説明

腰部補助装置

【課題】利用者の左右の下肢の状態との関係を考慮して適切に腰部を補助する腰部補助装置を提供する。
【解決手段】腰部補助装置の右アクチュエータ40は、右角度検出部で検出された右屈曲角度に応じて右アクチュエータによる右起立力が制御され、左アクチュエータ42は、左角度検出部で検出された左屈曲角度に応じて左アクチュエータによる左起立力が制御されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰部補助構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者の上半身の前屈動作を補助するための補助装置が知られている。例えば、特許文献1には、腰装着部、背中装着部、利用者の前方へ傾倒可能になるように背中装着部を腰装着部に連結する関節部、及び、作動状態において、背中装着部の利用者の前方への傾倒を制御し、利用者の前屈姿勢の維持や、前屈からの起きあがり動作を補助する第1アクチュエータを備えた腰部補助装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の腰部補助装置では、利用者の前傾姿勢の補助において左右の下肢の状態と補助の関係が考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−011818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、利用者の左右の下肢の状態との関係を考慮して適切に腰部を補助する腰部補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の腰部補助装置は、利用者の背部に装着され、利用者の前方への傾倒に追従移動可能な背中装着部と、前記背中装着部に取り付けられると共に、利用者の体幹前方側へ延出されて利用者の体幹前方側を支持する前支持部と、利用者の右下肢に装着される右下肢装着部、及び、左下肢に装着される左下肢装着部と、前記右下肢装着部と前記背中装着部との間に配置されて前記両者に連結され前記背中装着部と前記右下肢装着部との間の利用者の前方における右屈曲角度を可変とする右関節部と、前記左下肢装着部と前記背中装着部との間に配置されて前記両者に連結され前記背中装着部と前記左下肢装着部との間の利用者の前方における左屈曲角度を可変とする左関節部と、利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への右起立力を前記背中装着部と前記右下肢装着部との間に作用させる右アクチュエータと、利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への左起立力を前記背中装着部と前記左下肢装着部との間に作用させる左アクチュエータと、前記右屈曲角度を検出する右角度検出部と、前記左屈曲角度を検出する左角度検出部と、前記右角度検出部で検出された前記右屈曲角度に応じて前記右アクチュエータによる前記右起立力を制御すると共に、前記左角度検出部で検出された前記左屈曲角度に応じて前記左アクチュエータによる前記左起立力を制御する制御部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の腰部補助装置では、背中装着部が利用者の背部に装着され、利用者の前方への傾倒に追従移動可能とされている。また、前支持部が、背中装着部に取り付けられ、利用者の体幹前方側へ延出されて利用者の体幹前方側を支持する。また、利用者の左右の下肢に別々に対応した右下肢装着部と左下肢装着部が、各々利用者の右下肢、左下肢に装着される。右下肢装着部と背中装着部とは、背中装着部と右下肢装着部との間の利用者の前方における右屈曲角度が可変となるように右関節部を介して互いに連結されている。左下肢装着部と背中装着部とは、背中装着部と左下肢装着部との間の利用者の前方における左屈曲角度が可変となるように左関節部を介して互いに連結されている。
【0008】
右アクチュエータは、背中装着部と右下肢装着部との間に、利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への右起立力を作用させる。左アクチュエータは、背中装着部と左下肢装着部との間に、利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への左起立力を作用させる。右アクチュエータ及び左アクチュエータは、制御部によって制御されている。
【0009】
制御部は、右角度検出部で検出された右屈曲角度に応じて右アクチュエータによる右起立力を制御し、左角度検出部で検出された左屈曲角度に応じて左アクチュエータによる左起立力を制御する。
【0010】
発明者は、右屈曲角度、左屈曲角度によって、利用者が必要とする右起立力、左起立力が異なることを発見した。上記のように、右屈曲角度に応じて右起立力を制御し、左屈曲角度に応じて左起立力を制御することにより、適切に腰部の補助を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の腰部補助装置は、前記制御部が、前記右屈曲角度が小さい程大きな前記右起立力を作用させるように前記右アクチュエータを制御すると共に、前記左屈曲角度が小さい程大きな前記左起立力を作用させるように前記左アクチュエータを制御すること、を特徴とする。
【0012】
このように、右屈曲角度が小さい程、また、左屈曲角度が小さい程、大きな起立力を作用させることにより、利用者の起立動作をスムーズに補助することができる。
【0013】
