説明

自動分析装置、自動分析装置の検体攪拌方法および検体分注方法

【課題】装置の高コスト化を抑制しながら、検体容器の転倒混和というユーザーの負担を回避しうる自動分析装置、自動分析装置の検体攪拌方法および検体分注方法を提供する。
【解決手段】検体容器22に収容された検体を検体分注装置5によって反応容器32に分注し、反応容器32内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置1において、検体容器22内に収容される検体液面を検出する液面検知手段と、検体分注装置5の分注プローブを検体容器22内に降下させ、前記液面検知手段で検出した検体液面に到達後、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御する攪拌制御部108cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置、ならびに前記自動分析装置における検体攪拌方法および検体分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を分析する自動分析装置は、検体が収容された検体容器から一定量の検体を反応容器に分注し、反応容器内で試薬と検体とを反応させて検体を分析している。このような自動分析装置において、血液に含まれるヘモグロビンA1c(HbA1c)の測定を行う場合、検体容器内の血液から血球成分を分注する必要がある。この血球成分を含む全血検体は、検体容器に採取した後、放置しておくと血球成分が沈降し、血漿成分と血球成分とに分離してしまう。そこで、確実に血球成分を採取するために、分注直前にユーザーが検体容器を転倒混和した後、全血検体の分注を行っていた。
【0003】
これに対し、ユーザーの負担を軽減して血球成分を確実に分注するために、検体容器に収容された全血検体の液面位置情報と検体容器情報とからノズル下降距離を算出し、算出したノズル下降距離に基づき検体分注機構を動作させることにより、血球が沈降した検体から血球成分を分注する自動分析装置が提案されている(特許文献1および2参照)。
【0004】
さらに、血漿と血球とに層分離した検体を収容する検体容器から血球検体を分注するために、検体容器の種類毎に血球検体の吸引位置を記憶させることにより、検体容器の種類を判別後、記憶された検体容器毎の吸引位置で血球検体を吸引させる分析装置が開示されている(特許文献3参照)。
【0005】
また、血漿と血球とに層分離した検体から血球成分を採取してヘモグロビンA1cを分析するために、試薬プローブが血球層に到達しうる位置である、層分離した血漿/血球検体内への試薬プローブ下降位置を算出し、算出した下降位置まで試薬プローブを下降させた後、赤血球層を試薬プローブで吸引し、吸引した検体を検体内でそのまま吐出することにより該検体を攪拌した後、全血検体を分注する自動分析装置が提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−316239号公報
【特許文献2】特開2000−46843号公報
【特許文献3】特開2007−322317号公報
【特許文献4】特開2000−121650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の自動分析装置において、検体の転倒混和という余分な作業は必要ないものの、ヘモグロビンA1c用の血球検体を、血漿と血球とに層分離した血球成分から採取するものであるため、粘度の高い血球検体を粘度の低い血漿検体とを同一の分注プローブで精度よく分注することは困難であり、血球専用の分注プローブを設ける必要があり、装置コストが高くなる。
【0008】
また、特許文献4に記載の自動分析装置では、試薬プローブを血球層まで下降させて、1度に所定の試料吸引量を試薬プローブで吸引し、検体内で吐出することにより検体を攪拌するとしているが、血球用ではない試薬プローブを使用して、粘度の高い血球を一度に大量に吸引し吐出させて攪拌することは困難である。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置の高コスト化を抑制しながら、簡易な手法により検体を攪拌して検体容器の転倒混和というユーザーの負担を回避しうる自動分析装置、自動分析装置の検体攪拌方法および検体分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって前記検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置において、前記検体容器内に収容される検体液面を検出する液面検知手段と、前記分注プローブを前記検体容器内に降下させ、前記液面検知手段で検出した検体液面に到達後、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御する攪拌制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記検体は血液検体であって、前記検体の分析項目を取得する検体情報取得手段と、前記検体情報取得手段が取得した前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目があるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段が全血検体を試料とする分析項目があると判定した場合に、前記攪拌制御手段は、該分析項目用に全血検体を分注する前に前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とによる攪拌を、吸引から開始させるよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記検体情報取得手段は前記検体容器の種類を含む検体容器情報を取得し、前記検体情報取得手段が取得した検体容器情報と、前記液面検知手段が検出した検体液面位置に基づき検体高さを算出する算出手段を備え、前