説明

自動分析装置、自動分析装置の暫定検量方法および自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法

【課題】キャリブレーターの調整および検量線作成に伴う分析中断時間を大幅に軽減する、自動分析装置、自動分析装置の暫定検量方法および自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法を提供すること。
【解決手段】この発明にかかる分析装置は、試薬庫2、3内に収納される現在分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号が異なる場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行い、新ロットの試薬を使用した同一検体の分析結果が、正常範囲内か否かを判定する分析結果判定部15eと、分析結果判定部15eにより分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて分析を行うよう制御する分析制御部15fと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各分析項目に応じた試薬を用いて検体を分析する自動分析装置、自動分析装置の暫定検量方法および自動分析装置のオートローディング試薬暫定検量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬庫内に複数収納された試薬容器から分析項目に対応する試薬を反応容器に分注後、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置において、分析開始から分析終了までの間に試薬が不足した場合には、分析を中断し、新たな試薬容器を補充交換する必要がある。
【0003】
このような試薬容器の補充交換に際し、試薬容器に収容した試薬残量から分析可能数を算出し、予定分析数と比較することにより、試薬容器の補充交換の要否を判定し、試薬補充を要する場合にその旨を報知する自動分析装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、近年、自動分析装置での分析速度の向上に伴って試薬の消費量が多くなり、補充用の試薬を保管する補充用試薬保管庫と、前記の保管された試薬容器を試薬格納部に搬送する搬送部とを備えて、試薬容器の補充交換にかかるオペレータの負担を軽減する試薬補充装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−303884号公報
【特許文献2】特開2007−303879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献に開示される装置では、試薬容器の補充交換に要する時間は短縮できるものの、補充試薬のロットが変更された場合に、新たに検量線作成処理が必要となる。また、試薬の種類によっては、キャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製にさらに時間を要する。このため、分析中に試薬が補充交換され、補充試薬のロットが変更された場合、オペレータは、分析処理を中断して、キャリブレーターを調製し、さらに検量線作成処理を行なわなければ補充交換された試薬を使用する分析を行うことができないため、検量線作成処理に要する時間を短縮して分析処理を向上するという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、キャリブレーターの調整および検量線作成に伴う分析中断時間を大幅に軽減することができる、自動分析装置、自動分析装置の暫定検量方法および自動分析装置のオートローディング試薬暫定検量方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる自動分析装置は、試薬庫に保冷・収納される試薬を用いて検体を分析する自動分析装置において、前記試薬庫内に収納される分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号とが異なる場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行ない、新ロットの試薬を使用した分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定手段と、前記分析結果判定手段により分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬を使用した検体の分析を行うよう制御する分析制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付された情報記録媒体の情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在試薬庫内で使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された試薬残量と受け付けた当該試薬を使用する分析項目の予定分析数に基づき、試薬補充の必要性を判定する試薬補充判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記試薬補充判定手段が試薬補充の必要有りと判定した場合に、試薬補充をユーザーに報知する出力手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記分析結果判定手段により新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、補充交換用の試薬を収容した試薬容器を収納して保冷する予備試薬庫と、前記予備試薬庫に収納された補充交換用の試薬容器を前記試薬庫に搬送し、廃棄する空の試薬容器を前記試薬庫から前記予備試薬庫に搬送する搬送装置と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記予備試薬庫は前記試薬庫に隣接配置されるとともに、前記予備試薬庫への試薬容器の収納および/または排出を行なうための開閉部を備えた蓋部を有し、該開閉部は、前記自動分析装置の外部カバーの一部であって、該自動分析装置稼動中に前記自動分析装置外部から試薬容器の収納および/または排出を可能とすることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記搬送装置は、前記予備試薬庫から前記試薬庫への試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への試薬容器の搬送を同時に行なうことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記搬送装置は、独立して回動する2本の駆動アームを備え、支持手段を介して該駆動アームに個々に支持された把持手段が前記予備試薬庫から前記試薬庫への試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への試薬容器の搬送を分担して行なうことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記把持手段は、搬送する試薬容器の試薬分注口の内側または外側を把持することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記予備試薬庫は、前記蓋部に前記搬送装置による試薬容器の搬入のための開閉可能な開口部を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、生化学項目を分析対象とすることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、試薬庫に保冷・収納される試薬を用いて検体を分析する自動分析装置の暫定検量方法であって、前記試薬庫内の現在分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号とが異なる場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行ない、新ロットの試薬を使用した分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定ステップと、前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬を使用した検体の分析を行うよう制御する分析制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