請求項3に記載の腰部補助装置は、前記制御部が、前記右屈曲角度と前記左屈曲角度とを比較し、小さい角度側により多くの起立力が作用するように、前記右アクチュエータ及び前記左アクチュエータを制御すること、を特徴とする。
【0014】
このように、左右の屈曲角度の違いに応じて左右の起立力を制御することにより、適切に腰部の補助を行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の腰部補助装置は、前記制御部が、前記右屈曲角度が予め定めた作動開始右角度よりも小さくなった場合に作動を開始するように前記右アクチュエータを制御すると共に、前記左屈曲角度が予め定めた作動開始左角度よりも小さくなった場合に作動を開始するように前記左アクチュエータを制御する。
【0016】
このように、左右のアクチュエータの作動開始を、左右の屈曲角度に対応した作動開始右角度、作動開始左角度よりも小さくなった場合にすることで、適切に左右のアクチュエータを始動させることができる。
【0017】
請求項5に記載の腰部補助装置の前記前支持部には、加速度検知センサが取り付けられ、前記制御部は、前記加速度検知センサにより予め定めた作動開始加速度以上の加速度が検知された場合に作動を開始するように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御する。
【0018】
このように、左右のアクチュエータの作動開始を、利用者の動きに応じて検知された加速度が作動開始加速度以上であった場合にすることで、適切に左右のアクチュエータを始動させることができる。
【0019】
請求項6に記載の腰部補助装置は、利用者の吸気及び排気を検知する呼気検知センサが取り付けられ、前記制御部は、前記呼気検知センサにより吸気及び排気の一方の呼気が検知された場合に、前記右起立力及び前記左起立力を作用させるように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御し、前記呼気検知センサにより吸気及び排気の他方の呼気が検知された場合に、前記右起立力及び前記左起立力を解除するように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御し、前記呼気検知センサにより呼気が検知されない場合には、前記右アクチュエータ及び左アクチュエータの作動を停止させるように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御する。
【0020】
このように、呼気検知センサにより、利用者の吸気、排気、を検知し、右アクチュエータ、左アクチュエータの始動を吸気、排気により行うことができる。また、吸気と排気とで、右アクチュエータ、左アクチュエータの起立力の作用、解除を区別し、呼気検知がない場合に作動を停止させることにより、利用者の利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の腰部補助装置によれば、利用者の左右の下肢の状態との関係を考慮して適切に腰部を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る腰部補助装置の使用状態を示す側面図である。
【図3】第1実施形態に係る腰部補助装置の屈曲角度についての説明図(A)(B)である。
【図4】(A)、(B)は、第1実施形態に係る腰部補助装置が備えるアクチュエータの概略を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る腰部補助装置の制御系のブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る腰部補助処理(右アクチュエータ)のフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る圧力調整処理(右アクチュエータ)のフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係る腰部補助処理(左アクチュエータ)のフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係る圧力調整処理(左アクチュエータ)のフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る腰部補助装置の制御系のブロック図である。
【図12】第3実施形態に係る腰部補助装置を示す斜視図である。
【図13】第3実施形態に係る腰部補助装置の制御系のブロック図である。
【図14】第3実施形態に係る腰部補助処理のフローチャートである。
【図15】本発明に係る腰部補助装置を用いた荷物の持ち上げ動作の第1パターンの説明図である。
【図16】本発明に係る腰部補助装置を用いた荷物の持ち上げ動作の第2パターンの説明図である。
【図17】本発明に係る腰部補助装置を用いた荷物の持ち上げ動作の第3パターンの説明図である。
【図18】本発明に係る腰部補助装置を用いた第1〜第3パターンでの荷物の持ち上げ動作における、(A)は従来例についての筋力使用量の減少率を示すグラフであり、(B)は実施例についての筋力使用量の減少率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
【0024】
次に、本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図中矢印FRにて示す利用者の前方側を前側とし、上下左右の方向は、この前方側を向いてみた場合の方向を基準とする。
【0025】
