説明

自動切り取りライン

シートの端部を切り整えるための方法及び装置であって、搬送手段と、第1鋸と、第2鋸とを用意することと、先ず、第1鋸を通り過ぎるようにシートを搬送手段にて搬送して、シートの第1側端部を切り整えることと、次いで、第2鋸を通り過ぎるようにシートを搬送手段にて搬送して、シートの第2側端部を切り整えることとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機械に関する。本発明は、複数枚の木製単板を切り整えるための方法及び装置を背景として開示されているが、他の用途においても同様に有用であるものと考えられる。
【背景技術】
【0002】
過去には、複数枚の木製単板を切り整えるのに、ギロチン型の切り取り機(クリッパー)が用いられていた。そのような単板切り整え機(トリマー)においては、積み重ねられた複数枚の木製単板(以降「単板の束」という場合もある)が切り整えられる。また、当該束は切り分けられる場合があり、当該切り分けは、例えば、切断部の方向を横切る方向に一列に配置された、互いに平行に連結された複数の丸鋸によって行われる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一の態様によれば、シートの端部を切り整えるための装置は、上記シートの第1側端部を切り整えるために第1鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送し、次いで、上記シートの第2側端部を切り整えるために第2鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送するための搬送手段を備える。
【0004】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方は、上記搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるよう調整可能である。
【0005】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記装置は、少なくとも第3の鋸を備える。上記搬送手段は、上記第1及び第2側端部の間の位置で上記シートを切り分けるために上記第3鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送する。
【0006】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記少なくとも第3の鋸は、第3鋸及び第4鋸を含む。上記搬送手段は、上記第1及び第2側端部の間にある上記シートの一部を取り除くために上記第3鋸及び上記第4鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送する。
【0007】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記鋸は、上記搬送手段を概ね横切る方向に当該鋸の位置を調整するためのモータを備える。
【0008】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記装置は、上記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを備える。
【0009】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記装置は、上記搬送手段を概ね横切る方向に上記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを備える。
【0010】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記搬送手段は、積み重ねられた複数枚のシートを搬送するための搬送手段を含む。
【0011】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記搬送手段は、上記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持するための搬送手段を含む。
【0012】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記シートは、複数枚の木製単板を含む。
【0013】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記装置は、上記鋸から廃棄部分を案内し搬送するための案内部及び廃棄部分搬送手段を備える。
【0014】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記鋸は、丸鋸を含む。
【0015】
本発明の別の態様によれば、シートの端部を切り整えるための方法は、搬送手段と、第1鋸と、第2鋸とを用意することと、先ず、上記第1鋸を通り過ぎるように上記シートを上記搬送手段にて搬送して、上記シートの第1側端部を切り整えることと、次いで、上記第2鋸を通り過ぎるように上記シートを上記搬送手段にて搬送して、上記シートの第2側端部を切り整えることとを含む。
【0016】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方を、上記搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるように調整することを含む。
【0017】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記第1及び第2側端部の間の位置で上記シートを切り分けるために第3鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送することを含む。
【0018】
本発明の上記態様によれば、例示的に、少なくとも第3鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送することは、第3鋸及び第4鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送することを含む。
