自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置
【課題】リフター本体から走行台車を分離してトラック輸送するようにした自走式リフターにおいて、従来では、使用現場で各走行台車をトラック荷台から積み降ろすのにクレーンが必要であった。
【解決手段】昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれジャッキ取付アーム21を介してジャッキ11を設置し、該各ジャッキ11の下部にそれぞれ走行台車3を着脱自在に取付け得るようにし、さらにリフター本体1を自力でトラック荷台81上から積み降ろしできるようにした自走式リフターにおいて、先端部にワイヤーロープ60を取付け得る走行台車吊持用アーム61を昇降フレーム10に対して水平回動可能に枢支し、ワイヤーロープ60を介して走行台車吊持用アーム61から吊持した走行台車3をトラック荷台上から自力で積み降ろしできるようにしている。
【解決手段】昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれジャッキ取付アーム21を介してジャッキ11を設置し、該各ジャッキ11の下部にそれぞれ走行台車3を着脱自在に取付け得るようにし、さらにリフター本体1を自力でトラック荷台81上から積み降ろしできるようにした自走式リフターにおいて、先端部にワイヤーロープ60を取付け得る走行台車吊持用アーム61を昇降フレーム10に対して水平回動可能に枢支し、ワイヤーロープ60を介して走行台車吊持用アーム61から吊持した走行台車3をトラック荷台上から自力で積み降ろしできるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トラック輸送が可能で且つ各走行台車により自走でき、さらに各走行台車が着脱自在であるとともに、リフター本体をトラック荷台上から自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおける走行台車積み降ろし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図23及び図24には、特開2001−341980号公報(特許文献1)に開示されたトラック車載型のリフターが示されている。この公知のトラック車載型リフターは、左右の台車3A,3A上にそれぞれ伸縮ブームからなるジャッキ11A,11Aを立設し、該各ジャッキ11A,11Aの上端部間に伸縮ビーム10Aを架設して構成されている。尚、ジャッキ11Aや伸縮ビーム10A等は、一般に油圧シリンダで伸縮せしめられるが、その油圧シリンダの駆動源となる油圧ユニット5Aは、各台車3A,3A上にそれぞれ1基ずつ設置されている。
【0003】
各ジャッキ11A,11Aには、3段ブームが使用されている。そして、図23に実線図示するように、各ジャッキ11A,11A及び伸縮ビーム10Aをそれぞれ最縮小させた状態では、リフターをトラック荷台81上に積み込むことができる。又、該リフターをトラック荷台81から降ろすには、まず図23に鎖線図示するように伸縮ビーム10Aを左右に伸長させて各台車3A,3A(及び各ジャッキ11A,11A)の間隔をそれぞれトラック荷台81を幅方向に跨ぐ位置まで拡げた後、図24に示すように各ジャッキ11A,11Aを伸長させることで各台車3A,3Aの各車輪33A,33Aを地面Gに接地させることができる。従って、リフターをトラック荷台81上に搭載した状態から地上に自立させるまでの全工程をリフター自体で行うことができる。
【0004】
図23に示すトラック車載型リフターは、トラック荷台81に積み込んで輸送できるが、リフターをトラック荷台81上に載せて公道を走行する場合には、道路運送車輌法によって高さ制限(H1)が3.8mに規定されている。又、この種のリフターを搭載し得るトラックとしては、かなり大型のものが使用される関係で、トラック荷台81の上面高さH0が1.2〜1.3m程度となる。従って、このトラック車載型リフターでは、各ジャッキ11A,11Aの最縮小状態においてリフター自体の全高を2.5〜2.6mに制限する必要がある。尚、リフターをトラック荷台81上に搭載した状態では、該リフターを支持台2により、台車3Aの車輪33Aがトラック荷台81の上面から浮上する状態で支持するので、リフターの実質的な全高は2.4〜2.5m程度に制限される。
【0005】
ところで、図23及び図24のトラック車載型リフターにおいて、積み降ろし荷物Yの高さが高いものでは、該荷物Yを高位置(例えばトラック荷台上)に積み降ろす場合に、ビーム10Aの揚程をそれなりの高揚程にする必要があり、そのためにはジャッキ11Aの伸縮ストロークS1を大きくする必要がある。このようにジャッキ11A,11Aの伸縮ストロークS1を大きくするには、ジャッキ11Aを多段ブーム(例えば5段ブーム)にするか、ブーム段数を少なくしたもの(例えば3段ブーム)では単ブーム長さを長くする必要がある。
【0006】
ところが、この種のリフターにおいて、ブーム段数を多くする(例えば5段ブームにする)と、ジャッキの最縮小状態でリフターの全高を低くできるものの、多数の単ブームを伸縮させる必要があるので各ジャッキ11A,11Aの構造が複雑になり、且つコストアップになるとともに、ジャッキ11Aの重量が重くなってリフター全体が大重量化するという問題があった。他方、ブーム段数を少なくして(例えば3段ブームにして)単ブーム長さを長くすると、ジャッキ11Aの最縮小状態でもビーム高さが高くなって不使用時に高さの高い保管スペースが必要になる。
【0007】
又、図23及び図24に示すようなトラック車載型のリフターでは、公道走行時におけるトラック車載状態での全高H1が3.8mに制限されている関係で、ジャッキ11Aの単ブーム長さをさほど長くできず、従ってビーム10Aの揚程H2があまり大きくとれなくなる。即ち、図23に示すようにリフターをトラック荷台81上に搭載した状態において、トラック荷台81の上面高さH0(1.2〜1.3m)を減じたリフター自体の許容高さが2.5〜2.6m程度であり、その中で台車3A自体の高さ及びビーム10Aの厚さを減じると、ジャッキ11Aの最縮小時における実質許容長さは1.6〜1.7m程度となり、3段ブームであれば各ブームの重合代を除くと最大伸縮ストロークS1が2.2〜2.4m程度とかなり短くなる。従って、リフターの使用時におけるビーム10Aの最大高さ(図のH2)を4m程度までしか持ち上げることができず、高さの高い荷物Yを高位置に積み降ろしするのに無理が生じることがある。
【0008】
又、リフターの台車3Aに自走式のものを採用すると、車輪33Aとして比較的大径のものを使用する必要があるとともに、走行駆動手段(油圧モータやギヤ装置等)の設置スペースが必要となるので、走行台車の全高が約500mm程度まで高くなる。従って、トラック車載型リフターでは、自走式の走行台車を使用すると、その台車の全高が高くなる分、ジャッキ11Aの長さを短くする必要がある。
【0009】
そこで、本件出願人は、自走式の走行台車を用いたリフターにおいて、走行台車をジャッキに対して着脱し得るようにした自走式リフターを特願2006−345783号(特許文献2)で既に提案している。
【0010】
この特許文献2の自走式リフターは、4つのジャッキを有し、該各ジャッキの下端部にそれぞれ走行台車を着脱自在に装着し得るようにしたものである。この特許文献2の自走式リフターでは、トラック輸送時には各走行台車をリフター本体(各ジャッキ)から分離してトラック荷台上に積載することにより、リフターの全高を低くした状態で輸送できるようになっている。尚、リフター本体から分離させた各走行台車は、リフター本体搬送用のトラック荷台上の余剰空間に載せて搬送したり、別のトラックで搬送したりする。そして、使用現場において自走式リフターに組立てる際には、まず各走行台車をトラック荷台から地面まで降ろして、リフター本体を載せているトラック荷台の左右側方の所定位置に位置させ、該各走行台車にリフター本体の各ジャッキの下端部を連結する。
【0011】
【特許文献1】特開2001−341980号公報
【特許文献2】特願2006−345783号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記特許文献2(特願2006−345783号)の自走式リフターでは、トラック輸送時に各走行台車を分離させておくことによりリフター全体の全高を低くでるが、各走行台車はかなりの重量を有しているので、使用現場で各走行台車をトラック荷台上から地面まで降ろす(又は走行台車を地上からトラック荷台上に積み込む)にはクレーンが使用される。
【0013】
ところが、上記特許文献2の自走式リフターでは、使用現場にクレーンがある場合にはそのクレーンで各走行台車をトラック荷台上から降ろすことができるが、使用現場にクレーンがない場合には走行台車積み降ろし用のクレーン車を使用現場まで搬送する必要がある。従って、この場合は、別途クレーン車が必要であるとともに、該クレーン車の配送コストがかかるという問題があった。
【0014】
そこで、本願発明は、リフター本体に対して各走行台車を分離して搬送でき且つトラック荷台から自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおいて、各走行台車をトラック荷台から自力で積み降ろしし得るようにした走行台車積み降ろし装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、トラック輸送が可能で、自ら走行できる各走行台車をリフター本体の各ジャッキの下端部に着脱自在に取付け得るようにした自走式リフターにおいて、各走行台車をトラック荷台から積み降ろしするための走行台車積み降ろし装置を対象にしている。
【0016】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明で使用される自走式リフターは、先端部にジャッキを取付けた4つのジャッキ取付アームを略矩形の平面形態をもつ昇降フレームの四隅近傍にそれぞれ設置し、前記4本のジャッキの各下部にそれぞれ走行台車を着脱自在に取付け得るようにしたものである。
【0017】
各ジャッキ(4本)としては、伸縮ブーム式のものが採用可能であるが、本願で使用されるジャッキは、3段ブーム程度の比較的少ないブーム段数のものでよい。尚、このブーム段数は特に限定するものではない。又、この各ジャッキは、リフターをトラック荷台上に載せて搬送する(道路運送車輌法によって高さ制限が3.8mに規定されている)ことを考慮すると、最縮小状態において長さが2.3〜2.4m程度にするのが適当である。
【0018】
昇降フレームは、フレーム材を略矩形に組付けたものである。そして、この昇降フレームは、各ジャッキの最上段ブームの所定高さ位置に、揺動アームあるいは出没アーム等からなるジャッキ取付アームを介して間接的に取付けられている。
【0019】
各走行台車(4つ)は、それぞれ独立したものであり、それぞれ走行駆動装置(例えば油圧モータや電動モータ)で走行可能に構成されている。この各走行台車は、それぞれ3つあるいは4つの車輪を備えたもの(自立できるもの)が好ましい。尚、この走行台車は、自走式であるので比較的大きな車輪(車輪直径が例えば40cm程度)が使用されるので、全高がかなり高くなる(例えば走行台車の全高が50cm程度になる)。又、この請求項1の自走式リフターに使用される走行台車は、かなりの大重量を有するものの、手押しにより移動させ得るものである。
【0020】
そして、この自走式リフターでは、各走行台車(4つ)を各ジャッキの下端部にそれぞれ着脱自在に取付けている。各走行台車の各ジャッキ下端部への着脱は、例えばボルトによる連結・連結解除や適宜の止め具による係止・係止解除等によって行える。尚、この自走式リフターは、各ジャッキ下端部からそれぞれ走行台車を分離すると、昇降フレームと各ジャッキが合体されたリフター本体となる。
【0021】
又、本願で使用される自走式リフターは、トラック荷台上に積載して搬送させ得るものであり、上記ジャッキ取付アームが、各ジャッキをそれぞれトラック荷台上に格納するアーム格納位置と各ジャッキをそれぞれトラック荷台の左右外側にはみ出させるアーム作業位置との間で変位可能となっている。そして、この自走式リフターは、所定の作業手順を行うことによりリフター本体を自力でトラック荷台上から積み降ろしできるようになっている。
【0022】
各ジャッキ取付アームとしては、例えば上記特許文献2と同様に、昇降フレームに対して水平面内で回動させ得るようにした揺動アームを使用したり(この場合は揺動アームの先端部にジャッキが取付けられる)、あるいは上記特許文献1のように、伸縮ビームの出没アームを使用したりすることができる(この場合は出没アームの先端部にジャッキが取付けられる)。尚、上記揺動アームの場合も上記出没アームの場合も、その作動手段として油圧シリンダが使用できる。そして、このジャッキ取付アームは、リフターをトラック荷台上に載せて輸送するときには、各ジャッキ取付アーム先端部の各ジャッキがそれぞれトラック荷台上に収まるアーム格納状態にし、他方トラック荷台からリフターを自力で積み降ろすときには、各ジャッキをそれぞれトラック荷台の左右外側にはみ出させるアーム作業状態にする。
【0023】
本願請求項1の走行台車積み降ろし装置は、上記構成のトラック輸送が可能な自走式リフターに装備されていて、同じトラックの荷台に積載して搬送させた各走行台車をリフター自体の自力で積み降ろしできるようにしたものである。
【0024】
そして、この請求項1の走行台車積み降ろし装置は、先端部にワイヤーロープを取付け得る走行台車吊持用アームを昇降フレームに対して支軸により水平回動可能に枢支しているとともに、該走行台車吊持用アームを、トラック荷台上に積載した走行台車をワイヤーロープを介して吊持し得る位置と、該ワイヤーロープを介して吊持した走行台車をトラック荷台の左右外側まで移動させる位置との間で水平回動し得るようにしている。尚、この走行台車吊持用アームは、走行台車を吊持した状態で作業員が手動で水平回動させ得るようになっている。
【0025】
走行台車吊持用アームの個数は、この請求項1では少なくとも1つあればよいが昇降フレームの左右に一対(2つ)設けることが好ましく、さらには本願請求項2のように4つの走行台車吊持用アームを設けることが一層好ましい。又、ワイヤーロープを介して走行台車を走行台車吊持用アームで吊持する際には、該走行台車をほぼ水平姿勢で吊持するが、その場合は走行台車の複数箇所(2〜3箇所)にロープ掛けするとよい。
