説明

臍帯血由来内皮細胞におけるタンパク質発現

本発明は、ヒト臍帯血由来成熟内皮細胞群を提供する。該細胞は、血液凝固因子などのような治療的に有効なタンパク質をコードするDNAにより形質導入される。該細胞は、血液凝固因子の産生方法に有用である。該細胞は、さらに血友病Aまたは血友病Bの遺伝子治療に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質、例えば、血液凝固因子、の産生方法に関する。該方法は、ヒト臍帯血由来内皮細胞を培養し、細胞培養培地から所望のタンパク質を単離することからなる。本発明は、さらにタンパク質、例えば、血液凝固因子、をコードするベクターにより形質導入されるヒト内皮細胞群に関する。該細胞は、タンパク質の産生方法あるいは遺伝子治療プロトコルで用いることができる。
【背景技術】
【0002】
血友病Aは、血液循環中において機能する凝固第VIII因子(FVIII)が不十分なレベルにあるか、まったく完全に欠乏していることによって引き起こされる。それは、5,000人から10,000人の男性のうち1人が罹患するX染色体連鎖性出血性疾患である。FVIIIは、血液凝固カスケードの内因性経路に欠かせない成分である。ここで、FVIIIは、第X因子を活性化する膜結合複合体(Xase複合体)内の活性化第IX因子の補因子の役目を果たしており、この活性型第X因子は今度は酵素原プロトロンビンのトロンビンへの変換に関与している。FVIIIは、3つの相同なA領域、2つの相同なC領域、および唯一のB領域から成る2332個のアミノ酸残基分子(〜300kDa)として合成され、A1−A2−B−A3−C1−C2の順序に配列される。FVIIIは、B領域内、およびB領域とA3領域の結合点における複数回の細胞内切断により、2価の金属陽イオン(Me2+)に架橋した軽鎖および重鎖から成るヘテロ二量体に形成される。重鎖は、A1領域(1−336)、A2領域(373−740)およびB領域(741−1648)を含み、軽鎖は、A3領域(1649−2019)、C1領域(2020−2172)およびC2領域(2173−2332)を含む。循環血液中で、FVIIIは強固にフォン・ビルブラント因子(VWF)と結合している。ここでVWFは、血漿中において正常なFVIIIのレベルを維持するのに必要なタンパク質である。VWFは、Xase複合体が早熟して形成されるのを阻害し、活性化タンパク質C、活性化第IX因子(FIXa)および活性化第X因子(FXa)によってFVIIIが不活化されることから防御する。ヒトおよび動物においては、VWFが欠乏するとFVIIIの二次的欠乏を引き起こすことが示されており、このことはVWFがFVIIIの加速度的な消失をも防止することを示唆している。
【0003】
血友病Aの主な症状は、関節、筋肉および内臓への出血であり、それは突発的に起こり、生命を脅かす(Mannucci and Tuddenham,2001;後述の参考文献データ参照)。血漿中のFVIIIの残存活性を基に、血友病Aは以下のように分類される:重症(正常活性の1%未満)、中症(1〜5%)、軽症(5〜30%)。
【0004】
血友病Bは、約25,000人の男性のうち1人に発生する。それは、セリンプロテアーゼ第IX因子(クリスマス(Christmas)因子)の欠乏により特徴づけられる。この415個のアミノ酸ポリペプチドは、肝臓内で56kDaの糖タンパク質として合成される。その適当な機能を発揮するためには、ビタミンKの存在下のみで起こる翻訳後のカルボキシル化の工程が必要である。
【0005】
血友病AおよびBの患者は、現在、血漿由来あるいは組換えFVIIIおよびFIXを静脈内点滴することにより、それぞれ治療されている(Mannucci and Giangrande,2000)。この補充療法は、最近10年間で比較的安全で効果的になったものの、生涯にわたって輸液をする不便さやFVIII濃縮製剤による感染症の感染の可能性などのいくつかの欠点がある(Hoots,2001;Teitel,2000;White II et al.,2000;VandenDriessche et al.,2001)。循環血液中のFVIIIの半減期が比較的短い(12〜14時間)ため、血友病Aの予防療法として、週に3回までFVIII製剤の輸液を繰り返し行う必要がある。
【0006】
組換え第VIII因子の産生のために非ヒト細胞株を使用する際には、ある種の不都合に直面する。組換えfviiiの産生における主要な限界は、FVIII発現細胞からの収率が低いことであり、それは他のタンパク質の収率に比べて2桁低い。
【0007】
ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを用いた血友病Aの遺伝子治療のために、in vivoでの幾つかの研究が行われた(総説:White II,2001;Chuah et al.,2001;Greengard and Jolly,1999;VandenDriesshe et al.,2001;Kaufman,1999)。しかしながら、これらのアプローチに対しては安全性に対する懸念が依然として存在する。潜在的な副作用として、有害な免疫反応、ベクター媒介性細胞障害(Yang et al.,1996;Lozier et al.,1999)、および生殖細胞への感染が挙げられる。
【0008】
FVIII合成は、生理的条件下、主に肝実質細胞あるいは肝類洞内皮細胞内で起こる(Wion et al.,1985;Zelechowska et al.,1985;Do et al.,1999;Hollestelle.,2001)。これらの細胞あるいは、皮膚(Hoeben et al.,1990;Fakharzadeh et al.,2000)、内皮細胞(Dwarki et al.,1995;Chuah et al.,1995;Rosenberg et al.,1999)、肝実質細胞(Andrews et al.,1999)、骨髄間質細胞(Chuah et al.,1998)、および造血細胞(Hoeben et al.,1992;Evans&Morgan,1998;Tonn et al.,2002)などのような他の細胞のタイプが、遺伝子治療のアプローチに有用であろう。実際、生体外(ex vivo)で修飾したFVIIIを分泌する線維芽細胞の移植は、重症の血友病A患者において十分に耐え得ることが証明されており、FVIIIの血漿濃度を検出可能にした(Roth et al.,2001)。
【0009】
US2002/0042130A1およびLin et al.(2002)には、血友病Aの遺伝子治療の為の、血液派生内皮細胞(BOEC)を用いた研究が記述されている。Gehling et al.(2000)は、AC133陽性前駆細胞から内皮細胞へのin vitroでの分化を報告している。しかしながら、Gehling等は、第VIII因子をコードするDNAによる細胞の形質導入については開示していない。EP1136553A1およびWO01/70968A2は、ヒト不死化細胞株における組換え血液凝固因子の産生に関する。
【0010】
Rosenberg et al.(2000)「Arteriosclerosis,thrombosis and vascular biology(動脈硬化症、血栓症および血管生物学)」20巻、2689−2695頁には、初代ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)におけるB領域欠損第VIII因子の遺伝子形質導入が記述されている。これらの細胞は、臍静脈の内壁を被覆するため、十分に分化した内皮細胞を代表し、非常に限られた増殖能を示す。Rosenberg等は、臍帯血、すなわち胎盤に残留した血液由来の細胞の使用については開示していない。Rosenberg等によって記述された細胞は、その表現型や増殖能において臍帯血由来内皮細胞とは異なっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、治療効果のあるタンパク質の十分な量を産生するのに適した細胞を提供することである。本発明のさらなる目的は、十分な量の機能的第VIII因子タンパク質を産生するのに適しており、遺伝子治療に使用することのできる細胞を提供することである。
【0012】
驚くべきことに、ヒト臍帯血由来内皮前駆細胞が、第VIII因子をコードする相補的DNA(cDNA)によるウイルス形質導入により、高レベルの第VIII因子を分泌する成熟内皮細胞へと分化できることが見出された。したがって、本発明は適当な条件下で臍帯血あるいは骨髄由来ヒト内皮細胞を培養して、タンパク質(例えば、血液凝固因子)を産生する方法;および細胞培養培地から所望のタンパク質を単離する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による方法で用いられる細胞は、次の工程a)およびb)を含む方法によって得ることができる。工程a)ヒト臍帯血由来内皮前駆細胞および/または骨髄から得られる内皮前駆細胞をin vitroで少なくとも1つの成長因子と接触させ、それにより該成長因子が内皮前駆細胞を成熟内皮細胞へ分化することを促進する;工程b)内皮前駆細胞または成熟内皮細胞を、該タンパク質をコードするDNAで形質導入する。工程a)とb)の順序は変えることができる。
【0014】
「成長因子」なる用語は、哺乳類細胞の増殖および/または分化を誘導することができる、例えばタンパク質のような物質を指す。
【0015】
「細胞群」とは、少なくとも2個の細胞を含む構成を表す。一般的には、該群は少なくとも100個の細胞を含み、好ましくは1000個の細胞を含む。該細胞は、ある所定のマーカータンパク質の発現においては均一であり、別のマーカータンパク質の発現においては不均一である。
【0016】
ここで使用されている「内皮細胞」あるいは「成熟内皮細胞」なる用語は、VE−カドヘリン(cadherin)(CD144)、CD146、CD31、およびLDL受容体等のマーカーを発現する細胞を示す。また、「内皮細胞」あるいは「成熟内皮細胞」は、十分に分化した内皮細胞の増殖能よりも大きい、かなりの大きい増殖能を有してもよい。
【0017】
「分化した内皮細胞」あるいは「十分に分化した内皮細胞」は、最終分化した内皮細胞を指す。したがって、分化した内皮細胞は非常に限られた増殖能を有する。
