説明

自動二輪車用タイヤ

【課題】旋回性能を大幅に向上しうる。
【解決手段】少なくとも1枚の折返しカーカスプライ6Aを含むカーカス6、及びジョイントレスプライ7Aからなるベルト層7とを有する自動二輪車用タイヤ1である。少なくとも1枚の折返しカーカスプライ6Aは、その折返し部6bの外端6beが、トレッド部2の内方かつベルト層7の内側で終端するとともに、折返し部6bとベルト層7とのオーバーラップ長さL1は、トレッド幅TWの20〜50%である。ベルト層7のベルトコード12と、該ベルト層7に最も隣接する折返しカーカスプライ6Aの折返し部6bのカーカスコード11とのコード間の最短長さL2が、0.2〜0.8mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回性能を大幅に向上しうる自動二輪車用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動二輪車用タイヤにあっては、トレッド部の内部に配されるベルト層に、ベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回したジョイントレスプライが用いられている(下記特許文献1参照)。このようなジョイントレスプライは、ベルトコードを互いに交差させて重ね合わせた従来のカットエンドプライに比べて面剛性を低くでき、乗り心地を向上しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−15830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなジョイントレスプライは、カットエンドプライに比べて、旋回時の横力が小さく、旋回性能を十分に向上できないという問題があった。
【0005】
また、旋回時の横力を得るために、ビード部やサイドウォール部等に補強部材を埋設することも考えられるが、このようなタイヤの部分的な強化は、外乱吸収性を悪化させるとともに、旋回時の過渡特性を低下させるという問題もあった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、折返しカーカスプライの折返し部の外端を、トレッド部の内方かつジョイントレスプライからなるベルト層の内側で終端させるとともに、折返し部とベルト層とのオーバーラップ長さ、及びベルトコードとカーカスコードとのコード間の最短長さを所定の範囲に限定することを基本として、旋回性能を大幅に向上しうる自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部に連なりビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部とを具える少なくとも1枚の折返しカーカスプライを含むカーカス、及び前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内方で、ベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回したジョイントレスプライからなるベルト層を有する自動二輪車用タイヤであって、少なくとも1枚の前記折返しカーカスプライは、その折返し部の外端が、前記トレッド部の内方かつ前記ベルト層の内側で終端するとともに、前記折返し部と前記ベルト層とのオーバーラップ長さは、トレッド幅の20〜50%であり、前記ベルト層のベルトコードと、該ベルト層に最も隣接する前記折返しカーカスプライの折返し部のカーカスコードとのコード間の最短長さが、0.2〜0.8mmであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記折返しカーカスプライは、タイヤ赤道において内側に配される内側カーカスプライと、該内側カーカスプライの外側に配される外側カーカスプライとからなり、前記内側カーカスプライの折返し部の外端、及び前記外側カーカスプライの折返し部の外端は、前記トレッド部の内方かつ前記ベルト層の内側で終端するとともに、前記内側カーカスプライの前記オーバーラップ長さ、及び前記外側カーカスプライの前記オーバーラップ長さは、トレッド半幅の20〜50%である請求項1に記載の自動二輪車用タイヤである。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記ベルトコードは、アラミド繊維コード又はスチールコードである請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤである。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記カーカスコードは、ナイロン、PET、PEN、アラミド、又はレーヨンからなる有機繊維コードである請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
【0011】
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
【0012】
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
【0013】