【0026】
この請求項1で使用される自走式リフター及び該自走式リフターの走行台車積み降ろし装置は、次のような機能を有している。
【0027】
まず、この自走式リフターは、トラック荷台に載せて使用場所まで搬送されるが、搬送時には各走行台車(4つ)をリフター本体から分離し、該各走行台車とリフター本体とを同じトラック荷台に積載する。このように、各走行台車をリフター本体から分離しておくと、リフターの高さを走行台車分だけ低くできるので、トラックによる搬送時にその全高(トラック荷台の高さ+リフター本体の高さ)を低くできる。
【0028】
そして、使用現場まで搬送した後、その使用現場においてリフター本体及び各走行台車をトラック荷台から降ろすが、リフター本体は特許文献1又は特許文献2のものと同様に自力で地面に接地できるとともに、各走行台車もリフター本体に備えた走行台車積み降ろし装置により地面まで降ろすことができる。尚、走行台車積み降ろし装置による走行台車の降車方法については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0029】
各走行台車は、トラック荷台上及び地上において手押しにより移動させることができるようになっており、走行台車積み降ろし装置が1セットしか装備されていない場合でも、各走行台車を順次所定位置に移動させ、各ジャッキの伸縮操作及び走行台車吊持用アームの水平回動操作を繰り返すことで、4つの走行台車を順次降車させることができるとともに、地上に降ろした各走行台車を自力降車させるリフター本体の各ジャッキ位置まで手押し移動させてそれぞれジャッキ下端部に組付けることができる。
【0030】
尚、この自走式リフターを使用した作業後に該自走式リフターをトラック荷台上に積み込む場合は、上記降車手順とは逆順序で各操作をすればよい。
【0031】
このように、本願請求項1の走行台車積み降ろし装置を使用すると、各走行台車をトラック荷台上から積み降ろしたり該トラック荷台上に積み込む際に、リフター本体の各ジャッキの伸縮操作を併用することにより、積み降ろし専用のクレーンが不要となる。
【0032】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の走行台車積み降ろし装置において、4つの走行台車吊持用アームを、昇降フレームの四隅付近においてそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支している。
【0033】
この請求項2の走行台車積み降ろし装置では、トラック荷台上に積載した4つの走行台車をそれぞれ各走行台車吊持用アームで個別に吊持できるので、各走行台車をトラック荷台上で走行台車吊持用アームに吊持させるとき、あるいは走行台車吊持用アームで吊持した走行台車をトラック荷台上から地上に降ろすとき等に、位置調整のための各走行台車の手押し移動が不要になるか又はその手押し移動距離が短くなる。又、このように4つの走行台車吊持用アームを使用していると、該各走行台車吊持用アームで各走行台車を同時に積み降ろし操作できる。
【0034】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2において、リフター本体として4つのジャッキ取付アームをそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支したものを採用しているとともに、走行台車吊持用アームを枢支している支軸をジャッキ取付アームを枢支している支軸と同軸上に配置している。
【0035】
この請求項3で使用されるリフターでは、ジャッキを取付けた各ジャッキ取付アームとして水平回動式の揺動アームを使用し、その各揺動アームを昇降フレームの四隅近傍においてそれぞれ支軸で水平回動可能に枢支している。他方、走行台車積み降ろし装置となる走行台車吊持用アームも、支軸により水平回動可能に枢支している。
【0036】
そして、この請求項3では、走行台車吊持用アームが1つ又は2つの場合は、該走行台車吊持用アームの支軸をいずれかの揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の支軸と同軸上に配置し、走行台車吊持用アームが4つの場合は、該各走行台車吊持用アームの各支軸をそれぞれ各揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の各支軸と同軸上に配置する。
【0037】
このように、走行台車吊持用アームの支軸を揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の支軸と同軸上に配置すると、走行台車吊持用アームの回動支点が揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の回動支点と同じになり、ジャッキ取付アームをアーム作業位置に位置させた状態(ジャッキがトラック荷台の外側にはみ出している)で、走行台車吊持用アームの先端部から吊下げた走行台車を該ジャッキの近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アームの長さを最小にできる。
【発明の効果】
【0038】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明で使用される自走式リフターは、リフター本体から各走行台車を分離させた状態でそれぞれ同じトラック荷台上に積載して使用場所まで搬送し、その使用場所においてリフター本体を自力でトラック荷台上から積み降ろすことができるようになっている。尚、リフター本体から各走行台車を分離した状態でトラック輸送できるようにしたものでは、トラック輸送時に走行台車の高さ分だけ全高を低くできるので、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)の許容範囲内で各ジャッキの長さを長くできる。
【0039】
そして、上記自走式リフターには本願の走行台車積み降ろし装置が装備されていて、リフター本体と各走行台車を分離してトラック輸送する場合に、該走行台車積み降ろし装置により各走行台車を自力でトラック荷台上から積み降ろすことができる。
【0040】
従って、本願請求項1の走行台車積み降ろし装置を装備していると、リフター本体とともにトラック輸送される各走行台車を地上に積み降ろすのに専用のクレーンが不要になるという効果がある。
【0041】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の走行台車積み降ろし装置において、4つの走行台車吊持用アームを昇降フレームの四隅付近においてそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支しているので、トラック荷台上に積載した4つの走行台車をそれぞれ各走行台車吊持用アームで個別に吊持できる。
【0042】
従って、この請求項2の走行台車積み降ろし装置があると、上記請求項1の効果に加えて、各走行台車の積み降ろしに際して、位置調整のための各走行台車の手押し移動が不要になるか又は手押し移動距離が短くなって、各走行台車の位置調整作業が容易になるとともに、各走行台車吊持用アームで各走行台車を同時に積み降ろし操作できるので、作業手順が簡略化できる(ジャッキの伸縮操作回数を少なくできる)という効果がある。
【0043】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2において、リフター本体として4つのジャッキ取付アームをそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支したものを採用し、走行台車吊持用アームを枢支している支軸をジャッキ取付アームを枢支している支軸と同軸上に配置しているので、走行台車吊持用アームの回動支点が揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の回動支点と同じになる。
【0044】
従って、この請求項3の走行台車積み降ろし装置では、上記請求項1又は2の効果に加えて、走行台車吊持用アームの先端部から吊り下げた走行台車をジャッキの近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アームの長さを最小にできるという効果がある。
【実施例】
【0045】
図1〜図22を参照して本願実施例を説明すると、図1〜図7には走行台車積み降ろし装置を装備した第1実施例の自走式リフターの基本構造を示し、図8〜図20には第1実施例の自走式リフターの使用方法を示し、図21〜図22には第2実施例の自走式リフターを示している。又、図1〜図20の第1実施例は、本願請求項1〜3の全部に対応するものであり、図21〜図22の第2実施例は、本願請求項1及び2のみに対応するものである。
【0046】
図1〜図20に示す第1実施例
この第1実施例においては、便宜上、図1の状態での左右方向を前後といい、図1の右側面(図2の状態)において左右方向を左右という。
【0047】
図1〜図3に示す自走式リフターは、略矩形の平面形態をもつ昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれジャッキ取付アーム21,21・・を設置し、該各ジャッキ取付アーム21,21・・の先端部にそれぞれジャッキ11,11・・を取付け、該各ジャッキ11,11・・の下端部にそれぞれ走行台車3,3・・(合計4つ)を取付けているとともに、昇降フレーム10上にリフターの各種動力源となるパワーユニット5を設置して構成されている。又、各走行台車3,3・・は、各ジャッキ11,11・・の下端部に対して着脱自在に取付けられている。
【0048】
昇降フレーム10は、フレーム材を略矩形の平面形態に組付けたものである。尚、この昇降フレーム10の平面形態(図3)の大きさは、前後長さが5.5〜5.6m、左右長さが2.3〜2.4m程度であり、大型トラックの荷台外周内に余裕をもって収容され得るものである。
【0049】
昇降フレーム10の適所には、荷物Y(図19〜図20)を支持するための支持具(フック)19,19が取付けられている。
【0050】
各ジャッキ11,11・・は、この第1実施例では3段ブーム(下段ブーム12、中段ブーム13、上段ブーム14)からなる伸縮ブーム式のものが採用されている。この各ジャッキ11内には、伸縮用の油圧シリンダ(図示省略)が内蔵されている。
【0051】
ところで、この第1実施例の自走式リフターは、図8〜図20に示すように自力でトラック荷台81に乗降できるようになっており(その詳細は後述する)、この第1実施例では各ジャッキ11,11・・を、トラック荷台81上に収まる状態(図8、図9)と、トラック荷台81の左右側縁を跨ぐ状態(図10〜図12)との間で変位させるために、該各ジャッキ11,11・・をそれぞれ所定長さ(例えば1.4〜1.5m)のジャッキ取付アーム21,21・・の先端部に取付けている。
【0052】
各ジャッキ取付アーム21,21・・は、この第1実施例ではアーム基端部を昇降フレーム10の四隅付近においてそれぞれ支軸22,22・・で枢支して、アーム先端側が水平回動し得る状態で設置されている。この各ジャッキ取付アーム21,21・・の支軸22,22・・は、図7に示すように昇降フレーム10に鉛直姿勢で固定されており、該支軸22に対して軸受22aを介してジャッキ取付アーム21の基端部が回動し得るようになっている。
【0053】
尚、この第1実施例では、ジャッキ取付アーム21として水平面内で回動(揺動)し得るものを採用しており、以下の説明では、この第1実施例におけるジャッキ取付アームを揺動アームという。
【0054】
各揺動アーム(ジャッキ取付アーム)21,21・・は、それぞれ揺動シリンダ(油圧シリンダ)23により、図3の平面視において前後各外向きに指向する位置(アーム格納位置A)と左右各外向きに指向する位置(アーム作業位置B)との角度90°の範囲で回動せしめ得るようになっている。又、後述する積み降ろし過程では、各揺動アーム21,21・・をアーム格納位置Aから角度55°程度だけ左右外側に傾斜させたアーム傾斜位置Cに指向させることがある。尚、図3の平面図において、各ジャッキが符号11又は符号11″で示す各位置にあるときがトラック荷台を幅方向に跨ぎ得る位置であり、各ジャッキが符号11′で示す位置にあるときがトラック荷台上に収まる位置である。
【0055】
そして、各揺動アーム21,21・・が前後各外向きに指向する状態(アーム格納位置A)では、図8〜図9に示すように全部のジャッキ11,11・・がトラック荷台81上に収まり、各揺動アーム21,21・・が斜め方向に指向している状態(アーム傾斜位置C)では、図10〜図12に示すように左右のジャッキ11,11の内面間隔がトラック荷台81の幅よりやや広くなり、各揺動アーム21,21・・が左右各外向きに指向する状態(アーム作業位置B)では、図13〜図20に示すように左右のジャッキ11,11の内面間隔がトラック荷台81の幅よりかなり広くなる。
【0056】
昇降フレーム10の前後各位置には、それぞれ左右に所定間隔をもって2本ずつの補助脚25,25・・が上下動自在に装着されている。この各補助脚25,25・・は、このリフターをトラック荷台に対して自力で乗降させる際に使用するものであり、昇降フレーム10に対して上下にスライドさせ得るとともに、それぞれ所望位置で固定(例えばピン固定)し得るようになっている。この各補助脚25,25・・は、リフターを自力で乗降させるときのみに使用するものであるが、必要時以外は昇降フレーム10から取り外しておくことができる。尚、この各補助脚25,25・・の機能については後述する(後述のリフター乗降手順の説明部分を援用する)。
【0057】
各走行台車3,3・・は、図4〜図6に示すように、ジャッキ11の下端部(下段ブーム12の下端部)を連結するジャッキ連結台31と、車輪33を取付けた車輪取付台32とを水平回転自在に合体させたものを使用している。車輪33は、1つの走行台車3について一側に2つと他側に1つの合計3輪使用されており(それぞれ片持ち支持)、各走行台車3がそれぞれ自立できるようになっている。尚、この走行台車3の車輪数は、前後左右に4輪使用したものでもよいが、この実施例のように3輪の場合は、地面に凹凸があっても全輪(3輪)が確実に接地し、4輪の場合のようにいずれか1輪が地面から浮き上がるという問題がなくなる。