【0018】
「内皮前駆細胞」(EPC)は、成熟内皮細胞へと分化され得る細胞である。EPCは通常CD34、AC133および/または線維芽細胞成長因子1受容体(FGF1−R)を発現し、その増殖能に特徴がある。
【0019】
「内皮細胞群」においては、少なくとも細胞の10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%は、内皮細胞である。
【0020】
ここで使用されている「CD34陽性細胞」なる用語は、表面マーカータンパク質CD34を発現する細胞を示す。CD34の発現は、CD34に対する抗体を用いた免疫蛍光分析またはFACS分析により測定できる。
【0021】
「血液凝固因子」は、血液凝固カスケードの内因性経路の構成成分の凝固活性を有する、例えばタンパク質のような物質である。血液凝固カスケードの構成成分としては、以下に限定されないが、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、VWFなどが挙げられる。「第VIII因子」は、血友病A患者に投与した際、凝固欠損を修正する能力を有する、例えばタンパク質のような物質を示す。限定するものではないが、この定義には全長組換え第VIII因子およびB領域欠損第VIII因子が挙げられる。「第IX因子」は、血友病B患者に投与した際、凝固欠損を修正する能力を有する、例えばタンパク質のような物質を示す。
【0022】
「形質導入」なる用語は、DNAが細胞へと伝達される過程を指す。ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターは、この過程で用いられてよい。該細胞は、好ましくはヒト細胞である。該DNAは、該細胞ゲノムに一体化されてもよいし、一体化されなくてもよい。形質導入のために、発現されるポリペプチドをコードする配列を含むベクターが用いられてよい。プロモーター遺伝子は、発現可能なようにコードする配列に通常結合しており、すなわち、プロモーター遺伝子はタンパク質(例えば、血液凝固因子)をコードするDNA配列の転写を促進できるように、ベクター内に位置している。
【0023】
「組換えDNA」なる用語は、異種源からのDNA断片を結合することにより作成されたDNA分子を示す。そのような組換えDNA分子としては、cDNAおよび遺伝子クローンが挙げられる。組換えDNA分子は、人為的介入により作られたものである。本発明による組換えDNA分子は、遺伝子工学によるタンパク質産生システム内での使用に適した形態を有している。該DNAは、プロモーターやターミネーターのような、天然に存在する5’−あるいは3’−非翻訳領域を含んでいてもよい。
【0024】
好ましくは、ヒト内皮前駆細胞は臍帯血由来である。該内皮前駆細胞は、CD34、AC133、CD146およびFGF1−Rから成る群から選ばれる表面マーカーを少なくとも1つ発現してよい。特定の実施態様では、該内皮前駆細胞は4つの該表面マーカータンパク質のうち、少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つ、あるいはすべてを発現する。通常は、内皮前駆細胞群の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも80%が、上記細胞表面マーカーの1つに対して陽性である。該内皮前駆細胞は、上記細胞表面マーカーの1つに対して陽性である細胞を富化させることにより得られる。最初の工程で、単核細胞がフィコール(Ficoll)による比重分離法により臍帯血から単離されてよい。単核細胞を洗浄した後、CD34陽性細胞、AC133陽性細胞、CD146陽性細胞、またはFGF1−R陽性細胞を、磁気活性化細胞選別法により富化させることができる。最初の富化工程の後、目的とする別の細胞表面マーカータンパク質を用いて2回目の富化工程を行ってよい。
【0025】
ヒト内皮前駆細胞は、骨髄からもまた得ることができる。骨髄細胞は吸引によって得ることができ、適当な内皮前駆細胞が本願明細書で述べられている適当な方法により選択され、増幅されてよい。また、臍帯血および骨髄から得られたヒト内皮前駆細胞は混合されてもよい。
【0026】
CD34陽性細胞を少なくとも1つの成長因子と接触させる場合、該細胞はヒト臍帯血由来のCD34陽性細胞を富化することにより得られる。適当な富化技術は、当業者に既知である。最初の工程で、単核細胞はフィコールによる比重分離法により臍帯血から単離される。単核細胞を洗浄した後、CD34陽性細胞を、磁気活性化細胞選別法を用いて富化することができる。この方法を用いて、CD34陽性細胞分画は、単核細胞分画中2%未満から富化分画中80%超まで富化できる。蛍光活性化細胞選別(FACS)によるCD34陽性細胞の単離もまた考慮されてよい。
【0027】
少なくとも1つの成長因子と接触するCD34陽性細胞において、通常、その細胞の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも80%が、CD34陽性である。好ましい実施態様では、CD34陽性細胞の純度は80%から95%の範囲内である。この範囲のCD34陽性細胞純度をもつ細胞群は、上記に述べた細胞富化により得ることができる。
【0028】
該細胞は、内皮細胞への分化のために、成長因子に接触させる前に、組織培養プレートまたはフラスコ中の適当な培地中で培養してよい。
【0029】
本発明の方法に従えば、臍帯血由来内皮前駆細胞は、in vitroで少なくとも1つの成長因子と接触させる。その際、少なくとも1つの成長因子は、内皮前駆細胞が成熟内皮細胞へと分化することを促進する。成長因子が内皮前駆細胞の成熟内皮細胞への分化を促進するかどうかの測定は、臍帯血由来のCD34陽性細胞を成長因子と接触させ、内皮マーカーCD144、CD146、CD31、およびLDL受容体のうち1つまたはそれ以上が発現するかどうかを測定することにより行うことができる。
【0030】
ある実施態様では、該細胞は血管内皮成長因子(VEGF)と接触させる。別の実施態様では、VEGFは、例えば、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、幹細胞因子(SCF)あるいは幹細胞成長因子−β(SCGF−β)のような別の成長因子と配合させてもよい。該内皮前駆細胞は、次に示す成長因子の組み合わせのうちの1つと接触させてもよい:VEGF+bFGF;VEGF+SCF;VEGF+SCGF−β;VEGF+bFGF+SCF;VEGF+bFGF+SCGF−β;VEGF+SCF+SCGF−β。最も好ましくは、該内皮前駆細胞は4つの成長因子、すなわちVEGF、bFGF、SCFおよびSCGF−βと接触させる。通常、該成長因子は該細胞の培養培地に添加される。好ましくは、該成長因子はヒト成長因子である。成長因子は組換え発現によって産生してよい。
【0031】
ヒトVEGF、ヒト塩基性FGF、ヒトSCFおよびヒトSCGF−βのアミノ酸配列およびcDNA配列は公知である(VEGF:Conn et al.,Proc Natl Acad Sci,USA 1990 April 87(7):2628−32;Tischer E. et al.,J Biol Chem 1991 June 25,266(18):11947−54;bFGF:Kurokawa T. et al.,FEBS Lett.1987 March 9,213(1):189−94;SCF:Martin F.H. et al.,Cell 1990 October 5, 63(1):203−11;SCGF−β:Hiraoka A. et al.,Proc Natl Acad Sci,USA 1997 July 8, 94(14):7577−82;Bannwarth S. et al.,J Biol Chem 1998 January 23,273(4):1911−6)。
【0032】
VEGFは、1〜1000ng/ml、好ましくは10〜200ng/ml、より好ましくは25〜100ng/ml、最も好ましくは約50ng/mlの濃度で、EPCの細胞培養培地に添加することができる。塩基性FGFは、通常1〜500ng/ml、好ましくは5〜100ng/ml、より好ましくは10〜50ng/ml、最も好ましくは約20ng/mlの濃度で、該培地に添加される。SCFは、通常1〜1000ng/ml、好ましくは10〜200ng/ml、より好ましくは25〜100ng/ml、最も好ましくは約50ng/mlの濃度で、該培地に添加してよい。SCGF−βは、通常1〜500ng/ml、好ましくは5〜100ng/ml、より好ましくは10〜50ng/ml、最も好ましくは約20ng/mlの濃度で、該培地に添加することができる。
【0033】
該成長因子は、同時にあるいは逐次的に該細胞に添加されてよい。添加する順序は変えることができる。しかしながら、好ましいのは該成長因子が該細胞に同時に添加されることである。
【0034】
本発明のある実施態様では、内皮表現型への分化を誘導する際、少なくとも1つの成長因子が該細胞に添加される。所望により、少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つ、あるいは少なくとも4つの成長因子が、内皮表現型への分化を誘導するために細胞に追加的に添加される。追加の成長因子の例として、限定はされないが、インスリン様成長因子(IGF)、表皮成長因子(EGF)などが挙げられる。
【0035】
別の実施態様では、アトルバスタチンなどのような、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)阻害剤の少なくとも1つが、内皮表現型への分化を誘導する際、細胞に添加される。HMG−CoA阻害剤(例えば、アトルバスタチン)は、1つまたはそれ以上の成長因子やサイトカインと組み合わせて添加してよい。
【0036】
該細胞は、当該技術において公知の方法で培養することができる。該細胞は、例えば5×104〜1×105cells/cm2の密度で、ゼラチンまたはコラーゲンでコートしたプレートあるいはフラスコ中で増殖させてよい。EPCは、成長因子の存在により、(成熟)内皮細胞へと分化する。
【0037】
