説明

自動充填包装機の計量回転盤におけるマス切りスクレイパーの上下機構

【課題】マス切りスクレイパーの高さ位置調節を簡易な構造により素早く且つ確実に調整可能とする。
【解決手段】自動充填包装機における計量回転盤37にはマス切りスクレイパー54を上下に駆動する機構並びにマス切りスクレイパー54の高さ位置を計測する機構を設ける。自動充填包装機の制御部は、オペレータが入力したマス切りスクレイパー54の高さ設定情報と計測したマス切りスクレイパー54の高さ位置情報を基に内部処理を行い、この処理結果により、マス切りスクレイパー54を上下に駆動して包装袋内に充填する粉末原料の量目微調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動充填包装機に関し、特に計量回転盤を備える自動充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動充填包装機においては、粉末原料を計量するための計量回転盤が設けられている。この計量回転盤では、充填される粉末原料がホッパー内に貯留されており、このホッパーから粉末原料が徐々に回転盤内に供給される。
【0003】
その後、回転盤内の粉末原料は、回転動作に伴う遠心力やマス切りスクレイパー等の作用で計量マスに投入された後、マス切りスクレイパーによって、計量マス上部の余分な原料を除去してすり切り状態にしている。
【0004】
このすり切り動作は所謂マス切り動作であり、このマス切り動作によって粉末原料の計量が行われ、この計量動作が行われた後に計量マスの底部に設けられたシャッターが開いて、自動充填包装機で作られた包装袋内に粉末原料が落下する。
【0005】
このような自動充填包装機の計量回転盤の従来例として、所定の厚みの円盤状板部材に対して同心円上に形成された透孔を計量マスとして利用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−11834号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来例では、計量回転盤内の掻取り板(マス切りスクレイパー)が粉末原料を計量マス内に投入すると共に計量マス上部のマス切り動作を行うことによって、原料の計量および供給を実現している。そして、このような掻取り板(マス切りスクレイパー)は通常固定状態になっており、包装袋内に投入される充填量は一定となっている。
【0007】
ここで、包装袋内に投入される充填量を変える場合は、対応する大きさの透穴を有する計量回転盤に差し替えるか、又は計量マス部分が交換可能となっている計量回転盤においては、対応する大きさの透穴を有する計量マスに差し替える必要がある。
【0008】
しかしながら、計量回転盤や計量マスを差し替えることは、コストがかかる上に交換の手間もかかるといった問題がある。このため、充填量のわずかな調整を行う場合は、マス切りスクレイパーの取り付け位置を上下に微調整してマス切り具合を変えることにより、充填量の微調整を行ってきた。
【0009】
このようなマス切りスクレイパーの取り付け位置を上下に微調整して原料充填量の調節を行う場合は、以下の手順を実行していた。
(1)凡その目安でマス切りスクレイパーの高さ位置を設定し、テスト充填を行って包装袋の充填量を計測する。
(2)計測した値が少ない場合は、マス切りスクレイパーの位置を手操作で高く再設定し、計測した値が多い場合は、マス切りスクレイパーの位置を手操作で低く再設定する。
(3)上記テスト充填と包装袋の充填量計測動作並びにマス切りスクレイパーの位置再調整を繰り返すことにより、希望する充填量となるマス切りスクレイパーの高さ位置を決定していた。
【0010】
しかし、上記の手動によるマス切りスクレイパーの高さ位置調整手順は、手間と時間がかかる上にテスト充填を繰り返すために包装用のフィルム並びに粉末原料の無駄が多量に発生するという問題があった。
【0011】
また、包装袋自動生産ラインでは自動充填包装機の直後に自動計量装置(ウェイトチェッカー)を設置して充填量の合否を連続的且つ瞬時に判断できるようになっており、粉末原料の出来具合やその日の環境条件(温度湿度等)によって発生する量目変動に対応するためにもマス切りスクレイパーの高さ位置調整を素早く且つ確実に実施できる手段が求められていた。
【0012】
そこで、本発明は、マス切りスクレイパーの高さ位置調整を簡易な構造により素早く確実に調整可能とした自動充填包装機の計量回転盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、定められた内容積を有する計量マスと、原料が投入された計量マスに対してすり切り動作を行うマス切りスクレイパーとを用いて包装袋内に充填する原料を計量する自動充填包装機の計量回転盤であって、上記計量回転盤は、マス切りスクレイパーを上下に移動させる駆動手段と、マス切りスクレイパーの高さを測る計測手段とを備え、上記自動充填包装機の操作者によって入力されたマス切りスクレイパーの設定高さ情報と、上記計測手段によって計測された高さ情報とを基に、マス切りスクレイパーを上下に駆動して包装袋内への充填量を調節できることを特徴とする自動充填包装機の計量回転盤である。
