説明

自動分析装置および分析方法

【課題】分析に使用する検体の量を減量した場合であっても、分析精度を保証できる自動分析装置および分析方法を提供すること。
【解決手段】検体容器に収容された検体を反応容器に分注して検体を分析する自動分析装置および分析方法。自動分析装置1は、検体容器2bに収容された検体を反応容器4aに分注する検体分注部3と、各検体容器2b内の分注可能な検体の総量を取得する取得部26と、分析項目に応じて検体分注部3による検体吸引処理によって吸引される検体吸引量のうち反応容器4aに吐出されない余剰量を、検体の総量に応じて増減して検体吸引量を設定する設定部27と、設定部27が設定した検体吸引量の検体を検体分注部3に吸引させる制御を行う制御部21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液および尿などの生体試料の定性分析および定量分析を行う自動分析装置および分析方法に係り、特に同一の検体に対して多項目の分析を行う自動分析装置および分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体試料を分析する自動分析装置は、所定の検体に対して複数の分析項目の分析が依頼されている場合、複数の反応容器に所定量ずつの検体を分注し、複数の分析項目の分析処理を行う。
【0003】
従来の自動分析装置では、全分析項目の分析処理に必要な量以上の検体が検体容器に収容されていることが前提であった。しかしながら、被験者が小児である場合など、検体容器内の検体の総量が、全分析項目の分析処理に要する検体の量と比較して少ない場合があった。このため、特許文献1では、検体容器内の検体の総量が所定量未満の場合、予め設定した分析項目の分析処理で使用する検体の量を減量し、可能な限り多くの分析項目について分析処理を行う自動分析装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−170735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の自動分析装置および分析方法は、減量したパラメータで検量線をもっておらず、分析処理で使用する検体のうち反応容器に分注する検体量(以下、「分析に用いる量」とする)を減量することで検体量不足に対応していたため、分析に用いる量が減量された分析項目の分析結果は分析精度が保証されていなかった。このため、従来の自動分析装置および分析方法では、検体の量が不足していた場合に分析精度が保証された分析結果を得るためには再度検体を採取して分析しなければならなかったため、被検者に負担がかかるとともに分析効率を低下させるなどの問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析に使用する検体の量を減量した場合であっても、分析精度を保証できる自動分析装置および分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる自動分析装置は、検体容器に収容された検体を反応容器に分注する分注手段を備えた自動分析装置であって、分注可能な前記検体の総量を取得する取得手段と、分析項目に応じて前記分注手段による検体吸引処理によって吸引される検体吸引量のうち前記反応容器に吐出されない余剰量を、前記総量に応じて増減して前記検体吸引量を設定する設定手段と、前記設定手段が設定した前記検体吸引量の前記検体を前記分注手段に吸引させる制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記分析項目に応じて前記分注手段によって前記反応容器に吐出される検体の量である分析に用いる量と前記余剰量との対応関係を示す使用量設定を予め複数記憶する記憶手段を備え、前記設定手段は、分析依頼を受けた分析依頼項目は必ず分析できる前記使用量設定を選択して設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記発明において、前記設定手段は、分析依頼を受けた分析項目を最も多く分析できる前記分注設定を選択して設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、各分析項目の分析結果とともに各分析項目の分析処理に用いた前記使用量設定に関する情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記検体および試薬の反応液の吸光度および検量線を用いて前記検体の成分濃度を分析する分析手段を備え、前記記憶手段は、各使用量設定に対応する検量線を記憶し、前記制御手段は、前記設定手段が設定した各使用量設定に対応する前記検量線を用いて前記分析手段に前記成分濃度を分析させる制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記出力手段は、前記設定手段が設定した前記検量線を識別する情報を出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記余剰量は、前記分注手段によって吸引された後、前記反応容器に前記検体を吐出される前に吐出される先端余剰量および/または前記反応容器に前記検体を吐出された後に吐出される後端余剰量であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記制御手段は、予め設定された優先度が高