説明

膜構造物用フィルム

【課題】光触媒作用による防汚機能を有し、透明性が高く、耐候性に優れた膜構造物用フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム基材12と中間層16と光触媒層14とを有する膜構造物用フィルム10において、フィルム基材12がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の特定のフッ素樹脂を含み、中間層16が有機無機ハイブリッドポリマーを含む層であり、有機無機ハイブリッドポリマーが、熱重量分析によって測定される500℃における質量残存率が50〜80%のポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒作用による防汚機能を有する膜構造物用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂、フッ素樹脂複合材等からなるフィルムは、軽量で、耐候性、機械的強度等に優れることから、スポーツ施設(プール、体育館、テニスコート、サッカー場等。)、倉庫、集会場、展示場、園芸施設(園芸ハウス、農業用ハウス等。)等の施設における屋根、外壁等として用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。以下、フィルムを用いた屋根、外壁、施設等を膜構造物と記す。また、膜構造物に用いられるフィルムを膜構造物用フィルムと記す。
【0003】
しかし、ガラス繊維と、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂との複合材からなるフィルムは、以下の問題を有する。
・透明性が不充分であり、太陽光線透過率が低いため、園芸施設、および芝生が育成するスポーツ施設における膜構造物用フィルムには適していない。
・透明性が不充分であり、周囲の風景が見えないため、集会場、展示場等に用いた場合、開放感が充分ではない。
【0004】
一方、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の透明性の高いフッ素樹脂からなるフィルムは、太陽光線透過率が高いため、園芸施設(特許文献3参照。)、芝生が育成するスポーツ施設、展示場等における膜構造物用フィルムに適する。
しかし、透明性の高いフッ素樹脂からなるフィルムを用いても、フィルムの表面が汚れると、透明性が低下する。そのため、フィルムに付着した汚れが自然に分解されることにより、透明性が低下することがないフィルムが望まれている。該フィルムとしては、フィルム基材上に光触媒層を有するフィルムが知られている。しかし、該フィルムは、長期間屋外に放置した場合に、光触媒によってフィルム基材自身が酸化分解される、すなわち耐候性が不充分である問題を有する。また、該フィルムは、光触媒層のフィルム基材への密着性が不充分である問題を有する。
【0005】
光触媒による基材の酸化分解を抑え、かつ光触媒層の密着性を向上させる技術としては、光触媒層と基材層との間に中間層を設ける技術が知られている。
(1)アルミニウム等の基材上に形成されたフッ素樹脂等の塗膜と、光触媒層との間に、シリコーン系樹脂からなる中間層を介在させた建築用材料(特許文献4)。
(2)フッ素樹脂等のフィルム基材と光触媒層との間に、シリコーン系樹脂からなる中間層を介在させた結露防止フィルム(特許文献5)。
【0006】
しかし、(1)の建築用材料は、光触媒によって中間層自身が酸化分解されやすいため、長期間屋外に放置した場合に、フッ素樹脂等の塗膜が酸化分解されてしまう。また、中間層が酸化分解されてしまうと、光触媒層にクラック、白化が発生する。
(2)の結露防止フィルムは、接着剤層を介して他の基材に貼り付けることを前提としたものであるため、フィルム基材が薄く、機械的強度が不充分である。また、中間層のシリコーン系樹脂が硬いため、他の基材に貼り付けることなく、長期間屋外に放置した場合に、フィルム基材の伸びに中間層が追随できず、中間層および光触媒層にクラックが発生しやすい。
【0007】
このように、(1)の建築用材料および(2)の結露防止フィルムは、耐候性および耐久性が不充分である。よって、(1)、(2)における中間層を、フィルム基材上に光触媒層を有する膜構造物用フィルムにそのまま適用しても、耐候性に優れる膜構造物用フィルムを得ることはできない。
【特許文献1】特開平3−188132号公報
【特許文献2】特開昭63−222852号公報
【特許文献3】特公平08−5976号公報
【特許文献4】特許第3523787号公報
【特許文献5】特開2005−271340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光触媒作用による防汚機能を有し、透明性が高く、耐候性に優れた膜構造物用フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の膜構造物用フィルムは、フッ素樹脂を含むフィルム基材と、光触媒層と、前記フィルム基材と前記光触媒層との間に介在する中間層とを有し、前記フッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリフッ化ビニル樹脂およびポリフッ化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる1種以上であり、前記中間層が、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物からなる群から選ばれる1種以上、およびシリル基含有有機ポリマーを加水分解・共縮合させて得られた有機無機ハイブリッドポリマーを含む層であり、前記有機無機ハイブリッドポリマーが、熱重量分析によって測定される500℃における質量残存率が50〜80%であるポリマーであることを特徴とする。