【0014】
また、その第2の側面は、定められた内容積を有する計量マスと、原料が投入された計量マスに対してすり切り動作を行うマス切りスクレイパーとを用いて包装袋内に充填する原料を計量する自動充填包装機の計量回転盤であって、上記計量回転盤は、マス切りスクレイパーを上下に移動させる駆動手段と、マス切りスクレイパーの高さを測る計測手段とを備え、上記自動充填包装機の操作者によって入力されたマス切りスクレイパーの設定高さと、上記計測手段によって計測された高さとが同じ値になるように、マス切りスクレイパーを上下に駆動して包装袋内への充填量を調節できることを特徴とする自動充填包装機の計量回転盤である。
【0015】
ここにいうマス切りスクレイパーの駆動手段は、パルスモータと、このパルスモータの回転動作をマス切りスクレイパーの上下動作に変換するネジ部とで構成されているものでもよい。
【0016】
また、ここにいうマス切りスクレイパーの計測手段は、渦電流変位センサを用いて高さを計測するものでもよく、同じく、マス切りスクレイパーの計測手段は、マス切りスクレイパーを上下駆動するパルスモータの回転数をマス切りスクレイパーの高さ情報に変換して計測値とするものでもよい。
【0017】
これらの手段により、粉末原料の出来具合やその日の環境条件(温度湿度等)によって発生する量目変動に対応するために、マス切りスクレイパーの高さ位置調整を素早く且つ確実に実施できるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、マス切りスクレイパーの高さ位置調整を簡易な構造により素早く且つ確実に実施できるため、無駄の少ない充填量の微調整が可能になるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る自動充填包装機の第1の実施形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の正面図である。また、図2は、本発明に係る自動充填包装機の第1の実施形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の一部断面図を含む側面図である。なお、以下ではこのL型シール金具タイプ自動包装機1を自動包装機1と略す。
【0020】
図1および図2を参照すると、この自動包装機1は、包材供給モータ11と、ホッパー12と、計量回転盤13と、ステッピングモータ14と、メインモータ15と、減速機16と、ベルトコンベア17と、カッター装置18と、送りロール19と、噛み込み検知装置の検知部分20と、L型シール金具21と、充填シュート22と、配電盤23とを備えている。
【0021】
包材供給モータ11は、ロール状の包材10を引き出してフィルム状の包材(シートフィルム)として供給するためのモータである。この包材供給モータ11により供給されたシートフィルムは充填シュート22の下部に配置され、原料が充填された後にL型シール金具21によって封緘される。
【0022】
ホッパー12は、充填される原料を収容する収納容器である。このホッパー12に収容された原料は、計量回転盤13に供給される。計量回転盤13は、ホッパー12から供給される原料を受ける上面視略円盤状のものである。この計量回転盤13には同心円上に少なくとも1つ以上の透穴が設けられ、その透穴の各々には円筒計量マス24が嵌合される。計量回転盤13は、回転しながらその遠心力等を用いて円筒計量マス24に原料を投入させる。円筒計量マス24の下部にはシャッターが配置され、このシャッターが開くことにより円筒計量マス24内の原料が充填シュート22を介して落下する。
【0023】
充填シュート22は、落下してきた原料を受けて、その下部で待ち受けているシートフィルムに対して原料を充填する。ここで、充填される原料としては、粉体(粉末)や顆粒などを想定できる。L型シール金具21は、原料が充填されたシートフィルムを封緘するシーラーである。このようにして原料が充填されて封緘されたシートフィルムは、カッター装置18に送られる。カッター装置18は、原料が充填されて封緘されたシートフィルムをカットしてベルトコンベア17に載せる。
【0024】
送りロール19は、L型シール金具21によって封緘されたシートフィルムをカッター装置18に送るためのロールである。この送りロール19は、ステッピングモータ14により駆動される。このとき、噛み込み検知装置の検知部分20において原料噛み込みの発生がチェックされる。メインモータ15は、自動包装機1全体を駆動するものであり、減速機16によって減速制御が行われる。配電盤23は、操作パネルであり、前面にはモニター画面が設けられている。
