説明

自動分析装置の反応セル、および自動分析装置用反応セルの表面仕上法

【課題】本発明は、気泡付着が少なく、かつ隣接する反応セル間でサンプル・試薬の相互汚染を防ぐことができる信頼性に優れた反応セル、反応セルの表面処理法、および該反応セルを搭載した自動分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置の反応セルにおいて、反応セルの内・外側表面に放電加工による親水化処理が施された処理領域を有し、反応セルは上部が開口し、下部に閉じた底がある容器形状を有し、前記処理領域は、反応セルの底部から開口に向かう途中まで存在することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体中の被験成分を測定する自動分析装置の反応セル、自動分析装置用反応セルの表面仕上法、および自動分析装置の反応セルを備えた自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置の分野では、サンプル及び試薬の液量低減が大きな課題となっている。
【0003】
分析項目数の増大に伴い、個々の分析項目に割り振ることのできるサンプル量が少量化し、微量サンプルの分析がルーチン的に行われるようになってきた。
【0004】
また、試薬のコスト面からも、廃液量の削減の面からも液量低減が求められてきた。
【0005】
こうした液量低減を実現するには、従来問題とならなかった新たな課題が生じた。
【0006】
従来から、攪拌などにより反応セルの内壁に付着していた気泡が、反応セルが小型化したことにより、反応セル内を通過する光軸と干渉する恐れがあった。
【0007】
特に反応セルの底部四隅についた気泡は、2つの壁面と底面の三つの面で気泡を保持するため、容易には除去できない可能性が生じてきた。気泡が生じたとすると、この反応セルに付着した気泡のため、入射光の散乱度合いが無視できなくなる。
【0008】
また、反応セル内に残る洗浄後の水の量も液量の減少にともなって、減らす必要が生じた。
【0009】
これらの問題を解決するために、反応セルの内壁を親水化する方法が従来検討されてきた。樹脂表面を親水化する有効な手段としては、酸素プラズマ処理、オゾン処理、オゾン水処理、コロナ放電処理などの処理方法がある。
【0010】
そこで、オゾン水による反応セルの親水化が検討されてきた。特開2005−77263号公報(特許文献1)に示すように、オゾン水は液体であるため、反応セル内の隅々まで親水化することができ、反応セル内壁および反応セル底に付着する気泡の付着を防ぐ効果があった。
【0011】
しかし、樹脂が必要以上に酸化され、透光性が低下する問題が生じた。自動分析装置では、反応セル自体の光吸収が増加することは、反応セルの使用期間を短くするという弊害を生じることになる。
【0012】
また、オゾン水は、濃度を一定に保つことが難しく、処理後に洗浄および乾燥工程という煩雑な工程が必要であった。
【0013】
オゾン水で反応セル内壁面をすべて親水化してしまうと、反応セル内の試薬が表面を伝わって、隣の反応セルに移動するという相互汚染により、分析結果に異常を生じるという問題が発生するおそれがあった。
【0014】
親水化処理をするために、オゾン水を所望の領域のみに接触させることは困難な作業が伴う。
【0015】
特開2006−125897号公報(特許文献2)には、濡れ性を部分的に良くする方法が記載されている。反応容器内壁の測光面のみの濡れ性をよくするために、複雑な形状のマスキングを必要としたオゾン水処理を提案している。
【0016】
また、オゾンを含むガスを反応セルの内壁面に吹き付けて親水化をする方法も検討されている。
【0017】
【特許文献1】特開2005−77263号公報
【特許文献2】特開2006−125897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の反応セルの親水化において、オゾン水を用いて気泡付着を防ぐための十分な親水化を行うと樹脂が劣化してしまう課題、親水化領域を局所化するためのマスキングを行うと反応セルに傷を付ける課題、液体を用いた親水化は、親水化の量を制御しにくい課題があった。
【0019】
また、オゾンを含むガスを吹き付ける方法では、反応セルの内壁面全体が親水化処理され、分析測定される試料液が反応セルの内壁面に沿ってせり上がるU字現象(メニスカス)が反応セルの開口部まで生じ、試料液が反応セル外に拡がる恐れがある。
【0020】
本発明の目的は、上記課題を解決し、反応セル内の所望の位置のみ親水性を良くすることで、気泡が付着し難くして、サンプル(試料)及び試薬の液量低減化を図ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置の反応セルにおいて、
反応セルの内側表面に放電加工による親水化処理が施された処理領域を有することを特徴とする。
【0022】
