説明

腹膜透析溶液中の微生物汚染物を検出するための方法および組成物

腹膜透析溶液中の微生物汚染物を検出するための方法および組成物が、提供される。無菌性腹膜炎の新規の原因(透析溶液のグラム陽性微生物汚染に関連する無菌性腹膜炎)が提供される。ペプチドグリカンは、グラム陽性細菌の細胞壁の主要な構成要素であり、したがって、グラム陽性細菌のためのマーカーとして役立ち得る。これに関して、ペプチドグリカンに関する試験は、腹膜透析溶液(例えば、イコデキストリンなどを含むグルコースポリマーを含有する腹膜透析溶液)を使用する患者における腹膜炎を効果的に防止するために利用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般的に、グラム陽性微生物汚染物の検出に関する。より具体的には、本発明は、腹膜透析溶液中におけるペプチドグリカンの検出を利用する方法および組成物に関する。ペプチドグリカンは、グラム陽性生物の主要な細胞壁構成要素であり、したがって、これらの微生物の良いマーカーとして役立つ。
【背景技術】
【0002】
疾患または傷害または他の原因に起因して、腎臓系は機能不全になり得る。任意の原因の腎不全において、数種の生理学的障害が存在する。水と、無機質(例えば、Na、K、Cl、Ca、P、Mg、SO)と、固定イオンの日々の代謝性負荷の排出との均衡は、腎不全においてはもはや不可能である。腎不全の間、窒素代謝の毒性の最終産物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)は、血液および組織に蓄積し得る。
【0003】
透析プロセスは、ある濃度勾配に亘る半透膜を横切る拡散による溶液中の要素の分離(拡散性の溶質輸送)のために工夫されてきた。透析プロセスの例としては、血液透析、腹膜透析、および血液濾過が挙げられる。
【0004】
血液透析処置は、患者の血液を利用して、廃棄物、毒素、および過剰の水を患者から除去する。患者は、血液透析機に接続され、そして患者の血液は、この機械を通してポンプ輸送される。カテーテルなどが、患者の静脈と動脈とに挿入されて、血液透析機への血流と血液透析機からの血流とに接続する。廃棄物、毒素、および過剰の水は患者の血液から除去され、そしてその血液は患者に注入されて戻される。血液透析処置は、数時間で終了し得、そして一般的に、週に約3回もしくは4回、処置センターにおいて実施される。
【0005】
古典的な血液透析に多くの場合関連する欠点を克服するために、腹膜透析のような他の技術が開発された。
【0006】
腹膜透析は、患者自身の腹膜を半透膜として利用する。腹膜は、体腔の膜状の内張りであり、多数の血管および毛細管に起因して、天然の半透膜として作用し得る。
【0007】
腹膜透析においては、カテーテルなどを利用して、無菌の透析溶液が腹膜腔に導入される。十分な期間の後、透析液と血液との間の溶質の交換が達成される。流体の除去は、血液から透析液へと適切な浸透圧勾配を提供して、血液からの水の流出を可能にすることによって達成される。このことは、適切な酸−塩基平衡、電解質平衡、および流体平衡を血液に復帰させる。この透析溶液は、単純に、体腔からカテーテルを介して排出される。種々の型の腹腔透析の例としては、連続携行式腹膜灌流、自動腹膜透析、および連続フロー腹膜透析(continuous flow peritoneal dialysis)が挙げられる。
【0008】
標準的腹膜透析溶液は、腹膜を横切る水および代謝廃棄産物の輸送を達成するために、デキストロースを含む。デキストロースは、比較的安全かつ安価であるという利点を有するが、多くの欠点を有する。サイズが小さいので、デキストロースは腹膜を通って迅速に輸送され、それによって注入の約2〜4時間以内に浸透圧勾配の消失および限外濾過の消失を引き起こす。腹膜透析溶液の限外濾過特性は、デキストロースを大きな分子量の物質(例えば、グルコースポリマー)と置き換えることによって改善され得ることが示唆されている。新規の高分子量の因子の例は、イコデキストリンである。イコデキストリンを含有する透析溶液は、市販されており、そして末期の腎疾患を有する患者を処置するのに有用であることが見出されている。
【0009】
腹膜炎は、腹膜透析の主な合併症である。腹膜炎の臨床的な疑いは、種々の臨床的症状発現(腹痛、悪心、嘔吐、下痢および発熱が挙げられ得る)と併せて、曇って見える透析液の発生によって促進される。例えば、非特許文献1を参照のこと。腹膜炎のエピソードのほとんどは、腹腔内細菌感染によって引き起こされ、そしてその診断は、通常、陽性の透析液培養物によって容易に確立される。しかし、数種の、十分に実証された非感染性腹膜炎または無菌性腹膜炎の原因が存在する。無菌性(aseptic)もしくは無菌性(sterile)の腹膜炎は、無菌性(aseptic)、化学的(chemical)または培養陰性(culture−negative)の腹膜炎としてもまた記載されており、代表的に、化学物質または外来の身体刺激原によって引き起こされる。
【0010】
腹膜透析患者の間での無菌性腹膜炎の主な発生の1つは、1977年に起こった。これは、透析溶液の、内在性かつ潜在性のエンドトキシン汚染が原因であった。誘発が疑われる腹膜透析液のバッチは、2〜2.5エンドトキシン単位(EU)/mLの範囲のエンドトキシンレベルを有した。例えば、非特許文献2を参照のこと。同様の、エンドトキシン汚染によって引き起こされた無菌性腹膜炎の流行が、連続循環式腹膜透析(continuous cycling peritoneal dialysis)患者において、1998年に報告された。例えば、非特許文献3を参照のこと。他に報告された、無菌性腹膜炎の原因としては、以下が挙げられる:腹腔内投与されたバンコマイシン(例えば、非特許文献4、および非特許文献5を参照のこと)、アンホテリシンB(例えば、非特許文献6を参照のこと)、ならびにアセトアルデヒド(例えば、非特許文献7を参照のこと)。無菌性腹膜炎の独特の形態である好酸球性腹膜炎は、腹膜透析の開始直後に起こり得る、さらにより一般的な実体である。例えば、非特許文献8を参照のこと。
【0011】
先に考察したように、グルコースポリマー(例えば、イコデキストリン)は、腹膜透析溶液においてデキストロースの代わりに使用され得る。イコデキストリンは、コーンスターチの加水分解から生じるグルコースのポリマーである。これは、12,000〜20,000ダルトンの分子量を有する。浸透圧剤(osmotic agent)としてイコデキストリンを含有する腹膜透析溶液は、一般的に、長期滞留(long dwell)(>4時間)交換のために使用される。イコデキストリン中のグルコース分子の大多数は、α(1−4)グルコシド結合で直線的に連結されており(>90%)、一方小分画(<10%)は、α(1−6)結合で連結されている。
【0012】
イコデキストリンは、1994年に英国において、そして1996年に欧州の他の国々において、臨床治療に導入された。長期滞留に関するイコデキストリンの臨床上の利点は、特に、高輸送状態および高い平均輸送状態を有し、そして限外濾過を損失した患者において、よく許容され、そしてその全体的な人気の原因とされている。例えば、以下を参照のこと:非特許文献9;イコデキストリン研究群に関して、非特許文献10;および非特許文献11。
【0013】
腹膜透析溶液において使用するためのイコデキストリンの導入に起因して、無菌性腹膜炎の散発性の症例が報告されている。例えば、以下を参照のこと:非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;および非特許文献20。これらの患者は、代表的に、曇った透析液、腹痛がないこと、そして300/mmから3500/mmまで変動する透析液細胞数(種々のパーセンテージの好中球、リンパ球およびマクロファージを有する)を示した。一般的に、限外濾過プロフィールまたは溶質に対する腹膜透過性に変化はない。培養は常に陰性で、腹膜または末梢血の好塩基球増加症の証拠はなかった。さらに、全ての溶液の構成要素およびエンドトキシンのレベルは、製品の仕様の範囲内に収まり、そしてイコデキストリンベースの腹膜透析溶液は、あらゆる現行の薬局方の標準を満たしていた。これらの報告に促されて、2001年に、イコデキストリン含有溶液の製造元(BAXTER HEALTHCARE CORPORATION)は、製品特性の概要(Summary of Product Characteristics(SPC))を改変し、曇った排液を、イコデキストリンの「望ましくない副作用」として含めた。