正ステップを含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、前記試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付される情報記録媒体の情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにより読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在試薬庫内で使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出ステップと、前記算出手段により算出された試薬残量と受け付けた当該試薬を使用する分析項目の予定分析数に基づき、試薬補充の必要性を判定する試薬補充判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、前記試薬補充判定ステップが試薬補充の必要有りと判定した場合に、試薬補充をユーザーに報知する出力ステップを含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の自動分析装置の暫定検量方法は、上記の発明において、生化学項目を分析対象とすることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、試薬庫内への試薬の補充が必要な場合に、搬送装置を用いて予備試薬庫から補充用の試薬容器を前記試薬庫に搬送する自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法であって、前記試薬庫および予備試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付された情報記録媒体の情報を読み取る読取ステップと、前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出ステップと、前記算出ステップにより算出された試薬残量が所定量以下になった場合に、試薬補充を報知する試薬補充報知ステップと、前記試薬補充報知ステップにて試薬補充が報知された場合に、前記予備試薬庫内の補充交換用の同一試薬を収容する試薬容器を、搬送装置を用いて前記試薬庫に搬送する搬送ステップと、前記読取りステップにおいて読み取られた補充用の試薬のロット番号が、前記試薬庫内の同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定ステップと、前記ロット番号判定ステップにて分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号とが異なると判定された場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行わせる比較分析制御ステップと、前記比較分析制御ステップによる新・旧ロットの試薬を使用した同一検体の分析において、新ロットの試薬の分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定ステップと、前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて分析を行うよう制御する分析制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、上記の発明において、受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正ステップを含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、上記の発明において、前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする。
【0031】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、上記の発明において、生化学項目を分析対象とすることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記予備試薬庫は前記試薬庫に隣接配置されるとともに、前記予備試薬庫への試薬容器の補充および/または排出を行なうための開閉部を備えた蓋部を有し、該開閉部は、前記自動分析装置の外部カバーの一部であって、該自動分析装置稼働中に前記自動分析装置外部から試薬容器の収納および/または排出を可能とすることを特徴とする。
【0033】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記搬送装置は、前記予備試薬庫から前記試薬庫への補充交換用の試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への空の試薬容器の搬送を同時に行なうことを特徴とする。
【0034】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記搬送装置は、独立して回動する2本の駆動アームを備え、支持手段を介して該駆動アームに個々に支持された把持手段が前記予備試薬庫から前記試薬庫への試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への試薬容器の搬送を分担して行なうことを特徴とする。
【0035】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記把持手段は、搬送する試薬容器の試薬分注口の内側または外側を把持することを特徴とする。
【0036】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記試薬補充判定ステップは、前記試薬庫内に空の試薬容器が存在する場合に、前記搬送装置を用いて、前記予備試薬庫からの試薬容器の前記試薬庫への搬送と同時に、前記試薬庫から前記予備試薬庫に空の試薬容器を排出することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法は、前記予備試薬庫は、前記蓋部に前記搬送装置による試薬容器の搬入のための開閉可能な開口部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、補充交換する新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行い、得られた新ロットの試薬の分析結果が正常範囲内である場合に、当該分析結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき簡易に暫定検量線を作成し、当該暫定検量線を用いて分析を行うことができるため、キャリブレーターの調整および検量線作成に伴う分析中断時間を大幅に軽減し得るという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、添付した図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる自動分析装置、自動分析装置の暫定検量方法および自動分析装置のオートローディング試薬暫定検量方法について、血液などの液体検体をサンプルとして分析する自動分析装置を例に説明する。以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる自動分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる自動分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器5にそれぞれ分注し、分注した反応容器5内で生じる反応を光学的に測定する測定機構40と、測定機構40を含む自動分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構40における測定結果の分析を行う制御機構50とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行う。
【0041】
測定機構40は、大別して、第1試薬庫2と、第2試薬庫3と、反応テーブル4と、第1および第2試薬分注装置6、7と、検体容器移送機構8と、ラック9と、分析光学系11と、洗浄装置12と、第1および第2攪拌装置13、14と、検体分注装置20とを備えている。
【0042】
