説明

膜分離エレメントの洗浄方法

【課題】効率の良い膜の洗浄が可能となる膜分離エレメントの洗浄方法を提供する。
【解決手段】被処理水に膜分離エレメントを浸漬し、該膜分離エレメントを通して処理水を取り出す膜分離処理槽内に、比重が1.000〜1.080、平均粒子径が2.0〜7.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1〜1.3であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入し、該担体粒子(A)を処理槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去することを特徴とする膜分離エレメントの洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率の良い膜の洗浄が可能となる膜分離エレメントの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業排水、農業排水など有機物を含む排水は、凝集分離(浮上または沈殿)処理或いは限外濾過等の物理的処理を行ったのち、活性汚泥法等により生物処理されるのが一般的である。このような限外濾過や活性汚泥処理等においては、通常、膜分離エレメントを用いて被処理水を固液に分離し、処理水をとり出している。この処理を続けると、経時で膜分離エレメントの膜面に固形物が付着、堆積して目詰まりしてしまい、濾過能力が次第に低下するため、膜分離エレメントを薬液で洗浄する、またはエアで洗浄する等が行なわれている。しかしながらこれらの洗浄方法では、膜寿命が短くなる、専用の洗浄槽が必要、コストが高いなどの問題があった。
【0003】
これに対して、粒子成分を洗浄部材として処理槽内に投入し槽内において流動させることによって、該粒子成分による掻き取り作用で膜表面の付着・堆積物を除去する洗浄方法が種々提案されている(特許文献1〜4等、参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−214306号公報
【特許文献2】特開平9−136021号公報
【特許文献3】特開2000−84378号公報
【特許文献4】特開2002−361053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの方法によれば、作業も簡便でコストも抑えられるという利点を有するが、膜分離エレメントの膜表面を傷付けたり、逆に掻き取り作用が不十分で膜洗浄の効率が悪い場合があり、また長期間の使用が困難な場合があった。
【0006】
本発明の目的は、膜表面を傷付けることなく、十分に付着物を除去できる効率の良い膜の洗浄が長期に可能となる膜分離エレメントの洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被処理水に膜分離エレメントを浸漬し、該膜分離エレメントを通して処理水を取り出す膜分離処理槽内に、比重が1.000〜1.080、平均粒子径が2.0〜7.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1〜1.3であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入し、該担体粒子(A)を処理槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去することを特徴とする膜分離エレメントの洗浄方法、さらには被処理水に膜分離エレメントを浸漬し、該膜分離エレメントを通して処理水を取り出す膜分離処理槽から、該膜分離エレメントを取り出して洗浄槽内に浸漬し、該洗浄槽内に、比重が1.000〜1.080、平均粒子径が2.0〜7.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1〜1.3であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入し、該担体粒子(A)を洗浄槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去することを特徴とする膜分離エレメントの洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の担体粒子を用いることによって、膜表面を傷付けることなく、十分に付着物を除去できる効率の良い膜分離エレメントの洗浄が長期に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明方法では膜分離処理槽内に、比重が1.000〜1.080、好ましくは1.005〜1.050、平均粒子径が2.0〜7.0mm、好ましくは3.0〜6.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1.0〜1.3、好ましくは1.0〜1.2であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPa、好ましくは0.3〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入する。
【0010】