【0014】
非経口医薬品は、発熱を引き起こす物質のような物質の汚染がないことを必要とする。グラム陰性細菌に由来するエンドトキシンは、非経口用製品の最も一般的な汚染物質であり、関連する歴史上有名なパイロジェンは、LPSである。現行の薬局方標準では、パイロジェン汚染に関する2種類の試験のうちの1つが非経口用製品に適用される。これらの試験は、ウサギパイロジェン試験およびLALアッセイである。両試験とも、一般的に信頼性があるが、欠点を有する。ウサギ試験は、熱性応答により、次いでこれはパイロジェン性サイトカインの生成に依存する。ウサギパイロジェン試験は、このパイロジェン濃度が、全身性応答を誘発するには低過ぎるが、局所性炎症反応を生じるのに十分な大きさである場合、偽陰性となる可能性がある。代わって、より感受性のあるLAL試験は、LPS以外のパイロジェンを検出しない。ウイルス、真菌、DNA、グラム陽性菌体外毒素、またはグラム陽性細菌の細菌細胞壁構成要素(例えば、ペプチドグリカンなど)のようなパイロジェンは、LAL試験によって検出されない。例えば、以下を参照のこと:非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;および非特許文献25。
【0015】
上記で考察されるようなイコデキストリンベースの腹膜透析溶液によって観察される無菌性腹膜炎の世界的発生は、どのように、微生物性の、非エンドトキシン汚染物質を有する現代の非経口用製品が、薬局方標準のもとで安全であるとみなされ得るが、有害な臨床作用を引き起こすかの監視例として役立つ。
【非特許文献1】Vas SI、「Peritonitis.」、Nolph KD編、Peritoneal Dialysis.第3版、ドルドレヒト、オランダ国:Kluwer Academic Publishers、1989年、261−84
【非特許文献2】Karanicolas S,Oreopoulos DG,Izatt SHら、「Epidemic of aseptic peritonitis caused by endotoxin during chronic peritoneal dialysis」、N Engl J Med 296、1977年、1336−7
【非特許文献3】Mangram AJ,Archbald LK,Hupert Mら、「Outbreak of sterile peritonitis among continuous cycling peritoneal dialysis patients」、Kidney Int 54、1988年、1367−71
【非特許文献4】Smith T,Baile G,Eisele G、「Chemical peritonitis associated with intraperitoneal vancomycin」、Ann Pharm 25、1991年、602−3
【非特許文献5】Chancy DI,Gouse SF、「Chemical peritonitis secondary to intraperitoneal vancomycin」、Am J Kidney Dis 17、1991年、76−9
【非特許文献6】Benevent D,El Akoun N,Lagarde C、「Dangers of administration of intraperitoneal amphotericin B in continuous ambulatory peritoneal dialysis」、Press Med 13、1984年、1844
【非特許文献7】Tuncer M,Sarikaya M,Sezer Tら、「Chemical peritonitis associated with high dialysate acetaldehyde concentrations」、Nephrol Dial Transplant 15、2000年、2037−40
【非特許文献8】Gokal R,Ramos JM,Ward MKら「Eosinophilic peritonitis」、CAPD,Clin Nephrol 15、1981年、328−330
【非特許文献9】Wilkie ME,Plant MJ,Edwards Lら、「Icodextrin 7.5% dialysate solution(glucose polymer)in patients with ultrafiltration failure:extension of technique survival」、Perit Dial Int 17、1997年、84−7
【非特許文献10】Wolfson M,Piraino B,Hamburger RJ,Morton AR、「A randomized controlled trial to evaluate the efficacy and safety of icodextrin in peritoneal dialysis」、Am J Kidney Dis 40、2002年、1055−65
【非特許文献11】Mujais S,Nolph K,Gokal Rら、「Evaluation and management of ultrafiltration problems in peritoneal dialysis」、Perit Dial Int 20(補遺4)、2000年、S5−S21
【非特許文献12】Pinerolo MC,Porri MT,D’Amico G、「Recurrent sterile peritonitis at onset of treatment with icodextrin」、Perit Dial Int 19、1999年、491−2
【非特許文献13】Williams PF、「Tirnely initiation of dialysis.」、Am J Kidney Dis 34、1999年、594−595
【非特許文献14】Williams PF,Foggensteiner L、「Sterile/allergic peritonitis with icodextrin in CAPD patients」、Perit Dial Int 22、2002年、89−90
【非特許文献15】Foggensteiner L,Bayliss J,Moss Hら、「Timely initiation of dialysis−single−exchange experiences in 39 patients starting peritoneal dialysis」、Perit Dial Int 22、2002年、471−6
【非特許文献16】Heering P,Brause M,Plum Jら、「Peritoneal reaction to icodextrin in a female patient on CAPD.」、Perit Dial Int 21、2001年、321−2
【非特許文献17】Del Rosso G,Di Liberato L,Pirilli Aら、「A new form of acute adverse reaction to icodextrin in peritoneal dialysis patient」、Nephrol Dial Transplant 15、2000年、927−8
【非特許文献18】Goffin E,Scheiff JM、「Transient sterile chemical peritonitis in a CAPD patient using icodextrin」、Perit Dial Int 22、2002年、90−1
【非特許文献19】Tintillier M,Pochet JM,Christophe JL,Scheiff JMら、「Transient sterile chemical peritonitis with icodextrin:clinical presentation,prevalence,and literature review」、Perit Dial Int 22、2002年、534−7
【非特許文献20】Gokal R、「Icodextrin−associated sterile peritonitis」、Perit Dial Int 22、2002年、445−8