また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE" とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動二輪車用タイヤは、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部に連なりビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部とを具える少なくとも1枚の折返しカーカスプライを含むカーカス、及びカーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内方で、ベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回したジョイントレスプライからなるベルト層を有する。このようなジョイントレスプライは、従来のカットエンドプライに比べて面剛性を低くでき、乗り心地を向上しうる。
【0015】
また、少なくとも1枚の折返しカーカスプライは、その折返し部の外端が、前記トレッド部の内方かつ前記ベルト層の内側で終端するとともに、折返し部とベルト層とのオーバーラップ長さが、トレッド半幅の20〜50%に設定される。
【0016】
このような折返しカーカスプライは、旋回時に主に接地するトレッド端側の広範囲において、カーカスコードをベルトコードに交差させて、旋回時の横力を高めることができ、旋回性能を向上しうる。しかも、折返しカーカスプライは、直進時に主に接地するタイヤ赤道側には配置されないため、乗り心地を悪化させることもない。
【0017】
さらに、ベルト層のベルトコードと、該ベルト層に最も隣接する折返しカーカスプライの折返し部のカーカスコードとのコード間の最短長さが、0.2〜0.8mmに設定される。このように、折返しカーカスプライのカーカスコードとベルトコードとを従来に比して接近させ、それらの拘束力をより大きくすることで、旋回時の横力をさらに高めて、旋回性能を大幅に向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
【図2】カーカスプライの折返し部及びベルト層を示す展開図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】他の実施形態の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
【図5】図4のカーカスプライの折返し部及びベルト層を示す展開図である。
【図6】(a)、(b)、(c)は比較例1〜3の自動二輪車用タイヤを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されたベルト層7とを具える。
【0020】
また、前記タイヤ1は、キャンバーアングルが大きい旋回時においても十分な接地面積が得られるように、トレッド部2のトレッド端2t、2t間の外面2Sが、タイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲してのびるとともに、トレッド端2t、2t間のタイヤ軸方向距離であるトレッド幅TWがタイヤ最大幅をなしている。
【0021】
前記カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部6bとを具える少なくとも1枚、本実施形態では1枚の折返しカーカスプライ6Aにより構成される。また、折返しカーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、硬質のゴムからなるビードエーペックス8が配設される。
【0022】
さらに、前記折返しカーカスプライ6Aは、図2に示されるように、カーカスコード11が、タイヤ周方向に対して、例えば65〜90度の角度θ1で傾けて配列される。このカーカスコード11には、柔軟性が耐屈曲疲労性に優れるナイロン、PET、PEN、アラミド、又はレーヨンからなる有機繊維コードが望ましい。
【0023】
前記ベルト層7は、ゴム被覆された1本又は複数本のベルトコード12を、タイヤ周方向に対して5度以下の角度θ2で螺旋状に巻回した1層のジョイントレスプライ7Aからなる。
【0024】
このようなジョイントレスプライ7Aは、ベルトコードを互いに交差させて重ね合わせた従来のカットエンドプライ(図示省略)に比べて、ベルト層7の局部的な変形を許容しうる。従って、ジョイントレスプライ7Aは、良好な外乱吸収性を発揮でき、乗り心地を向上しうる。
【0025】
上記のような乗り心地を維持しつつ、高速安定性能及び旋回性能を向上させるために、ジョイントレスプライ7Aのタイヤ軸方向の幅W1(図1に示す)は、トレッド幅TWの85〜95%程度が望ましい。また、同様の観点より、ベルトコード12には、引張強度の大きいアラミド繊維コード又はスチールコードが望ましい。
【0026】
そして、本実施形態の折返しカーカスプライ6Aは、図1及び図2に示されるように、その折返し部6bの外端6beが、トレッド部2の内方かつベルト層7の内側で終端する。
【0027】
このような折返しカーカスプライ6Aは、旋回時に主に接地するトレッド端2t側において、折返し部6bのカーカスコード11をベルトコード12に交差させて、折返し部6bとベルト層7とによる拘束力を大きくしうる。従って、折返しカーカスプライ6Aは、旋回時の横力を高めることができ、旋回性能を向上しうる。
【0028】
さらに、折返し部6bとベルト層7とのオーバーラップ長さL1は、トレッド半幅0.5TWの20〜50%に設定される。ここで、オーバーラップ長さL1は、折返しカーカスプライ6Aの折返し部6bの外端6beと、ベルト層7のタイヤ軸方向の外端7eとのタイヤ軸方向の距離とする。