【0058】
そして、この各走行台車3は、片側1輪の車輪33を走行駆動装置34で駆動するようになっており、該走行駆動装置34によって各走行台車3,3・・をそれぞれ自力走行させ得るようになっている。走行台車3の走行駆動装置34としては、この実施例では油圧モータで車輪33を駆動するようにしたものが採用されているが、この油圧モータ34への油圧ホースの先端は、該油圧モータ34に対して着脱自在となっている。尚、他の実施例では、走行駆動手段34として電動モータを使用したものでもよい。
【0059】
各走行台車3,3・・におけるジャッキ連結台31と車輪取付台32間にはベアリングが介在されており、後述するように車輪33を地面から浮上させた状態で、該車輪取付台32をジャッキ連結台31に対して人力で水平回転させ得るようになっている。
【0060】
この各走行台車3,3・・は、自走式であるために車輪33としてかなりの直径(例えば40cm)のものを使用しており、従ってこの走行台車3は、かなりの高さを有している(全高が約50cm程度ある)。
【0061】
又、各走行台車3,3・・には、それぞれジャッキ連結台31の中心部(車輪取付台32の回転中心部)にジャッキ4,4・・を設けている。この各ジャッキ4,4・・は、縮小状態では図4及び図5に実線図示するように接地板41が車輪33の下面より上方に位置していて走行台車3の走行を許容し、伸長状態では図4及び図5に鎖線図示するように接地板41が車輪33の下面より若干下方に突出して車輪33を地面から浮上させ得るようになっている。この各ジャッキ4,4・・は、図20に示すようにリフターで荷物(重量物)Yを支持した状態で、リフター全体を浮上させ得るジャッキアップ能力を有している。この各ジャッキ4,4・・には、油圧シリンダが使用されているが、この油圧シリンダにもパワーユニット5からの作動油が供給される。尚、このジャッキ(油圧シリンダ)4への油圧ホースの先端も、該ジャッキ4に対して着脱自在となっている。
【0062】
この各走行台車3,3・・は、図4及び図5に示すように、ジャッキ11の下端部(下段ブーム12の下端部)に対してジャッキ連結台31を着脱自在に取付け得るようになっている。この実施例では、下段ブーム12の下端部とジャッキ連結台31とを位置合わせするのに、下段ブーム12下端部の接地板16の外周付近に複数個のピン穴17を設ける一方、ジャッキ連結台31の上面に各ピン穴17に嵌入する複数個の突起ピン36を設けている。又、この実施例では、下段ブーム12の接地板16をジャッキ連結台31上面に固定するのに、該ジャッキ連結台31上面に接地板16の外周縁を押える複数個の止め具37を設けている。この各止め具37は、上端部に横向きに突出する押え片38が一体形成されており、且つ止めボルトを緩めれば水平回転させ得るようになっている。そして、押え片38が図4に示すように外向きの退避位置にあるときには、各止め具37間に下段ブーム12の接地板16を上方から収容し得るようになっており、該接地板16をジャッキ連結台31上面に載せた状態で各止め具37を回転させて各押え片37を図5に示す内向きの押さえ位置に向けた後、止めボルトを締め込むことで接地板16をジャッキ連結台31上に固定し得るようになっている。尚、下段ブーム12の接地板16をジャッキ連結台31上に固定する手段としては、接地板16の外周付近をジャッキ連結台31上面に直接ボルト止めすることもできる(この場合は、ボルトを外すことで接地板16をジャッキ連結台31から分離できる)。
【0063】
下段ブーム12の接地板16は、図4及び図5に示すように下段ブーム12の下端部に対して前後・左右から各ピン18A,18Bで枢支していて、前後及び左右に傾動し得るようになっている。
【0064】
各走行台車3の車輪取付台32には、その外周部分に後述する走行台車吊持用のワイヤーロープ60(図7)の下部側を連結するためのブラケット35(図4〜図6)が取付けられている。このブラケット35は、走行台車3をワイヤーロープ60で吊持する際に、該走行台車3を水平姿勢に維持させるために複数箇所(図示例では4箇所)に設けているが、実際に走行台車3を吊持する場合には、重量バランスを維持させ得る3箇所のブラケット35,35,35に対してワイヤーロープ60の下部に設けた3本の分岐ロープの各係止具60b,60b,60b(図7)を連結するとよい。尚、走行台車3を吊持するワイヤーロープ60としては、該走行台車3を水平姿勢で吊持し得るものであれば適宜の形態のものが採用できる。
【0065】
又、各走行台車3,3・・の車輪取付台32には、その外周部分の4箇所に後述する連結具9の端部を係止するための係合ピン39が立設されている。
【0066】
パワーユニット5は、この自走式リフターの各種動力源となるもので、昇降フレーム10上に設置されている。このパワーユニット5には、図3に示すように、油圧発生装置としてエンジン51、油圧ポンプ52、作動油タンク53があり、このほかに関連部品としてバッテリー54や燃料タンク55等がある。
【0067】
ところで、パワーユニット5を昇降フレーム10に設置する場合は、該パワーユニット5によってリフター本体1の全高が高くならないようにするために、昇降フレーム10を各ジャッキ11の上段ブーム14に対して該上段ブーム14の上端部よりパワーユニット5の最高高さ範囲だけ段下げした位置に固定している(パワーユニット5の最高高さと各ジャッキ11の上段ブーム14の上面とが同高さになるようにしている)。
【0068】
パワーユニット5は、主として各ジャッキ11の油圧シリンダに動力(作動油)を供給するものであるが、各揺動アーム21用の各揺動シリンダ23や、各走行台車3の走行駆動装置(油圧モータ)34及びジャッキ4にもそれぞれ作動油を供給するようにしている。尚、走行台車3はジャッキ11の伸縮によってパワーユニット5からの距離が変化するので、油圧ホース(図示省略)をそれぞれホースリールを介して走行台車3の油圧モータ34(及びジャッキ4の油圧シリンダ)まで延出させている。又、各走行台車3は、それぞれ着脱自在になっているので、各油圧ホースの先端は走行駆動装置34の油圧モータやジャッキ4の各ジョイント部に着脱自在となっている。
【0069】
尚、この自走式リフターの各種駆動部分は、地上から遠隔操作によって発停制御し得るようになっている。
【0070】
このリフターでは、各ジャッキ11の上部(上段ブーム14)は昇降フレーム10で強固に連結されているが、該ジャッキ11の下部(下段ブーム12)は特に連結していない(傾動方向の強度が弱い)。そこで、この実施例では、各ジャッキ11の下端部に装着される各走行台車3同士を前後左右の4本の連結具9で連結し得るようにしている。
【0071】
この各連結具9は、それぞれ長さ調節自在であり、且つ連結具9の各端部をそれぞれ各走行台車3のジャッキ連結台31上に立設した係合ピン39に対して係脱自在に係合させ得るようになっている。尚、連結具9の両端部には、左右各逆向きのネジ部分を有し、連結具9を回転させることによってその全長を微調整し得るようになっている。
【0072】
この第1実施例の自走式リフターは、図8〜図20に示すように自力でトラック8の荷台81に対して乗降させ得るようになっているが、この自走式リフターには、トラック荷台81上に積載した各走行台車3をトラック荷台81から乗降させるための走行台車積み降ろし装置6を備えている。
【0073】
この実施例の走行台車積み降ろし装置6は、図1〜図3及び図7に示すように、昇降フレーム10の四隅近傍において各走行台車吊持用アーム61を昇降フレーム10に対してそれぞれ支軸62により水平回動可能に枢支しているとともに、各走行台車吊持用アーム61の先端部61a(図7)にワイヤーロープ60の上端部60aを着脱自在に連結し得るようにしたものである。
【0074】
各走行台車吊持用アーム61の長さはそれぞれ150cm程度である。そして、この各走行台車吊持用アーム61は、図7に示すように該走行台車吊持用アーム61の基端部を支軸62により水平回動可能に枢支している。走行台車吊持用アーム61の支軸62は、図7に示すように昇降フレーム10に鉛直姿勢で固定されており、該支軸62に対して軸受62aを介して走行台車吊持用アーム61の基端部が回動し得るようになっている。
【0075】
又、この第1実施例では、各走行台車吊持用アーム61の支軸62と各揺動アーム21の支軸22とは、図7に示すように揺動アーム側支軸22が上で走行台車吊持用アーム側支軸62が下になる状態で上下同軸上に配置している。そして、該両支軸22,62は、その各中心穴に1本のボルト71を貫通させ、該ボルト71の上下両端部にそれぞれナット72,73を螺合・緊締させて一体化させている。
【0076】
各走行台車吊持用アーム61の先端部61aには、図7に示すようにワイヤーロープ60の上端部60aを連結ピン64により係脱自在に連結し得るようになっている。
【0077】
ワイヤーロープ60は、後述する(図10〜図12)ように走行台車吊持用アーム61の先端部61aから走行台車3を吊持するためのものであり、2〜3m程度の長さを有している。又、このワイヤーロープ60の下端側は、図7に示すように3本に分岐させており、該3本の分岐ロープのそれぞれ先端に走行台車3の各ブラケット35に係止できる係止具(図示例ではフック)60b,60b,60bを取付けている。
【0078】
次に、図8〜図20を参照して、第1実施例の走行台車積み降ろし装置付き自走式リフターをトラック荷台81からの積み降ろすための作業手順を説明する。尚、図8〜図20において、各(A)図はリフターの左側面を前面にした図(図1相当図)であり、各(B)図は各(A)図の右側面図(図2相当図)である。
【0079】
この第1実施例の自走式リフターは、図8に示すように、リフター本体1から各走行台車3を分離し、該リフター本体1と各走行台車3をそれぞれ同じトラック8の荷台81に積載して搬送される。尚、このとき、各揺動アーム21はアーム格納位置A(図3)にあり、各走行台車吊持用アーム61も前後方向に向く格納位置にある。又、各走行台車3は、トラック荷台81上における各揺動アーム21の先端部の直下付近に位置させておくとよい。
【0080】
ところで、公道をトラック輸送するときには、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)があるが、図8に示すようにリフター本体1から各走行台車3を外した状態でそれぞれトラック荷台81上に積載すると、自走式リフターであっても法令による高さ制限(3.8m)の範囲内で搬送できる。又、このように、各走行台車3を外すと、該走行台車3の高さ分だけリフターの全高を低くできるが、これにより各ジャッキ11を最縮小させた状態でのリフター本体1の高さを許容限度付近まで高く設定でき、その結果、各ジャッキ11の単ブーム長さを長くして、昇降フレーム10部分の昇降ストローク(図1、図2の符号S)を大きくできることになる。
【0081】
図8の状態で使用現場まで搬送した後、該使用現場でリフターの組立て及び積み降ろしを行うが、リフターの組立て及び積み降ろし時には、パワーユニット5を作動させて作動油を供給可能にしておく。
【0082】
そして、図9(A)(B)に示すように、使用現場において各ジャッキ11をトラック荷台81上で若干長さだけ伸長させて各ジャッキ11でリフター本体1を支持した後、各(4本)補助脚25をトラック荷台81上に接地するまで降ろしてそれぞれ固定(ピン固定)する。
【0083】
次に、図10(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて該ジャッキの下端をトラック荷台81から離間させ、続いて各揺動シリンダ23を伸長させて各揺動アーム21を左右各斜め外方に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで水平回動させる。このように、最初は各揺動アーム21を左右各斜め外方に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで回動させるが、この理由は後述するように各走行台車吊持用アーム61で吊持した走行台車3をジャッキ最大張り出し位置付近(図3のアーム作業位置B)に吊り降ろすのに該ジャッキが邪魔にならないようにするためである。尚、この図10の状態では、リフター本体1は4本の補助脚25でトラック荷台81上に支持されている。又、この作業の前後で、各走行台車吊持用アーム61の先端部60a(図7)にワイヤーロープ60の上端部60aを連結し、該ワイヤーロープ下部の分岐ロープ先端の各係止具60b(3つ)をそれぞれ走行台車3の各ブラケット35(3箇所)に連結しておく。尚、ワイヤーロープ60による連結は、4つの走行台車3についてそれぞれ行う。
【0084】
次に、図11(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を伸長させて接地させた後、各ジャッキ11をさらに伸長させて昇降フレーム10を上動させ、各走行台車3をトラック荷台81上において各走行台車吊持用アーム61でそれぞれ吊持させる。尚、この状態では、各走行台車3はトラック荷台81の上面から若干高さだけ浮上している。そして、各走行台車3を吊持した状態で手動により各走行台車吊持用アーム61を走行台車3とともに外側90°の位置(図3のアーム作業位置B)まで水平回動させる。このとき、各走行台車吊持用アーム61の先端部及び各走行台車3がそれぞれ図11(A)(B)に鎖線図示(符号61′,3′)するようにトラック荷台81の左右外側位置(図3のアーム作業位置B)まで移動している。
【0085】
次に、図12(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を、各走行台車吊持用アーム61で吊持している各走行台車3が接地するまで縮小させ、各走行台車3が接地した後、各ワイヤーロープ60を外す。尚、地上に降ろした各走行台車3は、後述(図13)するように各ジャッキ11の下端部に組付けるための正確な組付位置(接地板16の各ピン穴17が走行台車3側の各突起ピン36に合致する位置)から位置ずれしていることがほとんどである。そして、各走行台車3が大重量で手押しによる位置調整がしにくい場合には、地上に降ろした各走行台車3を正確な組付位置に位置調整(芯出し)するために、図13〜図15に示す各作業を行う。
【0086】
