説明

自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場

【課題】機械式駐車場の車両用パレットに駐車させる自動二輪車が転倒しないよう確実に固定された状態にした自動二輪車用スタンドを提供する。
【解決手段】機械式駐車場の搭載位置で搭載した自動二輪車Mbを車両用パレット上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンド1が、自動二輪車Mbを搭載して入出庫位置と格納位置との間を移動可能な台車フレーム10と、台車フレーム10に取り付けられて前輪Fwを自立可能に保持する前輪保持具20と、座席部Sを台車フレーム10に固定する座席固定具30とを具備してなり、座席固定具30は、両端に係止部32を備えて座席部Sに掛け回される固縛具31と、係止部32を係合させて固縛具31を固定する係止リング15とを備え、係止リング15が、台車フレーム10に固定して自動二輪車Mbの左右両側に設置され、左右の少なくとも一方に2箇所以上設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場の車両用パレットに自動二輪車を駐車可能とする自動二輪車用スタンド、そして、この自動二輪車用スタンドを備えた機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、狭い土地を有効に活用できることから、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式及びエレベータ方式等の機械式駐車場が普及している。このような機械式駐車場は、入庫した自動車を車両用パレットに搭載し、車両用パレットとともに駐車位置まで移動させて収容する装置である。
このような機械式駐車場においては、近年の道路交通法改正により自動二輪車の駐車場需要が高まっていることから、従来の自動車に加えて自動二輪車の駐車も可能にすることが求められている。
【0003】
自動車及び自動二輪車を混在させて収容可能な機械式駐車場としては、たとえば下記の特許文献1において、車両用パレットに自動二輪車専用パレットを重ねて載置する方式のミックス型駐車装置が提案されている。この自動二輪車専用パレットは、車両用パレットの長手方向に移動自在とされ、自動二輪車の前輪を保持する係留ホルダーを備えている。さらに、特許文献1の自動二輪車専用パレットは、自動二輪車の座席部分を上方から固定するためのタイダウン装置を備えることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−257071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、市中を走行する自動二輪車は、たとえばスポーツタイプやスクータータイプ等のように種々の形状があり、しかも、大型から小型までサイズも異なっている。
しかし、上述した特許文献1に記載のミックス型駐車装置は、自動二輪車の座席部分をタイダウン装置により固定しているが、このタイダウン装置は、自動巻取り・ラチェット締込式のタイダウンベルト1本による固定であり、しかも、タイダウンベルトの先端部に取り付けられたフックを掛ける止め金は1箇所しかない。
【0006】
このため、自動二輪車専用パレットの移動時や車両用パレットの移動時において、形状やサイズが異なる多種多様の自動二輪車を確実に固定して転倒を防止することは困難である。すなわち、市販されている自動二輪車は、形状やサイズによって座席位置が異なるため、1箇所の固定位置(止め金)に係止する1本のタイダウンベルトを用いて座席部分を固定するだけの従来構造では、各種の自動二輪車に対する転倒防止として不十分になる場合がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機械式駐車場の車両用パレットに各種の自動二輪車を駐車させる際、自動二輪車が転倒しないよう確実に固定された状態で駐車できるようにした自動二輪車用スタンド、そして、この自動二輪車用スタンドを備えた機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の自動二輪車用スタンドは、機械式駐車場の搭載位置で搭載した自動二輪車を車両用パレット上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンドであって、前記自動二輪車を搭載して前記搭載位置と前記格納位置との間を移動可能な台車フレームと、該台車フレームに取り付けられて前記自動二輪車の前輪を自立可能に保持する前輪保持具と、前記自動二輪車の座席部を前記台車フレームに固定する座席固定具とを具備し、前記座席固定具は、両端に係止部を備えて前記座席部に掛け回される固縛具と、前記係止部を係合させて前記固縛具を固定する固縛具固定具とを備え、該固縛具固定具が、前記台車フレームに固定して前記自動二輪車の左右両側に設置されるとともに、左右の少なくとも一方に2箇所以上設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