【非特許文献21】Dinarello CA,O’Conner JV,LoPreste G、「Human leukocyte pyrogen test for detection of pyrogenic material in growth hormone produced by recombinant Escherichia coli」、J Clin Microbiol 20、1984年、323−9
【非特許文献22】Poole S,Thorpe R,Meager Aら、「Detection of pyrogen by cytokine release」、Lancet 1(8577)、1988年、130
【非特許文献23】Ray A,Redhead K,Selkirk Sら、「Variability in LPS composition,antigenicity and reactogenicity of phase variants of Bordetella pertussis」、FEMS Microbiol Lett 63、1991年、211−7
【非特許文献24】Taktak YS,Selkirk S,Bristow AFら、「Assay of pyrogens by interleukin−6 release from monocytic cell lines」、J Pharm Pharmacol 43、1991年、578−82
【非特許文献25】Fennrich S,Fischer M,Hartung Tら、「Detection of endotoxins and other pyrogens using human whole blood」、Dev Biol Stand 101、1999年、131−9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、非経口用製品が汚染性物質を事実上含まないことをよりよく保証するための検出手順を利用する、非経口用製品に関する改善された標準を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、一般的に、グラム陽性微生物汚染物質の検出に関する。特に、本発明は、腹膜透析溶液中のペプチドグリカンの検出を利用する方法および組成物に関する。本発明者らは、驚くべきことに、無菌性腹膜炎の新規の原因−−透析溶液のグラム陽性微生物汚染に関する無菌性腹膜炎を発見した。ペプチドグリカンは、グラム陽性細菌細胞壁の主要な構成要素であり、したがって、グラム陽性細菌に対するマーカーとして役立ち得る。したがって、ペプチドグリカンについての試験は、イコデキストリンなどを含むグルコースポリマーを含有する腹膜透析溶液のような腹膜透析溶液を使用する患者において腹膜炎を効果的に防止するために、利用され得る。
【0018】
イコデキストリンは、天然産物であるコーンスターチに由来する。天然起源の産物が多種多様な微生物に汚染されていることは、周知である。本発明者らは、いくつかの天然産物(例えば、コーンスターチ)が、抗酸性の高熱性細菌(例えば、Alicyclobacillus acidocaldariuos)を含むことを見出した。この後者の生物体は、食品産業、特に酸性飲料において広範に存在する。グアヤコールを生成するのは、このalicyclobacillusであり、味の「異なる」(「off」flavour)オレンジジュースのための原因物質である。例えば、Matsubara H,Goto K,Matsumara Tら、Alicyclobacillus acidiphilus sp.Nov.,a novel thermo−acidophilic,omega−alicyclic fatty acid−containing bacterium isolated from acidic beverages.Int J Syst Evol Microbiol 2002;52:1681−5を参照のこと。
【0019】
一般的に、腹膜透析溶液および非経口用溶液がこの生物体もしくはその分解産物によって汚染されていることは認識されていない。これは主に、腹膜透析溶液および非経口用溶液の微生物汚染に関する現行の試験手順は、一般的に、この生物体もしくはその分解産物を検出し得ないからである。
【0020】
このため、一実施形態において、本発明は、腹膜透析溶液を製造するための方法を提供する。この方法は、グルコースポリマーベースの溶液を提供する工程;上記グルコースポリマーベースの溶液に試薬を添加する工程であって、この試薬は、ペプチドグリカンと反応し得る、工程;上記試薬を使用して、上記ペプチドグリカンの量を決定する工程;および、上記ペプチドグリカンが十分低いレベルで存在することが決定される場合、上記グルコースポリマーベースの溶液を使用して上記腹膜透析溶液を提供する工程、を包含する。
【0021】
一実施形態において、上記反応は、セリンプロテアーゼカスケードを開始させる。
【0022】
一実施形態において、上記セリンプロテアーゼカスケードは、プロフェノールオキシダーゼカスケードを含む。
【0023】
一実施形態において、上記試薬は、カイコ幼虫血漿に由来する。
【0024】
一実施形態において、上記ペプチドグリカンの量は、上記ペプチドグリカンと上記試薬との間の反応に対する比色定量測定によってさらに決定される。
【0025】
一実施形態において、上記十分低いレベルのペプチドグリカンは、約10ng/mL未満である。
【0026】
一実施形態において、上記グルコースポリマーベースの溶液は、イコデキストリンを含有する。
【0027】
一実施形態において、上記試薬は、上記グルコースポリマーベースの溶液を作製するために使用される原材料形態のグルコースポリマーに添加される。
【0028】
別の実施形態において、本発明は、患者に腹膜透析を提供する方法を提供する。この方法は、腹膜透析溶液が十分低いレベルのペプチドグリカンを有することを保証するための試薬を利用して、この腹膜透析溶液を調製し、上記患者において腹膜炎を防止する工程;および、上記患者に上記腹膜透析溶液を提供する工程、を包含する。
【0029】
一実施形態において、上記腹膜透析溶液は、イコデキストリンベースの溶液を含む。
【0030】
一実施形態において、上記腹膜透析は、自動腹膜透析および連続携行式腹膜灌流などを含む。
【0031】
一実施形態において、上記患者は、腹膜透析の間、腹膜炎に関してモニタリングされる。例えば、腹膜炎の発症に相関のあるIL−6応答を判定するために、透析排液が上記患者から回収される。
【0032】
一実施形態において、上記試薬は、腹膜透析の間に使用する前の腹膜透析溶液中において、上記ペプチドグリカンの量が約10ng/mLを超えるか否かを決定するために使用される。
【0033】
なお別の実施形態において、本発明は、腹膜炎を引き起こすのに十分なレベルを超えるペプチドグリカンの量に関して腹膜透析溶液を試験する方法を提供する。この方法は、上記腹膜透析溶液に試薬を添加する工程であって、この試薬は、ペプチドグリカンと反応してセリンプロテアーゼカスケードを開始させ得る、工程;および、上記ペプチドグリカンの量を決定する工程、を包含する。例えば、イコデキストリンベースの溶液は、上記ペプチドグリカンの量が約10ng/mLを超えるか否かを決定するために試験され得る。
【0034】
さらになお別の実施形態において、本発明は、ペプチドグリカンと反応し得る試薬を含有するイコデキストリン組成物を提供する。
【0035】
一実施形態において、ペプチドグリカンのレベルは、上記製品が無菌性腹膜炎を生じるレベルよりも上に確立され得る。
【0036】
一実施形態において、ペプチドグリカンと結合する樹脂を備えるアフィニティーカラムの使用が、グルコースポリマーにおけるペプチドグリカンの汚染を最小限にするために使用され得る。
【0037】
本発明の利点は、改善された腹膜透析溶液を提供することである。
【0038】
本発明の別の利点は、腹膜透析溶液におけるペプチドグリカンの存在を判定するための検出プロトコールを利用する、腹膜透析溶液を製造および使用するための改善された方法を提供することである。
【0039】
本発明のなお別の利点は、腹膜透析療法を受ける患者において腹膜炎を防止するために利用され得る、改善された試験手順を提供することである。
【0040】
本発明のさらなるなお別の利点は、その製造において、ペプチドグリカンの存在を判定するための検出手順を利用する、改善されたイコデキストリン組成物を提供することである。
【0041】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載されており、そしてそれらから明らかである。
