説明

臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジ、その試薬カートリッジの使用及び配置

臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジ10は、反応成分又は希釈成分を含む少なくとも1つの窪み12、13、14を備えるハウジング11と、1つの凹部15と、を有し、このハウジング11の凹部15の中には、抗原又は抗体が結合可能な固相20がセットされ、この試薬カートリッジ10が3つの窪み12、13、14を有する場合は特に有利であり、この試薬カートリッジ10は、臨床化学パラメータの分析、免疫診断パラメータの分析、追加試薬の準備のために使用可能であり、希釈カートリッジとしても同様に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に基づく臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジ、請求項11〜15に基づく試薬カートリッジの使用、及び請求項16の前提部分に基づく配置に関する。
【背景技術】
【0002】
当分野では、臨床化学パラメータの自動特定に用いる分析装置及び免疫診断パラメータの自動特定に用いる装置の両方が一般的に知られている。この場合、臨床化学パラメータの特定装置と免疫学的パラメータの特定装置とには、それぞれ異なる条件が設定される。
【0003】
臨床化学パラメータは、通常、試料の液相において特定される。このために、試料には、光学密度の変化を引き起こす少なくとも1つの試薬が最初に添加される。次に、この試料は、水平方向に光学的測定ビームが照射される測定キュベットの中に入れられる。反応温度は、通常、37℃(体温)である。頻繁に用いられる強力な試薬に耐えられるように、反応装置は、相応に耐性のある材料から製造されていなければならない。
【0004】
これに対し、免疫診断パラメータは、固相に結合している物質を用いて、ELISA法の原理に従って特定される。この場合、反応温度は、18℃〜25℃の普通の室内温度である。この試験の場合、特に、抗原又は抗体が結合している固相の製造及び保存に問題がある。ここで、特に重要なのが、抗原又は抗体を最適に固相に結合することである。
【0005】
このことから、欧州特許出願公開第1255115A2では、全自動分析装置においてELISA法を実施する際に、一回限り使用する分析用インサートを設けている。このインサートは、複数の窪みが形成された一体形成のプラスチック成形品である。第1の窪みに試料が収容され、その他の窪みにはELISA法を実施するための試薬が含まれている。ハウジング内には、その他に2つの凹部が形成されており、2つの凹部はスリットによって互いに接続されている。これらの凹部には、あらかじめ該当する抗原又は抗体をコーティングしたマイクロタイタープレートから取り外した、互いに接続された2つのウェルをセットすることができる。
【0006】
しかし、この解決方法には多くの欠点がある。ユーザーは、例えば該当するウェルを自分で分析用インサートの中に取り付けなければならないが、このことは、凹部の構造により、ある程度うまく機能する。この時、例えば、このウェルを分析用インサートの中に確実に押し込むために、ユーザーが相応に大きな力をかけなければならない場合、残りの窪みの中にある試薬が窪みから飛び跳ねる危険が生じる。さらに、深刻なケースでは、ウェルが最終的に分析装置内に正しく位置決めされなかったために、測光装置の測定ビームに望ましくない屈折及び偏向が生じ、それにより間違った分析が行われるおそれもある。これに加え、分析用インサートは非常に壊れやすく、試薬を入れた窪みの上に取り付けられているセーフティフィルムを剥がす際にすでにインサートが変形して、このインサートを分析装置の中にセットできなくなるという危険も生じる。
【0007】
もう1つの欠点は、この分析用インサートが、免疫診断分析を実施するための装置にしか使用できないことにある。臨床化学パラメータも同時に特定することが望ましい場合には、ユーザーは、全く別に用意されたもう1つの試料を、他の装置に取り付けなければならない。しかし、このことは、特に小さな病院においては実施することが不可能である。というのも、免疫診断の数値を分析する高額な装置と臨床化学パラメータを分析する2つめの高額な装置とを購入する必要があるからである。
【0008】
従って、本発明の課題は、従来技術のこれらの欠点及びその他の欠点を克服し、低コストで簡単に製造することができ、ユーザーによる取扱いが極めて簡単な試料カートリッジを提供することである。この試料カートリッジは、さらに、全く同一の試料で、免疫診断パラメータの特定にも、臨床化学パラメータの特定にも適合しているべきである。
【0009】
本発明の主な特徴は、請求項1の特徴部分並びに請求項12〜15に示されている。実施形態は、請求項2〜11の対象である。
臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジは、反応成分又は希釈成分を含む少なくとも1つの窪みを備えるハウジングと、1つの凹部と、を有し、このハウジングの凹部の中には、抗原又は抗体が結合可能な固相をセットすることができ、本発明では、この試薬カートリッジが3つの窪みを有するようになっており、第1の窪みは希釈用の窪みとして用いられるか、希釈溶液を含んでいるか、又は臨床化学試験を実施するための追加試薬を含んでいるか、のいずれかであり、第2の窪みは希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための複合体か、又は臨床化学試験を実施するための検出試薬を含んでいるか、のいずれかであり、第3の窪みは希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための基質か、臨床化学試験を実施するための検出試薬を含んでいるか、又は空であるか、のいずれかであり、試薬カートリッジの全ての窪みが希釈用の窪みとして用いられる、及び/又は希釈溶液を含んでいる、及び/又は空であるか、もしくは試薬カートリッジの窪みが、臨床化学試験を実施するための検出試薬、ELISA法を実施するための複合体又はELISA法を実施するための基質を含んでいるか、又は空であるか、のいずれかである。