第1試薬庫2は、図1に示すように、第1試薬を収容する試薬容器30が周方向に複数配置され、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器30を周方向に搬送する。複数の試薬容器30は、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、第1試薬庫2の外周には、試薬容器30に貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10aが設置されている。第1試薬庫2の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、第1試薬庫2の下方には試薬冷却用の恒温槽が設けられている。
【0043】
第2試薬庫3は、図1に示すように、第2試薬を収容する試薬容器30が周方向に複数配置され、第1試薬庫2と同様に、駆動手段(図示せず)により回転されて試薬容器30を周方向に搬送する。複数の試薬容器30は、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、第2試薬庫3の外周には、試薬容器30に貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10bが設置されている。第2試薬庫3の上方には、試薬の蒸発や変性を抑制するため、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられており、第2試薬庫3の下方には試薬冷却用の恒温槽(図示せず)が設けられている。
【0044】
第1試薬分注装置6は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム6aを備える。このアーム6aの先端部には、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブ6bが取り付けられている。第1試薬分注装置6は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注装置6は、上述した第1試薬庫2上の所定位置に移送された試薬容器30の中からプローブ6bによって第1試薬を吸引し、アーム6aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に第1試薬を吐出して分注を行なう。
【0045】
第2試薬分注装置7は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム7aを備える。このアーム7aの先端部には、第2試薬の吸引および吐出を行なうプローブ7bが取り付けられている。第2試薬分注装置7は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第2試薬分注装置7は、上述した第2試薬庫3上の所定位置に移送された試薬容器30の中からプローブ7bによって第2試薬を吸引し、アーム7aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器5に第2試薬を吐出して分注を行なう。
【0046】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、第1および第2試薬庫2、3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段(図示せず)によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。反応テーブル4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、反応テーブル4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。反応テーブル4の上方には、図示しない開閉自在な蓋が、下方には検体と試薬の反応を促進させるための恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0047】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた第1および第2試薬分注装置6、7によって第1および第2試薬庫2、3の試薬容器30から試薬が分注される。ここで、第1および第2試薬分注装置6、7は、それぞれ水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a、7aに試薬を分注する分注プローブ6b、7bが設けられ、洗浄水によって分注プローブ6b、7bを洗浄する洗浄槽(図示せず)を有している。
【0048】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、収容した検体の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付され、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置20によって検体が各反応容器5へ分注される。検体分注装置20は、水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム20aに試薬を分注する分注プローブ20bが設けられる。ここで、ラックの近傍には、検体容器9aに貼付された情報記録媒体に記録された、検体情報や検体容器9aの容器情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10cが設置されている。
【0049】
検体分注装置20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム20aを備える。このアーム20aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ20bが取り付けられている。検体分注装置20は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注装置20は、上述した検体移送機構8上の所定位置に移送された検体容器9aの中からプローブ20bによって検体を吸引し、アーム20aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に検体を吐出して分注を行なう。
【0050】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。
【0051】
第1および第2攪拌装置13、14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a、14aによって攪拌し、反応を均一化させる。
【0052】
洗浄装置12は、ノズル12aによって分析光学系11による測定が終了した反応容器5内の反応液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応容器5は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器5を廃棄してもよい。
【0053】
つぎに、制御機構50について説明する。制御機構50は、制御部15と、入力部16と、出力部17と、分析部18と、記憶部19とを備える。制御部15は、測定機構40および制御機構50が備える各部と接続される。これら各部の作動を制御するため、制御部15には、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部15は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記情報記録媒体から読み取った情報に基づき、試薬の有効期限等が設定範囲外の場合、分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。
【0054】
また、制御部15は、算出部15aと、試薬補充判定部15bと、ロット番号判定部15cと、比較分析制御部15dと、分析結果判定部15eと、分析制御部15fと、分析データ補正部15gとを有する。算出部15aは、第1または第2試薬庫2、3に収納される試薬容器30内の試薬残量を算出し、試薬補充判定部15bは、算出部15aにより検出された試薬残量と受け付けた当該試薬を使用する分析項目の予定分析数に基づき、試薬補充が必要か否かを判定する。ロット番号判定部15cは、読取手段10aまたは10bにより読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在第1試薬庫2または第2試薬庫3内で使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定する。比較分析制御部15dは、ロット番号判定部15cにより現在分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号が異なると判定された場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行わせるよう制御する。分析結果判定部15eは、比較分析制御部15dにより分析された新・旧ロットの試薬を使用した同一検体の分析結果が、正常範囲内か否かを判定する。分析制御部15fは、分析結果判定部15eにより分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬を使用して検体の分析を行うよう制御する。分析データ補正部15gは、受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する。
