説明

自動化システム・コントローラの構築

【課題】異なるサブシステムのデバイスから情報を受ける建造物制御システムを提供する。
【解決手段】トリガが、ゾーン・コントローラに、情報をデータベース内に格納させる。格納したデータは、関係するイベントのシーケンスまたは集合に基づいて、カスタム化した報告を作成するために用いられる。多数のサブシステムからの情報を統合整理し分析して、挙動のパターンを判定する。また、トリガは、多数のサブシステム、デバイス、およびエリアに及ぶ建造物全体において、情報に基づいた制御アクションを実行させる。建造物制御システムの進入制御サブシステムおよび非進入制御サブシステムが、共通ネットワークを用いてリンクされ、進入制御デバイスの状態変化が非進入制御デバイスの状態に作用することができ、非進入制御デバイスの状態変化が進入制御デバイスの状態に作用することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先願に対する引用)
本願は、2006年4月4日に出願した米国仮特許出願第60/788,896号の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、自動化システムの構築に関し、更に特定すれば、建造物内における多数の場所を監視し制御するためのコンピュータ・ソフトウェアに基づくコントローラを有する自動化システムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
コンピュータ・ソフトウェアに基づくコントローラは、建造物自動化システムにおいて、構築物の設備を監視し制御するために用いられることが多い。しかしながら、建造物設備(照明、HVAC、防火、セキュリティ、公共料金の計量、進入管理等)に関する種々の機能の動作および制御は、統合化されていない場合が多い。一般に、建造物内においてこのような機能を遂行するためには、別個の異なるシステムを利用する。多くの場合、これらの専用システムは、異なる建造物機能を遂行するために用いられ、独立して動作し、互いに効果的に情報を調整しない場合が多い。既存のシステムにおける二進入力オブジェクト、二進出力オブジェクト、ファイル・オブジェクト、およびコマンド・オブジェクトを含むソフトウェア・オブジェクトの修正、作成、および伝達の履歴は、それらの使用後消滅する。オブジェクトの部分的な履歴を記憶するために「トレンド・ログ・オブジェクト」(trend log object)を確立してある場合であっても、この構造は、共通のトリガに対する様々なシステムの応答のシーケンスを追従する能力に欠けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建造物制御サブシステム間における共通動作を簡素化する建造物制御システムについて示し説明する。多数のサブシステム、デバイス、および場所におよぶ建造物全体において、種々の制御アクションを実行することができる。また、異なるプロトコルを用いる多数のサブシステムからの情報を引き出す建造物制御システムも提供する。建造物制御システムは、情報をデータベースに格納し、格納したデータを用いて、関連するイベントのシーケンスまたは集合に基づいて、カスタム化した報告を生成する。建造物制御システムは、多数の建造物制御サブシステムからの情報を整理統合し、データを分析し、設備における挙動のパターンを決定するという長年にわたり求められている要望に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
即ち、ここに開示するように、建造物制御システムにはゾーン・コントローラが設けられており、ゾーン・コントローラはローカル・エリア(部屋または入口エリアのような)コントローラとして動作する。ゾーン・コントローラは、(Modbus、OPC、BACnet、およびLONTalkというような)異なるプロトコルによって、第三者の建造物制御システム・デバイスから送られてくるソフトウェア・オブジェクトを読み込む。ゾーン・コントローラは、更に、センサ、アクチュエータ、およびゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの種々のモジュールと結合されているデータ・ポートからの電気信号を処理する。建造物制御システムは、ディジタル・ビデオ・レコーダまたはネットワーク・ビデオ・レコーダのようなビデオ・レコーダ上にIP(インターネット・プロトコル)ビデオの記録を開始する能力(capability)を有する。ゾーン・コントローラは、中央演算装置と、拡張可能な入力/出力モジュールとを含み、カードへのアクセス、照明、HVAC制御、およびその他の建造物制御機能を考慮している。ゾーン・コントローラは、埋め込み型オペレーティング・システムを用いて、グラフィックス、コンフィギュレーション、およびプログラミング・ツールを収容する。加えて、ゾーン・コントローラは、ゾーン・コントローラが対象となる居住エリアに関連するポイント・オブジェクト(point object)や、プログラム、グラフィクス、映像、およびコンフィギュレーション・ファイルを格納するために用いられるデータベース・プログラムを走らせ、その電力をパワー・オーバー・イーサネット(PoE)接続を通じて取得する。
【0005】
建造物制御システムは、建造物または設備機器の挙動を自動化するデバイスの集合を備えることができる。これらのデバイスは、例えば、電気的に動作するデバイスとすることができる。建造物制御システムは、例えば、HVAC機器、防火機器、進入制御機器、侵入制御機器、ビデオ監視機器、オーディオ相互通信機器、照明機器、公共料金計量および配信機器、拡声機器、潅漑機器、あるいはその他のあらゆるデバイスまたは機器の組み合わせの総合的な集合を備えることができる。建造物制御サブシステムは、限定した影響の範囲に基づいた、全建造物制御システムの部分集合である。例えば、進入制御は、一種の建造物制御サブシステムを表すことができ、一方照明は、別の建造物制御サブシステムを表すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、建造物の入口エリアに伴うアクションを監視し制御するゾーン・コントローラのシステム図である。
【図2】図2は、二進入力オブジェクトの一例を示す。
【図3】図3は、二進出力オブジェクトの一例を示す。
【図4】図4は、コマンド・オブジェクトの一例を示す。
【図5】図5は、ファイル・オブジェクトの一例を示す。
【図6】図6は、異なるオブジェクトのオブジェクト・シーケンスを有するデータ構造の一例を示す。
【図7】図7は、異なるオブジェクトのオブジェクト・シーケンスを有するデータ構造の別の例を示す。
【図8】図8は、リモート・ネットワーク・デバイスと通信するゾーン・コントローラを示すシステム図である。
【図9】図9は、建造物の部屋の例を示すシステム図である。
【図10A】図10Aは、エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトの一例を示す。
【図10B】図10Bは、エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトの別の例を示す。
【図11】図11は、エリア・オブジェクト、システム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトに伴うポイント・オブジェクトを有するデータベース構成の一例を示す。
【図12】図12は、電力分類表の例を与える。
【図13】図13は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例のプロセッサ・モジュールの正面図である。
【図14】図14は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の4ポート・スイッチ・モジュールの正面図である。
【図15】図15は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例のメモリ拡張モジュールの正面図である。
【図16】図16は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の赤外線データ・ポート・モジュールの正面図である。
【図17】図17は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例のワイヤレス・トランシーバ・モジュールの正面図である。
【図18】図18は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の進入制御ドア・モジュールの正面図である。
【図19】図19は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の進入制御リーダ・モジュールの正面図である。
【図20】図20は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の照明制御モジュールの正面図である。
【図21】図21は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例の公共料金メータ・モジュールの正面図である。
【図22】図22は、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一例のソリッド・ステート・リレー・モジュールの正面図である。
【図23】図23は、ゾーン・コントローラのモジュール・アセンブリの一例のディジタル入力モジュールの正面図である。
【図24】図24は、ゾーン・コントローラのモジュール・アセンブリの一例のアナログ入力モジュールの正面図である。
【図25】図25は、ゾーン・コントローラのモジュール・アセンブリの一例のアナログ出力モジュールの正面図である。
【図26】図26は、モジュール構造の一例を示す、ゾーン・コントローラ用のモジュール・アセンブリの一部分解組立図である。
【図27】図27は、DINレール上に実装したゾーン・モジュール用のモジュール・アセンブリの一例の接続されたモジュールの正面図である。
【図28】図28は、側面実装板の使用を示す。