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを、前記算出手段が算出した検体高さに基づき、異なる高さ位置で行うよう制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の初回吸引量を吐出量より大きく設定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記攪拌制御手段は、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを繰り返しながら、前記分注プローブを前記検体容器底面方向に向かって降下するよう制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引および吐出の後、前記分注プローブを下降し、該吸引・吐出と該下降とを繰り返し行うよう制御することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記検体は、血漿と血球に層分離した血液検体であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記判定手段は、前記検体の分析項目に血漿検体を試料とする分析項目があるか否かを判定し、前記判定手段が、前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目と血漿検体を試料とする分析項目とがあると判定した場合、前記検体の分析項目の順番を、全血検体を試料とする分析項目が最後となるように変更する変更手段を備え、前記攪拌制御手段は、前記血漿を試料とする分析項目の分注が終了した後、前記検体の攪拌を行うよう制御することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、全血検体を試料とする分析項目はHbA1cであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の自動分析装置は、上記発明において、前記算出手段は、算出した検体高さに基づき検体吸引位置を算出し、前記攪拌制御手段は、前記検体の攪拌後、前記算出手段が算出した検体吸引位置において、前記分注プローブにより全血検体を吸引採取するよう制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって前記検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置における検体攪拌方法であって、前記検体容器内に収容される検体液面を検出する液面検知ステップと、前記分注プローブを前記検体容器内に降下させ、前記液面検知ステップで検出した検体液面に到達後、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを繰り返すことにより前記検体を攪拌する攪拌ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記検体は血液検体であって、前記検体の分析項目を取得する検体情報取得ステップと、前記検体情報取得ステップが取得した前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目があるか否かを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップが全血検体を試料とする分析項目があると判定した場合に、前記攪拌ステップは、該分析項目用に全血検体を分注する前に前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とによる攪拌を、吸引から開始させるよう制御することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記検体情報取得ステップは前記検体容器の種類を含む検体容器情報を取得し、前記検体情報取得ステップが取得した検体容器情報と、前記液面検知ステップが検出した検体液面位置に基づき検体高さを算出する算出ステップを含み、前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを、前記算出ステップが算出した検体高さに基づき、異なる高さ位置で行うよう制御することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の初回吸引量を吐出量より大きく設定することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを行いながら、前記分注プローブを前記検体容器底面方向に向かって降下して攪拌することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引および吐出の後、前記分注プローブを下降し、該吸引・吐出と該下降とを繰り返し行うことにより攪拌することを特徴とする。
【0028】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、前記判定ステップは、前記検体の分析項目に血漿検体を試料とする分析項目があるか否かを判定し、前記判定ステップが、前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目と血漿検体を試料とする分析項目とがあると判定した場合、前記検体の分析項目の順番を、全血検体を試料とする分析項目が最後となるように変更する変更ステップを含み、前記攪拌ステップは、前記血漿を試料とする分析項目の分注が終了した後、前記検体の攪拌を行うよう制御することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、全血検体を試料とする分析項目はHbA1cであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の自動分析装置における検体攪拌方法は、上記発明において、検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置における検体分注方法であって、上記に記載の検体攪拌方法により前記検体を攪拌した後、算出ステップが算出した検体高さに基づき検体吸引位置を算出し、算出した検体吸引位置において、前記分注プローブにより全血検体を吸引し、吸引した全血検体を前記反応容器に吐出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、液面検知手段が検出した検体液面情報に基づき検体分注手段の分注プローブを前記検体容器内に降下させ、前記分注プローブにより前記検体の吸引・吐出を複数回繰り返すことにより前記検体を容易に攪拌することができるため、検体容器の転倒混和という作業を行うことなく全血検体の採取が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる自動分析装置を示す概略図である。