このような本発明の自動二輪車用スタンドによれば、自動二輪車を搭載して搭載位置と格納位置との間を移動可能な台車フレームと、台車フレームに取り付けられて自動二輪車の前輪を自立可能に保持する前輪保持具と、自動二輪車の座席部を台車フレームに固定する座席固定具とを具備し、座席固定具は、両端に係止部を備えて座席部に掛け回される固縛具と、係止部を係合させて固縛具を固定する固縛具固定具とを備えており、そして、固縛具固定具は、台車フレームに固定して自動二輪車の左右両側に設置されるとともに、左右の少なくとも一方に2箇所以上設けられているので、固縛具により座席部を台車フレームに固定する際には、自動二輪車の形状やサイズに応じて2箇所以上の中から最適のものを適宜選択して使用することでき、従って、確実な固定が可能となる。
【0009】
上記の発明において、前記固縛具は長さ調整可能なベルトであることが好ましく、これにより、複数の固縛具固定具を容易に選択使用して座席部の確実な固定が可能となる。
【0010】
上記の発明において、前記固縛具固定具は、略半円形状とした係止開口を備えていることが好ましく、これにより、係止部を係合させて固縛具を固定する作業が容易になる。
【0011】
上記の発明において、前記固縛固定具は前記自動二輪車の左右に防塵カバー設置用を含む2箇所以上設けられているが好ましく、これにより、機械式駐車場の可動部からオイル等が落下して自動二輪車に付着することを防止できる。
【0012】
本発明の機械式駐車場は、車両を搭載した車両用パレットを駐車位置まで移動させて収容する機械式駐車場において、請求項1から4のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたことを特徴とするものである。
【0013】
このような機械式駐車場によれば、請求項1から4のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたので、固縛具により自動二輪車の座席部を台車フレームに固定する際には、自動二輪車の形状やサイズに応じて2箇所以上の中から最適のものを適宜選択して使用することにより、確実な固定が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によれば、機械式駐車場の車両用パレットに各種の自動二輪車を駐車させる場合には、自動二輪車の形状やサイズに応じて最適な位置にある固縛具固定具を使用し、自動二輪車の座席部を確実に固定することができる。このため、車両用パレットを駐車位置まで移動させるような状況でも、自動二輪車が転倒しないように確実に固定された状態での駐車が可能になるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る自動二輪車用スタンドの一実施形態を示す図で、自立した自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して固定した状態を示す側面図である。
【図2】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納する状態(搭載位置及び格納位置)を示す平面図である。
【図3】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納した状態(格納位置)を示す側面図である。
【図4】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納した状態(搭載位置)を示す側面図である。
【図5】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納した状態(格納位置)を示す正面図である。
【図6】自動二輪車用スタンドの構成例を示す平面図である。
【図7】図6に示す自動二輪車用スタンドの側面図である。
【図8】機械式駐車場の一例として垂直循環方式の概要を示す斜視図である。
【図9】図1の第1変形例を示す図で、自立した自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して固定した状態を示す側面図である。
【図10】図1の第2変形例を示す図で、自立した自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して固定した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図8に示す機械式駐車場Pは、一般的に垂直循環方式と呼ばれるものである。この垂直循環方式では、自動車を駐車させて保管する複数の車両用パレットCpを備えており、各車両用パレットCpは、エンドレスチェーン(不図示)に吊り下げられて、垂直面内において長円形または円形に配置されている。
【0017】
