説明

自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場

【課題】自動二輪車の乗降時に車輪が踏むことのないハンドル部を備え、清潔性や利便性を改善した自動二輪車用スタンドを提供する。
【解決手段】格納位置に固定する循環時移動防止ストッパ機構と、所定の搭載位置以上に引き出されないよう制限する過引出防止ストッパ機構と、自動二輪車Mbの乗降をする際に搭載位置に保持する入出庫時移動防止ストッパ機構と、格納位置以上押し込まれないように制限する過押込防止ストッパ機構とを具備し、入出庫時移動防止ストッパ機構は、着脱可能とした手押しハンドル12の着脱操作に連動して動作し、自動二輪車Mbの乗降前に手押しハンドル12を脱にするとロック位置になり、自動二輪車Mbの乗降後に手押しハンドル12を着にするとロック解除位置になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車場の車両用パレットに自動二輪車を駐車可能とする自動二輪車用スタンド、そして、この自動二輪車用スタンドを備えた機械式駐車場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、狭い土地を有効に活用できることから、垂直循環方式、多層循環方式、水平循環方式及びエレベータ方式等の機械式駐車場が普及している。このような機械式駐車場は、入庫した自動車を車両用パレットに搭載し、車両用パレットとともに駐車位置まで移動させて収容する装置である。
このような機械式駐車場においては、近年の道路交通法改正により自動二輪車の駐車場需要が高まっていることから、従来の自動車に加えて自動二輪車の駐車も可能にすることが求められている。
【0003】
自動車及び自動二輪車を混在させて収容可能な機械式駐車場としては、たとえば下記の特許文献1において、車両用パレットに自動二輪車専用パレットを重ねて載置する方式のミックス型駐車装置が提案されている。
この自動二輪車専用パレットは、車両用パレットの長手方向に移動自在とされ、自動二輪車の前輪を保持する係留ホルダーを備えている。
【0004】
さらに、特許文献1の自動二輪車専用パレットは、車両用パレットに出し入れする移動時に利用者が手で押し引きして使用するため、移動方向の後端部(パレット後端部)に立設したハンドル部を備えている。従来のハンドル部は、自動二輪車用パレットに対して自動二輪車を乗降する際、乗降の障害とならないようにするため、乗降する自動二輪車が必ず通過する入出庫待機位置方向へ倒れる可倒方式を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−257071号公報(たとえば、図4を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した自動二輪車専用パレットは、パレット後端部に設けられているハンドル部が自動二輪車の通過する方向へ倒れる構造となっているので、自動二輪車の乗降時には、自動二輪車の車輪がハンドル部を踏むことになる。すなわち、利用者が手で操作するハンドル部に対して、車輪に付着してきた泥等の異物が再付着することも考えられるので、清潔性や利便性等の面で問題となる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動二輪車の乗降時に車輪が踏むことのないハンドル部を備え、清潔性や利便性を改善した自動二輪車用スタンド、そして、この自動二輪車用スタンドを備えた機械式駐車場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の自動二輪車用スタンドは、機械式駐車場の搭載位置で自動二輪車を搭載し、手押しハンドルによる手動操作で車両用パレット上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンドであって、前記格納位置に固定する循環時移動防止ストッパ機構と、所定の搭載位置以上に引き出されないよう制限する過引出防止ストッパ機構と、前記自動二輪車の乗降をする際に前記搭載位置に保持する入出庫時移動防止ストッパ機構と、前記格納位置以上押し込まれないように制限する過押込防止ストッパ機構とを具備し、前記入出庫時移動防止ストッパ機構は、着脱可能とした前記手押しハンドルの着脱操作に連動して動作し、前記自動二輪車の乗降前に前記手押しハンドルを脱にするとロック位置になり、前記自動二輪車の乗降後に前記手押しハンドルを着にするとロック解除位置になることを特徴とするものである。
【0009】
このような本発明の自動二輪車用スタンドによれば、入出庫時移動防止ストッパ機構が着脱可能とした手押しハンドルの着脱操作に連動して動作し、自動二輪車の乗降(搭載または引出)前に手押しハンドルを脱にするとロック位置になり、自動二輪車の乗降後に手押しハンドルを着にするとロック解除位置になる。このため、自動二輪車を二輪車用スタンドに乗降する入出庫時には、手押しハンドルが常に取り外された状態となり、従って、入出庫時移動防止ストッパ機構はロック位置にあるため、車輪により手押しハンドルが踏まれるようなことはない。
【0010】
上記の自動二輪車用スタンドにおいて、前記入出庫時移動防止ストッパ機構は、前記手押しハンドルの着脱に連動するリンク機構とワイヤを介して連結され、前記ロック解除位置で前記ロック位置の方向へ押圧する付勢力を生じる付勢手段を備えた自動二輪車用スタンド側のロックピンと、前記車両用パレット側に固定設置され、前記ロック時に前記ロックピンを挿入するピン穴とを具備して構成されたものが好ましい。