【0042】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、グラム陽性生物およびそれらの断片の検出に関する。特に、本発明は、腹膜透析溶液中におけるペプチドグリカンの検出を利用する方法および組成物に関する。本発明者らは、驚くべきことに、無菌性腹膜炎の新規の原因(透析溶液のグラム陽性微生物汚染に関連する無菌性腹膜炎)を発見した。ペプチドグリカンは、グラム陽性細菌細胞壁の主要な構成要素であり、したがって、グラム陽性細菌のマーカーとして役立ち得る。これに関して、ペプチドグリカンについての試験は、イコデキストリンなどを含むグルコースポリマーを含有する腹膜透析溶液のような腹膜透析溶液を使用する患者において腹膜炎を効果的に防止するために、利用され得る。
【0043】
イコデキストリンベースの腹膜透析溶液に関連する無菌性腹膜炎は、微生物起源の汚染物質に起因する、腹膜透析溶液に関して報告される最大の有害事象であると考えられている。以下で詳細に記載されるような実験的研究に基づいて、このことは、イコデキストリンベースの腹膜透析溶液中のペプチドグリカンが、無菌性腹膜炎の原因因子であったことを示唆する。さらに、以下に詳述されるようなファーマコビジランス(pharmacovigilence)データは、腹膜炎の発生を防止するための矯正作用および製造のスクリーニング手順の有効性を支持する。これらの所見は、エンドトキシンが、当然ながら、患者に有害な作用をもたらし得るより心配のある細菌性生成物の1つである一方で、唯一のものではないということを示す。これに関連して、非エンドトキシンパイロジェン(例えば、ペプチドグリカン)が既に同定されており、これは臨床的に有意な炎症を生じ得る。したがって、このことは、簡単な試験を通り、それによって薬局方標準を満たす非経口医薬品が、このような製品の有効かつ安全な使用を効果的に判定して、この使用に関連するクオリティオブライフの問題をよりよく保証するためのさらなるレベルの試験をなお必要とし得ることを示す。
【0044】
本発明において、非LPSパイロジェン汚染が問題として認識された。なぜなら、腹膜透析交換は、インサイチュにおけるペプチドグリカン誘発性炎症の直接的観察を可能にするからである。ペプチドグリカンは、β(1−4)結合されたN−アセチルムラミン酸とペプチド架橋によって架橋結合されたN−アセチル−D−グルコサミン残基とから形成される、ヘテロポリマーである。例えば、Royce CL,Pardy RL:Endotoxin−like properties of an extract from a symbiotic,eukaryotic cholerella−like green algae,J Endotoxin Res 1996;3:437−44を参照のこと。グリカン骨格は、化学的に均一であり、一方糖を架橋結合するペプチドは様々である。ペプチドグリカンはグラム陽性細胞壁のおよそ40重量%を占めるが、グラム陰性細胞壁の総重量の約1〜10%を占める。Royce CL,Pardy RL:Endotoxin−like properties of an extract from a symbiotic,eukaryotic cholerella−like green algae,J Endotoxin Res 1996;3:437−44。ペプチドグリカンおよび別の細胞壁構成要素(リポテイコ酸)は、実質的に、グラム陽性細胞壁の主要な炎症誘発性構成要素の全てを含む。例えば、Sriskandan S,Cohen J:Gram−positive sepsis(Opal SM,Cross AS編,Bacterial Sepsis and Septic Shock,Philadelphia:W.B.Saunders Company,1999:397−412を参照のこと。
【0045】
エンドトキシンと同様、ペプチドグリカンは、多種多様な細胞におけるサイトカイン産生を誘導し得、免疫調節作用を有すると長く認識されてきた。例えば、以下を参照のこと:Garner RE,Hudson JA:Intravenous injection of candida−derived mannan results in elevated tumor necrosis factor alpha levels in serum,Infect Immun 1996;64:4561−6;およびSchwab J:Phlogistic properties of peptidoglycan−polysaccharide polymers from cell walls of pathogenic and normal flora bacteria which colonize humans,Infect Immun 1993;61:4535−9。しかしながら、ペプチドグリカンは、これらの生物学的効果の誘発物として、エンドトキシンよりも数桁の大きさで効力が低い。例えば、以下を参照のこと:Henderson B,Poole S,Wilson M:Bacterial modulins:a novel class of virulence factors which cause host tissue pathology by inducing cytokine synthesis,Microbiol Rev 1996;60:316−41;およびNakagawa Y,Maeda H,Murai T:Evaluation of the in vitro pyrogen test system based on proinflammatory cytokine release from human monocytes:Comparison with a human whole blood culture test system and with the rabbit pyrogen test,Clin Diag Lab Immunol 2002;9:588−97。例えば、ウサギにおけるペプチドグリカンの最低発熱用量は、7.3μg/kgであり、一方エンドトキシンのそれは、0.0027μg/kgである。例えば、Henderson B,Poole S,Wilson M:Bacterial modulins:a novel class of virulence factors which cause host tissue pathology by inducing cytokine synthesis,Microbiol Rev 1996;60:316−41を参照のこと。
【0046】
発熱性を有する物質が存在しないことに加えて、非経口用製品の安全性は、一般的に、それらの無菌性を判定する薬局方試験によって規定される。細菌培養物は、一般的に、中性pHにおいて、20℃〜35℃の間のインキュベーション温度を使用して行われる。これらは、増殖のために酸性培地と高温を必要とする、好熱性の、好酸性微生物(例えば、Alicyclobacillus acidocaldarius)の増殖のための至適条件以下である。したがって、慣習的に利用される「無菌性の定義」とそれを支持するアッセイは、従来の条件下で増殖しない微生物を検出しない可能性がある。本出願の一実施形態において、高温での酸加水分解が、イコデキストリンを生成するためのデンプンの加水分解のために使用される。これらの製造条件は、Alicycclobacillus acidocadariusの増殖には適切であるが、生物汚染度に基づいて無菌性を決定するために使用される条件とは調和しない。
【0047】
上記で言及されるように、本研究の研究結果の詳細な説明は、限定ではなく例示目的で、以下に、本発明の実施形態に従って提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(化学的研究および物理的研究)
イコデキストリン中のグルコース分子の大多数は、α(1−4)グルコシド結合によって直線的に結合されており(>90%)、一方小分画(<10%)はα(1−6)結合で結合されている。イコデキストリンの分子量の分配を、ゲル透過クロマトグラフィーによって行った。イコデキストリン中のα(1→6)グルコシド結合およびα(1→4)グルコシド結合の分布を、核磁気共鳴分光法によって評価した。揮発性および半揮発性の有機不純物を高速液体クロマトグラフィーおよび質量分析計によって試験した。
【0049】
(透析液排液分析)