上記担体粒子(A)の比重や平均粒子径が上記範囲外では担体粒子を沈降分離することが困難となったり、処理槽内で均一に流動させるのが困難になるので望ましくない。また上記担体粒子(A)の50%歪時の圧縮応力が上記範囲外では膜分離エレメントの膜表面を傷付けたり、逆に付着物の掻き取り作用が不十分となるので望ましくない。尚、50%歪時の圧縮応力は、島津小型卓上試験機 EZ Testを用いて、担体粒子を試験体温度25℃、荷重速度10mm/分の条件で歪が50%に至るまで圧縮試験を行ない、得られた応力−歪線図より50%歪時の応力を読み取ったものである。
【0011】
担体粒子(A)は、上述の要件を満たすものであれば特に材質に制限はないが、比重や平均粒子径、50%歪時の圧縮応力を上述の範囲に制御する点からは、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する親水性光硬化性樹脂(a)、光重合開始剤(b)及びアルカリ金属イオン又は多価金属イオンとの接触によりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類(c)を含んでなる水性液状組成物を、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンを含有する水性媒体中に滴下して該組成物を粒状にゲル化させ、次いで得られる粒状ゲルに活性光線を照射して該粒状ゲル中の光硬化性樹脂を硬化させることにより製造される担体粒子であることが望ましい。
【0012】
上記親水性光硬化性樹脂(a)は、一般に、300〜30000、好ましくは500〜20000の範囲内の数平均分子量を有し、水性媒体中に均一に分散するに充分なイオン性又は非イオン性の親水性基、例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、エーテル結合等を含み、かつ波長が約250〜約600nmの範囲内の活性光線を照射したとき、硬化して水に不溶性の樹脂に変わるものが好適に使用される。そのような光硬化性樹脂としては、包括固定化用の固定化担体として既に知られているものを用いることができる(例えば、特公昭55−40号公報、特公昭55−20676号公報、特公昭62−19837号公報等参照)。代表的なものとしては以下に記載するものを挙げることができる。
【0013】
(i)ポリアルキレングリコールの両末端に光重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物:例えば、
・分子量400〜6000のポリエチレングリコール1モルの両末端水酸基を(メタ)アクリル酸2モルでエステル化したポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、
・分子量200〜4000のポリプロピレングリコール1モルの両末端水酸基を(メタ)アクリル酸2モルでエステル化したポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類、
・分子量400〜6000のポリエチレングリコール1モルの両末端水酸基をトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物2モルでウレタン化し、次いで(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の不飽和モノヒドロキシエチル化合物2モルを付加した不飽和ポリエチレングリコールウレタン化物、
・分子量200〜4000のポリプロピレングリコール1モルの両末端水酸基をトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物2モルでウレタン化し、次いで(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の不飽和モノヒドロキシ化合物2モルを付加した不飽和ポリプロピレングリコールウレタン化物、など。
【0014】
(ii)高酸価不飽和ポリエステル樹脂:不飽和多価カルボン酸を含む多価カルボン酸成分と多価アルコールとのエステル化により得られる酸価が40〜200の不飽和ポリエステルの塩類など。
【0015】
(iii)高酸価不飽和エポキシ樹脂:エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボキシル化合物との付加反応物に残存するヒドロキシル基に酸無水物を付加して得られる酸価40〜200の不飽和エポキシ樹脂など。
【0016】
(iv)アニオン性不飽和アクリル樹脂:(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも2種の(メタ)アクリル系モノマーを共重合させて得られるカルボキシル基、リン酸基及び/又はスルホン酸基を含有する共重合体に光重合可能なエチレン性不飽和基を導入した樹脂など。
【0017】
(v)不飽和ポリアミド:トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネートとアクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのエチレン性不飽和ヒドロキシ化合物との付加物をゼラチンなどの水溶性ポリアミドに付加反応させた不飽和ポリアミドなど。