該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、マーカータンパク質CD144を発現する。該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、マーカータンパク質CD146を発現する。該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、マーカータンパク質CD31を発現する。該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、マーカータンパク質LDL受容体を発現する。該細胞群中の内皮細胞は、実施例で述べるようにマトリゲル(Matrigel)アッセイで、好ましくは管腔を形成する能力をもつ。好ましい実施態様では、該内皮細胞群が、マーカー分子であるCD144(VE−カドヘリン)、CD146、CD31、および/またはLDL受容体を実質的に均一に発現することによって特徴づけられる。より好ましくは、CD144、CD146、CD31そしてLDL受容体のうち、2つ、あるいは3つ、あるいは全てが実質的に均一に発現される。本発明の内皮細胞は、VWFを発現し、分泌することによってさらに特徴づけられる。該細胞が第VIII因子を発現する際、上清中のVWFとFVIIIのモル比は、1:1から100:1の間で変わり得る。また、該細胞はハリエニシダ(Ulex europaeus)の凝集素と結合することができる。該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、VWFを発現する。該内皮細胞群において、通常少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%の細胞が、ハリエニシダの凝集素と結合することができる。
【0038】
本発明の内皮細胞は、好ましくはマーカー分子CD45、CD14、CD133、および/またはHLA−DRを発現しない。最も好ましくは、本発明による細胞内では、その4つのマーカー分子のいずれも発現されない。該細胞分画において、例えば該細胞のうち1〜90%、好ましくは5〜50%が、マーカーCD34を発現することができる。
【0039】
具体的な実施態様では、該細胞の90%未満がKDR(=VEGF受容体−2=flk−1)を発現する。また、該細胞のうち50%未満、あるいは25%未満、あるいは10%未満が、KDRを発現する。別の実施態様では、該細胞の90%超がKDRを発現する。
【0040】
上記のようなマーカーの発現に関する様々な実施態様は、組み合わされてよい。
【0041】
さらなる工程では、該内皮細胞は、治療効果のあるタンパク質(例えば、血液凝固因子)をコードするDNAにより形質導入される。治療効果のあるタンパク質の例としては、限定はされないが、1.血液凝固因子、2.成長因子(例えば、NEGF、FGF、SCF)、3.ケモカイン類などが挙げられる。該DNAは、血液凝固第VIII因子、第IX因子などをコードすることができる。好ましくは、該DNAはヒト第VIII因子をコードする。該DNAは、成熟野生型第VIII因子、またはそれの突然変異タンパク質をコードすることができる。第VIII因子突然変異タンパク質は、点変異を有する突然変異タンパク質、C末端側もしくはN末端側で短縮されている突然変異タンパク質、および/または部分的にもしくは完全にB領域を欠損した突然変異タンパク質であってよい。
【0042】
US 6,346,513、WO 86/06101、WO 92/16557、およびEP 0 123 945には、第VIII因子のB領域をコードする配列の欠損が記述されている。EP 1 233 064、US 2002/0165177、およびUS 6,271,025には、第VIII因子をコードするcDNAへのイントロンの挿入が記述されている。US 5,422,260には、第VIII因子をコードするDNA配列における点突然変異が記述されている。これらに記述されているコーディングDNA配列または非コーディングDNA配列の修飾は、本発明に従い用いることができる。開示されている該修飾の組み合わせも用いることができる。
【0043】
US 6,228,620, US 5,789,203、およびUS 5,693,499には、第VIII因子の重鎖をコードするDNAと軽鎖をコードするDNAの共発現が記述されている。これらの実施態様もまた、本発明に用いてよい。
【0044】
特定の実施態様では、第VIII因子突然変異タンパク質は、次の突然変異のうち少なくとも1つを有している(EP 1 136 553 A1):
− 162位のバリンが、別の中性アミノ酸残基で置換されている;
− 2011位のセリンが、別の親水性のアミノ酸残基で置換されている;
− 2223位のバリンが、酸性アミノ酸残基で置換されている;
− 740位のアルギニンから1640位のグルタミン酸までのB領域が、10〜25個の、好ましくは14〜20個のアミノ酸残基を含むアルギニンに富んだリンカーペプチドで置換されている。
【0045】
該位置は、公表された成熟ヒト第VIII因子のアミノ酸配列を参照している(Toole et al., Nature 1984, 312(5992):342−7; Wood et al., Nature 1984, 312(5992):330−7; Gitschier et al., Nature 1984, 312(5992):326−30)。ヒト第VIII因子のアミノ酸配列を、図7に示す(配列番号:3)。別の実施態様では、第VIII因子をコードするDNAは、修飾された第VIII因子のcDNAであり、少なくとも1つのイントロンが、第VIII因子cDNAの少なくとも1つの位置に挿入されている。
【0046】
第VIII因子をコードするDNAは、通常、細胞に形質導入するために用いられるベクターの一部である。該ベクターは、血液凝固因子をコードするDNA配列に発現可能なように結合しているプロモーターを含んでいてもよい。該ベクターはウイルスベクターであることが好ましく、好ましくはレトロウイルスベクター、より好ましくはレンチウイルスベクターである。より好ましくは、そのレンチウイルスベクターは、HIV−1ウイルスベクターである。HIV−1ウイルスの他に、HIV−2ウイルス、サル免疫不全ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびビスナウイルスに基づくベクターが使用されてもよい。別の実施態様では、FVMをコードするベクターは、プラスミドDNA(例えば、pcDNA3)であってもよい。
【0047】
本発明の内皮細胞は凍結保存でき、その後その増殖能を大きく失うことなく解凍され、培地に戻すことができる。該細胞を凍結保存するために、培養細胞を剥離し、適当な凍結培地に再懸濁できる。すなわち、そのような凍結培地は、糖類、BSA、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリン、グリセリンエステル等の凍結保存剤を含む。
【0048】
本発明では、該細胞は、DNAによる形質導入に先立ち、あるいはDNAによる形質導入の後に、凍結され、解凍されてもよい。本発明の別の実施態様では、EPCから成熟内皮細胞へ分化する前に、該細胞は形質導入される。
【0049】
ある実施態様では、形質導入された内皮細胞は、4〜10のオーダー(104〜1010倍)で、好ましくは5〜9のオーダー(105〜109倍)で伸長されてよい。この伸長または増殖の工程は、工程a)およびb)が完了した後に行うことができる。伸長工程は、好ましくはin vitroで実施される。
【0050】
上記の内皮細胞は、血液凝固因子の産生に有用である。該方法は、本発明による内皮細胞を適当な条件下で培養し、細胞培養培地から該血液凝固因子を単離することを含む。単離工程は、培地から該血液凝固因子を精製することを含む。適当な精製工程としては、限定はされないが、免疫親和性クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーなど、あるいはその組み合わせが挙げられる。ヒト血漿から凝固因子を精製する詳細なプロトコルは、例えば、WO 93/15105、 EP 0 813 597、 WO 96/40883、WO 96/15140およびWO 96/15150に開示されている。それらは、組換え第VIII因子および組換え第IX因子の単離に必要とされる要件に適合させることができる。硫酸アンモニウムによる沈殿工程に続いて、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーと同様にDEAEおよびHIC触腕(tentacle)クロマトグラフィーを行うことを含む、第IX因子のために有効なプロトコルが紹介された(US 5,919,909)。精製工程の間およびその後の精製タンパク質の量および活性は、ELISAアッセイおよび凝固アッセイによって追跡することができる。
【0051】
好ましくは、該血液凝固因子はヒト第VIII因子である。この場合、第VIII因子はVWFの存在下で精製してよい。VWFは、細胞培養培地中に存在してよく、第VIII因子1モルあたり好ましくはVWF1〜100モル、より好ましくは50〜60モルの量が用いられる。
【0052】
第IX因子を産生する場合、培養はビタミンK存在下で行われ、ビタミンKの量は、好ましくは0.1〜100μg/ml−培養液、より好ましくは1〜20μg/ml−培養液である。
【0053】
タンパク質(例えば、血液凝固因子)の産生方法により得られる組成物は、ウイルスの不活化処理を施すことができる。ウイルスの不活化処理としては、(乾燥状態あるいは溶液状態で、プロテアーゼ阻害剤を含む化学物質を添加する、あるいは添加することなく)加熱する処理法が挙げられる。 ウイルスの不活化処理後、化学物質を除去するためにさらに精製する工程が必要かもしれない。特に、血漿から単離した第VIII因子に対して、陰イオン交換クロマトグラフィーにより高純度化したウイルス不活化タンパク質の回収について報告された(WO 93/15105)。また、血漿あるいは他の生物源から高純度で非感染性の凝固因子を産生する方法がいくつか報告された。2相系を形成している疎水相で強い感染性のある物質を処理し、該疎水相から続いて水不溶性の部分を除去することにより、脂質外層を持つウイルスが効果的に不活化される。さらなる利点として、非イオン性生体適合性界面活性剤、およびジアルキルリン酸エステルまたはトリアルキルリン酸エステルを用いた処理を同時にまたは逐次的に行うことにより、疎水相による処理を補完することが判明した(WO 96/36369,EP 0 131 740,US 6,007,979)。非脂質外層を持つウイルスには、非イオン性界面活性剤による処理に続いて、数時間の加熱工程(60〜65℃)を含む不活化プロトコルが必要である(WO94/17834)。