【0010】
本発明に基づく試薬カートリッジの特に有利な点は、この試薬カートリッジが、全く同一の分析装置で、臨床化学試験と免疫診断試験の両方を実施するのに適していることである。これに基づき、第1の実施形態のバリエーションでは、この試薬カートリッジが臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジであり、第1の窪みが空であり、第2の窪みが臨床化学試験を実施するための第1の検出試薬を含み、第3の窪みが臨床化学試験を実施するための第2の検出試薬を含むことが有利である。この場合、この試薬カートリッジが臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジであり、2つの窪みが空であり、第3の窪みが臨床化学試験を実施するための検出試薬を含むことも考えられる。この場合、固相が抗原とも抗体とも結合せずに、試薬カートリッジの第4の空の窪みを形成している場合、製造はとりわけ低コストになる。
【0011】
第2の実施形態のバリエーションでは、この試薬カートリッジが免疫診断試験を実施するための試薬カートリッジであり、第1の窪みが空であり、第2の窪みがELISA法を実施するための複合体を含み、第3の窪みがELISA法を実施するための基質を含み、固相には抗原又は抗体が結合している。
【0012】
もう1つの実施形態のバリエーションでは、この試薬カートリッジが、試料を希釈するための試薬カートリッジであり、3つの窪みの少なくとも1つが希釈溶液を含み、3つの窪みの少なくとも1つが希釈用の窪みとして用いられる。ここでも、抗原と抗体とが両方とも固相に結合しておらず、固相が希釈用の窪みとして用いられるか、又は空である場合は、コスト及び製造コストに関して有利である。
【0013】
本発明のもう1つの利点は、固相が、ハウジングの材料とは異なる材料から製造されていることである。すなわち、固相はポリスチロールから製造することができる。このプラスチックは、特に、希望する抗原又は抗体の固相への結合を容易にする。しかしながら、同時に、このプラスチックは、臨床化学試験を実施するのに必要な多くの試薬に対してあまり耐性がない。従って、ハウジングが、上述のように、別の材料から製造される場合は有利であることが分かる。すなわち、例えば、ポリプロピレンなど大幅に耐性のより高い素材からハウジングを製造することが考えられる。この方法により、抗原又は抗体を確実かつ安定して固相に結合させることと、それでもなお、臨床化学試験を実施するための試料を試薬カートリッジの中に良好に収容可能であることとが、同時に確実なものになる。
【0014】
従って、有利であるのは、窪みの少なくとも1つに試薬が入れられ、一方、固相は抗体が収容されるか、空であるか、又は希釈装置として用いられる。
本発明は、さらに、1つの試料において臨床化学パラメータ分析のために本発明に基づく試薬カートリッジを使用すること、1つの試料において免疫診断パラメータ分析のために本発明に基づく試薬カートリッジを使用すること、希釈装置として本発明に基づく試薬カートリッジを使用すること、及び追加の試薬を準備するために本発明に基づく試薬カートリッジを使用することが予定されている。
【0015】
そのような使用は、全自動で実施される、以下の工程を含む方法において特に有利であり得る:
a)実施する分析用の試薬カートリッジを全自動の固定具にセットする。
b)全自動の試料装置に試料を入れる。
c)試薬カートリッジに割り当てられている、それぞれの臨床化学パラメータ分析を実施するために設けられている測定キュベットを用いて臨床化学パラメータを特定する。
d)試薬カートリッジに割り当てられている、それぞれの免疫診断パラメータ分析を実施するために設けられている測定キュベットを用いて免疫診断パラメータを特定する。
e)使用した測定キュベットを清浄するか、又は取り外す。
f)使用した試薬カートリッジ及び試料容器を取り外す。
【0016】
このようにして、全く同一の方法で、試料の臨床化学パラメータと免疫学的成分の両方を特定できることが分かる。特に、本方法は、全く同一の分析装置で実施することができる。従って、臨床化学パラメータと免疫診断パラメータを分析するために、異なる装置を調達する必要はもはやなくなり、従って、特に小規模の病院には大きなコスト節約になる。この特別な利点は、臨床化学パラメータと免疫診断パラメータとが両方とも1つの測定キュベットを用いて特定されることから生じ、それぞれの測定キュベットは本発明に基づく試薬カートリッジに割り当てられている。これに対して、従来の方法では全て、臨床化学パラメータだけが測定キュベットで測定され、これに対して免疫診断パラメータはマイクロタイタープレートの1つのウェルで測定される。
【0017】