【0025】
図3は、本発明に係る自動充填包装機の第2の実施形態であるロータリー式自動包装機2の正面図である。なお、以下では、このロータリー式自動包装機2を自動包装機2と略す。
【0026】
図3を参照すると、この自動包装機2は、原反ロール30および31と、自動つなぎ装置32と、製袋シュート33と、サイドシールバー34と、充填シュート35と、円筒計量マス36と、計量回転盤37と、ホッパー38と、回転基台39と、操作盤40および41と、トップシール装置42とを備えている。
【0027】
原反ロール30および31は、フィルム状の包材30Fを巻き取ったロール状の包材である。このうち、原反ロール30が使用中のものであり、原反ロール31が予備のものである。自動つなぎ装置32は、使用中の原反ロール30の包材30Fが無くなりかけたときに、その終端片に予備の原反ロール31の包材始端片をつなぎ合わせるものである。
【0028】
このようにして自動つなぎ装置32を通過した包材30Fは、上方に引き上げられて、水平方向に配置されている製袋シュート33に導かれる。この製袋シュート33は、フィルム状の包材30Fを折り畳むものであり、包材30Fを長手方向に沿って折り目を下にして二つ折りし、この折り畳んだ状態で略水平方向に向けて送り出す。
【0029】
ホッパー38は、自動包装機2の上部に設置されて、原料を貯留する収納容器である。このホッパー38の下部には、計量回転盤37が水平回転可能に軸支されている。この計量回転盤37は、ホッパー38から供給される原料を受ける上面視略円盤状のものである。この計量回転盤37には同心円上に少なくとも1つ以上の透穴が設けられ、その透穴の各々には円筒計量マス36が嵌合される。計量回転盤37は、回転しながらその遠心力等を用いて円筒計量マス36に原料を投入させる。円筒計量マス36の下部にはシャッターが配置され、このシャッターが開くことにより円筒計量マス36内の原料が充填シュート35を介して落下する。
【0030】
円筒計量マス36の各々の下部には、回転基台39の円周に沿ってサイドシールバー34が設けられる。このサイドシールバー34は、製袋シュート33によって包材30Fの下に形成された折り目と略直交するように折り畳んだ包材30Fに一定間隔をあけてサイドシール部を形成するものである。
【0031】
充填シュート35は、円筒計量マス36から落下してきた原料を受けて、サイドシールバー34によって形成される連続した包装袋部のそれぞれに原料を投入するものである。ここで、充填される原料としては、粉体(粉末)や顆粒などを想定できる。なお、この充填シュート35は、サイドシールバー34と共に、回転基台39の円周に沿って設けられる。
【0032】
トップシール装置42は、連続した包装袋部の上部開口を接合し、封緘するものである。このトップシール装置42は、2つのシールローラを水平回転させる駆動部を備えている。このトップシール装置42により封緘されることにより、袋部が連なり原料が封止された包装袋である連続包装袋が得られる。
【0033】
なお、操作盤40および41は、この自動包装機2の動作を制御するためのものである。
【0034】
また、この自動包装機2の連続包装袋の搬出口には、搬送装置3が設置されている。この搬送装置3は、カッター装置43と、搬送機構44とを備えている。カッター装置43は、連続包装袋におけるサイドシール部の中央付近を切断するものである。これにより、連続包装袋は個別包装袋の形態となる。搬送機構44は、個別包装袋を搬送するためのものである。この搬送機構44は、チェーンコンベアならびにハンガークリップなどから成る。個別包装袋は、このハンガークリップに把持されて水平方向に移送される。
【0035】
図4は、本発明に係る自動充填包装機の第2の実施形態であるロータリー式自動包装機2の計量回転盤37及びホッパー38付近の一部断面図を含めた正面図である。ここでは、マス切りスクレイパーの高さ位置調節機構を説明するために、計量回転盤37及び計量マス36の部分を断面状態で表示している。
【0036】
図4を参照すると、ホッパー38は、アーム部50を経由して自動包装機2の本体に固定されている。そして、ホッパー38の下部にはホッパー円筒部68が延在接続されており、ホッパー円筒部68の開口部51より粉末原料が計量回転盤37内に徐々に供給される。
【0037】
ホッパー38には、マス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構として、パルスモータ59と、パルスモータ59の回転軸の連結部58と、マス切りスクレイパー54の上下位置を計測する渦電流変位センサ56が取り付けられている。
【0038】
また、計量回転盤37内には、供給された粉末原料を計量マス内に導入投下するための固定スクレイパー55がホッパー円筒部68に固定されて取り付けられ、粉末原料の入った計量マスの上端を削り取ってマス切り計量を行うマス切りスクレイパー54が上下可動状態で取り付けられている。