【0054】
有効量の単離タンパク質(例えば、血液凝固因子)を含む医薬組成物は、さらに医薬的に許容される添加剤を含んでもよく、そのような添加剤としては、ヒト血清アルブミン(HSA;好ましくは約1mg/ml−溶液);CaCl2などのような無機塩(好ましくは2〜5mM);グリシン、リジン、またはヒスチジンのようなアミノ酸(好ましくは1つのアミノ酸あたり0.1〜1M);ショ糖および/またはトレハロースのような二糖類(好ましくは0.4〜1M);クエン酸ナトリウムのような有機塩(好ましくは50mMまで)などが挙げられる。該製剤は、水性でも非水性であってもよい。非水性製剤の場合、主要な成分はグリセリンおよび/またはポリエチレングリコール(例えば、PEG−300)である。該製剤は、乾燥形態(投与前に所望の溶媒に溶解する)であってもよい。
【0055】
本発明の別の実施態様は、血友病Aまたは血友病B、好ましくは血友病Aを治療用医薬の製造のために、第VIII因子または第IX因子を発現する本発明の細胞群を使用することである。第VIII因子を発現する本発明の細胞は、血友病Aのex vivo遺伝子治療プロトコルで用いることができる。第VIII因子または第IX因子を発現する本発明に従って形質導入された内皮細胞は、血友病Aまたは血友病Bを患う個体に移植されてよい。移植方法としては、限定はされないが、形質導入された細胞で囲まれた人工管もしくは人工弁の移植、または形質導入された内皮細胞を収容するように設計された装置もしくはマトリックスの移植などが挙げられる。該細胞は、静脈内点滴などのような従来の手段で、一定時間、患者の血流に導入されてもよい。
【0056】
さらに、本発明の別の実施態様は、循環器系疾患の治療用医薬の製造のために、本発明による細胞群を使用することである。この疾患としては、限定はされないが、心不全、急性あるいは慢性心臓病などが挙げられる。この実施態様によると、該細胞は好ましくは、血液循環を介して全身的な効果を有するあらゆるタンパク質の異所性合成および分泌のための自己細胞の貯蔵場所を供給する。特別の実施態様は、急性あるいは慢性心臓病における血管再生である。
【0057】
通常、本発明による細胞は、改良された方法で罹患組織に組み込まれるので、よりよい治療効果を示す。また、これらの細胞のホーミング(移入)も大きく改善することができる。
【0058】
本発明による細胞は、レンチウイルスによる形質導入により、4〜10のオーダーの規模、好ましくは5〜9のオーダーの規模で増殖することができ、タンパク質(例えば、第VII因子)を分泌する能力を有する。それゆえ、本発明により産生された内皮細胞は、血友病Aの遺伝子治療に用いることができる。具体的な実施態様では、該細胞の増殖には限界がある。したがって、内皮細胞への分化のために少なくとも1つの成長因子を添加してから、15週間で、好ましくは12週間で、所望により8または9週間で、該内皮細胞は増殖を終了する。限られた増殖能を持つ細胞が、遺伝子治療プロトコルで使用するのには好ましい。
【0059】
本発明に従って産生される内皮細胞は、高レベルの第VIII因子を発現する。該細胞により分泌される第VIII因子の量は、少なくとも2.5IU/106cell/48h、好ましくは少なくとも5IU/106cell/48h、最も好ましくは7IU/106cell/48hである。
【0060】
本発明の別の実施態様は、ここで述べられている内皮細胞群から、不死化細胞株を産生する方法に関する。該方法は、内皮細胞の形質転換を含む。該細胞は、ウイルス感染および/または非ウイルス感染(例えば、ヒトパピローマウイルス、エプシュタイン−バールウイルス、DNAプラスミド)により、あるいはヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)のようなヒトテロメラーゼのサブユニットタンパク質をコードする遺伝子の導入、または1つもしくはそれ以上の癌遺伝子の導入により、不死化細胞株に転化することができる。この実施態様は、血液凝固因子(例えば、FVIII)のin vitro産生および単離するのに好ましい。該不死化細胞株は本発明の範囲に包含される。
【0061】
図1 内皮細胞の累積増殖曲線
ここで示す代表的実験において、2つのドナープールから得られた約106個の臍帯血由来CD34陽性細胞を、ゼラチン被覆プレート上のEDM中で培養した。その後、接着細胞が老化するまでEGM−2中で継代培養した。黒四角(WT;■)で定義されたグラフは、最初の継代後の時間に対してプロットした内皮細胞の数を表す。37日後(A)および23日後(B)にそれぞれコンストラクトcPPT−C(FVIIIΔB)IGWS(C(F8)IGWSと略記;白丸;○)およびコンストラクトpHR’SIN.cPPT−SEW(SEWと略記;白三角;△)を使用して、104個の細胞を48時間、形質導入のために培養した。これらの細胞もまた、増殖が止まるまでEGM−2中に維持された。
【0062】
図2 CBEC(臍帯血由来内皮細胞)の形態および表現型の特徴
4つの異なるバッチからのCBECを、培養中の様々な時点においてフローサイトメトリーにより、Dil−Ac−LDLの取り込みおよび細胞表面マーカーの発現を分析した。X軸は、分析された細胞の蛍光強度である。Dil−Ac−LDLまたは抗体で標識された細胞は太線で表され、細線は適当な陰性対照を表す。CBECは一様にDil−Ac−LDLの取り込みおよび内皮マーカーVE−カドヘリン、CD146、およびCD31に対して陽性であることをパネルは示している。細胞のサブセットはCD34を発現し、非常に弱くではあるが、KDRを発現した。すべてのCBECが、CD133、HLA−DR、CD45、およびCD14に対しては陰性であった。
【0063】
図3 内皮細胞へのレンチウイルス形質導入
4つの独立した実験で、継体数3〜8のCBECは、レンチウイルスコンストラクトpHR’SIN.cPPT−SEW(SEWと略する)およびcPPT−C(FVIIIΔB)IGWS(C(F8)IGWSと略する)により形質導入される。(A)それぞれのベクターに対して、感染多重度(MOI)10および100で該コンストラクトにより形質導入を行い、陰性対照として形質導入していない細胞のEGFP発現の分析を行うことによって、形質導入効率を測定した。(B)ヒストグラムは、FACSにより検出されたEGFP発現のレベルを表す。線図は、4つの実験の代表例の結果を示す。FACS分析は、C(F8)IGWSによる形質導入(MOI 10;曲線下が黒い領域)、およびSEWによる形質導入(MOI 10;曲線下が灰色の領域)して30日後に行った。形質導入していない細胞は、陰性対照として用いた(曲線下が白い領域)。
【0064】
図4 形質導入されたCBECの表現型:Dil−Ac−LDLの取り込みおよびin vitro管腔形成
(AおよびB)pHR’SIN.cPPT−SEWによる形質導入(MOI 100)の5週間後、細胞をDil−Ac−LDLと共に1時間インキュベートし、蛍光顕微鏡法により(A)EGFP発現および(B)Dil−Ac−LDL取り込みを測定した。(CおよびD)管腔形成アッセイのために、CBECをトリプシン/EDTA処理により剥離し、マトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス上で培養した。該細胞を、8〜10時間37℃でインキュベートし、顕微鏡法で血管の形成を測定した(C:相の比較; D:EGFP発現)。
【0065】
図5 CBEC上清におけるFVIII:Cの定量化
3つのドナープール由来のCBECを、MOI 10でBDD FVIIIをコードするコンストラクトcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSにより形質導入した。形質導入後様々な時点でのFVIII:Cの分泌を定量化するために、5×104個の細胞を1mlのEGM−2中で培養し、37℃でインキュベートした。48時間後、上清を採り、短時間の遠心分離により細胞残屑を除き、分析するまで−80℃で貯蔵した。どのアッセイにも、pHR’SIN.cPPT−SEWにより形質導入した細胞由来の上清、および形質導入していない細胞由来の上清が含んでいた。FVIII:Cは、これらの対照のいずれでも検出できなかった(検出限界:0.01 IU/ml)。
【0066】
図6 免疫ブロット法による濃縮CBEC上清中のFVIIIタンパク質の検出
形質導入していないCBEC由来、およびcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSにより形質導入したCBEC由来の無血清培養上清を、限外ろ過により200〜400倍に濃縮した。試料を、SDS−PAGEにより分離し、免疫ブロットを行った。レーン1および2は、対照として市販のFVIII濃縮物を示す。レーン3および4はCBEC由来の濃縮上清を示す。様々な強度のシグナルを検出するために、オートラジオグラフィー・フィルムを異なる時間で曝露した(1a〜4a:1分間;1b〜4b:20分間)。レーン1:Oct、Octanate(登録商標)(血漿由来完全長FVIII);レーン2:ReF、ReFacto(登録商標)(組換えBDD FVIII);レーン3:cPPT−C(FVIIIΔB)IGWSにより形質導入したCBEC由来上清(BDDFVIII);レーン4:形質導入していないCBEC由来上清。
【0067】
図7 ヒト第VIII因子のアミノ酸配列
図7はヒト第VIII因子のアミノ酸配列を示す(20位〜2351位のアミノ酸は成熟第VIII因子に対応する)。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
【0069】