【図2】図2は、図1の自動分析装置で使用される検体分注装置の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態にかかる検体分注処理のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態にかかる全血検体分注の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる自動分析装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態にかかる自動分析装置を示す概略図である。図1に示すように、自動分析装置1は、検体と試薬との間の反応物を通過する光を測定する測定機構9と、測定機構9を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに、測定機構9における測定結果の分析を行なう制御機構10とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行なう。
【0035】
まず、測定機構9について説明する。測定機構9は、大別して検体テーブル2と、反応テーブル3と、試薬テーブル4と、検体分注装置5と、試薬分注装置7と、分注プローブ洗浄装置6および8とを備えている。
【0036】
検体テーブル2は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された検体容器収納部21を備えている。各検体容器収納部21には、検体を収容した検体容器22が着脱自在に収納される。検体容器22は、上方に向けて開口する開口部を有している。また、検体テーブル2は、検体テーブル2の中心を通る鉛直線を回転軸として検体テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。検体テーブル2が回転すると検体容器22は、検体分注装置5によって検体が吸引される検体吸引位置に搬送される。
【0037】
なお、検体容器22には、収容された検体の検体IDや分析項目に関する検体情報、および検体容器22の種類に関する検体容器情報を有する記録媒体(図示せず)が貼り付けてある。一方、検体テーブル2は、検体容器22の記録媒体の情報を読み取る読取部23を備えている。読取部23は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。
【0038】
反応テーブル3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された反応容器収納部31を備えている。各反応容器収納部31には、検体と試薬を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で着脱自在に収納される。また、反応テーブル3は、反応テーブル3の中心を通る鉛直線を回転軸として反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応テーブル3が回転すると、反応容器32は、検体分注装置5によって検体が吐出される検体吐出位置や、試薬分注装置7によって試薬が吐出される試薬吐出位置に搬送される。
【0039】
測光装置33は、光源33aおよび受光部33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光を出射し、受光部33bは、光源33aから出射されて、反応容器32に収容された検体と試薬が反応した反応液を透過した光の強度を測定する。測光装置33は、前記光源33aと受光部33bが反応テーブル3の反応容器収納部31を挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。なお、反応テーブル3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する反応容器洗浄装置34を備えている。
【0040】
試薬テーブル4は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された試薬容器収納部41を備えている。各試薬容器収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が着脱自在に収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部を有している。また、試薬テーブル4は、試薬テーブル4の中心を通る鉛直線を回転軸として試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬テーブル4が回転すると試薬容器42は、試薬分注装置7によって試薬が吸引される試薬吸引位置に搬送される。
【0041】
なお、試薬容器42には、収容された試薬の種類や収容量に関する試薬情報を有する記録媒体(図示せず)が貼り付けてある。一方、試薬テーブル4は、試薬容器42の記録媒体の情報を読み取る読取部43を備えている。読取部43は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。
【0042】