い分析項目に対応する前記分析に用いる量から順に前記検体を前記反応容器に分注するように前記分注手段を制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる分析方法は、検体容器に収容された検体を反応容器に分注する分注ステップを備えた分析方法であって、分注可能な前記検体の総量を取得する取得ステップと、分析項目に応じて前記分注ステップによる検体吸引処理によって吸引される検体吸引量のうち前記反応容器に吐出されない余剰量を、前記総量に応じて増減して前記検体吸引量を設定する設定ステップと、前記設定ステップで設定した前記検体吸引量の前記検体を前記分注ステップで吸引させる制御を行う制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記分析項目に応じて前記分注ステップにおいて前記反応容器に吐出される検体の量である分析に用いる量と前記余剰量との対応関係を示す使用量設定を予め複数記憶する記憶ステップを含み、前記設定ステップは、分析依頼を受けた分析優先項目は必ず分析できる前記使用量設定を選択して設定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記設定ステップは、分析依頼を受けた分析項目を最も多く分析できる前記分注設定を選択して設定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、各分析項目の分析結果とともに各分析項目の分析処理に用いた前記使用量設定に関する情報を出力する出力ステップを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記検体および試薬の反応液の吸光度および検量線を用いて前記検体の成分濃度を分析する分析ステップを含み、前記記憶ステップは、各使用量設定に対応する検量線を記憶し、前記制御ステップは、前記設定ステップにおいて設定した各使用量設定に対応する前記検量線を用いて前記分析ステップにおいて前記成分濃度を分析させる制御を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記出力ステップは、前記設定ステップにおいて設定した前記検量線を識別する情報を出力することを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記余剰量は、前記分注ステップにおいて吸引された後、前記反応容器に前記検体を吐出される前に吐出される先端余剰量および/または前記反応容器に前記検体を吐出された後に吐出される後端余剰量であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる分析方法は、上記の発明において、前記制御ステップは、前記分注ステップにおいて予め設定された優先度が高い分析項目に対応する前記分析に用いる量から順に前記検体を前記反応容器に分注するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる自動分析装置および分析方法は、検体容器に収容されている分注可能な検体の総量に応じて余剰量を増減して検体吸引量を設定するので、検体の総量に応じて分析に用いる量は変化させないため、検体吸引量を減量した場合であっても、分析精度を保証できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態である自動分析装置および分析方法について説明する。なお、各実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分または相当する部分には同一の符号を付している。
【0025】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る自動分析装置1の全体構成を示す図である。自動分析装置1は、臨床検査等に用いる生化学分析装置であり、図1に示すように、測定動作を行う測定機構101および測定機構101を制御する制御機構102を備える。測定機構101は、検体供給部2、反応容器保持部4、第一試薬保冷庫7、第二試薬保冷庫8および測定光学系14などを備え、検体供給部2と反応容器保持部4との間に検体分注部3を備え、反応容器保持部4と第一試薬保冷庫7との間に第一試薬分注部5を、反応容器保持部4と第二試薬保冷庫8との間に第二試薬分注部6を備える。
【0026】
検体供給部2は、複数のラック2aを搭載し、各ラック2aは検体を収容した検体容器2bを複数搭載する。検体供給部2は、矢印で示す経路に沿って各ラック2aを順次搬送し、各検体容器2bを所定位置に順次搬送する。また、検体供給部2は、検体容器2bの高さを判別する判別装置2cを備える。判別装置2cは、例えば光電センサによって実現される。従来から、検体容器の高さは検体容器の種別ごとに異なるので、検体容器2bの高さを判別することによって検体容器2bの種別の判別が可能となる。
【0027】