1.器具および方法
【0070】
臍帯血からのCD34陽性細胞の単離
単核細胞を、フィコールによる比重分離(d=1.077g/ml)により健康なドナーの臍帯血から単離し、免疫蛍光染色法および蛍光活性化細胞選別法(FACS)分析により測定すると、該単核細胞はCD34陽性細胞を2%未満含んでいた。2mM EDTA(シグマ社(Sigma)、タウフキルヒェン、ドイツ)および0.5%ヒト血清アルブミン(HSA;ドイツ赤十字血液センター(DRK−Blutspendedienst) ニーダーザクセン、シュプリンゲ、ドイツ)を含むダルベッコ(Dulbecco)PBS(リン酸緩衝液;バイオウィッタカー社(BioWhittaker)、ベルビエ、ベルギー)で、該細胞を2回洗浄し、直接CD34陽性前駆細胞単離キット(Direct CD34 Progenitor Cell Isolation Kit)(ミルテニーバイオテク社(Myltenyi Biotec)、ベルギッシュグラッドバッハ、ドイツ)を用いて製造者の指示書に従い、CD34陽性細胞を磁気活性化細胞選別法(MACS)により富化した。CD34陽性細胞の純度は、80%から95%の範囲内であった。
【0071】
内皮細胞の分化
CD34陽性細胞を、次から成る内皮細胞分化培地に再懸濁させた:80%基礎Iscove培地(バイオクロム社(Biochrome)、ベルリン、ドイツ)、10%ウマ血清(パンバイオテック社(PAN Biotech)、アイデンバッハ、ドイツ;選択されたロット)、10%加熱不活化ウシ胎仔血清(FCS;バイオクロム社;選択されたロット)、L−アラニル−L−グルタミン(最終濃度 2mM;バイオウィッタカー社)およびペニシリン−ストレプトマイシン(最終濃度 それぞれ100U/mlおよび100μg/ml;バイオウィッタカー社)。培地を濾過し(孔径0.22μm)、その後、組換えヒト(rh)VEGF(血管内皮成長因子;50ng/ml)、rh塩基性FGF(線維芽細胞成長因子−2;20ng/ml)、rhSCF(幹細胞因子;50ng/ml;以上全てアール・アンド・ディー・システムズ社(R&D Systems)、ウィーズバーデン、ドイツ)、およびrhSCGF−β(幹細胞成長因子−β;20ng/ml;ペプロテック社(PeproTech)、フランクフルト・アム・マイン、ドイツ)を添加した。成長因子を含むこの培地は、内皮細胞分化培地(EDM)と称する。
【0072】
CD34陽性細胞の培養は、5%二酸化炭素の湿気雰囲気下37℃で、1ウェル当たり3ml、5×104〜1×105cells/cm2の濃度で、1%ゼラチン溶液(シグマ社)でコートした組織培養処理6ウェルプレートにおいて行った。1人のドナーから得られる該細胞が5×105個よりも少ない場合、該細胞は24ウェルプレートで培養するか、または異なるドナーからの細胞をプールした。培地の半分を1週間に2回交換し、ウェルが接着細胞で80〜90%のコンフルエントとなるまで(通常最長3週間まで)、該細胞をインキュベートした。
【0073】
トリプシン/EDTA処理により接着細胞を剥離し、EGM−2培地(2%FCS、VEGF、rhEGF(表皮成長因子)、rh塩基性FGF、R−IGF−1(インスリン様成長因子)、ヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、ヘパリン、ゲンタマイシン、およびアムホテリシンBを補完した内皮細胞基礎培地(EBM)−2;クロネティクス社(Clonetics)/バイオウィッタカー社、ベルビエ、ベルギー)において、ゼラチンコートした組織培養フラスコ上で、接着細胞を培養した。低密度(1×103/cm2)での増殖させた場合、細胞が最も効率的に増殖した。
【0074】
免疫蛍光検査法
1%FCS(バイオクロム社)および0.1%アジ化ナトリウム(シグマ社)を含むPBSで洗浄することにより、およそ105個の細胞をフローサイトメトリー用に調製した。造血細胞表面マーカーおよび内皮細胞表面マーカーの発現を特徴づけるために、次のモノクローナル抗体(mAb)を用いた:抗CD14−PE抗体、抗CD34−PE抗体、抗CD45−FITC抗体、抗HLA−DR−FITC抗体(これら全てビー・ディー・バイオサイエンス社(BD Bioscience)、ハイデルベルク、ドイツ)、抗CD133−PE抗体(ミルテニーバイオテク社)、抗CD146抗体、抗CD146−FITC抗体、抗VE−カドヘリン抗体(これら全てケミコン社(Chemicon)、テメキュラ、カリフォルニア州)、抗CD34−PC5抗体(イミューノテック社(Immunotech)、マルセイユ、フランス)、抗CD31−FITC抗体および抗KDR抗体(両者ともシグマ社)。細胞は、それぞれのmAbに対して20分間、20℃でインキュベーション(抗CD31−FITC抗体、抗KDR抗体の場合)、あるいは4℃で(他の全ての抗体の場合)インキュベーションした。第2ステップとして、ウサギ抗マウス免疫グロブリン(ダコ社(Dako)、グロストラップ、デンマーク)のRPEでコンジュゲートしたF(ab’)断片をインキュベーションすることにより、コンジュゲートしていない1次モノクローナル抗体が検出された。細胞のサンプルは、アイソタイプが適合した対照抗体(ビー・ディー・バイオサイエンス社とイミューノテック社から購入)でも染色した。FACS分析は、FACScanフロー・サイトメーター(ビー・ディー・バイオサイエンス社)およびセル・クエスト(Cell Quest)ソフトウェア(ビー・ディー・バイオサイエンス社)を用いて行った。それぞれの分析は、少なくとも10,000回行った。死細胞は、その前方散乱特性および側方散乱特性に基づいて、除去した。
【0075】
Dil−Ac−LDL標識
アセチル化低密度リポタンパク質(Ac−LDL)の取り込みによる内皮細胞の蛍光標識は、EGM−2中60分間37℃で、2μg/mlのDil−Ac−LDL(ハーバー・バイオ・プロダクツ社(Harbor Bio−Products)、ノーウッド、マサチューセッツ州)により該細胞をインキュベートすることで行った。その後、培地をEGM−2と交換し、該細胞のDil−Ac−LDL取り込みを、蛍光顕微鏡法(ニコン社、Eclipse TE300)およびフローサイトメトリーにより分析した。
【0076】
レンチウイルスコンストラクト
2つのHIV−1型由来自己不活化レンチウイルス遺伝子導入コンストラクトを、この実施例で用いた:pHR’SIN.cPPT−SEWベクター(Demaison et al.,2002)は、脾限局巣形成ウイルス(U3−LTR)のエンハンサー領域、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)のcDNA、およびウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子(WPRE)から成る遺伝子発現カセットを包含する。
【0077】
cPPT−C(FVIIIΔB)IGWSベクターを生成するために、3つのクローニング工程を要した。最初は、HIV−1型を基にしたモノシストロン性自己不活化ベクターpRRL−CMV−GFP−WPRE−SIN(CGWS、R.Zufferey氏(ジュネーブ、スイス)より快く提供されたpRRL−PGK−GFP−SIN−18ベクターおよびpHR’−CMV−lacZ−SIN−18ベクターの誘導体)、このベクターは5’位置で内部CMVプロモーターと3’位置でWPRE配列と隣り合って(franked)、マーカー遺伝子としてのEGFP遺伝子をコードしており、多重クローニング部位(MCS)の挿入、および脳心筋炎ウイルス(ECMV;pIRES2−EGFP由来のMCSおよびIRES、クローンテック社、ハイデルベルク、ドイツ)の配列内リボソーム進入部位(IRES)の挿入により、そのベクターを改変した。2番目の工程で、HIV−1型から、セントラルポリプリン配列およびセントラル終止配列(central termination sequence)(cPPT/CTS;Charneau et al.,1992;Zennou et al.,2000;Sirven et al.,2000; Follenzi et al.,2000)を、配列内CMVプロモーターのクラル(Clal)5’部位へとクローンニングした。クラル制限酵素認識部位と隣り合うcPPT/CTS断片が、鋳型としてHIV−1 LAI gag−pol cDNA(Myers et al.,1989)を含むプラスミドと、次に示すオリゴヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により得られた;PPTCTSCLA−5: 5’−CCA TCG ATA CAA ATG GCA TTC ATC C−3’ (配列番号:1)およびPPTCTSCLA−3: 5’−CCA TCG ATC TCG AGC CAA AGT GGA TCT CTG CTG TCC−3’(配列番号:2)。最終的に、ヒトB領域欠損FVIII(huBDD FVIII;Tonn et al.,(2002)に記述されている欠損)に対するcDNAを、CMVプロモーターとIRES間のMCSのSall部位にクローンニングし、2シストロン性ベクターcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSを得た。
レンチウイルス上清の産生
レンチウイルス粒子を生成するために、gag遺伝子、pol遺伝子、rev遺伝子、およびtat遺伝子をコードするパッケージングコンストラクトpCMVΔR8.91(Zufferey et al.,1997)、および水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV−G)をコードするシュードタイピングコンストラクトpMD2.VSVG(Follenzi and Naldini,2002)のコトランスフェクションを3回行うことにより、遺伝子導入ベクターのDNAが一時的に、293T細胞(Tonnet al.,(2002)に記述のように培養した)に導入された。
【0078】