【0039】
そして、パルスモータ59の回転軸は連結部58を経由してマス切りスクレイパー54と螺動嵌合状態で接続されており、パルスモータ59の回転動作をマス切りスクレイパー54の上下動作に変換するように構成されている。
【0040】
さらに、このマス切りスクレイパー54と金属部材57は、ネジ部材62等で連結固定されており、マス切りスクレイパー54の上下動作に合わせて金属部材57も連動して上下する。このため、この金属部材57と対向状態で設置されている固定の渦電流変位センサ56によって計測された金属部材57との距離測定結果が、マス切りスクレイパー54の上下位置データを表示することになる。
【0041】
計量回転盤37内に供給された粉末原料は、計量回転盤37の回転動作に伴う遠心力や計量回転盤37内の固定スクレイパー55やマス切りスクレイパー54により計量マス36−2内に導入投下された後、直ちに現状の上下位置に設定されたマス切りスクレイパー54によりマス切り計量される。
【0042】
なお、計量回転盤37には、計量マス36が複数設置されている。この設置状態は、図中で見えるものとして計量マス36−1(右側)と、計量マス36−1の下部に設置されているシャッター52−1と、シャッター52−1を計量マス36−1の方に押圧しているスプリング機構53−1と、計量マス36−2(左側)と、計量マス36−2の下部に設置されているシャッター52−2と、シャッター52−2を計量マス36−2の方に押圧しているスプリング機構53−2とが備えられており、マス切りスクレイパー54によるマス切り計量が終了したものから順次シャッター52−1やシャッター52−2等が開いて包装袋内に粉末原料を落下させる。
【0043】
図5は、本発明に係るマス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構を拡大した一部断面図を含んだ側面図であり、マス切りスクレイパー54は隙間63の位置(下がった位置)に設定されている。また、図6は、本発明に係るマス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構を拡大した一部断面図を含んだ側面図であり、マス切りスクレイパー54は隙間65の位置(上がった位置)に設定されている。
【0044】
図5及び図6を参照すると、このマス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構には、ホッパー38に固定されているパルスモータ59と、パルスモータ59の回転軸の連結部58と、この連結部58に結合されたネジ部60と、マス切りスクレイパー54の上下位置を計測する渦電流変位センサ56が設けられている。また、ホッパー円筒部68に固定されている固定スクレイパー55も設けられている。
【0045】
また、マス切りスクレイパー54には、ネジ受部61がネジ部60と螺動嵌合された状態で取り付けられ、同じく金属部材57がネジ部材62、63によって取り付けられている。
【0046】
図5に示す上下駆動機構は、マス切りスクレイパー54が下がった状態を表しており、この時のマス切りスクレイパー54は隙間65となっている高さである。そして、マス切りスクレイパー54に取り付けられた金属部材57は、隙間64を発生した状態で渦電流変位センサ56と対向しており、この隙間64と隙間65は同じ値となるように予め調整されている。このため、渦電流変位センサ56が隙間64を計測することにより、マス切りスクレイパー54の高さ位置(隙間65)を知ることができる。
【0047】
一方、図6に示す上下駆動機構は、パルスモータ59が回転してこのモータ回転軸と螺動嵌合状態で結合しているマス切りスクレイパー54が上がった状態を表しており、この時のマス切りスクレイパー54は隙間67となっている高さである。そして、マス切りスクレイパー54に取り付けられた金属部材57は、連動して上がった状態の隙間66を発生した状態で渦電流変位センサ56と対向しており、この隙間66と隙間67は同じ値となるように予め調整されているため、渦電流変位センサ56が隙間66を計測することにより、マス切りスクレイパー54の高さ位置(隙間67)を知ることができる。
【0048】
このようにしてマス切りスクレイパー54の高さ位置を上下変えることによりマス切り計量具合が変わることになり、このマス切り計量具合に連動して包装袋内に充填される粉末原料の量目の微調整が可能となる。即ち、図5に示すマス切りスクレイパー54の高さ位置では、充填される粉末原料の量目値は少なくなり、図6に示すマス切りスクレイパー54の高さ位置では、充填される粉末原料の量目値は多くなる。
【0049】