【0019】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記鋸の位置を、上記搬送手段を概ね横切る方向に調整することを含む。
【0020】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記搬送手段を概ね横切る方向に上記鋸を自動的に位置決めすることを含む。
【0021】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、積み重ねられた状態に組み合わされた複数枚のシートを切り整えることを含む。
【0022】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持することを含む。
【0023】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記シートを切り整えることは、複数枚の木製単板を切り整えることを含む。
【0024】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記鋸から廃棄部分を案内し搬送することを含む。
【0025】
本発明の上記態様によれば、例示的に、鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送することは、丸鋸を通り過ぎるように上記シートを搬送することを含む。
【0026】
本発明の別の態様によれば、少なくとも一枚の木製単板を走査するための走査装置は、搬送手段と、走査ハウジングと、上記少なくとも一枚の単板に照射するための放射源と、上記少なくとも一枚の単板から切り落とすのが望ましい特徴部分を検出するための走査器とを備える。
【0027】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記走査器は、上記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出するための少なくとも一つの検出器を更に備える。
【0028】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記少なくとも一つの検出器は、上記少なくとも一枚の単板の二つの端部を検出するための少なくとも一つの検出器と、上記少なくとも一枚の単板が上記ハウジングを通過するよう搬送されている間に、上記検出された端部に関する情報を受信し、上記少なくとも一枚の単板の幅を求めるための制御システムとを含む。
【0029】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記制御システムは、上記検出された特徴部分に関する情報を受信し、上記情報に基づいて切り整えソリューション(trimming solution)を算出する。
【0030】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記制御システムは、更に、上記単板に設けられたマークを検出し、そのようなマークが上記単板に設けられている場合には、上記情報の代わりに、上記マークに基づいて切り整えソリューションを算出するのに適している。
【0031】
本発明の別の態様によれば、少なくとも一枚の単板を走査する方法は、走査ハウジングを通過するように上記少なくとも一枚の単板を搬送することと、上記少なくとも一枚の単板が上記走査ハウジングを通過している間に、当該単板に照射することと、上記少なくとも一枚の単板から切り落とすのが望ましい特徴部分を検出するために、上記照射されている少なくとも一枚の単板が上記走査ハウジングを通過している間に、当該単板を走査することとを含む。
【0032】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記照射されている少なくとも一枚の単板を走査することは、上記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出することを含む。
【0033】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出することは、上記少なくとも一枚の単板の少なくとも二つの端部を検出することと、上記少なくとも一枚の単板が上記ハウジングを通過するよう搬送されている間に、上記検出された端部に関する情報を受信し、上記少なくとも一枚の単板の幅を求めることとを含む。
【0034】
本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記検出された特徴部分に関する情報を受信し、上記情報に基づいて切り整えソリューションを算出することを含む。
【0035】
また、本発明の上記態様によれば、例示的に、上記方法は、上記単板に設けられたマークを検出することと、そのようなマークが上記単板に設けられている場合には、上記情報の代わりに、上記マークに基づいて切り整えソリューションを算出することとを含む。
【0036】
本発明は、以下の詳細な説明と、本発明を図示する添付の図面を参照することにより最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による方法を行うための装置の一部破断斜視図である。
【図2】図1に示す装置の上面図である。
【図3】図1〜図2に示す装置の細部を示す拡大部分断面図であり、図2の切断線3−3に概ね沿った図である。
【図4】図1〜図2に示す装置の細部を示す拡大部分斜視図である。
【図5】図1、図2及び図4に示す装置の細部を示す拡大部分斜視図である。
【図6】図5に示す細部についての相当簡略化した模式上面図であり、その動作の特定の態様を示す図である。
【図7】図1、図2、図4及び図6に示す装置の特定の細部を示す部分側立面図であり、図2及び図6の切断線7−7に概ね沿った図である。
【図8】図1、図2、図4及び図6に示す装置の特定の細部を示す、やや模式化した部分斜視図であり、図6の切断線8−8に概ね沿った図である。