検体分注部3は、鉛直方向の昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸として回転を自在に行うアーム3aと、アーム3aの先端部に取り付けられたプローブ3bと、図示しない吸排シリンジとを備える。プローブ3bおよび吸排シリンジは図示しない配管によって連結され、プローブ3b内および配管内には洗浄水が充填されている。洗浄水は、例えばイオン交換水などの非圧縮性流体によって実現され、吸排シリンジの吸排動作をプローブ3bの先端部分に伝達する。検体は、吸排シリンジの吸排動作に応じてプローブ3b内に吸引され吐出される。なお、図2に示すように、プローブ3b内に吸引された検体は、エアー層を介して洗浄水と対向する。検体分注部3は、所定の位置に移送された検体容器2b内の検体をプローブ3b内に吸引し、反応容器4aに検体を吐出することによって検体の分注を行う。なお、検体分注部3は、反応容器4aへの検体吐出後、洗浄水を図示しない廃棄部に吐出してプローブ3b内を洗浄する。
【0028】
なお、プローブ3bは、ステンレスなどの導電性金属製であり、図示しない液面検知回路と電気的に接続している。液面検知回路は、プローブ3bが検体液面に接する際の電気的変化を検知し、液面検知信号を制御機構102に入力する。
【0029】
反応容器保持部4は、リング状に形成された環状の部材の外周に等間隔に収容凹部4bを複数備える。収容凹部4bは、反応容器保持部4の半径方向に分析光を通過させるガイド孔4cを備え、反応容器4aを収容する。反応容器保持部4は、各反応容器4aを体温程度の温度に保温しつつ間欠回転し、一周期で反時計方向に(1周−1キュベット)/4分回転し、四周期で時計方向に1キュベット分回転する。
【0030】
第一試薬保冷庫7および第二試薬保冷庫8は、それぞれ第一試薬の試薬ボトル7aと第二試薬の試薬ボトル8aを複数保持する。試薬ボトル7a内の試薬は、試薬分注部5によって反応容器4aに分注され、試薬ボトル8a内の試薬は、試薬分注部6によって反応容器4aに分注される。複数の試薬ボトル7aおよび試薬ボトル8aは、各分析項目に応じた所定の試薬を収容し、図示しないバーコードラベルが外面に貼付されている。各バーコードラベルには、試薬の種類、ロットおよび有効期限などの試薬に関する情報がコード化されて記録されている。読取装置9および読取装置10は、第一試薬保冷庫7および第二試薬保冷庫8の外周に配置され、各バーコードラベルに記録されたコードを読み取って制御部21へ入力する。
【0031】
攪拌装置11および攪拌装置12は、反応容器保持部4の外周に配置され、攪拌棒11aまたは攪拌棒12aを用いて反応容器4a内に分注された検体および試薬を攪拌して均一に反応させる。なお、攪拌棒11aおよび攪拌棒12aは、反応容器4a内を攪拌するたびに図示しない洗浄部で洗浄される。
【0032】
測定光学系14は、光源装置14a、コリメーションレンズ14b、分光素子14cおよび受光センサ14dを備える。光源装置14aは、例えばハロゲンランプを光源とし、反応容器4a内の反応液を分析する分析光(波長340〜800nm)を出射する。コリメーションレンズ14bは、光源装置14aが出射した光を平行光に収束させる。分光素子14cは、反応液に特異的に吸収される波長域の光を分光する。受光センサ14dは、光源装置14aが出射して反応容器4a内の反応液を透過し、分光素子14cによって分光された分析光の強度を測定する。
【0033】
洗浄・乾燥ユニット15は、反応容器保持部4の外周に配置され、反応容器4a内の反応液を廃棄し、図示しない洗浄水タンクから供給される洗浄水を用いて反応容器4aの内部を洗浄した後、洗浄水を廃棄して反応容器4a内を乾燥する。洗浄・乾燥ユニット15によって洗浄された反応容器4aは、再度分析処理に使用される。
【0034】
測定機構101は、反応容器4aに検体、第一試薬および第二試薬を分注し、攪拌して検体および試薬を反応させ、反応液に分析光を照射して反応液を透過した分析光の強度を測定する。
【0035】
次に、制御機構102について説明する。制御機構102は、制御部21、記憶部22、分析部23、入力部24、出力部25、取得部26および設定部27を備える。
【0036】
制御部21は、CPUなどによって実現され、自動分析装置1の各部と接続し、記憶部22に記憶された各種処理プログラムを実行することで自動分析装置1の各部が行う処理および動作を制御する。例えば、制御部21は、判別装置2c、プローブ3b、読取装置9、読取装置10、受光センサ14dおよび入力部24が取得した情報の入力を受け、入力を受けた情報をもとに検体分注部3、第一試薬分注部5および第二試薬分注部6などの動作を制御するとともに、入力を受けた情報を分析部23、出力部25および取得部26などに入力する。
【0037】
記憶部22は、ハードディスク、ROMおよびRAMなどによって実現され、制御部21が実行させる各種処理プログラム、分析結果などの制御部21が入力を受けた情報などの各種情報を記憶する。また、記憶部22は、使用量設定記憶部22a、検量線記憶部22bおよび優先度記憶部22cを備える。使用量設定記憶部22aは、各分析項目の検体使用量の設定を記憶する。検量線記憶部22bは、使用量設定記憶部22aに記憶された検体使用量設定に対応する検量線を記憶する。優先度記憶部22cは、各分析項目の優先度を記憶する。なお、優先度は、優先的に分析結果が必要である分析項目ほど高く設定される。
【0038】
分析部23は、受光センサ14dが受光した分析光の強度を制御部21を介して取得して反応液の吸光度を算出し、この吸光度および各検体使用量の設定に対応する検量線を用いて検体の成分濃度を算出し、分析結果を制御部21に入力する。なお、各検体使用量の設定に対応する検量線とは、対応する検体使用量そのものに対応した検量線であることが望ましいが、検量線記憶部22bに複数記憶されている検量線を補間して用いることも含まれる。