図7は、自動充填包装機の制御部の内、本発明に係るマス切りスクレイパーの高さ位置を上下に微調整して原料充填量の調節を行う制御部分だけ抜き出して記載したブロック図である。図7を参照すると、制御部70には、渦電流変位センサ56の出力信号処理関係で変位センサアンプ79と、A/D変換器78があり、制御回路71の関係でCPU72と、メモリ73と、共通バス74と、インターフェース回路75がある。
【0050】
CPU72は、自動充填包装機の各種の演算処理を行う中央処理装置である。メモリ73は、自動充填包装機の動作プログラムや各種データ類が記憶されており、これらの動作プログラムや各種データ類に基づいてCPU72が自動充填包装機の動作を制御する。インターフェース回路75は、CPU72やメモリ73と接続されている共通バス74につながれており、情報の入出力機能を司っている。
【0051】
渦電流変位センサ56は、真上に設けられた金属部材57との間で隙間64に反比例した渦電流損失が発生し、この渦電流損失量が多い程隙間64の距離が小さくなることから、渦電流損失量を計測位置データと読み替えることができる。そして、渦電流変位センサ56の出力は、変位センサアンプ79に接続され、この計測位置データを増幅している。
【0052】
増幅されたアナログデータ(計測位置データ)は、A/D変換器78でデジタル信号に変換されて制御回路71のインターフェース回路75に送られる。
【0053】
一方、制御回路71のインターフェース回路75には、自動充填包装機のオペレータが操作入力部77に入力したマス切りスクレイパー54の高さ設定信号が送られており、制御回路71は、この二つの計測位置信号と高さ設定信号を基にマス切りスクレイパー54の上下駆動機構76に対して上下駆動信号を送るような制御を行っている。なお、この上下駆動信号は、具体的にはマス切りスクレイパー54を上下に駆動するパルスモータ59に送られ、このパルスモータ59を回転駆動するための信号である。
【0054】
図8は、自動充填包装機の制御部の内、本発明に係るマス切りスクレイパーの高さ位置を上下に微調整して原料充填量の調節を行う制御に関する動作フローチャート図である。図8を参照すると、自動充填包装機のオペレータは、現在の包装袋の充填状況を見て、充填量の微調整が必要と判断した場合、マス切りスクレイパーの高さ設定情報を自動充填包装機の操作入力部77に入力する(ステップS100)。自動充填包装機の制御部70は、入力された高さ設定信号を受け取ると、マス切りスクレイパーの現在位置を計測する動作に移行し、渦電流変位センサ56による計測位置信号を受信する(ステップS101)。次に、制御部70は、オペレータが入力した高さ設定信号と渦電流変位センサ5が計測した計測位置信号を比較し(ステップS102)、この高さ設定信号と計測位置信号が一致しなかった場合は(ステップS103)、入力された高さ設定信号に合わせるようにマス切りスクレイパーを上下に駆動させる(ステップS104)。即ち、入力された高さ設定信号に対して現在のマス切りスクレイパーの高さ位置が低い場合は、マス切りスクレイパーを上方に駆動し、入力された高さ設定信号に対して現在のマス切りスクレイパーの高さ位置が高い場合は、マス切りスクレイパーを下方に駆動するように制御する。そして、上記高さ設定信号と計測位置信号が一致するまで、このステップS101乃至ステップS104を繰り返して行い、この高さ設定信号と計測位置信号が一致することで充填量の調節制御動作を終了する(ステップS103)。
【0055】
なお、上述の実施の形態では、予めマス切りスクレイパーの高さ位置に対するマス切り計量値の対比が出来上がっており、自動充填包装機のオペレータは現状の充填量からマス切りスクレイパーの高さ位置をどの位に設定すれば良いか算出できるようになっている。
【0056】
また、予めマス切りスクレイパーの高さ位置に対するマス切り計量値の対比が出来上がっていない場合であっても、素早くマス切りスクレイパーの高さ位置を変えることができることから、マス切りスクレイパーの高さ位置に対するマス切り計量値の対比を容易に作成可能となっている。
【0057】
さらに、上述の実施の形態では、マス切りスクレイパーの高さ位置を計測する手段として、渦電流変位センサ56を用いた例で説明したが、これに限るものではなく、他の手段を用いたものも含むものとする。
【0058】
例えば、パルスモータ59の回転軸に結合されたネジ部60と、これに螺動嵌合されたネジ受部61との関係に注目すると、このネジ部60のピッチ係数は既知であるため、パルスモータ59が1回転した際にマス切りスクレイパー54が上下する量も予め計算できる。即ち、目標とする高さにマス切りスクレイパー54を設定するにはパルスモータ59を何回回転すれば良いか逆算できることになる。このため、パルスモータ59の回転数をマス切りスクレイパー54の高さ位置情報に変換して制御することにより、上述の実施の形態と同じ作用効果を奏し得ることになる。
【0059】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る自動充填包装機の第1の実施形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の正面図である。