もう1つの利点は、これにより臨床化学パラメータと免疫診断パラメータの両方を分析するのに、本発明に基づく試薬カートリッジを使用する分析装置内に、唯一の測光ユニットだけがあればよいことである。同時に、全く同一の試料分析装置の中で、複数の異なる臨床化学パラメータ及び/又は免疫診断パラメータを特定することが可能である。従って、医師は、例えば以下のような手順で診断を行うことができる。医師は、まず、検査する体液の試料を患者から採取する。次に、どのパラメータを特定したいかに応じて、本発明に基づく様々な試薬カートリッジを選択する。それぞれのパラメータに対して、医師は、該当する試薬カートリッジを分析装置の中にセットし、本発明に基づく方法を開始する。この方法により、上述したように、希望する様々な臨床化学パラメータ及び免疫診断パラメータが得られ、これらのパラメータに基づいて、医師は診断を下すことができる。
【0018】
明らかなように、そのような方法での本発明に基づく試薬カートリッジの使用により、それぞれ特定する臨床化学パラメータ又は免疫診断パラメータについて、独自の試薬カートリッジが分析装置の試薬カートリッジ用固定具にセットされ、それぞれの試薬カートリッジの窪みの中には、それぞれの試験に必要な検出試薬が含まれているという利点が提供される。この場合、臨床化学パラメータの分析に用いる試薬カートリッジが少なくとも1つの検出試薬を含み、また、免疫診断パラメータの分析に用いる試薬カートリッジが複合体を備える第1の窪みと、基質を備える第2の窪みと、固相と、を含んでいる場合は有利である。このことは、本発明に基づく試薬カートリッジによって、特に有利に行われることが分かる。
【0019】
次に、免疫診断パラメータの特定は、例えば以下の工程を含むことができる:
a)ピペット装置によって、免疫診断分析を実施するために設けられている試薬カートリッジの第1の窪みから酵素複合体を取り出し、試料を取り出す。
b)酵素複合体と試料とをピペット装置から試薬カートリッジの固相に加える。
c)複合体と試料の入った固相を培養する。
d)固相を洗浄することによって余分な複合体及び試料を除去する。
e)ピペット装置によって、免疫診断分析を実施するために設けられた試薬カートリッジの第2の窪みから基質を取り出す。
f)基質をピペット装置から固相に加える。
g)固相の基質を培養する。
h)ピペット装置によって、変換された基質を取り出す。
i)変換された基質をピペット装置から測定キュベットに加える。
j)測定装置を用いて、変換された基質の濃度を測定する。
【0020】
代替の方法として、複合体と試料とを2つの別個の工程で取り出し、ピペットで固相へ移すことも可能である。この場合は、例えば、まず、複合体をピペット装置によって取り出して固相に加え、次に、試料をピペット装置によって取り出して固相に加えることができる。最初に試料を取り出して固相に加え、続いて複合体を取り出して固相に加えることも当然考えられる。
【0021】
この場合、工程a)〜g)は、一般的に普及しているELISA法の実施工程に該当する。このことは、すなわち、複合体と試料とを固相に同時に加える場合、検出する免疫学的パラメータ、例えば特定のペプチド、抗体又はその他のたんぱく質が、一方で、固相に結合した結合パートナー、すなわち該当する抗体、適合抗原などに結合することを意味している。他方で、この複合体は適合する酵素複合体を含み、この酵素複合体は結合パートナーと、この結合パートナーに結合している酵素とからなる。同様に、この結合パートナーは検出するパラメータに結合する。この方法で、パラメータ、結合パートナー及び酵素からなる全複合体が固相に固定化される。余分な複合体と試料とは、次の工程で取り除かれるか、又は洗い流される。次に加えられる基質溶液は、そのように固相に固定化された酵素固有の基質を有している。この基質は酵素との反応によって変換され、それによって変色が生じることから、特定の波長において光学密度に一定の変化が生じる。
【0022】
本発明に基づく試薬カートリッジのそのような方法の特別な利点は、変換された基質と変換されていない基質の両方を含む基質溶液全体が固相から取り出され、分析のためにピペットによって測定キュベットに移されることによって、酵素基質反応が終了することにある。この方法により、常に同一の配置にある試薬カートリッジと測定キュベットを用いて、とりわけ免疫診断パラメータと臨床化学パラメータの多数の異なるパラメータを特定することが可能である。該当するパラメータの濃度は、常に同じ手順で、測定キュベットと唯一の測光ユニットとを使って特定可能となる。
【0023】
もう1つの利点は、追加の成分として停止液を準備する必要がないことであり、この停止液は、さもなければ通常、酵素基質反応を限定的に終了するために用いられる。この終了は、本発明の場合、部分的に変換された基質溶液の取出しとピペットによる測定キュベットへの移行によって、むしろ簡単に行われる。固相に固定化された酵素は、この時、固相に残ったまま測定キュベットには一緒に持っていかれないため、溶液が固相から取り出されても、基質の変換はそれ以上行われない。
【0024】
本発明に基づく試薬カートリッジを使用して、27℃〜39℃の温度、好ましくは37℃の温度において免疫診断パラメータの特定が実施される場合もまた有利である。ELISA試験の温度条件を特別に調整することにより、分析に使用する装置の温度を毎回変更する必要がなく、臨床化学パラメータと免疫診断パラメータとを任意の順番ですぐに連続して特定することが可能となる。もしそうでない場合、このことは、長い加熱段階又は冷却段階及び相応の待ち時間を伴うであろう。温度を上げるその他の利点は、例えば、この温度が明らかに通常の室内温度を上回っていることにある。このことにより、実行する装置をどこに設置するかということは重要ではなくなり、試験が実施される温度は常に一定に保たれる。従って、化学反応速度は常に同じである。このことは、例えば試験結果の再現性を高めることにつながる。また、ELISA法ではその他の場合には一般的であるような、個々のテストについての標準曲線を特別に作成することが回避される。従って、免疫診断試験を実施するための、本発明に基づく試薬カートリッジに用意されるコンポーネントは、この特別な利点によって、37℃の温度における試験の実施に合わせられる。