検体分注装置5は、検体の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注装置5は、検体テーブル2と反応テーブル3との間に設けられ、検体テーブル2によって所定位置に搬送された検体容器22内の検体を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して検体を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。また、検体分注装置5は、検体容器22内に収容される検体液面を検出する液面検知部60(図2参照)を備える。
【0043】
試薬分注装置7は、試薬の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注装置7は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間に設けられ、試薬テーブル4によって所定位置に搬送された試薬容器42内の試薬を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して試薬を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。また、試薬分注装置7は、試薬容器42内に収容される試薬液面を検出する液面検知部(図示しない)を備える。
【0044】
分注プローブ洗浄装置6は、検体テーブル2と反応テーブル3との間であって、検体分注装置5における分注プローブ50(図2参照)の水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、検体間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブ50により検体の分注を行なうたびに分注プローブ洗浄装置6にて分注プローブ50の洗浄を行なう。分注プローブ洗浄装置8は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間であって、試薬分注装置7における分注プローブの水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、試薬間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブにより試薬の分注を行なうたびに分注プローブ洗浄装置8にて分注プローブの洗浄を行なう。
【0045】
つぎに、制御機構10について説明する。図1に示すように、制御機構10は、制御部101、入力部102、分析部103、記憶部104、出力部105、送受信部107および検体分注制御部108を備える。制御機構10が備える各部は、制御部101に電気的に接続されている。制御部101は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部101は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。分析部103は、制御部101を介して測光装置33に接続され、受光部33bが受光した光量に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部101に出力する。入力部102は、制御部101へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。
【0046】
記憶部104は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部104は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部104には、分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、検体分注量、検体吸引量等の分析条件や、入力部102により入力された検査項目(分析項目)を記憶させてもよい。
【0047】
出力部105は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部101の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部105は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部106を備える。表示部106は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部102および表示部106はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。送受信部107は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0048】
検体分注制御部108は、判定部108aと、変更部108bと、攪拌制御部108cと、算出部108dとを備える。
【0049】
判定部108aは、読取部23が検体容器22に貼付された記録媒体から読み取った検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目のHbA1cがあるか否かを判定する。該情報は、検体容器22の記録媒体に記録されるほか、オペレータが入力部102を介して記憶部104に記憶させておいてもよい。
【0050】
変更部108bは、判定部108aが検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目と血漿検体を試料とする分析項目とがあると判定した場合、前記検体の分析項目の順番を、全血検体を試料とする分析項目(HbA1c)が最後となるように変更する。
【0051】