【0010】
本発明の膜構造物用フィルムは、JIS K7105に準拠して測定される全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
前記フィルム基材は、厚さが50〜500μmであり、JIS K7128に基づいて測定されるエレメンドルフ引裂き強度が7N以上であり、JIS K 7127に基づいて測定される引張り強度が46MPa以上であることが好ましい。
前記フッ素樹脂は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
前記中間層の伸び率は、60〜120%であることが好ましい。
【0011】
本発明の膜構造物用フィルムは、JIS K 5600のクロスカット法による、フィルム基材と中間層との密着性が85%以上であり、下記耐候試験後の光触媒層表面の水接触角が40°以下であり、下記耐候試験前後のヘイズ変化が5%以下であることが好ましい。
耐候試験:波長300〜400nm、強度100mW/cmの紫外線を照射しながら、(i)温度63℃、相対湿度50%RHの条件下で紫外線を10時間照射、(ii)シャワー20秒、(iii)結露2時間、(iv)シャワー20秒からなるサイクルを200時間繰り返し行う。
本発明の膜構造物用フィルムは、前記耐候試験前後のヘイズ変化が3%以下であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の膜構造物用フィルムは、光触媒作用による防汚機能を有し、透明性が高く、耐候性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の膜構造物用フィルムの一例を示す断面図である。膜構造物用フィルム10は、フィルム基材12と、光触媒層14と、フィルム基材12と光触媒層14との間に介在する中間層16とを有する積層フィルムである。
【0014】
(フィルム基材)
フィルム基材は、フッ素樹脂からなるフィルムである。
フッ素樹脂は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群から選ばれる1種以上である。該フッ素樹脂は、透明性に優れる。フッ素樹脂としては、透明性、加工性、機械的強度に優れる点から、ETFEが好ましい。
フィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、フッ素樹脂を除く他の樹脂、公知の添加剤等を含有してもよい。
【0015】
フィルム基材は、必要に応じて表面処理が施されていてもよい。表面処理により、フィルム基材の濡れ性がよくなり、中間層とフィルム基材との密着性が向上する。表面処理としては、プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線処理、オゾン処理;酸、アルカリ等を用いた化学的処理;研磨材を用いた物理的処理等の公知の処理が挙げられる。フィルム基材の表面張力は、38dyn/cm以上が好ましい。
【0016】
フィルム基材の厚さは、透明性、機械的強度の点から、50〜500μmが好ましく、80〜250μmが特に好ましい。
フィルム基材は、エレメンドルフ引裂き強度が7N以上であり、引張り強度(破断強度)が46MPa以上であることが好ましい。エレメンドルフ引裂き強度および引張り強度がこの範囲にあると、飛来物、強風、積雪等による外力を受けた場合にも、膜構造物用フィルムが破れたり裂けたりしにくい。また、膜構造物内の植物の育成を阻害しない。また、屋内でありながら屋外にいるような開放感を演出できる。
【0017】
エレメンドルフ引裂き強度は、市販の装置(たとえば、TOYOSEIKI社製、ELEMENDORF TEARING TESTER)を用い、JIS K7128に基づいて測定する。
引張り強度(破断強度)は、市販の装置(たとえば、ORIENTEC社製、RTC−1210A)を用い、JIS K 7127に基づいて測定する。サンプル形状は5号ダンベル型とし、速度は200mm/分とする。
【0018】
(光触媒層)
光触媒層は、光触媒を含有する層である。光触媒の量は、膜構造物用フィルムに要求される防汚機能に応じて適宜決定すればよい。
【0019】
光触媒とは、光触媒の価電子帯と伝導電子帯との間のエネルギー差よりも大きなエネルギーの光を照射したときに、価電子帯中の電子の励起によって伝導電子および正孔を生成しうる性質を有する材料である。光触媒は、紫外線応答性の光触媒であってもよく、可視光応答性の光触媒であってもよい。
光触媒としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化鉄等が挙げられ、酸化チタンが特に好ましい。
【0020】
光触媒層の厚さは、0.03〜0.8μmが好ましく。0.06〜0.4μmが特に好ましい。光触媒層の厚さを0.03μm以上とすることにより、光触媒作用による防汚機能を充分に発揮できる。光触媒層の厚さを0.8μm以下とすることにより、ヘイズの上昇、クラックの発生、密着性の低下等を充分に抑えることができる。光触媒層には非常に細かいクッラクが発生しているものであっても、目視で確認できるクラックでなければ実用上の支障はない。
光触媒層の水接触角は、雨スジ等の汚れを抑える点から、55°以下が好ましく、40°以下が特に好ましい。
【0021】
光触媒層は、ゾルゲル法等の湿式法;CVD法等の乾式法等で形成できる。