図1〜2には、第1実施形態に係る腰部補助装置10が示されている。図1には、未装着状態の腰部補助装置10が示されており、図2には、利用者が装着した状態の腰部補助装置10が示されている。これらの図に示されるように、腰部補助装置10は、背中装着部としての背中フレーム14、腰フレーム部12、前支持部22、右関節部16R、左関節部16L、右下肢装着部としての右大腿プレート18、右下肢フレーム20、左下肢装着部としての左大腿プレート19、左下肢フレーム21を備えている。右関節部16Rは、右上関節部16RU、右下関節部16RD、右下サイド部15を有し、左関節部16Lは、左上関節部16LU、左下関節部16LD、左下サイド部17を有している。
【0026】
背中フレーム14は、左右一対のサイドフレーム14A、センターフレーム14B、及び、取付プレート14Cを備えている。
【0027】
一対のサイドフレーム14Aは、長尺筒状とされ、利用者の下側の一端部に利用者の前側に屈曲された屈曲部14Eを有している。屈曲部14Eの外側には、滑車部44が設けられている。左右の屈曲部14Eは、各々右上関節部16RU、左上関節部17LUを介して、後述する右下サイド部15、左下サイド部17に連結されている。2本のサイドフレーム14Aの利用者の上側の各々の他端部は、互いに連結され、一対のサイドフレーム14Aで全体として上側を頂点とする略三角形状に構成されている。センターフレーム14Bは、サイドフレーム14Aの中間部で、2本のサイドフレーム14A同士を連結している。利用者の右側に配置されたサイドフレーム14Aの内部には、右アクチュエータ40が備えられ、利用者の左側に配置されたサイドフレーム14Aの内部には、左アクチュエータ42が備えられている。右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の各々の下端からワイヤ43が延出され、滑車部44に巻き掛けられている。また、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の各々には、圧縮空気を送り込むためのチューブTUが右圧力調整弁46、左圧力調整弁48(図5参照)を介して各々連結されている。チューブTUの他端は、圧縮空気供給部70に連結されている。また、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の各々には、インナーチューブIC内の圧力を検出可能な圧力センサ(右圧力センサ56、左圧力センサ58)が取り付けられている(図5参照)。
【0028】
取付プレート14Cは、断面L字になるように屈曲された板状とされている。取付プレート14Cは、L字の一辺面が2本のサイドフレーム14Aの上端部を覆うように、且つ、L字の他辺面が2本のサイドフレーム14Aの前側に配置されるように取り付けられている。取付プレート14CのL字の他辺面には、支持棒14Dが取り付けられている。支持棒14Dは、上下方向に配置され、下端に後述する前支持部22の回動部22Cが連結されている。支持棒14Dは、上端側が取付プレート14Cに取り付けられている。支持棒14Dは、取付プレート14Cに対して上下方向にスライド移動して取付位置を変更可能とされており、下端の位置が上下方向に調整可能になっている。
【0029】
前支持部22は、可動プレート22A、及び、肩ベルト22Bを有している。可動プレート22Aは板状とされ、板面が取付プレート14Cの他辺面と略平行になるように配置されている。可動プレート22Aの取付プレート14C側には、回動部22Cが設けられている。回動部22Cは、支持棒14Dの下端と連結され、支持棒14Dとの連結部分を中心にして回動可能とされている。これにより、可動プレート22Aと取付プレート14C(背中フレーム14)とは、互いに対向した状態で相対回転可能とされている。
【0030】
肩ベルト22Bは、左右一対設けられており、各々の一端が可動プレート22Aの上端に取り付けられ、他端が可動プレート22Aの下端に取り付けられている。左右一対の肩ベルト22Bは、中央部でベルト22BAによって連結され、利用者の上半身に肩ベルト22Bが密着するようにしている。
【0031】
腰フレーム部12は、左右一対の右下サイド部15、左下サイド部17を横断するように、センターフレーム部14Bと略並行に配置されている。腰フレーム部12の中央には、腰板12Aが取り付けられている。
【0032】
右下肢フレーム20、左下肢フレーム21は、背中フレーム14との相対回転によっても、屈曲しないリジッドな部材で構成されている。右下肢フレーム20は、上端が右下関節部16RDを介して右下サイド部15に連結され、下端が右大腿プレート18に連結されている。右大腿プレート18は、利用者の下肢の前方を覆う湾曲形状とされている。右大腿プレート18は、利用者の下肢の前方に配置される。左下肢フレーム21は、上端が左下関節部16LDを介して右下サイド部15に連結され、下端が左大腿プレート19に連結されている。左大腿プレート19は、利用者の下肢の前方を覆う湾曲形状とされている。左大腿プレート19は、利用者の下肢の前方に配置される。
【0033】
右下肢フレーム20の右下関節部16RDよりも下側、及び、左下肢フレーム21の左下関節部16LDよりも下側には、回転部23が形成されている。回転部23は、利用者の前後方向に回転軸23Rを有し、右下肢フレーム20及び左下肢フレーム21は、回転軸23R周りに回転可能となっている。さらに、右下肢フレーム20の中間部、及び、左下肢フレーム21の中間部には、回転部25が形成されている。回転部25は、利用者の前後方向に回転軸25Rを有し、右下肢フレーム20及び左下肢フレーム21は、回転軸25R周りに回転可能となっている。
【0034】