【0039】
入力部24は、キーボードおよびマウスなどによって実現され、オペレーターによって検体数、分析項目などの情報を制御部21に入力する操作が行われる。出力部25は、プリンタ、スピーカーおよびディスプレイパネルなどによって実現され、分析結果、オペレーターへの操作の依頼および警告などを出力する。
【0040】
取得部26は、検体容器2bの種別および検体の液面高さをもとに、検体容器2b内の検体の量を算出して分注可能な検体の総量を取得し、制御部21に入力する。なお、取得部26は、制御部21を介して取得した検体容器2bの高さについての情報をもとに検体容器2bの種別を判別するとともに、制御部21を介して取得した液面検知信号をもとに検体容器2b内の検体の液面高さを算出する。
【0041】
設定部27は、分析項目ごとに検体吸引処理でプローブ3bに吸引される検体の量である検体吸引量の設定および分析部23が用いる検量線の設定を行う。
【0042】
図2は、検体吸引量の内訳を示す図である。検体吸引量は、反応容器4aに吐出される検体量である分析に用いる量に加えて余剰量が含まれる。余剰量とは、プローブ3bに吸引された検体のうち検査に用いない検体量のことであり、プローブ3bの先端および/または後端に設定する場合がある。余剰量は、反応容器4aに吐出されずに廃棄される場合や、検体容器4aに戻される場合がある。先端余剰量とは、検体容器2b内の検体を吸引する際にプローブ3bの外壁面に付着した検体を除去するための検体の量であり、本実施の形態では、反応容器4aへの検体の吐出処理の前に図示しない廃棄部に吐出される。特に、先端余剰量(ダミー量)は、廃棄されずに検体容器に戻される場合がある。また、後端余剰量とは、プローブ3bの内壁面に付着した洗浄水によって反応容器4aに吐出される分の検体が希釈されることを防止する検体の量、すなわちプローブ3bの共洗い用の検体の量であり、本実施の形態では、反応容器4aへの検体の吐出後に洗浄水とともに廃棄される。
【0043】
設定部27は、分注可能な検体の総量に応じて先端余剰量および/または後端余剰量を増減して検体吸引量を設定する。設定部27は、分析に用いる量の変更は行わないので、検体吸引量が変化しても分析に用いる量は変化しない。なお、検体使用量設定とは、分析に用いる量および余剰量の内訳を示し、検体吸引量とは分析に用いる量および余剰量の合計量を意味する。
【0044】
使用量設定記憶部22aは、分析に用いる量と余剰量との対応関係を示す検体使用量設定を分析項目ごとに複数記憶している。同一分析項目であれば、いずれの検体使用量設定においても分析に用いる量は同一なので、同一分析項目の複数の検体使用量設定において、余剰量は各々異なっている。本実施の形態では、設定部27は、オペレーターからの指示および検体の総量に応じて、使用量設定記憶部22aに記憶された検体使用量設定からいずれかの検体使用量設定を選択して設定する。具体的には、設定部27は、オペレーターからの指示および検体の総量に応じて、標準設定または分析項目ごとに予め指定された減量設定のいずれかを選択して設定する。
【0045】
図3は、検体使用量設定の一例を示す図である。本実施の形態では、使用量設定記憶部22aは、分析項目ごとに標準設定および減量設定1〜3を記憶する。標準設定は、分析に用いる量に先端余剰量および後端余剰量を加えた量を検体吸引量とする設定であり、検体吸引量が最大となる設定である。減量設定1は、分析に用いる量に後端余剰量のみを加えた量を検体吸引量とする設定であり、減量設定2は、分析に用いる量に先端余剰量のみを加えた量を検体吸引量とする設定である。また、減量設定3は、分析に用いる量のみを検体吸引量とする設定であり、検体吸引量が最小となる設定である。図4は、検体容器2b内の分注可能な検体の総量を150μL、全分析項目の分析に用いる量を5μLとした場合、標準設定および減量設定1〜3を用いて分析可能な分析項目数を示す図である。図4に示すように、分析可能項目数は、標準設定では10項目であるが、減量設定2および減量設定3では15項目、さらに減量設定3では30項目に増加する。なお、検体分注部3は、検体使用量設定として減量設定1および減量設定3が設定された場合、反応容器4aへの検体の吐出処理の前に廃棄部への検体の吐出処理を行わない。
【0046】
また、設定部27は、検量線記憶部22bに記憶されている検量線のうち、設定された検体使用量設定に対応する検量線を選択し、検体の濃度成分算出処理に用いる検量線として設定する。
【0047】
本実施の形態では、分析項目の分析順序の設定と検体使用量の設定との組み合わせを分析モードとして記憶しておき、オペレーターが分析項目の分析順序の設定および検体使用量の設定を一括で入力、指定できる。図5は、分析モードの一例を示す図である。図5に示すように、記憶部22は、分析モードとして、例えば標準モード、緊急モード1〜2、最多項目分析モードを記憶する。標準モードは、分析順序を分析項目の登録順とし、検体の総量によらず、検体使用量の設定を標準設定とする分析モードである。緊急モード1は、分注順序を分析項目の優先度の高い順とし、検体の総量が所定量未満の場合、検体使用量の設定を分析項目ごとに予め指定された減量設定にする分析モードである。また、緊急モード2は、分注順序を分析項目の優先度の高い順とし、検体の総量によらず、検体使用量の設定を標準設定とする分析モードである。さらに、最多項目分析モードは、分注順序を分析項目の優先度の高い順とし、検体の総量が所定量未満の場合、検体使用量の設定を減量設定3にする分析モードである。