このような自動二輪車用スタンドによれば、手押しハンドルの着脱状態に応じて入出庫時移動防止ストッパ機構が動作し、ピン穴にロックピンが挿入されないロック解除時の状態と、ピン穴にロックピンが挿入されるロック時の状態とが自動的に切り替わる。
【0011】
上記の自動二輪車用スタンドにおいて、前記過引出防止ストッパ機構は、前記車両用パレット側に固定設置された引出位置規制部材と、前記自動二輪車用スタンド側に固定設置されて前記搭載位置で前記引出位置規制部材と干渉する係止部材とを具備して構成されるものが好ましく、これにより、自動二輪車用スタンドの引出位置を確実に制限することができる。
特に、上述した過引出防止ストッパ機構は、引出方向と直交する車幅方向の左右で対となるスタンド移動用のガイドローラを複数組備え、該ガイドローラのうちで後端部側に配置した車輪間距離の異なるものを前記係止部材とし、かつ、前記ガイドローラのうちで前記車輪間距離の異なるものとのみ干渉するように、前記引出位置規制部材を前記ガイドローラが走行するスライドレールに設けた構造が好ましく、これにより、必ず必要となるガイドローラを有効に利用して、自動二輪車用スタンドの引出位置を確実に制限することができる。
【0012】
上記の発明において、前記機械式駐車場は、出入り口側から見て前記車両用パレットに前記自動二輪車用スタンドを左右2台搭載可能な垂直循環方式とされ、前記手押しハンドルの前記出入り口側から見た側壁側に中央部より高くした把持部を設けておくことが好ましく、これにより、自動二輪車用スタンドの入出庫を行う操作者は、出入口側から見て中央部の低い位置まで存在している循環駆動機構との接触を回避できるようになる。
【0013】
本発明の機械式駐車場は、車両を搭載した車両用パレットを駐車位置まで移動させて収容する機械式駐車場において、請求項1から5のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたことを特徴とするものである。
【0014】
このような機械式駐車場によれば、請求項1から5のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたので、自動二輪車を二輪車用スタンドに乗降する入出庫時には、手押しハンドルが常に取り外された状態となる。このため、入出庫時の入出庫時移動防止ストッパ機構は、常にロック位置にあるので、車輪により手押しハンドルが踏まれることはない。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明によれば、自動二輪車を二輪車用スタンドに乗降する入出庫時には、手押しハンドルが常に取り外された状態となり、入出庫時移動防止ストッパ機構はロック位置にあるので、手押しハンドルの着脱に連動した確実なロック状態で自動二輪車を安全に乗降できることに加えて、車輪により手押しハンドルが踏まれるようなこともない。
従って、本発明の自動二輪車用スタンド及びこの自動二輪車用スタンドを備えた機械式駐車場は、自動二輪車の入出庫時に車輪がハンドル部を踏まないので、清潔性や利便性の向上という顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場の一実施形態を示す図で、自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して入庫する場合の操作手順を示す工程図である。
【図2】本発明に係る自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場の一実施形態を示す図で、自動二輪車を自動二輪車用スタンドから引き出して出庫する場合の操作手順を示す工程図である。
【図3】機械式駐車場の一例として垂直循環方式の概要を示す斜視図である。
【図4】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納した状態(格納位置)を出入口側から見た正面図である。
【図5】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載して車両用パレットに格納する状態(搭載位置及び格納位置)を示す平面図である。
【図6】自動二輪車用スタンドの構成例を示す平面図である。
【図7】自動二輪車を自動二輪車用スタンドに搭載した状態を示す側面図である。
【図8】車両用パレットの構成例を示す平面図である。
【図9】過押込防止ストッパ機構の構成例を示す図で、(a)は図8のB部を拡大した図、(b)は(a)の右側面図である。
【図10】循環時移動防止ストッパ機構において、床板側のストッパ構成例を示す側面図である。
【図11】循環時移動防止ストッパ機構において、スライドレール側のストッパ構成例を示す正面図である。
【図12】過引出防止ストッパ機構の構成例を示す図で、(a)はストッパとして機能しないガイドローラとストッパとの位置関係を示す正面図、(b)はストッパとして機能するガイドローラとストッパとの位置関係を示す正面図である。
【図13】循環時移動防止ストッパ機構の全体構成(概要)を示す平面図である。
【図14】図13に示した循環時移動防止ストッパ機構について、要部を拡大して示す装置構成の平面図である。
【図15】図13に示した循環時移動防止ストッパ機構について、ハンドルの着脱に連動するリンク機構の周辺部を拡大して示す平面図である。
【図16】図15の側面図である。
【図17】図13に示した循環時移動防止ストッパ機構について、ロック位置にあるロックピン及びピン穴の位置関係を拡大して示す平面図である。
【図18】図17に示した循環時移動防止ストッパ機構について、ロック位置及びロック解除位置にあるロックピン及びピン穴の位置関係を示す側面図である。