【図9】図1、図2、図4及び図6〜図8に示す装置の特定の細部を示す、やや模式化した部分上面図である。
【図10】図1、図2、図4及び図6〜図9に示す装置の特定の細部を示す、やや模式化した部分側立面図である。
【図11】図1、図2、図4、図6及び図7に示す装置の特定の細部を示す、やや模式化した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、図1〜図3を参照する。単板の束108が、搬送手段110に沿って走査ハウジング112を通過するように搬送される。この走査ハウジング112において、束108から切り落とすのが望ましいとされる当該束108の丸身付き端部や、例えば心材、きず、ノット等の濃淡が異なる領域(areas of contrast)を検出するために、単板の束108は、例えば蛍光灯や紫外線(ブラックライト)ランプを含みうるランプ114により照らされ、例えばカメラ116−1等の撮像装置116により走査される。撮像装置116は、束108が搬送手段110にてハウジング112を通過するよう搬送されている間に、例えば束108の先行端及び終端――ひいては束108の幅――を検出するための一以上のレーザ検出器116−2を備えてもよい。束108が撮像装置116により走査され、当該束108の幅及び濃淡の異なる領域の位置が導線(不図示)を介してコンピュータ118へ提供されたなら、コンピュータ118は、束108から得られる単板の価値を最適化する目的で、当該束108のための切り整えソリューション(trimming solution)を算出する。ハウジング112内は、内部反射を軽減するためにつや消し黒仕上げされていてもよい。二つのカメラ116−1が、ハウジング112の各端部に取り付けられている。レーザ116−2は、ハウジング112の中心線に沿って搬送手段110の上方に設置されている。搬送手段110の複数のベルトが、ハウジング112を横切るように単板の束108を搬送する。図示したシステムにおいては、単板の束108がハウジング112に進入する前に、必要に応じて、例えば蛍光性のチョークを用いて作業員の手により単板の束108にマーキングしてもよい。単板の束108上にそのようなマークが検出された場合には、コンピュータ118は、自身が求めた最適化ソリューションを無視して当該マークを優先するようプログラムされている。
【0039】
一列に並べられた複数の取込み手段120が、当該取込み手段120を支持する骨組上に取り付けられたモータ121――例えば空気作動式又は油圧式のピストン・シリンダ型モータやモータ駆動式のボールねじ等――により、搬送手段110の複数のベルト間において束108方向へ押し出され、束108と係合する。次いで、取込み手段120は引っ込められ、これにより束108は搬送手段110から搬送手段122へ移される。この搬送手段122は、束108が走査ハウジング112を通過する際の移動方向を横切る方向に当該束108を搬送する。搬送手段122の動作により、束108は、トリマー126の入口端部124へ移動する。トリマー126は、上搬送部130と、下搬送部132とを備える。上搬送部130と下搬送部132は、以降説明する理由により、鉛直方向に互いに対して相対移動可能となっている。束108は、搬送手段122から、上下の搬送部130、132それぞれの入口ローラ134、136の間を通って移送される。束108が上下の搬送部130、132それぞれのローラの回転によってトリマー126を通過するよう駆動されるように当該束108に対して十分な圧力を付与すべく、上搬送部130は、送り込みローラ134とともに、必要に応じて鉛直方向の上下に調整される。
【0040】
第1、第2、第3及び第4丸鋸140、142、144、146が、下搬送部132における隣接するローラ対の間にそれぞれ配置されている。第1鋸140が、トリマー126を通過する束108の動作方向に対して最上流にあり、その次が第2鋸142で、更にその次が第3鋸144であり、第4鋸146が最下流にある。鋸140、142、144、146は、トリマー126を通過する束108の動作方向を横切る方向に移動するように、それぞれ独立して取り付けられている。その上、鋸140、142、144、146は、トリマー126の長手方向(longitudinal extent)に対して角度をなすように、鉛直軸回りを枢動するようそれぞれ独立して取り付けられている。
【0041】
ここで、図3を参照しつつ、走査ハウジング112の特定の細部に着目する。走査ハウジング112は、複数のランプ列114−1、114−2、114−3、114−4を収容する。ランプ114の各列は、ハウジング112の長手方向、且つ、搬送手段110に沿った単板の束108の動作方向を横切る方向に延在する。単板の束108は、搬送手段110にてハウジング112を通過するよう移送されている間に、ランプ114の各列により照らされ、単板の束108における可視の物理的特性の画像が走査手段116により走査される。当該画像は、コンピュータ118へ電気的に送信される。当該電気的な画像信号は、走査手段116、又は、コンピュータ118や関連する周辺機器によってデジタル化されてもよい。
【0042】
取込み手段120及びこれらに関連する駆動モータ121は「賢い」。すなわち、これらのモータ121は、走査画像に応じて制御されるのである。束108が走査されたなら、取込み手段120は、先ほど行われた走査によって決定されたように、モータ121によって、束108の長手方向中心線の極近くに押し出される。取込み手段120の遠隔側の端部に取り付けられたモータ154――例えば空気作動式又は油圧式のピストン・シリンダ型モータやモータ駆動式のボールねじ等――により、搬送手段110の隣接するベルト間において把持用パッド156が押し出され、束108の上下の面158、160に対して把持接触する。次いで、モータ121を逆方向に動作させることにより、上記の如く把持された束108は、その中心線が搬送手段122の中心線上にくるように、搬送手段110から搬送手段122へと移される。モータ121は、幾つかの公知のタイプのリニアポジショナー等のうちのいずれかを備えてもよい。そして、モータ154は、上下の面158、160を放すべく作動されて、束108は、搬送手段122に沿ってトリマー126の入口端部124まで搬送される。
【0043】
ここで、特に図4〜図6を参照する。次に、送り込みローラ134、136が、束108の上下の面158、160と係合して、束108を搬送手段122からトリマー126の上下の搬送部130、132の間へと移す。ローラ134、136は、上下の面158、160を同じ速度でトリマー126内へ送り進めるように、モータ付き伝動装置(motor and transmission)162及びタイミングベルト164を介して同期駆動される。こうすることで、束108を一体として保つ効果が得られる。上ローラ134は、例えばピストン・シリンダ型流体モータ等のモータ161によって下方へ駆動される鉛直方向に移動可能なフレーム内に設けられている。別のモータ163――例えばピストン・シリンダ型流体モータ――によって、上ローラ134の上下動の際のベルト164の張力を適当な度合いに保つべくベルト164が掛け回されたアイドラー165が駆動される。LVDT179が、送り込みローラ134、136間の間隔を測定して、モータ付き伝動装置166を制御するのに用いられる信号を生成する。
【0044】
ここで、特に図1、図4及び図7を参照する。上下の搬送部130、132は、横軸168を回転させるモータ付き伝動装置166によって互いから間隔をおいて配置されている。横軸168の互いに離れた両端には直角ギアボックス170が連結されている。下搬送部132、モータ付き伝動装置166、軸168及びギアボックス170は、支持フレーム172に取り付けられている。ギアボックス170の出力側に設けられたボールねじ174と、上搬送部130の支持フレーム178に設けられたフォロア176とが係合している。モータ付き伝動装置166は、支持フレーム172の四隅と、支持フレーム178の各角との間で稼働するモータ180――例えば空気作動式又は油圧式のピストン・シリンダ型モータ――によって補助される。また、上搬送部132には、トリマー126の入口端部124及び出口端部206のそれぞれにおいて、横軸173が設けられている。各横軸173はその両端にそれぞれピニオンギア175が設けられている。各ピニオンギア175は、それぞれ、下搬送部130上のラック177と係合することで、上下の搬送部130、132を水平に保つのを助ける。束108がトリマー126内を通って搬送され切り整えられている間、当該束108を一体として保つために、LVDT179の出力と、モータ付き伝動装置166及びモータ180の各位置とを含むフィードバックループによって、上搬送部130内に支持されているローラ181と、下搬送部132内に支持されているローラ181との間の間隔が適当なものに設定・維持される。
【0045】
特に図7を参照すると、上下の搬送部130、132の各ローラ181は、上搬送部130の各ローラ181の駆動ホイール186に掛け回されたベルト184を駆動するモータ付き伝動装置182と、下搬送部132の各ローラ181の駆動ホイール192に掛け回されたベルト190を駆動するモータ付き伝動装置188とによって駆動される。これらのモータ・伝動装置アセンブリ182、188の速度は、モータ・伝動装置アセンブリ182、188の出力軸等に設置されたタコメータ、位置エンコーダ等(不図示)や、モータ・伝動装置アセンブリ182、188の出力回転速度を制御するためのモータコントローラを含むフィードバックループによって同期が取られている。
【0046】
ここで、図4、図6及び図8〜図11に着目する。最も上流にある鋸140は、束108の左手側を切り整えるのを容易にすべく、下流方向に向かってトリマー126の左手側に概ね配置されている。最上流から二番目にある鋸142は、束108の右手側を切り整えるのを容易にすべく、下流方向に向かってトリマー126の右手側に概ね配置されている。最上流から三番目にある鋸144は、束108がトリマー126を通過する際に、単板の束108の中心よりもやや右側に概ね配置される。最上流から四番目にある鋸146(すなわち最も下流にある鋸146)は、束108がトリマー126を通過する際に、単板の束108の中心よりもやや左側に概ね配置される。
【0047】
ここで、特に図7及び図8を参照する。鋸140、142には、それぞれ、廃棄ゲート200、202が関連づけられている。図示の実施形態では、ゲート200、202は、例えば研磨ステンレス鋼製の平板203に設けられている。平板203は、切り整え対象の束108における最大幅よりも長い距離にわたり、且つ、各鋸140、142が配置されているトリマー126内の各区画の上流から下流に及ぶ全長にわたり、搬送部132を跨いで延在する。束108の右手端部及び左手端部からの切り落とし部分201は、各ゲート200、202によって、例えばボイラーや焼却炉等への搬送を行うためにトリマー126の下で走行する廃棄部分搬送手段205へと下方に送られる。
【0048】
ここで、特に図11を参照する。上記切り整えソリューションにて規定された通りに鋸144、146によって束108の右端と左端との間の部分から取り除かれた廃棄部分は、トリマー126の下流端部206に設けられた選択的に移動可能な廃棄ゲート204により処理される。ある状況下では、束108は、より細長い三つの部位108−1、108−2、108−3に長手方向に切り分けられるが、いずれの部位も廃棄ゲート204によって分流されることはない。このような状況は、例えば、その色の違いに起因して心材と辺材とを切り分けて木製単板を作製する場合に生じる。別々に提供した方が市場性が高いからである。このような場合、廃棄ゲート204が、トリマー126の下流端部206の側から束108の中央切片108−2の流れを妨げるような格好で下降されることはない。
【0049】