【0018】
以上に例示した如き光硬化性樹脂はそれぞれ単独で使用することができ、或いは2種もしくはそれ以上組み合わせて使用してもよい。
【0019】
これらの光硬化性樹脂のうち、本発明において特に有利に使用しうるものは、前記(i)のポリアルキレングリコールの両末端に光重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、代表的なものとしては、関西ペイント株式会社からENT−1000、ENT−2000、ENT−4000、ENTG−2000、ENTG−3800等の商品名で販売されているものを挙げることができる。
【0020】
光重合開始剤(b)は、光照射により分解してラジカルを生成し、このものが重合開始種となって重合性不飽和基を有する樹脂間に橋かけ反応をおこさせるものであり、例えば、ベンゾインなどのα−カルボニル類;ベンゾインエチルエーテルなどのアシロインエーテル類:ナフトールなどの多環芳香族化合物類;メチルベンゾインなどのα−置換アシロイン類;2−シアノ−2−ブチルアゾホルムアミドなどのアゾアミド化合物類などを挙げることができる。
【0021】
水溶性高分子多糖類(c)は、水溶性であり、かつ水性媒体中でアルカリ金属イオンまたは多価金属イオンと接触したときに水に不溶性又は難溶性のゲルに変化する能力のある高分子多糖類であって、一般に約3000〜約2000000の範囲内の数平均分子量を有し、また、アルカリ金属イオンまたは多価金属イオンと接触させる前の水溶性の状態で通常少なくとも約10g/l(25℃)の溶解度を示すものが好適に使用される。
【0022】
かかる特性をもつ水溶性高分子多糖類の具体例には、アルギン酸のアルカリ金属塩、カラギーナン等が包含される。
【0023】
これら水溶性高分子多糖類は、水性媒体中に溶解した状態で、カラギーナンの場合は、カリウムイオン又はナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンとの接触によって、また、アルギン酸のアルカリ金属塩の場合は、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン或いはアルミニウムイオン、セリウムイオン、ニッケルイオン等の他の多価金属イオンのうちの少なくとも1種の多価金属イオンとの接触によってゲル化しうるものである。ゲル化が起るアルカリ金属イオンまたは多価金属イオンの濃度は水溶性高分子多糖類の種類等により異なるが、一般には0.01〜5mol/lの範囲内である。
【0024】
上記(a)、(b)及び(c)の各成分の相互の使用割合は厳密に制限されるものではなく、各成分の種類等に応じて広範にわたって変えることができるが、一般には、(a)成分の親水性光硬化性樹脂100質量部に対し、光重合開始剤(b)は0.1〜5質量部、好ましくは1〜3質量部、水溶性高分子多糖類(c)は0.5〜15質量部、好ましくは1〜8質量部の割合で使用するのが適当である。
【0025】
以上に述べた(a)〜(c)の各成分は水性媒体中に溶解ないし分散させることにより、水性液状組成物が調製される。この液状組成物の固形分濃度は一般に5〜30質量%の範囲内が適当である。担体粒子(A)の製造に際しては、この水性液状組成物を、細い液流として、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンを含有する水性媒体表面上に、所定の時間連続的に注加供給して、該水性媒体表面で該組成物の液滴を所望の粒径状になるまで生長させる。担体粒子(A)の比重を調製する場合には、上記(a)〜(c)成分を含有する水性液状組成物中に、必要に応じて比重調整剤を適宜含有させることができる。
【0026】
比重調整剤としては、通常、担体(A)の比重を大きくする場合には、比重1.9以上、好適には2.0〜4.5の範囲内にある水に不溶ないし難溶性の無機質粉粒体を使用することができ、例えば、重質炭酸カルシウム、クレー、ホワイトカーボン、タルク、炭酸バリウム、硅酸アルミニウム、アルミナ、マイカ粉、シリカ(硅砂、硅石粉)粉などの各種顔料;コロイダルシリカ、微小ガラスビーズなどが挙げられ、具体的には、「ハイミクロンHE−5」(竹原化学工業社製、タルク、比重2.67)、「ミクロマイカMK−100」(コープケミカル社製、マイカ粉、比重2.7)、「ユニビーズUB−03L」、「同UB−23L」、「同UB−34L」(以上いずれも、株式会社ユニオン社製、ガラスビーズ、比重2.5)、「MB−20」(東芝バロティーニ社製、ガラスビーズ、比重2.5)などが例示できる。一方、担体(A)の比重を小さくする場合には、比重0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.6の完全閉鎖型無機質系微小中空ビーズが使用でき、例えば、中空ガラスビーズや中空セライトが挙げられ、具体的には、「Filite200/7」、「同300/7」(以上、いずれも日本フェライト社製、中空ガラスビーズ、比重0.7)、「サンチュライトY02」、「同Y04」、「同Y0C」(以上、いずれも三機工業社製、中空セライト)、「フジバルーンS−35」、「同S−40」、「同S−45」、「同H−30」、「同H−35」、「同H−40X」(以上、いずれも富士シリシア化学社製、中空ガラスビーズ)、「Q−Ce1570」(東芝バロティーニ社製、中空ガラスビーズ、比重0.34)などが例示できる。比重調整剤の添加量は、その種類によっても異なるが、一般には、担体(A)の全樹脂固形分100質量部に対して120質量部以下であることが担体強度や耐久性の面から好ましい。