【0055】
入力部16は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部18は、分析光学系11から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部19は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部19は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部17は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力し、試薬補充判定部15bが試薬補充の必要有りと判定した場合に、試薬補充をユーザーに報知する。
【0056】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器5に対して、第1試薬分注装置6が試薬容器30中の第1試薬を分注した後、検体分注装置20が検体容器9a中の検体を分注し、さらに第2試薬分注装置7が試薬容器30中の第2試薬を分注して、分析光学系11が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部18が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部12が分析光学系11による測定が終了した後に搬送される反応容器5を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0057】
つぎに、図2を参照して、実施の形態1にかかる暫定検量方法について説明する。図2は、自動分析装置1における試薬交換から分析終了までの処理手順を示すフローチャートである。実施の形態1では、第1試薬庫2内の試薬を補充交換する場合を例として説明するが、第2試薬庫3内の試薬を補充交換する場合も同様である。
【0058】
図2に示すように、自動分析装置1は電源入力後、分析する検体の分析オーダーを受けつける(ステップS100)。算出部15aは、記憶部19に記憶される第1試薬庫2内の各試薬容器30に収容される試薬量と各試薬容器30から分注が行なわれた回数に基づき、第1試薬庫2内のすべての試薬容器30の残存試薬量を算出する。試薬補充判定部15bは、算出部15aにより算出された各試薬容器30の試薬残量と、ステップS100で受付けた各分析項目の予定分析数に基づき、各試薬容器30の試薬の補充交換の必要性を判定する(ステップS101)。受付けられた各分析項目の予定分析数に要する試薬量が試薬残量より多い場合(ステップS101:Yes)、出力部17は試薬の補充交換を報知し、これによりユーザーは、第1試薬庫2の空き収納部に補充交換用の試薬容器30を収納する(ステップS102)。第1試薬庫2内には、補充交換用の試薬容器30を収納する空き収納部を少なくとも1以上設けることが必要であり、収納する補充交換用の試薬容器30数が空き収納部数より多い場合は、試薬交換がより早く行なわれるものを優先的に第1試薬庫2内に設置する。受付けられた各分析項目の予定分析数に要する試薬量が試薬残量より少ない場合(ステップS101:No)、試薬の補充無しに受付けられた分析項目の分析を開始する(ステップS105)。
【0059】
補充交換用の試薬容器30を第1試薬庫2に収納後、読取装置10aにより試薬容器30に貼付される情報記憶媒体に記憶された試薬情報を読み取る(ステップS103)。読取手段10aは、試薬の種類、ロット番号、有効期限等を読み取り、ロット番号判定部15cは、読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在試薬庫内で使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定する(ステップS104)。
【0060】
補充用の試薬のロット番号が同一であると判定した場合は(ステップS104:Yes)、受付けられた分析項目の分析を開始する(ステップS105)。補充用の試薬のロット番号が同一の場合は(ステップS104:Yes)、分析の準備が整い次第、試薬庫内で既に使用されている試薬を使用して分析を開始する(ステップS105)。受付けられた分析項目について分析を行いながら、第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬量を確認する(ステップS106)。試薬が残存している場合は(ステップS106:No)、分析が終了するまで(ステップS108:Yes)、ステップS106およびステップS108を繰り返す。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に試薬が残存しないと確認された場合(ステップS106:Yes)、第1試薬分注装置は、第1試薬庫2内にすでに収納されている補充交換用の同一試薬を収納する試薬容器30から第1試薬を吸引し、反応容器5に吐出して分析が行なわれる(ステップS107)。検体および第2試薬の分注、反応の後、分析光学系11により反応容器内の反応液の吸光度を測定し、分析部18にて濃度等に換算する際、補充交換前に使用していた同一ロットの試薬の検量線を用いて検量する。受付けられたすべての分析項目の分析が終了するまで分析が行われ(ステップS108:No)、分析終了後(ステップS108:Yes)、空の試薬容器30を第1試薬庫2から排出する(ステップS109)。
【0061】
一方、補充用の試薬のロット番号が同一でないと判定した場合は(ステップS104:No)、検量線作成のためにキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行いながら(ステップS110)、受付けられた分析項目の分析を開始する(ステップS111)。補充交換用の試薬のロット番号が同一でないと判定した場合は(ステップS104:No)、検量線作成のためにキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行ながら(ステップS110)、現在使用している旧ロットの試薬を使用して受付けられた分析項目の分析を始め(ステップS111)、分析を行う検体が、新・旧ロットの試薬で重複した分析が行える十分な量かを確認する(ステップS112)。検体量が新・旧ロットの試薬で重複した分析を行いうるに十分な量である場合(ステップS112:Yes)、比較分析制御部15dは、当該検体を使用して、新・旧ロットの試薬で分析を行う(ステップS113)。検体量が新・旧ロットの試薬で重複した分析を行いうるに十分な量でない場合は(ステップS112:No)、十分な量の検体の分析まで旧ロットの試薬を使用して通常の分析が行われる。新・旧ロットでの比較分析終了(ステップS113)後も、旧ロットの試薬がなくなるまで(ステップS114:No)、当該試薬を使用して分析が行われる。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に旧ロットの試薬が残存しないと確認された後(ステップS114:Yes)、分析結果判定部15eは、ステップS113で行なった新・旧ロットの試薬での比較分析により得られた分析データが正常範囲か否か判定する(ステップS115)。分析結果判定部15eにより新ロットの試薬の分析データが正常範囲と判定された場合は(ステップS115:Yes)、分析制御部15fは、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して(ステップS116)、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬で分析を行うよう制御する(ステップS117)。受付けられたすべての分析項目の分析が終了するまで(ステップS118:No)分析が行われ、分析終了後(ステップS118:Yes)、キャリブレーターを用いて新ロットの試薬の検量線を作成し(ステップS119)、分析データ補正部15gは、暫定検量線を用いて得られた分析データを、作成した検量線に基づき補正して正式な分析データを算出する(ステップS120)。その後、ステップS109で空の試薬容器30を第1試薬庫2から排出する。
