説明

腸炎を放射線治療するための方法

本発明は、腹骨盤治療によって誘発される腸炎を防止、軽減および/または処置する新規な方法を提供する。本発明は、旅行者下痢の予防的処置にも関する。また本発明は、腸炎を処置、防止または軽減し、下痢を防止するためのリファキシミンの使用に関する。より詳しくは、本発明は、腹骨盤治療によって引き起こされる腸炎を処置するためのリファキシミンの使用に関する。本発明はさらに、単独での、または他の治療と組み合わせた放射線治療によって引き起こされる放射線誘発性腸炎を処置するためのリファキシミンの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年8月2日に出願された米国仮特許出願第60/835,273号(発明の名称:「Compositions And Methods Of Treating Enteritis And Diarrhea」)、および2006年10月6日に出願された米国仮特許出願第60/850,299号(発明の名称:「Compositions And Methods For The Treatment Of Radiation Proctosigmoitis」)に関し、すべての目的のためにこれらの出願はその全体を本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
リファキシミン(INN;The Merck Index、第XIII版、8304頁を参照されたい)は、リファマイシンクラスの抗生物質、例えばピリド−イミダゾリファマイシンに属する抗生物質である。リファキシミンは、例えば、胃腸管において、伝染性下痢症、過敏性腸症候群、小腸の細菌の異常増殖、クローン病、および/または膵不全を引き起こす局在性の胃腸管細菌に対して広範囲の抗細菌活性を発揮する。リファキシミンは、その化学的および物理学的特徴により、体内吸収がごくわずかであることを特徴とすることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
放射線治療、化学療法、および外科的処置を含めた様々な腹骨盤治療(「骨盤治療」と呼ばれることもある)は、腫瘍などの骨盤障害を有する対象に対する、アジュバント治療、ネオアジュバント治療、一次治療、最終的治療、または姑息的治療のいずれかのような様々な臨床状況において用いられ、腸毒性、ならびに放射線および化学療法誘発性の急性のS字結腸炎および/または腸炎など他の重篤な副作用を引き起こすことがある。腹骨盤の悪性腫瘍は、米国で診断される全悪性腫瘍の50%をわずかに下回っている。これら様々な骨盤治療の副作用は不快感を引き起こし、治療には不定期の中断が必要であるので処置の治療上の有益性の低下をもたらし得る。したがって、骨盤治療の副作用を防止し、軽減し、またはそうでなければ処置する処置があれば有益である。
【0004】
旅行者下痢は、海外旅行者全体の約15〜56%の割合で、毎年、リスクの高い熱帯および亜熱帯地域への700万を上回る観光客が罹患する。患者の約1%が入院し、少なくとも20%が1日間床に伏せ、40%近くが旅行プランにおける計画を変更せざるを得なくなる。旅行者下痢を防ぐことができる有効な予防処置は現在存在しない。したがって、当技術分野では、この消耗性疾患の防止が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Descombe J.J.ら、Pharmacokinetic study of rifaximin after oral administration in healthy volunteers.、Int J Clin Pharmacol Res、14巻(2)、51〜56頁(1994年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(要旨)
本発明は、腸炎を処置、防止または軽減し、下痢を防止するためのリファキシミンの使用に関する。より詳しくは、本発明は、腹骨盤治療によって引き起こされる腸炎を処置するためのリファキシミンの使用に関する。本発明はさらに、単独での、または他の治療と組み合わせた放射線治療によって引き起こされる放射線誘発性腸炎を処置するためのリファキシミンの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、胃腸管毒性薬物の使用によって引き起こされる腸炎を防止、軽減および/または処置する方法を開示する。さらには、放射線治療、ならびに化学療法および/または外科的処置と放射線治療との組合せによって引き起こされる放射線誘発性腸炎を処置する方法を開示する。一般的には、リファキシミンでの処置が有益である可能性がある対象には、特に腹骨盤領域における、放射線治療など、胃腸管毒性薬物または治療薬での治療を開始する予定がある者、または治療を受けている途中の者が含まれる。特にこの処置が有益である可能性がある対象には、腸炎である者、または腸炎にかかりやすい可能性がある者が含まれる。例えば、対象は、他の胃腸管毒性薬物または治療レジメンとともに、放射線治療または他の治療を受けようとしている、受けている、または受けた対象であってよい。対象は、腹骨盤治療の組合せを施した対象であってもよい。対象は、例えば、結腸直腸癌、虫垂癌、肛門癌、胃癌、食道胃接合部癌、食道癌、肝胆癌、膵臓癌もしくは小腸癌を含めた消化管の悪性腫瘍;前立腺癌、膀胱癌、精巣癌もしくは陰茎癌を含めた泌尿生殖器の悪性腫瘍;子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌もしくは外陰癌を含めた婦人科の悪性腫瘍;または腹骨盤構造が関与する骨原性腫瘍および他の肉腫性の悪性腫瘍に罹患した対象であってよい。対象は、腹骨盤領域内に局在する皮膚癌、軟部組織肉腫および血液悪性腫瘍に罹患している、またはその処置を受けている対象であってよい。
【0008】
本発明は、外科手術の影響を受ける、または受けない、放射線および/または化学療法によって誘発される腸炎を含む腸炎に対する新規な処置を提供する。
【0009】
本発明の一態様によると、放射線誘発性腸炎を処置する方法は、治療上有効な量のリファキシミンを、そのような処置を必要とする対象に投与することを含む。
【0010】
ある実施形態では、リファキシミンを、対象に対する初回の放射線療法の少なくとも1日前に投与する。関連の一実施形態では、リファキシミンを、対象に対する初回の放射線療法の少なくとも5日前に投与する。
【0011】
ある他の実施形態では、リファキシミンを、初回の放射線療法の少なくとも1日前から放射線治療の中止の少なくとも1日後までに投与する。
【0012】
ある好ましい実施形態によると、リファキシミンを1日2回対象に投与する。
【0013】
別の一実施形態では、約100mgから約2000mgの間のリファキシミンを毎日対象に投与する。関連の一実施形態では、約400mgを1日2回対象に投与する。関連の一実施形態では、約400mgを1日3回対象に投与する。関連の一実施形態では、約550mgを1日2回対象に投与する。関連の一実施形態では、約550mgを1日3回対象に投与する。
【0014】
ある実施形態では、リファキシミンを、対象に対する初回の放射線療法、化学療法、または外科的処置を受ける少なくとも1日前に投与する。
【0015】
ある実施形態では、リファキシミンを、対象がリスク目的地またはリスク行動に出発する少なくとも1日前に投与する。
【0016】
ある他の実施形態は、リファキシミンを、対象に対する初回の放射線療法、化学療法、または外科的処置を受ける少なくとも5日前に投与することを含む。関連の一実施形態では、リファキシミンを、対象に対する初回の放射線療法、化学療法、および/または外科的処置を受ける1時間前、2時間前、5時間前、10時間前、24時間前、2日前、3日前、4日前または10日前に投与する。
【0017】
ある他の実施形態は、リファキシミンを、対象がリスク目的地またはリスク行動に出発する少なくとも5日前に投与することを含む。関連の一実施形態では、リファキシミンを、対象がリスク目的地またはリスク行動に出発する1時間前、2時間前、5時間前、10時間前、24時間前、2日前、3日前、4日前または10日前に投与する。
【0018】
他の実施形態は、リファキシミンを、放射線治療、化学療法、または外科的処置の間に投与することを含む。また、リファキシミンを、放射線治療、化学療法、外科的処置、旅行、またはリスク行動の前、間および/または後に投与してもよい。
【0019】
ある好ましい実施形態では、リファキシミンを、腹骨盤治療を施す少なくとも1日前から腹骨盤治療の少なくとも1日後までに投与する。例えば、初回の放射線療法、化学療法の前および/または外科的処置を受ける前である。
【0020】
別の一態様によると、本明細書において、放射線誘発性腸炎から保護する方法であって、治療上有効な量のリファキシミンを、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提示する。
【0021】
別の一態様では、結腸の粘膜に対する放射線誘発性傷害から保護する方法は、治療上有効な量のリファキシミンを、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0022】
さらに別の一態様では、放射線誘発性の直腸結腸の炎症から保護する方法は、治療上有効な量のリファキシミンを、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0023】
一実施形態では、腸炎および/もしくは下痢または消化管の他の形態の刺激の処置のための薬物の製造におけるリファキシミンの使用である。
【0024】
本発明の他の実施形態を下記に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(詳細な説明)
本明細書において、例えば、化学療法および放射線治療を含めた腹骨盤の悪性腫瘍のための処置によって引き起こされる腸炎を処置するための組成物および方法を開示する。リファキシミンは、例えば、イタリア特許第1154655号、EP0161534、および米国特許出願公開第2005/0272754号に記載されており、これらは全ての目的でその全文が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0026】
本発明をさらに記載する前に、本発明をより容易に理解できるように、ある用語を最初に定義し、便宜上ここに集める。
【0027】
「投与」または「投与する」の語は、その意図された機能を遂行するためにリファキシミンを対象に導入する経路を含む。用いることができる投与経路の例には、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、くも膜下腔内)、経口、吸入、直腸、および経皮が含まれる。薬剤調製物は、各投与経路に適する形態によって与えることができる。例えば、これら調製物を、錠剤またはカプセル剤の形態で、注射剤、吸入剤、洗眼液、点眼剤、軟膏剤、坐剤などによって投与し、注射剤、注入剤、または吸入剤により投与し;ローション剤または軟膏剤によって局所に;および坐剤によって直腸に投与する。経口投与が好ましい。注射はボーラスでも、または連続的な注入でもよい。投与経路に応じて、リファキシミンを、その意図された機能を遂行する能力に有害な影響を及ぼし得る自然条件からそれを保護するために選択された材料で、コーティングまたは処理することができる。リファキシミンは、単独で、または上記に記載した別の薬剤もしくは複数の薬剤のいずれかと組み合わせて、または薬学的に許容できる担体と組み合わせて、またはその両方で投与することができる。リファキシミンは、他の薬剤の投与の前に、薬剤と同時に、また薬剤の投与の後に投与することができる。さらに、リファキシミンを、その活性な代謝物に、またはin vivoでより活性な代謝物に変換されるプロフォーム(proform)で投与することもできる。
【0028】
本明細書で用いられる「化学療法」には、新生物疾患の過程(通常は癌)の処置のために全身に投与される治療が含まれ、例えば、小分子阻害薬、モノクローナル抗体(例えば、Iressa、Tarceva、Erbitux)、または、本明細書に記載するものなどの症状をもたらし得る類似の目的物と一緒に投与する他の生物学的物質(例えば、下痢の不相応な発生を、または下痢のリスクの増大もたらすもの)が含まれ得る。
【0029】
「有効な量」の語には、望ましい結果を達成するのに、例えば、細菌もしくはウイルスの感染を処置しまたは防止するのに十分な、必要とされる投与量でおよび期間に有効な量が含まれる。有効な量のリファキシミンは、対象の疾患の状態、年齢、および体重などの要因、ならびに対象において望ましい反応を誘発するリファキシミンの能力に従って変化することがある。投与量レジメンを、最適の治療反応を提供するように調節することができる。有効な量は、リファキシミンのあらゆる毒性効果または有害な効果(例えば、副作用)を治療上有益な効果が勝るものでもある。
【0030】
「軽減する」、「軽減」、「改善」などは、例えば、対象において、または少なくとも少数の対象において生じる、例えば、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%、またはこれらの値の任意選択のおよそ2つの間の範囲における改善と一致する、検出可能な改善または検出可能な変化を意味する。このような改善または変化は、リファキシミンで処置していない対象に比べて処置した対象に観察されることがあり、この場合非処置の対象は、同じもしくは類似の疾患、病状、症状などを有し、または発症にさらされている。疾患、病状、症状、またはアッセイパラメーターの軽減は、例えば、対象による自己評価、医師の評価によって、または好適なアッセイもしくは測定を行うことによって、主観的または客観的に決定することができる。(例えば、生活の質の評価、疾患もしくは病状の進行の緩速化、疾患もしくは病状の重症度の低減、または生体分子、細胞のレベルもしくは活性に対する適切なアッセイ、または対象内の腸炎もしくは下痢の検出によるものを含める)。軽減は、一過性、長期、もしくは永久であってよく、あるいは対象にリファキシミンを投与する、または本明細書もしくは引用した参照に記載されているアッセイもしくは他の方法で用いる、間または後の関連する時間に可変性であってよい(例えば、下記に記載した時間枠内で、またはリファキシミンの投与もしくは使用約1時間後から、対象がリファキシミンの投与を受けた約3、6、9カ月後もしくはそれを超えた後)。
【0031】
本明細書で用いられる「旅行」または「リスク条件」は、対象に下痢を引き起こすことがある目的地における出発および到着および存在、または対象を下痢の原因に接触させる行動を含むことが企図される。
【0032】
例えば、症状、レベル、または分子の生物学的活性、病原体の複製、病原体の侵入、細胞の反応、細胞の活性などの「変調」は、例えば、細胞、レベル、または活性などが、検出可能に増大または低減することを意味する。このような増大または低減は、リファキシミンで処置しない対象と比べて、処置した対象において観察することができ、この場合非処置の対象は、同じまたは類似の疾患、病状、症状などを有し、または発症にさらされている。このような増大または低減は、少なくとも約2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、1000%もしくはそれを超え、またはこれらの値の任意の2つの間のあらゆる範囲内にある。変調は、例えば、対象の自己評価によって、医師の評価によって、または好適なアッセイもしくは測定を行うことによって、例えば、生活の質の評価、分子のレベルもしくは活性に適するアッセイ、対象内の細胞もしくは細胞の遊走を含めて、主観的または客観的に決定することができる。変調は、一過性、長期、もしくは永久であってよく、または対象にリファキシミンを投与する間もしくは後の関連する時間に可変性であってよく、または本明細書もしくは引用した参照に記載されているアッセイもしくは他の方法で用いられる(例えば、下記に記載した時間内に、またはリファキシミンの投与もしくは使用後約1時間から、対象にリファキシミンを投与した後約3、6、9カ月後もしくはそれを超えて)。「変調する」の語は、リファキシミンへの曝露に反応した細胞の活性における増大または低減、例えば、処置に用いられたリファキシミンの治療上の結果が特定の処置の経過にわたって増大または低減し得るなどの、望ましい最終結果が達成されるような、例えば、動物における細胞の少なくとも亜集団の増殖の阻害および/または分化の誘導の阻害を意味することもある。
【0033】
「恒常性」の語は、内部環境における静的な、または一定の状態の維持を意味することと当技術分野では認められている。
【0034】
「リファキシミンを得る」においての「得る」の語は、リファキシミンを購入し、合成し、または、そうでなければ獲得することを含むことが企図される。
【0035】
本明細書で用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与する」の句は、例えば、通常注射による、腸内投与および局所投与以外の投与の様式を含み、制限なく、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、皮膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内の、注射および注入を含む。
【0036】
化合物の「予防上有効な量」の語は、患者に単回投与量および複数回投与量を投与するときに、腸炎および/または下痢を防止し、または処置するのに有効であるリファキシミンの量を意味する。
【0037】
本明細書で用いられる「全身投与」、「全身的に投与する」、「末梢投与」、および「末梢的に投与する」の句は、リファキシミン、薬物、または他の材料の投与が、患者の全身に入り、したがって代謝および他の同様のプロセスにさらされるようであること、例えば、皮下投与を意味する。
【0038】
リファキシミンの「治療上有効な量」の語は、患者に単回投与量または複数回投与量を投与するときに、細菌の成長および/または侵入を阻害するのに、あるいは患者における細菌感染の症状を低減するのに有効であるリファキシミンの量を意味し、このような細菌感染はこのような処置の非存在下において予想より早い。「治療上有効な量」は、治療(例えば、リファキシミンを含む組成物)の量も意味し、これは、腸炎および/または下痢の重症度を低減し、腸炎および/または下痢の期間を短縮し、腸炎および/または下痢の進歩を防ぎ、腸炎および/または下痢の退行をもたらし、腸炎および/または下痢に関連する1つまたは複数の症状を軽減し、あるいは別の治療の治療効果を増強し、促進し、または改善するのに十分である。
【0039】
本明細書で用いられる「防止する」、「防止の」、および「防止」の語は、腹骨盤治療の投与または旅行に起因する、対象における、腸炎および/または下痢、またはそれらの1つもしくは複数の症状の再発、開始、または発症の防止を意味する。防止は、放射線誘発性腸炎からの保護、結腸の粘膜に対する放射線誘発性傷害からの保護、放射線誘発性の直腸結腸の炎症、および/または消化管の他の部分の、放射線誘発性炎症もしくは細菌の侵入からの保護を含む。例えば、リファキシミンを、放射線誘発性食道炎または他の放射線誘発性粘膜炎を処置または軽減するための洗口剤として調合してもよい。例えば、リファキシミンを、腸炎または下痢を低減または防止するために、旅行前に旅行者に与えてもよい。
【0040】
本明細書で用いられる「予防上有効な量」の語は、腸炎および/または下痢、またはそれらの1つもしくは複数の症状の発症、再発、または開始の防止をもたらすのに、あるいは別の治療の予防効果を増強または改善するのに十分である治療(例えば、リファキシミンを含む組成物)の量を意味する。
【0041】
本明細書で用いられる「対象」および「(複数の)対象」の語は、腸炎および/または下痢に罹患することができる生物体、あるいはそうでなければ本発明のリファキシミンの投与の恩恵を受け得る生物体を含み、動物、好ましくは、非霊長動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、またはイヌ)、霊長動物(例えば、サル、チンパンジー、またはヒト)を含む哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。ある実施形態では、対象は、腸炎および/または下痢を誘発し得る損傷(放射線、化学療法、もしくは化学戦争薬、もしくは旅行中に遭遇した病原体など)に曝露されており、または曝露されようとする哺乳動物、好ましくはヒトである。別の一実施形態では、対象は、同様の損傷に曝露されており、または曝露されようとする家畜(例えば、ウマ、ブタ、もしくはウシ)、またはペット(例えば、イヌもしくはネコ)である。
【0042】
腸炎および/または下痢にかかりやすさは、腸炎および/または下痢を発症するリスクのある対象(例えば、腹骨盤治療を受けている、または受けようとしている対象)、旅行をしようとしている対象、あるいは旅行中である、またはそうでなければ病原体もしくは状態(例えば、洪水、ハリケーン、地震、津波などの自然災害)に曝露されているリスクのある対象を含むことを意味する。
【0043】
本明細書で用いられる「放射線」、「放射線治療」、「放射線療法」、および「照射」の語は、意図的であっても、または意図的ではなくても、悪意があっても、または治療であっても、電離放射線へのあらゆる曝露を意味し、例えば、外照射治療、光子放射線療法、電子放射線療法、陽子放射線療法、炭素イオン放射線療法、リチウムイオン放射線療法、シリコンイオン放射線療法、ヘリウムイオン放射線療法、他の形態のハドロン治療、または他の粒子治療、近接照射治療、放射性同位体治療、注射可能な同位体、例えばあらゆる種類のマトリックスに接着した、もしくはマトリックス内の、もしくはマトリックスと混合した同位体を、あるいは、使用する作用物質もしくは複数の作用物質とは独立して、意図的でない、または、悪意のあるあらゆる照射の曝露を含むことができる。
【0044】
本明細書で用いられる「処置する」、「処置」、および「処置の」の語は、腸炎および/または下痢の進行、重症度、および/または期間の低減、あるいはその1つまたは複数の症状の軽減を意味し、このような低減および/または軽減は、1つまたは複数の治療(例えば、リファキシミンを含む組成物)の投与に起因する。
【0045】
「腹骨盤治療」は、例えば、放射線治療、化学療法、外科手術、またはそれらの組合せを含む。治療を、例えば健康管理の専門家によって、決定されたあらゆる時間枠において、同時に、または次々に投与することができる。
【0046】
放射線は、例えば、放射線治療、偶発的な放射線の曝露、およびテロリスト攻撃からの放射線曝露の結果であってよい。例えば、Moulder、Int. J. Radiat. Biol.、80巻、3〜10頁(2004年)を参照されたい。化学的な損傷は、一般的には化学療法からのものである。腸炎(腸、特に小腸の粘膜炎)は、腹部または骨盤の放射線治療、細胞毒性物質、またはこれらの組合せを受けている患者には一般的である。主な症状は、悪心、腹痛、鼓脹、および下痢である。放射線誘発性下痢は、放射線治療の開始後最初の2週の間に生じることが多い。あらゆる特定の科学的理論によって拘泥しようとするものではないが、放射線誘発性下痢の機序は、胃腸管の上皮クリプト細胞に対する急性の機械的損傷を伴う。このような損傷は、腸粘膜の細胞死(壊死またはアポトーシスいずれかの機序による)、炎症、および潰瘍形成をもたらし、これは次いで刺激性の胆汁酸塩に曝露され、日和見感染にかかりやすくなる。例えば、Gwede、Seminars in Oncology Nursing、19巻、6〜10頁(2003年)を参照されたい。一般的に下痢に関連する化学療法剤には、それだけには限定されないが、フルオロピリミジン(例えば、5−フルオロウラシル、およびより最近開発されたプロドラッグであるカペシタビン)、トポイソメラーゼI阻害薬(例えば、イリノテカン、トポテカン)、ならびに他の薬剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、シタラビン)が含まれる。例えば、Viele、Seminars in Oncology Nursing、19巻、2〜5頁(2003年)を参照されたい。慢性の腸の毒性は、放射線治療の後、通常、治療後6カ月から3年に生じることもある。患者はしばしば断続的な便秘および下痢を有し、これにより栄養失調および電解質のかく乱が起こることがある。重篤な症例では、急性腸閉塞、瘻孔、または腸穿孔が起こることがある。例えば、Keefeら、Seminars in Oncology、20巻、38〜47頁(2004年)を参照されたい。放射線治療および放射線療法は本明細書では交換可能に用いられ、外部照射および内部照射を含み、近接照射治療、腔内近接照射治療、または組織内近接照射治療をやはり意味する。企図される放射線源には、純粋ガンマ放出体、純粋ベータ放出体、アルファ放出体、中性子放出体、他のイオン放出体、および混合の照射が含まれる。
【0047】
それを必要とする対象の決定は、1つもしくは複数の水素呼気試験、症状の分析、または医学的評価、および下記に記載する他の方法によることができる。
【0048】
本明細書で用いられる「化学療法」および「化学療法剤」の語は交換可能に用いられ、抗癌効果を表し、悪性腫瘍の処置に用いられる化学療法剤または薬物を意味する。
【0049】
本発明者らは、驚くべきことに、放射線誘発性腸炎を起こしている患者にリファキシミンを投与すると病状の症状を低減することを見出した。放射線誘発性腸炎を処置するためにリファキシミンを用いることは特に有益である。というのは、リファキシミンは吸収されず、病原性細菌の細菌異常増殖に患者をかかりやすくする正常のフローラ(特に小腸)のかく乱を引き起こさず、リファキシミンでの処置はこの細菌の異常増殖を防ぐことができるからである。放射線腸炎の処置におけるリファキシミンの成功は驚くべきことである。というのは、放射線は腸における刷子縁酵素を低減し、これがそれに引き続く下痢の原因であると以前には考えられていたからである。さらに、それ自体における、およびそれ自体の放射線および/または化学療法は腸管腔の裸出を引き起こし、これが吸収能力の低下をもたらすと考えられていた。癌患者にみられる総体的症状の主要な原因として細菌を認識することは、細菌のコロニー形成、異常増殖、および/または侵入が、患者の不快感の潜在的に治療可能な、またはコントロール可能な源であるという点でパラダイムシフトを表している。さらに、これは、このような問題の軽減において通常用いられる先の尺度は天然において支持的であったというパラダイムシフトを表しており、これら病状の症状に取り組むものであり、それ自体が根本的原因自体に取り組むものではない。これは症状の原因のより大きな標的化が可能になり、症状の軽減の有効性の改善がもたらされるが、同時に、従来の止瀉薬などの支援策で通常みられるであろう有害作用をさほど引き起こさない。放射線誘発性腸炎を処置するためにリファキシミンを使用することは特に有益である。というのは経腸的に投与した場合、薬物の実質的な吸収に関連せず、したがって、化学療法および/または放射線療法中の患者あるいは癌患者に一般的である薬物−薬物相互作用の可能性が低減するからである。さらに、これは、医師が、最適以下に有効な支援策ではできない方法で症状の原因を処置するのを可能にしている。これは、治療のより大きな標的化、より少ない薬物相互作用、および治療に対する耐容性の改善に関してみられる。この治療では特定の利点がみられる。というのは、これがそうでなければ患者がこの症状から回復できるようにする処置における中断を必要とするであろう症状を、防止または軽減することができるからである。処置の中断は処置の有効性の低減に関連し、したがって間接的に、本発明は、処置に対する耐容性の改善の機序によって、癌および他の新生物疾患に対する治癒率を改善する可能性がある。
【0050】
リファキシミンは、Xifaxan(登録商標)の一般名である。
【0051】
本明細書で用いられる、放射線誘発性腸炎には、例えば、腹骨盤領域の照射からの腹骨盤部位への放射線誘発性傷害が含まれる。照射は、急性放射線食道炎、胃炎、腸炎、または結腸直腸の毒性をしばしば引き起こす。症状には、嚥下障害、嚥下痛、下痢、消化不良、直腸炎、便失禁、痙攣性腹痛、鼓脹、悪心、軟便、1日あたりの便通の増加、しぶり腹、粘液生成、腹骨盤痛、および直腸周囲の不快感が含まれ得る。急性放射線腸炎および/またはS字結腸炎は、小腸、S字結腸、および直腸の刺激に主に起因する。
【0052】
本発明のさらに別の一態様は、それを必要とする対象をリファキシミンで処置する方法に関する。そのような処置を必要とする対象の同定は、対象または健康管理の専門家の判断においてよく、主観的(例えば、意見)または客観的(例えば、試験もしくは診断方法によって測定できる)であってよい。
【0053】
リファキシミンを、処置治療もしくは旅行もしくはリスク条件のその他への曝露の前、間および/または後に投与することができる。リファキシミンを、例えば、1日2回、1日3回、または1日4回投与することができる。リファキシミンを、例えば約100mg1日2回から約550mg1日3回の投与量で投与することができる。別の例では、リファキシミンを約100mg/日から約2000mg/日の間で投与する。リファキシミンを、例えば、錠剤の形態、散剤の形態、液体の形態またはカプセルとして投与することができる。
【0054】
それを必要とする対象には、放射線治療を単独で、または腸炎もしくは消化管の部分の炎症を誘発し得る他の骨盤治療と組み合わせて受ける対象が含まれる。この必要は、放射線治療、化学療法、骨盤の外科的処置または治療の組合せを受ける前;対象が放射線治療、化学療法、骨盤の外科的処置または治療の組合せを受けている間;および対象が放射線治療、化学療法、骨盤の外科的処置または治療の組合せを受けた後に明らかであり得る。例えば、対象は、化学療法もしくは外科的処置と組み合わせて放射線治療を受けようとしている、受けている、または受けた対象であってもよい。
【0055】
腸炎である、または腸炎にかかりやすい可能性がある対象も含まれる。対象は、例えば、直腸結腸癌、虫垂癌、肛門癌、膵臓癌、肝胆嚢癌、食道癌、胃癌、食道胃接合部癌もしくは小腸癌を含めた胃腸管の悪性腫瘍;前立腺癌、膀胱癌、精巣癌もしくは陰茎癌を含めた泌尿生殖器の癌;子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌もしくは外陰癌を含めた婦人科の悪性腫瘍;または骨盤構造が関与する骨原性腫瘍および他の肉腫性の悪性腫瘍に罹患した対象であってもよく、または対象は、病原体または旅行者下痢をもたらし得る他の条件との接触に感受性であり得る場所に旅行していている、または旅行しようとしている対象であってもよい。
【0056】
本明細書において、治療上有効な量は、ヒトまたは非ヒトの対象に投与した場合に、症状の軽減など治療上の有益性をもたらすのに有効な量、例えば、急性放射線腸炎の症状を低減するのに有効な量を意味する。
【0057】
ある実施形態によると、リファキシミンを放射線療法の前に投与してもよい。リファキシミンを、例えば、対象に対する初回の放射線療法の少なくとも1日前に、対象に対する初回の放射線療法の少なくとも5日前に、放射線治療の間に、放射線治療の中止の少なくとも1日後、放射線治療の中止の14日後、または前、間および後の組合せで投与することができる。これらの時間枠は一般的な参考のためであり、処置の期間は対象ベースよって対象に対して健康管理の専門家によって決定することができる。治療の少なくとも5日前の投与には、骨盤治療前の毎日の投与、治療の前のほとんどの日の投与、処置の日の投与、または処置の日の不投与が含まれる。
【0058】
ある好ましい実施形態には、リファキシミンを、初回の放射線療法の少なくとも1日前から放射線治療の中止の少なくとも1日後までに投与することが含まれる。放射線治療の前の処置により、リファキシミンが、傷害の原因の間、その作用部位に存在することができるようになる。
【0059】
