発明の化合物を応用可能な範囲には、肺癌腫瘍細胞、肝臓癌腫瘍細胞、前立腺癌腫瘍細胞等の生長抑制を含んでおり、それらの腫瘍細胞の迅速生長を阻止し、腫瘍の増殖を抑制し、腫瘍の悪化速度を緩める故、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等の治療に使用できるものであることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、ミロテシウム属(Myrothecium sp.)菌糸体の培養を行い、これにより、該菌株の菌糸体を獲得できる。続いて、該菌糸体を公知の抽出方法を用い、有機溶剤によって抽出を行い、ミロテシウム菌糸体の有機溶剤抽出物を獲得する。該有機溶剤は、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール)、エステル類(例えば酢酸エチル)、アルカン類(例えばエタン)、ハロアルカン(例えば塩化メチル、塩化エチル)を含むが、これに制限されるものではない。その内、良好なのはアルコール類であり、最も良好なのは95%エチルアルコールである。
【0014】
抽出を完了したミロテシウム菌糸体有機溶剤抽出物は、更に高速液体クロマトグラフィーによって分離純化を行い、その後、各分液(fraction)に対して生物活性テストを行う。最後に、癌抑制効果を有する分液を成分分析し、癌抑制効果を生じさせる可能性のある成分について、更にそれぞれ癌腫瘍細胞の抑制効果テストを行った。結果、本発明中における式(1)や式(2)の化合物が、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等の癌腫瘍細胞の生長抑制に効果を有することがわかった。
【0015】
式(1)、式(2)の化合物が腫瘍細胞の生長抑制に効果があることを証明する為に、本発明中においては、MTT分析法により、アメリカ国立癌研究所(National Cancer Institute, NCI)抗腫瘍薬物スクリーニング検査に基づいた、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等を含む腫瘍細胞に対して細胞生存率のテストを行った。これらのテストにより、ベルカリンA及びベルカリンJの肺癌腫瘍細胞(A549を含む)、肝臓癌腫瘍細胞(Hep 3B、Hep G2を含む)、前立腺癌腫瘍細胞(LNCaP、DU-145を含む)等の生存率を低下させ、相対して、同時に50%阻害濃度(即ちIC50値)を低下させることができる故、ベルカリンA及びベルカリンJを肺癌、肝臓癌、前立腺癌等の腫瘍細胞の生長抑制上に応用することができ、更に、肺癌、肝臓癌、前立腺癌等の癌治療に利用することが可能となる。
【0016】
前述した実施例の詳細説明は次のとおりである。
実施例1:ミロテシウム菌糸体の培養。
【0017】
まず、ミロテシウム属(Myrothecium sp.)菌株生長に適する培養基を作る。該培養基の配置方法は、次のとおりである。0.1-2グラムの塩化ナトリウム(NaCl)、5-10グラムのペプトン(pepton)、1-2グラムの酵母抽出物(yeast extract)、3-10グラムの寒天(agar)、3-10グラムの穀類(穀類は、米、小麦、もち米、トウモロコシからの選択可能)、1-2グラムの窒素源(窒素源種類はNH4NO3やKNO3)、1-3グラム炭水化物源(炭水化物源種類は葡萄糖、果糖、蔗糖)及び少量のリン酸塩をそれぞれ量り、並びに、微量の金属イオン(例えば:マグネシウム[Mg]やカルシウム[Ca]等)を加える。800-1000ミリリットル(mL)の二次蒸留水を上述の材料中に加え、均等に攪拌した後、1N水酸化ナトリウム(NaOH)や1N塩酸(HCl)によって混合液のpH値を6.5〜7.5まで調整した後、混合液をフラスコ中に入れ、脱脂綿で口を塞ぎ、120℃以上の高温で最低20分以上滅菌し、冷めるのを待って、無菌操作台において、例えばミロテシウムベルカリン(Myrothecium verrucaria)やミロテシウムロリジウム(Myrothecium rodium tode)等のミロテシウム菌属菌株を培養基中に添加し、並びに、培養箱中において20-30℃の温度で4-8週培養を行うと、ミロテシウム属菌株の菌糸体を得ることができる。その内、ミロテシウム属菌株の取得来源は、台湾南部の雪山山脈麓の樹木下の土壤中から採取したもので、台湾大学・曾顕雄教授の検定済みであるが、ミロテシウム属菌株の種類はこれに制限されることなく、菌糸体中から分離して得られた化合物ベルカリンA及びベルカリンJの菌種なら全て応用可能である。
【0018】
実施例2:抗癌活性を有する化合物の分離。
【0019】