【0029】
このため、折返しカーカスプライ6Aは、前記トレッド端2t側の広範囲において、カーカスコード11をベルトコード12に交差させることができ、折返し部6bとベルト層7とによる拘束力を確実に大きくしうる。しかも、折返しカーカスプライ6Aの折返し部6bは、直進時に主に接地するタイヤ赤道C側には配置されないため、上記乗り心地を悪化させることもない。
【0030】
なお、前記オーバーラップ長さL1とトレッド半幅0.5TWとの比L1/0.5TWが20%未満であると、旋回時の横力を十分に高めることができないおそれがある。逆に、前記比L1/0.5TWが50%を超えると、折返しカーカスプライ6Aがタイヤ赤道C側に配置されるため、乗り心地が悪化するおそれがある。このような観点より、前記比L1/0.5TWは、より好ましくは30%以上が望ましく、また、より好ましくは45%以下が望ましい。
【0031】
さらに、図3に示されるように、ベルト層7のベルトコード12と、該ベルト層7cに隣接する折返しカーカスプライ6Aの折返し部6bのカーカスコード11とのコード間の最短長さL2が、0.2〜0.8mmに設定される。
【0032】
このように、本実施形態では、折返しカーカスプライ6Aのカーカスコード11とベルトコード12とを、従来に比して接近させ、それらの拘束力をより大きくすることで、旋回時の横力をさらに高め、旋回性能を大幅に向上しうる。
【0033】
なお、前記最短長さL2が0.2mm未満であると、カーカスコード11とベルトコード12との間に大きな摩擦が生じ、破断等の損傷が生じる等、耐久性能が低下するおそれがある。逆に、前記最短長さL2が0.8mmを超えると、カーカスコード11とベルトコード12とが過度に離間し、それらの拘束力を十分に大きくできないおそれがある。このような観点より、前記最短長さL2は、より好ましくは0.3mm以上が望ましく、また、より好ましくは0.5mm以下が望ましい。
【0034】
図4には、本発明の他の実施形態のタイヤ1が示される。
この実施形態では、折返しカーカスプライ6Aが、タイヤ赤道Cにおいて、タイヤ半径方向内側に配される内側カーカスプライ15と、該内側カーカスプライ15の外側に配される外側カーカスプライ16とからなる。これらの内側、外側カーカスプライ15、16はそれぞれ、本体部15a、16aと、折返し部15b、16bとを具える。
【0035】
また、本実施形態の内側カーカスプライ15、及び外側カーカスプライ16は、図5に示されるように、各々のカーカスコード19、20がタイヤ赤道Cに対して例えば65〜90度の角度θ3で傾けて配列され、互いに逆向きに傾斜している。
【0036】
前記内側カーカスプライ15は、図4及び図5に示されるように、その折返し部15bの外端15beが、トレッド部2の内方かつベルト層7のタイヤ半径方向内側で終端するとともに、ベルト層7とのオーバーラップ長さL3が、トレッド半幅0.5TWの20〜50%に設定される。
【0037】
このような内側カーカスプライ15の折返し部15bは、ベルト層7に隣接して、そのカーカスコード19をベルト層7のベルトコード12に交差させることができ、旋回時の横力を向上しうる。
【0038】
また、内側カーカスプライ15の折返し部15bのカーカスコード19と、ベルト層7のベルトコード12とのコード間の最短長さ(図示省略)も、0.2〜0.8mmに設定され、旋回時の横力をさらに向上しうる。
【0039】
本実施形態の外側カーカスプライ16も、内側カーカスプライ15と同様に、その折返し部16bの外端16beが、トレッド部2、ベルト層7及び内側カーカスプライ15の折返し部15bの内側で終端する。
【0040】
このような外側カーカスプライ16の折返し部16bは、前記トレッド端2t側において、そのカーカスコード20を、内側カーカスプライ15の折返し部15bのカーカスコード19及びベルトコード12に交差させることができ、該折返し部15bとベルト層7との拘束力をさらに高めうる。
【0041】
さらに、外側カーカスプライ16の折返し部16bとベルト層7とのオーバーラップ長さL4は、トレッド半幅0.5TWの20〜50%に設定される。これにより、外側カーカスプライ16の折返し部16bは、トレッド端2t側の広範囲において、そのカーカスコード20と内側カーカスプライ15のカーカスコード19とを交差させることができ、旋回時の横力をさらに確実に高めうる。
【0042】
なお、外側カーカスプライ16の前記外端16beは、内側カーカスプライ15の前記外端15beとタイヤ軸方向で位置ずれして終端するのが望ましい。これにより、内側カーカスプライ15及び外側カーカスプライ16は、タイヤ赤道C側からトレッド端2t側にかけて、トレッド剛性を漸増させることができ、旋回時の過渡特性を向上しうる。
【0043】
さらに、外側カーカスプライ16の前記外端16beは、内側カーカスプライ15の前記外端15beよりもタイヤ軸方向外側で終端するのが望ましい。これにより、ベルト層7に最も隣接する内側カーカスプライ15のオーバーラップ長さL1が確保されるため、旋回性能を向上させつつ、上記過渡特性を向上しうる。
【0044】
このような作用を効果的に発揮するために、内側カーカスプライ15の前記外端15beと外側カーカスプライ16の前記外端16beとタイヤ軸方向の長さL5と、トレッド半幅0.5TWとの比L5/0.5TWは、5〜20%が望ましい。
【0045】