【0027】
水性液状組成物の水性媒体表面への供給は、一般には所望の孔径のノズル口から該液状組成物を細い液流として該水性媒体表面上に静かに連続的に注加することによって行なうことができ、該表面上で該液状組成物の液滴が所望の大粒径状にまで生長したら、該液状組成物の注加をとめる。水性液状組成物から形成される大粒径状物の大きさは、ノズルの大きさ、水性液状組成物の水性媒体表面への供給時間及び/又は供給速度、水性媒体の粘度等を調整することによって、平均粒子径2.0〜7.0mmの範囲内で容易に変えることができる。
【0028】
水性液状組成物の供給速度は、通常、0.5〜10ml/秒、好適には1〜5ml/秒の範囲内とすることができる。また、水性媒体の粘度は、形成される粒状物が沈降することができる範囲内で、必要に応じてグリセロールやカルボキシメチルセルローズ等の水溶性増粘剤を添加して、任意に調整することができる。水性媒体の粘度は、水の粘度より幾分高い範囲に調整するのが好都合である。
【0029】
かくして形成される所望の大きさの粒状物は、自然沈降、吸引等により水性媒体中に沈降させて、アルカリ金属イオン又は多価金属と接触させることによりゲル化せしめられる。しかし、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンは粒状物の内部にまで浸透し難いため、ゲル化反応が粒状物の表面もしくは比較的浅い領域に限定されるので、粒状物はその表面のみがゲル化した状態になっている。この表面ゲル化粒状物は、そのまま水性媒体中に分散させた状態で、或いは水性媒体から分離した後、活性光線を照射することにより、該粒状物中の親水性光硬化性樹脂を重合硬化せしめる。
【0030】
上記の光硬化に使用しうる活性光線の波長は、該粒状物中に含まれる光硬化性樹脂の種類等に応じて異なるが、一般には、約250〜約600nmの範囲内の波長の光を発する光源を照射に使用するのが有利である。そのような光源の例としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯、太陽光等が挙げられる。照射時間は光源の光の強さ、光源からの距離等に応じて変える必要があるが、一般には約0.5〜約10分間の範囲内とすることができる。
【0031】
上記のように得られる担体粒子(A)は、処理槽内での流動性や膜分離エレメントの付着物の掻き取り作用の点から、処理槽内の被処理水量に対して2〜40容量%、好ましくは5〜30容量%となるように投入されることが好ましい。
【0032】
本発明方法では、上記担体粒子(A)を処理槽内あるいは洗浄槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去するものである。
【0033】
膜分離エレメントは、限外濾過膜だけでなく、逆浸透膜、イオン交換膜、透析膜、透過気化膜などをモジュール化したものであり、膜の材質としては特に制限なく、従来公知の有機ポリマー膜が適用される。
【0034】
上記担体粒子(A)の槽内における流動は、例えば膜分離エレメントの設置位置の下方から曝気し、水流を起こすなどして行なわれる。
【0035】
本発明方法は、膜分離エレメントを使用する用途であれば、工業排水、農業排水など有機物を含む排水の限外濾過や活性汚泥法等の生物処理、海水の淡水化や溶液の濃縮など各種用途に適用することができる。特に膜分離活性汚泥処理などにおいては、担体粒子(A)が膜分離エレメントの洗浄部材として作用するだけでなく、微生物の担体として作用するので、好適である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0037】
担体粒子の製造
製造例1
分子量約4,000のポリエチレングリコール2,000gとイソホロンジイソシアネート222g(1モル)及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル130g(1モル)を反応させてなる光硬化性樹脂プレポリマー100質量部と、ベンゾインイソブチルエーテル2質量部、2%アルギン酸ナトリウム水溶液100質量部、蒸留水50質量部をよく混合して得られる水性液状組成物を、1モル濃度の塩化カルシウム水溶液中に、注射器(ノズル径1.12mm)の先端から液面高さ10cmより滴下したところ、粒状物が得られた。
【0038】
この粒状物を平らな底面を有するペトリ皿に取り、ペトリ皿の上面および下面から波長300〜400nmの活性光線を3分間照射したところ比重1.025、粒径3.3mmの担体粒子(A−1)が得られた。
【0039】
製造例2
製造例1において、注射器のノズル径を1.99mmにする以外は製造例1と同様の操作を行ない、比重1.025、粒径4.2mmの担体粒子(A−2)を得た。
【0040】
製造例3
製造例1において、「MB−20」(商品名、東芝バロティーニ社製、比重2.5、平均粒子径10〜12μmのガラスビーズ)18質量部を水性液状組成物に配合しよく混合する以外は製造例2と同様の操作を行ない、比重1.035、粒径4.2mmの担体粒子(A−3)を得た。