このような垂直循環方式の機械式駐車場Pは、各車両用パレットCpが、入出庫位置及び駐車位置の間をエンドレスチェーンとともに連続循環するように構成されている。
なお、入出庫位置は、自動車を車両用パレットCpに載せるとともに、自動車を車両用パレットCpから取り出すためのパレット位置であり、図示の構成例では、長円形に連続循環する下部で入出庫する下部乗入式が採用されている。
【0018】
以下では、上述した機械式駐車場Pの車両用パレットCpに対し、自動二輪車の駐車を可能にする自動二輪車用スタンドについて、図1から図7を参照して説明する。
図示の自動二輪車用スタンド1は、機械式駐車場Pの車両用パレットCpが入出庫位置にあるとき、搭載位置で搭載した自動二輪車Mbを車両用パレットCp上の格納位置まで移動させて格納する器具である。この自動二輪車用スタンドCpは、自動二輪車Mbを搭載して搭載位置と格納位置との間を移動可能な台車フレーム10と、この台車フレーム10に取り付けられて自動二輪車Mbの前輪Fwを自立可能に保持する前輪保持具20と、自動二輪車の座席部Sを台車フレーム10に固定する座席固定具30とを具備している。
【0019】
台車フレーム10は、たとえば図6及び図7に示すように、自動二輪車Mbの幅と略一致するよう平行に配置した左右一対の主部材10aを複数の結合部材で連結し、自動二輪車Mbの全長よりも長い細長の矩形状に形成したものである。台車フレーム10の主部材10aには、たとえば車両用パレットCp側に敷設したガイドレール等によるスムーズな移動を可能にするため、左右一対の車輪11が複数組(図示の例では7組)取り付けられている。また、台車フレーム10の一端部側には、台車フレーム10を移動させる際に使用するハンドル12が設けられている。
【0020】
上述した台車フレーム10において、図中の符号13は、自動二輪車Mbの前輪Fwを前輪保持具20に着脱する際にスムーズな移動を可能にするガイド板であり、図中の符号14は、前輪保持具20を固定設置する支持部材である。
そして、上述した台車フレーム10には、後述する座席固定具30の固縛具固定具として機能する係止リング15が左右両側の主部材10aに設けられている。
【0021】
前輪保持具20は、台車フレーム10に取り付けられて自動二輪車Mbの前輪Fwを自立可能に保持する器具である。すなわち、前輪保持具20は、自立スタンドを上げた状態にある自動二輪車Mbの前輪Fwを保持し、倒れないように支持して自立させる器具であり、種々市販されているものから適宜選択して使用すればよい。
従って、台車フレーム10に搭載した自動二輪車Mbは、前輪保持具20によって自立した状態を維持することができる。
【0022】
座席固定具30は、自動二輪車の座席部Sを台車フレーム10に固定する器具である。すなわち、座席固定具30は、台車フレーム10に搭載され、前輪保持具20によって自立した状態の自動二輪車Mbをより確実に固定するために使用する補助器具である。
この座席固定具30は、固縛具31と、固縛具固定具として機能する係止リング15とを具備して構成される。
【0023】
固縛具31は、たとえば両端に係止部32を備えたベルト状の部材であり、特に、容易に長さを調節可能な幅広のベルトを使用することが望ましい。この場合の係止部32としては、たとえばフック等を使用すればよい。
係止リング15は、上述した台車フレーム10の主部材10aに設けられ、固縛具31の係止部32を係合させて固定するための部材である。この係止リング15は、主部材10aの上面に長手方向へ並べて複数(図示の構成例では5個)設置されており、たとえば棒材を半円形状に成形して両端部を溶接等により固定したものが好ましい。なお、係止リング15の設置位置は主部材10aの上面に限定されることはなく、たとえば主部材10aの側面や台車フレーム10を構成する他の部材でもよい。
【0024】
また、上述した係止リング15は、台車フレーム10の所定位置に搭載した自動二輪車Mbに対し、座席部Sの左右両側となる位置及びその近傍位置に配置されていることが望ましい。すなわち、係止リング15は、座席固定具30の固縛具固定具として機能する部材であるから、座席部Sに掛け回される固縛具31の係止部32を容易かつ確実に係合させることができ、固縛具31による自動二輪車Mbの固定を容易かつ確実に実施できる位置に設けられていることが必要である。
このような係止リング15を設置することにより、本実施形態の台車フレーム10は、略半円形状とした係止開口を備えた固縛具固定具が左右の少なくとも一方に2箇所以上設けられたものとなる。
【0025】
このように構成された自動二輪車用スタンド1は、以下に説明するような手順により、搭載位置で自動二輪車Mbを搭載し、車両用パレットCp上となる機械式駐車場Pの格納位置まで移動させることで、機械式駐車場P内に格納して自動二輪車Mbを駐車させることができる。