本発明は、試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置用反応セルの表面処理法において、反応セルの内側に挿入する第1の電極と、反応セルの外側に対向配置される第2の電極を備え、前記第1の電極と前記第2の電極に印加する電圧で生じる放電により、少なくとも反応セルの内側表面に放電加工による親水化処理を施すことを特徴とする。
【0023】
更に具体的に説明する。
【0024】
本発明は上記目的を達成するために、反応セルの親水化する処理領域を第1の電極と対向する第2の電極の間に挟んで、放電処理した。
【0025】
反応セルは樹脂製で容器形状をしているため誘電体としての使用が可能であり、電極に被覆をしなくてもアークに移行することはないため、効率的に親水化することが可能である。
【0026】
第1の電極を反応セル内に挿入することで、反応セルの壁面に対向電極を近接さことができるので、第1の電極と反応セルの内壁、反応セルの外壁と対向する第2の電極の間で放電し、両壁に放電処理を施すことができる。
【0027】
また、対向する第2の電極を隣接する反応セルの間や反応セルの底面に設置することで、反応セルの周囲や底面にも放電処理を施すことができる。
【0028】
放電処理は、空気などの酸素を含んだ雰囲気中で行うため、活性酸素種の一種であるオゾンも同時に生成する。このオゾンは、半減期が数時間と長く、処理中および処理後の反応セル内に滞留し、不特定の位置を酸化するため、電極が対向している領域以外を親水化する。
【0029】
また、処理中に生成したオゾンは、電圧印加により放出した電子を吸着するため、放電の持続を抑制するという弊害がある。
【0030】
そのため、開口部を備えた第1の電極(以下、中空電極と呼ぶ)を通してセル内のオゾンを含む気体を排出し、電極周囲の雰囲気を一定にすることで、一定量の処理を施す方法を発明した。
【0031】
処理時間が非常に短く、オゾン濃度が低い場合は、処理後の反応セル内に空気を導入して、反応セル内のオゾンを排出する方法も考えられる。このとき、反応セル内に導入するガスの温度を上げることで、オゾンの分解を促進し、効果的に除去することができる。
【0032】
また、中空電極による強制的な排出を行わず、反応セルの開口部を下方に向けて配置することで、セル内部への塵埃の落下を防ぎ、かつ放電により生成したオゾンは空気より比重が重いため、自然排出を期待することもできる。
【0033】
また、中空電極は、オゾンを排出するだけでなく、処理ガスを導入することも可能であり、反応セル内のガス状態の制御を容易に行うことができる。処理ガスは、空気・窒素・酸素・Arなどの希ガス・水蒸気あるいはそれらの混合ガスである。
【0034】
ガスを流すための第1の電極の形状は、開口部を有していればよく、円筒形状に限らず、柱状であったり、反応セルと相似形であっても良い。
【0035】
電極の材料としては、アルミ、ステンレス、鉄、銅、タングステンなどの導電性がある金属を用いることができる。
【0036】
親水化領域を局所化するためには、親水化したい領域部分のみ第1の電極を太くし、対向電極との間を近接させることで、親水化領域を局所化する方法がある。
【0037】
この方法では、反応セルが小型化するにつれて、反応セル内に挿入する棒電極も小さくなるため、ある寸法までの反応セル寸法に適している。
【0038】
そこで、更に反応セル形状が小型化した場合は、対向電極を親水化したい領域のみに配置することで、放電を局所的に発生させることができる。これにより、第1の電極の形状によらず、局所的な親水化を行うことができる。
【0039】
中空電極に電圧を印加した場合、中空電極と対向電極の間は、電界が形成され、放電が生じるが、中空内は無電界となっているため、放電が生じない。
【0040】
この中空電極を反応セルの底に近接させると、中空電極の内周と反応セルの底が近接する部分には、放電がほとんど発生せず、親水化を制限することができる。
【0041】
また、反応セル上部で中空電極にガスを流しながら電圧を印加することにより、コロナ放電によってイオン化したガスを反応セル内に導入することができる。これにより、反応セル内の帯電量の偏りを防ぐことができ、常に安定した処理を施すことができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、反応容器内面に気泡が付着することを防止でき信頼性の高い分析測光ができる。
【0043】
また、放電により生成されたオゾンによる2次的な酸化による、所望の領域以外の親水化を防ぐことができる。
【0044】
さらに従来の測光面だけの局所改質(親水化処理)では、反応セル底に付着する気泡を防ぐことができないという課題も、同時に解決することができ、分析精度の向上に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
次に、本発明の実施例について、図を引用して詳細に説明する。
【0046】
本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0047】
図1に電極の基本的な配置を示す。
【0048】
反応セル1の内側に第1の電極2を挿入し、反応セル1の外側に対向する第2の電極3を配置する。
【0049】