【0025】
本発明は、さらに、分析装置と、少なくとも1つの試薬カートリッジと、少なくとも1つの測定キュベットと、を含む、臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に関し、この試薬カートリッジは請求項1〜11のいずれか一項による、本発明に基づく試薬カートリッジであり、それぞれの試薬カートリッジには1つの測定キュベットが割り当てられており、試薬カートリッジとそれに割り当てられた測定キュベット30とは、分析装置の中に直線的に配置されている。
【0026】
そのような配置では、分析装置が、試料ホルダと、試薬カートリッジ及び測定キュベット用の固定具と、ピペット装置とを有し、また、光学ユニットと、洗浄ユニットとを有している場合は有利である。さらに、試料ホルダと洗浄ユニットとが固定具から切り離されて形成され、この固定具が回転式テーブルになっている場合は有利であり、試薬カートリッジと測定キュベットとがこの回転式テーブルの半径に沿って配置され、測定キュベットはこの半径の外側端部に配置されている。
【0027】
本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、請求項の文面及び図に基づく以下の実施例の説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に基づく試薬カートリッジである。
【図2】図1の試薬カートリッジの断面図である。
【図3】図1の試薬カートリッジを上から見た図である。
【図4a】ELISA法を実施するための図2による試薬カートリッジの使用図である。
【図4b】臨床化学試験を実施するための図2による試薬カートリッジの使用図である。
【図4c】希釈カートリッジとしての、図2による試薬カートリッジの使用図である。
【図4d】追加の試薬を準備するための図2による試薬カートリッジの使用図である。
【図5】本発明に基づく、全自動の試薬カートリッジの使用図である。
【図6】本発明に基づく試薬カートリッジを使用して、臨床化学パラメータと免疫診断パラメータとの選択的分析を行うための配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1、2及び3に示されている本発明に基づく試薬カートリッジ10は、3つの窪み12、13、14が形成されているハウジング11からなる。ハウジング11には、その他に凹部15が形成されており、この中に固相20をセットすることができる。固相20は、マイクロタイタープレートの個々のウェルの形状を有し、好ましくはポリスチロールから形成されており、ハウジング11と窪み12、13、14とは、臨床化学試験の試薬に適合した耐性のある材料、例えばポリプロピレンから形成されている。
【0030】
ハウジング11は前方の端部161と後方の端部162とを備える主要平面16を有している。分析装置内に試薬カートリッジ10がセットされている場合、この試薬カートリッジは、前方及び後方の端部161、162の下面が分析装置に接触し、この方法でそのポジションに固定される(図5も参照)。窪み12、13、14の上部の開口部は上方の面16に形成されていることが分かる。これに対して、固相20の収納に用いる凹部15は下方の面18に形成されている。
【0031】
固相20は、図1及び2において、凹部15にセットされている。この固相は、周辺を囲む縁23を有し、その下方の端部には突出部22が形成されている。固相はこの突出部22によって面18に接触しているため、凹部15から滑り落ちないようになっている。固相20の上方の縁25は、窪み12、13及び14の上方の縁と同じ高さにある。すでに準備され、セットされているこの固相20をユーザーに提供できることが、本発明に基づく試薬カートリッジ10のもう1つの特別な利点であることが分かる。固相20は、さらに高い信頼性をもって、試薬カートリッジ10のハウジング11に確実に格納されている。ユーザーが固相20をハウジング11に不正確にセットすることによって生じるおそれのあるエラーは、この方法によって効果的に予防される。このことは、使用を非常に簡便化するばかりでなく、試薬カートリッジ10を使って達成される測定結果の信頼性の向上にもつながる。
【0032】
特に図2から、窪み12、13,14の間に支柱163を形成することができ、試薬カートリッジ10の安定した全体構造を確実にしていることが分かる。特に支柱163により、試薬カートリッジ10は分析装置内にセットされた状態で常に平坦に置かれているので、例えばピペット装置の作用などによってゆがめられるおそれはない。
【0033】
この試薬カートリッジ10が、免疫診断試験を実施するために用いられる場合、底面24の内壁21と固相20の内部の側壁26には、該当する試験に適合する抗原又は相応の抗体を結合させることができる。臨床化学試験を実施するために、この試薬カートリッジ10を追加試薬の準備に用いるか、又は希釈カートリッジとして用いる場合、固相20は、抗原又は抗体を結合させないで使用することができる。
【0034】
図4a〜4dには、試薬カートリッジ10に充填し、充填した状態でこれをユーザーに提供する、本発明に基づく様々な方法が示されている。