即ち、図13(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて4本の補助脚25をトラック荷台81上に接地させてリフター本体1を各補助脚25で支持させ、さらに各ジャッキ11をその下端が地上にある走行台車3の上面より上方となる位置まで縮小させた後、各揺動シリンダ23を伸長させて各揺動アーム21を左右外側90°位置(図3のアーム作業位置B)まで回動させる。この状態では、各ジャッキ11が、先に地上に降ろした各走行台車3の直上方近傍に位置している。
【0087】
次に、図14(A)(B)に示すように、各ジャッキ11に縮小代を残した状態で、各ジャッキ11の接地板16の外周部(例えばピン穴17を利用)と各走行台車3の各ブラケット35とを複数本(図示例では3本)の短小ロープ70で結ぶ。この各(3本)短小ロープ70は、走行台車3を吊上げたときに(図15に示す3点吊持したときに)該走行台車3をほぼ水平姿勢にし得る長さのものが使用され、且つ該各短小ロープ70の連結位置を、走行台車吊上げ状態で該走行台車3側の各突起ピン36(図4)がジャッキの接地板16の各ピン穴17(図4)にそれぞれ上下対応する位置に位置決めし得るように設定している。
【0088】
次に、図14の状態から、図15(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて各走行台車3をそれぞれ短小ロープ70で吊持する。この状態では、各走行台車3側の各突起ピン36(図4)が各ジャッキ11の接地板16の各ピン穴17(図4)に対して正確に上下対応する位置にある。そして、図15の状態から各ジャッキ11を伸長させて各走行台車3を接地させ、各短小ロープ70を取外す。
【0089】
次に、図16(A)(B)に示すように、各ジャッキ11をさらに伸長させてその各接地板16をそれぞれ各走行台車3の上面に接合させるが、このとき図5に示すように接地板16の各ピン穴17がそれぞれ走行台車3側の各突起ピン36に嵌合する。そして、該接地板16を走行台車3の上面に接合させた後、図5に示すように各止め具37で接地板16の外周縁部を押えれば、走行台車3の組付作業が完了する。このように走行台車3の組付状態では、リフター本体1が4つの走行台車3で支持されていて各補助脚25は用済みとなるので、該各補助脚25を昇降フレーム10に対して上方にスライドさせておくか(図17の状態)、あるいは昇降フレーム10から抜外してもよい。
【0090】
尚、走行台車3の地上での位置調整を手押し操作で比較的簡単に行える場合には、図14〜図15の短小ロープ70による芯出し作業を省略して、手押しにより走行台車3を位置調整するようにしてもよい。
【0091】
次に、図16の状態から、図17(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を大きく伸長させて、昇降フレーム10をトラック抜出し可能高さまで上動させる。
【0092】
次に、図18(A)(B)に示すように、トラックをリフター内から抜出す。このトラック抜出しの前後に、前後に位置する2つの走行台車3,3同士(左右一対ある)をそれぞれ連結具9で連結する。尚、このときには、左右の走行台車同士は、まだ連結具で連結しない。
【0093】
次に、図19(A)(B)に示すように、荷物(大型重量物)Yを積載したトラック8をリフター内の空間部に進入させ、トラック荷台81上の該荷物Yにワイヤーロープを結んで各支持具19,19に掛ける。その後、各ジャッキ11を伸長させて該荷物Yを持上げ、空のトラック8を前進させてリフター部分から除去する。
【0094】
次に、図20(A)(B)に示すように、左右に位置する2つの走行台車3,3同士(前後一対ある)をそれぞれ連結具9で連結する。この状態では、4つの走行台車3が4本の連結具9で四角形状に連結されており、各ジャッキ11の下部側も補強される。そして、この図20(A)(B)の状態(荷物Yを地面から浮かせた状態)で、各走行台車3によりリフターを荷物Yとともに目的位置まで移動させることができる。
【0095】
又、その移動途中でリフターの進行方向を変更(修正)するには、各走行台車3に設けたジャッキ4(図5)を伸長させて(図5に鎖線図示するようにジャッキ接地板41が接地した後、リフターを押し上げる)、各走行台車3の全車輪33を地面から浮上させる。この状態では、走行台車3の車輪取付台32に荷重がかかっていないので、該車輪取付台32をジャッキ連結台31に対して人力で水平回転させることができる。そして、各車輪33を所望に進行方向に向けた後、各ジャッキ4を縮小させて各車輪33を接地させ、各走行駆動手段34によりリフターを所望方向に進行させることができる。
【0096】
そして、荷物Yを所定位置まで運び、そこで各ジャッキ11を縮小させることにより、該荷物Yを所定位置に設置することができる。その後、荷物Yからワイヤーロープを外し、前後に位置する連結具9を各走行台車3から外せば、リフターを荷物Y上から移動させることができる。
【0097】
又、空のリフターをトラック荷台81上に積み込むには、次の手順で行う。即ち、各ジャッキ11を伸長させて昇降フレーム10を上動させ(図18の状態)→昇降フレーム10の下方空間部にトラック8の荷台81を進入させ(図17の状態)→各ジャッキ11をある程度縮小させて、昇降フレーム10に4本の補助脚25を所定高さに装着し→さらに各ジャッキ11を縮小させて各補助脚25の下端をトラック荷台81上面に接地させて該各補助脚25でリフターを支持し(図16の状態)→各走行台車3をそれぞれジャッキ11の下端部から取外し(図13の状態)→各揺動シリンダ23を少し縮小させて各揺動アーム21を斜め方向に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで回動させた後、各ジャッキ11を接地するまで伸長させ(各ジャッキが図12の状態となる)→各走行台車吊持用アーム61をそれぞれ外側に回動させて、該アーム先端部と走行台車3とを吊持用のワイヤーロープ60で連結し(図12の状態)→各ジャッキ11を伸長させて各走行台車吊持用アーム61から吊持されている各走行台車3をトラック荷台81の上面より上方位置まで吊上げ(図11の鎖線図示状態)→各走行台車吊持用アーム61を走行台車3とともにトラック荷台81上まで回動させた後、各ジャッキ11を縮小させて各走行台車3をトラック荷台81上に載せ、さらに各ジャッキ11を縮小させてジャッキ下端がトラック荷台81の上面より高位置になるまで持ち上げ(このときリフター本体1は各補助脚25で支持され、図10の状態となる)→その後、各揺動シリンダ23を縮小させて各揺動アーム21を前後各外方に向く位置(図3のアーム格納位置A)まで回動させると、図8に示すようにリフター本体1および各走行台車3を同じトラック8の荷台81上に積み込むことができる。
【0098】
このように、この実施例の自走式リフターでは、リフター本体1を自力でトラック荷台81から乗降させ得るとともに、各走行台車3も走行台車積み降ろし装置6を併用して自力でトラック荷台81から乗降させることができる。従って、この第1実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた自走式リフターでは、リフター本体1と各走行台車3を分離した状態でトラック輸送しても、トラック荷台81に対してそれぞれ自力で(別のクレーンを使用することなく)乗降させることができる。
【0099】
又、この第1実施例では、走行台車積み降ろし装置6を昇降フレーム10の四隅付近にそれぞれ設けているので、4つの走行台車3をそれぞれのジャッキ11の近傍位置に降ろすことができ、位置調整のための各走行台車3の手押し移動が不要になるか又はその手押し移動距離が短くなり、しかも各走行台車積み降ろし装置6で4つの走行台車3を同時に積み降ろし操作できる。
【0100】
さらに、この第1実施例で使用されているリフター本体1は、各ジャッキ取付アーム21として揺動アームを使用し、該各揺動アーム21の支軸22と各走行台車吊持用アーム61の支軸62とを同軸上に配置しているので、走行台車吊持用アーム61の先端部から吊り下げた走行台車3をジャッキ3の近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アーム61の長さを最小にできる。
【0101】
図21〜図22に示す第2実施例
図21〜図22に示す第2実施例では、リフター本体1として、略矩形の昇降フレーム10の前後各部に、それぞれ出没アーム(ジャッキ取付アームとなる)21Aが左右外向き方向に出没する一対ずつ(合計4つ)の伸縮ビーム20を取付け、該各伸縮ビーム20の各出没アーム21Aの先端部にそれぞれジャッキ11を取付けたものを使用している。尚、伸縮ビーム20の出没アーム21Aは、ビーム内に内蔵された油圧シリンダで出没せしめられる。
【0102】
この第2実施例のリフター本体1は、図21及び図22に実線図示するように各出没アーム21Aが全没入した状態では、各ジャッキ11,11・・がそれぞれトラック荷台81上に格納されるアーム格納位置となり、各出没アーム21Aが鎖線図示(符号21A′)するように全突出した状態では、各ジャッキがそれぞれ符号11′の位置まで突出するアーム作業位置(左右のジャッキ11,11がトラック荷台81を左右に跨ぐ位置)となる。
【0103】
尚、リフター本体1のその他の構成及び各走行台車3の構成は、上記第1実施例のものと同じであるので、その第1実施例の説明を援用する。
【0104】
そして、この第2実施例の自走式リフターも、各走行台車3がリフター本体1(各ジャッキ11)に対して着脱できるようになっているとともに、リフター本体1を上記第1実施例と同様にトラック荷台81に対して自力で乗降させ得るようになっている。
【0105】
この第2実施例の自走式リフターにも、各走行台車3を自力で積み降ろしするための走行台車積み降ろし装置6が装備されている。この各走行台車積み降ろし装置6の基本構成は、上記第1実施例のものと同じであり、昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれ走行台車吊持用アーム61を支軸62で枢支している。そして、この各走行台車吊持用アーム61は、前後方向に向く格納位置と左右外向きの角度90°位置まで回動した位置(符号61′の位置)との間で水平回動し得るようになっている。
【0106】
そして、この第2実施例の各走行台車積み降ろし装置6でも、走行台車吊持用アーム61の先端部からワイヤーロープ60を吊下して、該各ワイヤーロープ60を介して各走行台車3を吊上げることができ、その走行台車吊持状態で走行台車吊持用アーム61を水平回動せさ得るようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本願実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた自走式リフターの側面図である。
【図2】図1の自走式リフターの右側面図である。
【図3】図1の自走式リフターの平面図である。
【図4】図1の自走式リフターにおける走行台車の分離状態の拡大図である。
【図5】図4の組付状態図である。
【図6】図4の走行台車の平面図である。
【図7】図3のVII−VII拡大断面図である。
【図8】図1のリフター本体及び走行台車のトラック荷台積み込み状態図である。
【図9】図8からのリフター積み降ろし時の状態変化図である。
【図10】図9からのリフター積み降ろし時の状態変化図である。
【図11】図10からの走行台車積み降ろしの説明図である。
【図12】図11からの状態変化図である。
【図13】図12からの状態変化図である。
【図14】図13からの走行台車芯出し方法の説明図である。
【図15】図14からの状態変化図である。
【図16】図15から走行台車にジャッキを接続した状態図である。
【図17】図16からの状態変化図である。
【図18】図17の状態からトラックを退出させた状態図である。
【図19】図18から荷物積載トラックをリフター内に進入させた状態図である。
【図20】荷物を受取ったリフターの走行説明図である。
【図21】本願実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた他の構造の自走式リフターの平面図(図3相当図)である。
【図22】図21の自走式リフターをトラックに積載した状態図である。
【図23】公知のリフターの説明図である。
【図24】図23からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0108】
1はリフター本体、3は走行台車、5はパワーユニット、6は走行台車積み降ろし装置、10は昇降フレーム、11はジャッキ、21はジャッキ取付アーム(揺動アーム)、21Aはジャッキ取付アーム(出没アーム)、22は支軸、25は補助脚、60はワイヤーロープ、61は走行台車吊持用アーム、62は支軸、81はトラック荷台である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、トラック輸送が可能で且つ各走行台車により自走でき、さらに各走行台車が着脱自在であるとともに、リフター本体をトラック荷台上から自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおける走行台車積み降ろし装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図23及び図24には、特開2001−341980号公報(特許文献1)に開示されたトラック車載型のリフターが示されている。この公知のトラック車載型リフターは、左右の台車3A,3A上にそれぞれ伸縮ブームからなるジャッキ11A,11Aを立設し、該各ジャッキ11A,11Aの上端部間に伸縮ビーム10Aを架設して構成されている。尚、ジャッキ11Aや伸縮ビーム10A等は、一般に油圧シリンダで伸縮せしめられるが、その油圧シリンダの駆動源となる油圧ユニット5Aは、各台車3A,3A上にそれぞれ1基ずつ設置されている。
【0003】