ゾルゲル法とは、金属アルコキシドのゾルを中間層上に塗布し、加水分解・縮合反応によって流動性を失ったゲルとし、このゲルを加熱して金属酸化物の膜を形成する方法である。
【0022】
ゾルゲル法以外の他の湿式法としては、たとえば、光触媒微粒子および媒体を含む光触媒層用組成物を中間層上に公知の塗工法によって塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
光触媒微粒子として酸化チタン微粒子を用いることで、酸化チタンからなる膜を形成できる。該酸化チタン膜は、酸化チタンを除く他の金属または金属酸化物との複合膜としてもよい。該複合膜としては、高い親水性を長期間維持でき、汚れの分解性も発現できる点から、酸化チタンとシリカとの複合膜が好ましい。
【0023】
光触媒微粒子の量は、光触媒層用組成物(100質量%)中、0.08〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、5〜35質量%が特に好ましい。
光触媒層用組成物は、バインダー成分を含有してもよい。バインダーとしては、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。ケイ素化合物としては、加水分解性シラン誘導体;加水分解性シラン誘導体の部分加水分解物とシラン化合物等の部分加水分解物との脱水縮合物;シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0024】
塗工法としては、ディップコート法、スピンコート法、スプレイコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0025】
(中間層)
中間層は、有機無機ハイブリッドポリマーからなる層である。有機無機ハイブリッドポリマーは、フィルム基材との密着性および耐候性のバランスに優れている。
有機無機ハイブリッドポリマーは、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物からなる群から選ばれる1種以上、およびシリル基含有有機ポリマーを加水分解・共縮合させて得られるポリマーである。
【0026】
オルガノシランとしては、下式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記す。
)が好ましい。
(RSi(OR4−n ・・・(1)
ただし、Rは炭素数1〜8の有機基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を表し、nは0〜2の整数を表す。
【0027】
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。R が2つ存在するときは、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0028】
としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等の炭素数1〜6のアシル基が挙げられる。R は、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0029】
化合物(1)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類(n=0);
【0030】
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類(n=1);
【0031】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類(n=2)等が挙げられる。
【0032】
化合物(1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(1)は、加水分解物または縮合物として用いてもよい。
【0033】
シリル基含有有機ポリマーは、有機ポリマーの末端および/または側鎖に、加水分解性基および/または水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を有する有機ポリマーである。
シリル基含有有機ポリマーとしては、シリル基含有アクリル樹脂、シリル基含有ビニル樹脂、シリル基含有ウレタン樹脂、シリル基含有エポキシ樹脂、特定シリル基含有ポリエステル樹脂、特定シリル基含有フッ素樹脂等が挙げられる。
【0034】
シリル基としては、下式(2)で表される基が好ましい。
−SiX(R3−m ・・・(2)
ただし、Xは加水分解性基または水酸基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を表し、mは1〜3の整数を表す。
加水分解性基としては、ハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基等が挙げられる。
【0035】
有機無機ハイブリッドポリマーは、化合物(1)およびシリル基含有有機ポリマーに、加水分解・縮合触媒および水を加えて、化合物(1)およびシリル基含有有機ポリマーを加水分解・共縮合させて得られる。
加水分解・縮合触媒としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物、その部分加水分解物等が挙げられる。
【0036】
酸性化合物としては、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
塩化合物としては、アルカリ金属塩等が挙げられる。
有機金属化合物としては、4価スズの有機金属化合物等が挙げられる。
【0037】