【図19】循環時移動防止ストッパ機構のピン穴形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る自動二輪車用スタンド及び機械式駐車場の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図3に示す機械式駐車場Pは、一般的に垂直循環方式と呼ばれるものである。この垂直循環方式では、自動車を駐車させて保管する複数の車両用パレットCpを備えており、各車両用パレットCpは、駆動機構を構成するエンドレスチェーン(不図示)に吊り下げられて、垂直面内において長円形または円形に配置されている。
【0018】
このような垂直循環方式の機械式駐車場Pは、各車両用パレットCpが、入出庫位置及び駐車位置の間をエンドレスチェーンとともに連続循環するように構成されている。
なお、入出庫位置は、自動車を車両用パレットCpに載せるとともに、自動車を車両用パレットCpから取り出すためのパレット位置であり、図示の構成例では、長円形に連続循環する下部で入出庫する下部乗入式が採用されている。
【0019】
以下では、上述した機械式駐車場Pの車両用パレットCpに対し、自動二輪車の駐車を可能にする自動二輪車用スタンドについて、図4から図7を参照して説明する。
図示の自動二輪車用スタンド1は、機械式駐車場Pの車両用パレットCpが入出庫位置にあるとき、搭載位置で搭載した自動二輪車Mbを車両用パレットCp上の格納位置まで移動させて格納する器具である。この自動二輪車用スタンドCpは、自動二輪車Mbを搭載して搭載位置と格納位置との間を移動可能な台車フレーム10と、この台車フレーム10に取り付けられて自動二輪車Mbの前輪Fwを自立可能に保持する前輪保持具20とを具備して構成される。
【0020】
台車フレーム10は、たとえば図6に示すように、自動二輪車Mbの幅と略一致するよう平行に配置した左右一対の主部材10aを複数の結合部材で連結し、自動二輪車Mbの全長よりも長い細長の矩形状に形成したものである。
台車フレーム10の主部材10aには、たとえば車両用パレットCp側に敷設したガイドレールR等によるスムーズな移動を可能にするため、左右一対のガイドローラ(車輪)11A,11Bが複数組(図示の例では7組)取り付けられている。なお、ガイドローラ11A,11Bの違いについては、後述する過引出防止機構とともに説明するものとし、特に明確な区別を必要としない場合には、単にガイドローラ11と呼ぶことにする。
そして、台車フレーム10の後端部側(機械式駐車場Pの出入口側)には、台車フレーム10を移動させる際に使用する手押しハンドル12が着脱可能に設けられている。
【0021】
また、上述した台車フレーム10において、図中の符号13は自動二輪車Mbの前輪Fwを前輪保持具20に着脱する際にスムーズな移動を可能にするガイド板、符号14は前輪保持具20を固定設置する支持部材、15は長さを調節可能な幅広ベルト等の座席固定具Bを係止する係止リングである。この係止リング15は、左右両側の主部材10aに複数設けられており、座席固定具Bの両端に設けた係止具を用いて、自動二輪車Mbの座席部Sを台車フレーム10に固定するものである。
【0022】
前輪保持具20は、台車フレーム10に取り付けられて自動二輪車Mbの前輪Fwを自立可能に保持する器具である。すなわち、前輪保持具20は、自立スタンドを上げた状態にある自動二輪車Mbの前輪Frを保持し、倒れないように支持して自立させる器具であり、種々市販されているものから適宜選択して使用すればよい。
従って、台車フレーム10に搭載した自動二輪車Mbは、前輪保持具20によって自立した状態を維持することができる。
このように構成された自動二輪車用スタンド1は、後述する作業手順により、搭載位置で自動二輪車Mbを搭載し、車両用パレットCp上となる機械式駐車場Pの格納位置まで移動させることで、機械式駐車場P内に格納して自動二輪車Mbを駐車させることができる。
【0023】
一方、車両用パレットCpには、図4及び図5に示すように、2台の自動二輪車用スタンド1A,1Bを平行に配置し、各々が単独でガイドレールRに沿って搭載位置と格納位置との間を前後方向に移動可能となっている。
図5に示す例では、一方の自動二輪車用スタンド1Aが後方へ移動した(引き出した)搭載位置にあり、他方の自動二輪車用スタンド1Bが前方へ移動した(押し込んだ)格納位置にあるが、以下の説明において、明確な区別が不要である場合には単に自動二輪車用スタンド1とする。なお、図中の符号Waは、後述する入出庫待機位置である。
【0024】
図8は、自動二輪車用スタンド1A,1Bを備え、自動二輪車Mbの駐車を可能にした車両用パレットCPを示している。この車両用パレットCpは、1台の自動車を駐車可能な大きさを有しているので、通常は2台の自動二輪車用スタンドMbを平行に配置して駐車させるスペースを確保できる。すなわち、車両用パレットCpは、2台の自動二輪車用スタンドMbを平行に配置して駐車させる幅を有しており、従って、車両用パレットCpの上面(駐車面)には、自動二輪車用スタンド1A,1B用として2本を1組とする合計4本のガイドレールRが、搭載位置及び格納位置の移動(前後)方向へ平行に配設されている。
【0025】
このように、機械式駐車場Pの搭載位置で自動二輪車Mbを搭載し、手押しハンドル12による手動操作で車両用パレットCp上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンド1は、格納位置に固定する循環時移動防止ストッパ機構30と、所定の搭載位置以上に引き出されないよう制限する過引出防止ストッパ機構50と、自動二輪車Mbの乗降をする際に搭載位置に保持する入出庫時移動防止ストッパ機構60と、格納位置以上押し込まれないように制限する過押込防止ストッパ機構90とを具備している。