【0062】
また、分析結果判定部15eが、分析データは正常範囲外と判定した場合は(ステップS115:No)、ステップS110で開始したキャリブレーターの溶解や解凍などの検量線作成準備が整っているか確認し(ステップS121)、検量線作成処理に入れない場合は(ステップS121:No)、新ロットの試薬を使用する分析項目の分析を待機させる。検量線作成処理に移行できる場合は(ステップS121:Yes)、検量線を作成の後(ステップS122)、新ロットの試薬を使用して分析を行い(ステップS123)、作成した検量線で分析データを検量する。その後、補充試薬のロットが変わらない場合と同様、受付けられたすべての分析項目の分析が終了するまで(ステップS108:No)分析が行われ、分析終了(ステップS108:Yes)後、空の試薬容器30を第1試薬庫2から排出する(ステップS109)。
【0063】
(実施の形態2)
つぎに、図3〜9を参照して、実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2にかかる自動分析装置1Aの構成を示す模式図である。図4は、自動分析装置1Aで使用する第1試薬庫2を示す斜視図である。図5は、自動分析装置1Aで使用する予備試薬庫21を示す斜視図である。図6は、図5に示す予備試薬庫21のA−A線断面図である。図7は、自動分析装置1Aで使用する搬送装置22を示す斜視図である。図8は、自動分析装置1Aで使用する試薬容器の例を示す斜視図である。図9は、実施の形態2にかかる試薬容器交換から分析終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
自動分析装置1Aは、図3に示すように、第1試薬庫2Aおよび第2試薬庫3Aに補充する試薬容器30を保冷・収納する予備試薬庫21と、予備試薬庫21に収納された補充交換用の試薬容器30を、第1試薬庫2または第2試薬庫に搬送し、廃棄する空の試薬容器30を第1試薬庫2または第2試薬庫から予備試薬庫21に排出する搬送装置22を備える。
【0065】
第1試薬庫2A(第2試薬庫3Aも同様)は、図4に示すように、通常は上部に蓋2bが被着され、蓋2bにはアクチュエータによって蓋面方向に沿って矢印方向にスライドさせて開口2cを開閉するシャッタ2dが取り付けられている。シャッタ2dは、試薬を分注する際のほか、試薬容器30内の試薬残量が減少した場合に試薬容器30を交換する際に開放される。
【0066】
予備試薬庫21は、補充交換用の試薬を収容する試薬容器30を保冷して収納する。予備試薬庫21は、第1および第2試薬庫2A、3Aに収納される試薬容器30内の試薬残量が試薬の分注により減少した場合に、補充交換する試薬容器30を収納するが、予備試薬庫21下部には、第1および第2試薬庫2A、3Aと同様に保冷槽が設けられ、試薬容器の補充交換後直ちに分析に使用できるように、前記保冷槽により予備試薬庫21内部が第1および第2試薬庫2A、3Aと略同温に冷却される。予備試薬庫21には、試薬容器30が周方向に複数配置され、駆動手段により回転されて試薬容器30を周方向に搬送する。複数の試薬容器30は、補充交換用の試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が貼付されている。ここで、予備試薬庫21の外周には、試薬容器30に貼付した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10dが設置されている。また、予備試薬庫21は、図3に示すように、第1および第2試薬庫2A、3Aに隣接配置される。
【0067】
さらに、図5に示すように、予備試薬庫21は自動分析装置1の外部カバー(図示せず)の一部である開閉部21eを備える蓋部21bを有する。開閉部21eの表面側には開閉部21eの開閉用の取手21fが配設され、取手21fを上方向に引張操作することにより、ヒンジ部21gを回動軸として開閉部21eを移動させて開閉する。開閉部21eは、図6に示すように自動分析装置1の外部カバー102の一部をなす上部カバー101の外部に突出した構造をとり、当該構造とすることにより突出した開閉部21eの開閉によって、自動分析装置1の駆動中に自動分析装置1外部から試薬容器30の補充および/または排出を行なうことが可能となる。また蓋部21bには、アクチュエータによって蓋面方向に沿って矢印方向にスライドさせて開口21cを開閉するシャッタ21dが取り付けられ、シャッタ21dは、第1および第2試薬庫2A、3A内の試薬容器30内の試薬残量が減少した場合に、予備試薬庫21内に収納される試薬容器30と補充交換する際に開放される。
【0068】
搬送装置22は、図1及び図7に示すように、第1試薬庫2A(第2試薬庫3Aでも同様)内の試薬容器交換位置に搬送された試薬容器30と、予備試薬庫21内の試薬容器交換位置に搬送された試薬容器30との間を水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム22a−1、22a−2と、駆動アーム22a−1、22a−2に支持部材22d−1、22d−2を介して支持された把持部材22b−1、22b−2と、駆動アーム22a−1、22a−2を支持する支柱22c−1、22c−2とを有している。搬送装置22は、2本の駆動アーム22a−1、22a−2を昇降させると共に独立して回動させるために、図7に示すように、回動モータ24−1、24−2と昇降モータ25を有する駆動機構23を備える。回動モータ24−1、24−2は、回転軸24a−1、24a−2に取り付けたホイール24b−1、24b−2と支柱22c−1、22c−2に取り付けたホイール22f−1、22f−2との間にタイミンベルト24c−1、24c−2が巻き掛けられている。昇降モータ25は、タイミンベルト25cによってねじ軸25eを回転し、昇降ブロック25dをねじ軸25eに沿って上下動させる。タイミンベルト25cは、昇降モータ25の回転軸25a(図示せず)に取り付けたホイール25bとねじ軸25eの下端に取り付けたホイール25fとの間に巻き掛けられている。ここで、昇降ブロック25dは、支柱22c−1の下端に取り付けて支柱22c−1,22c−2を支持しており、ねじ軸25eと共にボールねじを構成している。なお、図7では、搬送装置22の把持部材22b−1、22b−2は試薬容器30の回転機構を有していないが、第1試薬庫2および第2試薬庫3と、予備試薬庫21の設置位置との関係を考慮すると、把持部材22b−1、22b−2は試薬容器30の回転機構を有しているものが好ましい。
【0069】
把持部材22b−1、22b−2は、円筒状のゴム製の中空体であって、空気の注入により膨張して試薬容器30の試薬分注口30aを、内側あるいは外側から把持する。試薬分注口30aを外側から把持する場合には、ゴム製の把持部材22b−1、22b−2はその外部に自身の外側への膨らみを規制するカバーを備える。また、試薬容器30が、例えば、図8に示す試薬容器30A、試薬容器30B、試薬容器30Cのように内容量が異なる複数の種類の試薬容器が併用されている場合であっても、試薬容器30A〜30Cの、4面の外側壁のうち試薬分注口30a側の端面に対応する外側壁30cを基準位置として分注口30aが同じ位置に設けられ、試薬分注口30aの大きさを同じにすることにより、搬送装置22の把持部材22b−1、22b−2による把持動作を画一的に統一することができる。
【0070】
つぎに、図9を参照して、実施の形態2にかかる試薬容器交換から分析終了までの処理手順を説明する。実施の形態2では、第1試薬庫2A内の試薬を補充交換する場合を例として説明するが、第2試薬庫3A内の試薬を補充交換する場合も同様である。
【0071】
図9に示すように、自動分析装置1Aは電源入力後、分析する検体の分析オーダーを受け付ける(ステップS200)。算出部15aは、記憶部19に記憶される第1試薬庫2A内の各試薬容器30に収容される試薬量と各試薬容器30から分注が行なわれた回数に基づき、第1試薬庫2A内のすべての試薬容器30内の残存試薬量を算出する(ステップS201)。試薬補充判定部15bは、算出部15aにより算出された各試薬容器30の試薬残量と、ステップS100で受付けた各分析項目の予定分析数に基づき、補充の必要性が高い試薬を判定し、補充の必要性が高い試薬を収容する試薬容器30から順に予備試薬庫21に収納する(ステップS202)。予備試薬庫21に試薬容器30を収納後、試薬容器30に貼付された情報記記憶媒体に記憶される試薬情報を読取装置10dにより読み取り(ステップS203)、記憶部19に記憶させる。ロット番号判定部15cは、一番早く補充交換される予定の試薬(以下、「試薬1」と呼ぶ)のロット番号と、現在試薬庫内で使用されている試薬1のロット番号とが同一か否かを判定する(ステップS204)。