【図2】本発明に係る自動充填包装機の第1の実施形態であるL型シール金具タイプ自動包装機1の一部断面図を含む側面図である。
【図3】本発明に係る自動充填包装機の第2の実施形態であるロータリー式自動包装機2の正面図である。
【図4】本発明に係る自動充填包装機の第2の実施形態であるロータリー式自動包装機2の計量回転盤37及びホッパー38付近の一部断面図を含めた正面図である。
【図5】本発明に係るマス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構を拡大した一部断面図を含んだ側面図であり、マス切りスクレイパー54は隙間63の位置(下がった位置)に設定されている。
【図6】本発明に係るマス切りスクレイパー54を上下駆動させる機構を拡大した一部断面図を含んだ側面図であり、マス切りスクレイパー54は隙間65の位置(上がった位置)に設定されている。
【図7】自動充填包装機の制御部の内、本発明に係るマス切りスクレイパーの高さ位置を上下に微調整して原料充填量の調節を行う制御部分だけ抜き出して記載したブロック図である。
【図8】自動充填包装機の制御部の内、本発明に係るマス切りスクレイパーの高さ位置を上下に微調整して原料充填量の調節を行う制御に関する動作フローチャート図である。
【符号の説明】
【0061】
1 L型シール金具タイプ自動包装機
2 ロータリー式自動包装機
3 搬送装置
10 包材
11 包材供給モータ
12、38 ホッパー
13、37 計量回転盤
14 ステッピングモータ
15 メインモータ
16 減速機
17 ベルトコンベア
18、43 カッター装置
19 送りロール
20 (噛み込み検知装置の)検知部分
21 L型シール金具
22、35 充填シュート
23 配電盤
30、31 原反ロール
32 自動つなぎ装置
33 製袋シュート
34 サイドシールバー
35 充填シュート
36 円筒計量マス
39 回転基台
40、41 操作盤
42 トップシール装置
44 搬送機構
50 アーム部
51 開口部
54 マス切りスクレイパー
55 固定スクレイパー
56 渦電流変位センサ
57 金属部材
58 連結部
59 パルスモータ
60 ネジ部
61 ネジ受部
62、63 ネジ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた内容積を有する計量マスと、原料が投入された計量マスに対してすり切り動作を行うマス切りスクレイパーとを用いて包装袋内に充填する原料を計量する自動充填包装機の計量回転盤であって、
前記計量回転盤は、マス切りスクレイパーを上下に移動させる駆動手段と、マス切りスクレイパーの高さを測る計測手段とを備え、
前記自動充填包装機の操作者によって入力されたマス切りスクレイパーの設定高さ情報と、前記計測手段によって計測された高さ情報とを基に、マス切りスクレイパーを上下に駆動して包装袋内への充填量を調節できることを特徴とする自動充填包装機の計量回転盤。
【請求項2】
定められた内容積を有する計量マスと、原料が投入された計量マスに対してすり切り動作を行うマス切りスクレイパーとを用いて包装袋内に充填する原料を計量する自動充填包装機の計量回転盤であって、
前記計量回転盤は、マス切りスクレイパーを上下に移動させる駆動手段と、マス切りスクレイパーの高さを測る計測手段とを備え、
前記自動充填包装機の操作者によって入力されたマス切りスクレイパーの設定高さと、前記計測手段によって計測された高さとが同じ値になるように、マス切りスクレイパーを上下に駆動して包装袋内への充填量を調節できることを特徴とする自動充填包装機の計量回転盤。
【請求項3】
前記マス切りスクレイパーの駆動手段は、パルスモータと、このパルスモータの回転動作をマス切りスクレイパーの上下動作に変換するネジ部とで構成されていることを特徴とする請求項1と請求項2記載の自動充填包装機の計量回転盤。
【請求項4】
前記マス切りスクレイパーの計測手段は、渦電流変位センサを用いて高さを計測することを特徴とする請求項1と請求項2記載の自動充填包装機の計量回転盤。
【請求項5】
前記マス切りスクレイパーの計測手段は、マス切りスクレイパーを上下駆動するパルスモータの回転数をマス切りスクレイパーの高さ情報に変換して計測値とすることを特徴とする請求項1と請求項2記載の自動充填包装機の計量回転盤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−168831(P2007−168831A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367398(P2005−367398)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】