【図29】図29は、ネットワーク管理システムのシステム図である。
【図30】図30は、ゾーン・コントローラのプロセッサ・モジュールの一例を示すブロック図である。
【図31】図31は、ゾーン・コントローラのプロセッサに対する動作階層の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照すると、ゾーン・コントローラ100が示されており、建造物の入口エリアに関連付けられている。この例では、建造物の入口エリアは、DOOR_X1で表されている。ゾーン・コントローラ100は、図1に示す例では、DOOR_X1と関連した種々のコンポーネントと通信する。ゾーン・コントローラ100は、BACnetプロトコルのようなプロトコルによって、通信を行うことができる。ドア120を施錠および開錠するドア・ストライク・コンポーネント(door strike component)110は、例えば、電気ソレノイドまたは電動ロックを備えており、ゾーン・コントローラ100に結合され、ドアの開口付近に位置付けられている。身分証リーダ130もゾーン・コントローラ100に結合されている。近接カード・リーダ、磁気ストライプ・リーダ、バイオメトリック・リーダ等のような、適した身分証リーダであればいずれでも、選択的に採用することができる。閉塞されたドアまたは強制的に開かれたドアを検出するために用いられる1つ以上の磁気ドア接点140が、ゾーン・コントローラ100に結合されている。占有者がこのエリアから出るとき、例えば、入口エリアの内側に実装されている退出スイッチ150に対する要求を用いて、ドア・アラームの活性化を防止する。ゾーン・コントローラ100には、通信リンク160が設けられている。これは、建造物イーサネット・ネットワーク80の一部であり、リモート・デバイス間との双方向のイーサネット(登録商標)通信を行うためにある。占有者センサ170およびランプ180も選択的に結合し、ゾーン・コントローラ100と通信することができ、占有者がゾーン・コントローラに関連するエリアにいるか否か判定を行い、当該エリアの照明を制御するために用いられる。
【0008】
以下で更に詳しく説明するが、ゾーン・コントローラ100は、建造物設備においてアクションを実行する種々のオブジェクトを採用した、コンピュータ・ソフトウェアに基づくコントローラである。オブジェクトとは、コンピュータ科学の分野におけるあらゆる実体を表すために用いられるデータ構造である。例えば、物理的センサ、アクチュエータ、ディスプレイ、データ・ポート、および組み合わせデバイスのような建造物制御システムのポイントは、選択的にオブジェクトとして電子的に表すことができる。ゾーン・コントローラ100は、インテリジェント電子コントローラである。ゾーン・コントローラ100は、これらのポイントに関連する情報を備えているポイントの画像を作成し、画像をメモリ内部に、オブジェクトと呼ばれるデータ構造として格納するように構成されている。オブジェクトは、アイデンティティ(名称または他のオブジェクトからそれを区別する識別)、状態(オブジェクトに現在格納されているデータ)、および挙動(オブジェクトが行動するまたは用いることができる方法)を有する。また、オブジェクトは、オブジェクト・プロパティも有する。オブジェクト・プロパティとは、データを収容するオブジェクト内に収容されているいずれかのフィールドである。オブジェクト・プロパティの例には、オブジェクト識別子、オブジェクト名称、現在値、極性、現地の日付、現地時間等が含まれる。オブジェクトは、オブジェクト・タイプによって分類することができる。オブジェクト・タイプとは、オブジェクト・プロパティ集合によって規定される包括的オブジェクト分類である。その例には、二進入力オブジェクト、アナログ出力オブジェクト、エリア・オブジェクト等が含まれる。
【0009】
これより図2から図5を参照し、ASHRAE standard 135-2004からのBACnetオブジェクトの例を提示する。即ち、図2の二進入力オブジェクト200、図3の二進出力オブジェクト、図4のコマンド・オブジェクト400、および図5のファイル・オブジェクト500の例を示す。これらの例では、各オブジェクトは、プロパティ識別子210、プロパティ・データタイプ220、および一致コード230をリストにして示す列を有する。これらのオブジェクトは、進入制御、セキュリティ、照明、HVAC、防火、公共料金計量、およびその他のサブシステム全体に渡る種々の建造物自動化デバイスを使い易くする。BACnetオブジェクトは、異なる製造業者が製作したデバイスに跨る通信や情報の扱いを容易にする。これらのオブジェクトは、建造物自動化システム内において有用性を著しく高める。デバイス、場所、およびサブシステムを跨る多数のイベントのスレッドがトリガされた際、これらを記述またはグループ化することができるのも有益である。関係するオブジェクトおよびオカレンス(occurrence)のグループを特定し記述することが可能なために、(i)種々の建造物制御サブシステムに跨って調整した制御アクションの開始、(ii)種々の建造物自動化システムに跨って調整した制御アクションの記録、(iii)システム挙動内部の調査、(iv)トラブルシューティング、(v)性能最適化、(vi)監査照跡、(vii)保管、(viii)データ・ロギング、(ix)システム・モデリング、および(x)経済的分析が容易となる。
【0010】
ゾーン・コントローラ100は、建造物エリアにおいて発生するアクションの監視および制御のために種々のオブジェクトを利用する。例えば、エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、コントローラ・オブジェクト、およびポイント・オブジェクトを採用する。エリア・オブジェクトとは、部屋のような設備または建造物内の局部空間を表すオブジェクト・タイプである。エリア・オブジェクトは、エリアID、エリア名称、記述、経度(longitude)、および緯度(latitude)に対するプロパティを収容することができる。他のプロパティ集合も使用可能である。エリア・オブジェクトIDは、ポイント・オブジェクトのプロパティの1つとして、ポイント・オブジェクトに添付する。ポイント・オブジェクトは、以前に述べたように、ポイントを表すあらゆるオブジェクトである。建造物自動化制御では、例えば、ポイントとは、検知、起動、またはデータ伝達が可能な物理的建造物制御デバイスとすることができる。ポイントの例には、空間温度センサ、カード・リーダ、またはビデオ・カメラを含むことができる。物理的ポイントは、ゾーン・コントローラ・ソフトウェアないで用いるためのオブジェクトによって表現される。
【0011】
サブシステム・オブジェクトは、ポイント・オブジェクトが関連を有する建造物制御サブシステムの情報を表す。例えば、空間温度ポイント・オブジェクトは、ROOM_X_HVACサブシステム・オブジェクトとの関連を有する。サブシステム・オブジェクトのプロパティには、システムID、システム名称、および記述を含むことができる。また、サブシステム・オブジェクトIDも、ポイント・オブジェクトのプロパティの1つとして、ポイント・オブジェクトに添付する。コントローラ・オブジェクトは、コントローラID、名称、記述、アドレス、およびプロトコルに対するプロパティを収容することができるオブジェクト・タイプである。コントローラ・オブジェクトIDも、ポイント・オブジェクトのプロパティの1つとしてポイント・オブジェクトに添付する。コントローラ・オブジェクトによって、センサ、アクチュエータ、HMI(人間−機械インターフェース、例えば、ディスプレイおよびキーボードを有するデバイス)または組み合わせデバイスのオブジェクトが、介在するコントローラの下で階層的に有線接続されていることを示し、更にその介在するコントローラの通信プロトコルを示すことができる。
【0012】
一例では、ゾーン・コントローラ100は、従業員が就職先(place of employment)に入ることに関係するアクティビティのような、一連のアクションを監視し制御するために用いることができる。図1および図9を参照すると、例えば、従業員が就職先への建造物入口DOOR_X1に近づくと、占有者センサが、近づきつつある人物を検出し、そのリレー接点を転移させる。図1のゾーン・コントローラ100は、その入力ポートにおいてスイッチの変化を測定し、占有者センサ170を表す、予めコンフィギュレーションが済んでいる二進入力オブジェクトを更新することによって応答する。ゾーン・コントローラ100は、二進入力オブジェクトに時刻/日付スタンプを付けることにより、そのオカレンス・シーケンスにインデックスを付ける。ゾーン・コントローラ100は、そのランプ付加に接続されている出力を表す、予め予めコンフィギュレーションが済んでいる二進出力オブジェクトを更新し、入口においてランプ180を付勢する。ゾーン・コントローラ100は、二進出力オブジェクトに時刻/日付スタンプを付ける。ランプ180は、近づきつつある人物およびに近接するエリアおよび入口周囲を照明する。
【0013】
このエリアに入る人物は、近接カードのような、進入制御身分証を身分証リーダ130に提示する。身分証リーダ130は、例えば、進入制御カード・リーダとすればよい。ゾーン・コントローラ100は、カード・データをファイル・オブジェクト内にカプセル化する。ファイル・オブジェクトは、進入制御身分証、および建造物に入る要求を表す。これに応じて、ゾーン・コントローラ100は、オブジェクト・ファイルに時刻/日付スタンプを押す。次いで、ゾーン・コントローラ100は、内部カレンダ・オブジェクト(スケジュール)内にあるカード識別番号を調べ、入場を求めている人物(例えば、従業員)についての「進入許可」ステータスを検索し、現在の場所、日付、および時刻を求める。カレンダ・オブジェクトは、日付および時刻のリストを収容するオブジェクト・タイプである。カレンダ・オブジェクトは、特定の日付および時刻においてプロセスを起動または検知し、特定の日付および時刻にデータを記録し、特定の日付および時刻にデータ端末において情報を交換するために用いられる。例えば、カレンダ・オブジェクトは、一定の日を休日に指定し、建造物制御システムの挙動を、その通常予定している挙動から変更することができる。
【0014】
次に、ゾーン・コントローラ100は、電気的に動作するドア・ストライク・コンポーネント110(電気ドア・ロックのような)を表す二進出力オブジェクトを更新し、ドア120を開錠する。ゾーン・コントローラ100は、二進出力オブジェクトに時刻/日付スタンプを押す。入場者がドア120を開いて入場すると、磁気ドア接点140が転移して、ドア開放状態を通知する。ゾーン・コントローラ100はドアの位置を表す、予め予めコンフィギュレーションが済んでいる二進入力オブジェクトを、解放位置にあると更新する。これに応じて、ゾーン・コントローラ100は、二進入力オブジェクトに時刻/日付スタンプを押す。ゾーン・コントローラ100は、入場者の作業エリア、および作業エリアまでの通路を照明する所定の照明用具を表す二進出力オブジェクトを更新する。次いで、ゾーン・コントローラ110は各二進出力オブジェクトに時刻/日付スタンプを押す。
【0015】
図9のゾーン・コントローラ100aは、コマンドを作成し配布して、「占有」ステータスをHVACコントローラ870に通知する。ゾーン・コントローラ100aは、コマンド・オブジェクトに時刻/日付スタンプを押す。図9は、ゾーン・コントローラ100aから物理的に離れて位置するHVACコントローラ870を示すが、HVACコントローラは、選択的に、ゾーン・コントローラ100aに内蔵したり、ゾーン・コントローラから離れて位置付けることもでき、あるいは局部または遠方にある多数のエレメントから成ることも可能である。HVACシステムは、HVACコントローラ870の動作の下で活性化し、入場者の作業エリアに関連するゾーン内において「占有」温度設定点に到達させる。
【0016】
制御アクション・シーケンスの記録を行う。即ち、以下を含む多数のステップを実行する。建造物制御システム内にあるオブジェクトの収集、建造物制御システムのオブジェクト集合からインデックス化した部分集合への、オブジェクトのグループ化、関連性、関係、または因果関係に基づくオブジェクトのグループ化、所定の判断基準または論理的に検査するオカレンスの集合によってトリガされるオブジェクトの集団形成、オブジェクトの部分集合に対する名称、ラベル、識別番号、アドレス、または均等物の割り当て、ならびにグループ化して得られたオブジェクト・シーケンスのアクセス可能なデータベース内への記憶。
【0017】
制御アクション・シーケンスとは、ゾーン・コントローラによって生ずるまたは実施する、一連の関係するイベントのことを言う。制御アクション・シーケンスの一例には、占有スティミュラス(occupancy stimulus)に応答して、光を点灯しエリアに警告する(HVACオン)ことがあげられる。加えて、制御アクションの所定のシーケンスの実行も遂行する。これを実行する際、以下を含む種々のステップを実行する。自動化システム内にあるオブジェクトの事前決定(即ち、ゾーン・コントローラにプログラミングする)、収集および記憶、全オブジェクトの集合から、インデックス化した部分集合への、オブジェクトのグループ化、自動化した制御アクションの所望の、既定のシーケンスに基づくオブジェクトのグループ化、シーケンス(または部分集合)に対する名称、ラベル、識別番号、アドレス、または均等物の割り当て、論理トリガ判断基準に応答しての制御アクション・シーケンスの実行。論理トリガ判断基準は、論理的に検査した、オカレンスおよびオブジェクト・プロパティ値の集合として規定することができる。
【0018】
ここで図6および図7を参照すると、記録または実行した制御アクションを表すデータ構造の図が示されている。各々には、オブジェクト・シーケンス600(図6)、700(図7)のような番号が付けられている。オブジェクト・シーケンスは、例えば、時刻またはその他のオブジェクト・プロパティによってインデックス化されたオブジェクトのグループとすることができる。オブジェクト・シーケンスは、図2〜図5に示したような、異なるエレメンタル・オブジェクト(elemental object)の収集を含む。エレメンタル・オブジェクトとは、オブジェクト・シーケンスまたはオブジェクトの収集とは対照的な、単独のオブジェクトのことである。図1を参照して先に説明した例では、2つの関係するオブジェクトが、それぞれ、占有センサ170および証明書リーダ130のスティミュラスによってトリガされ、その結果行われるシステム挙動に影響を及ぼす。時刻および日付スタンプは、メモリにおけるオブジェクトの収集を順番に並べるため、またはインデックス化するために用いることができるが、他のオブジェクト・プロパティも選択的にこの役割を実行することができる。単独オブジェクトがあるページの情報に非常に(analogously)類似する場合、オブジェクト・シーケンスは、図6および図7に示すような情報のブックレット(booklet)を表す。オブジェクト・シーケンスを発生するアルゴリズムは、単に以下のように表すことができる。
【0019】
IF (CARD READ) THEN (CREATE OBJECT SEQUENCE = NEXT 10 EVENTS)
このアルゴリズムでは、「イベント」という用語は、ゾーン・コントローラに収容されているいずれかのオブジェクトへの変更を意味することができる。
【0020】
オブジェクト・シーケンスは、各エレメンタル・オブジェクトのコピーを2つ含み、ゾーン・コントローラ100による変更の前後における各オブジェクトの内容を示すことができる。これによって、オブジェクトに対する変更を特定し定量化することが一層容易になるので、有用な情報を保存する。図1のゾーン・コントローラ100の各スティミュラスは、オブジェクト・シーケンストリガ判断基準を満たすので、所定の制御アクションのシーケンスの実行、または引き継ぐ各オブジェクトへの変更のシーケンスの記憶、あるいは双方を行わせる。
【0021】
制御アクションは、プレトリガ・オブジェクト・バッファ(pre-trigger object buffer)を用いて記録することができる。ゾーン・コントローラは、所定数のプレトリガ・オブジェクトを用いて、その電子メモリ、または建造物制御システム・ネットワーク・データベース・サーバ内にあるバッファに制御アクションを記録する。例えば、図1を参照して説明したように、入口エリアと関連付けて数個のオブジェクトをバッファに組み込むことにより、身分証リーダ130においてカードを提示すると、オブジェクト・シーケンスのグループ化をトリガすることができ、ゾーン・コントローラ100は、前の時間における占有センサ170および入場ランプ170の処理を含む、結果的に行われるまたは関係するシステム・アクションのシーケンス全体を記録することができる。
【0022】
論理表現をトリガとして用いることもできる。オブジェクトの論理的な組み合わせを用いて、実際に発生したオブジェクト・シーケンスの記憶、または既定の制御アクション・オブジェクト・シーケンスの開始をトリガする。例えば、梃子の作用でドアを棒で「こじ開ける」ことによる、強制入場行為を考える。図1のゾーン・コントローラ100は、入口における磁気ドア接点の「ドア閉鎖」から「ドア開放」状態への遷移を検出する。しかしながら、ゾーン・コントローラ100は、ドアを「施錠」状態にすることを既定している。「ドア施錠」に対する現在の既定を表す二進出力オブジェクトと、ドアの現在の解放位置を表す二進入力オブジェクトとの組み合わせは、プログラム上、アラームを発生する所定のブール論理要求を満たす。オブジェクトをオブジェクト・シーケンス構造にグループ化し記録する動作もトリガされる。しかしながら、ドア開放自体は、必ずしも、オブジェクト・シーケンスのグループ化および記録をトリガするとは限らない。例えば、建造物監督者は、占有者が正常に建造物から退出した場合、または入場者がアクセス・カードのような受入可能な身分証を提示した場合には、意に介さない。これらの場合、図1のゾーン・コントローラ100は、「ドア開錠」状態を既定している。ある目的に限った判断基準(ad hoc criteria)の論理的な組み合わせにより、種々のオブジェクト・シーケンスを任意に指定し、トリガすることができる。この能力により、建造物制御システムは、建造物について管轄権を有するしかるべき機関の要望または優先度に応じて機能することが可能となる。
【0023】
いずれの数のエレメンタル・オブジェクトでも入力と論理または数学的判断基準に供給し、オブジェクト・シーケンスの発生をトリガすることができる。例えば、いずれの数または仕方の論理、数値、算術、または数学的演算子でも、システム・データに適用し、所定のトリガ判断基準を評価し満たすこともできる。言い換えると、周知でなじみのある、<、>、=、AND、OR、IF、+、−、×、÷、タイマ値等のような演算子を用いて、数個の入力、出力、および変数に選択的に数学的処理を行うことができる。非オブジェクト値も、オブジェクト・シーケンスの発生をトリガするために用いることができる。一例には、BACnetオブジェクトのような表現を有さないゾーン・コントローラへの入力を含むことができる。このように、例えば、オブジェクトによって表されなくても、機器のエンクロージャ上にある 固有の改変スイッチ(proprietary tamper switch)を活性化すれば、オブジェクト・シーケンスをトリガすることができる。ゾーン・コントローラ100内における任意の内部計算の結果は、非オブジェクト・トリガの多数の他の可能な例の1つに過ぎない。
【0024】
図8のゾーン・コントローラ100が、ネットワーク上で離れて位置する別の機器と相互作用する場合、所定の制御アクション・シーケンスを開始すると、既定のオブジェクト・シーケンスを分散システム・ハードウェアに伝達する。このようなネットワーク型通信には、イーサネット通信を用いるとよい。実施した制御アクションを実際にインデックス化したオブジェクト・シーケンスを記録する場合、制御オブジェクト・シーケンスを開始する場合よりも多い量の情報を含む可能性がある。その理由は、分散コントローラが、それら自体の中に、遠方で始動するデバイスからの単独通信によってトリガされる制御オブジェクト・シーケンスを収容している場合があるからであり、更に、制御アクションは、局所の温度、照明レベル、煙のレベル、CO2のレベル、風向き等のような、条件付き判断基準に依存する可能性があるからである。したがって、記録を予定されている実際の制御アクションのスレッド、特に、離れてネットワークに組み込まれた機器を伴う場合、単一のゾーン・コントローラ内部における単一の既定の実行シーケンスよりも多い情報を含むのが一般的である。