【0048】
図6は、分析モードとして緊急モード1または最多項目分析モードが指定された場合、分析処理開始から結果出力までに制御部21が行う制御処理の手順を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、制御部21は、出力部25を介して、各分析項目の優先度の入力および検体の総量が標準設定の検体吸引量の合計量未満であった場合に選択する減量設定の指定を依頼する(ステップS101)。なお、ステップS101は、既に各分析項目の優先度が入力され、いずれかの減量設定が指定されている場合には省略してもよい。また、制御部21は、減量設定の指定がない場合、例えば全分析項目で減量設定3を指定されたものとみなしてもよい。
【0049】
その後、制御部21は、取得部26を制御して、検体容器2b内の分注可能な検体の総量を取得する処理を行う(ステップS102)。分注可能な検体の総量をもとに、制御部21は、設定部27を制御して、分析処理で用いる検体使用量設定および検量線を選択して設定する分析設定選択処理を行い(ステップS103)、設定した分析設定に従って分析処理を行う(ステップS104)。
【0050】
その後、制御部21は、出力部25を制御して検体の成分濃度などの分析結果および分析処理で用いた分析設定に関する情報を出力する(ステップS105)。次いで、制御部21は、検体不足のために分析不能であった分析項目があったか否かを判断する(ステップS106)。分析不能な分析項目があった場合(ステップS106:Yes)、制御部21は、分析不能な分析項目を識別する情報を出力する(ステップS107)。一方、分析不能な分析項目がなかった場合(ステップS106:No)、制御部21は、そのまま分析処理を終了する。ステップS101〜ステップS107の処理によって、制御部21は、検体の総量に応じて分析設定を選択して設定し、分析結果とともに分析設定を出力する。
【0051】
図7は、ステップS101において出力部25に表示される指定依頼画面の一例を示す図である。図7に示すように、指定依頼画面は、GUI(Graphical User Interface)画面である。例えば、緊急モード1が指定された場合、図7に示すように、検体使用量の各設定の詳細が表示され、分析項目ごとに、優先度の入力および検体の総量が標準設定の検体吸引量の合計量未満であった場合に選択する減量設定の指定を依頼するGUI画面が表示される。
【0052】
図8は、ステップS102において制御部21の制御のもと、取得部26が行う検体の総量取得処理の手順を示すフローチャートである。ステップS102において、取得部26は、検体容器2bの種別を判別するとともに(ステップS201)、検体容器2b内の検体の液面高さを算出する(ステップS202)。その後、取得部26は、検体容器2bの種別および検体液面の高さをもとに検体容器2bが収容している検体の量を算出する(ステップS203)。次いで、取得部26は、検体容器2bが収容している検体の量から検体容器2bのデッドボリュームを減算し、検体容器2b内の分注可能な検体の総量を取得し(ステップS204)、処理を終了する。ステップS201〜S204の処理によって、取得部26は、各検体容器2b内の分注可能な検体の総量を取得する。
【0053】
図9は、ステップS103において制御部21の制御のもと、設定部27が行う分析設定選択処理の手順を示すフローチャートである。ステップS103において、設定部27は、一検体に対して依頼された全分析項目で検体使用量の設定として標準設定を選択した場合の検体吸引量の合計量を算出する(ステップS301)。その後、設定部27は、分注可能な検体の総量と検体吸引量の合計とを比較して、検体の総量が検体吸引量の合計量未満であるかを判断する(ステップS302)。検体の総量が検体吸引量の合計量未満であった場合(ステップS302:Yes)、設定部27は、分析項目ごとに減量設定が指定されているかを判断する(ステップS303)。各分析項目で減量設定が指定されていた場合(ステップS303:Yes)、各分析項目の検体使用量の設定として予め指定された減量設定を選択して設定する(ステップS304)。その後、設定部27は、選択した減量設定に対応する検量線が検量線記憶部22bに記憶されているかを判断する(ステップS305)。選択した減量設定に対応する検量線が記憶されていた場合(ステップS305:Yes)、設定部27は、成分濃度算出処理に用いる検量線として、分析項目ごとに設定した減量設定に対応する検量線を選択して設定し(ステップS306)、分析設定選択処理を終了する。
【0054】
一方、検体の総量が検体吸引量の合計量以上であった場合(ステップS302:No)および減量設定が指定されていない場合(ステップS303:No)、設定部27は、全分析項目の検体使用量の設定として標準設定を選択して設定する(ステップS307)。その後および選択した減量設定に対応する検量線が記憶されていない場合(ステップS305:No)、成分濃度算出処理に用いる検量線として全分析項目で標準設定に対応する検量線を選択して設定し(ステップS308)、分析設定選択処理を終了する。なお、分析項目によっては設定した減量設定に対応する検量線が記憶されている場合、設定部27は、設定した減量設定に対応する検量線が記憶されている分析項目についてはその検量線を選択し、その他の分析項目では標準設定に対応する検量線を選択して設定するものとする。ステップS301〜S308の処理によって、設定部27は、分析処理で用いる検体使用量および検量線を設定する。