【0041】
上記の通り得られた担体粒子(A−1)〜(A−3)及び比較用担体の50%歪時の圧縮応力などを表1に示す。尚、表1中の(注1)及び(注2)は下記の通りである。
(注1)「BCN担体」:日清紡績社製、商品名
(注2)「クラゲール」:クラレ社製、商品名
【0042】
【表1】

【0043】
実施例及び比較例
化学工場排水(BODが100mg/l)の濾過処理を、処理槽内に設置される膜分離エレメントとして平膜型UF膜(総膜面積10m)を用いて行なった。処理槽内には表2に示すように上記担体粒子を、処理槽内の被処理水量に対して約15容量%となるように投入し、膜分離エレメントの設置位置の下方から曝気し、水流を起こして担体粒子を流動させた。濾過スタート時の1日あたりの膜通過水量は約3mであり、各例について経過日数に対する膜通過水量を調べた。結果を図1に示す。
【0044】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例及び比較例の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に膜分離エレメントを浸漬し、該膜分離エレメントを通して処理水を取り出す膜分離処理槽内に、比重が1.000〜1.080、平均粒子径が2.0〜7.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1〜1.3であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入し、該担体粒子(A)を処理槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去することを特徴とする膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項2】
担体粒子(A)が、処理槽内の被処理水量に対して2〜40容量%となるように投入される請求項1記載の膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項3】
担体粒子(A)が、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する親水性光硬化性樹脂(a)、光重合開始剤(b)及びアルカリ金属イオン又は多価金属イオンとの接触によりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類(c)を含んでなる水性液状組成物を、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンを含有する水性媒体中に滴下して該組成物を粒状にゲル化させ、次いで得られる粒状ゲルに活性光線を照射して該粒状ゲル中の光硬化性樹脂を硬化させることにより製造される担体粒子である請求項1又は2記載の膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項4】
被処理水に膜分離エレメントを浸漬し、該膜分離エレメントを通して処理水を取り出す膜分離処理槽から、該膜分離エレメントを取り出して洗浄槽内に浸漬し、該洗浄槽内に、比重が1.000〜1.080、平均粒子径が2.0〜7.0mmで、その長径(D)と短径(D)との比(D)/(D)が1〜1.3であり、且つその50%歪時の圧縮応力が0.2〜1.0MPaである球形の担体粒子(A)を投入し、該担体粒子(A)を洗浄槽内で流動させて該膜分離エレメントに接触させ、該膜分離エレメントに付着した固形物を除去することを特徴とする膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項5】
担体粒子(A)が、洗浄槽内の洗浄水量に対して2〜40容量%となるように投入される請求項4記載の膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項6】
担体粒子(A)が、1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する親水性光硬化性樹脂(a)、光重合開始剤(b)及びアルカリ金属イオン又は多価金属イオンとの接触によりゲル化する能力のある水溶性高分子多糖類(c)を含んでなる水性液状組成物を、アルカリ金属イオン又は多価金属イオンを含有する水性媒体中に滴下して該組成物を粒状にゲル化させ、次いで得られる粒状ゲルに活性光線を照射して該粒状ゲル中の光硬化性樹脂を硬化させることにより製造される担体粒子である請求項4又は5記載の膜分離エレメントの洗浄方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の膜分離エレメントの洗浄方法に使用される担体粒子。


【図1】
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【公開番号】特開2007−7489(P2007−7489A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187811(P2005−187811)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】