プラスミドDNAのトランスフェクションは、リン酸カルシウムの共沈により行った。トランスフェクションから16時間後、細胞に新鮮な培地(10%加熱不活化FCS、4mM L−グルタミン、およびペニシリン−ストレプトマイシンをそれぞれ100U/ml、100μg/mlで補完したDMEM(ギブコ社(Gibco)、カールスルーエ、ドイツ))を与えた。さらに24時間後、ウイルスの上清を集め、濾過し(孔径0.22μm)、超遠心分離で濃縮後、再び濾過した。ウイルスの感染価は、ベクター濃縮物の希釈、および続いてのFACS分析による293T細胞の形質導入により、293T形質導入単位(293T−transducing units)(TU/ml)として測定した。コンストラクトpHR’SIN.cPPT−SEWおよびcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSの濃縮ベクターストックは、それぞれ108〜109TU/ml、107〜108TU/mlの感染価を有した。
【0079】
内皮細胞の形質導入
内皮細胞を、EGM−2中で1ウェルあたり1×104個、ゼラチン被覆6ウェルプレート上で培養し、37℃で48時間インキュベートした。形質導入のために、4μg/mlの硫酸プロタミン(シグマ社)および50μMのdNTPs(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)社、フランクフルト・アム・マイン、ドイツ)の存在下、EGM−2中で濃縮されていないウイルス上清または濃縮されたウイルス上清と、培地を交換した。スピノキュレーション(spinoculation)(1250g、90分、32℃)後、該細胞を37℃でさらに16時間インキュベートした。それから、ウイルス上清を除去し、該細胞に新鮮なEGM−2を与えた。感染多重度(MOI)は、標的細胞に対する293T−TU/mlの割合として計算した。EGFP発現は、様々な時点でFACS分析および蛍光顕微鏡法により分析した。
【0080】
FVIIIの定量化
分泌したFVIIIの量を評価するために、形質導入した内皮細胞と形質導入していない対照細胞を、ゼラチンコートした12ウェルプレートに、総体積1mlのFGM−2中に5×104個の細胞で播種した。48時間後、遠心分離(700g、3分、4℃)により上清から細胞残屑を除去し、分析まで−80℃で複数のアリコート中に貯蔵した。FVIII抗原(FVIII:Ag)およびFVIII活性(FVIII:C)の測定は、それぞれ市販のImmunozym FVIII:Ag ELISAおよびImmunochrom FVIII:C発色検出アッセイ(イミューノ社(Immuno)、ハイデルベルク、ドイツ)により製造者の指示書に従い行った。FVIII濃度は国際単位(IU)/mlで与えられ、150ng/mlが1.0IU/mlに対応する。両アッセイにおけるFVIII標準品は、WHO血漿標準に対して製造者が計算したものである。
【0081】
FVIIIのウエスタンブロット
コンフルエントな内皮細胞層をPBSで洗浄し、15〜24時間FCS無しのEGM−2で培養した。培養上清を濾過し(0.22μm)、細胞残屑を除去し、ビバスピン(Vivaspin)20濃縮器(ザルトリウス社(Sartorius)、ゲッチンゲン、ドイツ)での超遠心分離(排除分子量(MWCO)30kDa)により、400倍にまで濃縮した。濃縮物をラエムリ(Laemmli)緩衝液(RotiLoad 1;ロート社(Roth)、カールスルーエ、ドイツ)中で5分間煮沸し、10%ポリアクリルアミドゲル上でSDS−PAGEにより分離し、ポリビニリデンジフルオライド膜(ロート社)に移した。その膜を5%粉末スキムミルク中20℃で3時間ブロックし、ポリクローナルヒツジ抗ヒト第VIII因子:C抗体(エンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ社(Enzyme Research Laboratories)、スワンシー、イギリス)とともに4℃で15〜20時間インキュベートした。十分に洗浄した後、ペルオキシダーゼでコンジュゲートしたロバ抗ヒツジIgG二次抗体(シグマ社)とともに、ブロットを室温で40分間インキュベートした。さらに洗浄した後、ECL法(enhanced chemiluminescence:高感度化学発光法)(ピアス(Pierce)社、ボン、ドイツ)で、タンパク質を視覚化した。陽性対照として、組換えB領域欠損FVIIIであるReFacto(登録商標)(ファルマシア&アップジョン社、マルチンスリード、ドイツ)および血漿由来ヒトFVIII(Octanate(登録商標);オクタファーマ(Octapharma)、フランクフルト・アム・マイン、ドイツのLothar Biesert氏が快く提供)を用いた。
【0082】
in vitro マトリゲルを用いたアッセイ
予め冷蔵した24ウェルプレートを、1ウェルあたり500μlのマトリゲル(登録商標)基底膜マトリックス(ビー・ディー・バイオサイエンス社)で被覆し、37℃で1時間インキュベートした。内皮細胞はトリプシン/EDTA処理により採取し、EGM−2中に再懸濁し、ゲル化したマトリックス上に400μl中6×104〜1×105個、該細胞を播種した。培養物を37℃でインキュベートした。8〜10時間後、位相差顕微鏡法および蛍光顕微鏡法(ニコン社 Eclipse TE300)により管腔形成を確認した。
【0083】
統計的分析
データは平均±標準偏差で示される。1対のスチューデントt検定を用いて、異なる感染多重度で形質導入した細胞の形質導入効率およびFVIII分泌レベルを比較した。統計的分析は、GraphPad Prism3.0ソフトウェアを用いて行った。
【0084】
2.結果
臍帯血由来内皮細胞(CBEC)の分化および培養
臍帯血単核細胞の単離後、MACS免疫磁気ビーズを用いて、CD34陽性細胞分画を純度80%〜95%で得た。rhVEGF、rh塩基性FGF、rhSCFおよびrhSCGF−β(「器具および方法」参照)を含むEDM中で、単一のドナーからの細胞あるいは数人のドナーからの細胞プールを約3週間培養した。内皮形態を有する増殖している接着細胞が検出できた場合、それらの細胞はコンフルエントに達する前に継体培養される。105〜107個のCD34陽性細胞の植え付けで、8週間の総培養時間で接着細胞が109倍増殖した。図1に、ドナープールからの細胞(「WT」と表す)を用いた2つの代表実験の累積増殖曲線を示す。この実施例では、約30〜35時間の倍化時間で細胞は増殖した。細胞が増殖を止め、培養物が老化する108倍を超えるまで増殖させた。
【0085】
CD34を単離する前の臍帯血(CB)由来単核細胞の培養物、およびCD34が劣化した分画の培養物は、別の同一条件下でも検出可能なECの分化は得られず、かなり小数の細胞を得るのみであった。したがって、CD34発現細胞の富化が好ましい。そのデータは、ECがCD34陽性前駆細胞に由来したことを示唆している。
【0086】
CBECの表現型の特徴
該接着細胞は、紡錘状扁平細胞の単層として増殖する(図2)。該細胞は、蛍光顕微鏡法およびフローサイトメトリーで検出されるDil−Ac−LDLを取り込むことができ、マトリゲルを用いたアッセイで管腔の形成を示した(以下参照)。該細胞は、様々な内皮細胞表面マーカーおよび造血細胞表面マーカーの発現に関して、フローサイトメトリーによりさらに特徴づけられ、内皮細胞について典型的な、VE−カドヘリン(CD144)、CD146、およびCD31に対して一様に陽性であることが判明した。該細胞は、造血細胞表面マーカーであるCD45、CD14、CD133、およびHLA−DRに対しては一様に陰性であった(図2)。ECの5バッチをFACS分析することにより、このプロトコルで得られた細胞がCD34およびKDR/VEGF−R2の発現に関して不均一であることが示された(図2)。CD34の発現は細胞の5〜45%のサブセットで検出され、一方KDRはCBECの5%未満で弱く発現した。上記細胞表面マーカーの発現は、細胞培養の間、不変であるように見えた。
【0087】
VE−カドヘリン、CD146、CD31、CD45、CD34、およびKDRの発現に関するデータを、免疫組織化学分析(IHC)により確認した。さらに、内皮マーカーフォン・ビルブラント因子(vWF)の発現およびハリエニシダ(Ulex europaeus)凝集素との結合をIHCにより証明することができた。
【0088】
形質導入効率
CBECがレンチウイルスベクターにより効率的に形質導入されることができるかを調べるために、3〜8の継体数でかつ10および100の感染多重度(MOI)で、EGFPをコードするコンストラクトpHR’SIN.cPPT−SEW、およびヒトB領域欠損第VIII因子とEGFPをコードするコンストラクトcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSを用いた最初の一連の実験において、4つの異なるドナープール由来のCBECが形質導入された。形質導入効率は、形質導入後8日以降の少なくとも2つの異なる時点で、EGFP陽性細胞の検出により測定した。
【0089】
ECの形質導入に対して、MOI 10で、pHR’SIN.cPPT−SEWおよびcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSの形質導入効率として、それぞれ88.2%±7.6%(80.3%〜95.6%の範囲)、76.9%±5.0%(73.1%〜84.2%)を得た(図3A)。MOIを100に上げた場合、統計的に有意な形質導入効率の増加は無かった(両方のベクターに対して、p>0.05で、90.4%±9.5%および90.6%±9.7%;図3A)。
【0090】
EGFPの発現レベルと同様にEGFP発現細胞のパーセンテージも、培養期間中、相対的に不変であった。代表的な実験において、MOI 10で形質導入30日後の、形質導入された細胞と形質導入されていない細胞のEGFP発現を、図3Bに示す。
【0091】
レンチウイルスによる形質導入の細胞表現型および細胞増殖におよぼす影響