アミン化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0038】
有機無機ハイブリッドポリマーの、熱重量分析によって測定される500℃における質量残存率は、50〜80%であり、55〜75%が特に好ましい。該質量残存率は、有機無機ハイブリッドポリマーに含まれる無機成分の割合の目安となる。該質量残存率を50%以上とすることにより、光触媒による中間層およびフィルム基材の酸化分解が充分に抑えられる。該質量残存率を80%以下とすることにより、中間層が硬くなりすぎず、フィルム基材への密着性、追随性が向上し、光触媒層のクラックが充分に抑えられる。
【0039】
熱重量分析によって測定される500℃における質量残存率は、以下のように求める。
有機無機ハイブリッドポリマーを100℃で1時間乾燥した後、有機無機ハイブリッドポリマーの質量(加熱前質量)を測定する。熱重量分析装置を用いて有機無機ハイブリッドポリマーを空気中にて昇温速度10℃/分で加熱し、500℃における残存質量を測定し、下式から質量残存率を求める。
質量残存率(%)=〔残存質量(g)/加熱前質量(g)〕×100
【0040】
中間層の伸び率は、60〜120%が好ましく、70〜110%がより好ましい。伸び率を60%以上とすることにより、フィルム基材への追随性がよくなり、光触媒層のクラック、白化が抑えられる。伸び率を120%以下とすることにより、中間層の表面タックが抑えられ、また、長期間屋外に放置しても、中間層の酸化分解に伴う光触媒層のクラックが抑えられる。
【0041】
中間層の伸び率は、以下のように求める。
厚さ200μmのフィルム基材上に厚さ1μmの中間層を形成し、サンプルを作製する。サンプルを幅10mmの短冊状にカットする。短冊状のサンプルをテンシロンにセットし、初期標線間距離100mmとし、延伸速度100mm/分で、中間層にクレイズまたはクラックが発生するまで延伸し、クレイズまたはクラックが発生したときの標線間距離を測定し、下式から伸び率を求める。
伸び率(%)=〔延伸後の標線間距離(mm)/初期標線間距離(100mm)−1〕×100
【0042】
中間層は、中間層の硬度をある程度高める点から、硬化剤によって熱架橋されていてもよい。熱架橋されていることにより、中間層の表面タックが抑えられ、また、熱膨張および熱収縮が抑えられ、光触媒層のクラックが抑えられる。硬化剤としては、スズ化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物(ジルコニア等。)等が挙げられる。硬化剤の量は、有機無機ハイブリッドポリマー100質量部に対して、1〜20質量部が好ましい。
【0043】
中間層は、光触媒による中間層およびフィルム基材の酸化分解をさらに抑えるために、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、光触媒として機能しない酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化セリウム等が挙げられ、親水性を維持する点から、シリカが好ましい。無機フィラーの量は、有機無機ハイブリッドポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましい。
【0044】
中間層は、本発明の目的を損なわない範囲で、有機無機ハイブリッドポリマーを除く他の樹脂、公知の添加剤等を含有してもよい。
中間層の厚さは、0.1〜3μmが好ましい。中間層の厚さを0.1μm以上とすることにより、光触媒層との充分な密着性が得られる。中間層の厚さを3μm以下とすることにより、光触媒層にクラックが発生しにくくなる。
【0045】
中間層は、たとえば、有機無機ハイブリッドポリマー、溶媒、および必要に応じて硬化剤等を含む中間層用塗工液をフィルム基材上に公知の塗工法によって塗布し、加熱乾燥させる方法により形成できる。また、乾燥後、紫外線、電子線等の活性光線により架橋、硬化させてもよい。
【0046】
(膜構造物用フィルム)
本発明の膜構造物用フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上がより好ましい。全光線透過率は、JIS K7105に準拠して測定される。
【0047】
本発明の膜構造物用フィルムは、JIS K 5600のクロスカット法による、フィルム基材と中間層との密着性が85%以上であることが好ましい。密着性は、JIS K 5600に準拠して碁盤目状にクロスカットされた塗膜(中間層および光触媒層)に市販のセロハンテープを貼り付け、セロハンテープを剥離した際に、フィルム基材上に残る塗膜の割合である。
【0048】
本発明の膜構造物用フィルムは、下記耐候試験後の光触媒層表面の水接触角が40°以下であることが好ましい。
本発明の膜構造物用フィルムは、下記耐候試験前後のヘイズ変化が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。ヘイズは、JIS K7105に準拠して測定される。
【0049】
耐候試験:波長300〜400nm、強度100mW/cmの紫外線を照射しながら、(i)温度63℃、相対湿度50%RHの条件下で紫外線を10時間照射、(ii)シャワー20秒、(iii)結露2時間、(iv)シャワー20秒からなるサイクルを200時間繰り返し行う。
【0050】
本発明の膜構造物用フィルムは、フィルム加工時および膜構造物施工時に、光触媒層が傷つくこと、および光触媒層に汚れが付着することを防止するために、光触媒層上に自己流失性の保護層を有していてもよい。該保護層は、膜構造物施工後に降雨により流れる。