【0025】
図8に見られるように、ゾーン・コントローラ100は、離れて位置するデバイスと通信するように結合されている。ゾーン・コントローラ100は、建造物のイーサネット・ネットワークを通じて通信する。例えば、IPカード・リーダ810またはIPビデオ・カメラ820のような、インターネット・プロトコル系のデバイスは、イーサネット通信プラットフォームを用いて、ゾーン・コントローラ100と通信する。ネットワーク・ユーザ・インターフェース830、ネットワーク・ビデオ記録サーバ840、またはイーサネットHVACコントローラ870のような、離れて位置するネットワーク・デバイスは、建造物に関連するイーサネット・ネットワークを通じて、ゾーン・コントローラ100と通信する。温度センサ・デバイス850または照明用リレー860のようなその他のリモート・デバイスは、HVACコントローラ870のような、イーサネット可能制御デバイスと直接、またはその下で通信する。HVACコントローラ870は、温度センサ・デバイス850および照明用リレー860をオブジェクトで表し、これらを、建造物のイーサネット・ネットワークを通じてゾーン・コントローラ100にアクセス可能にする。加えて、図8の例に見られるように、その他のデバイスも、更に、建造物に関連するイーサネット・ネットワーク以外で、ゾーン・コントローラ100と通信することができる。例えば、カード・リーダ130、電気的に差動する施錠ドア・ストライク(locking door strike)110、退出要求デバイス(request to exit device)150、およびドア接点140は、ゾーン・コントローラのモジュール・アセンブリ(図13のプロセッサ・モジュール1300を含む)の種々のモジュールを通じて、ゾーン・コントローラ100と結合され、これと通信する。図8のインテリジェント・センサは、入力デバイスとして作用することができ、インテリジェント・アクチュエータを出力デバイスとして設けることができる。図8に見られるように、1つよりも多いゾーン・コントローラを設けることもでき、イーサネットは、ゾーン・コントローラの通信のための情報導管となる。建造物のイーサネット・ネットワーク800は、ゾーン・コントローラ通信リンク160を通じてゾーン・コントローラ100に結合されている、イーサネット・スイッチおよび電力供給機器を含むことができる。
【0026】
建造物制御システムは、多様なエレメンタル・オブジェクトのグループ化に関する全ての情報を収集し、インデックス化または整列したオブジェクト・シーケンスとする能力を有するとよい。オブジェクト・シーケンス構造は、多数のネットワーク型建造物制御システム・デバイスから発出するエレメンタル・オブジェクトを含むことができる。図8の建造物制御システムは、通信ネットワーク上にデバイスが分散されており、分散して発生するオブジェクト・シーケンスの詳細を記録することができる。このように言えるのは、ゾーン・コントローラは、オブジェクト・シーケンスを整列し記憶することができるからである。分散したネットワーク型ゾーン・コントローラ内にある情報を用いて、以下のアクションにより制御シーケンスのスレッド全体の記録を完了する。(i)記録したオブジェクト・シーケンスの検索、(ii)目標オブジェクト・シーケンスの単一オブジェクト・シーケンスへの連携または連結、(iii)単一データベース内での記憶。
【0027】
これらのアクションは、開始元のコントローラ、第2のゾーン・コントローラ、または関係するシーケンスのこれらのスレッドを調べる(mine)するようにプログラムされているネットワーク型データベース・サーバによって完了することができる。このような情報の検索は、ネットワーク上にある建造物ネットワーク・ユーザ・インターフェース830への通常の周期的なハートビート通信(heartbeat communications)の間でも着手することができる。
【0028】
実施形態の別の例では、エリア・オブジェクト、システム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトには、ポイント・オブジェクトを関連させるとよい。ゾーン・コントローラのこの態様は、ポイント・オブジェクトが位置する物理エリアによるポイント・オブジェクトのローカル・グループ化を伴う。この場合も、ポイント・オブジェクトは、センサ、アクチュエータ、またはデータ・ポートを表すオブジェクトである。種々のポイント・オブジェクトは、当該オブジェクトが関連を有するサブシステムおよびコントローラに基づいて、グループを形成することもできる。例えば、ポイント・オブジェクトに、1つよりも多いエリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトとの論理的関連を行い、動作を簡略化することができる。2つのエリアに位置するポイント・オブジェクトの一例は、オブジェクト・タイプ「進入制御付ドア」を含むことができ、図9におけるDOOR_XYのように、2つの部屋を分離する物理的ドア集合を表す。HVAC、照明、公共料金計量、防火、およびその他の共通する建造物制御サブシステム・エレメントは、これらの物理的システムが大きな十分な空間を担当する場合、多数のエリア・オブジェクトとも論理的に関連付けられたポイント・オブジェクトの別の例を規定することができる。
【0029】
図9は、ある設備およびその制御機器の空間レイアウトの図式表現である。図9は、建造物の部屋の例(ROOM_X910、ROOM_Y920)を例示するシステム図を示す。ROOM_X910は、エリア・オブジェクトを表す。更に、ROOM_X910は、物理的に、多数のセンサ、アクチュエータ、およびデータ・ポートを収容し、部分的に、ゾーン・コントローラ100内に有線接続されている(hardwired)カード・リーダ(データ・ポートとして)、BACnetIPを用いるHVACコントローラ870(アクチュエータ)、およびHVACコントローラ870内に有線接続されている温度センサ850を含む。
【0030】
図10Aの実施形態では、エリア・オブジェクト1010、サブシステム・オブジェクト1020、およびコントローラ・オブジェクト1030が示されている。エリア・サブシステム、およびコントローラ・オブジェクト1010、1020、1030の集合体は、それぞれ、これらの各々と関連付けられている物理デバイスを表すポイント・オブジェクト1040の集合によって規定されている。空間温度1050、カード・リーダ1060、および包括的にデバイス(#n)1070に対するポイント・オブジェクトの例も示されている。温度オブジェクト1050、カード・リーダ・オブジェクト1060、およびデバイス#nオブジェクト1070(全てポイント・オブジェクト)は、各々、これらが関連を有するエリア(例えば、エリア・オブジェクトid1015)、サブシステム(例えば、サブシステム・オブジェクトid1025)、およびコントローラ(例えば、コントローラ・オブジェクトid1035)を識別するプロパティを含む。ヘッダ・ページ1045は、レコード長または構成するポイント・オブジェクトの数、識別、名称、記述、ならびにエリアの緯度および経度情報のような簿記データ、即ち、プロパティを収容する。緯度および経度データは、機器のGPS(全地球測地システム)の位置検出を容易にする。ヘッダには、いずれの様式の追加情報があってもよい。この実施形態では、ポイント・オブジェクトは、これらが関連付けられている各エリア・オブジェクト1010、システム・オブジェクト1020、およびコントローラ・オブジェクト1030の内部に再度現れる。この実施形態は、かなりのゾーン・コントローラのメモリ空間を利用することができる。
【0031】
図10Bに示す代替実施形態では、エレメンタル・エリア・オブジェクト1075、サブシステム・オブジェクト1080、およびコントローラ・オブジェクト1085の集合体のみを並べている。オブジェクト1075、1080、1085は、特定のエリア、サブシステム、およびコントローラを表し、それらの中には構成するポイント・オブジェクトは収容されていない。この手法は、図10Aにおける例で説明したように、エリア、サブシステム、およびコントローラを表す大きなデータ構造内にポイント・オブジェクトの冗長な集合体を形成することを未然に防ぐ。各エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトには、無限数のポイント・オブジェクトを関連付けることもできる。各ポイント・オブジェクトには、無限数のエリア、サブシステム、およびコントローラ・オブジェクトも関連付けることができる。
【0032】
オブジェクトのコンフィギュレーションは、ユーザが行う。ユーザは、各エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトを規定し、次いで各々を、ゾーン・コントローラ100に関連するデータベース内にある特定のポイント・オブジェクトに添付する。ルーム・エリアに対する図9のゾーン・コントローラ100aは、これらのプロパティを各ポイント・オブジェクトにおいて認識する。空間温度センサ・オブジェクトは、温度センサ850aを表し、例えば、HVACコントローラ870を表すHVACコントローラ・オブジェクトとの関連を有することができる。また、温度センサ・オブジェクトは、HVACサブシステムとの関連も有することができる。ユーザは、ゾーン・コントローラ100内に収容されているウェブ・ページ・ツールを用いることによって、エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、コントローラ・オブジェクト、またはポイント・オブジェクトを作成することができる。図9においてROOM_X910で特定されるエリアは、例えば、物理的にROOM_X内に位置する機器を表す特定のポイント・オブジェクトと関連付けることができる。
【0033】