図2において、車両用パレットCpには、2台の自動二輪車用スタンド1A,1Bを平行に配置し、各々が単独でガイドレールRに沿って搭載位置と格納位置との間を前後方向に移動可能となっている。図示の例では、一方の自動二輪車用スタンド1Aが前方へ移動した格納位置にあり、他方の自動二輪車用スタンド1Bが後方へ移動した搭載位置にあるが、以下の説明において、明確な区別が不要である場合には単に自動二輪車用スタンド1とする。なお、図中の符号40は、後述する入出庫待機位置である。
【0026】
格納位置の自動二輪車用スタンド1Aは、図2及び図3に示すように、自動二輪車Mbを搭載または空の状態で車両用パレットCp上の所定位置にあり、図示しないロック機構等により前後方向へ移動しないよう確実に固定されている。この格納位置は、自動二輪車用スタンド1A及び搭載した自動二輪車Mbが機械式駐車場P内を移動する際、機械式駐車場Pの構造物や駆動機構等と干渉しないように設定されている。
【0027】
搭載位置の自動二輪車用スタンド1Bは、図2及び図4に示すように、ロック機構等を解除して格納位置から後方へ引き出した所定位置にある。この搭載位置は、自動二輪車用スタンド1Bの大部分が車両用パレットCp上から外れた位置にある。すなわち、搭載位置の自動二輪車用スタンド1Bは、前端部付近の一部を除く後端部側の大部分が、機械式駐車場Pの車両用パレットCpを連続循環させる可動領域外の入出庫待機位置40にある。この入出庫待機位置40は、機械式駐車場Pに入出庫する自動車や自動二輪車Mbの出入に使用するスペースである。従って、この入出庫待機位置40は、必要に応じて方向転換用のターンテーブル等が設置される場合もある。
なお、図2及び図4に示す自動二輪車Mbは、固縛具31による固定を実施する前、あるいは、固縛具31を取り外した後の状態を示しており、輪保持具20に前輪Fwを保持されて自立している。
【0028】
さて、自動二輪車Mbを機械式駐車場Pに駐車させる場合、連続循環により自動二輪車用スタンド1に空きがある車両用パレットCpを最下段の入出庫位置まで移動させる。このとき、駐車させる自動二輪車Mbは、自動二輪車用スタンド1が引き出される入出庫待機位置40より後方位置のスペースにて待機する。
この後、空の自動二輪車用スタンド1のロック機構を解除し、手動により格納位置から搭載位置まで引き出す。このとき、所定の搭載位置に到達した時点で自動二輪車用スタンド1の移動を規制するストッパや、所定の搭載位置に自動二輪車用スタンド1を保持するロック機構を備えていることが望ましい。
【0029】
こうして自動二輪車用スタンド1が所定の搭載位置まで引き出されると、自動二輪車Mbを引いて自動二輪車用スタンド1上に載せ、前輪保持具20が所定位置に前輪Fwを保持するまで前方へ移動させる。この結果、自動二輪車Mbは、自立可能の状態で搭載されるので、この後、さらに固縛具31を用いて確実に固定する。
このとき、固縛具31の一端にある係止部32を左右いずれか一方の係止リング15と係合させ、さらに、固縛具31が座席部Sの上面を通るようにして反対側へ掛け回す。この後、固縛具31の他端側にある係止部32を左右いずれか他方の係止リング15に係合させて固定する。そして、固縛具31の長さを調整し、緩みがないように締め付けることで、自動二輪車Mbの座席部Sは、最終的に自動二輪車用スタンド1にしっかりと固定される。
【0030】
このような固縛具31による固縛を行って固定する場合、係止リング15が複数設けられているので、自動二輪車Mbの形状やサイズに応じて、複数箇所の中から最適のものを適宜選択して使用することでき、従って、固縛具31による確実な固定が可能となる。すなわち、自動二輪車Mbの形状やサイズに応じて、固縛具31を自動二輪車Mbと略直交するように掛け廻して固定するだけでなく、たとえば図1に示すように、座席部S上に固縛具31を斜めに掛け廻して固定することも可能である。
また、図9に示した第1変形例のように、2本以上の固縛具31を用いることにより、たとえば斜め十文字に交差させて掛け廻すような固定も可能になる。このようにすれば、自動二輪車Mbの固定はより確実で強固なものとなる。
【0031】
こうして固縛具31による固定が完了した後には、搭載位置におけるロック機構等を解除し、自動二輪車Mbが搭載された自動二輪車用スタンド1を手動により前方へ押し込んで車両用パレットCp上の格納位置まで移動させる。このとき、前輪保持具20による前輪Fwの保持に加えて、固縛具31による確実な固定もなされているので、移動時の振動等により自動二輪車Fwが倒れるようなことはない。
所定の格納位置まで移動して格納された自動二輪車用スタンド1は、格納位置で前後方向の移動を防止するロックが施される。この後、必要に応じて車両用パレットCpを連続循環させ、機械式駐車場P内に保管して駐車させる。このような連続循環時においても、前輪保持具20による前輪Fwの保持に加えて、固縛具31による確実な固定もなされているので、移動時の振動等により自動二輪車Fwが倒れるようなことはない。