次に、右関節部16R、左関節部16Lについて説明する。背中フレーム14と右下肢フレーム20の間に右下サイド部15が配置され、背中フレーム14と左下肢フレーム21の間に左下サイド部17が配置されている。右下サイド部15の上端は右上関節部16RUを介して背中フレーム14と連結され、右下サイド部15の下端は右下関節部16RDを介して右下肢フレーム20と連結されている。左下サイド部17の上端は左上関節部16LUを介して背中フレーム14と連結され、左下サイド部17の下端は左下関節部16LDを介して左下肢フレーム21と連結されている。
【0035】
右上関節部16RUは、一方の背中フレーム14の下端と右下サイド部15の上端部を左右方向の軸SUで同軸に連結させており、一方の背中フレーム14と右下サイド部15とは、軸SU周りに相対回転可能となっている。左上関節部16LUは、他方の背中フレーム14の下端と左下サイド部17の上端部を前述の左右方向の軸SUで同軸に連結させており、他方の背中フレーム14と左下サイド部17とは、軸SU周りに相対回転可能となっている。
【0036】
右下関節部16RDは、右下サイド部15の下端部に固定されたプレート26と、プレート26から肩幅方向外方へ立設された回転シャフト28と、回転シャフト28に回転自在に支持された円盤状の回転体24とを備えている。また、左下関節部16LDは、左下サイド部17の下端部に固定されたプレート36と、プレート36から肩幅方向外方へ立設された回転シャフト38と、回転シャフト38に回転自在に支持された円盤状の回転体34とを備えている。なお、右下関節部16RDと左下関節部16LDとは、左右対称の構成で、軸SDが共通になっている。
【0037】
プレート26、36は、利用者の側腰部に位置し、回転シャフト28、38は、利用者の側腰部から肩幅方向外方へ延出している。回転体24、34の軸心には、回転シャフト28、38が相対回転自在に嵌合する円孔(図示省略)が形成され、回転体24、34の周面には、ワイヤ43を巻き掛けることができる溝24A、34Aが形成されている。なお、回転体24、34が円盤状であることは必須ではなく、半円盤状や楕円盤状などであってもよい。
【0038】
回転体24には、右下肢フレーム20の一端が固定され、右下肢フレーム20は回転体24と共に回転可能とされている。右大腿プレート18は利用者の右下肢前方に当てられているので、右下肢フレーム20の位置は利用者の下肢に沿った位置に規制されている。したがって、一方の背中フレーム14と右下肢フレーム20とは、右下関節部16RD、右下サイド部15、及び右上関節部16RUを挟んで相対回転する。
【0039】
回転体34には、左下肢フレーム21の一端が固定され、左下肢フレーム21は回転体34と共に回転可能とされている。左大腿プレート19は利用者の左下肢前方に当てられているので、左下肢フレーム21の位置は利用者の下肢に沿った位置に規制されている。したがって、他方の背中フレーム14と左下肢フレーム21とは、左下関節部16LD、左下サイド部17、及び左上関節部16LUを挟んで相対回転する。
【0040】
右上関節部16RU、右下関節部16RD、左上関節部16LU、左下関節部16LDには、各々右上角度センサ52U、右下角度センサ52D、左上角度センサ54U、左下角度センサ54Dが配置されている。右上角度センサ52Uは、一方の背中フレーム14と右下サイド部15との間の利用者前側の角度θ1を検出する。右下角度センサ52Dは、右下サイド部15と右下肢フレーム20の間の利用者前側の角度θ2を検出する。左上角度センサ54Uは、他方の背中フレーム14と左下サイド部17との間の利用者前側の角度θ3を検出する。左下角度センサ54Dは、左下サイド部17と左下肢フレーム21の間の利用者前側の角度θ4を検出する(図3(A)(B)参照)。
【0041】
一対の背中フレーム14に各々収納された右アクチュエータ40、左アクチュエータ42は、空気圧式アクチュエータ(流体圧式アクチュエータ、所謂、McKibben人工筋肉)ACとされている。図4(A)、(B)に示すように、空気圧式アクチュエータACは、膨張収縮体であるインナーチューブICと、インナーチューブICを覆う網状の被覆体であるメッシュスリーブMSとを備えている。メッシュスリーブMSは、例えば伸縮性を持たない高張力繊維等の線材により構成されている。また、メッシュスリーブMSの長さ(軸)方向の両端部は、インナーチューブICの長さ方向の両端部に固定されている。
【0042】
図4(B)に示すように、インナーチューブICは、内部に空気が供給されることにより膨張する。そして、インナーチューブICの膨張は、メッシュスリーブMSにより空気圧式アクチュエータAC全体の長さの縮小に変換される。即ち、空気圧式アクチュエータACは、空気が供給されると、径が拡大されつつ長さが縮小される。この長さの縮小により、空気圧式アクチュエータACはその短縮方向への力Fを発生する。この状態から空気が排気されると、短縮方向への力Fが解放され、径が縮小されつつ長さが伸張される。
【0043】
右アクチュエータ40、左アクチュエータ42には、右圧力調整弁46、左圧力調整弁48が各々取り付けられている。右圧力調整弁46、左圧力調整弁48は、各々、空気の給気弁、排気弁を有している。給気弁の開放によりインナーチューブICへ空気が供給され、給気弁の閉鎖によりインナーチューブICへの空気の供給が停止される。また、排気弁の開放によりインナーチューブICから空気が排出され、排気弁の閉鎖によりインナーチューブICからの空気の排出が停止される。
【0044】
次に、本実施形態の腰部補助装置10の作用について説明する。
【0045】
腰部補助装置10は、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の長さが短縮することにより、短縮方向への力Fを発生させる。力Fは、ワイヤ43を介して、右下肢フレーム20、左下肢フレーム21へY方向の回転力を作用させる。この回転力は、右大腿プレート18、左大腿プレート19を介して利用者に伝達され、背中フレーム14のX方向への回転となって現れる。前傾した利用者の上体には、肩ベルト22Bを介して、起き上がり回転方向Xへの力が作用するので、利用者が上体を起こす動作を補助することができる。さらに、起き上がり回転方向Xへの力を、利用者の前方への傾倒力よりも大きくすることにより、背中フレーム14を起き上がり方向Xへ回転させて、利用者の上体を起こさせることができる。
【0046】
次に、右アクチュエータ40、及び、左アクチュエータ42の制御系について説明する。図5には、右アクチュエータ40、及び、左アクチュエータ42を制御する制御系についてのブロック図が示されている。制御部50は、右アクチュエータ40、及び、左アクチュエータ42の動作を制御する部分であり、不図示のCPU、ROM、RAMなどを含んで構成されている。
【0047】
制御部50には、左圧力センサ58、右圧力センサ56、左圧力調整弁48、右圧力調整弁46、左上角度センサ54U、左下角度センサ54D、右上角度センサ52U、右下角度センサ52D、及び、メモリ60が接続されている。
【0048】
左圧力センサ58は、左アクチュエータ41のインナーチューブIC内の圧力を検出して、当該圧力についての左圧力データ信号PLDを制御部50へ出力する。右圧力センサ56は、右アクチュエータ40のインナーチューブIC内の圧力を検出して、当該圧力についての右圧力データ信号PRDを制御部50へ出力する。
【0049】
右上角度センサ52Uは、一方の背中フレーム14と右下サイド部15との間の利用者前側の角度θ1を検出し、角度θ1信号を制御部50へ出力する。右下角度センサ52Dは、右下サイド部15と右下肢フレーム20の間の利用者前側の角度θ2を検出し、角度θ2信号を制御部50へ出力する。角度θ1と角度θ2の和が、右下肢フレーム20と一方の背中フレーム14との間の利用者前側の右屈曲角度θRとなる。左上角度センサ54Uは、他方の背中フレーム14と左下サイド部17との間の利用者前側の角度θ3を検出し、角度θ3信号を制御部50へ出力する。左下角度センサ54Dは、左下サイド部17と左下肢フレーム21の間の利用者前側の角度θ4を検出し、角度θ4信号を制御部50へ出力する。角度θ3と角度θ4の和が、左下肢フレーム21と他方の背中フレーム14との間の利用者前側の左屈曲角度θLとなる。
【0050】
メモリ60には、右屈曲角度θR、左屈曲角度θLについて、作動開始角度θSが記憶されている。作動開始角度θSは、右屈曲角度θR、左屈曲角度θLがこの作動開始角度θS以上になった場合に、右アクチュエータ40、左アクチュエータ41への給気を開始し、右屈曲角度θR、左屈曲角度θLがこの作動開始角度θSよりも小さくなった場合に、右アクチュエータ40、左アクチュエータ41からの排気を開始するための角度であり、利用者の用途等に応じて予め設定されている。本実施形態では、利用者が起立状態にあると判断される角度、例えば180度よりも僅かに小さい、160度〜175度に設定することができる。
【0051】
また、メモリ60には、右屈曲角度θRに対応させた右アクチュエータ40のインナーチューブICに供給する右圧力PRが記憶され、左屈曲角度θLに対応させた左アクチュエータ41のインナーチューブICに供給する左圧力PLが記憶されている。右屈曲角度θRと右圧力PRの関係、左屈曲角度θLと左圧力PLの関係は、以下の反比例関係となっている。すなわち、右屈曲角度θR、左屈曲角度θLが小さいほど(利用者の曲げ角度が深いほど)、右アクチュエータ40と左アクチュエータ41の圧力、即ち、前述の力Fを大きくして、背中フレーム14と右下肢フレーム20の間に作用する右起立力を大きくすると共に、背中フレーム14と左下肢フレーム21の間に作用する左起立力を大きくする。なお、Aは比例定数である。
【0052】
(数1)
PR=A/θR, PL=A/θL
【0053】
右圧力調整弁46、左圧力調整弁48は、各々、給気弁及び排気弁を有しており、制御部50からの開閉信号に基づいて、給気弁及び排気弁の開閉動作が行われる。利用者に起立力を作用させる場合には、給気弁を開放して排気弁を閉鎖する。利用者を起立力から解放する場合には、給気弁を閉鎖して排気弁を開放閉鎖する。制御部50は、給気弁を開放する場合には、給気弁開放信号KOを出力し、給気弁を閉鎖する場合には、給気弁閉鎖信号KCを出力し、排気弁を開放する場合には、排気弁開放信号HOを出力し、排気弁を閉鎖する場合には、排気弁閉鎖信号HCを出力する。なお、作動開始される前に、各々の給気弁は閉鎖されており、排気弁は開放されている。
【0054】
図1及び図2に示すように、右アクチュエータ40、左アクチュエータ41の下端側には、ワイヤ43が取り付けられている。ワイヤ43の一端部は、右アクチュエータ40、左アクチュエータ41の下端から出て、滑車部44に巻き掛けられて方向を変え、回転体24の溝24A、回転体34の溝34Aに固定されている。
【0055】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0056】
利用者が腰部補助装置10を装着して前屈動作を行い、背中フレーム14と右下肢フレーム20、左下肢フレーム21との間の角度が強まって、角度θ1、θ2の和である右屈曲角度θRが作動開始角度θS以下となった場合、角度θ3、θ4の和である及び左屈曲角度θLが作動開始角度θS以下となった場合に、図6、図8に示す腰部補助処理が実行される。なお、右アクチュエータ40に関するデータと左アクチュエータ41に関するデータは、別々に並列処理される。