形質導入間/後の(特により高いMOIにおける)細胞死、および図1に示した形質導入していない対照細胞の増殖速度に細胞が戻る前の誘導期から明らかなように、形質導入したECへのいくつかのベクター媒介性毒性を観察した。したがって、このことが形質導入細胞と対照細胞間の表現型の変化に付随して起こるのかどうかを検討したいと考えた。形質導入して数週間後に、フローサイトメトリーによるCD146、CD34、KDR、およびCD133発現に対して、あるいはDil−Ac−LDLを取り込む能力に対して、細胞を分析した。上記細胞表面マーカーの発現は、Dil−Ac−LDLの取り込みと同様、形質導入していない細胞と比較して変化が無かった(図4AおよびB)。また、CBECは、マトリゲルを用いたアッセイ(図4CおよびD)において、成熟した機能性ECの特徴である管腔形成能力を保持した。
【0092】
発色検出アッセイおよびELISAによるFVIII分泌の定量化
ヒトB領域欠損FVIIIを発現するCBECの能力を、7つの独立した実験で調べた。細胞は、ヒトB領域欠損FVIIIおよびEGFPをコードするレンチウイルスコンストラクトcPPT−C(FVIIIΔB)IGWSにより形質導入され、老化するまで上記のように培養された。12ウェルプレートに、1mlのEGM−2中5×104個の細胞を播種し、48時間後に細胞培養上清を回収することにより、様々な時点でFVIIIの分泌を定量した。検出抗体としての軽鎖に対するモノクローナル抗体による発色検出アッセイおよびELISAを用いた分析を行うまで、−80℃でアリコートを貯蔵した。細胞は、増殖を止めるまで形質導入を維持した。
【0093】
発色検出アッセイにより測定されるFVIII:Cの濃度は、老化まで比較的一定であった。3つのドナープール由来の細胞の形質導入後最初の4週間、FVIII:Cの平均濃度は、7.0〜7.8IU/106cells/48hに対応するMOI 10で、0.35〜0.39IU/5×104cells/48hであった(図5)。その後、増殖が減少し、最終的に老化することに伴って、全ての培地でFVIII:C分泌は減少する。実験の2番目のセットでは、MOIのFVIII分泌におよぼす影響を検討した。MOIを10から100に上げることによっては、FVIII:C分泌はわずかな増加しか引き起こさず、それは統計的に有意ではなかった(p>0.05、n=4)。対照コンストラクトpHR’SIN.cPPT−SEWにより形質導入された細胞および形質導入していない細胞は、FVIII:Cを検出可能な量だけ分泌しなかった(両方とも<0.01IU/5×104cells/48h;n=7)。
【0094】
同じEC上清中のFVIII:Ag濃度の測定によって、MOI 10で0.45〜0.66IU/5×104cells/48hとなり、FVIII:C(n=3)と比較してわずかに高いFVIII:Ag濃度を得た。この結果、FVIII:C/FVIII:Agの平均比率0.54〜0.83(n=3;表1)となった。対照実験において、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、ヒトB領域欠損FVIIIをコードするベクターにより形質導入した。6つの上清において、FVIII:C/FVIII:Agの比率が0.91±0.23であることが判明した。この比率は、同じ導入遺伝子カセットを含むFVIIIをコードするベクターにより形質導入された、いくつかの造血細胞株(Tonn et al.,2002)の特徴である比率と違わない。
【0095】
表1 異なるヒト細胞型における組換えB領域欠損FVIIIの比活性
造血細胞株、HUVEC、およびCBEC(臍帯血由来内皮細胞)を、同じFVIII発現カセットを含むレンチウイルスベクターにより形質導入した。比活性は、これら細胞の上清におけるFVIII:AgとFVIII:Cの比率として計算され、少なくとも3つの実験の平均値として与えられる。
【表1】

【0096】
ウエスタンブロット分析による、分泌FVIIIの特徴
ECの分泌が正しく進み、それにより活性な凝血源FVIIIが産生しているという仮定を確認するために、排除分子量30kDaのビバスピン濃縮器を用いた限外濾過によって、細胞培養上清からFVIIIを富化した。EGM−2の血清含量が有効な濃度にならなかったので、ECを血清なしで終夜培養した。試料は400倍にまで濃縮され、ELISA、FVIIIウエスタンブロット、および発色検出アッセイにより分析した。
【0097】
cPPT−C(FVIIIΔB)IGWSにより形質導入されたECの濃縮上清、および形質導入されていない細胞の濃縮上清について、SDS−PAGEおよび免疫ブロット法を行った。対照として、血漿由来FVIII(Octanate(登録商標))および組換えB領域欠損FVIII(ReFacto(登録商標))を用いた。Octanate(登録商標)は約80kDaの軽鎖と様々な大きさの重鎖との二重鎖からなり、重鎖が様々な大きさを持つのはin vivoでB領域を含む種々のタンパク質分解工程によるからである。ReFacto(登録商標)は、80kDaの二重鎖の軽鎖と90kDaの重鎖からなる。ReFacto(登録商標)を発現するために用いられるB領域の欠損は、我々が用いる遺伝子導入ベクターにおける欠損とほぼ同一である。それゆえ、ポリクローナルな抗FVIII抗体を用いて、EC由来FVIIIと対照製剤において同じ高さで軽鎖のバンドが期待され、EC由来FVIIIとReFacto(登録商標)においても同程度の大きさであることが期待された。図6はこのことが正に当てはまることを示している。より長く露出しておくと、FVIIIが細胞内で重鎖と軽鎖に切断されることが完全ではなかったかもしれないことを示す170kDaでの弱いバンドが現れた。形質導入されていない細胞の濃縮上清では、FVIIIは全く検出できなかった。
【0098】
免疫ブロット法の前に、EC由来試料のFVIII:Ag濃度を、ELISAにより測定した。EC由来FVIIIに対して見られた信号強度と、対照試料のものとはよく一致する。発色検出アッセイを用いて、濃縮上清が血液凝固活性を示すことも確認した。
【0099】
本発明は、CD34陽性細胞から内皮細胞への分化のためのサイトカイン類の新規な組み合わせを提供する。そして、臍帯血が細胞源に適していることが示された。臍帯血からCD34陽性細胞を富化させた後、VEGF、FGF−2、SCF、およびSCGF−βを含む培養物は、内皮表現型を持ち、非常に高いが限られている増殖能を有する接着細胞を産出した。以前の研究により、末梢血(Gehling et al.,2000;Lin et al.,2000)中および骨髄(Quirici et al.,2001)中の前駆細胞から、内皮細胞が由来し、非常に成長できることが示された。しかし、臍帯血は、この観点で検討されなかった。本研究では、VE−カドヘリン(CD144)、CD31、CD146およびLDL受容体の一様な発現、CD45およびCD14の発現の不在、そしてマトリゲルを用いたアッセイでの管腔形成によって、明らかな内皮表現型が示された。多量の該細胞サブセットがCD34発現を保持する一方、KDR陽性は驚くべきことに小さなパーセンテージで、非常に弱かった。CD34、KDR、CD144、およびCD31の発現については、細胞表面マーカーのこのパターンは今までに報告されておらず、Gehling et al.(2000)およびLin et al.(2000)の研究とは異なる。G−CSF動員末梢血由来CD133陽性細胞から、Gehlingのプロトコルを用いて得られた細胞は、ただCD31、CD34、およびCD144を発現するサブセットのみで、ほぼ一様にKDR陽性であった。Linのプロトコルに従い、分化した末梢血単核細胞由来の、血液由来内皮細胞(BOEC)はCD34、KDR、CD144、およびCD31に対して一様に陽性であった。他の研究ではマトリゲルを用いたアッセイは含まれておらず、そのため管腔形成という機能的特徴に関して、細胞は比較できない。その細胞は増殖能においても異なり、Linのプロトコルでは非常に大きく(60日間以内で18log)、Gehlingの研究では比較的低く見え、一方上記のプロトコルでは5〜9logと中間的な培養物の伸長を可能にしている。一定の細胞表現型を持った合計数ヶ月間のex vivo培養の後、培養物の老化がついに観察できた。免疫欠損マウスにおけるBOECに関して、Linおよび共同研究者によって報告されたとおり、過剰で制御不可能なin vivo増殖が極めて有害な影響を引き起こすかもしれないので、ここで示された内皮細胞が限られた増殖能を持つことが、現実には有利な点になりうる。
【0100】
CBECは、血友病Aの遺伝子治療のための有用な標的細胞でもあり得る。B領域を欠損した第VIII因子のcDNAおよびマーカー遺伝子としてのEFGPと安定的に組み込まれているHIV−1型由来自己不活化レンチウイルスベクターが、形質導入実験に用いられた。FVIII/EGFPコントロールコンストラクトまたはEGFPコントロールコンストラクトに対して、概して75%〜95%の範囲にある高い形質導入割合を達成するのに、適度なMOI 10で十分であることが判った。その形質導入の結果、発色検出アッセイおよびELISAにより測定されるFVIII分泌は、非常に高いレベルであった。FVIII:Cのレベルは、7.0〜7.8IU/106cells/48hに相当し、他の組換え系でこれまでに報告された最も高いレベルのうちの1つであった。FVIII分泌で同程度のレベルは、同じベクターにより形質導入されたHUVECで達成されたが、同じ導入遺伝子カセットで形質導入された造血細胞株で、10〜20倍低いレベルであった(Tonn et al.,2002)。また、HUVECにおけるFVIII分泌レベルは、レトロウイルスベクターを用いたChuahとその共同研究者によって報告されたものよりも10倍を超えて高いことが判明した(Chuah et al.,1995)。
【0101】
FVIII分泌に関するデータは、FVIII特異的ELISAにより確認し、FVIII:C/FVIII:Agの平均比率が0.54〜0.83の範囲内にあるように(造血細胞株およびHUVECについての約1に替わり)、ほんのわずかに高いFVIII:Ag値を得た。この比活性の減少は、細胞内の不完全なタンパク質分解によって引き起こされた。その理由は、濃縮された細胞上清のウエスタンブロットによって、予期された通りに90および80kDaの重鎖および軽鎖へと形成される大半のFVIIIとともに、FVIIIタンパク質の一部が170kDaの前駆体として分泌されたことが示されたからである。しかし、血漿中のFVIIIの活性化はさらなるタンパク質分解工程を包含するので、CBEC由来FVIIIのin vivoでの向凝血活性はおそらく通常の範囲にあるのであろう。