攪拌制御部108cは、検体分注装置5の分注プローブを検体容器22内に降下させ、液面検知部60で検出した検体液面に前記分注プローブが到達後、前記分注プローブにより検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより検体を攪拌するよう制御する。前記分注プローブによる検体の吸引と吐出とを繰り返すことによる検体の攪拌は、検体中へのエアー混入による泡立ちを防止すべく、吸引から開始させることが好ましい。また、前記分注プローブによる検体の吸引量および吐出量は同量とすることが制御上好ましいが、初回の吸引量のみ大きく設定することにより、ダミー検体を前記分注プローブ内に確保することができ、エアー混入を防止できる。
【0052】
算出部108dは、読取部23が取得した検体容器情報と、液面検知部60が検出した検体液面位置に基づき検体高さおよび検体吸引位置を算出する。
【0053】
このような構成の自動分析装置1では、反応容器32に対して検体分注装置5が、検体容器22から検体を分注する。また、反応容器32には、試薬分注装置7が試薬容器42から試薬を分注する。そして、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと受光部33bとの間を通過する。このとき、光源33aから出射され、反応容器32内の反応液を通過した分析光は、受光部33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、反応容器洗浄装置34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0054】
次に、検体分注装置5の分注機構について、図2を参照して説明する。図2は、検体分注装置5の概略図である。
【0055】
検体分注装置5は、図2に示すように、分注プローブ50、プローブ駆動部53、分注ポンプ55、ポンプ駆動部56、送液ポンプ59、タンク57、液面検知部60を備えている。
【0056】
検体分注装置5は、図1に示すように、水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアームに検体を分注する分注プローブ50が設けられる。分注プローブ50は、ステンレス等の導電性金属材料からなる。図2に示すように、分注プローブ50は、配管51によって分注ポンプ55と接続され、分注ポンプ55と送液ポンプ59は、配管52を介して接続されている。分注プローブ50は、プローブ駆動部53によって図中矢印Xで示す水平方向およびZで示す上下方向に移動され、分注プローブ60の下部に搬送されてくる検体容器22から、分析項目に応じて血漿検体または全血検体を吸引し、吸引した検体を反応テーブル3上の反応容器32に吐出することによって検体を分注する。
【0057】
分注ポンプ55は、分注プローブ50に検体容器22内の検体を吸引した後、反応テーブル3により搬送されてくる反応容器32に吸引した検体を吐出するシリンジポンプであり、ポンプ駆動部56によってピストン55bがシリンジ55a内を往復動される。
【0058】
送液ポンプ59は、タンク57に貯留された脱気した押し出し水L1を吸い上げ、電磁弁58を介して配管52内に圧送する。このとき、電磁弁58は、制御部101からの制御信号によって、吸い上げた押し出し水L1を配管52内に圧送する場合には「開」に切り替えられ、分注ポンプ55によって分注プローブ50が検体を吸引し、吐出する場合には「閉」に切り替えられる。
【0059】
液面検知部60は、検体容器22に収容される検体の液面を検出する。液面検知部60は、発振回路61、液面検知回路62を備え、検体容器22の底部近傍には金属板22cが配置されている。図2に示すように、発振回路61および金属板22cは接地されている。
【0060】
液面検知部60は、発振回路61が発振する発振信号により、分注プローブ50と検体容器22内の検体との間の静電容量の変化により液面を検知する。液面検知回路62は、増幅器62a内に導入された発振信号を増幅する増幅器62aと、増幅器62aで増幅された発振信号を整流するダイオード62bと、整流された信号を平滑化するコンデンサ62cと、平滑化信号を基準信号と比較するコンパレータ62dとを有している。コンパレータ62dは、入力される平滑化信号(電圧)が基準値信号(電圧)よりも大きい場合に液面検知信号を制御部101へ出力する。本実施の形態では、静電容量式の液面検知方式を採用するが、CCD等の光学素子を使用して液面を検知するものであってもよい。
【0061】
次に、本実施の形態にかかる検体分注処理について説明する。図3は本発明の実施の形態にかかる検体分注処理のフローチャートである。
【0062】
まず、読取部23は、分析を行う検体の検体容器22に付された記憶媒体から、該検体の分析項目情報および検体容器情報を読み取り、該情報を制御部101を介して検体分注制御部108に送信する(ステップS101)。判定部108aは、送信された分析項目情報に基づき、該検体について全血を試料とする分析項目であるHbA1cがオーダーされているか否かを判定する(ステップS102)。判定部108aが全血検体を試料とする分析項目(HbA1c)ありと判定した場合(ステップS102、Yes)、さらに判定部108aは、送信された分析項目情報に基づき、該検体について血漿を試料とする分析項目がオーダーされているか否かを判定する(ステップS103)。判定部108aが血漿検体を試料とする分析項目ありと判定した場合(ステップS103、Yes)、変更部108bは、全血を試料とする分析項目であるHbA1cについて、前記検体の分析項目の最後に分析を行うように分析順序を入れ替える(ステップS104)。血漿検体と全血検体の両方を試料とする分析項目がオーダーされている場合、検体容器22に採取された検体は、遠心分離等の前処理を行った後、自動分析装置1の検体テーブル2に設置されるため、先に上層成分である血漿検体の分注を行なった後、該検体の攪拌をして、全血検体の分注を行うために、分析項目の入れ替えを行う。
【0063】
変更部108bによる分析順序の入れ替え後、入れ替えた分析順に分注を開始する。まず、検体分注制御部108は、分注プローブ50を検体容器22内に降下する。この降下の際、液面検知部60は、分注プローブ50と検体容器22内の検体との間の静電容量の変化に基づいて検体液面を検知する(ステップS105)。