【0055】
なお、ステップS104の分析処理において、制御部21は、まず検体使用量の設定に従って測定機構101の各部を制御して、優先度が高い分析項目に対応する分析に用いる量から順に検体を反応容器に分注するとともに、各分析項目に対応する試薬を分注して検体と反応させ、反応液を透過する分析光の強度を測定する。その後、制御部21は、分析光の強度および設定部27が設定した検量線を分析部23に入力し、検体の成分濃度を算出させる。
【0056】
図10は、ステップS105およびステップS107において制御部21の制御のもと、出力部25が出力する結果出力画面の一例を示す図である。ステップS105では、制御部21は、検体ごとに各分析項目の分析結果、各分析項目の分析処理で用いた検体使用量の設定を識別する情報および検量線を識別する情報を出力するとともに、分析項目の分析処理の順序に関する情報を出力する。ステップS107では、制御部21は、分析不能であった分析項目の分析結果出力する部分に例えば「ERR:不足」と表示し、検体不足によって分析不能であった旨を出力する。
【0057】
本実施の形態では、標準設定を用いた場合に検体不足となる場合、減量設定を選択して先端余剰量および/または後端余剰量を削除することで検体吸引量を削減するので、検体吸引量を減量しつつも分析に用いる量は変化させないため、分析に用いる量を減量して検体吸引量を減量する従来の自動分析装置と比較して、分析精度を高く保証できる。
【0058】
また、本実施の形態では、標準設定および各減量設定に対応する検量線を記憶しておき、分析処理で用いた検体使用量設定に対応した検量線を用いて検体の成分濃度算出処理を行うので、減量設定を用いた場合であっても分析精度を高く保証できる。
【0059】
なお、本実施の形態では、減量設定に従って検体の分注を行いつつ、標準設定に対応する検量を用いて分析結果を算出した場合でも、標準設定と減量設定とで分析に用いる量が変化していないので、分析精度の保証は可能である。また、本実施の形態では、分析結果とともに分析処理で用いた検体使用量設定および検量線を識別する情報を出力するので、分析結果の保証の程度を判断することが可能となる。
【0060】
さらに、本実施の形態は、優先度が高い分析項目から順番に分析処理を行うことが可能であるので、検体使用量の設定として減量設定を選択しても検体が不足する場合でも、優先度が高い分析項目については分析結果を得られる可能性を高めることができる。
【0061】
(変形例)
ところで、上述の実施の形態では、検体の総量が所定量未満の場合、全分析項目で標準設定に替えて減量設定を選択して設定するとしたが、本変形例では、検体の総量に応じて所定の分析項目から順に標準設定から減量設定に変更する。
【0062】
本変形例にかかる自動分析装置は、自動分析装置1と同様の構成である。本変形例においても制御部21は、ステップS101〜ステップS107の処理によって検体の総量に応じて分析項目ごとに検体使用量設定および検量線を選択して設定し、分析結果とともに、分析処理で用いた検体使用量設定および検量線を識別する情報を出力する。ただし、ステップS101およびステップS103において行う処理内容が異なる。
【0063】
本変形例のステップS101では、制御部21は、出力部25を制御して各分析項目の優先度の入力および減量設定の指定を依頼するとともに、各分析項目の減量候補順位の入力を依頼する。なお、減量候補順位が高い分析項目ほど、減量設定が選択される可能性が高い。
【0064】
図11は、本変形例のステップS103において設定部27が行う分析設定選択処理の手順を示すフローチャートである。まず、設定部27は、全分析項目で標準設定を選択した場合の検体吸引量の合計量を算出する(ステップS401)。その後、設定部27は、検体容器2b内の分注可能な検体の総量が検体吸引量の合計量未満であるかを判断する(ステップS402)。検体の総量が検体吸引量の合計量未満であった場合(ステップS402:Yes)、設定部27は、減量候補順位が1番目の分析項目の検体使用量の設定として予め指定された減量設定を選択して設定する(ステップS403)。この場合、減量候補順位が2番目以降の分析項目の検体使用量の設定は、標準設定である。
【0065】
その後、設定部27は、1番目の減量候補の分析項目のみ減量設定を選択した場合の検体吸引量の合計量を算出する(ステップS404)。設定部27は、再度、検体の総量が検体吸引量の合計量未満であるかを判断する(ステップS405)。検体の総量が検体吸引量の合計量未満の場合(ステップS405:Yes)、設定部27は、減量候補順位が付けられた全分析項目で減量設定を選択して設定したかを判断する(ステップS406)。減量候補順位が付けられた分析項目のうち減量設定が選択されていない分析項目がある場合(ステップS406:No)、次に減量候補順位が高い分析項目で、検体使用量設定として予め指定された減量設定を選択して設定する(ステップS407)。その後、設定部27は、ステップS405に戻り、検体の総量が検体使用量の合計量以上になるまで、または減量候補順位が付けられた全分析項目で減量設定を選択して設定するまで、ステップS405〜S407の処理を繰り返し行う。
【0066】