この場合、自動二輪車Mbの乗降とは、自動二輪車Mbを自動二輪車用スタンド1に乗せる搭載、あるいは、自動二輪車Mbを自動二輪車用スタンド1から引き出して下ろす引出のことである。
【0026】
過押込防止ストッパ機構90は、自動二輪車用スタンド1が所定の格納位置以上押し込まれないように制限する、すなわち、格納位置を規定する装置である。
この過押込防止ストッパ機構90は、たとえば図9に示すように、ガイドレールRに沿って走行するガイドローラ11の進路を遮断するように設けられた板状部材91である。この板状部材91は、ガイドレールRに沿って移動する自動二輪車用スタンド1に取り付けたガイドローラ11のうち、機械式駐車場Pの出入口から最も内側(奥側)となる前端部側のガイドローラ11Aを当接させることにより、自動二輪車用スタンド1の移動を制限する。なお、板状部材91のガイドローラ当接面には、たとえばゴムシートのような緩衝部材92を取り付けておくことが望ましい。
【0027】
循環時移動防止ストッパ機構30は、車両用パレットCpを連続循環させる際、自動二輪車用スタンド1を車両用パレットCp上に定めた所定の格納位置に固定して移動しないようにするための装置であり、図1のA部に設けられている。
この循環時移動防止ストッパ機構30は、たとえば図10及び図11に示すように、車両用パレットCp側に設置されているパレット側ストッパ31と、自動二輪車用スタンド1側に設置されているスタンド側ストッパ40とを係合させることにより、自動二輪車用スタンド1がガイドレールRに沿って前後の両方向に移動することを阻止する格納位置ロック機構である。
【0028】
パレット側ストッパ31は、後端部側となる一端の上面に手動操作用のハンドル31aを備えており、車両用パレットCpの適所に支持されている。この場合、ベース部材32が車両用パレットCpに固定され、パレット側ストッパ31は、ベース部材32に対し回転軸33を介して揺動可能に支持されている。なお、パレット側ストッパ31の他端は、スタンド側ストッパ40との係合状態を維持するように、コイルバネ等の弾性部材34から上向きの付勢を受けている。
また、パレット側ストッパ31には、スタンド側ストッパ40と係合する略鉛直の段差面35が設けられている。この段差面35は、同じく略鉛直としたスタンド側ストッパ40の段差面41と係合することにより、自動二輪車用スタンド1がガイドレールRに沿って前後両方向に移動することを阻止する部分である。この場合、移動するスタンド側ストッパ40の段差面41は、固定側で所定位置にあるパレット側ストッパ31の段差面35とガイドレールR上で係合するように、自動二輪車用スタンド1の台車フレーム10から車両用パレットCp側へ延在する水平方向のアーム部44を備えている。
【0029】
パレット側ストッパ31には、傾斜面36が設けられている。この傾斜面36は、段差面35から出入口の方向へ上向きの傾斜をして上端面31bに至る面であり、その先端角部37は円弧状に形成されている。
同様に、スタンド側ストッパ40にも傾斜面42が設けられている。この場合の傾斜面42は、段差面41から出入口と反対方向へ下向きの傾斜をして下端面40aに至る面であり、その先端角部43は円弧状に形成されている。
【0030】
このように構成された循環時移動防止ストッパ機構30のパレット側ストッパ31は、図10に実線で示す待機位置または係合位置の通常状態において、弾性部材34の付勢を受けて上端面31bがガイドレールRと略平行な位置にある。
パレット側ストッパ31がスタンド側ストッパ40と係合しない待機位置にあると、自動二輪車用スタンド1が入庫方向に移動してくることにより、両方の先端角部37,43が当接した後、スタンド側ストッパ40の傾斜面42が揺動可能なパレット側ストッパ31の傾斜面36の下方に入り込んで押し上げる。このとき、先端角部37,43を円弧状としたので、スタンド側ストッパ40の傾斜面42は、パレット側ストッパ31の下方にスムーズかつ確実に入り込むことができる。この結果、パレット側ストッパ31は、弾性部材34の付勢に打ち勝って回転軸33を中心に揺動し、段差面35側が徐々に持ち上げられていく。
【0031】
この状態から、自動二輪車用スタンド1がさらに入庫方向へ移動して段差部35,41に到達すると、傾斜面36,42どうしの面接触から開放されるため、パレット側ストッパ31は、弾性部材34の付勢により上端面31bがガイドレールRと略平行な係合位置に復帰する。
この係合位置では、段差面35,41が互いに係合しているので、ガイドレールRに沿った自動二輪車用スタンド1の移動は阻止される。従って、循環時移動防止ストッパ機構30は、自動二輪車用スタンド1をガイドレールRに沿って押し込むことにより、格納位置において自動二輪車用スタンド1を自動的にロックする。
【0032】
このような係合位置にある循環時移動防止ストッパ機構30は、入出庫時に自動二輪車用スタンド1を移動させる場合、図中に想像線で示すように、人手によりハンドル31aを引き上げると、段差面35,41の係合が容易に解除される。この結果、自動二輪車用スタンド1はガイドレールRに沿った移動が可能となり、さらに、傾斜面36,42の面接触がなくなるまで引き出すことで、パレット側ストッパ31は待機位置に復帰する。
【0033】
過引出防止ストッパ機構50は、自動二輪車用スタンド1が所定の搭載位置以上に引き出されないよう制限する、すなわち、搭載位置を規定する装置である。
この過引出防止ストッパ50は、車両用パレットCp側に固定設置された引出位置規制部材と、自動二輪車用スタンド1側に固定設置されて搭載位置で引出位置規制部材と干渉する係止部材とを具備して構成され、自動二輪車Mbを自動二輪車用スタンド1に乗降する際、自動二輪車用スタンド1を引き出す引出位置が搭載位置と一致するように、確実に制限することができる。