【0072】
補充交換用の試薬1のロット番号が使用されている試薬1のロット番号と同一であると判定した場合は(ステップS204:No)、分析の準備が整い次第、受付けられた分析項目の分析を開始する(ステップS205)。一番先に補充交換される試薬1のロット番号が同一の場合は(ステップS204:No)、受付けられた分析項目について、第1試薬庫2A内の現在使用している試薬1がなくなるまで(ステップS206:No)、当該試薬1を使用して分析を行う(ステップS205)。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に試薬1が残存しないと確認された場合(ステップS206:Yes)、予備試薬庫21内に収納される補充交換用の試薬1を収容する試薬容器30を、搬送装置22により第1試薬庫2Aに搬送し収納する(ステップS207)。第1試薬庫2Aには、補充交換用の試薬容器30を収納する空き収納部を少なくとも1以上確保しておく。その後、補充された試薬1を使用して分析を行う(ステップS208)。
【0073】
補充用の試薬1のロット番号が同一でないと判定した場合は(ステップS204:Yes)、検量線作成のためにキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行ながら(ステップS215)、受付けられた分析項目の分析を開始する(ステップS216)。一番先に補充交換される試薬1のロット番号が同一でない場合は(ステップS204:Yes)、検量線作成のためにキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行いながら(ステップS215)、分析の準備が整い次第、第1試薬庫2A内の試薬1を使用して受付けられた分析項目の分析を始め(ステップS216)、試薬量が所定量以下になるまで分析を続行する(ステップS217:No)。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内の試薬1の残存量が所定量以下と確認された場合(ステップS217:Yes)、予備試薬庫21内に収納される補充交換用の試薬1を収容する試薬容器30を、搬送装置22により第1試薬庫2Aに搬送し収納する(ステップS218)。その後、分析を行う検体が、新・旧ロットの試薬1で重複した分析が行える十分な量か確認する(ステップS219)。検体量が新・旧ロットの試薬1で重複した分析を行いうるに十分な量である場合(ステップS219:Yes)、比較分析制御部15dは、当該検体を使用して、新・旧ロットの試薬1で比較分析を行う(ステップS220)。検体量が新・旧ロットの試薬1で重複した分析を行いうるに十分な量でない場合は(ステップS219:No)、十分な量の検体の分析まで旧ロットの試薬1を使用して通常の分析が行われる。新・旧ロットの試薬1での比較分析(ステップS220)を行なった後も、旧ロットの試薬1がなくなるまで(ステップS221:No)当該試薬1を使用して分析が行われる。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に旧ロットの試薬1が残存しないと確認された後(ステップS221:Yes)、分析結果判定部15eは、ステップS220で行なった新・旧ロットの試薬1での比較分析により得られた分析データが正常範囲か否か判定する(ステップS222)。分析結果判定部15eにより新ロットの試薬1の分析データが正常範囲と判定された場合は(ステップS222:Yes)、分析制御部15fは、当該結果から旧ロットの試薬1の検量線に基づき暫定検量線を作成して(ステップS223)、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬1で分析を行うよう制御する(ステップS224)。
【0074】
一方、分析結果判定部15eにより新ロットの試薬1の分析データが正常範囲外と判定された場合は(ステップS222:No)、ステップS213で開始したキャリブレーターの溶解や解凍などの検量線作成準備が整っているか確認し(ステップS225)、検量線作成処理に入れない場合は(ステップS225:No)、新ロットの試薬1を使用する分析項目の分析を待機させる。検量線作成処理に移行できる場合は(ステップS225:Yes)、検量線を作成の後(ステップS226)、新ロットの試薬1を使用して分析を行い(ステップS227)、作成した検量線で分析データを検量する。
【0075】
ステップS208、ステップS224およびステップS227にて補充交換された試薬1を使用して分析を行いながら、第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aは、第1試薬庫2A内の他の試薬の残量が所定量以下であるか否か確認する(ステップS209)。第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内の他の試薬(以下、「試薬2」と呼ぶ)の試薬量が所定量以下と確認された場合(ステップS209:Yes)、ロット番号判定部15cは、第1試薬庫2A内の試薬2のロット番号と、予備試薬庫21内の試薬2のロット番号とが同一か否かを判定する(ステップS228)。
【0076】
補充用の試薬2のロット番号が同一であると判定した場合は(ステップS228:No)、分析を続行する(ステップS205)。補充交換される試薬2のロット番号が同一の場合は(ステップS228:No)、受付けられた分析項目について、第1試薬庫2A内の現在使用している試薬2がなくなるまで(ステップS206:No)、当該試薬2を使用して分析を行う(ステップS205)。その後、第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に試薬2が残存しないと確認された場合(ステップS206:Yes)、予備試薬庫21内に収納される補充交換用の試薬2を収容する試薬容器30を、搬送装置22により第1試薬庫2Aに搬送収納後(ステップS207)、補充交換された試薬2を使用して分析を行なう(ステップS208)。
【0077】
補充用の試薬2のロット番号が同一でないと判定した場合は(ステップS228:Yes)、検量線作成のために当該試薬2の検量線作成に必要なキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行いながら(ステップS229)、分析を続行する(ステップS230)。補充交換される試薬2のロット番号が同一でない場合は(ステップS228:Yes)、試薬2の検量線作成のためにキャリブレーターの溶解や解凍などの試薬調製の準備を行ながら(ステップS229)、予備試薬庫21内に収納される補充交換用の試薬2を収容する試薬容器30を、搬送装置22により第1試薬庫2Aに搬送し収納する(ステップS230)。ここで、搬送装置22は、予備試薬庫21から補充交換用の試薬2を収容する試薬容器30を第1試薬庫2Aに搬送すると同時に、第1試薬庫2Aから空となった旧ロットの試薬2の試薬容器30を予備試薬庫21に排出する。その後、分析を行う検体が、新・旧ロットの試薬2で重複した分析が行える十分な量か確認し(ステップS231)、十分な量である場合(ステップS231:Yes)、比較分析制御部15dは、当該検体を使用して、新・旧ロットの試薬2で比較分析を行う(ステップS232)。検体量が十分な量でない場合は(ステップS231:No)、十分な量の検体の分析まで旧ロットの試薬2を使用して通常の分析を行い、新・旧ロットの試薬2での比較分析(ステップS232)を行なった後も、旧ロットの試薬2がなくなるまで(ステップS233:No)当該試薬2を使用して分析が行われる。
【0078】
第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aにより、試薬容器30内に旧ロットの試薬2が残存しないと確認された後(ステップS233:Yes)、分析結果判定部15eは、ステップS232で行なった新・旧ロットの試薬2での比較分析により得られた分析データが正常範囲か否か判定する(ステップS222)。分析結果判定部15eにより分析データが正常範囲と判定された場合は(ステップS222:Yes)、分析制御部15fは、当該結果から旧ロットの試薬2の検量線に基づき暫定検量線を作成して(ステップS223)、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬2で分析を行うよう制御する(ステップS224)。