各ジャッキ11A,11Aには、3段ブームが使用されている。そして、図23に実線図示するように、各ジャッキ11A,11A及び伸縮ビーム10Aをそれぞれ最縮小させた状態では、リフターをトラック荷台81上に積み込むことができる。又、該リフターをトラック荷台81から降ろすには、まず図23に鎖線図示するように伸縮ビーム10Aを左右に伸長させて各台車3A,3A(及び各ジャッキ11A,11A)の間隔をそれぞれトラック荷台81を幅方向に跨ぐ位置まで拡げた後、図24に示すように各ジャッキ11A,11Aを伸長させることで各台車3A,3Aの各車輪33A,33Aを地面Gに接地させることができる。従って、リフターをトラック荷台81上に搭載した状態から地上に自立させるまでの全工程をリフター自体で行うことができる。
【0004】
図23に示すトラック車載型リフターは、トラック荷台81に積み込んで輸送できるが、リフターをトラック荷台81上に載せて公道を走行する場合には、道路運送車輌法によって高さ制限(H1)が3.8mに規定されている。又、この種のリフターを搭載し得るトラックとしては、かなり大型のものが使用される関係で、トラック荷台81の上面高さH0が1.2〜1.3m程度となる。従って、このトラック車載型リフターでは、各ジャッキ11A,11Aの最縮小状態においてリフター自体の全高を2.5〜2.6mに制限する必要がある。尚、リフターをトラック荷台81上に搭載した状態では、該リフターを支持台2により、台車3Aの車輪33Aがトラック荷台81の上面から浮上する状態で支持するので、リフターの実質的な全高は2.4〜2.5m程度に制限される。
【0005】
ところで、図23及び図24のトラック車載型リフターにおいて、積み降ろし荷物Yの高さが高いものでは、該荷物Yを高位置(例えばトラック荷台上)に積み降ろす場合に、ビーム10Aの揚程をそれなりの高揚程にする必要があり、そのためにはジャッキ11Aの伸縮ストロークS1を大きくする必要がある。このようにジャッキ11A,11Aの伸縮ストロークS1を大きくするには、ジャッキ11Aを多段ブーム(例えば5段ブーム)にするか、ブーム段数を少なくしたもの(例えば3段ブーム)では単ブーム長さを長くする必要がある。
【0006】
ところが、この種のリフターにおいて、ブーム段数を多くする(例えば5段ブームにする)と、ジャッキの最縮小状態でリフターの全高を低くできるものの、多数の単ブームを伸縮させる必要があるので各ジャッキ11A,11Aの構造が複雑になり、且つコストアップになるとともに、ジャッキ11Aの重量が重くなってリフター全体が大重量化するという問題があった。他方、ブーム段数を少なくして(例えば3段ブームにして)単ブーム長さを長くすると、ジャッキ11Aの最縮小状態でもビーム高さが高くなって不使用時に高さの高い保管スペースが必要になる。
【0007】
又、図23及び図24に示すようなトラック車載型のリフターでは、公道走行時におけるトラック車載状態での全高H1が3.8mに制限されている関係で、ジャッキ11Aの単ブーム長さをさほど長くできず、従ってビーム10Aの揚程H2があまり大きくとれなくなる。即ち、図23に示すようにリフターをトラック荷台81上に搭載した状態において、トラック荷台81の上面高さH0(1.2〜1.3m)を減じたリフター自体の許容高さが2.5〜2.6m程度であり、その中で台車3A自体の高さ及びビーム10Aの厚さを減じると、ジャッキ11Aの最縮小時における実質許容長さは1.6〜1.7m程度となり、3段ブームであれば各ブームの重合代を除くと最大伸縮ストロークS1が2.2〜2.4m程度とかなり短くなる。従って、リフターの使用時におけるビーム10Aの最大高さ(図のH2)を4m程度までしか持ち上げることができず、高さの高い荷物Yを高位置に積み降ろしするのに無理が生じることがある。
【0008】
又、リフターの台車3Aに自走式のものを採用すると、車輪33Aとして比較的大径のものを使用する必要があるとともに、走行駆動手段(油圧モータやギヤ装置等)の設置スペースが必要となるので、走行台車の全高が約500mm程度まで高くなる。従って、トラック車載型リフターでは、自走式の走行台車を使用すると、その台車の全高が高くなる分、ジャッキ11Aの長さを短くする必要がある。
【0009】
そこで、本件出願人は、自走式の走行台車を用いたリフターにおいて、走行台車をジャッキに対して着脱し得るようにした自走式リフターを特願2006−345783号(特許文献2)で既に提案している。
【0010】
この特許文献2の自走式リフターは、4つのジャッキを有し、該各ジャッキの下端部にそれぞれ走行台車を着脱自在に装着し得るようにしたものである。この特許文献2の自走式リフターでは、トラック輸送時には各走行台車をリフター本体(各ジャッキ)から分離してトラック荷台上に積載することにより、リフターの全高を低くした状態で輸送できるようになっている。尚、リフター本体から分離させた各走行台車は、リフター本体搬送用のトラック荷台上の余剰空間に載せて搬送したり、別のトラックで搬送したりする。そして、使用現場において自走式リフターに組立てる際には、まず各走行台車をトラック荷台から地面まで降ろして、リフター本体を載せているトラック荷台の左右側方の所定位置に位置させ、該各走行台車にリフター本体の各ジャッキの下端部を連結する。
【0011】
【特許文献1】特開2001−341980号公報
【特許文献2】特願2006−345783号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記特許文献2(特願2006−345783号)の自走式リフターでは、トラック輸送時に各走行台車を分離させておくことによりリフター全体の全高を低くでるが、各走行台車はかなりの重量を有しているので、使用現場で各走行台車をトラック荷台上から地面まで降ろす(又は走行台車を地上からトラック荷台上に積み込む)にはクレーンが使用される。
【0013】
ところが、上記特許文献2の自走式リフターでは、使用現場にクレーンがある場合にはそのクレーンで各走行台車をトラック荷台上から降ろすことができるが、使用現場にクレーンがない場合には走行台車積み降ろし用のクレーン車を使用現場まで搬送する必要がある。従って、この場合は、別途クレーン車が必要であるとともに、該クレーン車の配送コストがかかるという問題があった。
【0014】
そこで、本願発明は、リフター本体に対して各走行台車を分離して搬送でき且つトラック荷台から自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおいて、各走行台車をトラック荷台から自力で積み降ろしし得るようにした走行台車積み降ろし装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、トラック輸送が可能で、自ら走行できる各走行台車をリフター本体の各ジャッキの下端部に着脱自在に取付け得るようにした自走式リフターにおいて、各走行台車をトラック荷台から積み降ろしするための走行台車積み降ろし装置を対象にしている。
【0016】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明で使用される自走式リフターは、先端部にジャッキを取付けた4つのジャッキ取付アームを略矩形の平面形態をもつ昇降フレームの四隅近傍にそれぞれ設置し、前記4本のジャッキの各下部にそれぞれ走行台車を着脱自在に取付け得るようにしたものである。
【0017】
各ジャッキ(4本)としては、伸縮ブーム式のものが採用可能であるが、本願で使用されるジャッキは、3段ブーム程度の比較的少ないブーム段数のものでよい。尚、このブーム段数は特に限定するものではない。又、この各ジャッキは、リフターをトラック荷台上に載せて搬送する(道路運送車輌法によって高さ制限が3.8mに規定されている)ことを考慮すると、最縮小状態において長さが2.3〜2.4m程度にするのが適当である。
【0018】
昇降フレームは、フレーム材を略矩形に組付けたものである。そして、この昇降フレームは、各ジャッキの最上段ブームの所定高さ位置に、揺動アームあるいは出没アーム等からなるジャッキ取付アームを介して間接的に取付けられている。
【0019】
各走行台車(4つ)は、それぞれ独立したものであり、それぞれ走行駆動装置(例えば油圧モータや電動モータ)で走行可能に構成されている。この各走行台車は、それぞれ3つあるいは4つの車輪を備えたもの(自立できるもの)が好ましい。尚、この走行台車は、自走式であるので比較的大きな車輪(車輪直径が例えば40cm程度)が使用されるので、全高がかなり高くなる(例えば走行台車の全高が50cm程度になる)。又、この請求項1の自走式リフターに使用される走行台車は、かなりの大重量を有するものの、手押しにより移動させ得るものである。
【0020】
そして、この自走式リフターでは、各走行台車(4つ)を各ジャッキの下端部にそれぞれ着脱自在に取付けている。各走行台車の各ジャッキ下端部への着脱は、例えばボルトによる連結・連結解除や適宜の止め具による係止・係止解除等によって行える。尚、この自走式リフターは、各ジャッキ下端部からそれぞれ走行台車を分離すると、昇降フレームと各ジャッキが合体されたリフター本体となる。
【0021】
又、本願で使用される自走式リフターは、トラック荷台上に積載して搬送させ得るものであり、上記ジャッキ取付アームが、各ジャッキをそれぞれトラック荷台上に格納するアーム格納位置と各ジャッキをそれぞれトラック荷台の左右外側にはみ出させるアーム作業位置との間で変位可能となっている。そして、この自走式リフターは、所定の作業手順を行うことによりリフター本体を自力でトラック荷台上から積み降ろしできるようになっている。
【0022】
各ジャッキ取付アームとしては、例えば上記特許文献2と同様に、昇降フレームに対して水平面内で回動させ得るようにした揺動アームを使用したり(この場合は揺動アームの先端部にジャッキが取付けられる)、あるいは上記特許文献1のように、伸縮ビームの出没アームを使用したりすることができる(この場合は出没アームの先端部にジャッキが取付けられる)。尚、上記揺動アームの場合も上記出没アームの場合も、その作動手段として油圧シリンダが使用できる。そして、このジャッキ取付アームは、リフターをトラック荷台上に載せて輸送するときには、各ジャッキ取付アーム先端部の各ジャッキがそれぞれトラック荷台上に収まるアーム格納状態にし、他方トラック荷台からリフターを自力で積み降ろすときには、各ジャッキをそれぞれトラック荷台の左右外側にはみ出させるアーム作業状態にする。
【0023】
本願請求項1の走行台車積み降ろし装置は、上記構成のトラック輸送が可能な自走式リフターに装備されていて、同じトラックの荷台に積載して搬送させた各走行台車をリフター自体の自力で積み降ろしできるようにしたものである。
【0024】
そして、この請求項1の走行台車積み降ろし装置は、先端部にワイヤーロープを取付け得る走行台車吊持用アームを昇降フレームに対して支軸により水平回動可能に枢支しているとともに、該走行台車吊持用アームを、トラック荷台上に積載した走行台車をワイヤーロープを介して吊持し得る位置と、該ワイヤーロープを介して吊持した走行台車をトラック荷台の左右外側まで移動させる位置との間で水平回動し得るようにしている。尚、この走行台車吊持用アームは、走行台車を吊持した状態で作業員が手動で水平回動させ得るようになっている。
【0025】
走行台車吊持用アームの個数は、この請求項1では少なくとも1つあればよいが昇降フレームの左右に一対(2つ)設けることが好ましく、さらには本願請求項2のように4つの走行台車吊持用アームを設けることが一層好ましい。又、ワイヤーロープを介して走行台車を走行台車吊持用アームで吊持する際には、該走行台車をほぼ水平姿勢で吊持するが、その場合は走行台車の複数箇所(2〜3箇所)にロープ掛けするとよい。
【0026】
この請求項1で使用される自走式リフター及び該自走式リフターの走行台車積み降ろし装置は、次のような機能を有している。
【0027】
まず、この自走式リフターは、トラック荷台に載せて使用場所まで搬送されるが、搬送時には各走行台車(4つ)をリフター本体から分離し、該各走行台車とリフター本体とを同じトラック荷台に積載する。このように、各走行台車をリフター本体から分離しておくと、リフターの高さを走行台車分だけ低くできるので、トラックによる搬送時にその全高(トラック荷台の高さ+リフター本体の高さ)を低くできる。
【0028】
そして、使用現場まで搬送した後、その使用現場においてリフター本体及び各走行台車をトラック荷台から降ろすが、リフター本体は特許文献1又は特許文献2のものと同様に自力で地面に接地できるとともに、各走行台車もリフター本体に備えた走行台車積み降ろし装置により地面まで降ろすことができる。尚、走行台車積み降ろし装置による走行台車の降車方法については、後述の実施例の項で詳しく説明する。
【0029】
各走行台車は、トラック荷台上及び地上において手押しにより移動させることができるようになっており、走行台車積み降ろし装置が1セットしか装備されていない場合でも、各走行台車を順次所定位置に移動させ、各ジャッキの伸縮操作及び走行台車吊持用アームの水平回動操作を繰り返すことで、4つの走行台車を順次降車させることができるとともに、地上に降ろした各走行台車を自力降車させるリフター本体の各ジャッキ位置まで手押し移動させてそれぞれジャッキ下端部に組付けることができる。
【0030】
尚、この自走式リフターを使用した作業後に該自走式リフターをトラック荷台上に積み込む場合は、上記降車手順とは逆順序で各操作をすればよい。
【0031】
このように、本願請求項1の走行台車積み降ろし装置を使用すると、各走行台車をトラック荷台上から積み降ろしたり該トラック荷台上に積み込む際に、リフター本体の各ジャッキの伸縮操作を併用することにより、積み降ろし専用のクレーンが不要となる。
【0032】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の走行台車積み降ろし装置において、4つの走行台車吊持用アームを、昇降フレームの四隅付近においてそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支している。
【0033】
この請求項2の走行台車積み降ろし装置では、トラック荷台上に積載した4つの走行台車をそれぞれ各走行台車吊持用アームで個別に吊持できるので、各走行台車をトラック荷台上で走行台車吊持用アームに吊持させるとき、あるいは走行台車吊持用アームで吊持した走行台車をトラック荷台上から地上に降ろすとき等に、位置調整のための各走行台車の手押し移動が不要になるか又はその手押し移動距離が短くなる。又、このように4つの走行台車吊持用アームを使用していると、該各走行台車吊持用アームで各走行台車を同時に積み降ろし操作できる。