なお前記比L5/0.5TWが5%未満であると、上記過渡特性を十分に向上できないおそれがある。逆に、前記L5/0.5TWが20%を超えると、外側カーカスプライ16の折返し部16bを、ベルト層7に十分にオーバーラップさせることができず、旋回性能を十分に向上できないおそれがある。このような観点より、前記比L5/0.5TWは、より好ましくは10%以上が望ましく、また、より好ましくは15%以下が望ましい。
【0046】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0047】
図1又は図4の基本構造を有し、かつ表1の仕様としたカーカスプライを有する後輪の自動二輪車用タイヤが製造され、それらの性能がテストされた。また、比較のために、図6(a)に示される折返し部の外端がサイドウォール部で終端する2枚のカーカスプライを含むタイヤ(比較例1)、図6(b)に示される折返し部の外端がサイドウォール部で終端する1枚のカーカスプライを含むタイヤ(比較例2)、図6(c)に示されるベルト層とカーカスプライとの間に補強層が配されるタイヤ(比較例3)についても同様にテストされた。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:
前輪:120/70ZR17
後輪:180/55ZR17
リムサイズ:
前輪:MT3.50×17
後輪:MT5.50×17
トレッド幅TW:180mm
トレッド展開半幅0.5TWe:90mm
カーカス:
折返しカーカスプライ:
カーカスコードの角度θ1:90度
カーカスコードのエンズ:40本/5cm
内側カーカスプライ、及び外側カーカスプライ:
カーカスコードの角度θ3:80度
カーカスコードのエンズ:40本/5cm
ベルト層:
ジョイントレスプライの枚数:1枚
ジョイントレスプライの幅W1:168mm
比W1/TW:93%
ベルトコードのコード材:スチール
ベルトコードの角度θ2:0度
補強層:
コード材:ナイロン
コードの構成:2100dtex/2
補強コードのタイヤ周方向に対する角度45度
テスト方法は、次の通りである。
【0048】
<外乱吸収性、旋回性能、過渡特性、乗り心地>
各供試タイヤを上記リムにリム組し、内圧290kPa充填して、排気量600ccの自動二輪車の後輪に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースを周回したときの「外乱吸収性」、「旋回性能、「過渡特性」、「乗り心地」を、ドライバーの官能評価により、10点法で評価した。数値が大きいほど良好である。
【0049】
<耐久性能>
各供試タイヤを上記リムにリム組みし、内圧290kPaを充填するとともに、ドラム試験機を用いて、荷重3.58kNにて速度80km/hで走行し、タイヤに損傷が発生するまでの走行距離を測定した。評価は、比較例1を100とする指数で表示し、数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
テストの結果、実施例の自動二輪車用タイヤは、旋回性能を大幅に向上しうるとともに、外乱吸収性、過渡特性及び乗り心地も向上しうることが確認できた。
【符号の説明】
【0052】
1 自動二輪車用タイヤ
6 カーカス
6A 折返しカーカスプライ
7 ベルト層
7A ジョイントレスプライ
11 カーカスコード
12 ベルトコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部に連なりビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部とを具える少なくとも1枚の折返しカーカスプライを含むカーカス、及び
前記カーカスのタイヤ半径方向外側かつトレッド部の内方で、ベルトコードをタイヤ周方向に対して5度以下の角度で螺旋状に巻回したジョイントレスプライからなるベルト層を有する自動二輪車用タイヤであって、
少なくとも1枚の前記折返しカーカスプライは、その折返し部の外端が、前記トレッド部の内方かつ前記ベルト層の内側で終端するとともに、
前記折返し部と前記ベルト層とのオーバーラップ長さは、トレッド幅の20〜50%であり、
前記ベルト層のベルトコードと、該ベルト層に最も隣接する前記折返しカーカスプライの折返し部のカーカスコードとのコード間の最短長さが、0.2〜0.8mmであることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
【請求項2】
前記折返しカーカスプライは、タイヤ赤道において内側に配される内側カーカスプライと、該内側カーカスプライの外側に配される外側カーカスプライとからなり、
前記内側カーカスプライの折返し部の外端、及び前記外側カーカスプライの折返し部の外端は、前記トレッド部の内方かつ前記ベルト層の内側で終端するとともに、
前記内側カーカスプライの前記オーバーラップ長さ、及び前記外側カーカスプライの前記オーバーラップ長さは、トレッド半幅の20〜50%である請求項1に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項3】
前記ベルトコードは、アラミド繊維コード又はスチールコードである請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤ。
【請求項4】
前記カーカスコードは、ナイロン、PET、PEN、アラミド、又はレーヨンからなる有機繊維コードである請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate