説明

自動倉庫システム

【課題】荷の効率的な出庫を実現すると共に、荷の完全な先入れ先出しを行うことのできる自動倉庫システムを提供すること。
【解決手段】自動倉庫12a〜12eと、自動倉庫12a〜12eの荷17の出庫データを作成する管理コンピュータ21と、各自動倉庫12a〜12eから出庫された荷17を各自動倉庫12a〜12e毎にアイルコンベア14a〜14eを介して搬送用コンベア15に合流させて搬送する自動倉庫制御装置19とを備える自動倉庫システム11であって、管理コンピュータ21は、出庫データを作成する際に各自動倉庫12a〜12e毎に出庫順を演算し、自動倉庫制御装置19は、各自動倉庫12a〜12eから出庫された荷17が各アイルコンベア14a〜14eの先頭に到着した際に、当該荷17と出荷先が同じで出荷順が先になる荷17が既に通過していれば、当該荷17を搬送用コンベア15に合流させる構成としたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知の自動倉庫システムが、後述の特許文献1に記載されている。これは、複数の自動倉庫を備え、出庫された荷を各自動倉庫毎に持つアイルコンベアを介して共通の搬送用コンベアに所定の順序で合流させて搬送するもので、アイルコンベア先頭の荷が同じ搬送先にならないように管理コンピュータで出庫データを作成し、自動倉庫の搬送制御装置へ出庫データを出力し、各自動倉庫のアイルコンベア先頭に到着した荷は、各自動倉庫のアイルコンベアから搬送用コンベアに同時に搬送される。これにより、合流待ちを少なくし、効率的な出庫を実現している。
【特許文献1】特開2005−187107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の自動倉庫システムでは、アイルコンベア先頭に到着した荷を全てのアイルコンベアで同時に搬送用コンベアに合流させるため、完全な先入れ先出しを行うと成立が難しくなる。それは、アイルコンベアの先頭に横並びになる荷の中で、出庫先が同じで出庫順が後になる荷が無いように荷をセットさせるため、完全な先入れ先出しの仕様ではアイルコンベアの先頭に横並びになるように出庫させることが出来ないからである。このため、例えば、荷の製造順を厳密に守って出庫するような場合には都合が悪かった。
【0004】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、荷の効率的な出庫を実現すると共に、荷の完全な先入れ先出しを行うことのできる自動倉庫システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明にて講じた技術的手段は、請求項1に記載の様に、複数の自動倉庫と、前記自動倉庫の荷の出庫順を示す出庫データの作成を行う管理コンピュータと、前記出庫データに基づいて各自動倉庫から出庫された荷を各自動倉庫毎にアイルコンベアを介して共通の搬送用コンベアに合流させて搬送する自動倉庫制御装置と、を備え、各自動倉庫から出庫される荷を所定の順序で出荷する自動倉庫システムであって、前記管理コンピュータは、前記出庫データを作成する際に、各自動倉庫毎に出庫順を演算し、前記自動倉庫制御装置は、各自動倉庫から出庫された荷が各アイルコンベアの先頭に到着した際に、該アイルコンベアの先頭に到着した荷と出荷先が同じで出荷順が先になる荷が既に通過していれば、該アイルコンベアの先頭に到着した荷を前記搬送用コンベアに合流させる構成としたことである。
【0006】
さらに、前記搬送用コンベアの前記アイルコンベアと対応する位置より下流側において出荷先に対応して分岐した状態で設けられている複数の出荷用コンベアをさらに備え、前記管理コンピュータは、所定の条件に基づき出庫順が決められた出荷データを前記出荷用コンベア単位で作成し、該出荷データに基づき所定の前記出荷用コンベアに出荷される荷に関して前記出庫データを作成するようにしてもよい。
【0007】
さらに、前記管理コンピュータは、前記出荷データを作成する第1ステップと、前記出庫データを作成するステップとをそれぞれ独立に実行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管理コンピュータは、出庫データを作成する際に各自動倉庫毎に出庫順を演算し、自動倉庫制御装置は、アイルコンベアの先頭に到着した荷を全てのアイルコンベアで一度に出庫せず、アイルコンベア毎に独立で一つづつ出庫する。このため、荷の効率的な出庫を実現すると共に、荷の完全な先入れ先出しを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を基に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る自動倉庫システム11の概略構成図を示す。図2は、出荷用コンベア16a〜16cの出庫指示データ作成のフローチャート、図3は、各自動倉庫に出庫指示を送信するフローチャート、図4は、合流制御のフローチャートを示す。
【0011】
図1に示すように、自動倉庫システム11は、複数の自動倉庫12a〜12eと、各自動倉庫12a〜12e毎に設けられた出庫用のアイルコンベア14a〜14eと、搬送用コンベア15と、複数の出荷用コンベア16a〜16cとを備えている。出荷用コンベア16a〜16cは、搬送用コンベア15のアイルコンベア14a〜14eと対応する位置より下流側において出荷先に対応して分岐した状態で設けられている。
【0012】
各自動倉庫12a〜12eは搬送機としてのスタッカークレーン(図示せず)を備えている。アイルコンベア14a〜14eは例えばベルトコンベアやローラコンベアで構成されている。搬送用コンベア15は、各アイルコンベア14a〜14eと直交する状態で配置された合流部15aと、出荷用コンベア16a〜16cと直交する状態で配置された分岐部15bとを備えている。搬送用コンベア15は、合流部15aと分岐部15bとが独立して駆動可能に構成されている。分岐部15bには搬送用コンベア15により搬送されている荷17を各出荷用コンベア16a〜16c上へ受け渡す受渡装置(図示せず)が、各出荷用コンベア16a〜16cの入口に対応して装備されている。
【0013】
管理コンピュータ21は、CPU(中央処理装置)及びメモリを備えており、少なくとも各自動倉庫12a〜12eの荷17の在庫管理を行なう。また、管理コンピュータ21は、作業者からの指示で自動倉庫全体の在庫から出荷用コンベア単位で出荷用データを作成する。この出荷用データは、入庫された日付の古い順やある条件(品番の昇順、降順、荷の大きさ等)で出庫、合流順が決められたものであり、各出荷用コンベアの数と同じ数だけ作成される。さらに、管理コンピュータ21は、出荷用データに基づき、それぞれの出荷用コンベアに搬送される荷に関して、自動倉庫12a〜12eの荷17の出庫順、行き先(出荷用コンベア)を示す出庫データの作成を行う。管理コンピュータ21は、出庫データを作成する際、各自動倉庫12a〜12e毎に出庫順を演算する。また、管理コンピュータ21は、自動倉庫制御装置19に対して作成された出庫データを送信することにより、自動倉庫12a〜12eから出庫された荷17の行き先(出荷先)と順番を通知する。
【0014】
自動倉庫制御装置19は、管理コンピュータ21と接続されている。自動倉庫制御装置19は管理コンピュータ21とネットワークを介してデータ信号の授受が可能となっている。自動倉庫制御装置19は、各自動倉庫12a〜12eにそれぞれ設けられたスタッカークレーン(図示せず)、アイルコンベア14a〜14e、搬送用コンベア15及び出荷用コンベア16a〜16cと接続されている。自動倉庫制御装置19は、管理コンピュータ21から受信した出庫データに基づいてスタッカークレーンを制御し、各自動倉庫12a〜12eから荷をアイルコンベア14a〜14cに出庫する。自動倉庫制御装置19は、自動倉庫12a〜12eから出庫された荷17を、管理コンピュータ21から受信した出庫データに示されている行き先と順番に従って、アイルコンベア14a〜14e、搬送用コンベア15及び出荷用コンベア16a〜16cを制御する。
【0015】
次に前記のように構成された自動倉庫システム11の作用を説明する。
【0016】
管理コンピュータ21は、荷17が各出荷用コンベア16a〜16cに先頭から順に並ぶ図1に示す状態となるように、搬送用コンベア15によって搬送されるように各自動倉庫12a〜12eに対する在庫引き当てを行って荷17を出庫する。具体的には、図2乃至図4に示すフローチャート(以下ステップ1〜3)に従って、各自動倉庫12a〜12cに対する在庫引き当て及び荷17の出庫を行う。
【0017】
(ステップ1) 管理コンピュータ21は先入れ先出しや条件(品番順、荷の大きさ順等)を踏まえ、出荷用コンベア単位で倉庫号機No.や棚No.を決めた出荷データを必要数分作成する。まず、管理コンピュータ21は、作業者からの出荷指示があるか否かを判断し、ある場合には出荷用コンベアNo.に「1」をセットする。そしてその出荷用コンベアに関して出荷データを作成してもよいかどうか判断し、OKであればその出荷用コンベアに出庫する荷に関して出荷データを作成する。その出荷用コンベアに関して出荷データが作成できない場合は、前回設定した出荷用コンベアNo.に「+1」を行い、その出荷用コンベアに関して出荷データを作成してもよいかどうか判断する。あとは同一の処理を行なう。