しかし、束108の中央部位から例えばノットやきず等を取り除くべく鋸144、146が作動して、取り除かれた中央部分108−2を廃棄部分として分流すべき場合には、廃棄ゲート204は、トリマー126の下流端部206の側から当該切除された中央部位108−2の流れを妨げるような格好で下方に作動するとともに、支持プレート207−1、207−2が適宜なモータ209によって引き離され、これによって、当該中央部位108−2は、廃棄ゲート204によって、支持プレート207−1、207−2間の開口部を通じて廃棄部分搬送手段205へと下方にそらされる。
【0050】
ここで、特に図6及び図8〜図10を参照する。鋸140、142、144、146は、トリマー126内における束108の動作方向を横切る方向に移動するように取り付けられている。このような態様により、トリマー126は、幅の異なる束に対応することができるとともに、上記切り整えソリューションにより決定された通りに幅を切り分けることができる。例えば、各鋸140、142、144、146の支持機構208と平板203は、それぞれ、横方向移動機構210――例えば、ドイツ・シュトゥットガルト 70597・トレンケストラーセ 7に所在するナデラ ゲーエムベーハー(Nadella GmbH)から入手可能な一般的なタイプのもの――に取り付けることができる。
【0051】
各鋸140、142、144、146の支持機構208は、横方向移動機構210に対して枢動可能に取り付けられており、これにより、束108から得られる販売可能な単板の量の最適化を補助すべく、上記切り整えソリューションに従って、各鋸140、142、144、146を例えば0°≦α≦3°の範囲内の若干の角度αをもって両方向に角度付けすることができる。鋸140、142、144、146により先細りを形成するように切断を行う場合には、どの鋸140、142、144、146で切断を行うのかと、どの方向に先細りを形成するのかに応じて、単板の束108がその長手方向に関してトリマー126の幅方向のおおよそ中心に保たれるよう搬送されている間に、各鋸140、142、144、146を左方ないし右方に横断移動させる。各鋸140、142、144、146の角度付けは、円弧状のラック212を各支持機構208に設け、枢軸214を介して各支持機構208をそれぞれ対応する移動機構210に連結することによりなされる。モータ駆動されるピニオン213が各ラック212と係合して、上記切り整えソリューションを実行すべく対応するラック212を駆動する。それぞれの鋸のモータ216は、対応する支持機構208上に、例えばピストン・シリンダ型流体モータ等の一以上のモータ218によって取り付けられる。各モータ218は、上記切り整えソリューションに完全に従って、束108を切断すべく対応する鋸140、142、144、146を上方へ押し出すとともに、束108を通過させるべく対応する鋸を下降させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの端部を切り整えるための装置であって、
前記シートの第1側端部を切り整えるために第1鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送し、次いで、前記シートの第2側端部を切り整えるために第2鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送するための搬送手段
を備える装置。
【請求項2】
前記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方は、前記搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるよう調整可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも第3の鋸を更に備え、
前記搬送手段は、前記第1及び第2側端部の間の位置で前記シートを切り分けるために前記第3鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも第3の鋸は、第3鋸及び第4鋸を含み、
前記搬送手段は、前記第1及び第2側端部の間にある前記シートの一部を取り除くために前記第3鋸及び前記第4鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記鋸は、前記搬送手段を概ね横切る方向に当該鋸の位置を調整するための手段を備える、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記搬送手段を概ね横切る方向に前記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを更に備える、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを更に備える、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、積み重ねられた複数枚のシートを搬送するための搬送手段を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、前記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持するための搬送手段を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記シートは、複数枚の木製単板を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記鋸から廃棄部分を案内し搬送するための案内部及び廃棄部分搬送手段を更に備える、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記鋸は、丸鋸を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
シートの端部を切り整えるための方法であって、
搬送手段と、第1鋸と、第2鋸とを用意することと、
先ず、前記第1鋸を通り過ぎるように前記シートを前記搬送手段にて搬送して、前記シートの第1側端部を切り整えることと、