実施例1において培養済みのミロテシウム属菌株の菌糸体約100グラムを取り出し、三角フラスコ中に入れ、95%アルコール類溶液を加え、20〜25℃の温度の下、最低1時間以上攪拌抽出し、その後、濾紙及び0.45μmの濾過膜で濾過し、抽出液を収集する。その内、該アルコール類溶液は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等を含み、良好例はエチルアルコールであるが、これに制限されないものとする。
【0020】
前述において收集したミロテシウム菌糸体アルコール類抽出液は、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid chromatography)を用い、シリカゲル(Silica gel)を充填したクロマト管によって分析を行う。また、ヘキサン(hexane)と酢酸エチル(ethyl acetate, EA)等溶液を使って溶離し、同時に、紫外可視光線全波長帯測器で分析し、10段分液(fraction)に分離させ、その後、各分液に生物活性分析を行う。最後に、生物活性を有する分液に成分分析を行う。異なる比率のヘキサンとアセトン(acetone)によりこれを溶離し、並びに、前述式(1)構造を持つ化合物と前述式(2)構造を持つ化合物を分離する。比較対照した結果、式(1)構造の化合物は、ベルカリンA(veruucarinA)、その分子式はC27H32O8、分子量は484であり、式(2)構造の化合物は、ベルカリンJ、その分子式はC27H34O9、分子量は502である。
【0021】
実施例3:体外抗肝臓癌腫瘍細胞の活性テスト。
【0022】
更に、ベルカリンAとベルカリンJ化合物の腫瘍細胞に対する抑制効果のテストを、本実施例においては、アメリカ国立癌研究所(National Cancer Institute, NCI)の抗腫瘍薬物スクリーニング検査に基づいて行う。まず、実施例2中において分離したベルカリンAとベルカリンJ化合物を取り出し、Hep3BとHepG2のヒト肝臓癌腫瘍細胞を含む培養液中に加え、腫瘍細胞生存率テストを行う。細胞生存率テストは、公知のMTT分析法によって分析を行う。Hep3BとHepG2はどちらもヒト肝臓癌腫瘍細胞系であり、この二つ肝臓癌腫瘍細胞は、財団法人食品工業研究所より購入、その番号はそれぞれ、BCRC 60434及びBCRC60025である。
【0023】
MTT分析法は、細胞増殖(cell proliferation)、生存率(percent of viable cells)、細胞毒性(cytotoxicity)の分析に常に使用される分析法である。該MTT(3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]2,5-diphenyltetrazolium bromide)は、黄色染色剤を用いるものであり、それは生細胞によって吸收され、並びに、ミトコンドリア中のコハク酸塩テトラゾリウム還元酵素(succinate tetrazolium reductase)によって非水溶性且つ青紫色をなすホルマザン色素(formazan)に還元される。よって、ホルマザン(formazan)形成がされるか否かから、細胞の生存率を判断及び計算することができる。
【0024】
まず、ヒト肝臓癌細胞Hep3BとHepG2をそれぞれ、胎牛血清を含む培養液中にて24時間培養する。増殖後の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって一回洗浄し、並びに、倍のトリプシン-EDTA溶液によって細胞処理し、その後、1,200 rpmで5分間遠心し、細胞を沈澱させて上済み液を除去する。後、10mlの新培養液を加え、軽く振り細胞を懸濁させ、更に細胞を96孔マイクロプレート内に分けて置く。テスト時は、それぞれの各孔内に、100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03 ng/mlのミロテシウム菌糸体粗抽出物(対照体、高速液体クロマトグラフィーにより純化分離されていないミロテシウム菌糸体エチルアルコール総抽出物)及び100、30、10、3、1、0.3、0.1、0.03 ng/mlのベルカリンA(veruucarinA)とベルカリンJ実験体)を加え、37℃、5%CO2で48時間培養する。その後、光を避けた環境の下、各孔内に2.5 mg/mlのMTTを加え、4時間反応させた後、更に各孔内に100 μlの溶解バッファー(lysis buffer)を加えると反応が停止する。最後に、酵素免疫分析装置にて570 nm 吸光波長の下、吸光値を測定し、これによって細胞生存率を算出し、並びに、その50%阻害濃度(即ちIC50値)を推測した。その結果は表1に示すとおりである。表1は肝臓癌腫瘍細胞生長の体外抑制テスト結果である。