ある実施形態では、リファキシミンを、約2週間から約6週間の期間の間、約8週間から約12週間の期間の間、または1日間から約7日間の間対象に投与する。リファキシミンを、処置中に間欠的または連続的に投与することができる。処置の長さは、放射線療法、化学療法のタイプおよび長さ、ならびに/または外科的処置のタイプに応じて変化してよく、処置の適切な長さは、本開示の利益を有する当業者であれば容易に決定することができる。
【0060】
あらゆる実施形態に対して、リファキシミンを、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回対象に投与することができる。ある特に好ましい本発明の方法は、リファキシミンを1日2回対象に投与することを含む。というのは、例えば、それにより副作用が最小限となり、患者のコンプライアンスが高まり得るからである。
【0061】
ある好ましい実施形態によると、投与量は、リファキシミンの日用量として約100mgから約2000mgの間の範囲である。例えば、約400から約550mgの投与量を1日2回対象に投与することができる。本発明による方法に好適な他の投与量は、健康管理の専門家が、または対象が決定することができる。毎日投与するリファキシミンの量は、対象の体重、年齢、健康、性別、または医学的状態に基づいて増大させても低減させてもよい。当業者であれば、この開示をもとに、対象に適する投与量を決定することができる。
【0062】
複数の治療を受けている対象に対してリファキシミンを、例えば、対象に対する初回の放射線療法、化学療法、および/または外科的処置を経験する少なくとも1日前;対象に対する初回の放射線療法、化学療法、および/または外科的処置を受ける少なくとも5日前;放射線治療、化学療法、および/または外科的処置の間;放射線治療の中止、化学療法の中止、または外科的処置の少なくとも1日後;放射線治療の中止、化学療法の中止、または外科的処置の14日後に投与することができる。
【0063】
リファキシミンを、処置の前、処置の間および処置の中止後に対象に投与することが好ましいことが多い。例えば、リファキシミンを、初回の放射線療法、化学療法、および/または外科的処置を経験する少なくとも1日前から、放射線治療、化学療法の中止、または外科的処置の少なくとも1日後までに投与することができる。
【0064】
適用は、子宮頸、前立腺、虫垂、結腸、腸、直腸、膵臓、肝臓、小腸、食道、胃、食道胃接合部の癌、または他の胃腸管の悪性腫瘍、または前立腺切除術に対する処置の結果として、放射線療法、化学療法、および/または外科的処置を受けている対象を含む。
【0065】
ある実施形態によると、リファキシミンを、例えば、化学療法薬、抗炎症薬、解熱薬、X線増感薬、放射線防護剤、泌尿器薬、制吐薬、および/または止瀉薬を含めた他の化合物と組み合わせて投与することができる。例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、イレッサ、タラバ(tarava)、エルビタックス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アセトアミノフェン、ミソニダゾール、アミホスチン、タムスロシン、フェナゾピリジン、オンダンセトロン、グラニセトロン、アロセトロン、パロノセトロン、プロメタジン、プロクロルペラジン、トリメトベンザミド、アプレピタント、バルサラジド、アトロピンと一緒のジフェノキシラート、および/またはロペラミドである。
【0066】
本明細書に開示する方法は、それを必要とする対象に治療上有効な量のリファキシミンを投与することによって、放射線誘発性腸炎または他の消化管炎症から対象を保護するのに有用でもある。例えば、患者が放射線を受ける前に、予防的な投与量を投与してもよい。
【0067】
本明細書に開示する方法は、それを必要とする対象に治療上有効な量のリファキシミンを投与することによる、結腸の粘膜に対する放射線誘発性傷害、および放射線誘発性結腸直腸の炎症、または他の消化管の粘膜炎から対象を保護するのに有用である。
【0068】
さらに別の一態様では、それを必要とする対象に、治療上有効な量のリファキシミン製剤を投与してそれによって対象を処置することを含む、腸炎および/または下痢に罹患している、またはかかりやすい対象を処置する方法である。腸炎および/または下痢、例えば放射線誘発性腸炎、または旅行者下痢に罹患している、またはかかりやすい対象を同定したら、リファキシミンを投与する。
【0069】
対象における処置の効力を評価する方法には、当技術分野ではよく知られている方法によって(例えば、水素呼気試験、メタン呼吸試験、バイオプシー、腸内細菌のサンプリング、排便量もしくは頻度もしくはタイプの測定など)、腸内細菌の異常増殖または下痢の処置前のレベルを決定すること、および次いで治療上有効な量のリファキシミンを対象に投与することが含まれる。リファキシミンの投与後、好適な期間の後(例えば、処置の最初の期間の後)、例えば2時間、4時間、8時間、12時間、または72時間、細菌の異常増殖および/または下痢のレベルを再び測定する。細菌のレベルまたは下痢の変調は、処置の効力を示す。細菌の異常増殖および/または下痢のレベルを、処置の間中、定期的に測定することができる。例えば、細菌の異常増殖または下痢を、数時間、数日、または数週間ごとに調べて、処置のさらなる効力を評価してもよい。細菌の異常増殖または下痢における低減は、処置が有効であることを示す。記載した方法を用いて、リファキシミンでの処置の恩恵を受けることができる患者をスクリーニングまたは選択してもよい。
【0070】
処置の効力を、例えば、細菌の異常増殖の低減によって測定してもよい。効力は、腸炎および/または下痢に関連する症状の低減、腸炎および/または下痢に関連する症状の安定化もしくは症状の中止、例えば、悪心、鼓脹、疼痛、排便量の頻度などの低減に関して測定してもよい。
【0071】
一態様では、リファキシミン製剤で処置している対象の経過をモニターする方法は、細菌の異常増殖または下痢の処置前のレベルを決定すること、治療上有効な量のリファキシミンを対象に投与すること、およびリファキシミンでの処置の最初の期間の後に細菌の異常増殖および/または下痢のレベルを決定することを含み、細菌の異常増殖の変調は処置の効力を示す。
【0072】
旅行者下痢は、24時間の期間に3回を超える形を成さない便通と定義され、3〜5日続く自己限定性疾患である。この疾患は、しばしば臨床的な栄養吸収不良を伴う、(1)急性の水様性下痢、(2)血液の混じる下痢(赤痢)、または(3)慢性下痢のいずれかとして表され得る。旅行者における下痢の発症には、個人的要因(年齢、社会経済的地位、体重、既存の胃腸管疾患)、行動要因(旅行の様式、宿泊所の水準、公共の場所における摂食、食事の誤り)、および旅行関連要因(目的地、滞在期間、出生国、季節)を含めたいくつかの要因が寄与している。海外旅行者間の、約85%の下痢は細菌の腸管病原性によって生成される。これら病原体は、通常、糞便で汚染された食品もしくは水、または加熱不十分な食品を摂取することにより獲得される。汚い手、または昆虫が、糞便汚染の媒介となることもある。食品の内部の温度が160F°(71℃)に到達し、またはそれを超えれば、調理した食品は摂取するのに安全である。ひき肉は処理工場で、および調製の間に汚染され得るので、加熱不十分なハンバーガーは危険な食品である。旅行者下痢を生成する通常の病原体には、クロストリジウムディフィシル(Clostridium difficile)、エルセニアエンテロリチカ(Yersenia enterolitica)、赤痢菌(Shigella sp.)、カンピロバクター(Campylobacter sp.)、サルモネラ菌(Salmonella sp.)、毒素原性大腸菌(Escherichia coli)、および腸管付着性大腸菌が含まれる。赤痢菌またはサルモネラ菌によって生成される旅行者下痢は、最も一般的な原因である毒素原性大腸菌(ETEC)によって引き起こされるものよりも重篤で長期間続く疾患を引き起こす傾向がある。カンピロバクタージェジュニは、特に冬季において、比較的一般的な旅行者下痢の原因である。ロタウイルス、サイトメガロウイルス、およびノーウォーク病原体などのウイルスは、旅行者下痢のあまり一般的ではない原因である。
【0073】
様々な実施形態では、治療法(例えば、予防用または治療用薬剤)は、5分未満の間隔、30分未満の間隔、1時間の間隔、約1時間の間隔、約1時間から約2時間の間隔、約2時間から約3時間の間隔、約3時間から約4時間の間隔、約4時間から約5時間の間隔、約5時間から約6時間の間隔、約6時間から約7時間の間隔、約7時間から約8時間の間隔、約8時間から約9時間の間隔、約9時間から約10時間の間隔、約10時間から約11時間の間隔、約11時間から約12時間の間隔、約12時間から18時間の間隔、18時間から24時間の間隔、24時間から36時間の間隔、36時間から48時間の間隔、48時間から52時間の間隔、52時間から60時間の間隔、60時間から72時間の間隔、72時間から84時間の間隔、84時間から96時間の間隔、または96時間から120時間の間隔で投与する。好ましい実施形態では、胃耐性のリファキシミン製剤を1日あたり2回投与する。他の実施形態では、胃耐性のリファキシミン製剤を、約1日から約7日間、または例えば約1カ月から約36カ月間、約7日/1カ月、または約1カ月から約36カ月もしくはそれを超える間1日1回もしくは2回投与する。
【0074】
ある実施形態では、本発明の1つまたは複数の製剤、および1つまたは複数の他の治療(例えば、予防用または治療用薬剤)を周期的に投与する。周期的な治療には、ある期間第1の治療(例えば、第1の予防用または治療用薬剤)を投与し、その後ある期間第2の治療(例えば、第2の予防用または治療用薬剤)を投与し、任意選択でその後ある期間第3の治療(例えば、第3の予防用または治療用薬剤)を投与するなどし、例えば、治療の1つに対する耐性の発症を低減するための周期で、この順次的な投与を繰り返して、治療の1つの副作用を避け、もしくは低減し、および/または治療の効力を改善する。
【0075】
ある実施形態では、本発明の同じ製剤の投与を繰り返してもよく、投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月の間隔であってもよい。他の実施形態では、胃耐性のリファキシミン製剤以外の同じ治療(例えば、予防用または治療用薬剤)の投与を繰り返してもよく、投与は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月の間隔であってもよい。
【0076】
ある種の適用は、より長期の処置時間を必要とすることがある。短期間の処置には、例えば、1から約7日間の処置が含まれる。リファキシミンでの長期間の処置には、例えば、15日間、3カ月、9カ月、3カ月間7日/1カ月、3カ月から12カ月間7日/1カ月、もしくはその中間あらゆる時間、またはそれより長いものが含まれる。本開示の恩恵を有する当業者であれば、特定の対象または意図された結果に対して、投与量を変化させる方法を理解するであろう。投与量レジメンは、患者の年齢、サイズ、および病状に応じて変化する。例えば、疾患または傷害の重症度、新しい疾患状態であるか、もしくはぶり返しであるか、もしくは再発であるかなどによる。
【0077】
本発明の予防用および/または治療用のプロトコールの毒性および効力は、例えば、LD50(集団の50%に致死的である投与量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な投与量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準の製薬上の手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果の間の投与量比が治療係数であり、これはLD50/ED50比として表すことができる。大きな治療係数を示す予防用および/または治療用薬剤が好ましい。毒性の副作用を示す予防用および/または治療用薬剤を用いてもよいが、非感染の細胞に対する潜在的な損傷を最小にし、したがって副作用を低減するために、罹患している組織の部位へのそのような薬剤を標的にする送達システムを設計するよう注意を払わなければならない。
【0078】
細胞培養アッセイ、動物試験、およびヒト試験から得たデータを、ヒトで使用するための予防用および/または治療用薬剤の投与量の範囲を考案するのに用いることができる。このような薬剤の投与量は、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にあるのが好ましい。投与量は、使用する剤形および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変化することができる。本発明の方法で用いられるあらゆる薬剤に対して、細胞培養アッセイから、治療上有効な投与量を最初に見積もることができる。細胞培養で決定されるIC50(例えば、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するため、動物モデルにおいて、投与量を考案することができる。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定することができる。血漿におけるレベルを、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0079】
特定の障害または病状の処置に有効である本発明の化合物の量は、障害または病状の性質に依存し、標準の臨床技術によって決定することができる。製剤で使用される正確な投与量は、投与経路、および疾患または障害の重症度にも依存し、医師の判断および各患者の状況に従って決定しなければならない。
【0080】
リファキシミン製剤の1日の全投与量は、例えば、約25mgから約2600mgまでの範囲であることができる。例えば、一般的に、本発明の製剤におけるリファキシミンの成人の1日の全投与量は、約300mgから約2000mgまで、約600mgから約1200mgまで、約700mgから約1000mgまでの範囲、またはその間のあらゆる全ての数もしくは分割量である。単回投与量は、リファキシミン約10、15、20、25、30、35、40、60、80、100、120、140、160、180、200、250、275、400、600、525、550、575、800、または1000mgを含むように考案されていてよい。一実施形態では、単回投与量はリファキシミン約800mgを含む。
【0081】
リファキシミンを、放出調節製剤として、または膜制御製剤として提供してもよい。本発明の膜制御製剤は、一体式(例えば、錠剤)でも、または多ユニット(例えば、ペレット)型でもよい即時放出のコアを調製し、コアを膜でコーティングすることによって調製することができる。次いで、膜制御性のコアを、機能的なコーティングでさらにコーティングすることができる。膜制御性のコアと機能的なコーティングとの間において、バリアまたはシーラントを適用してもよい。バリアまたはシーラントを、代替的に、またはさらに、即時放出のコアと膜コーティングとの間に提供することができる。
【0082】
リファキシミン製剤は、リファキシミンの、あらゆる多形性または無定形の形態であることができる。
【0083】
一実施形態では、リファキシミンを、薬学的に許容できる製剤を用いて、例えば、薬学的に許容できる製剤を対象に投与した後、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、または4週間、リファキシミンの持続的な送達を対象にもたらす薬学的に許容できる製剤を用いて対象に投与する。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の薬剤組成物を、処置を必要としている部位に局所的に投与するのが望ましいことがある。これは、例えば、外科手術の間の局所注入、または局所適用によって、例えば、外科手術後の創傷包帯と組み合わせて、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、または埋め込み(前記埋め込みは、多孔性、非多孔性、または膜を含めたゼラチン性の材料(シアラスチック(sialastic)膜もしくは線維)などである)によって、実現され得る。一実施形態では、放射線、化学療法、もしくは化学/生物戦争薬など、損傷に対して最も感受性である、増殖の速い組織の部位(または以前の部位)における直接注射によることができる。別の一実施形態では、リファキシミンを、経口投与用の粘性または非粘性の溶液に調合することができる。別個の一実施形態では、リファキシミンを、放射線誘発性の口腔粘膜炎または食道炎を軽減するためのリドカインなどの鎮痛剤を含む粘性または非粘性の混合物において調合することができる。別個の一実施形態では、リファキシミンを、例えば、放射線誘発性の口腔粘膜炎または食道炎を軽減するためのスクラルファートを含む粘性または非粘性の混合物において調合することができる。別個の一実施形態では、リファキシミンを、例えば、放射線誘発性の口腔粘膜炎または食道炎を軽減するためのナイスタチンを含む粘性または非粘性の混合物において調合することができる。別個の一実施形態では、リファキシミンを、放射線誘発性の口腔粘膜炎または食道炎を軽減するための、上記などの組合せを含む粘性または非粘性の混合物において調合することができる。
【0085】
ある実施形態では、リファキシミンのこれら薬剤組成物は、対象に対する局所または経口投与に適している。他の実施形態では、以下に詳しく記載するように、本発明の薬剤組成物を、以下のものに適合されるものを含めて、固体または液体形態における投与のために特に調合することができる:(1)経口投与、例えば、飲薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、パスタ剤、(2)非経口投与(例えば、滅菌溶液または懸濁剤として、例えば、皮下、筋肉内、または静脈内注射によって)、(3)局所適用(例えば、皮膚に適用するためのクリーム剤、軟膏剤、またはスプレー剤として)、(4)膣内または直腸内(例えば、ペッサリー、クリーム剤、または泡沫剤として)、または(5)エアロゾル(例えば、水性のエアロゾル、リポソームの調製物、または化合物を含む固体粒子として)。
【0086】
「薬学的に許容できる」の句は、健全な医薬の判断の範囲内において、理にかなった損/益比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適するこのような化合物を含む組成物、および/または剤形を意味する。
【0087】
「薬学的に許容できる担体」の句は、対象の化学物質を一臓器または体の部分から別の一臓器または体の部分への運搬または輸送に関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、またはカプセル化剤などの、薬学的に許容できる材料、組成物、またはビヒクルを含む。各担体は、製剤の他の成分と相容性であり、患者に対して傷害性ではないという意味で「許容できる」。薬学的に許容できる担体として働くことができる材料のいくつかの例には、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびショ糖、(2)デンプン、例えば、コーンスターチ、およびバレイショデンプン、(3)セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えば、カカオ脂、および坐剤用ロウ、(9)油、例えば、ラッカセイ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油、(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール、(11)多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール、(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル、およびラウリル酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸バッファー溶液、および(21)製剤で使用される他の非毒性の相容性物質が含まれる。
【0088】
湿潤剤、乳化剤、ならびに滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香料および芳香剤、保存剤、ならびに抗酸化剤も、組成物に存在することができる。
【0089】
薬学的に許容できる抗酸化剤の例には、(1)水溶性の抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、(2)油溶性の抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど、(3)金属キレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。
【0090】
リファキシミンを含む組成物には、例えば、経口、経鼻、局所(バッカルおよび舌下を含む)、直腸内、膣内、エアロゾル、経皮、および/または非経口の投与に適するものが含まれる。例えば、外胆汁瘻ドレインの感染を処置するために、そのドレインによってリファキシミンを経皮的に投与し、ゆえに「胆管内」投与をもたらすことができる。組成物を、単位投与量形態で表すと便利であることがあり、薬学の技術分野ではよく知られているあらゆる方法によって調製することができる。単回投与量形態を生成するための担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、処置するホスト、投与の特定の様式に応じて異なる。単回投与量形態を生成するための担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、一般には、治療効果を生成する化合物の量である。一般には、100%中、この量は有効成分約1%から約99%までの範囲であり、好ましくは有効成分約5%から約70%まで、より好ましくは約10%から約30%までの範囲である。
【0091】
これらリファキシミン組成物を調製する方法には、リファキシミンを担体、および任意選択で1つまたは複数の補助的な成分と会合させるステップが含まれる。一般に、均一に、かつ密接に液体の担体と、または微粉化した固体の担体と、または両方とリファキシミンを会合させ、次いで、必要であれば製品を成型することによって、製剤を調製する。
【0092】
経口投与に適するリファキシミン組成物は、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、トローチ剤(香り付けしたベース、通常はショ糖およびアラビアゴムもしくはトラガカントを用いて)、散剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性の液体における溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型の液体乳剤、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤、または香錠(不活性のベース、例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはショ糖およびアラビアゴムを用いて)、および/または洗口剤などの形態であってよく、各々が有効成分として予め決定した量のリファキシミンを含む。化合物を、また、ボーラス、舐剤、またはパスタ剤として投与してもよい。
【0093】
経口投与用の固体投与量形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、ドラジェ剤、散剤、顆粒剤など)では、有効成分を、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または下記のいずれかなどの1つまたは複数の薬学的に許容できる担体と混合する:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸、(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、および/またはアラビアゴムなど、(3)保水剤、例えば、グリセロール、(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(6)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えば、アセチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロールなど、(8)吸収剤、例えば、カオリン、およびベントナイト粘土、(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物、ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、薬剤組成物は緩衝剤も含んでもよい。類似のタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、および高分子量のポリエチレングリコールなどを用いて、軟および硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用することもできる。
【0094】
錠剤は、任意選択で1つまたは複数の補助的な成分とともに、圧縮または成型によって作成することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性の希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、もしくは架橋されているカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を用いて調製することができる。成型錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末化した有効成分の混合物を、適切な機械で成型することによって作成することができる。
【0095】
錠剤、ならびにドラジェ剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤などの、本発明の薬剤組成物の他の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティング、および薬剤調合の技術分野ではよく知られている他のコーティングで、任意選択により、刻み目を入れるまたは調製することができる。これらをまた、例えば、望ましい放出のプロファイルをもたらすための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/またはミクロスフェアを用いてその中の有効成分の徐放または制御放出をもたらすように調合することもできる。これらは、例えば、細菌保持性のフィルターを通したろ過によって、または滅菌水に溶解することができる滅菌の固体組成物の形態の滅菌剤、もしくはいくつかの他の滅菌の注射可能な媒体に使用直前に組み入れることによって滅菌することができる。これらの組成物は、また、任意選択により、不透明化剤も含むことができ、有効成分だけを、または、優先的には胃腸管のある部分において場合により遅延性の様式で放出する組成物であってもよい。用いることができる埋め込み式の組成物の例には、ポリマー物質およびロウが含まれる。有効成分は、適切である場合には、1つまたは複数の上記に記載した賦形剤を有するマイクロカプセル化した形態であることもできる。
【0096】
リファキシミンの経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容できる乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。有効成分の他に、液体剤形は、当技術分野では一般的に用いられている不活性の希釈剤、例えば、水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実、ラッカセイ、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合を含むことができる。
【0097】
不活性の希釈剤の他に、経口の組成物は、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤、甘味料、香料、着色料、芳香剤、および保存剤などの補助剤を含むことができる。
【0098】
懸濁剤は、有効なリファキシミンの他に、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、ならびにこれらの混合物などの懸濁化剤を含むことができる。
【0099】
直腸内または膣内投与のための本発明の薬剤組成物を坐剤として提示することができ、これは、リファキシミンを、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤用ロウ、またはサリチル酸塩を含む、1つまたは複数の適切な非刺激性の賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、これは室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶け、有効物質を放出する。
【0100】
膣内投与に適する本発明の組成物には、また、当技術分野では好適であることが知られているような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、泡沫剤、またはスプレーの製剤も含まれる。
【0101】
リファキシミンの局所または経皮投与のための剤形には、散剤、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、および吸入剤が含まれる。リファキシミンを、滅菌条件下で、薬学的に許容できる担体と、および、必要とされる可能性があるあらゆる保存剤、バッファー、または噴射剤と混合することができる。
【0102】
軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、およびゲル剤は、本発明のリファキシミンの他に、賦形剤、例えば、動物および植物の脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0103】
散剤およびスプレー剤は、リファキシミンの他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素、および揮発性の非置換型炭水化物、例えば、ブタンおよびプロパンなどの慣例の噴射剤をさらに含むことができる。
【0104】
あるいは、リファキシミンを、エアロゾル剤によって投与することができる。これは、例えば、水性のエアロゾル剤、リポソーム調製物、または化合物を含む固体粒子を調製することによって遂行される。非水性の(例えば、フルオロカーボンの噴射剤の)懸濁剤を用いることができる。超音波のネブライザーは、化合物の分解をもたらし得るせん断に薬剤をさらすのを最小にするので好ましい。
【0105】
通常、水性のエアロゾルは、薬剤の水溶液または懸濁液を、慣例の薬学的に許容できる担体および安定化剤と一緒に調合することによって作成される。担体および安定化剤は、特定の化合物の必要要件とともに変化するが、典型的には非イオン性界面活性剤(Tween、Pluronics、もしくはポリエチレングリコール)、血清アルブミンなどの非侵害性のタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、バッファー、塩、糖、または糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般に、等張溶液から調製する。
【0106】
経皮のパッチ剤は、リファキシミンの体への制御された送達をもたらす付加価値を有している。このような剤形は、薬剤を適当な媒体に溶解または分散することによって作成することができる。皮膚を超えた有効成分の流入を増大するために、吸収増強剤を用いることもできる。このような流入の速度は、速度調整膜を提供することによって、またはポリマーのマトリックスもしくはゲルにおいて有効成分を分散させることによってのいずれかで、調整することができる。
【0107】
非経口投与に適する本発明の薬剤組成物は、1つまたは複数のリファキシミンを、1つまたは複数の薬学的に許容できる滅菌の等張の水性もしくは非水性液剤、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散液中に再構成することができる滅菌粉末剤と組み合わせて含み、バッファー、静菌剤、意図したレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質、または懸濁化剤、または増粘剤を含むことができる。
【0108】
本発明の薬剤組成物で使用することができる適切な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性を、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0109】
これら組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤も含むことができる。微生物の作用を、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸などの様々な抗細菌薬および抗真菌薬を含むことによって確実に防止することができる。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を、組成物中に含むのが望ましいこともある。さらに、注射可能な薬剤形態の長期の吸収を、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅らせる薬剤を含むことによってもたらすことができる。
【0110】
いくつかの場合では、薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くするのが望ましい。これは、水への溶解性が劣る結晶または非結晶の材料の液体懸濁液の使用によって遂行することができる。次いで、薬物の吸収速度はその溶解の速度に依存し、これは今度は結晶サイズおよび結晶形態に依存することがある。あるいは、非経口投与した薬物形態の吸収の遅延は、薬物を油性のビヒクルに溶解または懸濁することによって遂行される。
【0111】
注射可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーにおけるリファキシミンのマトリックスのマイクロカプセル化を形成することによって作成される。薬物のポリマーに対する比率、および使用する特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度をコントロールすることができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能な製剤は、生体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を封入することによってやはり調製される。
【0112】
リファキシミンをヒトおよび動物に薬剤として投与する場合、それ自体で、または例えば、有効成分0.1から99.5%(より好ましくは0.5から90%)を薬学的に許容できる担体と組み合わせて含む薬剤組成物として投与することができる。
【0113】
いくつかの場合には、例えば同時に、そのためにリファキシミンを投与する病状に関連する病状(例えば、疼痛、カンジダ、嚥下障害、嚥下痛、粘膜炎、食道炎、間質性肺炎、口内炎、または口内乾燥)を軽減するために、リファキシミンを、それだけには限定されないが、ナイスタチン、ケトコナゾール、フルコナゾール、リドカイン、ベンゾカイン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、アゼラスチン、セチリジン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメトゾン、ブデソニド、モメタゾン、もしくは他のステロイド、局所麻酔薬、抗真菌薬、または抗ヒスタミン薬を含む他の好適な薬剤と組み合わせて調合することができる。この製剤は、粘性もしくは非粘性の液体、局所的に適用される化合物、エアロゾル、または注射可能の形態をとることができる。
【0114】
選択された投与経路に関係なく、適切に水和された形態で用いることができるリファキシミン、および/または本発明の薬剤組成物を、当業者には知られている従来の方法によって、薬学的に許容できる剤形に調合する。
【0115】
本発明の薬剤組成物における有効成分の投与の実際の投与量レベルおよび時間経過は、患者に毒性であることなしに、特定の患者、組成物、および投与様式に望ましい治療反応を実現するのに有効である有効成分の量を得るために変化することができる。例示の剤形を下記に開示する。
【0116】
(キット)
本明細書ではキットも提供し、例えば、対象における腸炎および/または下痢を処置するためのキットを提供する。キットは、例えば、リファキシミン組成物および使用のための指示書を含むことができる。使用のための指示書は、処方情報、投与量の情報、貯蔵の情報などを含むことができる。
【0117】
梱包した組成物も提供し、梱包した組成物は治療上有効な量のリファキシミンを含むことができる。リファキシミンの、α型、β型、γ型、δ型、ε型、および/またはあらゆる他の多形もしくは水和物の形態、ならびに薬学的に許容できる担体または希釈剤であって、組成物は、腸障害に罹患し、またはかかりやすい対象を処置するために調合され、腸障害に罹患し、またはかかりやすい対象を処置するための指示書とともに梱包されている。
【実施例】
【0118】
(実施例)
本発明は次に記載する実施例に制限されるものと解釈すべきではなく、むしろ本発明を、本明細書に提供するあらゆるかつ全ての適用および当業者の技術の範囲内の全ての同等の変異形態を含むものと解釈すべきである。
【0119】
国立癌研究所(NCI)共通毒性基準を用いて、放射線誘発性の急性腸毒性の重症度を等級分けした。下痢を主要なエンドポイントとして用い、以下のように評価した。
グレード0−下痢なし、または排便の頻度の増大
グレード1−1日あたりの排便2〜3回に増大
グレード2−1日あたりの排便4〜6回に増大、または夜間の排便
グレード3−1日あたりの排便7〜9回に増大、または失禁
グレード4−1日あたりの排便>10回に増大、または全体的に血液性の下痢。
【0120】
ベースラインの痔出血の記録は、グレード4とみなさなかった。
【0121】
第2のエンドポイントには、以下を含むNCI共通毒性基準によって概略されるガイドラインを用いて評価した直腸炎が含まれた。
グレード0−なし
グレード1−排便の頻度の増大、時折血液が線状で混じる便または直腸の不快感、薬物適用を必要としない
グレード2−排便の頻度の増大、出血、粘液性の排泄物、または直腸の不快感、薬物適用を必要とする
グレード3−非経口の支援を必要とする排便の頻度/下痢の増大、直腸の出血は輸液を必要とし、または粘液の排泄の持続はパッドの使用を必要とする
グレード4−穿孔、出血、もしくは壊死、または外科的処置を必要とする他の命を危うくする合併症。
【0122】
(水素呼気相関)
ポジティブのラクツロース−水素呼気試験により、腹骨盤の放射線治療を受けた患者の50%に小腸細菌異常増殖(SIBO)があることが確認された。さらなる15%がボーダーラインの結果を有し、35%がポジティブの呼吸試験を有さなかった。これは、腹骨盤の放射線は、胃腸管の正常のフローラに影響を及ぼし、細菌の異常増殖をもたらすことを示している。呼気試験は、下痢を含めた症状の記載に、正に相関した。リファキシミンを投与すると、この病状のコントロールを助け、これら患者の多くに生じるその後の腸炎を防止する。
【0123】
(患者選択基準)
a.外照射放射線療法(EBRT)の全体の線量は、≧45Gyかつ≦70Gyである。
b.分割あたりのEBRTの線量は、1週間あたり少なくとも5処置日に対して、150cGyと200cGyとの間であり、例外は研究部門の休日/非処置日に対して、および急性疾患など不測の患者の問題に対して自動的に認められた。
c.胃および小腸に対して入手可能な投与量体積のヒストグラムデータで、3次元的に計画されたRT(オリジナルの設計のCTから得られた遡及的に調製されたDVHデータが入手可能である)。
d.少なくとも1つの以下の薬剤を含む化学療法のレジメンに対して:5−FU、カペシタビン、オキザリプラチン、イリノテカン、またはゲムシタビン。
e.推定の生存が6カ月を超える。
【0124】
処置を地域の標準により、メガボルトの機器を用いて、各々1.5から2Gyの線量分割で送達する。
【0125】
アーム1または3(以下に記載)上の患者に対して、急性下痢の推奨される処置は同一である:穏やかな(グレード1)下痢は、地域の標準により、膨張性薬剤、好ましくはメチルセルロース(例えば、Citrucel(登録商標))で処置することができる。グレード2の下痢の最初の徴候では、ロペラミド(ImodiumAD(登録商標))で治療を開始する。これが症状を十分にコントロール(グレード0〜1を維持)する場合は、処置の医師は、用いた個々の投与量を追跡し、必要に応じて処置を継続するよう患者に求める。3日間の試験後、ロペラミドが最初に不成功であった場合、または引き続き不成功になった場合は、患者をジフェノキシレート/アトロピン(Lomotil)で処置しなければならない。再度、患者に、各日摂取したLomotil丸剤の数を試験日誌に記録するよう求める。Lomotilの間に下痢の重症度が増大したら、処置の医師によって好適であるとみなされるように扱われるべきであるが、細菌の存在または他の感染の存在を確実にし、SBBOを除外する便培養物が得られなければ、どの場合も抗生物質を用いるべきではない(アーム1または2上の患者に対する関連の試験薬物を除いて)。このような使用のほとんどに好ましい薬剤は、トリメトプリム/スルファメトキサゾールであるが、培養物および重症度の結果は、それが好適であるか否かを決定しなければならない。
【0126】