患者からの透析液排液サンプルを、イコデキストリン代謝物、トリグリセリド、総タンパク質、ならびに選択された発熱性サイトカイン(IL−6、IL−1βおよびTNF−α)について分析した。イコデキストリン代謝物を、パルス電流滴定検出とともに高速陰イオン交換クロマトグラフィーを用いてアッセイした。例えば、Burke RA,Hvizd MG,Shockley TR:Direct determination of polyglucose metabolites in plasma using anion−exchange chromatography with pulsed amperometric detection,J Chromatogr B 1997;693:353−7を参照のこと。トリグリセリド分析およびタンパク質分析を、Boehringer Mannheim/Hitachi 911 Chemistry analyzerによって行った。サイトカイン測定を、ELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)を用いて行った。
【0050】
(パイロジェンの測定)
イコデキストリン溶液中のエンドトキシン濃度を、定点色素形成LAL試験(fixed point chromogenic LAL test)によって決定した。例えば、Weary M,Dubczak J,Wiggins Jら:Validating an LAL chromogenic substrate pyrogen test for large volume parenterals(Watson SW,Levin J,Novitsky TJ編,Detection of bacterial endotoxin with limulus amebocyte lysate test、New York:Alan R.Liss,1987:307−22を参照のこと。欧州薬局方において提供される指針に従って、ウサギパイロジェン試験を行った。欧州薬局方,Pyrogens,第4版、ストラスブール,フランス:Council of Europe,2002:131−2。新たに単離された末梢血単核細胞(PBMC)における、試験物質への暴露後のIL−6応答を測定するエキソビボパイロジェン試験を使用して、非エンドトキシンパイロジェンを定量した。例えば、以下を参照のこと:Dinarello CA,O’Conner JV,LoPreste G:Human leukocyte pyrogen test for detection of pyrogenic material in growth hormone produced by recombinant Escherichia coli,J Clin Microbiol 1984;20:323−9;およびPoole S,Thorpe R,Meager Aら:Detection of pyrogen by cytokine release,Lancet 1988;1(8577):130。
【0051】
(ペプチドグリカンの測定)
カイコ幼虫血漿(SLP)試験(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Osaka,Japan)によってペプチドグリカン(PG)定量を行った。例えば、Tsuchiya M,Asahi N,Suzouki F:Detection of peptidoglycan and B−glucan with silkworm larvae plasma test,FEMS Immunol Medical Micrbiol 1996;15:129−34;および米国特許第4,970,152号を参照のこと。SLPは、プロフェノールオキシダーゼ(PPO)カスケード(昆虫の自己防衛機構)のあらゆる要因を含む。PPOカスケードは、ペプチドグリカンによって開始され、ここでPPOは、最終的に、フェノールオキシダーゼへと活性化される。このフェノールオキシダーゼ活性は、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンを基質として用いて、比色定量測定によって検出される。イコデキストリン溶液中のペプチドグリカンの検出限界は、7.4ng/mLであることが見出された。SLP試験は、エンドトキシンを検出しない。
【0052】
米国特許第4,970,152号において十分に考察されるように、例えば、ペプチドグリカン(またはβ−G)の検出は、以下のように実行され得る。ペプチドグリカンを含有するサンプルを、ペプチドグリカン(「PG」)と特異的に反応する分画を含む試薬と十分に混合して、反応溶液を調製する。特定の期間の後、この反応溶液における酵素活性(例えば、BAEEase,PPAE,POなどの活性)を従来法によって測定し得、そして既知の濃度を有するPG標準溶液を使用することによって以前に得られた較正曲線と比較して、PGの量を決定し得る。
【0053】
あるいは、POの活性化のために必要とされる時間がサンプル中のPGの濃度に依存するという現象を応用することが可能である。つまり、POの基質の存在下でのPG試薬とサンプルとの混合の後、POによって生成される反応産物の量が特定の値に達するために必要とされる時間が測定される。
【0054】
限定ではなく例として、SLP試験を利用する実験手順が、以下のような本発明の一実施形態に従って実施され得る。
【0055】
ペプチドグリカン(PG)および(1,3)−−D−グルカン(BG)は、それぞれ、グラム陽性細菌および真菌の細胞壁の構成要素である。PGおよびBGは、カイコ幼虫血漿(SLP)試験によって測定される。SLP試験は、プロフェノールオキシダーゼ(PPO)カスケード(昆虫の重要な自己防衛機構)のあらゆる要因を含む。PPOカスケードは、ペプチドグリカンによって開始され、ここで、PPOは、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)をメラニンに変換する。結果として得られるメラニンの形成は、標準的プレートリーダーを用いた650nmでの比色定量によって検出される。原材料イコデキストリンは、希釈されずに試験され、そして0.74ng/ml(最低検出可能標準点)の検出限界(LOD)を有する。最終生成物(例えば、EXTRANEAL)は、電解質の存在によって引き起こされるマトリックス阻害を緩和するために10倍希釈された後、試験される。このサンプル希釈工程は、1:10希釈に対して補正した後、7.4ng/mlのLODという結果となる。
【0056】
(動物研究)
イコデキストリン中のペプチドグリカンについて、効果が観察されないレベル(NOEL)を、ラットモデルにおいて決定した。全部で45匹の雄のSprague−Dawleyラット(Harlan Inc;Indianapolis,IN,USA)、(体重255〜280g)を、9つの等しい群に分けた。各群は、0ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、50ng/mL、100ng/mL、500ng/mL、1000ng/mLまたは5000ng/mLのペプチドグリカンを加えた(spike)、35mL/kgの用量のイコデキストリンの単回腹腔内注射を受けた。Staphylococcus aureus(Toxin Technology Inc.,Sarasota,FL,USA)由来のペプチドグリカンを、これらの実験において使用した。注射6時間後、ラットを屠殺し、腹腔内の流体を、重量および体積を決定することによって定量的に回収した。腹水を有核細胞数および分画(differential count)、総タンパク質、およびIL−6濃度およびTNF−α濃度について分析した。
【0057】
(統計分析)
2000年7月と2002年9月との間に製造されたイコデキストリンの数百のバッチに関する販売後の監視データを分析し、ペプチドグリカンレベルと無菌性腹膜炎の発生との間の関連を決定した。百万あたりの病訴(complaints per million(CPM))を効果的に示すのに十分な病訴頻度を蓄積するために、データを対数スケールでのペプチドグリカンレベル、すなわち、≦7.4ng/mL、>7.4〜15ng/mL、>15〜30ng/mL、>30〜60ng/mL、および≧60ng/mLへと分類した。各ペプチドグリカン濃度範囲に対して、全病訴と全販売単位とを計算した。販売単位CPMを、全病訴÷全販売単位×100万として計算した。負の二項回帰を使用して、CPMとペプチドグリカンレベルとの間の関連を評価した。SASプロシージャーGENMOD (SAS Institute,Cary,NC,USA)を使用して、統計分析を行った。