【表1】

【0025】
表1中からわかるとおり、ベルカリンA とベルカリンJ の作用によって、それは、ヒト肝臓癌腫瘍細胞Hep3B及びHepG2の生存率を効果的に低下させている。ベルカリンA とベルカリンJ のヒト肝臓癌腫瘍細胞Hep3Bに対するIC50値はそれぞれ2.31 ng/ml、3.12 ng/mlに低下しており、且つ、対照体(23.81 ng/ml)と比較すると、換算して得られたIC50値低下比率はそれぞれ約90.3%、86.9%となり、また、ヒト肝臓癌腫瘍細胞HepG2のIC50値もまたそれぞれ10.21 ng/ml、13.31 ng/mlに低下しているが、対照体(45.89 ng/ml)と比較すると、IC50値の低下比率はそれぞれ約77.75%、71%となる故、該IC50数値は、対照体のミロテシウム菌糸体粗抽出物によって測定されたIC50値と比較すると、非常に低いことがわかり、よって、ミロテシウム菌糸体抽出物中から分離して得られたベルカリンAとベルカリンJは確実に、肝臓癌腫瘍細胞の生長抑制に利用できることが実証されている。また、表1からわかるとおり、ベルカリンA処理後の癌細胞IC50値は、ベルカリンJ処理後の癌細胞IC50値より低いことは、即ち、比較的低い濃度のベルカリンAによって、半数の肝臓癌腫瘍細胞の生長抑制が可能であり、これは、ベルカリンAが、肝臓癌細胞の抑制効果がベルカリンJより優れていることを示している。
【0026】
実施例4:体外抗肺癌腫瘍細胞の活性テスト。
【0027】
本テストは、アメリカ国立癌研究所の抗腫瘍薬物スクリーニング検査を基に実施されている。実施例2で分離したベルカリンA とベルカリンJ 化合物を、A549ヒト肺癌腫瘍細胞を含む培養液中に加え、並びに、前述したMTT分析法により分析を行い、これによって、肺癌腫瘍細胞生存率をテストした。その内、A549はヒト肺癌腫瘍細胞系であり、この肺癌腫瘍細胞は、財団法人食品工業研究所にて購入、その番号はBCRC 60074である。
【0028】
まず、ヒト肺癌細胞A549をそれぞれ、胎牛血清を含む培養液中にて24時間培養する。増殖後の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって一回洗浄し、並びに、倍のトリプシン-EDTA溶液によって細胞処理した後、1,200 rpmで5分間遠心し、細胞を沈澱させて上済み液を除去する。その後、10mlの新培養液を加え、軽く振り細胞を懸濁させ、更に細胞を96孔マイクロプレート内に分けて置く。テスト時は、それぞれの各孔内に、100、30、10、3、1、0.3、0.1 ng/mlのミロテシウム菌糸体粗抽出物(対照体、高速液体クロマトグラフィーにより純化分離されていないミロテシウム菌糸体エチルアルコール総抽出物)及び100、30、10、3、1、0.3、0.1 ng/mlのベルカリンA(veruucarinA)とベルカリンJ(実験体)を加え、37℃、5%CO2で48時間培養する。その後、光を避けた環境の下、各孔内に2.5 mg/mlのMTTを加え、4時間反応させた後、更に各孔内に100 μlの溶解バッファー(lysis buffer)を加えると反応が停止する。最後に、酵素免疫分析装置にて570 nm 吸光波長の下、吸光値を測定し、これによって細胞生存率を算出し、並びに、その50%阻害濃度(即ちIC50値)を推測した。その結果は表2に示すとおりである。表2は肺癌腫瘍細胞生長の体外抑制テスト結果である。
【表2】

【0029】
表2からわかるとおり、ベルカリンA とベルカリンJ の作用によって、それは、ヒト肺癌腫瘍細胞A549の生存率を効果的に低下させている。対照体のミロテシウム菌糸体粗抽出物により測定したIC50値(52 ng/ml)と比較すると、ベルカリンAがヒト肺癌腫瘍細胞A549を処理した後のIC50値は、1.12 ng/mlまで大幅低下し、対照体と比較換算したIC50値の低下比率は、約97.85%であり、また、ベルカリンJがヒト肺癌腫瘍細胞A549を処理した後のIC50値は、2.34 ng/mlまで大幅低下し、対照体と比較換算したIC50値の低下比率は、約95.5%であった。両化合物が明らかにした50%阻害濃度は、どちらも対照体と比べ大幅に低下しており、よって、ミロテシウム菌糸体抽出物から分離して得られたベルカリンAとベルカリンJは、肺癌腫瘍細胞の生長抑制に確実に使用できることを実証している。また、表2によって、ベルカリンAでの処理後の癌細胞IC50値は、ベルカリンJでの処理後の癌細胞IC50値より低く、これは即ち、比較的低い濃度のベルカリンAで、半数の肺癌腫瘍細胞の生長が抑制できることが示されている。また、ベルカリンAの肺癌細胞抑制効果が、ベルカリンJより優れていることも明らかである。