図4aに示されている、試薬カートリッジ10の第1の窪み14は空であり、様々な用途にフレキシブルに利用することができる。第2の窪み13には酵素複合体Kが含まれ、第3の窪みは基質溶液Sを含んでいる。固相20の底面24及びその側壁26には、抗原又は抗体Aが結合している。
【0035】
そのような試薬カートリッジを用いてELISA法を実施するため、酵素複合体Kと、この装置の外で別個の容器に入れられている試料(図示されていない)とが、(特許に含まれていない)ピペット装置によって固相20に加えられる。このことは、酵素複合体Kと試料Pとを同時に収容することにより行うか、又は別個のピペット操作で別々に行うことができる。検出する免疫学的成分が試料内に含まれている場合、この成分は、一方で、固相20に固定化されている抗原又は抗体Aに結合する。他方で、酵素複合体Kは免疫学的成分を結合させる。この方法で、検出する成分も、酵素複合体Kに含まれる酵素も同様に、固相20に固定化される。次に、余分な試料及び酵素複合体Kは取り出され、基質溶液Sが固相20に加えられる。基質溶液Sに含まれている基質は、固相20に固定化されている酵素複合体Kの酵素によって変換され、この方法で測光的に検出可能な、固相20に含まれている溶液の光学密度の変化が生じる。
【0036】
臨床化学試験を実施するには、酵素複合体と基質溶液とが、本発明に基づく試薬カートリッジ10に入れられるのではなく、図4bに示されているように第1の試薬R1及び固有の試験に必要な1つ又は2つのその他の試薬R2、R3が窪み12、13、14に充填される。この代わりに、固相20にも試験を実施する試薬を収容することも考えられる。本発明に基づく試薬カートリッジ10の特別な利点は、様々な使用可能性にあることが分かる。すなわち、特定の必要に応じて、様々な固相20をハウジング11にセットすることができる。この固相は、前述した材料の1つからも、該当する用途に適した第3の材料からも作ることができる。
【0037】
特定の臨床化学試験のために、3つ又は4つ以上の試薬が必要な場合、本発明に基づく試薬カートリッジ10は、追加の試薬Raを収容することにも用いられる。次に、試験を実施するため、図4bに示されているような実際の試薬カートリッジ10の他に、単純に、図4cに示されている試薬カートリッジ10が分析装置にセットされる。
【0038】
希望する実施試験のいずれかで、さらに、分析試料の希釈が必要な場合、本発明に基づくもう1つの試薬カートリッジ10を希釈カートリッジとして用いることができる。この場合、図4dに示されているように、窪み12、13、14も、固相20も空にしておくことができ、該当する希釈溶液は、分析装置に別個に設けられている容器から加えられる。希釈用の窪みとして用いる窪み12、13、14の中に、規定の容量の希釈溶液をあらかじめ入れておくことも考えられる。
【0039】
図5には、全自動の分析装置40において、本発明に基づく複数の試薬カートリッジ10がどのように用いられているかが示されている。この場合、試薬カートリッジは、分析装置40の回転式固定具42にセットされ、窪み12、13、14及び固相20は、それぞれの試薬カートリッジ10に割り当てられている測定キュベット30(分析結果の測光分析に用いる)と共に、常に一直線上に配置されている。
【0040】
図6には、分析装置40とそれによる配置100の全体の外観とが示されている。分析装置40は、固定具42、試料ホルダ41、ピペット装置43、光学ユニット44、洗浄ユニット45からなる。
【0041】
固定具42には、測定キュベット30を固定するための窪み421と、本発明に基づく試薬カートリッジ10を固定するための窪み422とが形成されている。測定キュベット30を固定するためのそれぞれ1つの窪み421と試薬カートリッジ10を固定するためのそれぞれ1つの窪みとは、固定具42の共通の半径上に形成されており、測定キュベット30を固定するための窪み421は半径Rの外側の端部に配置されている。
【0042】
試料ホルダ41にも、窪み411が形成されている。これらの窪みの中には、検査する試料を含むそれぞれ1つのチューブ又はカップがセットされている。この試料ホルダ41は、固定具42から切り離されて形成されていることが分かる。
【0043】
ピペット装置43は、旋回装置432の上に取り付けられている旋回可能なロボットアーム431からなる。このロボットアーム431の前方端部の下面にはピペットが取り付けられており、このピペットは、必要に応じて、洗浄装置45内で様々なピペット操作の工程の間に洗浄することができる。
【0044】
ロボットアーム431は試料ホルダ41上の様々な位置と固定具42上の様々な位置との間を旋回可能であり、セットされている試薬カートリッジ10から適切に試薬を取り出すか、又は試料ホルダ41から試料を取り出して、選択的に試薬カートリッジ10の別の窪み12、13、14、固相20又は測定キュベット30に加えることができるようにされている。
【0045】
図示されている実施例では、固定具42の窪み421、422のいくつかに、測定キュベット30及び試薬カートリッジ10がセットされている。この場合、本発明の特別な利点が明らかである。つまり、その都度固定具42全体に装着する必要はないということである。むしろ、医師が患者の試料を素早く分析する配置を利用したい場合は、次のような手順を行う。医師は、診断のために試料のどのパラメータを特定したいかを考え、患者から試料を採取する。医師が分析装置40をオンにすると、これによって37℃の一定の作動温度まで分析装置が加熱される。次に、医師又は試験を実施する別のスタッフが、試料を試料ホルダ41の窪み411の中に入れ、特定するパラメータに対応した試薬カートリッジ10を測定キュベット30と共に固定具42の窪み421、422の中にセットする。次に、試験を実施するスタッフがコンピュータ制御46によって分析を開始する。この場合、コンピュータ制御46は、図示されている実施例のように分析装置40の直接の構成部品か、又は分析装置40に接続されている外部のコンピュータかのいずれかにすることができる。