【0079】
一方、分析結果判定部15eにより新・旧ロットの試薬2の比較分析により得られた分析データが正常範囲外と判定された場合は(ステップS222:No)、ステップS229で開始した試薬2の検量線作成用のキャリブレーターの溶解や解凍などの検量線作成準備が整っているか確認し(ステップS225)、検量線作成処理に入れない場合は(ステップS225:No)、新ロットの試薬2を使用する分析項目の分析を待機させる。検量線作成処理に移行できる場合は(ステップS225:Yes)、検量線を作成の後(ステップS226)、新ロットの試薬2を使用して分析を行い(ステップS227)、作成した検量線で分析データを検量する。
【0080】
試薬2の補充交換後のステップS208、ステップS224およびステップS227を行ないながら、受け付けられた分析が終了するまで、第1試薬庫2A内のその他の試薬についても第1試薬分注装置6の分注プローブが備える液面検知機構(図示せず)または算出部15aで残量の検出を行い(ステップS209)、残量が所定量以下になる試薬が発生した場合、試薬2と同様の処理(ステップS228以降)で、試薬補充、暫定検量線の作成を行なう。すべての分析が終了した後(ステップS210:Yes)、補充交換した試薬のロット番号が更新されている場合は(ステップS211:Yes)、ロットが更新されている試薬の検量線作成用のキャリブレーターを用いて検量線を作成し(ステップS212)、分析データ補正部15gにより、暫定検量線を用いて得られた分析データを、作成した検量線に基づき補正して正式な分析データを算出する(ステップS213)。ロットが更新されたすべての試薬について検量線が作成されたか確認し(ステップS214)、作成されていない場合は(ステップS214:No)、検量線の作成(ステップS212)とデータの補正(ステップS213)を繰り返す。すべての検量線が作成された後(ステップS214:Yes)分析は終了となる。補充交換した試薬のロット番号が更新されていない場合も(ステップS211:No)、そのまま分析終了となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施の形態1にかかる自動分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1の自動分析装置における試薬交換から分析終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2にかかる自動分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図4】実施の形態2にかかる自動分析装置で使用する第1試薬庫を示す斜視図である。
【図5】実施の形態2にかかる自動分析装置で使用する予備試薬庫を示す斜視図である。
【図6】実施の形態2にかかる自動分析装置の一部を表す斜視図である。
【図7】実施の形態2にかかる自動分析装置で使用する搬送装置を示す斜視図である。
【図8】実施の形態2にかかる自動分析装置で使用する試薬容器の例を示す斜視図である。
【図9】実施の形態2にかかる自動分析装置における試薬容器交換から分析終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1、1A 自動分析装置
2、2A 第1試薬庫
3、3A 第2試薬庫
2b 蓋部
2c 開口
2d シャッタ
30、30A、30B、30C 試薬容器
4 反応テーブル
4a 保持部
4b 光路
5 反応容器
6、7 第1および第2試薬分注装置
8 検体容器移送機構
9 ラック
9a 検体容器
10a、10b、10c、10d 読取装置
11 分析光学系
12 洗浄装置
13、14 第1および第2攪拌装置
15 制御部
15a 算出部
15b 試薬補充判定部
15c ロット番号判定部
15d 比較分析制御部
15e 分析結果判定部
15f 分析制御部
15g 分析データ補正部
16 入力部
17 出力部
18 分析部
19 記憶部
20 検体分注装置
21 予備試薬庫
21b 蓋部
21c 開口
21d シャッタ
21e 開閉部
21f 取手
21g ヒンジ部
21h 本体部
21i 試薬トレイ
22 搬送装置
22a−1、22a−2 駆動アーム
22b−1、22b−2 把持部材
22c−1、22c−2 支柱
22d−1、22d−2 支持部材
22f−1、22f−2 ホイール
23 駆動機構
24−1、24−2 回動モータ
24a−1、24a−2、25a 回転軸
24b−1、24b−2、25b、25f ホイール
24c−1、24c−2、25c タイミンベルト
25 昇降モータ
25e ねじ軸
25d 昇降ブロック
40 測定機構
50 制御機構
101 上部カバー
102 外部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬庫に保冷・収納される試薬を用いて検体を分析する自動分析装置において、
前記試薬庫内に収納される現在分析に使用されている試薬と補充用の試薬とのロット番号が異なる場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行ない、新ロットの試薬を使用した分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定手段と、
前記分析結果判定手段により新ロットの試薬の分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成し、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬を使用した検体の分析を行うよう制御する分析制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付される情報記録媒体の情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在試薬庫内で使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された試薬残量と受け付けた当該試薬を使用する分析項目の予定分析数に基づき、試薬補充の必要性を判定する試薬補充判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試薬補充判定手段が試薬補充の必要有りと判定した場合に、試薬補充をユーザーに報知する出力手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記分析結果判定手段により新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
補充交換用の試薬を収容した試薬容器を収納して保冷する予備試薬庫と、
前記予備試薬庫に収納された補充交換用の試薬容器を前記試薬庫に搬送し、廃棄する空の試薬容器を前記試薬庫から前記予備試薬庫に搬送する搬送装置と、
を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記予備試薬庫は前記試薬庫に隣接配置されるとともに、前記予備試薬庫への試薬容器の収納および/または排出を行なうための開閉部を備えた蓋部を有し、該開閉部は、前記自動分析装置の外部カバーの一部であって、該自動分析装置稼働中に前記自動分析装置外部から試薬容器の収納および/または排出を可能とすることを特徴とする請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記搬送装置は、前記予備試薬庫から前記試薬庫への補充交換用の試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への空の試薬容器の搬送を同時に行なうことを特徴とする請求項7または8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記搬送装置は、独立して回動する2本の駆動アームを備え、支持手段を介して該駆動アームに個々に支持された把持手段が前記予備試薬庫から前記試薬庫への試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への試薬容器の搬送を分担して行なうことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記把持手段は、搬送する試薬容器の試薬分注口の内側または外側を把持することを特徴とする請求項10に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記予備試薬庫は、前記蓋部に前記搬送装置による試薬容器の搬入のための開閉可能な開口部を備えることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項13】