検体の総量が検体吸引量の合計量以上になった場合(ステップS405:No)、または減量候補順位が付けられた全分析項目で減量設定を選択して設定した場合(ステップS406:Yes)、設定部27は、検量線記憶部22bに、選択した減量設定に対応する検量線が記憶されているかを判断する(ステップS408)。選択した減量設定に対応する検量線が記憶されている場合(ステップS408:Yes)、設定部27は、成分濃度の算出処理に用いる検量線として、減量設定を選択した分析項目には選択した減量設定に対応する検量線を設定し、減量設定を選択しなかった分析項目、すなわち標準設定のままの分析項目には標準設定に対応した検量線を設定し(ステップS409)、分析設定選択処理を終了する。
【0067】
一方、検体の総量が全分析項目で標準設定とした際の検体吸引量の合計量以上であった場合(ステップS402:No)、設定部27は、全分析項目の検体使用量の設定を標準設定とする(ステップS410)。その後および選択した減量設定に対応する検量線が記憶されていない場合(ステップS408:No)、設定部27は、成分濃度の算出処理に用いる検量線として、全分析項目で標準設定に対応する検量線を設定し(ステップS411)、分注設定選択処理を終了する。
【0068】
本変形例では、検体の総量に応じて減量候補順位が高い分析項目から順に減量設定を選択して設定するので、全分析項目で標準設定を選択すると検体が不足する場合、検体の総量に応じて必要最低限の分析項目のみ減量設定を選択して検体吸引量の合計量を減量するので、可能な限り多くの分析項目を標準設定で分析できる。
【0069】
なお、本実施の形態および変形例では、検体不足が予測される場合、設定部27は、予め指定された減量設定を選択することによって検体吸引量の合計量を減量したが、複数の減量設定から検体の総量に応じて自動的に任意の減量設定を選択して設定することによって、分析依頼を受けた分析優先項目を必ず分析するとしてもよい。すなわち、設定部27は、優先度が所定値以上である分析優先項目の項目数と分析可能項目数とを比較し、分析可能項目数が少なくとも分析優先項目数以上となるように任意の減量設定を選択して設定する。なお、実施の形態のように、設定部27が、指定された検体使用量設定のうち、分析依頼を受けた分析項目を最も多く分析できる、すなわち検体不足による分析不能項目が少ない検体使用量設定を選択して設定することによって、分析優先項目を含めた最大数の分析項目が分析可能になる。
【0070】
また、本実施の形態および変形例では、減量設定として先端余剰量および/または後端余剰量を削除、すなわち0μLとした設定を記憶させたが、減量設定として先端余剰量および/または後端余剰量を減量した設定、例えば先端余剰量および/または後端余剰量を5μLから1μLに減量した設定を記憶させてもよい。
【0071】
また、本実施の形態および変形例では、標準設定に加えて減量設定を予め記憶しておき、検体の総量に応じていずれかの設定を選択したが、検体の総量に応じて毎回手動で先端余剰量および/または後端余剰量を調整可能な構成としてもよい。この場合、検体使用量設定を複数記憶する記憶手段は不要である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動分析装置の概略構成図である。
【図2】検体吸引量の内訳を示す図である。
【図3】検体使用量設定の一例を示す図である。
【図4】検体使用量の各設定で分析可能な分析項目数を示す図である。
【図5】分析モードの一例を示す図である。
【図6】分析処理開始から結果出力までの制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】指定依頼画面の一例を示す図である。
【図8】検体容器内の分注可能な検体の総量取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】分析設定選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】分析結果出力画面の一例を示す図である。
【図11】実施の形態の変形例にかかる自動分析装置における分析設定選択処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1 自動分析装置
2 検体供給部
2a ラック
2b 検体容器
2c 判別装置
3 検体分注部
3a アーム
3b プローブ
4 反応容器保持部
4a 反応容器
4b 収容凹部
4c ガイド孔
5 第一試薬分注部
6 第二試薬分注部
7 第一試薬保冷庫
8 第二試薬保冷庫
9,10 読取装置
11 ,12 攪拌装置
11a,12a 攪拌棒
14 測定光学系
14a 光源装置
14b コリメーションレンズ
14c 分光素子
14d 受光センサ
15 洗浄・乾燥ユニット
21 制御部
22 記憶部
22a 使用量設定記憶部
22b 検量線記憶部
22c 優先度記憶部
23 分析部
24 入力部
25 出力部
26 取得部
27 設定部
101 測定機構
102 制御機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器に収容された検体を反応容器に分注する分注手段を備えた自動分析装置であって、
分注可能な前記検体の総量を取得する取得手段と、