【0034】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2において、リフター本体として4つのジャッキ取付アームをそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支したものを採用しているとともに、走行台車吊持用アームを枢支している支軸をジャッキ取付アームを枢支している支軸と同軸上に配置している。
【0035】
この請求項3で使用されるリフターでは、ジャッキを取付けた各ジャッキ取付アームとして水平回動式の揺動アームを使用し、その各揺動アームを昇降フレームの四隅近傍においてそれぞれ支軸で水平回動可能に枢支している。他方、走行台車積み降ろし装置となる走行台車吊持用アームも、支軸により水平回動可能に枢支している。
【0036】
そして、この請求項3では、走行台車吊持用アームが1つ又は2つの場合は、該走行台車吊持用アームの支軸をいずれかの揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の支軸と同軸上に配置し、走行台車吊持用アームが4つの場合は、該各走行台車吊持用アームの各支軸をそれぞれ各揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の各支軸と同軸上に配置する。
【0037】
このように、走行台車吊持用アームの支軸を揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の支軸と同軸上に配置すると、走行台車吊持用アームの回動支点が揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の回動支点と同じになり、ジャッキ取付アームをアーム作業位置に位置させた状態(ジャッキがトラック荷台の外側にはみ出している)で、走行台車吊持用アームの先端部から吊下げた走行台車を該ジャッキの近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アームの長さを最小にできる。
【発明の効果】
【0038】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明で使用される自走式リフターは、リフター本体から各走行台車を分離させた状態でそれぞれ同じトラック荷台上に積載して使用場所まで搬送し、その使用場所においてリフター本体を自力でトラック荷台上から積み降ろすことができるようになっている。尚、リフター本体から各走行台車を分離した状態でトラック輸送できるようにしたものでは、トラック輸送時に走行台車の高さ分だけ全高を低くできるので、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)の許容範囲内で各ジャッキの長さを長くできる。
【0039】
そして、上記自走式リフターには本願の走行台車積み降ろし装置が装備されていて、リフター本体と各走行台車を分離してトラック輸送する場合に、該走行台車積み降ろし装置により各走行台車を自力でトラック荷台上から積み降ろすことができる。
【0040】
従って、本願請求項1の走行台車積み降ろし装置を装備していると、リフター本体とともにトラック輸送される各走行台車を地上に積み降ろすのに専用のクレーンが不要になるという効果がある。
【0041】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の走行台車積み降ろし装置において、4つの走行台車吊持用アームを昇降フレームの四隅付近においてそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支しているので、トラック荷台上に積載した4つの走行台車をそれぞれ各走行台車吊持用アームで個別に吊持できる。
【0042】
従って、この請求項2の走行台車積み降ろし装置があると、上記請求項1の効果に加えて、各走行台車の積み降ろしに際して、位置調整のための各走行台車の手押し移動が不要になるか又は手押し移動距離が短くなって、各走行台車の位置調整作業が容易になるとともに、各走行台車吊持用アームで各走行台車を同時に積み降ろし操作できるので、作業手順が簡略化できる(ジャッキの伸縮操作回数を少なくできる)という効果がある。
【0043】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2において、リフター本体として4つのジャッキ取付アームをそれぞれ支軸により水平回動可能に枢支したものを採用し、走行台車吊持用アームを枢支している支軸をジャッキ取付アームを枢支している支軸と同軸上に配置しているので、走行台車吊持用アームの回動支点が揺動アーム(ジャッキ取付アーム)の回動支点と同じになる。
【0044】
従って、この請求項3の走行台車積み降ろし装置では、上記請求項1又は2の効果に加えて、走行台車吊持用アームの先端部から吊り下げた走行台車をジャッキの近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アームの長さを最小にできるという効果がある。
【実施例】
【0045】
図1〜図22を参照して本願実施例を説明すると、図1〜図7には走行台車積み降ろし装置を装備した第1実施例の自走式リフターの基本構造を示し、図8〜図20には第1実施例の自走式リフターの使用方法を示し、図21〜図22には第2実施例の自走式リフターを示している。又、図1〜図20の第1実施例は、本願請求項1〜3の全部に対応するものであり、図21〜図22の第2実施例は、本願請求項1及び2のみに対応するものである。
【0046】
図1〜図20に示す第1実施例
この第1実施例においては、便宜上、図1の状態での左右方向を前後といい、図1の右側面(図2の状態)において左右方向を左右という。
【0047】
図1〜図3に示す自走式リフターは、略矩形の平面形態をもつ昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれジャッキ取付アーム21,21・・を設置し、該各ジャッキ取付アーム21,21・・の先端部にそれぞれジャッキ11,11・・を取付け、該各ジャッキ11,11・・の下端部にそれぞれ走行台車3,3・・(合計4つ)を取付けているとともに、昇降フレーム10上にリフターの各種動力源となるパワーユニット5を設置して構成されている。又、各走行台車3,3・・は、各ジャッキ11,11・・の下端部に対して着脱自在に取付けられている。
【0048】
昇降フレーム10は、フレーム材を略矩形の平面形態に組付けたものである。尚、この昇降フレーム10の平面形態(図3)の大きさは、前後長さが5.5〜5.6m、左右長さが2.3〜2.4m程度であり、大型トラックの荷台外周内に余裕をもって収容され得るものである。
【0049】
昇降フレーム10の適所には、荷物Y(図19〜図20)を支持するための支持具(フック)19,19が取付けられている。
【0050】
各ジャッキ11,11・・は、この第1実施例では3段ブーム(下段ブーム12、中段ブーム13、上段ブーム14)からなる伸縮ブーム式のものが採用されている。この各ジャッキ11内には、伸縮用の油圧シリンダ(図示省略)が内蔵されている。
【0051】
ところで、この第1実施例の自走式リフターは、図8〜図20に示すように自力でトラック荷台81に乗降できるようになっており(その詳細は後述する)、この第1実施例では各ジャッキ11,11・・を、トラック荷台81上に収まる状態(図8、図9)と、トラック荷台81の左右側縁を跨ぐ状態(図10〜図12)との間で変位させるために、該各ジャッキ11,11・・をそれぞれ所定長さ(例えば1.4〜1.5m)のジャッキ取付アーム21,21・・の先端部に取付けている。
【0052】
各ジャッキ取付アーム21,21・・は、この第1実施例ではアーム基端部を昇降フレーム10の四隅付近においてそれぞれ支軸22,22・・で枢支して、アーム先端側が水平回動し得る状態で設置されている。この各ジャッキ取付アーム21,21・・の支軸22,22・・は、図7に示すように昇降フレーム10に鉛直姿勢で固定されており、該支軸22に対して軸受22aを介してジャッキ取付アーム21の基端部が回動し得るようになっている。
【0053】
尚、この第1実施例では、ジャッキ取付アーム21として水平面内で回動(揺動)し得るものを採用しており、以下の説明では、この第1実施例におけるジャッキ取付アームを揺動アームという。
【0054】
各揺動アーム(ジャッキ取付アーム)21,21・・は、それぞれ揺動シリンダ(油圧シリンダ)23により、図3の平面視において前後各外向きに指向する位置(アーム格納位置A)と左右各外向きに指向する位置(アーム作業位置B)との角度90°の範囲で回動せしめ得るようになっている。又、後述する積み降ろし過程では、各揺動アーム21,21・・をアーム格納位置Aから角度55°程度だけ左右外側に傾斜させたアーム傾斜位置Cに指向させることがある。尚、図3の平面図において、各ジャッキが符号11又は符号11″で示す各位置にあるときがトラック荷台を幅方向に跨ぎ得る位置であり、各ジャッキが符号11′で示す位置にあるときがトラック荷台上に収まる位置である。
【0055】
そして、各揺動アーム21,21・・が前後各外向きに指向する状態(アーム格納位置A)では、図8〜図9に示すように全部のジャッキ11,11・・がトラック荷台81上に収まり、各揺動アーム21,21・・が斜め方向に指向している状態(アーム傾斜位置C)では、図10〜図12に示すように左右のジャッキ11,11の内面間隔がトラック荷台81の幅よりやや広くなり、各揺動アーム21,21・・が左右各外向きに指向する状態(アーム作業位置B)では、図13〜図20に示すように左右のジャッキ11,11の内面間隔がトラック荷台81の幅よりかなり広くなる。
【0056】
昇降フレーム10の前後各位置には、それぞれ左右に所定間隔をもって2本ずつの補助脚25,25・・が上下動自在に装着されている。この各補助脚25,25・・は、このリフターをトラック荷台に対して自力で乗降させる際に使用するものであり、昇降フレーム10に対して上下にスライドさせ得るとともに、それぞれ所望位置で固定(例えばピン固定)し得るようになっている。この各補助脚25,25・・は、リフターを自力で乗降させるときのみに使用するものであるが、必要時以外は昇降フレーム10から取り外しておくことができる。尚、この各補助脚25,25・・の機能については後述する(後述のリフター乗降手順の説明部分を援用する)。
【0057】
各走行台車3,3・・は、図4〜図6に示すように、ジャッキ11の下端部(下段ブーム12の下端部)を連結するジャッキ連結台31と、車輪33を取付けた車輪取付台32とを水平回転自在に合体させたものを使用している。車輪33は、1つの走行台車3について一側に2つと他側に1つの合計3輪使用されており(それぞれ片持ち支持)、各走行台車3がそれぞれ自立できるようになっている。尚、この走行台車3の車輪数は、前後左右に4輪使用したものでもよいが、この実施例のように3輪の場合は、地面に凹凸があっても全輪(3輪)が確実に接地し、4輪の場合のようにいずれか1輪が地面から浮き上がるという問題がなくなる。
【0058】
そして、この各走行台車3は、片側1輪の車輪33を走行駆動装置34で駆動するようになっており、該走行駆動装置34によって各走行台車3,3・・をそれぞれ自力走行させ得るようになっている。走行台車3の走行駆動装置34としては、この実施例では油圧モータで車輪33を駆動するようにしたものが採用されているが、この油圧モータ34への油圧ホースの先端は、該油圧モータ34に対して着脱自在となっている。尚、他の実施例では、走行駆動手段34として電動モータを使用したものでもよい。
【0059】
各走行台車3,3・・におけるジャッキ連結台31と車輪取付台32間にはベアリングが介在されており、後述するように車輪33を地面から浮上させた状態で、該車輪取付台32をジャッキ連結台31に対して人力で水平回転させ得るようになっている。
【0060】
この各走行台車3,3・・は、自走式であるために車輪33としてかなりの直径(例えば40cm)のものを使用しており、従ってこの走行台車3は、かなりの高さを有している(全高が約50cm程度ある)。
【0061】
又、各走行台車3,3・・には、それぞれジャッキ連結台31の中心部(車輪取付台32の回転中心部)にジャッキ4,4・・を設けている。この各ジャッキ4,4・・は、縮小状態では図4及び図5に実線図示するように接地板41が車輪33の下面より上方に位置していて走行台車3の走行を許容し、伸長状態では図4及び図5に鎖線図示するように接地板41が車輪33の下面より若干下方に突出して車輪33を地面から浮上させ得るようになっている。この各ジャッキ4,4・・は、図20に示すようにリフターで荷物(重量物)Yを支持した状態で、リフター全体を浮上させ得るジャッキアップ能力を有している。この各ジャッキ4,4・・には、油圧シリンダが使用されているが、この油圧シリンダにもパワーユニット5からの作動油が供給される。尚、このジャッキ(油圧シリンダ)4への油圧ホースの先端も、該ジャッキ4に対して着脱自在となっている。
【0062】
この各走行台車3,3・・は、図4及び図5に示すように、ジャッキ11の下端部(下段ブーム12の下端部)に対してジャッキ連結台31を着脱自在に取付け得るようになっている。この実施例では、下段ブーム12の下端部とジャッキ連結台31とを位置合わせするのに、下段ブーム12下端部の接地板16の外周付近に複数個のピン穴17を設ける一方、ジャッキ連結台31の上面に各ピン穴17に嵌入する複数個の突起ピン36を設けている。又、この実施例では、下段ブーム12の接地板16をジャッキ連結台31上面に固定するのに、該ジャッキ連結台31上面に接地板16の外周縁を押える複数個の止め具37を設けている。この各止め具37は、上端部に横向きに突出する押え片38が一体形成されており、且つ止めボルトを緩めれば水平回転させ得るようになっている。そして、押え片38が図4に示すように外向きの退避位置にあるときには、各止め具37間に下段ブーム12の接地板16を上方から収容し得るようになっており、該接地板16をジャッキ連結台31上面に載せた状態で各止め具37を回転させて各押え片37を図5に示す内向きの押さえ位置に向けた後、止めボルトを締め込むことで接地板16をジャッキ連結台31上に固定し得るようになっている。尚、下段ブーム12の接地板16をジャッキ連結台31上に固定する手段としては、接地板16の外周付近をジャッキ連結台31上面に直接ボルト止めすることもできる(この場合は、ボルトを外すことで接地板16をジャッキ連結台31から分離できる)。