【0018】
(ステップ2) 管理コンピュータ21は、出荷用コンベアNo.に「1」をセットし、その出荷用コンベアに対応する出荷データに基づいて出庫データを作成し、自動倉庫制御装置を介して順次割り付けられた自動倉庫に送信する。管理コンピュータは自動倉庫に出庫データを送信したら、前回設定した出荷用コンベアNo.に「+1」を行い、次の出荷用コンベアの出庫データを作成し、順次割り付けられた自動倉庫に送信する。各自動倉庫に送信した出庫データがあらかじめ設定した件数(例えば、2〜3件)に達するまで繰り返す。各自動倉庫はその出庫データに従った順番に出庫する。管理コンピュータ21は、出庫データを送信しようとする自動倉庫に、上記件数の出庫データが既に送信されていれば、その自動倉庫には出庫データを送信せず、出荷用コンベアNo.に「+1」を行い、同様の処理を実行する。
【0019】
(ステップ3) 管理コンピュータ21はアイルコンベア先頭に荷が到着した時点で、アイルコンベア先頭に到着している荷を合流可能かチェックする。合流可能な場合は、自動倉庫制御装置を介して搬送用コンベアに合流指示を出力する。合流不可能な場合は、アイルコンベアNo.を「+1」にし、合流可能な荷がアイルコンベア先頭に到着するまで検索する。
【0020】
上記ステップ1からステップ3はそれぞれ独立していて、同時に処理を行うものである。
【0021】
以上説明した様に、本発明に係る自動倉庫システム11によれば、管理コンピュータ21は、出庫データを作成する際に各自動倉庫12a〜12e毎に出庫順を演算し、自動倉庫制御装置19は、アイルコンベア14a〜14eの先頭に到着した荷17を全てのアイルコンベア14a〜14eで一度に出庫せず、アイルコンベア14a〜14e毎に独立で一つづつ出庫する。このため、荷17の効率的な出庫を実現すると共に、荷17の完全な先入れ先出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る自動倉庫システム11の概略構成図。
【図2】出荷用コンベア16a〜16cの出庫指示データ作成のフローチャート。
【図3】各自動倉庫に出庫指示を送信するフローチャート。
【図4】合流制御のフローチャート。
【符号の説明】
【0023】
11 自動倉庫システム
12a〜12e 自動倉庫
14a〜14e アイルコンベア
15 搬送用コンベア
17 荷
19 自動倉庫制御装置
21 管理コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動倉庫と、前記自動倉庫の荷の出庫順を示す出庫データの作成を行う管理コンピュータと、前記出庫データに基づいて各自動倉庫から出庫された荷を各自動倉庫毎にアイルコンベアを介して共通の搬送用コンベアに合流させて搬送する自動倉庫制御装置と、を備え、各自動倉庫から出庫される荷を所定の順序で出荷する自動倉庫システムであって、
前記管理コンピュータは、前記出庫データを作成する際に、各自動倉庫毎に出庫順を演算し、
前記自動倉庫制御装置は、各自動倉庫から出庫された荷が各アイルコンベアの先頭に到着した際に、該アイルコンベアの先頭に到着した荷と出荷先が同じで出荷順が先になる荷が前記搬送用コンベアにおいて該アイルコンベアの下流側に既に通過していれば、該アイルコンベアの先頭に到着した荷を前記搬送用コンベアに合流させることを特徴とする自動倉庫システム。
【請求項2】
前記搬送用コンベアの前記アイルコンベアと対応する位置より下流側において出荷先に対応して分岐した状態で設けられている複数の出荷用コンベアをさらに備え、
前記管理コンピュータは、所定の条件に基づき出庫順が決められた出荷データを前記出荷用コンベア単位で作成し、該出荷データに基づき所定の前記出荷用コンベアに出荷される荷に関して前記出庫データを作成することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記管理コンピュータは、前記出荷データを作成する第1ステップと、前記出庫データを作成するステップとをそれぞれ独立に実行することを特徴とする請求項2に記載の自動倉庫システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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