書面のインフォームドコンセントを得た後は、患者を階層化し、3つの処置アームの1つに無作為化する。アーム1は、Xifaxan(登録商標)400mgの1日2回の処置を伴い、放射線療法を開始する日に開始し、放射線療法の完了後28日まで続ける。アーム2は、NCI 有害事象のための共通毒性基準、3.0版で定義されたグレード2またはそれより高い下痢を発症する時間までの患者の観察を伴う。このレベルで毒性を発症したら、参加者に、最低7日間、または(地域の研究者によって決定された)症状が消散する時間までのいずれかの長い方、Xifaxan400mg1日3回(1日あたり全1200mg)を投与する。その後の「消散」または処置の最小7日間、試験アーム2上の患者は、1日投与量を1日2回400mg(1日あたり全800mg)に減じ、この投与量を照射28日後まで継続する。アーム3は、以下に定義する観察および最良の支持療法を含む。処置の医師の部分上で妥当な程度の確実性でSBBO以外の感染症の証拠が得られなければ、消化管症状のコントロールの目的には、Xifaxanまたは他の抗生物質での処置は認められない。
【0127】
ラクツロース水素呼気試験は、以下に概略するスケジュールに従って行う。試験のアーム2に割り当てられた患者に対して、Xifaxan投与の第1日目の、薬物の投与前に、さらなる呼吸試験を行う。呼気試験は、以下のプロトコールに従って行う。
【0128】
患者に、各試験の前夜の真夜中の後および朝、NPOに留まるよう求める。患者に、試験日の朝、喫煙、飲食、または運動をしないよう指示する。試験前に、ベースラインの測定値を得る。引き続き、以下のようにサンプリングを進める:
サンプル1、時間0、ベースラインの測定値、ラクツロース20gm投与
サンプル2、時間15分、サンプル肺胞ガス
サンプル3、時間30分、サンプル肺胞ガス
サンプル4、時間45分、サンプル肺胞ガス
サンプル5、時間60分、サンプル肺胞ガス
サンプル6、時間90分、サンプル肺胞ガス
サンプル7、時間120分、サンプル肺胞ガス
サンプル8、時間150分、サンプル肺胞ガス
サンプル9、時間180分、サンプル肺胞ガス。
【0129】
潜在的なサンプル汚染の理由とならない分析を避けるために、二酸化炭素に対する相関を考慮に入れる。水素およびメタンの補正値を、各サンプルに対して記録する。
【0130】
分析の目的では、異常呼吸試験を、試験の最初の3時間における、>12ppmの水素またはメタンにおける上昇と定義する。ラクツロース負荷に対する不耐性(過剰な鼓脹、膨張、または下痢)を、相応に解釈する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹骨盤治療によって引き起こされる腸炎を治療する方法であって、治療上有効な量のリファキシミンを、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項2】
腹骨盤治療を受けるべき対象において腸炎を予防的に処置する方法であって、予防的に治療上有効な量のリファキシミンを腹骨盤治療の前に対象に投与することを含む方法。
【請求項3】
リファキシミンを、対象に対する初回の腹骨盤治療の少なくとも1日前に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
それを必要とする対象を、腸炎の発症のリスク、水素呼気試験、症状の分析、または医学的評価の1つまたは複数によって決定する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
リファキシミンを、対象に対する初回の腹骨盤治療の1日前から7日前の間に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
リファキシミンを腹骨盤治療の間に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
リファキシミンを腹骨盤治療の中止の少なくとも1日後に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
リファキシミンを腹骨盤治療の中止の約5日後から約60日後の間に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
リファキシミンを腹骨盤治療の中止の約10日後から約30日後の間に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
リファキシミンを、初回の腹骨盤治療の少なくとも1日前から腹骨盤治療の中止の少なくとも1日後までに投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
対象が、結腸直腸癌、虫垂癌、肛門癌もしくは小腸癌を含めた消化管の悪性腫瘍;前立腺癌、膀胱癌、精巣癌もしくは陰茎癌を含めた泌尿生殖器の悪性腫瘍;子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌もしくは外陰癌を含めた婦人科の悪性腫瘍;または骨盤構造が関与する骨原性腫瘍および他の肉腫性の悪性腫瘍の処置の結果として腹骨盤治療を受けた、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
リファキシミンを1日2回対象に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
リファキシミンを1日3回対象に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
約200mgから約1600mgの間のリファキシミンを毎日対象に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
約800mgから約1200mgの間のリファキシミンを毎日対象に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
リファキシミンを約8週間から約12週間の間対象に投与する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
対象が急性腸炎を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
腹骨盤治療によって誘発される腸炎が、放射線治療、化学療法または外科的処置の1つまたは複数によって引き起こされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
腹骨盤治療が、放射線療法、化学療法または外科的処置の1つまたは複数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
リファキシミンを、放射線治療の中止、化学療法の中止、または外科的処置の14日後に投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
対象が、結腸直腸癌、虫垂癌、肛門癌もしくは小腸癌を含めた消化管の悪性腫瘍;前立腺癌、膀胱癌、精巣癌もしくは陰茎癌を含めた泌尿生殖器の悪性腫瘍;子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌もしくは外陰癌を含めた婦人科の悪性腫瘍;または骨盤構造が関与する骨原性腫瘍および他の肉腫性の悪性腫瘍の処置の結果として腹骨盤治療を受けた、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
リファキシミンを1日2回対象に投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
約100mgから約2000mgの間のリファキシミンを毎日対象に投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
リファキシミンを約8週間から約12週間の間対象に投与する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
治療上有効な量のリファキシミンを、放射線治療を受ける前、受けている間および/または受けた後に対象に投与することを含む、放射線誘発性腸炎から保護する方法。
【請求項26】
結腸の粘膜に対する放射線誘発性傷害から保護する方法であって、治療上有効な量のリファキシミンを、放射線治療を受ける前、受けている間および/または受けた後に対象に投与することを含む方法。
【請求項27】
放射線誘発性の結腸直腸の炎症から保護する方法であって、治療上有効な量のリファキシミンを、放射線治療を受ける前、受けている間および/または受けた後に対象に投与することを含む方法。
【請求項28】
対象において腸炎を処置し、または腸炎を処置した対象の経過をモニターする方法であって、
腸炎の処置前レベルを決定するステップと、
治療上有効な量のリファキシミンを対象に投与するステップと、
調製物での処置の最初の期間の後に腸炎の処置後レベルを決定するステップと
を含む方法。
【請求項29】
腸炎を処置するための対象を選択する方法であって、
対象の腸炎のリスクを決定するステップと、
予防上有効な量のリファキシミンを対象に投与するステップと、
リファキシミンでの処置の最初の期間の後に腸炎の処置後レベルを決定するステップと
を含む方法。
【請求項30】
投与が腸炎の処置を施す前である、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
投与が腸炎の処置を施す前および施した後である、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
腸炎のレベルの変調が処置の有効性を示す、請求項28または29に記載の方法。
【請求項33】
腸炎の低減が、処置が有効であることを示す、請求項28または29に記載の方法。
【請求項34】
腸炎の変調が、対象が処置に対して好ましい臨床反応を有する可能性が高い指標である、請求項28または29に記載の方法。
【請求項35】
旅行者下痢を予防的に処置する方法であって、予防上有効な量のリファキシミンを、旅行者下痢を発症するリスクのある対象に投与することを含む方法。
【請求項36】
投与が、旅行者下痢に対するリスク条件への曝露の前である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
投与が、旅行者下痢に対するリスク条件への曝露の間である、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2009−545602(P2009−545602A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522891(P2009−522891)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/017379
【国際公開番号】WO2008/016708
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(506275586)サリックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】