第1の電極2を高圧電源の高圧側に接続し、対向する第2の電極3を接地する。
【0050】
第1の電極2と対向する第2の電極3と間に電圧を印加して、電極間に放電を発生させる。
【0051】
放電により生成した活性酸素種などの反応性の高いラジカルを利用して、セル内壁4およびセル外壁5およびセル底6を親水化する。
【0052】
電圧を印加する時間に応じて、活性酸素の一種であるオゾンが増加する。このオゾンは寿命が長く、セル内に滞留し、放電が終了した後も不特定の位置を酸化する。
【0053】
その結果、第1の電極2と対向する第2の電極3の間に挟まれた領域以外が親水化され、品質にばらつきが生じる。
【実施例2】
【0054】
上記の課題を解決する場合には、図1に示す電極1を図2に示すように電極7に変更する。
【0055】
すなわち、中空、かつ下端に開口部を有する第1の電極7(以後、中空電極と呼ぶ)でオゾンを排出する。中空電極7はパイプ形状をなしており、反応セル1の内側に挿入される。
【0056】
ガス分解装置9と中空電極7を配管8で接続する。中空電極7と対向する第2の電極3の間に高電圧を印加して、電極間に放電を発生させる。放電中に中空電極7を通して、反応セル1内のオゾン14を吸引して排気する。
【0057】
これにより、常に反応セル内にオゾン14を含まない空気13が流入することで、不要な部分の改質(親水化処理)を避けることができる。
【0058】
親水化処理されたところは、気泡をつき難くする利点がある反面、試料液のU字現象(メニスカス)が生じ、反応セル外に拡がる恐れがある。このため、親水化処理が不要なところは、オゾン14が接触しないようにオゾン14を含まない空気13と置換することが望ましい。
【実施例3】
【0059】
図3に処理ガス15を利用する場合の構成について示す。
【0060】
反応セル1を対向電極3の間に配置し、反応セル1の内側に中空電極7を挿入する。中空電極7を高圧電源の高圧側に接続し、対向電極3を接地する。
【0061】
ガス混合器10と中空電極7を配管8で接続する。ガス混合器10から、希ガスを含む処理ガス15を反応セル1内に導入しながら、中空電極7と対向する第2の電極3の間に高電圧を印加して、電極間に放電を発生させる。
【0062】
ガス混合器から供給される希ガスは、電子衝突により、一度励起状態になり、準安定な状態に遷移する。
【0063】
これにより、反応セル内のガスが高いエネルギー順位にあるため、安定した放電を容易に発生させることができる。
【0064】
放電により生成した活性酸素種などの反応性の高いラジカルを利用して、反応セルの内壁4及び反応セルの底6あるいは反応セルの外壁5を親水化する。
【0065】
活性酸素種の1種であるオゾンは寿命が長いため、処理ガスを導入するとともに反応セル外に排出する。放電終了後は、清浄な空気や窒素ガスなどの不活性ガスを導入して、品質の変化を防ぐ。
【0066】
これにより、従来、処理直後に残留していたオゾンによる不要な改質(親水化処理)を削減でき、親水化の局所化が明確にできるようなる。
【実施例4】
【0067】
図4に反応セルの外側のガスを吸引する場合の構成について示す。
【0068】
反応セル1を対向電極3の間に配置し、反応セル1の内側に電極2を挿入する。
【0069】
電極2を電源の高圧側に接続し、対向電極3を接地する。
【0070】
放電中に生成するオゾンなどのガスを対向する第2の電極3の下方に設けたガス吸気口から、活性炭などのガス分解装置9を通して排気する。
【0071】
これにより、処理開始前と同じ雰囲気下で処理することができるため、反応セルの外面の不要な箇所の改質(親水化処理)を避けることができる。
【実施例5】
【0072】
図5に反応セルの上下を反転(逆さ)させた構成について示す。
【0073】
反応セル1の開口部を下方に向けて、対抗電極3の間に配置し、反応セル1の内側に下側から電極2を挿入する。
【0074】
電極2を高圧電源の高圧側に接続し、対向する第2の電極3を接地する。このような配置で処理することで、空気より比重の重いオゾンなどのガスを自然排出することができ、積極的な吸排気設備がなくとも安定した処理ができるようになる。
【0075】
また、外部からの塵埃の混入も同時に防ぐことができるため、反応セルの品質を高めることができる。
【実施例6】
【0076】
図6に横断面が矩形の中空形状の電極を用いた場合の構成を示す。
【0077】
反応セル1を対向電極3の間に配置し、反応セル1の内側に矩形中空電極7aを挿入する。矩形中空電極7aを高圧電源の高圧側に接続し、対向電極3を接地する。
【0078】
ガス分解装置9と中空電極を配管8で接続する。中空電極7aと対向電極3の間に高電圧を印加して、電極間に放電を発生させる。
【0079】
放電により生成した活性酸素種などの反応性の高いラジカルを利用して、反応セル1の内壁4及び反応セル1の底6あるいは反応セル1の外壁5を親水化する。
【0080】
このとき、電極形状が矩形状であることにより、反応セル1のコーナーに強い電界を形成することができる。
【0081】
これにより、気泡が付着しやすい四隅を効果的に親水化することができる。
【0082】
また、放電中に矩形の中空電極7aを通して、反応セル内の空気を吸引し、活性炭などのガス分解装置9を通して排気する。
【0083】
これにより、常に反応セル内はオゾンを含まない雰囲気ガスが流入することで、不要な箇所の改質(親水化処理)を避けることができる。
【実施例7】
【0084】
図7に中空電極による局所親水化を行う構成を示す。
【0085】
中空電極7を高圧電源の高圧側に接続し、対向電極3を接地する。反応セル1を対向する第2の電極3の間に配置し、反応セル1の内側に中空電極7を反応セルの底6付近まで挿入する。
【0086】
中空電極7と対向する第2の電極3の間に高電圧を印加して、電極間に放電を発生させる。
【0087】
このとき、中空電極内の無電界領域7bと反応セルの底が近接しているため、中空電極直下の反応セルの底6aのみ、親水化を制限することができる。7aは矩形状の開口部を有する第1の電極の外側である。
【0088】
放電により生成した活性酸素種などの反応性の高いラジカルを利用して、反応セルの内壁4及び反応セルの底6bあるいは反応セルの外壁5を親水化する。
【0089】
図8に反応セルの底にサンプルプローブ11を用いて分注した場合の違いについて示す。
【0090】
反応セルの底6をすべて親水化した反応セルの底の親水面6aにサンプル12を分注した場合、反応セルの底6aの濡れ性が高いため、付着したサンプル12が反応セル底面を広がって、想定量より多く分注される。
【0091】
そこで、従来と同様、反応セルの底の非親水化面6bに分注することで、特段の変更を必要とせずに正確に分注することができる。また、それ以外の部分は親水化されているために、気泡付着などの影響を防ぐことができる。
【実施例8】
【0092】
図9に中空電極7を用いて除電を行う構成について示す。
【0093】
反応セル1の開口部より上の位置で,中空かつ開口部を有する第1の電極7(以後、中空電極と呼ぶ)に空気を流す。
【0094】
次に中空電極7に高電圧を印加する。中空電極7と対向する第2の電極3の距離が離れているため、中空電極7の先端近傍にコロナ放電が発生する。
【0095】
このコロナ放電領域16を通過し、正負にイオン化された空気17を反応セル1内に導入して、除電を行う。その後、中空電極7を反応セル1内に挿入して放電させる。
【0096】
これにより、反応セルの帯電による電界強度の減少を防ぎ、電極間で安定した放電を発生させ、親水化の量を一定にすることができる。4aは、反応セル内側親水化領域である。
【0097】
その他の実施例について説明する。
【0098】
第1の電極は、親水化処理のために放電するところが非放電のところよりも太く、放電するところが前記非放電のところよりも前記第2の電極に近接している構成とする。これにより、不要な箇所の親水化処理の改質を避けることができる。
【0099】
上記の各実施例に共通するが、親水化処理の処理領域は反応セルの底部から開口に向かう途中まで存在するように形成される。
【0100】
これは、反応セルの深さ方向の丈よりも第2の電極の丈を低くした構成によるものである。この構成により、第2の電極の丈範囲が放電により親水化処理される。親水化処理領域と非親水化処理領域の境界は、境界が横に走るように延在する。親水化処理領域と非親水化処理領域の境界がはっきりする良さがある。
【0101】
また、上述した放電は、コロナ放電が主体である。この放電が親水化処理のためのオゾンを安定して発生することができる。
【0102】
更に反応セルの内側だけを親水化する実施例について説明する。
【0103】
反応セル1の外側に反応セル1と同じ材質の板を重ねた反応セル1の内側に第1の電極2を挿入し、反応セル1の外側に対応する第2の電極を配置する。第1の電極2を高圧電源の高圧側に接続し、対向する第2の電極3を接地する。
【0104】
そして、第1の電極2と対向する第2の電極3との間に電圧を印加して放電させる。放電により生成した活性酸素種などの反応性の高いラジカルを利用してセル内壁4のみを親水化する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施例1にかかわるもので、電極と反応セルの配置関係を示す電極配置図。
【図2】本発明の実施例2にかかわるもので、中空電極(第1の電極)を用いてオゾンを排出する構成を示す電極構成図。
【図3】本発明の実施例3にかかわるもので、中空電極(第1の電極)を用いて処理ガスを導入する構成を示す構成図。
【図4】本発明の実施例4にかかわるもので、第2の電極の周囲のガスを排出する構成を示す構成図。
【図5】本発明の実施例5にかかわるもので、反応セルの開口部を下方に向けた(逆さ)構成を示す電極構成図。
【図6】本発明の実施例6にかかわるもので、矩形状の開口部を有する第1の電極を用いた構成を示す構成図。(a)は正面図である。(b)は平面図である。
【図7】本発明の実施例7にかかわるもので、中空電極の無電界部分を近接させた構成を示す構成図。(a)は正面図である。(b)は平面図である。