図11を参照すると、データベース・コンフィギュレーション・ツールが、各ポイント・オブジェクト1100に、エリア・オブジェクト、サブシステム・オブジェクト、およびコントローラ・オブジェクトとの関連のための列を設ける。例えば、温度センサは、実際の温度センサが物理的に位置する場所を表すオブジェクト・プロパティとしてROOMXを収容する。そのオブジェクトは、論理的添付(logical attachment)を有する「ROOM_X_HVAC」を識別するサブシステム・プロパティも収容する。
【0034】
ゾーン・コントローラの使用によって、建造物のエリア内におけるアクションを監視し制御することにより、種々の報告を作成することができる。例えば、図9のゾーン・コントローラ100aは、BACnet HVACボックス・コントローラ870を介して温度センサ850aと通信し、ローカル・ゾーン・コントローラ用のデータベース内に、温度センサを表すオブジェクト(およびその他のオブジェクト)を複製することができる。ゾーン・コントローラ100aは、ローカル・データベースにおいてポイント・オブジェクトを作成し、ハードワイヤ・カード・リーダ、ドア・ストライク、またはその他のあらゆる物理デバイスを表すこともできる。各ポイント・オブジェクトは、一意の識別子を収容し、ゾーン・コントローラ用のデータベースに格納しており、デバイスの目録作成(inventory)、および意図した受信先に対するメッセージの目標設定(targeting)をし易くする。
【0035】
図9のゾーン・コントローラ100aおよび100bは、ポイント、エリア、サブシステム、およびコントローラに伴うオブジェクト・ステータスを、企業データベースとの周期的なハートビート通信(heartbeat communication)の間に同期させることができる。「企業データベース」は、ソフトウェア・プログラムとして具体化することができ、好ましくは、建造物制御システムをネットワークを通じて目視し、ヒューマン・インターフェースとして機能し、所望通りにデータを調べて保管し、要求に応じて報告を作成する、ユーザ・インターフェース830のようなパーソナル・コンピュータ(PC)に格納する。企業データベースのソフトウェアは、対象のポイントと関連付けられているゾーン・コントローラに問い合わせを行い、必要に応じて、値、アラーム、およびイベントを返し、オブジェクト・プロパティと関連付けられているデータを相関付けるまたは代わりに整列することにより、規定の報告構造で情報を提示する。企業データベースにより、ユーザは、例えば、特定の時間間隔で規定のシステムと関連付けられている全てのポイント・オブジェクト内に収容されている値を用いて、システム報告を作成することが可能になる。
【0036】
また、報告をカスタム化することができ、指定した時間間隔におけるあるエリアでのオカレンスを蓄積し含ませることもできる。この例では、ユーザは、エリアID、開始時刻、および終了時刻を入力して、報告を作成する。また、報告は、前述のような他の論理的トリガ判断基準やインデックスのいずれでも用いて、オブジェクト・シーケンスを発生または回復させることもできる。シーケンス報告の別の例では、「監査証跡」を伴うこともでき、これは、特定の日付または日付の範囲における、特定の人物と関連付けられた特定のアクセス・カードの全てのトランザクションを行うことができる。シーケンス報告の更に別の例は、現在建造物の内部にある全てのアクセス・カードの検索を含むことができ、緊急排除の要請に対して有用であると考えられる。この例は、建造物の内部に居続け、火事から救出する必要がある人物を示す情報を提供することができる。
【0037】
ゾーン・コントローラは、データ・ロギングをサポートし、トレンド・ログ・オブジェクトを設ける。ゾーン・コントローラ100は、ユーザが定義した通りに、あらゆるポイント・オブジェクトのあらゆるプロパティ値でも記録することができる。各ログ・データ入力には時刻/日付スタンプが関連付けられており、ログが取られた期間を示す。ユーザは、ポイント・プロパティ値が所定範囲を外れる場合、ポイント・オブジェクト毎に選択的にアラームを構成することができる。アラームの発生時に、エリア・オブジェクトに関連付けられている各ポイント・オブジェクトからのエリア、サブシステム、ポイント識別子および値が、ゾーン・コントローラ・データベースのゾーン−コントローラ−イベント−表にローカルに書き込まれ、全てに同じアラーム識別子が割り当てられる。ログおよびアラームは既定の間隔にわたり格納される。既定の間隔が過ぎた後、ファイル・サーバ(ネットワーク・データベース・サーバ)上に位置する中央データベースにアラームを保管することができる。
【0038】
ゾーン・コントローラ100は、BACnet、Modbus、OPC、LONTalk、Johnson Controls N2等のような多数のプロトコルを用いて、ソフトウェア・オブジェクトを読み出す。ユーザは、各ポイント・オブジェクトを手作業でプログラム即ち構成する。あるいは、ネットワーク「発見」要求(オープン・プロトコルから利用可能である場合)が、全てのゾーン・コントローラに、利用可能なオブジェクトおよび属性の全てを報告させる。図8のゾーン・コントローラ100内に位置する、局在化データベースが、全てのポイント・オブジェクトおよびコンフィギュレーションを格納する。
【0039】
ゾーン・コントローラのローカル・コンフィギュレーションに加えて、ネットワーク・ユーザ・インターフェースPC830内に位置する記号ソフトウェア・プログラム・スイート(software program suite)が、イーサネット通信経路またはバックボーンを通じて、多数のゾーン・コントローラのコンフィギュレーションを考慮する。企業ソフトウェアは、ユーザが、多数のゾーン・コントローラ内にあるポイント・オブジェクトを単一の共通建造物制御システムに関係付けることを可能にする。例えば、多数の異なるゾーン・コントローラが建造物の冷却水サブシステムを監視し制御することができる。企業ソフトウェアは、冷却水サブシステムに関する情報全てを調べる。企業ソフトウェアは、あるエリアまたはサブシステムがどのように特定のオカレンスに対して反応するかを示す個別の報告の作成に配慮している。報告は、前述のように記録したシステム・オブジェクト・シーケンスから収集した情報を収容する。
【0040】
ユーザは、アラームが発生するときに実行するルールを定義することができる。例えば、図1において、有効なカードの読み取りがないときに被制御ドア120のドア接点140が「開放」を読み取った場合、ゾーン・コントローラは強制開放ドアを示すアラームを発生する。このアラーム処理は、部屋において、図9のIPカメラ820にリンクすることができ、ドアの場所に回転するように促される。次いで、IPカメラ820はビデオ・ストリームをネットワークに接続されているビデオ記憶システム(図示せず)にビデオ・ストリームを送ることができ、対応するアラーム・メッセージによって探索を簡略化する。ゾーン・コントローラ100は、例えば、ロック・ダウン信号を、そのエリアと関連付けられている全てのドアに送り、そのエリアと関連付けられている全てのカメラに、記録を開始することを通知することができる。これら既定の制御アクションは、オブジェクト・シーケンス内にあり、先に述べたように判断基準を検査することにより、トリガを受ける。
【0041】
ゾーン・コントローラ100は、システム・コントローラ・モジュール・アセンブリの多数のモジュール、および図13〜図27に見られるような、それらに関連するI/Oとの協同動作を考慮している。この柔軟性の結果、接続されているモジュールの数および本質に応じて可変の予測電力需要が得られる。要求動作電力が変化すると、追加モジュールの設置の際、または追加の負荷を既存の接続済みモジュールに接続した後に、配信する電力の供給源が過負荷となる可能性がある。
【0042】
電力を管理するために、ゾーン・コントローラ100は、接続されている種々のモジュールを認識し、各モジュールの要求電力抽出を把握し、個々の需要を合計し、総要求電力に到達する。モジュールが追加または削除される毎に、ゾーン・コントローラは、接続されたモジュールの真の需要に応じて、その電力消費等級を動作電力に合わせて適合化する。図12の表は、IEEE802.3af−2003から抜粋したものであるが、この例において負荷が接続されているゾーン・コントローラに適用される、受電デバイスに対する分類を示す。ゾーン・コントローラ100は、その下流側のモジュールを認識し、それらの電力需要を計算し、需要を合計して、できるだけ小さい最大電力配信を要求する能力を有する。更に、ゾーン・コントローラは、モジュール毎に、個々のアクチュエータおよびセンサの負荷合計を判定する。言い換えると、8つのディジタル出力ポートを有するゾーン・コントローラでは、出力毎の負荷電流抽出は、コンフィギュレーション・データをコントローラ・メモリにタイプ入力することによって決定することができる。これに対処するために、各入力および出力は、ゾーン・コントローラの主プロセッサ・モジュールにおけるオブジェクトによって表される。そして、各オブジェクトは、電圧および電流のプロパティ・フィールドを収容し、これらにはコンフィギュレーションによる値が、ユーザの標準的ブラウザ・ソフトウェアによって割り当てることができる。マイクロプロセッサが、総要求電力を、その入力および出力オブジェクトからの全ての電圧−電流積の合計として計算する。あるいは、ゾーン・コントローラ100は、システムの就役(commissioning)の間に、その負荷から引き出される電流を測定する。次いで、ゾーン・コントローラは、総電力需要を計算し、電力供給機器(PSE)に伝達するために、正しい受電デバイス(PD)電力分類を供給する。前述の動的PD分類方式は、電力需要を高精度にPSEに報告し、電力管理システムの信頼性を高め、実際に必要な電力量のみを要求する。このため、PSE機器に現実的な電力需要を供給する。加えて、PSEデバイスは、供給源が確実に配信できる電力よりも多い電力を要求する負荷を自動的に遮断することもできる。更に、ゾーン・コントローラ100は、その負荷を、要求動作カレントだけでなく、負荷の要求動作電圧に関しても特徴付けることができる。このため、ゾーン・コントローラ(PD)は、標準的な48VDCをPSEから受け入れ、いずれの任意の電圧でも下流側のモジュールに転送することができる。建造物制御システムが利用するコンポーネントは、5VDC、9VDC、12VDC、24VDC等を必要とすることが慣例なので、これは有益である。