【0030】
実施例5:体外抗前立腺癌腫瘍細胞の活性テスト。
【0031】
本テストは、アメリカ国立癌研究所の抗腫瘍薬物スクリーニング検査に基づいて実施され、実施例2中で分離されたベルカリンAとベルカリンJ化合物を、LNCaP、DU-145ヒト前立腺癌腫瘍細胞の培養液中に加え、並びに、前述のMTT分析法によって分析を行い、これにより、前立腺癌腫瘍細胞生存率をテストする。細胞生存率のテストは、公知のMTT分析法により分析を行うものであり、LNCaP、DU-145は、ヒトの前立腺癌腫瘍細胞系であり、その内、前立腺癌は、前立腺腺体上皮細胞の癌に由来し、且つ、癌細胞生長初期は、男性ホルモンに依存しており、よって又の名を、男性ホルモン依存性前立腺癌(androgen-dependent prostate cancer)と呼ぶ。LNCaPは即ち、この種の癌細胞に属し、該種の癌細胞は、男性ホルモンを阻害することによってこれを治療するが、数年後、約30 %の患者が腫瘍を再発している。該種の患者の男性ホルモン量は非常に少ない故、再発した腫瘍は、男性ホルモンに依存しなくても生長できるように徐々に進行(progression)し、男性ホルモン非依存性前立腺癌(androgen-independent prostate cancer)となる。この種の再発した癌は、今現在、効果的な治療法が発見されていない。DU-145は、この種の前立腺癌細胞に属しており、本発明が使用した前立腺癌腫瘍細胞LNCaP、DU-145は、財団法人食品工業研究所より購入、その番号はそれぞれ、CCRC 60088、CCRC 60348である。
【0032】
まず、ヒト前立腺癌細胞LNCaP、DU-145を胎牛血清を含む培養液中において24時間培養する。増殖後の細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって一回洗浄し、並びに、倍のトリプシン-EDTA溶液によって細胞処理した後、1,200 rpmで5分間遠心し、細胞を沈澱させて上済み液を除去する。その後、10mlの新鮮な培養液を加え、軽く振り細胞を再度懸濁させ、更に細胞を96孔マイクロプレート内に分けて置く。テスト時は、それぞれの各孔内に、水(制御体)、4.2 ng/ml濃度のタキソール(対照体)、100、10、1、0.1、0.01 ng/ml濃度のミロテシウム菌糸体粗抽出物(対照体、高速液体クロマトグラフィーにより純化分離されていないミロテシウム菌糸体エチルアルコール総抽出物)、100、10、1、0.1、0.01、0.001 ng/ml濃度のベルカリンA(veruucarinA)とベルカリンJ化合物(実験体)を加え、37℃、5%CO2で48時間培養する。その後、光を避けた環境の下、各孔内に2.5 mg/mlのMTT試剤を加え、4時間反応させた後、更に各孔内に100 μlの溶解バッファー(lysis buffer)を加えると反応が停止する。最後に、酵素免疫分析装置(ELISA reader) にて570 nm 吸光波長の下、吸光値を測定し、これによって細胞生存率を算出し、並びに、その50%阻害濃度(即ちIC50値)を推測した。その結果は表3と表4に示すとおりである。表3は前立腺癌腫瘍細胞生長の体外抑制テスト結果である。
【表3】

【0033】
表3からわかるとおり、ベルカリンA とベルカリンJ の作用によって、それは、ヒト前立腺癌腫瘍細胞LNCaPとDU-145の生存率を効果的に低下させている。ベルカリンA とベルカリンJのヒト前立腺癌腫瘍細胞LNCaPに対するIC50値は、それぞれ、2.85 ng/ml、0.31 ng/mlに低下しており、対照体(29.31 ng/ml)の換算したIC50値と比較した低下比率はそれぞれ、約90.28%、98.94%である。また、ヒト前立腺癌腫瘍細胞DU-145のIC50値は更に、0.02 ng/ml、0.28 ng/mlにそれぞれ低下しており、対照体(33.16 ng/ml)と比較換算したIC50値の低下比率はそれぞれが、約99.93%、99.16%である故、該IC50数値は、対照体であるミロテシウム菌糸体粗抽出物が測定したIC50値(29.31 ng/ml、33.16 ng/ml)と比較して非常に低くなっている。また、表3中で分かるように、ベルカリンJ 処理後のLNCaP癌細胞のIC50値は、ベルカリンA 処理後のLNCaP癌細胞IC50値より低く、これは、ベルカリンJ のLNCaP肝臓癌細胞の抑制効果がベルカリンA に優れていることを示している。また、ベルカリンA 処理後のDU-145癌細胞IC50値は、ベルカリンJ 処理後のDU-145癌細胞IC50値より低く、これは、ベルカリンA のDU-145肝臓癌細胞の抑制効果がベルカリンJ より優れていることを示している。