【0034】
以下、過引出防止ストッパ機構50の具体的な構成例について、図12を参照して説明する。図示の過引出防止ストッパ機構50は、上述したガイドローラ11A,11Bを利用するものである。
すなわち、台車フレーム10の主部材10aには、図6に示すように、異なる車輪幅とした左右一対のガイドローラ11A,11Bが取り付けられている。この場合、ガイドローラ11A,11Bは車軸11a,11bの長さが異なっており、この結果、7組のガイドローラ11A,11Bは左右一対の車輪幅(車輪間距離)に差を生じている。
【0035】
図6に示す台車フレーム10において、後端部側に取り付けた5組のガイドローラ11Aは、その車輪幅がWrとなり、前端部側に取り付けた2組のガイドローラ11Bは、その車輪幅がWfとなる。そして、前端部側の車輪幅Wfは、後端部側の車輪幅Wrより広く(Wr<Wf)なっている。
すなわち、過引出防止ストッパ機構50は、たとえば図12に示すように、ガイドレールRの敷設方向(引出方向)と直交する車幅方向の左右で対となる自動二輪車用スタンド1の移動用として複数組設けたガイドローラ11を利用し、ガイドローラ11のうちで後端部側に配置した車輪幅の広いガイドローラ11Bを係止部材とし、かつ、ガイドローラ11のうちで車輪幅の広いガイドローラ11Bとのみ干渉するように、引出位置規制部材51をガイドローラ11が走行するスライドレールRに設けた構造とされる。
【0036】
引出位置規制部材51の取付位置は、たとえば図8に示すように、スライドレールRの前端部付近となる。
この引出位置規制部材51は、車輪幅Wfのガイドローラ11Aは干渉することなく通過でき、かつ、車輪幅Wrのガイドローラ11Bは干渉して通過不能とする位置に取り付けられている。すなわち、4本敷設されているガイドレールRの出入口側端部付近には、全てに引出位置規制部材51が取り付けられており、左右一対となるガイドレールRの引出位置規制部材面間距離Wgは、車輪幅Wfと、左右一対あるガイドローラ11Aのローラ幅Tとを加えた値より大きく(Wg>Wf+2T)設定されており、かつ、車輪幅Wrと、左右一対あるガイドローラ11Bのローラ幅Tとを加えた値より小さく(Wg<Wr+2T)設定されている。
【0037】
この結果、前端部側に取り付けた2組のガイドローラ11Bは、自動二輪車用スタンド1を引き出すことにより、先に後端部側近傍に到達するガイドローラ11Bが引出位置規制部材51と干渉し、引出位置の限界を規定する。従って、この引出位置の限界を搭載位置に設定すれば、必ず必要となるガイドローラ11を有効に利用した簡便な構造により、自動二輪車用スタンド1の搭載位置及び引出位置を確実に制限することができる。
【0038】
ところで、上述した説明では、引出位置規制部材51を左右一対となるガイドレールRの両方に取り付けているが、安定性や耐久性等の面でやや劣るものの、いずれか一方のみでもよい。
また、上述した引出位置規制部材51は、幅広のガイドローラ11Bと干渉するように設置したが、車軸部分が干渉しないように配慮すれば、車軸幅の狭いガイドローラ11と干渉させることも可能である。
また、過引出防止ストッパ機構50は、ガイドローラ11を利用した構成に限定されることはなく、たとえば車両用パレットCp側の上面等に固定設置された引出位置規制部材(板材等)と、自動二輪車用スタンド1側の下面等に固定設置されて搭載位置で引出位置規制部材と干渉する係止部材(板材等)とにより構成され、搭載位置及び引出位置を確実に制限するものでもよい。
【0039】
入出庫時移動防止ストッパ機構60は、自動二輪車Mbの乗降をする際に、自動二輪車用スタンド1を所定の搭載位置に保持する装置である。
この入出庫時移動防止ストッパ機構60は、着脱可能とした手押しハンドル12の着脱操作に連動して動作し、自動二輪車Mbの乗降前に手押しハンドル12を脱にするとロック位置になり、自動二輪車Mbの乗降後に手押しハンドル12を着にするとロック解除位置になる。
【0040】
以下では、入出庫時移動防止ストッパ機構60について、図13から図19を参照して詳細に説明する。
図示の入出庫時移動防止ストッパ機構60は、手押しハンドル12の着脱に連動するリンク機構70とワイヤ61を介して連結され、ロック解除位置でロック位置の方向へ押圧する付勢力を生じる(与える)付勢手段のコイルバネ62を備えた自動二輪車用スタンド1側のロックピン63と、車両用パレット1側に固定設置され、ロック時にロックピン63を挿入するピン穴64とを具備して構成される。
なお、本実施形態の入出庫時移動防止ストッパ機構60は、図8の車両用パレットCpに設置されているピン穴64を除いて、他の構成部品は全て自動二輪車用スタンド1側に設置されている。
【0041】
リンク機構70は、図14から図16に示すように、台車フレーム10の主部材10aに手押しハンドル12の着脱を行うハンドル挿入穴71を設けてあり、このハンドル挿入穴71の内部下方には、手押しハンドル12の下端部側に設けた挿入部12aと干渉する位置に、リンクレバー72が配設されている。
リンクレバー72は、形状が略くの字状に折曲されたリンク部材であり、その折曲位置は水平方向の回転軸73によって回動自在に支持されている。この回転軸73は、主部材10a固定された軸受74に支持されている。以下の説明では、リンクレバー72の一端をハンドル干渉部72aと呼び、他端をワイヤ接続部72bと呼ぶ。
【0042】
リンクレバー72のハンドル干渉部72aは、図中に実線で示す乗降時(ロック位置)の状態において、手押しハンドル12が抜き取られることにより、コイルバネ62の付勢により略水平となる。そして、略水平なハンドル干渉部72aの少なくとも一部は、台車フレーム10に取り付けられる手押しハンドル12の挿入部12aが通過する進入経路内にある。