【0102】
実施例によって、内皮細胞がFVIIIの組換え発現に特に適しており、レンチウイルスベクターが、以前用いられたウイルスまたは非ウイルス発現ベクターよりも非常に効率的な組換えFVIII発現を可能にすることが示された。MOI 10での形質導入実験が、ベクターとのインキュベーション間/後でのある程度の細胞死、および形質導入をしていない細胞と比較して増殖における誘導期が短いという結果になったにもかかわらず、表現型の変化または形質導入されたCBECの伸長の正味の減少もしくは増加は検出できなかった。FVIII:C特異的発色検出アッセイまたはEGFPに対するフローサイトメトリーによって測定されるように、導入遺伝子発現のレベルは、細胞が増殖を止めるまで比較的安定のままであった。したがって、実施例で選んだベクター系は、極めて効率的であるばかりでなく、予備的なin vitro分析で安全でもあった。
【0103】
臍帯血由来内皮細胞は、血友病Aの遺伝子治療にとって魅力的な自己細胞源である。凡そ3分の2の血友病A患者では、潜在的な突然変異が遺伝し、それゆえFVIII欠乏が家系に基づいて予見できる。こうしたケースでは、通常は処分されるであろう臍帯血由来のCD34陽性細胞を、内皮細胞の分化培養に用いることができた。未成年または成年の患者に対して、CBECに対する実施例で示されたプロトコルは、末梢血または骨髄由来CD34陽性細胞に適用できる。
【0104】
したがって、本発明は、タンパク質(例えば、血液凝固因子)を発現する内皮細胞の産生方法であって、a)in vitroでヒト内皮前駆細胞を成長因子VEGF、bFGF、SCFおよびSCGF−βに接触させること;およびb)該タンパク質をコードするDNAで細胞に形質導入することからなる方法にも関する。内皮前駆細胞は、骨髄、末梢血、または臍帯血由来であってよい。この方法の好ましい実施態様は、上記の本発明の方法の好ましい実施態様と一致する。
【0105】
初期の時点でのレンチウイルスの形質導入後、効率的なFVIII分泌および複製能をもつレンチウイルスが存在していないというような安全面から、培養物を成長させ、分析することができる。細胞の凍結バッチは貯蔵することができ、生存中、多数回にわたる注射に用いることができる。
【0106】
in vitroにおけるすべての培養物で今まで観察された老化は、in vivoにおける適度な数の細胞群の倍増、およびそのために細胞輸液を繰り返す必要があることを示唆している。このシナリオは、摂生法の条件を伴うことなく尾静脈に注射した後、免疫欠損マウスの脾臓および骨髄に移植されることが示された、FVIIIをトランスフェクトされたBOECのin vivo増殖にとって好ましいであろう(Lin et al.,2002)。これまでに公表されたデータを基にすれば、血液異常または血栓症というリスクの増大を引き起こす、BOECでの骨髄の補充のような長期にわたる面倒な問題が、in vivo増殖が制御できなければ、こうした細胞をあらゆる治療へ適用する前に、考慮しなければならないし、排除しなければならない。
【0107】
本発明は、血友病Aおよび第IX因子、フォン・ビルブラント因子、またはα抗トリプシンなどのような血漿タンパク質の欠乏によって特徴づけられる他の先天的疾患の遺伝子治療に対する内皮細胞の使用、特にCBECの使用を提供する。
【0108】
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【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、内皮細胞の累積増殖曲線を示す。
【図2】図2は、CBEC(臍帯血由来内皮細胞)の形態および表現型の特徴を示す。
【図3】図3は、内皮細胞へのレンチウイルス形質導入を示す。
【図4】図4は、形質導入されたCBECの表現型:Dil−Ac−LDLの取り込みおよびin vitro管腔形成を示す。
【図5】図5は、CBEC上清におけるFVIII:Cの定量化を示す。
【図6】図6は、免疫ブロット法による濃縮CBEC上清中のFVIIIタンパク質の検出を示す。
【図7】図7は、ヒト第VIII因子のアミノ酸配列を示す。
【配列表】









【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程:
a)ヒト臍帯血由来内皮前駆細胞および/または骨髄から得られる内皮前駆細胞を、内皮前駆細胞が成熟内皮細胞へ分化するのを促進する少なくとも1つの成長因子とin vitroで接触させること;および
b)タンパク質をコードするDNAにより成熟内皮細胞に形質導入する、または、工程a)に先立って、タンパク質をコードするDNAにより内皮前駆細胞に形質導入すること、を含むことを特徴とする、該タンパク質を発現するヒト内皮細胞の産生方法。
【請求項2】
該ヒト臍帯血由来内皮前駆細胞が、CD34、AC133、CD146、およびFGF1−Rから成る群より選択される細胞表面マーカーを少なくとも1つ発現することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)およびb)に先立って、臍帯血からCD34陽性細胞、AC133陽性細胞、CD146陽性細胞、および/またはFGF1−R陽性細胞を富化させることをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
レトロウイルスベクター、好ましくはレンチウイルスベクターが該細胞に形質導入するために用いられることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
該タンパク質が血液凝固因子であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該血液凝固因子がヒト第VIII因子であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の方法によって得ることができるヒト内皮細胞群。
【請求項8】
少なくとも細胞の10%が、タンパク質をコードする組換えDNAを含むことを特徴とする、臍帯血由来のヒト内皮細胞群。
【請求項9】
該タンパク質が、ヒト血液凝固第VIII因子または第IX因子であることを特徴とする、請求項7または8に記載のヒト内皮細胞群。
【請求項10】
タンパク質をコードする組換えDNAがヒト血液凝固第VIII因子の突然変異タンパク質をコードすることを特徴とする、請求項7から9のいずれかに記載のヒト内皮細胞群。
【請求項11】
ヒト第VIII因子の該突然変異タンパク質が、野生型第VIII因子のB領域を少なくとも部分的に欠損していることを特徴とする、請求項10に記載のヒト内皮細胞群。
【請求項12】
タンパク質をコードする組換えDNAが修飾第VIII因子の相補的DNAであり、
(i)野生型第VIII因子の相補的DNAのうち、少なくともB領域部分が欠損されている、
(ii)少なくとも1つのイントロンが、第VIII因子の相補的DNAの少なくとも1つの位置に挿入されている、および/または
(iii)ヒト第VIII因子の野生型相補的DNA配列の少なくとも1つのヌクレオチドが置換されている、
ことを特徴とする、請求項7から11のいずれかに記載のヒト内皮細胞群。
【請求項13】
該細胞の少なくとも75%が、CD144、CD31、CD146、およびLDL受容体から成る群より選択されるマーカーの少なくとも1つを発現することを特徴とする、請求項7から12のいずれかに記載のヒト内皮細胞群。
【請求項14】
該細胞の少なくとも75%がフォン・ビルブラント因子(VWF)を内因的に発現することを特徴とする、請求項7から13のいずれかに記載のヒト内皮細胞群。
【請求項15】
請求項7から14のいずれかに記載のヒト内皮細胞群から生成した不死化細胞株。
【請求項16】
a)適当な条件下、請求項7から14のいずれかに記載のヒト内皮細胞群、または請求項15に記載の細胞株を培養する、およびb)該細胞培養培地から、タンパク質、好ましくは血液凝固因子を単離する、工程からなることを特徴とする該タンパク質、好ましくは該血液凝固因子を産生する方法。
【請求項17】
該タンパク質が血液凝固第VIII因子であり、かつ該単離工程がフォン・ビルブラント因子の存在下での血液凝固第VIII因子の精製を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該タンパク質、好ましくは該血液凝固因子をウイルス不活化処理することを特徴とする、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
血友病Aまたは血友病Bの治療用医薬の製造のための、請求項7から14のいずれかに記載のヒト内皮細胞群の使用。
【請求項20】
ヒト血液凝固第VIII因子を分泌する細胞を、血友病Aを患う個体に投与することを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
循環器系疾患の治療用医薬の製造のための、請求項7から14のいずれかに記載のヒト内皮細胞群の使用。
【請求項22】
該疾患が心不全、および急性もしくは慢性心疾患から選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
請求項7から14のいずれかに記載のヒト内皮細胞群である医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−523446(P2006−523446A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505140(P2006−505140)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003998
【国際公開番号】WO2004/092355
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505379331)ディー・アール・ケー ブルートシュペンダディーンスト バーデン ヴュルテムベルクヘッセン ゲー・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】