次いで、前記第2鋸を通り過ぎるように前記シートを前記搬送手段にて搬送して、前記シートの第2側端部を切り整えることと
を含む方法。
【請求項14】
前記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方を、前記搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるように調整することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2側端部の間の位置で前記シートを切り分けるために第3鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも第3鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することは、第3鋸及び第4鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記鋸の位置を、前記搬送手段を概ね横切る方向に調整することを更に含む、請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記搬送手段を概ね横切る方向に前記鋸を自動的に位置決めすることを更に含む、請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
積み重ねられた状態に組み合わされた複数枚のシートを切り整えるための方法である、請求項13〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
複数枚の木製単板を切り整えるための方法である、請求項13〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記鋸から廃棄部分を案内し搬送することを更に含む、請求項13〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することは、丸鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することを含む、請求項13〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
少なくとも一枚の木製単板を走査するための装置であって、
第1搬送手段と、
走査ハウジングと、
前記少なくとも一枚の単板に照射するための放射源と、
前記少なくとも一枚の単板から切り落とすのが望ましい特徴部分を検出するための走査器と
を備える走査装置。
【請求項25】
前記走査器は、前記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出するための少なくとも一つの検出器を更に備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも一つの検出器は、
前記少なくとも一枚の単板の二つの端部を検出するための少なくとも一つの検出器と、
前記少なくとも一枚の単板が前記ハウジングを通過するよう搬送されている間に、前記検出された端部に関する情報を受信し、前記少なくとも一枚の単板の幅を求めるための制御システムと
を含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記検出された特徴部分に関する情報を受信し、前記情報に基づいて切り整えソリューション(trimming solution)を算出するための制御システムを備える、請求項24〜26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記制御システムは、更に、前記単板に設けられたマークを検出し、そのようなマークが前記単板に設けられている場合には、前記情報の代わりに、前記マークに基づいて切り整えソリューションを算出するのに適している、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
シートの端部を切り整えるための装置を更に備え、
前記シートの端部を切り整えるための前記装置は、前記シートの第1側端部を切り整えるために第1鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送し、次いで、前記シートの第2側端部を切り整えるために第2鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送するための第2搬送手段を備える、請求項24〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方は、前記第2搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるよう調整可能である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも第3の鋸を更に備え、
前記第2搬送手段は、前記第1及び第2側端部の間の位置で前記シートを切り分けるために前記第3鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送する、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記少なくとも第3の鋸は、第3鋸及び第4鋸を含み、
前記第2搬送手段は、前記第1及び第2側端部の間にある前記シートの一部を取り除くために前記第3鋸及び前記第4鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記鋸は、前記第2搬送手段を概ね横切る方向に当該鋸の位置を調整するためのモータを備える、請求項29〜32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを更に備える、請求項29〜33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記第2搬送手段を概ね横切る方向に前記鋸を自動的に位置決めするための制御システムを更に備える、請求項29〜34のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