【0058】
(臨床症例)
2000年にBAXTER HEALTHCARE CORPORATIONの世界的ファーマコビジランスシステムを通じて受けた報告によると、無菌性腹膜炎の頻度[(病訴数÷処置患者数)×100]は、0.095%であった。2001年における報告症例において、2002年3月における1.04%のピーク頻度への定常的な増加が存在した。患者は、見かけ上、稀に熱性もしくは中毒性であった;腹痛は軽度〜なしであった;透析液は曇っており、かつ細胞性であり、透析液細胞数は、300/mmから3500/mmまで変動した(種々のパーセンテージの好中球、リンパ球、およびマクロファージを有し、好塩基球を有さなかった)。細菌性腹膜炎と異なり、低分子溶質についての限外濾過または腹膜透過性における変化はなかった。血液および透析液培養物は、常に陰性であった。抗生物質は、その地方の医師によって様々に実施された。あらゆる臨床徴候は、イコデキストリンを中止することで解消した。いくつかの症例では、イコデキストリンを再開し、そして無菌性腹膜炎が再発した。BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONは、2002年5月に、数百バッチのイコデキストリンの自発的な全世界的リコールを開始した。
【0059】
(イコデキストリンの化学的研究および物理的研究)
リコールされたイコデキストリンバッチの大規模な化学的研究および物理的研究を行った。これらの分析は、無菌性腹膜炎に関連するバッチと有害な臨床事象に関連しないバッチとの間での、イコデキストリンの分子量の分布、グルコシド結合の分岐のパーセントにおける何らかの差異を明らかにせず、また揮発性および半揮発性の有機不純物を追跡しなかった。イコデキストリン含有透析液の病訴バッチの全ての溶液構成要素は、製品の仕様の範囲内であり、かつ現行の薬局方標準を満たした。
【0060】
(透析液排液分析)
コントロール排液と比較して、無菌性腹膜炎を有する患者からの透析液排液において、IL−6濃度の明らかな上昇が観察された(それぞれ、>5000pg/mL 対 59pg/mL)。コントロールと比較して、タンパク質濃度の上昇が病訴サンプルにおいて示された(それぞれ、236mg/dL 対 125 mg/dL)。病訴サンプルとコントロールサンプルとの間で、イコデキストリンとその代謝産物(2〜7の重合化の程度を有するグルコースポリマー)における差はなかった。これらの結果は、イコデキストリンもその代謝産物も、おそらく無菌性腹膜炎の原因ではなかったことを示した。
【0061】
(イコデキストリンのパイロジェン分析)
無菌性腹膜炎に関連する全てのイコデキストリンサンプルにおけるエンドトキシンレベルは、LAL試験によって決定される場合、製品の限度の範囲内(<0.25EU/mL)であることが見出された。ウサギパイロジェン試験において、病訴イコデキストリンバッチもしくは非病訴イコデキストリンバッチのいずれにも、温度上昇はなかった。しかし、インビトロPBMCアッセイにおけるIL−6応答の増加は、以下の表1に示されるように、病訴イコデキストリン含有透析液バッチにも、腹膜透析液の病訴バッチを製造するために使用されるイコデキストリン原材料にも観察された。
【0062】
(表1:PBMCアッセイにおけるイコデキストリンの病訴バッチおよび非病訴バッチのIL−6応答:このアッセイにおいて、500pg/mLより大きいIL−6応答は、陽性発熱応答とみなされる)
【0063】
【表1】

補助的構成要素を含むイーグル最小必須培地、Baxter実験用製品、グルコース含有標準腹膜透析溶液。
【0064】
病訴サンプルにおけるIL−6誘発性物質は、ポリミキシンBの存在下で影響を受けなかった。したがって、このことは、このIL−6誘発性物質がLPSではなかったことを示唆する。例えば、Pool EJ,Johaar G,James Sら:Differentiation between endotoxin and non−endotoxin pyrogens in human albumin solutions using an ex vivo whole blood culture assay,J Immunoassay 1999;20:79−89を参照のこと。30kDの分子量のカットオフフィルターを使用した濾過実験において、PBMCアッセイにおいて炎症応答を生じる汚染物は、保持物(retentate)中に見出された。このことは、この物質の分子量が>30kDであった(すなわち、イコデキストリンよりも大きい)ことを示唆する。LPSに関するアッセイで陰性であって、しかしPBMC IL−6応答が陽性であったことは、無菌性腹膜炎の可能性のある原因が、最終腹膜透析溶液を製造するために使用されるイコデキストリン原材料中の非エンドトキシンパイロジェン汚染物であったことを示した。
【0065】
(ペプチドグリカン分析および微生物学的分析)
数百のリコールされたイコデキストリンのバッチの分析は、41%のバッチがSLPアッセイによって検出されたペプチドグリカンによって汚染されていたことを示した。ペプチドグリカン濃度は、検出限界の7.4ng/mLから303ng/mLの範囲に及んだ。マルトデキストリンからのイコデキストリンの製造は、加熱および酸性化を必要とするので、選好性の生物の存在に関する微生物学的研究を行った。イコデキストリンの初期工程が、好熱性、好酸性のグラム陽性生物であるAlicyclobacillus acidocaldariusで汚染されることが見出された。Alicyclobacillusは、汚染性ペプチドグリカンの源であった。最終に近い生成物に対して適用された加熱および滅菌濾過手順は、細菌を消失させたが、ペプチドグリカン汚染物は消失しなかった。イコデキストリン中のペプチドグリカンレベルとPBMCアッセイにおいて観察されたIL−6応答との間に正の相関が見出された(図1を参照のこと)。ドナー間でIL−6応答にかなりの変動性が見られ、このことは、ペプチドグリカンに対する感受性の範囲を示唆する。
【0066】
(動物研究)
NOELを確立するために、ラットにおいてペプチドグリカンの腹腔内投与の効果を調べた。これは、イコデキストリン製造のための規制的仕様を確立するために使用され得る。総タンパク質、白血球および好中球は、ペプチドグリカンを含まないイコデキストリンを受容したコントロールラットと比較して、イコデキストリン+ペプチドグリカン処置ラットの腹水において上昇した。腹水における好中球の浸潤は、100ng/mLにおいてNOELを有し、用量依存性の増加を示した(図2を参照のこと)。炎症性サイトカインは、TNF−αに関して10ng/mLにおいてNOEL値を有し(図3を参照のこと)、そしてIL−6に関して100ng/mLにおいてNOELを有し(図4を参照のこと)、どちらも用量依存性の増加を示した。ペプチドグリカンに対する最低のNOELは、10ng/mLであったTNF−α応答に対してであった。
【0067】
(ペプチドグリカンと無菌性腹膜炎との間の相関)
以下の表2に示されるように、イコデキストリン中のペプチドグリカン濃度とCPMとの間に、正の相関を見出した。
【0068】
(表2:百万販売単位あたりの病訴(CPM)とイコデキストリン溶液中のペプチドグリカン濃度との間の相関)
【0069】
【表2】

百万販売単位あたりの病訴(CPM)を、全病訴÷全販売単位×百万として計算した。
【0070】
ペプチドグリカンレベルが7.4ng/mLの検出限界以下であった場合、ベースラインCPMは18.2であった。これに対して、ペプチドグリカンレベルが60ng/mL以上であった場合、CPMは252.9であった。CPMとペプチドグリカンとの間の関連は、高度に有意であった(p<0.0001)。
【0071】
(矯正作用後の無菌性腹膜炎の発生)
2002年5月において、BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONは、>10ng/mLの濃度でペプチドグリカンに汚染されたイコデキストリンの全てのバッチをリコールし、そしてそのリコールの時点でペプチドグリカンについてアッセイしていなかった全てのロットをリコールした。さらに、アッセイの検出限界(<7.4ng/mL)より下のペプチドグリカンについての内部の規制的仕様を、製品の発売に対して実施した。ペプチドグリカンおよび好熱性細菌に対する日常的な連続的モニタリングを実施した。製造された最近のバッチ全てにおけるペプチドグリカン濃度は、SLP試験の検出限界より下であり、そしてPBMCアッセイによってIL−6誘発性因子を欠いている。