該保護層が流失した後は、最表面に現れた光触媒層により防汚機能を発現できる。
自己流失性の保護層の材料としては、界面活性剤;アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、スズおよび亜鉛からなる群から選ばれる1種以上の金属の酸化物が挙げられる。
【0051】
以上説明した本発明の膜構造物用フィルムにあっては、光触媒層を有するため、光触媒作用による防汚機能を有する。また、特定のフッ素樹脂を含むフィルム基材を有するため、透明性が高い。また、フィルム基材と光触媒層との間に、無機成分の割合が特定の範囲にある有機無機ハイブリッドポリマーを含む中間層を有しているため、光触媒による中間層およびフィルム基材の酸化分解が充分に抑えられるとともに、特定のフッ素樹脂を含むフィルム基材への密着性、追随性が向上し、光触媒層のクラックが充分に抑えられる。その結果、耐候性が向上し、防汚機能および透明性を長期間維持できる。
【0052】
一方、特許文献4の中間層は、無機成分の割合が少ないため、特定のフッ素樹脂を含むフィルム基材と組み合わせた場合、光触媒による中間層およびフィルム基材の酸化分解を抑えることができず、耐候性に劣る。特許文献5の中間層は、無機成分の割合が多いため、特定のフッ素樹脂を含むフィルム基材と組み合わせた場合、特定のフッ素樹脂を含むフィルム基材への密着性、追随性が悪く、光触媒層にクラックが発生しやすい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
例1〜4は試験例であり、例5〜12、17は実施例であり、例13〜16は比較例である。
【0054】
(エレメンドルフ引裂き強度)
TOYOSEIKI社製 ELEMENDORF TEARING TESTERを用い、JIS K 7128に基づいて測定した。
(引張り強度(破断強度))
ORIENTEC社製 RTC−1210Aを用い、JIS K 7127に基づいて測定した。サンプル形状は、5号ダンベル型とし、速度は200mm/分とした。
【0055】
(500℃における質量残存率)
有機無機ハイブリッドポリマー溶液を100℃で1時間乾燥した後、有機無機ハイブリッドポリマーの質量(加熱前質量)を測定した。熱重量・示差熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、SSC5200TG/DTA220C)を用いて有機無機ハイブリッドポリマーを空気中にて昇温速度10℃/分で加熱し、500℃における残存質量を測定し、下式から質量残存率を求めた。
質量残存率(%)=〔残存質量(g)/加熱前質量(g)〕×100
【0056】
(伸び率)
厚さ200μmのフィルム基材上に厚さ1μmの中間層を形成し、サンプルを作製した。サンプルを幅10mmの短冊状にカットした。短冊状のサンプルをテンシロン(ORIENTEC社製、RTC−1210A)にセットし、初期標線間距離100mmとし、延伸速度100mm/分で、中間層にクレイズまたはクラックが発生するまで延伸し、クレイズまたはクラックが発生したときの標線間距離を測定し、下式から伸び率を求めた。
伸び率(%)=〔延伸後の標線間距離(mm)/初期標線間距離(100mm)−1〕×100。
【0057】
(表面外観)
光触媒層表面の外観を目視で観察し、クラック、白化の有無を確認した。
(全光線透過率、ヘイズ)
全光線透過率およびヘイズは、JIS K 7105に準拠し、濁度計(曇り度計)(日本電色工業社製、NDH5000W)を用いて測定した。
【0058】
(密着性)
JIS K 5600のクロスカット法による、フィルム基材と中間層との密着性が85%以上を○(良好)、85%未満を×(不良)と評価した。
(水接触角)
水接触角は、接触角測定装置(協和界面科学社製、CA−X)を用いて測定した。
【0059】
(耐候試験)
耐候試験は、超促進耐候性試験機(岩崎電気社製、アイスーパーUVテスター SUV−W231)を用い、波長300〜400nm、強度100mW/cmの紫外線を照射しながら、(i)温度63℃、相対湿度50%RHの条件下で紫外線を10時間照射、(ii)シャワー20秒、(iii)結露2時間、(iv)シャワー20秒からなるサイクルを200時間繰り返し行った。
【0060】
(フィルム基材)
ETFEフィルム:
旭硝子社製、アフレックス200NJ、厚さ:200μm、エレメンドルフ引裂き強度:51.8N、引張り強度(破断強度):58.4MPa。
【0061】
(中間層用塗工液)
有機無機ハイブリッドポリマー溶液A:
JSR社製、PSP−030、500℃における質量残存率:65%。
有機無機ハイブリッドポリマー溶液B:
松下電工社製、フレッセラN−A100、2液型、500℃における質量残存率:77%。
有機無機ハイブリッドポリマー溶液C:
日本曹達社製、ビストレイターL NRC−300A、500℃における質量残存率:36%。
シリカゾル:
触媒化成工業社製、OSCAL1432。
【0062】
(光触媒層用組成物)
酸化チタン光触媒コート液A:JSR社製、PSC−20。
酸化チタン光触媒コート液B:旭硝子社製、AGC−L。
酸化チタン光触媒コート液C:旭硝子社製、AGC−D。
酸化チタン光触媒コート液D:松下電工社製、フレッセラP−S1000。
酸化チタン光触媒コート液E:日本曹達社製、ビストレイターL NRC−300C。
【0063】
(硬化剤)
スズ硬化剤1:JSR社製、PSH−01。
スズ硬化剤2:JSR社製、PSH−10。
ジルコニア硬化剤:JSR社製、グラスカHPC406H。
【0064】