【0064】
液面検知後、検体分注制御部108は、分注プローブ50により血漿検体を吸引させ(ステップS106)、分注プローブ50をプローブ駆動部53の駆動により反応テーブル3に移送後、吸引した血漿検体を反応容器32に吐出させる(ステップS107)。
【0065】
検体分注制御部108は、前記検体について、すべての血漿検体の分注が終了したか否かを確認する(ステップS108)。前記検体について、すべての血漿検体の分注が終了した場合には(ステップS108、Yes)、ステップS109に移行する一方、前記検体について、すべての血漿検体の分注が終了していない場合には(ステップS108、No)、ステップS105に移行して血漿検体の分注を行なう。
【0066】
前記検体についての、すべての血漿検体の分注終了後、全血検体を試料とする分析項目であるHbA1c用の分注を行う。まず、液面検知部60により液面を検出し(ステップS109)、検出した液面位置と、ステップS101で読取部23が取得した分析項目情報および検体容器情報に基づき、算出部108dは、検体高さh(図4(4−2)参照)および全血検体吸引位置を算出する(ステップS110)。検体高さhは、液面位置と検体容器情報から算出する。全血検体吸引位置は、算出した検体高さhにユーザーにより設定された採取位置(たとえば、検体高さに対する比率として20%、30%など)を乗じて求める。
【0067】
全血検体の吸引位置を算出後、攪拌制御部108cの制御のもと、分注ブローブ50による検体の吸引および吐出を繰り返しにより層分離した検体を攪拌する(ステップS111)。本発明の実施の形態では、分注プローブ50により、層分離した検体の吸引と吐出とを、少なくとも2回以上繰り返すことにより攪拌を行う。ここで、1回目の検体の吸引および吐出は、液面近くの血漿を吸引することが好ましい。最初に粘度の低い血漿検体の吸引および吐出を行なうことにより、効率よく検体の対流を生じさせることができる。これにより、2回目以降に吸引する検体は、血漿と血球が一部混合した検体(血球検体より粘度が低い)となるため、内径が小さい分注プローブ50でも容易に吸引及び吐出を行なうことができる。
【0068】
また、分注プローブ50による検体の吸引および吐出は、検体の異なる高さ位置で行うことが好ましく、検体の吸引および吐出位置を予め設定してもよい。たとえば、検体高さhに対し、0.7h、0.3hで吸引および吐出による攪拌を行なうよう設定された場合、まず0.7hの検体高さまで分注プローブ50を下降後、検体の吸引および吐出を行なった後、さらに0.3hの検体高さまで分注プローブ50を下降後、検体の吸引および吐出を行なう。より具体的には、攪拌制御部108cは、プローブ駆動部53およびポンプ制御部56を駆動して、分注プローブ50の下降と、検体の吸引および吐出とを2回以上繰り返し行なわせることにより攪拌を行う。
【0069】
図4は、検体の吸引および排出位置を予め設定した場合の、全血検体分注の動作図である。攪拌制御部108cは、分注プローブ50を検体容器22内に下降し(図4(4−1))、検体液面を検出後(図4(4−2))、算出部が算出した検体高さhに基づいて予め設定された検体の吸引および排出位置まで分注プローブ50を下降して、血漿検体を吸引および吐出する(図4(4−3))。その後、攪拌制御部108cは、分注プローブ50を次の検体の吸引および吐出位置まで下降して、血漿と血球が一部混合した検体を吸引および吐出することにより、検体の攪拌を行う(図4(4−4))。攪拌後、攪拌制御部108cは、算出部108dが算出した全血検体吸引位置まで分注プローブ50を移動させ、全血検体を吸引し(図4(4−5))、吸引した検体を反応容器に吐出させる。
【0070】
なお、攪拌及び全血検体の分注時間の短縮化のためには、最後に検体の吸引および吐出を行なう位置と、全血検体吸引位置が同じであることが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、検体容器22底面で検体の吸引および吐出を行ない、検体を攪拌した後、全血検体吸引位置まで分注プローブ50を上昇させて全血検体を吸引させてもよい。
【0071】
あるいは、分注プローブ50による検体の吸引および吐出を、検体の異なる高さ位置で行うために、分注プローブ50を下降しながら、分注プローブ50による吸引および吐出を行なってもよい。かかる場合は、分注プローブ50の下降速度ならびに1回あたりの吸引時間および吐出時間とその回数(吸引速度および吐出速度は一定とする)を予め設定しておけばよい。なお、分注プローブ50の下降と吸引および吐出を交互に行なう場合、また、分注プローブ50を下降しながら吸引および吐出を行なう場合のいずれの場合も、検体内への空気の持込による泡立ちを防止するため、検体の吸引から開始するものであり、検体の初回吸引量を吐出量よりダミー量分だけ大きく設定して、吸引したダミー量を分注プローブ内に保持することにより、空気の混入を確実に防止することができる。また、攪拌制御部108cは、一旦分注プローブ50を検体容器22底面まで分注プローブを下降させ、下降による検体の対流を生じさせた後、分注プローブ50を上昇させながら検体の吸引および吐出を行なってもよい。
【0072】
分注プローブ50による検体攪拌後、検体分注制御部108は全血検体吸引位置まで分注プローブを移動させて、全血検体を吸引する(ステップS112)。
【0073】
攪拌制御部108cは、プローブ駆動部53の駆動により全血検体を吸引した分注プローブ50を反応テーブル3まで移送し、所定の反応容器32に吐出する(ステップS113)。
【0074】
全血検体分注終了後、検体分注制御部108は、検体テーブル2にセットされたすべての検体についての分注が終了したか否かを確認する(ステップS114)。すべての検体の分注が終了した場合は(ステップS114、Yes)、検体分注処理を終了し、すべての検体の分注が終了していない場合は(ステップS114、No)、ステップS101に移行する。
【0075】