分析項目に応じて前記分注手段による検体吸引処理によって吸引される検体吸引量のうち前記反応容器に吐出されない余剰量を、前記総量に応じて増減して前記検体吸引量を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記検体吸引量の前記検体を前記分注手段に吸引させる制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記分析項目に応じて前記分注手段によって前記反応容器に吐出される検体の量である分析に用いる量と前記余剰量との対応関係を示す使用量設定を予め複数記憶する記憶手段を備え、
前記設定手段は、分析依頼を受けた分析優先項目は必ず分析できる前記使用量設定を選択して設定することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記設定手段は、分析依頼を受けた分析項目を最も多く分析できる前記分注設定を選択して設定することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
各分析項目の分析結果とともに各分析項目の分析処理に用いた前記使用量設定に関する情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項2、または3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記検体および試薬の反応液の吸光度および検量線を用いて前記検体の成分濃度を分析する分析手段を備え、
前記記憶手段は、各使用量設定に対応する検量線を記憶し、
前記制御手段は、前記設定手段が設定した各使用量設定に対応する前記検量線を用いて前記分析手段に前記成分濃度を分析させる制御を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記出力手段は、前記設定手段が設定した前記検量線を識別する情報を出力することを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記余剰量は、前記分注手段によって吸引された後、前記反応容器に前記検体を吐出される前に吐出される先端余剰量および/または前記反応容器に前記検体を吐出された後に吐出される後端余剰量であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記制御手段は、予め設定された優先度が高い分析項目に対応する前記分析に用いる量から順に前記検体を前記反応容器に分注するように前記分注手段を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項9】
検体容器に収容された検体を反応容器に分注する分注ステップを備えた分析方法であって、
分注可能な前記検体の総量を取得する取得ステップと、
分析項目に応じて前記分注ステップによる検体吸引処理によって吸引される検体吸引量のうち前記反応容器に吐出されない余剰量を、前記総量に応じて増減して前記検体吸引量を設定する設定ステップと、
前記設定ステップで設定した前記検体吸引量の前記検体を前記分注ステップで吸引させる制御を行う制御ステップと、
を含むことを特徴とする分析方法。
【請求項10】
前記分析項目に応じて前記分注ステップにおいて前記反応容器に吐出される検体の量である分析に用いる量と前記余剰量との対応関係を示す使用量設定を予め複数記憶する記憶ステップを含み、
前記設定ステップは、分析依頼を受けた分析優先項目は必ず分析できる前記使用量設定を選択して設定することを特徴とする請求項9に記載の分析方法。
【請求項11】
前記設定ステップは、分析依頼を受けた分析項目を最も多く分析できる前記分注設定を選択して設定することを特徴とする請求項10に記載の分析方法。
【請求項12】
各分析項目の分析結果とともに各分析項目の分析処理に用いた前記使用量設定に関する情報を出力する出力ステップを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の分析方法。
【請求項13】
前記検体および試薬の反応液の吸光度および検量線を用いて前記検体の成分濃度を分析する分析ステップを含み、
前記記憶ステップは、各使用量設定に対応する検量線を記憶し、
前記制御ステップは、前記設定ステップにおいて設定した各使用量設定に対応する前記検量線を用いて前記分析ステップにおいて前記成分濃度を分析させる制御を行うことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一つに記載の分析方法。
【請求項14】
前記出力ステップは、前記設定ステップにおいて設定した前記検量線を識別する情報を出力することを特徴とする請求項13に記載の分析方法。
【請求項15】
前記余剰量は、前記分注ステップにおいて吸引された後、前記反応容器に前記検体を吐出される前に吐出される先端余剰量および/または前記反応容器に前記検体を吐出された後に吐出される後端余剰量であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の分析方法。
【請求項16】
前記制御ステップは、前記分注ステップにおいて予め設定された優先度が高い分析項目に対応する前記分析に用いる量から順に前記検体を前記反応容器に分注するように制御することを特徴とする請求項9〜15のいずれか一つに記載の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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