〔例1〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aを、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層の伸び率を測定した。結果を表1に示す。
【0065】
〔例2〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Bを溶剤に希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層の伸び率を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
〔例3〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Cを、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層の伸び率を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
〔例4〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、シリカゾルを、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層の伸び率を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
〔例5〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にスズ硬化剤1の3質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Aの100質量部およびスズ硬化剤2の6質量部を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
〔例6〕
光触媒層の厚さを0.1μmに変更した以外は、例5と同様にして膜構造物用フィルムを得た。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0071】
〔例7〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にジルコニア硬化剤の6質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが1μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Aの100質量部およびジルコニア硬化剤の6質量部を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0072】
〔例8〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にジルコニア硬化剤の6質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Bを、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0073】
〔例9〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にジルコニア硬化剤の6質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Cを、乾燥後の厚さが0.1μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0074】
〔例10〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aを、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Aの100質量部およびジルコニア硬化剤の6質量部を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0075】
〔例11〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Bを溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Dを溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.06μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0076】
〔例12〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にスズ硬化剤1の3質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Aの100質量部およびスズ硬化剤2の6質量部を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。光触媒層上に、界面活性剤(旭電化工業製、アデカノールBO901)を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.1μmとなるよう塗布し、100℃で5分乾燥し、自己流失性の保護層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0077】
〔例13〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、酸化チタン光触媒コート液Dを、乾燥後の厚さが0.06μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られたフィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0078】