リンクレバー72のワイヤ接続部72bには、ロックピン63を動作させるワイヤ61が連結される。
【0043】
手押しハンドル12は、挿入部12aの下端部側が主部材10aの下面部に設けた下部挿入穴71aを通過することにより、がたつきのない安定した挿入(取付)状態となる。なお、図中の符号12bは、ハンドル12の挿入限界を規定する鍔部である。
また、リンクレバー72に連結されたワイヤ61は、ワイヤガイドローラ65やワイヤガイドパイプ66を通って支持され、前後方向(入庫方向)から幅方向に90度の方向転換をした他端がロックピン63のワイヤ連結部63aと連結されている。
なお、図中の符号67は、ワイヤガイドパイプ66やピンガイド68を固定するサポート材、図中の符号75は、ワイヤ接続部72b、回転軸73、軸受74及びワイヤガイドローラ65等を保護するカバー部材である。
【0044】
ロックピン63は、図17〜図19に示すように、台車フレーム10の側端部に固定設置されたガイドパイプ68内において、リンク機構70に連結されたワイヤ61の移動方向に応じて台車フレーム10の幅方向にスライドする。この場合、ロックピン63が出没するガイドパイプ68の端部は、台車フレーム10の側端部と略一致している。
すなわち、ロックピン63は、全長がガイドパイプ68内に位置しているロック解除位置と、先端部がガイドパイプ68から突出してピン穴64に挿入されるロック位置との間において、リンク機構70の動作にワイヤ61を介して連動する往復運動をする。
【0045】
このような往復運動をするロックピン63は、ガイドパイプ68内に設置されたコイルバネ62が圧縮されることにより、ロック解除位置の状態でロック位置の方向へ押圧する付勢力を受けるようになっている。すなわち、ガイドパイプ68の後端部側には、ワイヤ61の通り抜けが可能な蓋部材68aを取り付けてあり、従って、手押しハンドル12が取り付けられたロック解除位置では、ワイヤ61によりリンク機構70の方向へ引かれるロックピン63の後端部と蓋部材68aとの間において、蓋部材68a側に押圧されるコイルバネ62が圧縮されるようになっている。
【0046】
また、ピン穴64は、自動二輪車用スタンド1を所定の搭載位置まで引き出した状態でロックピン63が挿入されてロック状態になるため、図8に示すように、車両用パレットCpのガイドレールR上において、機械式駐車場Pの出入口側となる後端部近傍の位置に取り付けられている。ピン穴64の設置位置は、所定の搭載位置と、ロックピン63の設置位置とにより決定される。
【0047】
このような自動二輪車用スタンド1は、所定の搭載位置において、入出庫時移動防止ストッパ機構60が着脱可能とした手押しハンドル12の着脱操作に連動して動作し、ピン穴64にロックピン63が挿入されないロック解除時の状態と、ピン穴64にロックピン63が挿入されるロック時の状態とが自動的に切り替わる。
【0048】
自動二輪車Mpの乗降前に手押しハンドル12を引き抜いて脱にすると、図18に想像線で示すように、圧縮されていたコイルバネ12の付勢力により押圧されたロックピン63がガイドパイプ68内をロック穴64の方向へスライドする。このため、ロックピン63の先端部がガイドパイプ68から突出してロック穴64内に挿入され、かつ、ワイヤ61に引っ張られたリンクレバー72が想像線で示す位置まで回転する。
この結果、ロックピン63は、手押しハンドル12の引き抜き操作により自動的にロック位置に移動するため、自動二輪車用スタンド1は所定の搭載位置に固定され、自動二輪車Mbの乗降作業中に移動するようなことはない。
【0049】
また、自動二輪車Mpの乗降後に手押しハンドル12を取り付けて着にすると、略水平状態にあるリンクレバー72のハンドル干渉部72aが挿入部12aに押されて回転するので、ワイヤ61はロックピン63を引っ張ることとなる。この結果、図18に実線で示すように、リンク機構70の動作によりワイヤ61がリンクレバー72の方向へ引かれると、ロックピン63は、蓋部材68aに規制されたコイルバネ62を圧縮しながら後退することになる。このため、ロックピン63は、ロック穴64から抜け出るとともに、全体がガイドパイプ68の内部に入り込んで自動的にロック解除位置となる。
この結果、自動二輪車を二輪車用スタンドに乗降する入出庫時には、手押しハンドル12が自動二輪車用スタンド1の台車フレーム10から常に取り外された状態となり、入出庫時移動防止ストッパ機構60はロック位置にある。このため、自動二輪車Mbを二輪車用スタンド1に乗降する入出庫時には、車輪により手押しハンドル12が踏まれるようなことはない。
【0050】
このように構成された自動二輪車用スタンド1は、以下に説明するような手順により、搭載位置で自動二輪車Mbを搭載し、車両用パレットCp上となる機械式駐車場Pの格納位置まで移動させることで、機械式駐車場P内に格納して自動二輪車Mbを駐車させることができる。
【0051】
図1に示す入庫時において、自動二輪車Mbを機械式駐車場Pに駐車させる場合、連続循環により自動二輪車用スタンド1に空きがある車両用パレットCpを最下段の入出庫位置まで移動させる。このとき、駐車させる自動二輪車Mbは、自動二輪車用スタンド1が引き出される入出庫待機位置Waより後方位置のスペースにて待機する。
この後、図1(a)に示すように、空の状態にある自動二輪車用スタンド1は、図10に示す循環時移動防止ストッパ機構30のハンドル31aを引き上げてロックが解除される。