【0063】
下段ブーム12の接地板16は、図4及び図5に示すように下段ブーム12の下端部に対して前後・左右から各ピン18A,18Bで枢支していて、前後及び左右に傾動し得るようになっている。
【0064】
各走行台車3の車輪取付台32には、その外周部分に後述する走行台車吊持用のワイヤーロープ60(図7)の下部側を連結するためのブラケット35(図4〜図6)が取付けられている。このブラケット35は、走行台車3をワイヤーロープ60で吊持する際に、該走行台車3を水平姿勢に維持させるために複数箇所(図示例では4箇所)に設けているが、実際に走行台車3を吊持する場合には、重量バランスを維持させ得る3箇所のブラケット35,35,35に対してワイヤーロープ60の下部に設けた3本の分岐ロープの各係止具60b,60b,60b(図7)を連結するとよい。尚、走行台車3を吊持するワイヤーロープ60としては、該走行台車3を水平姿勢で吊持し得るものであれば適宜の形態のものが採用できる。
【0065】
又、各走行台車3,3・・の車輪取付台32には、その外周部分の4箇所に後述する連結具9の端部を係止するための係合ピン39が立設されている。
【0066】
パワーユニット5は、この自走式リフターの各種動力源となるもので、昇降フレーム10上に設置されている。このパワーユニット5には、図3に示すように、油圧発生装置としてエンジン51、油圧ポンプ52、作動油タンク53があり、このほかに関連部品としてバッテリー54や燃料タンク55等がある。
【0067】
ところで、パワーユニット5を昇降フレーム10に設置する場合は、該パワーユニット5によってリフター本体1の全高が高くならないようにするために、昇降フレーム10を各ジャッキ11の上段ブーム14に対して該上段ブーム14の上端部よりパワーユニット5の最高高さ範囲だけ段下げした位置に固定している(パワーユニット5の最高高さと各ジャッキ11の上段ブーム14の上面とが同高さになるようにしている)。
【0068】
パワーユニット5は、主として各ジャッキ11の油圧シリンダに動力(作動油)を供給するものであるが、各揺動アーム21用の各揺動シリンダ23や、各走行台車3の走行駆動装置(油圧モータ)34及びジャッキ4にもそれぞれ作動油を供給するようにしている。尚、走行台車3はジャッキ11の伸縮によってパワーユニット5からの距離が変化するので、油圧ホース(図示省略)をそれぞれホースリールを介して走行台車3の油圧モータ34(及びジャッキ4の油圧シリンダ)まで延出させている。又、各走行台車3は、それぞれ着脱自在になっているので、各油圧ホースの先端は走行駆動装置34の油圧モータやジャッキ4の各ジョイント部に着脱自在となっている。
【0069】
尚、この自走式リフターの各種駆動部分は、地上から遠隔操作によって発停制御し得るようになっている。
【0070】
このリフターでは、各ジャッキ11の上部(上段ブーム14)は昇降フレーム10で強固に連結されているが、該ジャッキ11の下部(下段ブーム12)は特に連結していない(傾動方向の強度が弱い)。そこで、この実施例では、各ジャッキ11の下端部に装着される各走行台車3同士を前後左右の4本の連結具9で連結し得るようにしている。
【0071】
この各連結具9は、それぞれ長さ調節自在であり、且つ連結具9の各端部をそれぞれ各走行台車3のジャッキ連結台31上に立設した係合ピン39に対して係脱自在に係合させ得るようになっている。尚、連結具9の両端部には、左右各逆向きのネジ部分を有し、連結具9を回転させることによってその全長を微調整し得るようになっている。
【0072】
この第1実施例の自走式リフターは、図8〜図20に示すように自力でトラック8の荷台81に対して乗降させ得るようになっているが、この自走式リフターには、トラック荷台81上に積載した各走行台車3をトラック荷台81から乗降させるための走行台車積み降ろし装置6を備えている。
【0073】
この実施例の走行台車積み降ろし装置6は、図1〜図3及び図7に示すように、昇降フレーム10の四隅近傍において各走行台車吊持用アーム61を昇降フレーム10に対してそれぞれ支軸62により水平回動可能に枢支しているとともに、各走行台車吊持用アーム61の先端部61a(図7)にワイヤーロープ60の上端部60aを着脱自在に連結し得るようにしたものである。
【0074】
各走行台車吊持用アーム61の長さはそれぞれ150cm程度である。そして、この各走行台車吊持用アーム61は、図7に示すように該走行台車吊持用アーム61の基端部を支軸62により水平回動可能に枢支している。走行台車吊持用アーム61の支軸62は、図7に示すように昇降フレーム10に鉛直姿勢で固定されており、該支軸62に対して軸受62aを介して走行台車吊持用アーム61の基端部が回動し得るようになっている。
【0075】
又、この第1実施例では、各走行台車吊持用アーム61の支軸62と各揺動アーム21の支軸22とは、図7に示すように揺動アーム側支軸22が上で走行台車吊持用アーム側支軸62が下になる状態で上下同軸上に配置している。そして、該両支軸22,62は、その各中心穴に1本のボルト71を貫通させ、該ボルト71の上下両端部にそれぞれナット72,73を螺合・緊締させて一体化させている。
【0076】
各走行台車吊持用アーム61の先端部61aには、図7に示すようにワイヤーロープ60の上端部60aを連結ピン64により係脱自在に連結し得るようになっている。
【0077】
ワイヤーロープ60は、後述する(図10〜図12)ように走行台車吊持用アーム61の先端部61aから走行台車3を吊持するためのものであり、2〜3m程度の長さを有している。又、このワイヤーロープ60の下端側は、図7に示すように3本に分岐させており、該3本の分岐ロープのそれぞれ先端に走行台車3の各ブラケット35に係止できる係止具(図示例ではフック)60b,60b,60bを取付けている。
【0078】
次に、図8〜図20を参照して、第1実施例の走行台車積み降ろし装置付き自走式リフターをトラック荷台81からの積み降ろすための作業手順を説明する。尚、図8〜図20において、各(A)図はリフターの左側面を前面にした図(図1相当図)であり、各(B)図は各(A)図の右側面図(図2相当図)である。
【0079】
この第1実施例の自走式リフターは、図8に示すように、リフター本体1から各走行台車3を分離し、該リフター本体1と各走行台車3をそれぞれ同じトラック8の荷台81に積載して搬送される。尚、このとき、各揺動アーム21はアーム格納位置A(図3)にあり、各走行台車吊持用アーム61も前後方向に向く格納位置にある。又、各走行台車3は、トラック荷台81上における各揺動アーム21の先端部の直下付近に位置させておくとよい。
【0080】
ところで、公道をトラック輸送するときには、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)があるが、図8に示すようにリフター本体1から各走行台車3を外した状態でそれぞれトラック荷台81上に積載すると、自走式リフターであっても法令による高さ制限(3.8m)の範囲内で搬送できる。又、このように、各走行台車3を外すと、該走行台車3の高さ分だけリフターの全高を低くできるが、これにより各ジャッキ11を最縮小させた状態でのリフター本体1の高さを許容限度付近まで高く設定でき、その結果、各ジャッキ11の単ブーム長さを長くして、昇降フレーム10部分の昇降ストローク(図1、図2の符号S)を大きくできることになる。
【0081】
図8の状態で使用現場まで搬送した後、該使用現場でリフターの組立て及び積み降ろしを行うが、リフターの組立て及び積み降ろし時には、パワーユニット5を作動させて作動油を供給可能にしておく。
【0082】
そして、図9(A)(B)に示すように、使用現場において各ジャッキ11をトラック荷台81上で若干長さだけ伸長させて各ジャッキ11でリフター本体1を支持した後、各(4本)補助脚25をトラック荷台81上に接地するまで降ろしてそれぞれ固定(ピン固定)する。
【0083】
次に、図10(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて該ジャッキの下端をトラック荷台81から離間させ、続いて各揺動シリンダ23を伸長させて各揺動アーム21を左右各斜め外方に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで水平回動させる。このように、最初は各揺動アーム21を左右各斜め外方に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで回動させるが、この理由は後述するように各走行台車吊持用アーム61で吊持した走行台車3をジャッキ最大張り出し位置付近(図3のアーム作業位置B)に吊り降ろすのに該ジャッキが邪魔にならないようにするためである。尚、この図10の状態では、リフター本体1は4本の補助脚25でトラック荷台81上に支持されている。又、この作業の前後で、各走行台車吊持用アーム61の先端部60a(図7)にワイヤーロープ60の上端部60aを連結し、該ワイヤーロープ下部の分岐ロープ先端の各係止具60b(3つ)をそれぞれ走行台車3の各ブラケット35(3箇所)に連結しておく。尚、ワイヤーロープ60による連結は、4つの走行台車3についてそれぞれ行う。
【0084】
次に、図11(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を伸長させて接地させた後、各ジャッキ11をさらに伸長させて昇降フレーム10を上動させ、各走行台車3をトラック荷台81上において各走行台車吊持用アーム61でそれぞれ吊持させる。尚、この状態では、各走行台車3はトラック荷台81の上面から若干高さだけ浮上している。そして、各走行台車3を吊持した状態で手動により各走行台車吊持用アーム61を走行台車3とともに外側90°の位置(図3のアーム作業位置B)まで水平回動させる。このとき、各走行台車吊持用アーム61の先端部及び各走行台車3がそれぞれ図11(A)(B)に鎖線図示(符号61′,3′)するようにトラック荷台81の左右外側位置(図3のアーム作業位置B)まで移動している。
【0085】
次に、図12(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を、各走行台車吊持用アーム61で吊持している各走行台車3が接地するまで縮小させ、各走行台車3が接地した後、各ワイヤーロープ60を外す。尚、地上に降ろした各走行台車3は、後述(図13)するように各ジャッキ11の下端部に組付けるための正確な組付位置(接地板16の各ピン穴17が走行台車3側の各突起ピン36に合致する位置)から位置ずれしていることがほとんどである。そして、各走行台車3が大重量で手押しによる位置調整がしにくい場合には、地上に降ろした各走行台車3を正確な組付位置に位置調整(芯出し)するために、図13〜図15に示す各作業を行う。
【0086】
即ち、図13(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて4本の補助脚25をトラック荷台81上に接地させてリフター本体1を各補助脚25で支持させ、さらに各ジャッキ11をその下端が地上にある走行台車3の上面より上方となる位置まで縮小させた後、各揺動シリンダ23を伸長させて各揺動アーム21を左右外側90°位置(図3のアーム作業位置B)まで回動させる。この状態では、各ジャッキ11が、先に地上に降ろした各走行台車3の直上方近傍に位置している。
【0087】
次に、図14(A)(B)に示すように、各ジャッキ11に縮小代を残した状態で、各ジャッキ11の接地板16の外周部(例えばピン穴17を利用)と各走行台車3の各ブラケット35とを複数本(図示例では3本)の短小ロープ70で結ぶ。この各(3本)短小ロープ70は、走行台車3を吊上げたときに(図15に示す3点吊持したときに)該走行台車3をほぼ水平姿勢にし得る長さのものが使用され、且つ該各短小ロープ70の連結位置を、走行台車吊上げ状態で該走行台車3側の各突起ピン36(図4)がジャッキの接地板16の各ピン穴17(図4)にそれぞれ上下対応する位置に位置決めし得るように設定している。
【0088】
次に、図14の状態から、図15(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を縮小させて各走行台車3をそれぞれ短小ロープ70で吊持する。この状態では、各走行台車3側の各突起ピン36(図4)が各ジャッキ11の接地板16の各ピン穴17(図4)に対して正確に上下対応する位置にある。そして、図15の状態から各ジャッキ11を伸長させて各走行台車3を接地させ、各短小ロープ70を取外す。
【0089】
次に、図16(A)(B)に示すように、各ジャッキ11をさらに伸長させてその各接地板16をそれぞれ各走行台車3の上面に接合させるが、このとき図5に示すように接地板16の各ピン穴17がそれぞれ走行台車3側の各突起ピン36に嵌合する。そして、該接地板16を走行台車3の上面に接合させた後、図5に示すように各止め具37で接地板16の外周縁部を押えれば、走行台車3の組付作業が完了する。このように走行台車3の組付状態では、リフター本体1が4つの走行台車3で支持されていて各補助脚25は用済みとなるので、該各補助脚25を昇降フレーム10に対して上方にスライドさせておくか(図17の状態)、あるいは昇降フレーム10から抜外してもよい。
【0090】
尚、走行台車3の地上での位置調整を手押し操作で比較的簡単に行える場合には、図14〜図15の短小ロープ70による芯出し作業を省略して、手押しにより走行台車3を位置調整するようにしてもよい。
【0091】
次に、図16の状態から、図17(A)(B)に示すように、各ジャッキ11を大きく伸長させて、昇降フレーム10をトラック抜出し可能高さまで上動させる。
【0092】
次に、図18(A)(B)に示すように、トラックをリフター内から抜出す。このトラック抜出しの前後に、前後に位置する2つの走行台車3,3同士(左右一対ある)をそれぞれ連結具9で連結する。尚、このときには、左右の走行台車同士は、まだ連結具で連結しない。
【0093】
次に、図19(A)(B)に示すように、荷物(大型重量物)Yを積載したトラック8をリフター内の空間部に進入させ、トラック荷台81上の該荷物Yにワイヤーロープを結んで各支持具19,19に掛ける。その後、各ジャッキ11を伸長させて該荷物Yを持上げ、空のトラック8を前進させてリフター部分から除去する。