前記第2搬送手段は、積み重ねられた複数枚のシートを搬送するための第2搬送手段を含む、請求項29〜35のいずれかに記載の装置。
【請求項37】
前記第2搬送手段は、前記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持するための第2搬送手段を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記鋸から廃棄部分を案内し搬送するための案内部及び廃棄部分搬送手段を更に備える、請求項29〜37のいずれかに記載の装置。
【請求項39】
前記鋸は、丸鋸を含む、請求項29〜38のいずれかに記載の装置。
【請求項40】
少なくとも一枚の単板を走査する方法であって、
走査ハウジングを通過するように前記少なくとも一枚の単板を搬送することと、
前記少なくとも一枚の単板が前記走査ハウジングを通過している間に、当該単板に照射することと、
前記少なくとも一枚の単板から切り落とすのが望ましい特徴部分を検出するために、前記照射されている少なくとも一枚の単板が前記走査ハウジングを通過している間に、当該単板を走査することと
を含む方法。
【請求項41】
前記照射されている少なくとも一枚の単板を走査することは、前記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも一枚の単板の少なくとも一つの端部を検出することは、
前記少なくとも一枚の単板の少なくとも二つの端部を検出することと、
前記少なくとも一枚の単板が前記ハウジングを通過するよう搬送されている間に、前記検出された端部に関する情報を受信し、前記少なくとも一枚の単板の幅を求めることと
を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記検出された特徴部分に関する情報を受信し、前記情報に基づいて切り整えソリューションを算出することを含む、請求項40〜42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記単板に設けられたマークを検出することと、
そのようなマークが前記単板に設けられている場合には、前記情報の代わりに、前記マークに基づいて切り整えソリューションを算出することと
を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
第1の鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送して、前記少なくとも一枚の単板の第1側端部を切り整えることと、
次いで、第2の鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送して、前記少なくとも一枚の単板の第2側端部を切り整えることと
を含む、請求項40〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記第1及び第2鋸のうちの少なくとも一方を、前記搬送手段の長手方向に対して零度ではない角度で切り取りを行えるように調整することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1及び第2側端部の間の位置で前記シートを切り分けるために第3鋸を通り過ぎるように前記シートを搬送することを更に含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも第3鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送することは、第3鋸及び第4鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記鋸の位置を、前記搬送手段を概ね横切る方向に調整することを更に含む、請求項45〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記搬送手段を概ね横切る方向に前記鋸を自動的に位置決めすることを更に含む、請求項45〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
積み重ねられた状態に組み合わされた複数枚のシートを切り整えるための方法である、請求項45〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記複数枚のシートを互いに積み重ねられた状態で保持することを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
複数枚の木製単板を切り整えるための方法である、請求項45〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記鋸から廃棄部分を案内し搬送することを更に含む、請求項45〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送することは、丸鋸を通り過ぎるように前記少なくとも一枚の単板を搬送することを含む、請求項45〜54のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−541090(P2009−541090A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516477(P2009−516477)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/001791
【国際公開番号】WO2007/149131
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508374036)パダナ アーゲー (2)
【氏名又は名称原語表記】PADANA AG
【住所又は居所原語表記】Schutzengelstrasse 36,CH−6342 Baar (CH).
【Fターム(参考)】