【0046】
次に、ロボットアーム43が、上述した方法に従って試薬と試料とを取り出し、それぞれ特定するパラメータに割り当てられている試薬カートリッジ10の測定キュベット30に、光学的に分析可能な溶液が含まれるようになるまで、該当する方法で行き来してピペット操作を行う。次に、固定具42を回転して、測定キュベット30の内容物が光学ユニット44において分析できるようにする。光学ユニット44は、好ましくは測光ユニットであり、それぞれの試験に設定されている固有の波長において、測定キュベット30内の溶液の光学密度ODを特定し、その結果を出力のためにコンピュータユニットに送信する。
【0047】
ここで、免疫診断パラメータの分析が、このような配置100と該当する分析装置40とを用いて以下の手順で行われる場合は特に有利である:
a)ピペット装置43によって、免疫診断分析を実施するために設けられている試薬カートリッジ10の第1の窪み13から酵素複合体Kを取り出し、試料ホルダ41の窪み411の中に入れられている試料から試料を取り出す。
b)酵素複合体Kと試料とをピペット装置43から試薬カートリッジ10の固相20へ加える。
c)酵素複合体Kと試料とが入った固相20を培養する。
d)固相20を洗浄することによって余分な酵素複合体K及び試料を除去する。
e)ピペット装置43によって、免疫診断分析を実施するために設けられた試薬カートリッジ10の第2の窪み12から基質Sを取り出す。
f)基質Sをピペット装置43から固相20に加える。
g)固相20の基質Sを培養する。
h)ピペット装置43によって変換された基質Sを取り出す。
i)変換された基質Sをピペット装置43から測定キュベット30に加える。
j)光学装置44を用いて、変換された基質Sの濃度を測定する。
【0048】
この場合、すでに説明したように、複合体Kと試料とを任意の順番で相前後して取り出し、固相20に加えることも当然可能である。
固相20を洗浄するには、洗浄ステーション45から洗浄液を固相20の中に入れて洗い流すか、別の洗浄装置(図示されていない)が設けられる。
【0049】
本発明は、説明された実施形態のいずれかに限定されるものではなく、様々な方法で適用することができる。
すなわち、図示されている実施例では、固相20が丸型の底面を有し、窪み12、13、14がそれぞれ平坦な底面17を有している。しかし、その他の底面の構造も当然考えられる。
【0050】
試薬カートリッジ10を希釈カートリッジとして用いる場合、1つ又は2つの窪み12、13、14に希釈溶液を供給し、その他の窪み12、13、14は空にすることも考えられ、それらの中で、規定容量の希釈溶液と試料とを加えることによって実際の希釈プロセスを実施することが可能である。
【0051】
請求項、明細書及び図から生じる特徴及び利点の全ては、構造的な詳細、空間的配置及び工程を含み、それ自体でも、様々な組合せにおいても本発明の要素であり得る。
臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジ10は、反応成分又は希釈成分を含む少なくとも1つの窪み12、13、14を備えるハウジング11と、1つの凹部15と、を有し、このハウジング11の凹部15の中には、抗原又は抗体が結合可能な固相20がセットされており、この試薬カートリッジ10が3つの窪み12、13、14を有する場合は、特に有利であり、
・第1の窪み14は希釈用の窪みとして用いられるか、希釈溶液を含んでいるか、又は臨床化学試験を実施するための追加試薬を含んでいるか、のいずれかであり、
・第2の窪み13は希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための酵素複合体Kか、又は臨床化学試験を実施するための検出試薬R1、R2、R3、Raを含んでいるか、のいずれかであり、
・第3の窪み12は希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための基質Sか、臨床化学試験を実施するための検出試薬R1、R2、R3、Raを含んでいるか、又は空であるか、のいずれかであり、
・試薬カートリッジ10の全ての窪み12、13、14が希釈用の窪みとして用いられる、及び/又は希釈溶液を含んでいる、及び/又は空であるか、もしくは試薬カートリッジ10の窪み12、13、14が、臨床化学試験を実施するための検出試料R1、R2、R3、Ra、ELISA法を実施するための酵素複合体K又はELISA法を実施するための基質Sを含んでいるか、又は空であるか、のいずれかである。
【0052】
この試薬カートリッジ10が臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジである場合、臨床化学試験を実施するためには、第1の窪み14が空であり、第2の窪み13が第1の検出試薬R1を含み、第3の窪み12が第2の検出試薬R2を含むのが好都合である。この試薬カートリッジ10が臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジである場合、窪み12、13の2つが空であり、第3の窪み14が臨床化学試験を実施するための検出試薬Ra、R3を含むことも有利である。固相20を抗原とも抗体とも結合させずに、試薬カートリッジ10の第4の空の窪みとする場合、利点は容易に明らかである。