【0043】
これより図13〜図27を参照して、イーサネットに基づくゾーン・コントローラの一例の物理的形態を示す。この例におけるゾーン・コントローラの物理的フォーマットは、モジュール構造から成り、プロセッサ・モジュール1300が種々の追加モジュールと結合されている。これらのモジュールは、ゾーン・コントローラのモジュール・アセンブリ2700(例えば、図27参照)の一部として収納されている。これら追加のI/Oモジュールは、用途に特定したコンフィギュレーション、命名、および機能を可能にする。
【0044】
図13において、プロセッサ・モジュール1300を示す。プロセッサ・モジュール1300には、リアル・タイム・クロックが設けられている。この例では、プロセッサ・モジュール1300は、2つの10/100Mbpsイーサネット・ポート接続部1310、1320、1つのRS−485接続部1330、および24VAC/DC電力接続部1340を有する。プロセッサ・モジュール1300は、パワー・オーバー・イーサネット(PeE)も可能である。プロセッサ・モジュール1300は、埋め込み型オペレーティング・システム、例えば、eLinuxまたはWindowsCEnetを用いることができる。プロセッサ・モジュール1300は、埋め込み型マイクロエレクトロニクス内にある共通シリアル・バスであるI2Cのようなシリアル・インターフェースによって、追加の取付モジュール(例えば、図14〜図25に示すモジュール)と通信を行う。この例では、プロセッサ・モジュール1300は次の機能性を提供する。ウェブ系スケーラブル・ベクトル・グラフィクス(SVG)をホストする。ウェブ系プログラミングおよびコンフィギュレーションをホストする。ローカル・プログラミング・シーケンスを格納し実行する。進入制御レコードを格納する。ウェブ系報告能力を提供する。単純なネットワーク管理プロトコル(SNMP)メッセージをネットワーク管理ソフトウェアに送出する。BACnetIP、Modbus IP、およびLONTalkIPパケットを送出および受ける。
【0045】
スイッチ・モジュール1400を図14に示す。この例では、スイッチ・モジュール1400は4ポート・スイッチ・モジュールである。図8を参照すると、スイッチ・モジュール1400は、ローカル10/100Mbps、4ポート・スイッチであり、モニタ・ステーション、IPカメラ、IP系建造物自動化システム機器、等をローカル・エリア・ネットワーク800に接続することができる。図14のスイッチ・モジュール1400は、高帯域幅情報をイーサネットと共有するように設計することができるが、ゾーン・コントローラ100のプロセッサ・モジュール1300とは、低帯域幅情報を共有できるに過ぎない。メモリ拡張モジュール1500を図15に示す。メモリ拡張モジュール1500は、図13のプロセッサ・モジュール1300のローカル・ストレージを拡張するために用いられる。メモリ拡張モジュール1500における用途には、グラフィックス・ファイル、個人レコード、およびカスタム化したアプリケーションの格納を含むことができる。用途の必要性に基づいて、多数のメモリ拡張モジュールを接続することができる。
【0046】
赤外線データ・ポート(IRDA)モジュール1600を図16に示す。IRDAモジュール1600は、迅速なコンフィギュレーションのための、ラップトップ・コンピュータまたはポケットpcデバイスの赤外線接続に配慮したものである。また、IRDAモジュール1600は、講堂や会議室内にオーディオ・ビジュアル制御のために組み込むこともできる。図17は、無線トランシーバ・モジュールのような、トランシーバ・モジュール1700を示す。この例では、無線トランシーバ・モジュール1700は、Zigbee(登録商標)(IEEE802.15.4)ワイヤレス・メッシュ・ネットワークをゾーン・コントローラ内に引き込み、ワイヤレス現場デバイスのデータをIPネットワークに使用可能とし、その逆も可能にする。
【0047】
図18は、4状態の監督が可能なI/Oである、進入制御ドア・モジュール1800を示す。進入ドア・モジュール1800は、図1の退出要求デバイス1500を監視し、ドア接点140を監視し、ドア・ストライク110を施錠および開錠するために用いられる。自動開閉器および障害報知器のような、追加の制御機能を必要とするドアのために、補助接点を備えている。ゾーン・コントローラ100に結び付けられているリーダは、図18の進入ドア・モジュール1800上でストライク(開錠)出力を作用させることができる。このモジュール上の全ての入力は、監督下にある入力である。加えて、IPリーダを用いる状況では、IPリーダは、ドア・ストライク(開錠)出力を作用させることができる。進入制御リーダ・モジュール1900を図19に示す。進入制御リーダ・モジュール1900は、WiegandまたはABA磁気フォーマットを用いた非IPカード・リーダの進入制御に配慮したものである。2台までのカード・リーダを1台の進入制御リーダ・モジュール1900に接続することができる。図18の進入制御ドア・モジュール1800を追加すると、あるエリアの完全な進入制御が可能となる。図19の進入制御リーダ・モジュール1900は、i2C制御パスを用いて、図13のプロセッサ・モジュール1300に接続する。プロセッサ・モジュール1300は、多数の図19の進入制御リーダ・モジュール1900を単一の団結したシステムに接続することができる。コンフィギュレーション・ソフトウェアにより、単一のカードをスッと通して読ませると、1つまたは多数のドアを開錠させることができる。加えて、リーダは、ドアの開錠のためではなく、情報のみのために構成することができる。
【0048】
図20は、照明制御モジュール2000の一例を示す。即ち、ディジタル・アドレッサブル照明インターフェース(DALI:digital addressable lighting interface)制御モジュールが、分散DALI装備照明デバイスのアドレス可能な制御のために設けられている。パルス入力2110および電流変換入力2120を備えた公共料金計量モジュール2100を図21に示す。ディジタル出力モジュール220を図22に示す。ディジタル出力モジュール2200は、湿(wet)または乾(dry)接点ソリッド・ステート・リレー出力として構成可能であり、常時開放または常時閉鎖とすることができる。ディジタル出力モジュール2200は、ドア・ロック、HVAC機械的システム、照明、洗浄システム、あるいは切換信号または切換電力を受け入れるあらゆるデバイスの制御のための、ソリッド・ステート・リレー・モジュールとして設けることができる。ディジタル出力モジュール2200の各出力は、図13のプロセッサ・モジュール1300から完全にプログラム可能となっている。2つのスイッチ選択肢、形式Aおよび形式Cを、用途の要件に応じて、モジュール2200において設けることができる。図23に見られるように、ディジタル入力モジュール2300は、セキュリティ・ポイントのHVACディジタル入力監視、および監督付監視(supervised monitoring)を行う。各入力は、図13のプロセッサ・モジュール1300からプログラム可能である。加えて、各入力は、主プロセッサ・モジュールにSNMPアラームをネットワーク管理ソフトウェアに送らせることができる。ディジタル入力・モジュール2300は、5〜24DVCまたは120〜240VACに合わせた定格とすることが望ましい。ディジタル入力モジュールは、構成変更可能な内部プルアップ電流源を内蔵しており、追加の電源を必要とすることなく、切換入力を受け入れ、現場スイッチを4状態で監督することが可能となっている。
【0049】
図24のアナログ入力モジュール2400は、アナログ入力の監視を行う。アナログ入力モジュール2400用のプリント回路ボードは、リモート・センサからの電圧およびアンペア数(amperage)を読み取る能力を有する。加えて、アナログ入力モジュール2400に関連するソフトウェアが、アナログ値のロギング、およびアラーム限度に基づくSNMPアラームの発生に配慮する。各入力は、図13のプロセッサ・モジュール1300から完全に構成可能である。図25のアナログ出力モジュール2500は、可変周波数ドライブ、アクチュエータ、HVAC制御用弁、およびアナログ減光可能照明バラストの0〜10Vまたは4〜20maのアナログ制御に配慮している。各出力は、図13のプロセッサ・モジュール1300から完全に制御可能である。
【0050】
図26を参照すると、一例のモジュール・ケース2600の一部分解組立図が示されている。モジュール・ケース2600は、右側にインターロック・タブ2610、左側にインターロック・スロット2620を内蔵する。モジュール・ケース2600は、取り付けたワイヤのねじを抜いて外すことなく、モジュールから取り外すことができる、ねじ込み端子ブロック2630を有する。これは、モジュールの交換を容易にする。DIN(ドイツ工業規格)のレール実装手法により、隣接するモジュールが両側に設置されていても、モジュールの取り外しが可能となる。レール実装ノッチ2640は、シャーシ接地を種々のモジュール・プリント回路ボード(PCB)に接続するためのばね荷重接点を内蔵する。シャーシ接地は、敏感な電子コンポーネントを、サービス要員からの静電気放電から保護するために用いることができる。
【0051】