次に、図1(b)に示すように、自動二輪車用スタンド1は、手押しハンドル12を持って手動により格納位置から搭載位置まで引き出される。このとき、図1(c)に示すように、所定の搭載位置に到達した時点において、自動二輪車用スタンド1の移動は、図12に示す過引出防止ストッパ機構50によって規制される。
【0052】
所定の搭載位置まで引き出された自動二輪車用スタンド1は、図14等に示す入出庫時移動防止ストッパ機構60によって保持される。すなわち、手押しハンドル12を引き抜くことにより、ロックピン63が自動的にロック穴64に入り込むロック位置となる。
こうして自動二輪車用スタンド1が所定の搭載位置まで引き出されてロックされると、図1(d)及び図1(e)に示すように、自動二輪車Mbを引いて自動二輪車用スタンド1上に載せ、前輪保持具20が所定位置に前輪Fwを保持するまで前方へ移動させる。このとき、手押しハンドル12は自動二輪車Mbの移動経路にないため、移動の妨げとなることや、車輪により踏まれるようなことはない。この結果、自動二輪車Mbは、自立可能の状態で搭載されるので、この後、さらに座席固定具Bを用いて確実に固定する。
【0053】
こうして座席固定具Bによる固定が完了した後には、自動二輪車用スタンド1に手押しハンドル12を取り付けて入出庫時移動防止ストッパ機構60のロックを解除し、搭載位置からの移動を可能にする。
入出庫時移動防止ストッパ機構60のロックが解除された自動二輪車用スタンド1は、図1(f)に示すように、自動二輪車Mbを搭載した状態で手動により前方へ押し込まれる。
【0054】
こうして車両用パレットCp上の格納位置まで移動した自動二輪車用スタンド1は、図9に示す過押込防止ストッパ機構90により所定位置を超えた移動が阻止される。このとき、前輪保持具20による前輪Fwの保持に加えて、座席固定具Bによる確実な固定もなされているので、移動時の振動等により自動二輪車Fwが倒れるようなことはない。
所定の格納位置まで移動して格納された自動二輪車用スタンド1は、図1(g)に示すように、所定の格納位置で前後方向の移動を防止する循環時移動防止ストッパ機構30によるロックが自動的に施される。
【0055】
このようにして、車両用パレットCpに自動二輪車Mbとともに自動二輪車用スタンド1を搭載した後には、必要に応じて車両用パレットCpを連続循環させ、機械式駐車場P内の適所に保管して駐車させる。このような連続循環時においても、前輪保持具20による前輪Fwの保持に加えて、座席固定具Bによる確実な固定もなされているので、移動時の振動等により自動二輪車Fwが倒れるようなことはない。
【0056】
また、出庫時について、図2を参照して説明する。機械式駐車場Pに駐車している自動二輪車Mbを引き出す場合には、連続循環により自動二輪車用スタンド1を搭載した車両用パレットCpを最下段の入出庫位置まで移動させる。
この後、図2(a)に示すように、自動二輪車Mbを搭載している自動二輪車用スタンド1は、循環時移動防止ストッパ機構30のハンドル31aを引き上げてロックが解除される。
次に、図2(b)に示すように、自動二輪車用スタンド1は、手押しハンドル12を引いて手動により格納位置から搭載位置まで引き出される。このとき、図2(c)に示すように、所定の搭載位置に到達した時点において、自動二輪車用スタンド1の移動は過引出防止ストッパ機構50によって規制される。
【0057】
所定の搭載位置まで引き出された自動二輪車用スタンド1は、手押しハンドル12を引き抜く操作により、ロックピン63が自動的にロック穴64に入り込むロック位置となるので、入出庫時移動防止ストッパ機構60によって保持される。
こうして自動二輪車用スタンド1が所定の搭載位置にロックされると、図2(d)及び図2(e)に示すように、座席固定具Bによる固定を解除し、自動二輪車用スタンド1上から自動二輪車Mbを待機位置Waまで引き出す。このとき、手押しハンドル12は自動二輪車Mbの移動経路にないため、移動の妨げとなることや、車輪により踏まれるようなことはない。
【0058】
こうして自動二輪車Mbの引出が完了した後には、自動二輪車用スタンド1に手押しハンドル12を取り付けて入出庫時移動防止ストッパ機構60のロックを解除し、搭載位置からの移動を可能にする。
入出庫時移動防止ストッパ機構60のロックが解除された自動二輪車用スタンド1は、図2(f)に示すように、空の状態で手動により前方へ押し込まれる。
【0059】
こうして車両用パレットCp上の格納位置まで移動した自動二輪車用スタンド1は、過押込防止ストッパ機構90により所定位置を超えた移動が阻止される。
所定の格納位置まで移動して格納された自動二輪車用スタンド1は、図2(g)に示すように、所定の格納位置で前後方向の移動を防止する循環時移動防止ストッパ機構30によるロックが自動的に施される。
【0060】
このようにして、車両用パレットCpの所定位置に空の自動二輪車用スタンド1を搭載した後には、必要に応じて車両用パレットCpを連続循環させ、機械式駐車場P内の適所まで移動させる。
【0061】
ところで、上述した実施形態において、機械式駐車場Pが垂直循環方式である場合、手押しハンドル12は下記のような形状にすることが好ましい。
すなわち、図4に示すように、出入り口側から見て車両用パレットCpに自動二輪車用スタンド1を左右2台搭載する場合には、手押しハンドル12の出入り口側から見た側壁側に中央部より高くした把持部12aを設けておくことが望ましい。
【0062】
この把持部12aは、出入口側から見て右側にある自動二輪車用スタンド1Aの場合、側壁側となる右側に設けられており、出入口側から見て左側にある自動二輪車用スタンド1Bの場合、側壁側となる左側に設けられている。
このような把持部12aの位置は、自動二輪車用スタンド1A,1Bの入出庫を行う操作者が、出入口側から見て中央部の低い位置まで存在している循環駆動機構PDとの接触を回避できるようにしたものである。