【0053】
この試薬カートリッジ10が免疫診断試験を実施するための試薬カートリッジである場合、ELISA法を実施するためには、第1の窪み14が空であり、第2の窪み13が酵素複合体Kを含み、第3の窪み12が基質Sを含むのが好都合であり、固相20には抗原又は抗体が結合している。
【0054】
この試薬カートリッジ10が、試料を希釈するための試薬カートリッジである場合、3つの窪み12、13、14の少なくとも1つが希釈溶液を含み、3つの窪み12、13、14の少なくとも1つが希釈用の窪みとして用いられるのが好都合である。固相20には抗原も抗体も結合しておらず、固相20が希釈用の窪みとして用いられるか、又は空である場合は、有利である。
【0055】
固相20がハウジング11の材料とは異なる材料から製造されている場合は、特に有利であることが分かる。例えば、固相20がポリスチロールから形成されている場合は有利である。
【0056】
本発明に基づく試薬カートリッジ10では、窪み12、13、14の少なくとも1つに試薬R1、R2、R3、Ra、K、Sが入れられ、固相20は抗体Aが入れられるか、空であるか、又は希釈装置として用いられるのが有利であることが分かる。
【0057】
さらに、1つの試料での臨床化学パラメータ分析のために本発明に基づく試薬カートリッジ10を使用する利点、1つの試料での免疫診断パラメータ分析のために本発明に基づく試薬カートリッジ10を使用する利点、希釈装置として本発明に基づく試薬カートリッジを使用する利点、及び追加の試薬を準備するために本発明に基づく試薬カートリッジ10を使用する利点も明らかである。
【0058】
本発明では、さらに、分析装置40と、少なくとも1つの試薬カートリッジ10と、少なくとも1つの測定キュベット30と、を含む、臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置100において、この試薬カートリッジが本発明に基づく試薬カートリッジであり、それぞれの試薬カートリッジには1つの測定キュベットが割り当てられており、試薬カートリッジとそれに割り当てられた測定キュベット30とは分析装置の中に直線的に配置されている。この場合、分析装置40が、試料ホルダ41と、試薬カートリッジ10及び測定キュベット30用の固定具42と、ピペット装置43と、を有し、この分析装置40が、光学ユニット44と、洗浄ユニット45と、を有しているのが好都合である。この時、試料ホルダ41と洗浄ユニット45とが固定具42から切り離されて形成され、この固定具42が回転式テーブルになっている場合は有利であり、試薬カートリッジ10と測定キュベット30とがこの回転式テーブルの半径Rに沿って配置され、測定キュベット30はこの半径Rの外側端部に配置されている。
【符号の説明】
【0059】
A 抗原/抗体
K 酵素複合体
R 半径
R1 試薬
R2 試薬
R3 試薬
Ra 試薬
S 基質溶液
10 試薬カートリッジ
11 ハウジング
12 窪み
13 窪み
14 窪み
15 凹部
16 主要平面
161 前方端部
162 後方端部
163 支柱
17 底面
18 平面
20 固相
21 内壁
22 突出部
23 縁
24 底面
25 縁
26 側壁
30 測定キュベット
40 分析装置
41 試料ホルダ
411 窪み
42 固定具
421 窪み
422 窪み
43 ピペット装置
431 ロボットアーム
432 旋回装置
44 光学ユニット
45 洗浄ユニット
46 コンピュータ制御

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置に用いる試薬カートリッジ(10)であり、反応成分又は希釈成分を含む少なくとも1つの窪み(12、13、14)を備えるハウジング(11)と、1つの凹部(15)と、を有し、前記ハウジング(11)の前記凹部(15)の中には、抗原又は抗体が結合可能な固相(20)がセットされている試薬カートリッジであって、該試薬カートリッジ(10)が3つの窪み(12、13、14)を有し、
・前記第1の窪み(14)は希釈用の窪みとして用いられるか、希釈溶液を含んでいるか、又は臨床化学試験を実施するための追加試薬を含んでいるか、のいずれかであり、
・前記第2の窪み(13)は希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための酵素複合体(K)か、又は臨床化学試験を実施するための検出試薬(R1、R2、R3、Ra)を含んでいるか、のいずれかであり、
・前記第3の窪み(12)は希釈用の窪みとして用いられるか、ELISA法を実施するための基質(S)か、臨床化学試験を実施するための検出試薬(R1、R2、R3、Ra)を含んでいるか、又は空であるか、のいずれかであり、
・前記試薬カートリッジ(10)の全ての前記窪み(12、13、14)が希釈用の窪みとして用いられる、及び/又は希釈溶液を含んでいる、及び/又は空であるか、もしくは前記試薬カートリッジ(10)の前記窪み(12、13、14)が、臨床化学試験を実施するための検出試料(R1、R2、R3、Ra)、ELISA法を実施するための酵素複合体(K)又はELISA法を実施するための基質(S)を含んでいる、又は空であるか、のいずれかであることを特徴とする、試薬カートリッジ。
【請求項2】
前記試薬カートリッジ(10)が臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジであり、臨床化学試験を実施するために、前記第1の窪み(14)が空であり、前記第2の窪み(13)が第1の検出試薬(R1)を含み、前記第3の窪み(12)が第2の検出試薬(R2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項3】