このモジュールの設計は、図27に示すようなシステム・コントローラ・モジュール・アセンブリ2700の一部として、種々のモジュールを一緒に滑動させることにより、電気的および機械的に接続できるようになっている。このモジュールの構造および設計には、種々の特徴が備えられている。例えば、モジュールは、ABSのような、誘電体材料のケーシングで形成することができる。モジュール間の電気的接続のために、ケーシング内の孔、スロット、またはその他の開口により到達することができる。図26に見られるように、モジュールのケースは、右側にインターロック・タブ2610、左側にインターロック・スロット2620を内蔵し、モジュール同士を保持し、電気接点同士を十分な力で係合するようになっている。左モジュール側の電気接点2650は、露出したはんだまたは金めっきしたPCBトレースの形態をなすことができる。これにより、モジュールの各側に別個の電気接点部品を設ける場合と比較して、コストを低減することができる。図13のプロセッサ・モジュール1300は、他のモジュールに対して一番左側の位置を占めることが好ましい。何故なら、プロセッサ・モジュールは、制御動作のために必要とされ、この例では、その左縁付近に係合スロットがないからである。いずれの数のモジュールでも、物理的に一緒に係合することができる。図26の例に示すモジュールの構造は、高さ4インチ、奥行き4インチ、幅0.8インチである。モジュールは、幅、高さ、および奥行きの要件が異なる場合があるが、インターロックの造作および電気接点の場所が一致することが好ましい。
【0052】
図27は、ゾーン・コントローラ100のモジュール・アセンブリ2700の一部としてDINレール2720上に接続および実装した4つのモジュールを示す。ケース保持用タブ2610が保持用スロット2620内に挿入し、モジュールを互いに位置合わせして取り付ける。図27のDINレール2720は、モジュールの背後に位置するように見え、実装用スロット2730が端部に見える。ここに示しかつ説明したように、ゾーン・コントローラは、適応型モジュール・アセンブリの一部として、主プロセッサ・モジュールに収納することができる。ゾーン・コントローラには、建造物自動化制御を増強するための多くの特徴が備えられている。ゾーン・コントローラは、被管理デバイスであり、イーサネットを通じて電力を受電し転送することができる。ゾーン・コントローラは、ピア・ツー・ピアでイーサネット通信するように係合することができる。ゾーン・コントローラは、システム終点において用いるためのローカル・インテリジェンスを内蔵しており、これには、カレンダ、記憶してあるイベント・スケジュール、および定期制御アルゴリズム(timed control algorithm)が含まれる。ゾーン・コントローラにおける多数のイーサネット・ポートが、ひとまとめにしたイーサネット可能機器の切換および接続を可能にする。これの一例には、進入制御モジュール1800および1900にイーサネット・ポートを設けて上流側と通信することに加えて、少なくとも1つの追加のイーサネット・ポートを設けて、例えば、入口エリアのドアに近接して位置するIPカメラと通信することが含まれる。電力転送能力には、プログラム可能な電圧出力が設けられている。プロセッサ・モジュールにおいて、通信プロトコルの変換能力が設けられている。コントローラ・アセンブリは個別のI/Oを備えている。ゾーン・コントローラの機能性は、更に、ネットワークのどこからでもシステム・モニタまたはワークステーションによって構成および就役することができる。
【0053】
側面実装板2800を図28に示す。側面実装板2800は、高さを抑えて、電気外枠(electrical enclosure)、壁、天井のような平らな平面にアセンブリを取り付けることを可能にする。簡略化のために、図28には1つの終端モジュール2810だけがあるが、少なくとも1つの図13のプロセッサ・モジュール1300も実際の使用には設けられることが多い。
【0054】
図29は、ネットワーク管理システム2900のシステム図である。ネットワーク管理システム2900は、アクティブな企業所有のネットワーク機器および販売業者の機器を組み込み管理する。例えば、ネットワーク管理システム2900は、イーサネットに接続したコンピュータ(またはサーバ)とすることができ、ネットワークの保守および運用管理を行う。ネットワーク管理とは、ネットワークのリソースを制御し、計画し、割り当て、展開し、調整し、監視するために必要な機能の集合の実行である。ネットワーク管理は、人間が建造物制御システムの中に立ち入ることができ、その中が見えるようにする。ネットワーク管理システム2900は、サード・パーティのアプリケーション・ソフトウェア2910をマネージャに統合することができ、ネットワーク管理システムをサード・パーティのネットワーク管理システム・ソフトウェア2920に統合することができるという点でオープンである。具体的に、建造物制御システムについては、ネットワーク管理システムはゾーン・コントローラを管理する。
【0055】
図30は、ゾーン・コントローラ100の図13のプロセッサ・モジュール1300のブロック図を示す。図30に見られるように、プロセッサ・モジュール1300は、種々のエレメントに接続されているマイクロプロセッサ3010を有する。種々のエレメントには、電力調整回路3020、1つ以上のイーサネット・ポート3025、その他のシリアル・ポート3030、USBポート3035、汎用入力および出力(GPIO)3040、追加のゾーン・コントローラ・モジュールと通信するためのゾーン・コントローラ・サブネット3045、およびサービス・コネクタ3060が含まれる。電力調整回路3020は、イーサネット接続部から、プロセッサ・モジュール1300、したがってゾーン・コントローラ100のために動作電力を引き出す。ネットワークに組まれているデバイスのこの給電手法は、IEEE802.3afにおいて確認することができる。メモリ3050は、2つの主要な類別、揮発性メモリ(RAM)3070、および不揮発性メモリ(FLASH、ROM、EEPROM)3075を有する。不揮発性メモリ3075は、マクロプロセッサ3010が走らせる実行可能コード、アプリケーション・プログラムおよびオペレーティング・システムのような情報を収容する。これらの双方は、起動中にマイクロプロセッサ2010によって読み出すことができる。次いで、コード情報は不揮発性メモリ3075から、これよりも速い揮発性メモリ(RAM)3070に伝達される。揮発性メモリ(RAM)3070は、マイクロプロセッサの高速クロックで走らせるには、一層適している。また、不揮発性メモリ3075はデータベースも収容し、データベースは、ポイント・オブジェクト・コンフィギュレーション、人事記録、グラフィクス・ファイル、記憶オブジェクトのシーケンス、および永続的に維持すべきその他のあらゆるデータを収容する。即ち、情報は、プロセッサ・モジュール1300への電力が失われた場合であっても維持される。揮発性メモリ3070は、命令の迅速な実行を促進するレジスタを収容し、数学的計算の評価、変数更新、およびコンピュータ科学の当業者には周知の多くのその他のレジスタ操作のための「スクラッチパッド」空間(scratchpad space)を設ける。
【0056】
サービス・コネクタ3060は、情報をマイクロプロセッサ3010に入力する手段を備えており、マイクロプロセッサ3010も限られた量の揮発性および不揮発性メモリ双方を内蔵することができる。また、サービス・コネクタ3060は、電力調整回路3020への経路によって表されるように、動作電力を注入することもできる。マイクロプロセッサ3010に流入する情報は、不揮発性メモリ3075にも格納することができる。サービス・コネクタ3060の使用例には、データベース、オペレーティング・システムのコード、またはアプリケーションのコードに対するソフトウェア更新が含まれる。情報経路3080は、マイクロプロセッサ3010を通過し、次いでメモリ3050に至るように示されているが、代わりに、マイクロプロセッサを迂回しメモリに直接達する経路を設けてもよい。
【0057】
マイクロプロセッサ3010は、イーサネット・ポート3025、シリアル・ポート3030、USBポート3035、GPIOポート3040、およびサブネット・ポート3045を通過して流れる種々の双方向情報にどのようにサービスするかを定義する命令を収容するアプリケーション・プログラムを実行する。これらのポートは、外部イーサネット・ネットワークとインターフェースするために、プロセッサ・モジュール1300の正常動作を容易にする。これは、追加のコントローラ、アクチュエータ、センサ、ディスプレイ、およびこれらのエレメントの組み合わせを有するデバイスというような機器が接続されたイーサネット・ネットワークを含む。前述のように、ポートは、シリアル3030、USB3035、およびゾーン・コントローラ・サブネットワーク3045というような他のネットワークにも接続する。一方、種々のゾーン・コントローラのアドオン・モジュール(add-on module)は、センサ、アクチュエータ、ディスプレイ、または組み合わせデバイスに有線接続することができる。これらのポートは、種々のプロトコルまたは信号によって、情報の伝達を可能とし、温度、湿度、照明レベル、空気の質、エネルギ使用率、煙レベル、または物理的進入のような、建造物環境パラメータの測定および制御に作用する。
【0058】
図31は、プロセッサ・モジュール1300の動作の動作上の階層の一例を示す。下から上に向かって、マイクロプロセッサ3010、メモリおよびデータベース3050、通信およびデータ・ポート3025、3030、3035、ならびにハードウェア・プラットフォーム3110を構成するGPIO3040のような種々のハードウェア・エレメントが示されている。そして、WindowsCE.netのようなオペレーティング・システム3120が、簡略化したPC(パーソナル・コンピュータ)アーキテクチャと全く同様に、ハードウェア・プラットフォーム3110上で走る。データベース管理、Visual Basic、テキスト・エディタ、ウェブ・サーバ、およびその他のプログラムというような、特定のアプリケーション・プログラム3130が、プログラマにゾーン・コントローラ100に介入させ、いずれの任意の論理建造物制御アルゴリズムでも、所望通りに、提供する。また、ゾーン・コントローラ100の種々のアドオン・モジュールの各々によって、更に深い度合いおよび更に別の本質の制御も設けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物制御システムであって、
複数の進入制御デバイスを備えた進入制御サブシステムと、および複数の非進入制御デバイスを備えた非進入制御サブシステムとを含む複数のサブシステムであって、前記進入制御デバイスと非進入制御デバイスの少なくとも一部が、共通通信ネットワーク上に分散された、複数のサブシステムと、