〔例14〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、酸化チタン光触媒コート液Aの100質量部およびスズ硬化剤2の6質量部を溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られたフィルムについて評価を行った。
結果を表2に示す。
【0079】
〔例15〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、酸化チタン光触媒コート液Eを溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られたフィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0080】
〔例16〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Cを、乾燥後の厚さが4μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Eを溶剤で希釈した塗工液を、乾燥後の厚さが0.3μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0081】
〔例17〕
表面をコロナ放電処理したETFEフィルムに、有機無機ハイブリッドポリマー溶液Aの100質量部にジルコニア硬化剤の6質量部を加えた塗工液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布し、100℃で30分乾燥し、中間層を形成した。中間層上に、酸化チタン光触媒コート液Eを、乾燥後の厚さが0.2μmになるように塗布し、100℃で30分乾燥し、光触媒層を形成した。得られた膜構造物用フィルムについて評価を行った。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の膜構造物用フィルムは、スポーツ施設(プール、体育館、テニスコート、サッカー場等。)、倉庫、集会場、展示場、園芸施設(園芸ハウス、農業用ハウス等。)等の施設における屋根、外壁等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の膜構造物用フィルムの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0085】
10 膜構造物用フィルム
12 フィルム基材
14 光触媒層
16 中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂を含むフィルム基材と、光触媒層と、前記フィルム基材と前記光触媒層との間に介在する中間層とを有し、
前記フッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリフッ化ビニルおよびポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる1種以上であり、
前記中間層が、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物からなる群から選ばれる1種以上、およびシリル基含有有機ポリマーを加水分解・共縮合させて得られた有機無機ハイブリッドポリマーを含み、
前記有機無機ハイブリッドポリマーが、熱重量分析によって測定される500℃における質量残存率が50〜80%であることを特徴とする膜構造物用フィルム。
【請求項2】
JIS K 7105に準拠して測定される全光線透過率が80%以上である、請求項1に記載の膜構造物用フィルム。
【請求項3】
前記フィルム基材が、厚さが50〜500μmであり、JIS K 7128に基づいて測定されるエレメンドルフ引裂き強度が7N以上であり、JIS K 7127に基づいて測定される引張り強度が46MPa以上である、請求項1または2に記載の膜構造物用フィルム。
【請求項4】
前記フッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の膜構造物用フィルム。
【請求項5】
前記中間層の伸び率が、60〜120%である、請求項1〜4のいずれかに記載の膜構造物用フィルム。
【請求項6】
JIS K 5600のクロスカット法による、フィルム基材と中間層との密着性が85%以上であり、下記耐候試験後の光触媒層表面の水接触角が40°以下であり、下記耐候試験前後のヘイズ変化が5%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の膜構造物用フィルム。
耐候試験:波長300〜400nm、強度100mW/cmの紫外線を照射しながら、(i)温度63℃、相対湿度50%RHの条件下で紫外線を10時間照射、(ii)シャワー20秒、(iii)結露2時間、(iv)シャワー20秒からなるサイクルを200時間繰り返し行う。
【請求項7】
前記ヘイズ変化が、3%以下である、請求項6に記載の膜構造物用フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2007−301976(P2007−301976A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39030(P2007−39030)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】