ステップS102で、判定部108aが全血を試料とする分析項目がないと判定した場合は(ステップS102、No)、ステップS115に移行し、検体分注制御部108が液面検知部60により検体液面を検出後(ステップS115)、分注プローブ50により血漿検体を吸引し(ステップS116)、吸引した血漿検体を反応容器32に吐出する(ステップS117)。検体分注制御部108は、前記検体について、すべての血漿検体の分注が終了するまで(ステップS118、No)、ステップS115〜S117を繰り返し、前記検体について、すべての血漿検体の分注が終了した場合には(ステップS118、Yes)、ステップS114に移行する。
【0076】
ステップS103で、判定部108aが血漿を試料とする分析項目がないと判定した場合は(ステップS103、No)、ステップS109に移行して、攪拌制御部108cの制御の元、検体を攪拌した後、全血検体の分注を行う。なお、全血を試料とする分析項目はオーダーされているが、血漿を試料とする分析項目がオーダーされていない検体は、遠心分離処理は行われずに全血状態で検体テーブル2にセットされるが、分注が開始されるまでに血球層が沈降する場合があるため、該検体についても、上述したステップS109〜S111の攪拌方法により攪拌した後、全血検体の分注を行うものとする。
【0077】
本発明の実施の形態に係る自動分析装置1によれば、ユーザーによる検体容器の転倒混和という作業を行うことなく全血検体の採取が可能となり、これにより、検体容器の転倒混和の際のキャップの付け間違い等による検体コンタミを防止できるだけでなく、転倒混和により生じるおそれのある泡による分注不良の防止も可能となる。さらに、本実施の形態の自動分析装置によれば、層分離した血球層内の新しい血球と古い血球との混和も可能となるため、より正しい測定値を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明の自動分注装置、および検体攪拌方法および検体分注方法は、血漿検体と全血検体とを両方分析する分析装置に有用であり、特に分析精度が要求される分析装置の分野に適している。
【符号の説明】
【0079】
1 自動分析装置
2 検体テーブル
3 反応テーブル
6、8 分注プローブ洗浄装置
21 検体容器収納部
22 検体容器
23、43 読取部
32 反応容器
33 測光装置
33a 光源
33b 受光部
34 反応容器洗浄装置
4 試薬テーブル
41 試薬容器収納部
42 試薬容器
5 検体分注装置
50 分注プローブ
53 分注プローブ駆動部
51、52 配管
55 分注ポンプ
55a シリンジ
55b ピストン
56 ポンプ駆動部
57 タンク
58 電磁弁
59 送液ポンプ
7 試薬分注装置
9 測定機構
10 制御機構
101 制御部
102 入力部
103 分析部
104 記憶部
105 出力部
106 表示部
107 送受信部
108 検体分注制御部
108a 判定部
108b 変更部
108c 攪拌制御部
108d 算出部
L1 押し出し水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって前記検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置において、
前記検体容器内に収容される検体液面を検出する液面検知手段と、
前記分注プローブを前記検体容器内に降下させ、前記液面検知手段で検出した検体液面に到達後、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御する攪拌制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記検体は血液検体であって、
前記検体の分析項目を取得する検体情報取得手段と、
前記検体情報取得手段が取得した前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目があるか否かを判定する判定手段と、
を備え、前記判定手段が全血検体を試料とする分析項目があると判定した場合に、前記攪拌制御手段は、該分析項目用に全血検体を分注する前に前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とによる攪拌を、吸引から開始させるよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記検体情報取得手段は前記検体容器の種類を含む検体容器情報を取得し、
前記検体情報取得手段が取得した検体容器情報と、前記液面検知手段が検出した検体液面位置に基づき検体高さを算出する算出手段を備え、
前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを、前記算出手段が算出した検体高さに基づき、異なる高さ位置で行うよう制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の初回吸引量を吐出量より大きく設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記攪拌制御手段は、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを繰り返しながら、前記分注プローブを前記検体容器底面方向に向かって降下するよう制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記攪拌制御手段は、前記分注プローブによる前記検体の吸引および吐出の後、前記分注プローブを下降し、該吸引・吐出と該下降とを繰り返し行うよう制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記検体は、血漿と血球に層分離した血液検体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記検体の分析項目に血漿検体を試料とする分析項目があるか否かを判定し、