【0057】
右アクチュエータ40について、図6に示すように、まず、ステップSA10で右屈曲角度θRを取得し、ステップSA12で右屈曲角度θRに対応する右圧力PRを算出設定する。そして、ステップSA14で、圧力調整処理を行う。
【0058】
圧力調整処理は、図7に示すように、まず、ステップSA14−1で、排気弁を閉鎖する。そして、ステップSA14−2で、右圧力データPRDを取得し、ステップSA14−3で、右圧力データPRDが設定した右圧力PRよりも小さいかどうかを判断する。右圧力データPRDが右圧力PRよりも小さい場合には、ステップSA14−4で、給気弁を開放する給気弁開放信号KOを右圧力調整弁46へ出力し、ステップSA14−2へ戻って上記の処理を繰り返す。これにより、設定した右圧力PRに達するまでインナーチューブICへ空気が供給される。ステップSA14−3で、右圧力データPRDが設定した右圧力PRよりも小さくない、すなわち、右圧力PR以上であると判断された場合には、ステップSA14−5で、給気弁を閉鎖する給気弁閉鎖信号KCを右圧力調整弁46へ出力し、圧力調整処理を終了して図6のステップSA16へ進む。
【0059】
ステップSA16では、再度右屈曲角度θRを取得し、ステップSA18で、右屈曲角度θRが作動開始角度θSよりも大きいかどうかを判断する。判断が否定された場合には、ステップSA12へ戻り、上記の処理を繰り返す。この繰り返しにより、右屈曲角度θRが作動開始角度θS以下の場合に、右屈曲角度θRに応じた右起立力を利用者へ作用させる。
【0060】
右屈曲角度θRが作動開始角度θSよりも大きい場合には、利用者が起立状態にあると判断され、ステップSA20で、排気弁を解放する排気弁開放信号HOを右圧力調整弁46へ出力し、処理を終了する。これにより、右アクチュエータ40から空気が排出され、腰部補助装置10が利用者へ作用させていた右起立力が解除される。
【0061】
左アクチュエータ42についても、図8に示すように、上記と同様に、まず、ステップSB10で左屈曲角度θLを取得し、ステップSB12で左屈曲角度θLに対応する左圧力PLを算出設定する。そして、ステップSB14で、圧力調整処理を行う。
【0062】
圧力調整処理は、図9に示すように、まず、ステップSB14−1で、排気弁を閉鎖する。そして、ステップSB14−2で、左圧力データPLDを取得し、ステップSB14−3で、左圧力データPLDが設定した左圧力PLよりも小さいかどうかを判断する。左圧力データPLDが左圧力PLよりも小さい場合には、ステップSB14−4で、給気弁を開放する給気弁開放信号KOを左圧力調整弁48へ出力し、ステップSB14−2へ戻って上記の処理を繰り返す。これにより、設定した左圧力PLに達するまでインナーチューブICへ空気が供給される。ステップSB14−3で、左圧力データPLDが設定した左圧力PLよりも小さくない、すなわち、左圧力PL以上であると判断された場合には、ステップSB14−5で、給気弁を閉鎖する給気弁閉鎖信号KCを左圧力調整弁48へ出力し、圧力調整処理を終了して図8のステップSB16へ進む。
【0063】
ステップSB16では、再度左屈曲角度θLを取得し、ステップSB18で、左屈曲角度θLが作動開始角度θSよりも大きいかどうかを判断する。判断が否定された場合には、ステップSB12へ戻り、上記の処理を繰り返す。この繰り返しにより、左屈曲角度θLが作動開始角度θS以下の場合に、左屈曲角度θLに応じた左起立力を利用者へ作用させる。
【0064】
左屈曲角度θLが作動開始角度θSよりも大きい場合には、利用者が起立状態にあると判断され、ステップSB20で、排気弁を解放する排気弁開放信号HOを左圧力調整弁48へ出力し、処理を終了する。これにより、左アクチュエータ42から空気が排出され、腰部補助装置10が利用者へ作用させていた左起立力が解除される。
【0065】
本実施形態によれば、上記のように、背中フレーム14と右下肢フレーム20の間の角度である右屈曲角度θR、背中フレーム14と左下肢フレーム21の間の角度である左屈曲角度θLに応じて、左右別々に力Fを作用させるので、利用者の起立動作をスムーズに補助することができる。
【0066】
[第2実施形態]
【0067】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して図示し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
第2実施形態では、腰部補助装置10は、加速度センサ62を備えている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0069】
図10に示すように、加速度センサ62は、肩ベルト22Bの前方に取り付けられ、取り付けられた部分の動きによる加速度を検知可能とされている。図11に示すように、加速度センサ62は、制御部50と接続されており、検知した加速度を、制御部50へ出力する。
【0070】
メモリ60には、作動開始加速度ASについても記憶されている。作動開始加速度ASは、制御部50が腰部補助処理を開始するために設定されるものであり、加速度センサ62により検知された加速度が作動開始加速度AS以上になった場合に、図6、8に示される腰部補助処理が実行される。
【0071】
このように、加速度センサ62を用いて、利用者の動きに合わせて、腰部の補助動作を開始することができる。
【0072】
[第3実施形態]