なお、図5は、自動二輪車用スタンド1に搭載して2台の自動二輪車Mbを車両用パレットCpに格納した状態を示しているが、座席固定具30による固定の図示は省略されている。
【0032】
ところで、上述した実施形態では、固縛具固定具として機能する係止リング15を主部材10aの上面に前後方向へ連続して複数設けているが、たとえば図10に示す第2変形例のように、前輪Fwの近傍となる位置に追設してもよい。この場合に追設した係止リング15は、上述した固縛具31よる固定に加えて、自動二輪車Mbの略全体を覆う防塵カバー50の設置を可能にする。すなわち、左右両側に各々複数の係止部32を備えた面状の防塵カバー50は、バイクの前後方向において複数箇所で係止部32と係止リング15との係合により支持されるので、広げた状態を確実に維持した設置が可能になる。
このような防塵カバー50の設置は、たとえばエンドレスチェーンのような機械式駐車場Pの可動部から潤滑用のオイル等が落下した場合でも、自動二輪車Mbに直接付着することを防止できる。
【0033】
また、上述した実施形態では、固縛具固定具として略半円形状の係止開口を備えている係止リング15を採用したが、たとえば半楕円や略三角形等の係止開口としてもよい。このような形状の係止開口は、たとえば矩形のように直線部を備えたものと比較して係止部32が位置ずれしにくいため、安定した固定状態の維持が可能である。
また、上述した実施形態における固縛具固定具の係止リング15は、棒材を半円形状に成形し、両端部を溶接等により固定して係止開口を形成したが、たとえばパンチングにより複数の係止開口を形成した板材を溶接等により固定設置してもよい。
また、上述した実施形態における固縛具固定具の係止リング15は、主部材10aの上面に対して複数を長手方向へ一直線に並べているが、自動二輪車Mbの幅方向(横方向)にずらして配置したものを含んでもよい。
【0034】
このように、上述した本実施形態の自動二輪車用スタンド1及びこの自動二輪車用スタンド1を備えた機械式駐車場Pによれば、機械式駐車場Pの車両用パレットCpに各種の自動二輪車Mbを駐車させる場合には、自動二輪車Mbの形状やサイズに応じて最適な位置にある係止リング15を複数の中から選択して使用し、自動二輪車Mbの座席部Sを確実に固定することができる。このため、車両用パレットCpを駐車位置まで移動させるような状況でも、自動二輪車Mbが転倒しないように確実に固定された状態での駐車が可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば垂直循環方式の機械式駐車場に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 自動二輪車用スタンド
10 台車フレーム
15 係止リング(固縛具固定具)
20 前輪保持部
30 座席固定具
31 固縛具
32 係止部
50 防塵カバー
P 機械式駐車場
Cp 車両用パレット
Mb 自動二輪車
Fw 前輪
S 座席部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車場の搭載位置で搭載した自動二輪車を車両用パレット上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンドであって、
前記自動二輪車を搭載して前記搭載位置と前記格納位置との間を移動可能な台車フレームと、該台車フレームに取り付けられて前記自動二輪車の前輪を自立可能に保持する前輪保持具と、前記自動二輪車の座席部を前記台車フレームに固定する座席固定具とを具備してなり、
前記座席固定具は、両端に係止部を備えて前記座席部に掛け回される固縛具と、前記係止部を係合させて前記固縛具を固定する固縛具固定具とを備え、該固縛具固定具が、前記台車フレームに固定して前記自動二輪車の左右両側に設置されるとともに、左右の少なくとも一方に2箇所以上設けられていることを特徴とする自動二輪車用スタンド。
【請求項2】
前記固縛具が長さ調整可能なベルトであることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項3】
前記固縛具固定具が略半円形状とした係止開口を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項4】
前記固縛固定具が前記自動二輪車の左右に防塵カバー設置用を含む2箇所以上設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項5】
車両を搭載した車両用パレットを駐車位置まで移動させて収容する機械式駐車場において、
請求項1から4のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたことを特徴とする機械式駐車場。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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