前記試薬カートリッジ(10)が臨床化学試験を実施するための試薬カートリッジであり、臨床化学試験を実施するために、前記窪み(12、13)の2つが空であり、前記第3の窪み(14)が検出試薬(Ra、R3)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項4】
前記固相(20)が、抗原とも抗体とも結合せずに、前記試薬カートリッジ(10)の第4の空の窪みになっていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項5】
前記試薬カートリッジ(10)が免疫診断試験を実施するための試薬カートリッジであり、ELISA法を実施するために、前記第1の窪み(14)が空であり、前記第2の窪み(13)が酵素複合体(K)を含み、前記第3の窪み(12)が基質(S)を含み、前記固相(20)には抗原又は抗体が結合していることを特徴とする、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項6】
前記試薬カートリッジ(10)が、試料を希釈するための試薬カートリッジであり、前記3つの窪み(12、13、14)の少なくとも1つが希釈溶液を含み、前記3つの窪み(12、13、14)の少なくとも1つが希釈用の窪みとして用いられることを特徴とする、請求項1に記載の試薬カートリッジ。
【請求項7】
前記固相(20)には抗原も抗体も結合しておらず、前記固相(20)が希釈用の窪みとして用いられるか、又は空であることを特徴とする、請求項6に記載の試薬カートリッジ。
【請求項8】
前記固相(20)が、前記ハウジング(11)の材料とは異なる材料から製造されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項9】
前記固相(20)がポリスチロールから製造されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項10】
前記窪み(12、13、14)の少なくとも1つに試薬(R1、R2、R3、Ra、K、S)が入れられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項11】
前記固相(20)が、抗体(A)を収容しているか、空であるか、又は希釈装置として用いられるかのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の試薬カートリッジ。
【請求項12】
試料内の臨床化学パラメータを分析するための、請求項1〜11のいずれか一項に従った試薬カートリッジの使用。
【請求項13】
試料内の免疫診断パラメータを分析するための、請求項1〜11のいずれか一項に従った試薬カートリッジの使用。
【請求項14】
希釈装置としての、請求項1〜11のいずれか一項に従った試薬カートリッジの使用。
【請求項15】
追加の試薬を準備するための、請求項1〜11のいずれか一項に従った試薬カートリッジの使用。
【請求項16】
分析装置(40)と、少なくとも1つの試薬カートリッジ(10)と、少なくとも1つの測定キュベット(30)と、を含む、臨床化学試験又はELISA試験を選択的に実施するための配置(100)であって、前記試薬カートリッジが請求項1〜11のいずれか一項による試薬カートリッジであり、それぞれの前記試薬カートリッジには1つの測定キュベットが割り当てられており、前記試薬カートリッジと該試薬カートリッジに割り当てられた前記測定キュベット(30)とは前記分析装置の中に直線的に配置されていることを特徴とする、配置(100)。
【請求項17】
前記分析装置(40)が、試料ホルダ(41)と、前記試薬カートリッジ(10)及び前記測定キュベット(30)用の固定具(42)と、ピペット装置(43)と、を有していることを特徴とする、請求項16に記載の配置(100)。
【請求項18】
前記分析装置(40)が、光学ユニット(44)と、洗浄ユニット(45)と、を有していることを特徴とする、請求項16又は17のいずれか一項に記載の配置(100)。
【請求項19】
前記試料ホルダ(41)と洗浄ユニット(45)とが、前記固定具(42)から切り離されて形成されていることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の配置(100)。
【請求項20】
前記固定具(42)が回転式テーブルであり、前記試薬カートリッジ(10)と前記測定キュベット(30)とが前記回転式テーブルの半径(R)に沿って配置され、前記測定キュベット(30)は前記半径(R)の外側端部に配置されていることを特徴とする、請求項16〜19のいずれか一項に記載の配置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−509572(P2013−509572A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535715(P2012−535715)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063732
【国際公開番号】WO2011/051053
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512114914)デーエルゲー インストルメンツ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】