【0072】
図5は、2001年9月から始まり2003年1月までの、月当たりの無菌性腹膜炎の発生率を示す。病訴の頻度は、矯正作用の実施後、2002年3月におけるピーク値の1.04%から、2003年1月における0.013%まで減少した。BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONからのEXTRANEALとして知られる市販の腹膜透析溶液を使用した患者数は、この期間中、約7,000のままだった。これらの結果は、矯正作用が、イコデキストリン含有透析溶液におけるペプチドグリカン汚染に起因する過剰な無菌性腹膜炎の病訴を防止するのに有効であったことを示唆する。
【0073】
先に考察したように、本発明は、腹膜透析溶液におけるペプチドグリカンの検出を利用する、方法および組成物に関する。ペプチドグリカンはグラム陽性生物の主要な細胞壁構成要素であるので、このことは、細菌断片について試験することを可能にする。これに関して、ペプチドグリカン検出は、腹膜透析溶液(例えば、イコデキストリンなどを含むグルコースポリマーを含有する腹膜透析溶液)を使用する患者において腹膜炎を防止するために効果的に利用され得る。
【0074】
組成物、腹膜透析溶液、およびそれらを製造および使用する方法が、本発明の実施形態に従って、任意の適切な様式で提供され得ることを理解すべきである。一実施形態において、本発明は、生物汚染度試験(例えば、種々の薬局方に記載されるような標準的手順に従う、好酸性の好熱性生物についての生物汚染度試験)を提供する。この型の試験は、先に考察したようなペプチドグリカンの検出による細菌断片についての試験に加えて、さらなるレベルの試験として利用され得る。
【0075】
一実施形態において、本発明は、腹膜透析溶液を製造するための方法を提供する。この方法は、任意の適切な数および型の処理段階を包含し得る。例えば、この処理は、グルコースポリマーを提供する工程;上記グルコースポリマーに試薬を添加する工程であって、この試薬は、ペプチドグリカンと反応し得る、工程;上記ペプチドグリカンの量を決定する工程;および、上記ペプチドグリカンが上記グルコースポリマー中に十分低いレベルで存在することが決定される場合、上記グルコースポリマーを使用して上記腹膜透析溶液を作製する工程、を包含する。ペプチドグリカンなどの量がこのレベル(例えば、約10ng/mL以下)を超える場合、上記グルコースポリマーは、このペプチドグリカンなどの十分低いレベルを達成するために、さらに処理されてペプチドグリカンなどを除去し得る。このグルコースポリマーは、任意の適切な様式でさらに処理され得る。一実施形態において、このグルコースポリマーは、任意の適切な数および型の分離デバイス(例えば、アフィニティーデバイスなど)によって処理され得る。
【0076】
一実施形態において、本発明は、組成物(例えば、腹膜透析溶液を調製するために使用され得るグルコースポリマー組成物)を提供する。種々の異なる組成物および種々の型の組成物ならびにそれを含む溶液が利用され得る。例えば、組成物および溶液の型は、同様であり得、米国特許第4,761,237号(発明の名称「PERITONEAL DIALYSIS SOLUTION CONTAINING CARBOHYDRATE POLYMERS」);米国特許第4,886,789号(発明の名称「PERITONEAL DIALYSIS AND COMPOSITIONS FOR USE THEREIN」);米国特許第6,077,836号(発明の名称「PERITONEAL DIALYSIS AND COMPOSITIONS FOR USE THEREIN」);および米国特許第6,248,726B1号(発明の名称「METHOD OF PERITONEAL DIALYSIS USING GLUCOSE POLYMER SOLUTIONS」)(これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される)において見出され得る。組成物およびそれを含む溶液のさらなる例は、米国特許出願番号10/327,264(発明の名称「BIOCOMPATIBLE DIALYSIS FLUIDS CONTAINING ICODEXTRINS」、2002年12月20日出願);および米国特許出願番号09/206,063(発明の名称「PERITONEAL DIALYSIS SOLUTION CONTAINING MODIFIED ICODEXTRINS」、1998年12月4日出願)(これらの開示は、その全体が本明細書において参考として援用される)において見出され得る。一実施形態において、腹膜透析溶液は、BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONによるEXTRANEAL、またはその適切な改変物を含み得る。
【0077】
一実施形態において、本発明は、腹膜透析(例えば、連続携行式腹膜灌流および自動腹膜透析)を提供する方法を包含する。連続携行式腹膜灌流において、患者は、その日の間に数回の排出、充填および滞留(dwell)のサイクルを行う(例えば、1日に4回)。各処置サイクルは、1回の排出、充填および滞留を含み、約4時間を要する。
【0078】
自動腹膜透析は、連続携行式腹膜灌流と同様であり、その透析処理は、排出、充填および滞留サイクルを含む。しかし、透析機は、代表的には患者が眠っている間に一晩かけて、自動的に3回以上の腹膜透析処理を行う。
【0079】
自動腹膜透析では、自動透析機は、埋め込まれたカテーテルなどに流体連絡する。この自動透析機はまた、新鮮透析溶液の供給源もしくはバッグと流体排液管とに流体連絡する。透析機のポンプは、透析溶液を、腹腔からカテーテルを解して排液管へ送る。次いで透析機は、新鮮な透析溶液を、供給源からカテーテルを介して患者の腹腔へとポンプで送る。この自動機械は、透析溶液が腔内に滞留し、それによって患者の血流から透析溶液への廃棄物、毒素、および過剰の水の移動が起こり得ることを可能にする。コンピュータは、この自動透析機を制御し、それによって、(例えば、患者が寝ているときに)患者が透析機に接続される場合、透析処置が自動的に起こる。これに関して、この透析システムは、自動的かつ連続的に、流体を腹腔内にポンプで送り、滞留することを可能にし、腹腔の外へ流体をポンプで送り、そしてこの手順を繰り返す。
【0080】
数回の排出、充填、および滞留のサイクルが処置の間に起こる。また、最終容量の「最後の充填」が、代表的に、自動透析処置の最後に使用される。これは、患者がその日のための透析機から外れる場合に、患者の腹腔に残る。自動腹膜透析は、患者を、その日の間に手動で排出、滞留、充填工程を行う必要性から解放する。一実施形態において、自動腹膜透析は、混合デバイス(例えば、BAXTER HEALTHCARE CORPORATIONによるADMIX HOMECHOICEまたはその適切な改変物)を利用することによって行われ得る。
【0081】
一実施形態において、本発明は、腹膜透析溶液(例えば、イコデキストリンベースの溶液)が、それを使用する患者において腹膜炎を引き起こすのに十分なレベルを超えるペプチドグリカンを含むか否かを決定するための試験を提供する。本発明は、試薬(例えば、カイコ幼虫血漿に由来する試薬)を検出目的のために利用する、検出プロトコールを提供する。この検出手順が腹膜透析溶液の使用前の任意の適切な段階で行われ得ることが、理解されるべきである。
【0082】
例えば、上記試薬は、原材料形態のグルコースポリマー組成物(例えば、イコデキストリン組成物)に添加されて、ペプチドグリカンの存在を判定し得る。ペプチドグリカンのレベルが十分に低いレベルである場合、次にこの組成物は、腹膜透析溶液を調製するために利用され得る。別の実施形態において、この試薬は、例えば、滅菌プロセス後の最終製品形態の腹膜透析溶液に添加され得る。例えば、この試薬は、任意の適切な溶液バッグ(例えば、単一の室(chamber)のある溶液バッグもしくは複数の室のある溶液バッグ)内に含まれる腹膜透析溶液に添加され得る。複数の室のある溶液バッグもしくは溶液容器の例は、米国特許第5,431,496号に提供される(この開示は、その全体が本明細書において参考として援用される)。
【0083】
本明細書において記載されるように、全ての特許出願および特許公開を含む刊行物は、それらの全体が本明細書において参考として援用される。