【0063】
すなわち、自動二輪車用スタンド1A,1Bの入出庫を行う操作者は、操作しやすい高さ位置にある把持部12aを自然と選択するので、循環駆動機構PDが低い位置まで存在している中央部に近づく可能性は極めて低くなり、従って、良好な安全性を得ることができる。
なお、上述した循環駆動機構PDは、たとえばエンドレスチェーンや潤滑油受け等が中央部の比較的低い位置に配置されている。
【0064】
このように、上述した本実施形態の自動二輪車用スタンド1及びこの自動二輪車用スタンド1を備えた機械式駐車場Pによれば、自動二輪車Mbを二輪車用スタンド1に乗降する入出庫時には、手押しハンドル12が常に取り外された状態となり、入出庫時移動防止ストッパ機構60はロック位置にある。このため、手押しハンドル12の着脱に連動した確実なロック状態とし、自動二輪車用スタンド1が移動しないようにして自動二輪車Mbを安全に乗降できる。さらに、手押しハンドル12が常に取り外された状態となるため、車輪により手押しハンドル12が踏まれるようなこともない。
【0065】
従って、自動二輪車Mbの入出庫時に車輪が手押しハンドル部12を踏まないので、利用者が泥や異物の付着した手押しハンドル部12を持つことはなく、従って、優れた清潔性や利便性を有するものとなる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば垂直循環方式の機械式駐車場に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,1A,1B 自動二輪車用スタンド
10 台車フレーム
11,11A,11B ガイドローラ
12 手押しハンドル
12a 把持部
15 係止リング(固縛具固定具)
20 前輪保持部
30 循環時移動防止ストッパ機構
31 パレット側ストッパ
31a ハンドル
35,41 段差面
36,42 傾斜面
40 スタンド側ストッパ
50 過引出防止ストッパ機構
51 引出位置規制部材
60 入出庫時移動防止ストッパ機構
61 ワイヤ
62 コイルバネ(付勢手段)
63 ロックピン
64 ロック穴
68 ガイドパイプ
68a 蓋部材
70 リンク機構
71 ハンドル挿入穴
72 リンクレバー
73 回転軸
90 過押込防止ストッパ機構
P 機械式駐車場
Cp 車両用パレット
Mb 自動二輪車
Fw 前輪
R ガイドレール
S 座席部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車場の搭載位置で自動二輪車を搭載し、手押しハンドルによる手動操作で車両用パレット上の格納位置まで移動させて格納する自動二輪車用スタンドであって、
前記格納位置に固定する循環時移動防止ストッパ機構と、所定の搭載位置以上に引き出されないよう制限する過引出防止ストッパ機構と、前記自動二輪車の乗降をする際に前記搭載位置に保持する入出庫時移動防止ストッパ機構と、前記格納位置以上押し込まれないように制限する過押込防止ストッパ機構とを具備し、
前記入出庫時移動防止ストッパ機構は、着脱可能とした前記手押しハンドルの着脱操作に連動して動作し、前記自動二輪車の乗降前に前記手押しハンドルを脱にするとロック位置になり、前記自動二輪車の乗降後に前記手押しハンドルを着にするとロック解除位置になることを特徴とする自動二輪車用スタンド。
【請求項2】
前記入出庫時移動防止ストッパ機構は、前記手押しハンドルの着脱に連動するリンク機構とワイヤを介して連結され、前記ロック解除位置で前記ロック位置の方向へ押圧する付勢力を生じる付勢手段を備えた自動二輪車用スタンド側のロックピンと、前記車両用パレット側に固定設置され、前記ロック時に前記ロックピンを挿入するピン穴とを具備して構成されることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項3】
前記過引出防止ストッパ機構は、前記車両用パレット側に固定設置された引出位置規制部材と、前記自動二輪車用スタンド側に固定設置されて前記搭載位置で前記引出位置規制部材と干渉する係止部材とを具備して構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項4】
引出方向と直交する車幅方向の左右で対となるスタンド移動用のガイドローラを複数組備え、該ガイドローラのうちで後端部側に配置した車輪間距離の異なるものを前記係止部材とし、かつ、前記ガイドローラのうちで前記車輪間距離の異なるものとのみ干渉するように、前記引出位置規制部材を前記ガイドローラが走行するスライドレールに設けたことを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項5】
前記機械式駐車場は、出入り口側から見て前記車両用パレットに前記自動二輪車用スタンドを左右2台搭載可能な垂直循環方式とされ、
前記手押しハンドルの前記出入り口側から見た側壁側に中央部より高くした把持部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動二輪車用スタンド。
【請求項6】
車両を搭載した車両用パレットを駐車位置まで移動させて収容する機械式駐車場において、
請求項1から5のいずれかに記載の自動二輪車用スタンドを備え、該自動二輪車用スタンドに搭載した自動二輪車または自動車の駐車を可能にしたことを特徴とする機械式駐車場。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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