【0094】
次に、図20(A)(B)に示すように、左右に位置する2つの走行台車3,3同士(前後一対ある)をそれぞれ連結具9で連結する。この状態では、4つの走行台車3が4本の連結具9で四角形状に連結されており、各ジャッキ11の下部側も補強される。そして、この図20(A)(B)の状態(荷物Yを地面から浮かせた状態)で、各走行台車3によりリフターを荷物Yとともに目的位置まで移動させることができる。
【0095】
又、その移動途中でリフターの進行方向を変更(修正)するには、各走行台車3に設けたジャッキ4(図5)を伸長させて(図5に鎖線図示するようにジャッキ接地板41が接地した後、リフターを押し上げる)、各走行台車3の全車輪33を地面から浮上させる。この状態では、走行台車3の車輪取付台32に荷重がかかっていないので、該車輪取付台32をジャッキ連結台31に対して人力で水平回転させることができる。そして、各車輪33を所望に進行方向に向けた後、各ジャッキ4を縮小させて各車輪33を接地させ、各走行駆動手段34によりリフターを所望方向に進行させることができる。
【0096】
そして、荷物Yを所定位置まで運び、そこで各ジャッキ11を縮小させることにより、該荷物Yを所定位置に設置することができる。その後、荷物Yからワイヤーロープを外し、前後に位置する連結具9を各走行台車3から外せば、リフターを荷物Y上から移動させることができる。
【0097】
又、空のリフターをトラック荷台81上に積み込むには、次の手順で行う。即ち、各ジャッキ11を伸長させて昇降フレーム10を上動させ(図18の状態)→昇降フレーム10の下方空間部にトラック8の荷台81を進入させ(図17の状態)→各ジャッキ11をある程度縮小させて、昇降フレーム10に4本の補助脚25を所定高さに装着し→さらに各ジャッキ11を縮小させて各補助脚25の下端をトラック荷台81上面に接地させて該各補助脚25でリフターを支持し(図16の状態)→各走行台車3をそれぞれジャッキ11の下端部から取外し(図13の状態)→各揺動シリンダ23を少し縮小させて各揺動アーム21を斜め方向に向く位置(図3のアーム傾斜位置C)まで回動させた後、各ジャッキ11を接地するまで伸長させ(各ジャッキが図12の状態となる)→各走行台車吊持用アーム61をそれぞれ外側に回動させて、該アーム先端部と走行台車3とを吊持用のワイヤーロープ60で連結し(図12の状態)→各ジャッキ11を伸長させて各走行台車吊持用アーム61から吊持されている各走行台車3をトラック荷台81の上面より上方位置まで吊上げ(図11の鎖線図示状態)→各走行台車吊持用アーム61を走行台車3とともにトラック荷台81上まで回動させた後、各ジャッキ11を縮小させて各走行台車3をトラック荷台81上に載せ、さらに各ジャッキ11を縮小させてジャッキ下端がトラック荷台81の上面より高位置になるまで持ち上げ(このときリフター本体1は各補助脚25で支持され、図10の状態となる)→その後、各揺動シリンダ23を縮小させて各揺動アーム21を前後各外方に向く位置(図3のアーム格納位置A)まで回動させると、図8に示すようにリフター本体1および各走行台車3を同じトラック8の荷台81上に積み込むことができる。
【0098】
このように、この実施例の自走式リフターでは、リフター本体1を自力でトラック荷台81から乗降させ得るとともに、各走行台車3も走行台車積み降ろし装置6を併用して自力でトラック荷台81から乗降させることができる。従って、この第1実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた自走式リフターでは、リフター本体1と各走行台車3を分離した状態でトラック輸送しても、トラック荷台81に対してそれぞれ自力で(別のクレーンを使用することなく)乗降させることができる。
【0099】
又、この第1実施例では、走行台車積み降ろし装置6を昇降フレーム10の四隅付近にそれぞれ設けているので、4つの走行台車3をそれぞれのジャッキ11の近傍位置に降ろすことができ、位置調整のための各走行台車3の手押し移動が不要になるか又はその手押し移動距離が短くなり、しかも各走行台車積み降ろし装置6で4つの走行台車3を同時に積み降ろし操作できる。
【0100】
さらに、この第1実施例で使用されているリフター本体1は、各ジャッキ取付アーム21として揺動アームを使用し、該各揺動アーム21の支軸22と各走行台車吊持用アーム61の支軸62とを同軸上に配置しているので、走行台車吊持用アーム61の先端部から吊り下げた走行台車3をジャッキ3の近傍位置まで移動させるための該走行台車吊持用アーム61の長さを最小にできる。
【0101】
図21〜図22に示す第2実施例
図21〜図22に示す第2実施例では、リフター本体1として、略矩形の昇降フレーム10の前後各部に、それぞれ出没アーム(ジャッキ取付アームとなる)21Aが左右外向き方向に出没する一対ずつ(合計4つ)の伸縮ビーム20を取付け、該各伸縮ビーム20の各出没アーム21Aの先端部にそれぞれジャッキ11を取付けたものを使用している。尚、伸縮ビーム20の出没アーム21Aは、ビーム内に内蔵された油圧シリンダで出没せしめられる。
【0102】
この第2実施例のリフター本体1は、図21及び図22に実線図示するように各出没アーム21Aが全没入した状態では、各ジャッキ11,11・・がそれぞれトラック荷台81上に格納されるアーム格納位置となり、各出没アーム21Aが鎖線図示(符号21A′)するように全突出した状態では、各ジャッキがそれぞれ符号11′の位置まで突出するアーム作業位置(左右のジャッキ11,11がトラック荷台81を左右に跨ぐ位置)となる。
【0103】
尚、リフター本体1のその他の構成及び各走行台車3の構成は、上記第1実施例のものと同じであるので、その第1実施例の説明を援用する。
【0104】
そして、この第2実施例の自走式リフターも、各走行台車3がリフター本体1(各ジャッキ11)に対して着脱できるようになっているとともに、リフター本体1を上記第1実施例と同様にトラック荷台81に対して自力で乗降させ得るようになっている。
【0105】
この第2実施例の自走式リフターにも、各走行台車3を自力で積み降ろしするための走行台車積み降ろし装置6が装備されている。この各走行台車積み降ろし装置6の基本構成は、上記第1実施例のものと同じであり、昇降フレーム10の四隅近傍にそれぞれ走行台車吊持用アーム61を支軸62で枢支している。そして、この各走行台車吊持用アーム61は、前後方向に向く格納位置と左右外向きの角度90°位置まで回動した位置(符号61′の位置)との間で水平回動し得るようになっている。
【0106】
そして、この第2実施例の各走行台車積み降ろし装置6でも、走行台車吊持用アーム61の先端部からワイヤーロープ60を吊下して、該各ワイヤーロープ60を介して各走行台車3を吊上げることができ、その走行台車吊持状態で走行台車吊持用アーム61を水平回動せさ得るようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本願実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた自走式リフターの側面図である。
【図2】図1の自走式リフターの右側面図である。
【図3】図1の自走式リフターの平面図である。
【図4】図1の自走式リフターにおける走行台車の分離状態の拡大図である。
【図5】図4の組付状態図である。
【図6】図4の走行台車の平面図である。
【図7】図3のVII−VII拡大断面図である。
【図8】図1のリフター本体及び走行台車のトラック荷台積み込み状態図である。
【図9】図8からのリフター積み降ろし時の状態変化図である。
【図10】図9からのリフター積み降ろし時の状態変化図である。
【図11】図10からの走行台車積み降ろしの説明図である。
【図12】図11からの状態変化図である。
【図13】図12からの状態変化図である。
【図14】図13からの走行台車芯出し方法の説明図である。
【図15】図14からの状態変化図である。
【図16】図15から走行台車にジャッキを接続した状態図である。
【図17】図16からの状態変化図である。
【図18】図17の状態からトラックを退出させた状態図である。
【図19】図18から荷物積載トラックをリフター内に進入させた状態図である。
【図20】荷物を受取ったリフターの走行説明図である。
【図21】本願実施例の走行台車積み降ろし装置を備えた他の構造の自走式リフターの平面図(図3相当図)である。
【図22】図21の自走式リフターをトラックに積載した状態図である。
【図23】公知のリフターの説明図である。
【図24】図23からの状態変化図である。
【符号の説明】
【0108】
1はリフター本体、3は走行台車、5はパワーユニット、6は走行台車積み降ろし装置、10は昇降フレーム、11はジャッキ、21はジャッキ取付アーム(揺動アーム)、21Aはジャッキ取付アーム(出没アーム)、22は支軸、25は補助脚、60はワイヤーロープ、61は走行台車吊持用アーム、62は支軸、81はトラック荷台である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部にジャッキ(11)を取付けた4つのジャッキ取付アーム(21,21A)を略矩形の平面形態をもつ昇降フレーム(10)の四隅近傍にそれぞれ設置し、前記4本のジャッキ(11)の各下部にそれぞれ走行台車(3)を着脱自在に取付け得るようにした自走式リフターであって、該リフターをトラック荷台(81)上に積載した状態で前記各ジャッキ取付アーム(21,21A)が、各ジャッキ(11)をそれぞれトラック荷台(81)上に格納するアーム格納位置と各ジャッキ(11)をそれぞれトラック荷台(81)の左右外側にはみ出させるアーム作業位置との間で変位可能にしてリフター本体(1)を自力でトラック荷台(81)上から積み降ろしできるようにした自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおいて、
先端部にワイヤーロープ(60)を取付け得る走行台車吊持用アーム(61)を前記昇降フレーム(10)に対して支軸(62)により水平回動可能に枢支しているとともに、 前記走行台車吊持用アーム(61)は、トラック荷台(81)上に積載した走行台車(3)を前記ワイヤーロープ(60)を介して吊持し得る位置と、該ワイヤーロープ(60)を介して吊持した走行台車(3)をトラック荷台(81)の左右外側まで移動させる位置との間で水平回動し得るようにしている、
ことを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【請求項2】
請求項1において、4つの走行台車吊持用アーム(61)が、昇降フレーム(10)の四隅付近においてそれぞれ支軸(62)により水平回動可能に枢支されていることを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、リフター本体(1)として4つのジャッキ取付アーム(21)をそれぞれ支軸(22)により水平回動可能に枢支したものを採用しているとともに、走行台車吊持用アーム(61)を枢支している支軸(62)が前記ジャッキ取付アーム(21)を枢支している支軸(22)と同軸上に配置されていることを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【請求項1】
先端部にジャッキ(11)を取付けた4つのジャッキ取付アーム(21,21A)を略矩形の平面形態をもつ昇降フレーム(10)の四隅近傍にそれぞれ設置し、前記4本のジャッキ(11)の各下部にそれぞれ走行台車(3)を着脱自在に取付け得るようにした自走式リフターであって、該リフターをトラック荷台(81)上に積載した状態で前記各ジャッキ取付アーム(21,21A)が、各ジャッキ(11)をそれぞれトラック荷台(81)上に格納するアーム格納位置と各ジャッキ(11)をそれぞれトラック荷台(81)の左右外側にはみ出させるアーム作業位置との間で変位可能にしてリフター本体(1)を自力でトラック荷台(81)上から積み降ろしできるようにした自力で積み降ろし可能な自走式リフターにおいて、
先端部にワイヤーロープ(60)を取付け得る走行台車吊持用アーム(61)を前記昇降フレーム(10)に対して支軸(62)により水平回動可能に枢支しているとともに、 前記走行台車吊持用アーム(61)は、トラック荷台(81)上に積載した走行台車(3)を前記ワイヤーロープ(60)を介して吊持し得る位置と、該ワイヤーロープ(60)を介して吊持した走行台車(3)をトラック荷台(81)の左右外側まで移動させる位置との間で水平回動し得るようにしている、
ことを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【請求項2】
請求項1において、4つの走行台車吊持用アーム(61)が、昇降フレーム(10)の四隅付近においてそれぞれ支軸(62)により水平回動可能に枢支されていることを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、リフター本体(1)として4つのジャッキ取付アーム(21)をそれぞれ支軸(22)により水平回動可能に枢支したものを採用しているとともに、走行台車吊持用アーム(61)を枢支している支軸(62)が前記ジャッキ取付アーム(21)を枢支している支軸(22)と同軸上に配置されていることを特徴とする自力で積み降ろし可能な自走式リフターの走行台車積み降ろし装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2009−120296(P2009−120296A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294530(P2007−294530)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(393008360)株式会社タダノエンジニアリング (15)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(393008360)株式会社タダノエンジニアリング (15)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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