【0084】
本明細書において記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであることが、理解されるべきである。このような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして本発明の意図された利点を損なうことなく行われ得る。したがって、このような変更および改変が、添付の特許請求の範囲によって網羅されるべきことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、PBMCアッセイにおけるIL−6応答とイコデキストリン中のペプチドグリカン濃度との間の相関を示す。IL−6応答は、健康なボランティアから新たに単離された単球において測定された。各々の記号および線は、単一のドナーからのデータを表す。
【図2】図2は、ラット腹水における好中球の浸潤に対するペプチドグリカンの効果を示す。腹水は、ペプチドグリカンを含有するイコデキストリンの単回注入(35mL/kg)の6時間後に回収された。
【図3】図3は、ラット腹水中のTNF−αに対するペプチドグリカンの効果を示す。
【図4】図4は、ラット腹水中のIL−6に対するペプチドグリカンの効果を示す。
【図5】図5は、イコデキストリンの使用に伴って報告された無菌性腹膜炎の頻度(%)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析溶液を製造するための方法であって、該方法は、以下の工程:
グルコースポリマーを提供する工程;
該グルコースポリマーに試薬を添加する工程であって、該試薬は、ペプチドグリカンと反応し得る、工程;
該ペプチドグリカンの量を決定する工程;および
該ペプチドグリカンが十分低いレベルで存在することが決定される場合、該グルコースポリマーを使用して該腹膜透析溶液を作製する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記反応が、セリンプロテアーゼカスケードを開始させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セリンプロテアーゼカスケードが、プロフェノールオキシダーゼカスケードを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試薬が、カイコ幼虫血漿に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペプチドグリカンの量が、前記ペプチドグリカンと前記試薬との間の反応に対する比色定量測定によってさらに決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記十分低いレベルのペプチドグリカンが、約10ng/mL未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グルコースポリマーベースの溶液が、イコデキストリンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試薬が、前記グルコースポリマーベースの溶液に添加される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ペプチドグリカンが前記十分低いレベルで存在していないことが決定される場合、該ペプチドグリカンを除去して、該ペプチドグリカンの十分低いレベルを提供する工程をさらに包含する、方法。
【請求項10】
前記グルコースポリマーがイコデキストリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
患者に腹膜透析を提供する方法であって、該方法は、以下の工程:
腹膜透析溶液が十分低いレベルのペプチドグリカンを有することを保証するための試薬を利用して、該腹膜透析溶液を調製し、該患者において腹膜炎を防止する工程;および
該患者に該腹膜透析溶液を提供する工程
を包含する、方法。
【請求項12】
前記ペプチドグリカンの十分低いレベルが、約10ng/mL未満を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記腹膜透析溶液が、グルコースポリマーベースの溶液を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記グルコースポリマーベースの溶液が、イコデキストリンを含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記腹膜透析が、自動腹膜透析および連続携行式腹膜灌流からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、腹膜透析の間、腹膜炎に関してモニタリングされる、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
腹膜炎の発症に相関のあるIL−6応答を判定するために、透析排液が前記患者から回収される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、腹膜透析の間に使用する前の前記腹膜透析溶液中において前記ペプチドグリカンの量が約10ng/mLを超えるか否かを決定するために、前記試薬が使用される、方法。
【請求項19】
前記試薬が、カイコ幼虫血漿に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
腹膜炎を引き起こすのに十分なレベルを超えるグラム陽性生物の存在に関して、腹膜透析溶液を試験する方法であって、該方法は、以下の工程:
該腹膜透析溶液に試薬を添加する工程であって、該試薬は、ペプチドグリカンと反応してセリンプロテアーゼカスケードを開始させ得る、工程;および
該ペプチドグリカンの量を決定する工程
を包含する、方法。
【請求項21】
前記セリンプロテアーゼカスケードが、プロフェノールオキシダーゼカスケードを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記試薬が、カイコ幼虫血漿に由来する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記腹膜透析溶液が、グルコースポリマーベースの溶液を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記グルコースポリマーベースの溶液が、イコデキストリンを含有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記試薬が、前記グルコースポリマーベースの溶液を作製するために使用される原材料形態のグルコースポリマーに添加される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記グルコースポリマーベースの溶液が、約10ng/mLを超える前記ペプチドグリカンの量に関して試験される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ペプチドグリカンと反応し得る試薬を含有する、グルコースポリマー組成物。
【請求項28】
前記試薬が、前記ペプチドグリカンと反応してセリンプロテアーゼカスケードを開始させ得る、請求項27に記載のグルコースポリマー組成物。
【請求項29】
前記セリンプロテアーゼカスケードが、プロフェノールオキシダーゼカスケードを含む、請求項28に記載のグルコースポリマー組成物。
【請求項30】
前記試薬が、カイコ幼虫血漿に由来する、請求項27に記載のグルコースポリマー組成物。
【請求項31】
前記グルコースポリマー組成物が、イコデキストリンである、請求項27に記載のグルコースポリマー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−525506(P2007−525506A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500888(P2007−500888)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005187
【国際公開番号】WO2005/093087
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】