【0073】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態でも、第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付して図示し、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図12に示すように、第3実施形態では、腰部補助装置10は、呼気センサ64を備えている。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0075】
呼気センサ64は、利用者が呼気センサ64に対して行う吸気及び排気を検知可能なセンサであり、図13にも示すように、制御部50と接続されている。呼気センサ64は、検知した呼気を、吸気、排気を区別して、制御部50へ出力する。
【0076】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0077】
本実施形態では、利用者が呼気センサ64に対して吸気または排気を行うと、当該吸気または排気が呼気センサによって検知され、呼気検知信号BSが制御部50へ送られる。制御部50に呼気検知信号BSが入力されると、図14に示す腰部補助処理が実行される。ここでも、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の制御は別々に並列処理される。
【0078】
図14に示すように、まず、ステップSC10で、呼気検知信号BSが吸気かどうかを判断する。右アクチュエータ40の制御は、吸気の場合には、ステップSC12で右屈曲角度θRを取得し、ステップSC14で右屈曲角度θRに対応する右圧力PRを算出設定する。そして、ステップSC16で、圧力調整処理を行う。圧力調整処理は、図7に示すものと同様である。
【0079】
圧力調整処理が終了すると、ステップSC18へ進み、現時点で吸気の呼気検知信号BSの入力があるかどうかを判断する。判断が肯定された場合には、ステップSC12へ戻り、上記の処理を繰り返す。これにより、利用者による吸気が継続している場合には、右屈曲角度θRに応じた右起立力が作用され続ける。
【0080】
判断が否定された場合には、ステップSC20で、給気弁閉鎖信号KCを出力して、給気弁を閉鎖する。この閉鎖により、右アクチュエータ40での力Fが維持された状態となる。
【0081】
左アクチュエータ42の制御についても、右アクチュエータ40と同様に行われる。すなわち、吸気の場合には、ステップSD12で左屈曲角度θLを取得し、ステップSD14で左屈曲角度θLに対応する左圧力PLを算出設定する。そして、ステップSD16で、圧力調整処理を行う。圧力調整処理は、図9に示すものと同様である。
【0082】
圧力調整処理が終了すると、ステップSD18へ進み、現時点で呼気検知信号KSの入力があるかどうかを判断する。判断が肯定された場合には、ステップSD12へ戻り、上記の処理を繰り返す。これにより、利用者による吸気が継続している場合には、左屈曲角度θLに応じた左起立力が作用され続ける。
【0083】
判断が否定された場合には、ステップSD20で、給気弁閉鎖信号KCを出力して、給気弁を閉鎖する。この閉鎖により、左アクチュエータ42での力Fが維持された状態となる。
【0084】
ステップSC10で、呼気検知信号BSが吸気ではないと判断された場合、すなわち、呼気検知信号BSが排気であった場合には、ステップSC22で、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42へ排気弁開放信号HOを出力し、右起立力、左起立力を解放する。
【0085】
本実施形態によれば、呼気センサ64を用いて、利用者は吸気、排気に応じて、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42を作動させることができる。
【実施例】
【0086】
本発明の効果を確かめるために、発明者らは、下にある荷物を持ち上げる動作について、腰部補助装置を装着した利用者の体勢ごとに、腰部補助装置によって筋力の使用量がどの程度減少したかを測定した。測定位置は、脊柱起立筋で右上RU、右下RL、左上LU、左下LLの4箇所で行った。利用者の体勢は、第1パターン〜第3パターンの3パターンで試験を行った。
【0087】
第1パターンは、図15に示すように、利用者の前方に荷物66を置き、両足を荷物66に沿って平行に開き、荷物66の両脇に手を掛けて持ち上げた。持ち上げ動作が進むにつれて、利用者の右屈曲角度θRと左屈曲角度θLは、徐々に大きくなるが、左右の角度差はほとんどなく、持ち上げ動作が完了した。
【0088】
第2パターンは、図16に示すように、利用者の右側方に荷物66を置き、両足を荷物66に対して45度の角度をもって平行に開き、荷物66の両脇に手を掛けて持ち上げた。持ち上げ動作において、利用者の右屈曲角度θRの方が左屈曲角度θLよりも小さく、両角度共に徐々に大きくなり、持ち上げ動作が完了した。
【0089】
第3パターンは、図17に示すように、利用者の前方に荷物66を置き、両足を右足が前になるように前後に開き、荷物66の両脇に手を掛けて持ち上げた。持ち上げ動作において、利用者の右屈曲角度θRの方が左屈曲角度θLよりも小さく、両角度共に徐々に大きくなり、持ち上げ動作が完了した。
【0090】
試験は、右アクチュエータ40、左アクチュエータ42を、一定の圧力(0.5MP)で作動させた場合(従来例)と、右屈曲角度θRと左屈曲角度θLに応じて右アクチュエータ40、左アクチュエータ42の圧力を変えた場合(実施例)とで行った。第1パターン〜第3パターンの各々での、右上RU、右下RL、左上LU、左下LLの4箇所での筋力使用量の減少率について、図18(A)には従来例の結果が、図18(B)には実施例の結果が、各々示されている。