【図8】本発明の実施例7にかかわるもので、反応セルの底部の一部分の親水化処理を施したものと、一部分の親水化未処理のものとにサンプルプローブを挿入して比べるところを示す概念図。(a)は、親水化処理を施したものとを示す。(b)は親水化未処理のものを示す。
【図9】本発明の実施例8にかかわるもので、中空電極を除電装置のノズルとして用いた構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0106】
1…反応セル、2…第1の電極、3…対向する第2の電極、4…反応セル内側、4a…反応セル内側親水化領域、5…反応セル外側、6…反応セル底、6a…反応セル底親水面、6b…反応セル底非親水面、7…中空かつ開口部を有する第1の電極、7a…矩形状の開口部を有する第1の電極の外側、7b…中空かつ開口部を有する第1の電極内の無電界領域、8…配管、9…ガス分解装置、10…ガス混合器、11…サンプルプローブ、12…サンプル、13…空気、14…オゾン、15…処理ガス、16…コロナ領域、17…イオン化された空気。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置の反応セルにおいて、
反応セルの内側表面に放電加工による親水化処理が施された処理領域を有することを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項2】
試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置の反応セルにおいて、
反応セルの内・外側表面に放電加工による親水化処理が施された処理領域を有することを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項3】
請求項1または2に記載された自動分析装置の反応セルにおいて、
反応セルは上部が開口し、下部に閉じた底がある容器形状を有し、
前記処理領域は、反応セルの底部から開口に向かう途中まで存在することを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項4】
請求項1または2に記載された自動分析装置の反応セルにおいて、
多数が隣り合って連なる反応セルが合成樹脂で形成されることを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項5】
請求項1または2に記載された自動分析装置の反応セルにおいて、
前記処理領域と非処理領域の境界が横に走るように延在していることを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項6】
請求項1に記載された自動分析装置の反応セルにおいて、
反応セルの内底中央部に親水化処理が施されない非処理領域を設けたことを特徴とする自動分析装置の反応セル。
【請求項7】
試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
反応セルの内側に挿入する第1の電極と、反応セルの外側に対向配置される第2の電極を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極に印加する電圧で生じる放電により、少なくとも反応セルの内側表面に放電加工による親水化処理を施すことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項8】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記放電加工で発生するオゾンを含む気体を反応セルの内側から排気することを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項9】
請求項8に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記第1の電極は、先端および/または周囲に吸気口が在る中空の形状を有し、
前記第1の電極により排気をすることを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項10】
請求項8または9に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記反応セルの内側から排気される排気に含まれるオゾンを分解処理するガス分解装置を備えたことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項11】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記第1の電極は、先端および/または周囲に噴出口が在る中空の形状を有し、
前記放電加工で発生するオゾンを含む気体を処理する処理ガスを前記第1の電極を介して前記反応セル内に供給するガス混合器を備えたことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項12】