中央演算装置と、データベースと、埋め込み型オペレーティング・システムと、複数の入出力(I/O)モジュールを有するモジュール・アセンブリとを各々有する複数のゾーン・コントローラであって、各ゾーン・コントローラが、前記共通通信ネットワークを通じて構成可能であり、各ゾーン・コントローラが、ローカル・エリア・コントローラとして動作する、複数のゾーン・コントローラと、
前記ゾーン・コントローラおよび前記サブシステムを、前記共通通信ネットワークを通じて管理するように構成されたネットワーク管理システムと、
を備えた、建造物制御システム。
【請求項2】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、各ゾーン・コントローラは、前記I/Oモジュールを介して、異なるプロトコルを用いて、多数のサブシステムのデバイスから情報を受けるように構成された、建造物制御システム。
【請求項3】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記非進入制御サブシステムは、セキュリティ・サブシステムと、照明サブシステムと、HVAC(加熱、換気、および空調)サブシステムと、防火サブシステムと、公共料金計量サブシステムとを備えており、前記非進入制御デバイスは、HVAC機器、防火機器、侵入制御機器、潅漑機器、ビデオ監視機器、オーディオ相互通信機器、照明機器、公共料金計量および配信機器、または拡声機器を備えた、建造物制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記進入制御サブシステムは、建造物の異なる物理的エリア内における異なるドアと関連した進入制御デバイスを備えており、前記建造物制御システムは、第1ドアと関連した進入制御デバイスの状態が、第2ドアと関連した進入制御デバイスの状態に作用することができ、前記第1ドアと関連した前記進入制御デバイスの状態が、前記第1ドアに隣接する物理的エリアと関連付けられた非進入制御デバイスの状態に作用することができ、多数の物理的エリアと関連付けられた非進入制御デバイスの状態が、前記第1または第2のドアの少なくとも1つに関連した前記進入制御デバイスの状態に作用できるように構成された、建造物制御システム。
【請求項5】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、各ゾーン・コントローラは、サード・パーティ・デバイスから異なるプロトコルによって送られるソフトウェア・オブジェクトを読み込み、前記I/Oモジュールと結合されたセンサおよびアクチュエータからの信号を処理し、温度、湿度、光レベル、空気の質、エネルギ使用率、煙レベル、または物理的進入のうち少なくとも1つを含む建造物環境パラメータの測定および制御に変化をもたらすように構成された、建造物制御システム。
【請求項6】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記通信ネットワークは、イーサネット・ネットワークを備えており、前記ゾーン・コントローラの少なくとも1つは、パワー・オーバー・イーサネット(POE)接続部を介して電力を受けるように構成された、建造物制御システム。
【請求項7】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記ネットワーク管理システムは、ウェブに基づくツールを用いて、ユーザと相互作用を行うように構成された、建造物制御システム。
【請求項8】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記データベースは、格納されたデータを備えており、前記ゾーン・コントローラは、関係するイベントのシーケンスまたは集合に基づいて、カスタム化した報告を作成するために、前記格納されたデータを用いるように構成された、建造物制御システム。
【請求項9】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、トリガイベントに応答して、前記ゾーン・コントローラは、所定のデータ・シーケンスの記録、または制御アクション・シーケンスの実行のうち少なくとも一方を実行するように構成された、建造物制御システム。
【請求項10】
請求項1記載の建造物制御システムにおいて、前記ゾーン・コントローラのモジュールは、プロセッサ・モジュールと、スイッチ・モジュールと、メモリ拡張モジュールと、赤外線データ・ポート(IRDA)モジュールと、トランシーバ・モジュールと、進入制御ドア・モジュールと、進入制御リーダ・モジュールと、照明制御モジュールと、公共料金計量モジュールと、ディジタル入力モジュールと、ディジタル出力モジュールと、アナログ入力モジュールとを備えた、建造物制御システム。
【請求項11】
複数のデバイスを各々含む多数の建造物制御サブシステムを有する建造物制御システムにおけるイベント管理方法であって、前記建造物制御システムは、ローカル・エリア・コントローラとして動作するゾーン・コントローラを備えており、前記方法は、前記ゾーン・コントローラが、
前記サブシステムからデータを収集することと、
前記収集したデータを格納することと、
前記建造物における挙動のパターンを判定するため、および関係するイベントのシーケンスに基づいて、カスタム化した報告を作成するために、前記格納したデータを分析することと、
を備えた、イベント管理方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、更に、共通通信ネットワークを通じて、前記ゾーン・コントローラに接続されたネットワーク管理システムを用いて、複数のゾーン・コントローラを監視することを備えた、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、更に、パワー・オーバー・イーサネット(POE)接続部を介して、前記ゾーン・コントローラに電力を供給することを備えた、方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、前記データを収集することは、前記サブシステム内にあるデバイスから異なるプロトコルによって送られるソフトウェア・オブジェクトを読み込むことを含む、方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法であって、更に、
前記建造物制御システムからのソフトウェア・オブジェクトを部分集合にグループ化し、所定の判断基準または論理的に検査したオカレンスの集合によって前記グループ化をトリガし、
インデックス化した部分集合を形成するために、関連性、関係、または因果関係のうち少なくとも1つに基づいて前記部分集合をインデックス化し、
グループ化オブジェクト・シーケンスを形成するために、前記インデックス化した部分集合に名称、ラベル、識別番号、アドレス、またはその均等物を割り当て、
前記グループ化オブジェクト・シーケンスを格納する、
ことによって、前記ゾーン・コントローラが、グループ化オブジェクト・シーケンスを記録することを備えた、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、更に、前記所定の判断基準または前記論理的に検査したオカレンスの集合に応答して制御アクション・シーケンスを実行することを備えており、前記制御アクション・シーケンスが、制御アクションの所定のシーケンスを備え、該制御アクションの各々が、前記デバイスの1つのものの状態に作用する、方法。
【請求項17】
請求項15記載の方法において、前記建造物制御システムは、複数のポイント・オブジェクトを備えており、前記ソフトウェア・オブジェクトのグループ化は、各ポイント・オブジェクトをエリア・オブジェクト、システム・オブジェクト、コントローラ・オブジェクト、およびサブシステム・オブジェクトと関連付けることを含み、前記ポイント・オブジェクトは、1つよりも多いエリア・オブジェクト、1つよりも多いシステム・オブジェクト、1つよりも多いコントローラ・オブジェクト、および1つよりも多いサブシステム・オブジェクトとの論理的関連付けを受けることができる、方法。
【請求項18】
請求項11記載の方法において、前記建造物制御システムは、建造物における異なるドアと関連した進入制御デバイスを有する進入制御サブシステムと、非進入制御デバイスを有する非進入制御サブシステムとを備えており、前記方法は、
第1ドアと関連した進入制御デバイスの状態に対し、第2ドアと関連した進入制御デバイスの状態が変化したときに、作用することと、
前記第2ドアと関連した前記進入制御デバイスの状態が変化したときに、前記第1または第2のドアの少なくとも一方に隣接する少なくとも1つの物理的エリアと関連付けられた非進入制御デバイスの状態に作用することと、
前記第1または第2のドアの少なくとも1つと関連した前記進入制御デバイスの状態が変化したときに、多数の物理的エリアと関連付けられた非進入制御デバイスの状態に作用することと、
のうち少なくとも1つを備えた、方法。
【請求項19】
請求項11記載の方法において、前記データを収集することは、前記ゾーン・コントローラのI/Oモジュールと結合されたセンサおよびアクチュエータから信号を受けることを含み、前記方法は、更に、前記信号に応答して建造物環境パラメータを制御することを備えており、前記建造物環境パラメータは、温度、湿度、光レベル、空気の質、エネルギ使用率、煙レベル、または物理的進入のうち少なくとも1つを含む、方法。
【請求項20】
請求項11記載の方法であって、更に、前記建造物制御システムとユーザとの間の相互作用を可能にするために、ウェブに基づくツールを設けることを備えた、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−20637(P2013−20637A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−213917(P2012−213917)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2007−98436(P2007−98436)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【Fターム(参考)】