表4はベルカリンA及びベルカリンJの前立腺癌腫瘍細胞DU-145に対する体外生存率のテスト結果である。
【表4】

【0034】
また、表4を参照すると、ベルカリンA及びベルカリンJの作用により、それは、ヒト前立腺癌腫瘍細胞DU-145の生存率を効果的に低下させている。制御体に対し、1ng/ml〜100 ng/mlの濃度のベルカリンAとベルカリンJを処理した場合、癌細胞の生存率は、ほぼ20%前後にまで低下している。また、ベルカリンA及びベルカリンJと対照体の抑菌効果を比較すると、ミロテシウム菌糸体粗抽出物、ベルカリンA、ベルカリンJの使用濃度の増加に伴い、各自の細胞生存率は下降し、それとは逆に、使用濃度を減少させると、各自の細胞生存率が上昇している。その内、個別の使用濃度を10 ng/mlまで減少させた場合、ミロテシウム菌糸体粗抽出物の細胞生存率は91.01%にまで上昇、ミロテシウム菌糸体粗抽出物から分離して取り出したベルカリンA及びベルカリンJの細胞生存率は、19%前後にまで低下し、この結果、ベルカリンA及びベルカリンJは、ヒト前列癌腫瘍細胞DU-145を確実に抑制する有効活性成分であることを実証している。この他、対照体であるタキソール(Taxol)の使用濃度は4.2 ng/mlである時、その細胞生存率は63.88%であり、化合物ベルカリンA及びベルカリンJの使用濃度が1 ng/ml 〜10 ng/mlである場合、その細胞生存率は20%以下にまで大幅低下している。この結果から、相似する使用濃度の下、ベルカリンA及びベルカリンJのヒト前列癌腫瘍細胞DU-145を抑制する効果は、タキソールより優れたものであり、且つ、ベルカリンA及びベルカリンJの使用濃度が極少である場合(0.1 ng/ml〜1 ng/ml)、その抑癌効果はやはり顕著である。
【0035】
この他、やはり表4でわかるとおり、ベルカリンA及びベルカリンJは、DU-145細胞に使用する濃度が1 ng/ml以上(1 ng/ml〜10 ng/ml)である場合、それが示している細胞生存率数値は非常に近いものである。即ち、これらの濃度範囲の下、両者は、近似する抑癌効果を有している。ベルカリンA及びベルカリンJをDU-145細胞に使用する濃度が0.1 ng/ml以下(0.001 ng/ml〜0.1 ng/ml)である場合、使用量は既に極低濃度まで減少しているが、ベルカリンA処理後の細胞生存率数値はやはり21.01%以下にまで低下させることができ、また、ベルカリンJ処理後の細胞生存率は、抑癌有効濃度が低すぎる為、81.11%以上にまで達している。これは、ベルカリンAのDU-145肝臓癌細胞の抑制効果がベルカリンJより優れていることを示している。
【0036】
上述の結果により、ミロテシウム菌糸体抽出物中から分離して得られたベルカリンAとベルカリンJはどちらも、異なる特性を持つ前立腺癌腫瘍細胞LNCaP、DU-145の生長を効果的に抑制することが可能である。これは、ベルカリンAとベルカリンJが、男性ホルモン依存性前立腺癌細胞LNCaPの抑制に応用することができる他、非男性ホルモン依存性前立腺癌細胞DU-145の生長抑制にも利用できる。よって、前立腺癌と再発性前立腺癌の治療に役立つことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍細胞生長を抑制する化合物において、それは次の構造式を有しており、
該腫瘍細胞は、肝臓癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【化1】

【請求項2】
前記化合物は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体から分離して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項3】
前記肝臓癌細胞は、Hep3B若しくはHepG2細胞系であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項4】
前記化合物の肝臓癌細胞Hep3Bを抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.31ng/mlであることを特徴とする請求項3記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項5】
前記化合物の肝臓癌細胞HepG2を抑制する50%阻害濃度(IC50)は10.21ng/mlであることを特徴とする請求項3記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項6】