生化学項目を分析対象とすることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項14】
試薬庫に保冷・収納される試薬を用いて検体を分析する自動分析装置の暫定検量方法であって、
前記試薬庫内の現在分析に使用されている試薬と補充用の試薬とのロット番号が異なる場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行ない、新ロットの試薬を使用した分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定ステップと、
前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて新ロットの試薬を使用した検体の分析を行うよう制御する分析制御ステップと、
を含むことを特徴とする自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項15】
受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正ステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項16】
前記試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付される情報記録媒体の情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにより読み取った補充用の試薬のロット番号が、現在使用されている同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定ステップと、
を含むことを特徴とする請求項14または15に記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項17】
前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出ステップと、
前記算出手段により算出された試薬残量と受け付けた当該試薬を使用する分析項目の予定分析数に基づき、試薬補充の必要性を判定する試薬補充判定ステップと、
を含むことを特徴とする請求項14〜16のいずれか一つに記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項18】
前記試薬補充判定ステップが試薬補充の必要有りと判定した場合に、試薬補充をユーザーに報知する出力ステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項19】
前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一つに記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項20】
生化学項目を分析対象とすることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一つに記載の自動分析装置の暫定検量方法。
【請求項21】
試薬庫内への試薬の補充が必要な場合に、搬送装置を用いて予備試薬庫から補充用の試薬容器を前記試薬庫に搬送する自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法であって、
前記試薬庫および予備試薬庫内に収納される試薬を収容する試薬容器に貼付された情報記録媒体の情報を読み取る読取ステップと、
前記試薬庫内に収納されている試薬容器内の試薬残量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにより算出された試薬残量が所定量以下になった場合に、試薬補充を報知する試薬補充報知ステップと、
前記試薬補充報知ステップにて試薬補充が報知された場合に、前記予備試薬庫内の補充交換用の同一試薬を収容する試薬容器を、搬送装置を用いて前記試薬庫に搬送する搬送ステップと、
前記読取りステップにおいて読み取られた補充用の試薬のロット番号が、前記試薬庫内で使用される同一試薬のロット番号と同一か否かを判定するロット番号判定ステップと、
前記ロット番号判定ステップにて分析に使用されている試薬と補充用の試薬のロット番号とが異なると判定された場合に、新・旧ロットの試薬を使用して同一検体の分析を行わせる比較分析制御ステップと、
前記比較分析制御ステップによる新・旧ロットの試薬を使用した同一検体の分析において、新ロットの試薬を使用した分析結果が正常範囲内か否かを判定する分析結果判定ステップと、
前記分析結果判定ステップにより分析結果が正常範囲と判定された場合に、当該結果から旧ロットの試薬の検量線に基づき暫定検量線を作成して、当該暫定検量線を用いて分析を行うよう制御する分析制御ステップと、
を含むことを特徴とする自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項22】
受付検体の分析終了後、補充交換された新ロットの試薬の検量線を作成し、当該検量線に基づき、前記暫定検量線に基づいて得た分析データを補正して正式な分析データを算出する分析データ補正ステップを含むことを特徴とする請求項21に記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項23】
前記分析結果判定ステップにより新ロットの試薬の分析結果が正常範囲外と判定された場合に、検量線作成の要求を出すとともに、検量線が作成されるまで補充された試薬を使用する分析項目の分析を待機させることを特徴とする請求項21または22に記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項24】
生化学項目を分析対象とすることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項25】
前記予備試薬庫は前記試薬庫に隣接配置されるとともに、前記予備試薬庫への試薬容器の補充および/または排出を行なうための開閉部を備えた蓋部を有し、該開閉部は、前記自動分析装置の外部カバーの一部であって、該自動分析装置稼働中に前記自動分析装置外部から試薬容器の収納および/または排出を可能とすることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項26】
前記搬送装置は、前記予備試薬庫から前記試薬庫への補充交換用の試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への空の試薬容器の搬送を同時に行なうことを特徴とする請求項21〜25のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項27】
前記搬送装置は、独立して回動する2本の駆動アームを備え、支持手段を介して該駆動アームに個々に支持された把持手段が前記予備試薬庫から前記試薬庫への試薬容器の搬送と、前記試薬庫から前記予備試薬庫への試薬容器の搬送を分担して行なうことを特徴とする請求項21〜26のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項28】
前記把持手段は、搬送する試薬容器の試薬分注口の内側または外側を把持することを特徴とする請求項27に記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項29】
前記試薬補充判定ステップは、前記試薬庫内に空の試薬容器が存在する場合に、前記搬送装置を用いて、前記予備試薬庫からの試薬容器の前記試薬庫への搬送と同時に、前記試薬庫から前記予備試薬庫に空の試薬容器を排出することを特徴とする請求項26〜28のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。
【請求項30】
前記予備試薬庫は、前記蓋部に前記搬送装置による試薬容器の搬入のための開閉可能な開口部を備えることを特徴とする請求項21〜29のいずれか一つに記載の自動分析装置の試薬オートローディング暫定検量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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