【0091】
図18(A)(B)のグラフより、体勢が第1パターンであれば、筋力使用量の減少率は、従来例と実施例とで大差はないが、体制が第2パターン、第3パターンの場合には、従来例では筋力使用量の減少率が20%より低い値であったが、実施例では40%程度となり、補助の効果が高くなっていることがわかる。
【符号の説明】
【0092】
10 腰部補助装置
12 腰フレーム部
14 背中フレーム(背中装着部)
16R 右関節部
16L 左関節部
18 右大腿プレート(右下装着部)
19 左大腿プレート(左下装着部)
20 右下肢フレーム(右下装着部)
21 左下肢フレーム(左下装着部)
22 前支持部
40 右アクチュエータ
42 左アクチュエータ
46 右圧力調整弁
48 左圧力調整弁
50 制御部
52D 右下角度センサ(右角度検出部)
52U 右上角度センサ(右角度検出部)
54D 左下角度センサ(左角度検出部)
54U 左上角度センサ(左角度検出部)
56 右圧力センサ
58 左圧力センサ
62 加速度センサ
64 呼気センサ(呼気検知センサ)
θL 左屈曲角度
θR 右屈曲角度
θS 作動開始角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の背部に装着され、利用者の前方への傾倒に追従移動可能な背中装着部と、
前記背中装着部に取り付けられると共に、利用者の体幹前方側へ延出されて利用者の体幹前方側を支持する前支持部と、
利用者の右下肢に装着される右下肢装着部、及び、左下肢に装着される左下肢装着部と、
前記右下肢装着部と前記背中装着部との間に配置されて前記両者に連結され前記背中装着部と前記右下肢装着部との間の利用者の前方における右屈曲角度を可変とする右関節部と、
前記左下肢装着部と前記背中装着部との間に配置されて前記両者に連結され前記背中装着部と前記左下肢装着部との間の利用者の前方における左屈曲角度を可変とする左関節部と、
利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への右起立力を前記背中装着部と前記右下肢装着部との間に作用させる右アクチュエータと、
利用者の前方への傾倒から起き上がる方向への左起立力を前記背中装着部と前記左下肢装着部との間に作用させる左アクチュエータと、
前記右屈曲角度を検出する右角度検出部と、
前記左屈曲角度を検出する左角度検出部と、
前記右角度検出部で検出された前記右屈曲角度に応じて前記右アクチュエータによる前記右起立力を制御すると共に、前記左角度検出部で検出された前記左屈曲角度に応じて前記左アクチュエータによる前記左起立力を制御する制御部と、
を備えた腰部補助装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記右屈曲角度が小さい程大きな前記右起立力を作用させるように前記右アクチュエータを制御すると共に、前記左屈曲角度が小さい程大きな前記左起立力を作用させるように前記左アクチュエータを制御すること、を特徴とする請求項1に記載の腰部補助装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記右屈曲角度と前記左屈曲角度とを比較し、小さい角度側により多くの起立力が作用するように、前記右アクチュエータ及び前記左アクチュエータを制御すること、を特徴とする請求項1に記載の腰部補助装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記右屈曲角度が予め定めた作動開始右角度よりも小さくなった場合に作動を開始するように前記右アクチュエータを制御すると共に、前記左屈曲角度が予め定めた左作動開始角度よりも小さくなった場合に作動を開始するように前記左アクチュエータを制御する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腰部補助装置。
【請求項5】
前記前支持部には、加速度検知センサが取り付けられ、
前記制御部は、前記加速度検知センサにより予め定めた作動開始加速度以上の加速度が検知された場合に作動を開始するように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腰部補助装置。
【請求項6】
利用者の吸気及び排気を検知する呼気検知センサが取り付けられ、
前記制御部は、前記呼気検知センサにより吸気及び排気の一方の呼気が検知された場合に、前記右起立力及び前記左起立力を作用させるように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御し、前記呼気検知センサにより吸気及び排気の他方の呼気が検知された場合に、前記右起立力及び前記左起立力を解除するように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御し、前記呼気検知センサにより呼気が検知されない場合には、前記右アクチュエータ及び左アクチュエータの作動を停止させるように前記右アクチュエータ及び左アクチュエータを制御する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の腰部補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−75078(P2013−75078A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217548(P2011−217548)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】