前記肺癌細胞はA549細胞系であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項7】
前記化合物の肺癌細胞A549を抑制する50%阻害濃度(IC50)は1.12 ng/mlであることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項8】
前記前立腺癌細胞はLNCaPもしくはDU-145であることを特徴とする請求項1記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項9】
前記化合物の前立腺癌細胞LNCaPを抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.85ng/mlであることを特徴とする請求項8記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項10】
前記化合物の前立腺癌細胞DU-145を抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.02ng/mlであることを特徴とする請求項8記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項11】
有効使用量である請求項1記載の化合物、薬学上受け入れ可能な担体を含むことを特徴とする肝臓癌、肺癌、前立腺癌細胞の生長抑制に使用する医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍細胞生長抑制に使用し、次の構造式を有する化合物において、該腫瘍細胞は、肝臓癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【化2】

【請求項13】
前記化合物は、ミロテシウム(Myrothecium sp.)菌糸体より分離して得られることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項14】
前記肝臓癌細胞は、Hep3B若しくはHepG2細胞系であることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項15】
前記化合物の肝臓癌細胞Hep3Bを抑制する50%阻害濃度(IC50)は3.12ng/mlであることを特徴とする請求項14記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項16】
前記化合物の肝臓癌細胞HepG2を抑制する50%阻害濃度(IC50)は13.31ng/mlであることを特徴とする請求項14記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。。
【請求項17】
前記肺癌細胞はA549細胞系であることを特徴とする腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項18】
前記化合物の肺癌細胞A549を抑制する50%阻害濃度(IC50)は2.34ng/mlであることを特徴とする請求項17記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項19】
前記前立腺癌細胞はLNCaPもしくはDU-145であることを特徴とする請求項12記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項20】
前記化合物の前立腺癌細胞LNCaPを抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.31ng/mlであることを特徴とする請求項19記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項21】
前記化合物の前立腺癌細胞DU-145を抑制する50%阻害濃度(IC50)は0.28ng/mlであることを特徴とする請求項19記載の腫瘍細胞の生長抑制に使用する化合物。
【請求項22】
有効使用量である請求項12に記載した化合物、医学上受け入れ可能な担体を含むことを特徴とする肝臓癌、肺癌、前立腺癌細胞の生長抑制に使用する医薬組成物。

【公開番号】特開2009−73798(P2009−73798A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269032(P2007−269032)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(505364913)國鼎生物科技股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】