前記判定手段が、前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目と血漿検体を試料とする分析項目とがあると判定した場合、前記検体の分析項目の順番を、全血検体を試料とする分析項目が最後となるように変更する変更手段を備え、
前記攪拌制御手段は、前記血漿を試料とする分析項目の分注が終了した後、前記検体の攪拌を行うよう制御することを特徴とする請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
全血検体を試料とする分析項目はHbA1cであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記算出手段は、算出した検体高さに基づき検体吸引位置を算出し、
前記攪拌制御手段は、前記検体の攪拌後、前記算出手段が算出した検体吸引位置において、前記分注プローブにより全血検体を吸引採取するよう制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項12】
検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって前記検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置における検体攪拌方法であって、
前記検体容器内に収容される検体液面を検出する液面検知ステップと、
前記分注プローブを前記検体容器内に降下させ、前記液面検知ステップで検出した検体液面に到達後、前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを繰り返すことにより前記検体を攪拌する攪拌ステップと、
を含むことを特徴とする自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項13】
前記検体は血液検体であって、
前記検体の分析項目を取得する検体情報取得ステップと、
前記検体情報取得ステップが取得した前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目があるか否かを判定する判定ステップと、
を含み、前記判定ステップが全血検体を試料とする分析項目があると判定した場合に、前記攪拌ステップは、該分析項目用に全血検体を分注する前に前記分注プローブにより前記検体の吸引と吐出とを複数回繰り返すことにより前記検体を攪拌するよう制御することを特徴とする請求項12に記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項14】
前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とによる攪拌を、吸引から開始させるよう制御することを特徴とする請求項12または13に記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項15】
前記検体情報取得ステップは前記検体容器の種類を含む検体容器情報を取得し、
前記検体情報取得ステップが取得した検体容器情報と、前記液面検知ステップが検出した検体液面位置に基づき検体高さを算出する算出ステップを含み、
前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを、前記算出ステップが算出した検体高さに基づき、異なる高さ位置で行うよう制御することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項16】
前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の初回吸引量を吐出量より大きく設定することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項17】
前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引と吐出とを行いながら、前記分注プローブを前記検体容器底面方向に向かって降下して攪拌することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項18】
前記攪拌ステップは、前記分注プローブによる前記検体の吸引および吐出の後、前記分注プローブを下降し、該吸引・吐出と該下降とを繰り返し行うことにより攪拌することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項19】
前記判定ステップは、前記検体の分析項目に血漿検体を試料とする分析項目があるか否かを判定し、
前記判定ステップが、前記検体の分析項目に全血検体を試料とする分析項目と血漿検体を試料とする分析項目とがあると判定した場合、前記検体の分析項目の順番を、全血検体を試料とする分析項目が最後となるように変更する変更ステップを含み、
前記攪拌ステップは、前記血漿を試料とする分析項目の分注が終了した後、前記検体の攪拌を行うよう制御することを特徴とする請求項12〜18のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項20】
全血検体を試料とする分析項目はHbA1cであることを特徴とする請求項12〜19のいずれか一つに記載の自動分析装置の検体攪拌方法。
【請求項21】
検体容器に収容された検体を分注する分注プローブを有する検体分注手段によって検体を反応容器に分注し、該反応容器内で試薬と反応させて前記検体を分析する自動分析装置における検体分注方法であって、
請求項10〜13のいずれか一つに記載の検体攪拌方法により前記検体を攪拌した後、算出ステップが算出した検体高さに基づき検体吸引位置を算出し、
算出した検体吸引位置において、前記分注プローブにより全血検体を吸引し、吸引した全血検体を前記反応容器に吐出することを特徴とする自動分析装置の検体分注方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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