請求項11に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記処理ガスは、稀釈ガスを含むことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項13】
請求項11または12に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記処理ガスを加熱することを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項14】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記放電加工により前記反応セルの外回りに発生するオゾンを含む気体を排出、または稀釈を含む処理することを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項15】
請求項14に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記反応セルの底部の下方に、発生したオゾンを含む気体を吸引して処理するガス分解装置を備えたことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項16】
請求項14に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
発生したオゾンを含む気体を前記第2の電極より吸引して排出をすることを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項17】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記反応セルは、上部が開口し、下部に閉じた底がある容器形状を有し、
前記反応セルを逆さにして親水化処理を施すことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項18】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記第1の電極は横方向の断面が矩形を有し、
前記第2の電極は、前記反応セルを介して前記第1の電極と対向する端面が扁平で、かつ平行に置かれることを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項19】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記第1の電極は放電するところが非放電のところよりも太く、
前記放電するところが前記非放電のところよりも前記第2の電極に近接していることを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項20】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
反応セルは上部が開口し、下部に閉じた底がある容器形状を有し、
前記親水化処理の処理領域は反応セルの底部から開口に向かう途中まで存在し、
前記反応セルの深さ方向に沿う前記第2の電極の丈と前記処理領域の丈がほぼ同じ長さであることを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項21】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
前記第1の電極は先端が開口する中空の形状を有し、
前記第1の電極の先端を反応セルの内底面に1mm以内で近接配置して親水化処理を施すことを特徴とする自動分析装置の表面処理法。
【請求項22】
請求項7に記載された自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
親水化処理を行う前に反応セル内の除電をする工程を踏むことを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項23】
試料と試薬を混合して濃度の測定をする自動分析装置用反応セルの表面処理法において、
反応セルの内側に挿入する第1の電極と、反応セルの外側に対向配置される第2の電極を備え、
前記第1の電極を反応セルの内側に挿入する工程と、反応セルの外側に前記第2の電極を配置する工程と、
前記第1の電極と前記第2の電極に電圧を印加する放電により、少なくとも反応セルの内側表面に放電加工による親水化処理を施す工程と、
前記放電により発生したオゾンを含む気体を反応セルから抜いて空気と入れ替え置換する工程を有することを特徴とする自動分析装置用反応セルの表面処理法。
【請求項24】
請求項1〜6の何れか一つに記載された自動分析装置用反応セルを備えた自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−286539(P2008−286539A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129289(P2007−129289)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】